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5レーンを封鎖せよ!~シティ、チェルシー ポジショナルサッカー攻略法~

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<5レーンを封鎖せよ!~ポジショナルサッカー攻略法~

『ポジショナル VS ストーミング』

今季のプレミアリーグを敢えて今流行りのパワーワードで表現すれば、こんなところになるでしょうか。
ポジショナル勢は元祖ペップのシティと今季からサッリを招聘したチェルシー。ストーミング勢は元祖クロップのリバプールとポジェッティーノのスパーズですね。

開幕から5ケ月-
現在のプレミアリーグの順意表を眺めてみると1位リパプール、2位スパーズ、3位シティ、4位チェルシーとまさにこの4チームの明暗がクッキリ分かれてしまっています。
特にシティは直近のプレミア4試合で1勝3敗と明らかに攻略法がバレてしまった感もありますね。

そこで今回はポジショナルサッカーが陥っている現在の不調の原因を探る為、その目的と攻略法を解析していきたいと思います。


<ポジショナルサッカーの目的とは?>

こんな辺境のブログに迷い込んだ人の中に今更「そもそもポジショナルサッカーって何?」という人はまずいないと思いますが
詳しい解説を読みたい方はネットや雑誌にいくらでも転がってますのでそちらをご参照下さい(笑)

ここではその概念や言葉遊びみたいなのは本題から逸れるので一旦置いておき、
大雑把にポジショナルサッカーとは「再現性の高いポジショニングの型からロジカルにサッカーというゲームを攻略する戦術」という風に定義しておきましょう。

まあ要するに本質的にカオスであるフットボールに将棋の定石のような考え方を持ち込んで、詰め将棋のように相手を追い込んでいこうという訳です。

最近、よく聞く「5レーン」というワードもその定石の一つ、ポジショナルサッカーを遂行する上でのいち手段に過ぎない訳ですね。

で、最近のポジショナルサッカーを巡る言説の中で個人的に少し違和感を覚えていたのが、5レーンや再現性の高いポジショニングが手段ではなく目的のように一部語られていて、「そもそもこのサッカーの目的って何よ?」っていう部分が忘れられてはいないか?という話で。

別に5レーンを全て埋めるポジションを取れてるからスゲー!ではなく、この型が効率的な得点につながっているから凄い、とならなくては本来いけないはず。


現代サッカーにおいて、再現性を持って効率的に相手を崩す最終目的とは即ち「相手のCBを崩す」っていう事とほぼ同義と考えて良いと思います。何故なら数あるシュートパターンの中で最も得点率の高いパターンとは「GKとの1対1」だからです。

よくボール支配率70%とか、クロス60本も蹴って得点0みたいな試合、サッカーにはあるあるですよね?
あれは結局、一見攻めているように見えて外⇒外のUの字にボールを誘導されて、相手のCBが自分の持ち場を離れず、常に良い状態から守備をされているので最後の最後で崩しきれていないんです。

なので、サッカーというゲームでは質の低い決定機10本(大外からのアバウトなクロス)よりも質の高い決定機1本(GKと1対1)の方が遥かに価値が高いという事を分かっている監督かどうか?はそのチームのサッカー、特に攻め筋に大きく影響を与えます。
(まだ世界には「とにかくアフロに蹴れ!」が戦術の監督もいる)


言うまでもなくペップやサッリはこの「決定機の質」に人一倍こだわる監督なので、
再現性を持って効率的に質の高い決定機を作る為にポジショナルサッカーを志向しているという訳ですね。


では具体的にポジショナルサッカーが「5レーン」のポジショニングを用いて中央突破から相手のCBを崩す、理想的な例を見ていきましょう。



【5レーンを用いてCBを崩す(中央突破編)】
マンC得点1229-5
画像はシティの直近の試合(レスター戦)から。
シティの前線がお互い横のレーンに重なる事なく、綺麗に5レーンに各1枚、ポジションを取っている事が分かります。
(この場面ではアグエロとデブライネがポジションを入れ替えて更に守りずらくしているが、人は入れ替わっても「いるべき位置に誰かが立っている」というのがペップの再現性の高さ)





マンC得点1229-6
5レーンを取る事の狙いは、4バックで5レーンを守る場合、相手DFの意識は↑のような状態であると言えます。
SBは大外で「幅」を取るWGにピン止めされていて、CBは中央のCFに対してチャレンジ&カバーの関係性。
そうすると「間」を取るIH(この場面では金髪のアグエロ)がどうしても浮いてしまうという「王手飛車取り」



マンC得点1229-1
アングルを変えてみてもマッチアップの構図から1人、アグエロが浮いてしまっているのがよく分かると思います。
本来、守るレスターは2列目のラインで中を閉めて、アグエロへのコースを消さないといけないんですが、中央のMFが並列になってしまい閉め切れていません。





マンC得点1229-2
アグエロに通されてしまうとCBが対応に持ち場を離れて出て行かざるを得ない状況を作り出しています。
これが「CBを崩す」という事で、屈強な2M近い巨漢CB2枚をアグエロとBシウバの小男2人で完全に崩しきっています。
大外からのクロスを跳ね返す、という場面ではレスターのCB2枚は無敵の強さを誇りますが、このように理詰めの『型』で崩されるとその強みも無効化されてしまうのがよく分かりますね。



マンC得点1229-3
狙い通り、『GKと1対1』という最も得点率が高い決定機を作り出す事に成功。



とは言え、当然試合では相手も中は警戒して閉めてきますから、次はサイドからの5レーンを用いた「CBの崩し方」を見ていきましょう。



【5レーンを用いてCBを崩す(サイド攻撃編)】
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局面はここでも人は入れ替わっているが5レーンをしっかり埋めているシテイ
(ボールがサイドにある時は逆サイドのWGは一つ内側のレーンに入る)

WGの位置に流れたジェズスにSBが釣り出されると内側のいわゆる「ハーフスペース」をフェルナンジーニョがオートマッティックに抜け出す




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「5レーン」を用いて「ハーフスペース」を突く目的はCBを持ち場から引っ張り出す事。
すなわち「CBを崩す」事がここでも目的になっているのだ。

本来、守る側としてはゴール中央エリアにCB2枚が待ち構えて、チャレンジとカバーの補完性が効く状態なら失点率を減らす事が出来る。
しかし↑のようにCBが1枚引っ張り出されてクロスに対してCB1枚で守らないといけない場合は失点率が劇的に上昇。
何故ならCB1枚ではボールとマーク(背後のスターリング)を同一視で守る事が出来ないから。





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ハーフスペースからCBを超えるクロスが送られると、スターリングは「GKと1対1」(実際はクロスにGKが動かされているので「1対0.5」ぐらいの感覚)で、ゴールに流し込むだけの質の高い決定機を迎えている。
これだと別に中で待っているのがアフロの大男でなくとも、クロスから充分に得点が狙えるのがお分かりいただけるだろう。


このように中央からでもサイドからでも「5レーン」という一つの型を使う事で極めて再現性高く、相手のCBを崩せる⇒効率的に得点を取れるサッカーがペップやサッリが志向しているポジショナルサッカーの正体という訳ですね。



<5レーンを封鎖せよ!~4-5-1で攻略~>
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ではこのサッカーにどのように対抗していくべきか?

皮肉にも一つの答えを出したのはペップのシティに今季初の土を着けた男サッリでした。
自分達も日頃から同じサッカーを磨いているので、逆説的にその攻略法を最も知っているのがサッリというのは考えてみれば当たり前の話。
しかし、サッリ自身が披露した攻略法で、今度はチェルシーが苦しめられているというのも何とも皮肉な話ではありますが・・・(笑)


サッリがシティに土を着けた試合で採用したシステムは4-5-1。
中盤に5枚のMFをフラットに並べて、予め5レーンを全て埋めてしまおうという守り方でした。

ではこれをシティ戦で模倣したクリスタルパレスの守り方から5レーンの守り方を見ていきましょう。


【2列目の5枚で5レーンを封鎖】
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↑このように予めシティのIHが陣取るハーフスペースにはこちらもIHを置いて封鎖してしまおうという訳ですね。
これでグラウンダーのパスをIHに通されてCBが釣り出されるという「中央突破」のルートをまずは封鎖。




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こうなった時のシティの応手は相手の2列目を飛ばして逆サイドへ送る対角パス
ここから先ほどのサイド突破の型へ結び付けていきます。
何故なら2列目を飛ばされて逆サイドのWGに付けられた場合、4-5-1で守る側からするとWGに対応するのは大外のSBになるので、SBを釣り出して⇒ハーフスペースのコンボ発動になる訳ですね

しかし、もうこの攻め筋は研究されているので、ここでは逆SHが頑張って横スライド!



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大外をSHがカバーして、SBを釣りださせない守備陣形を維持。
SHがハードワークする事でハーフスペースをIHとSBの2枚で埋められています。
これをやられるとシティの攻撃はサイドで手詰まりになり⇒下げてやり直しというターンが続く

更にこの4-5-1には二重の保険もかかっており、次はSBがWGへの対応で外につり出された場合の守備も見ていきましょう。



【SBがWGの対応につり出された場合】
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局面はWGザネの対応にSBがつり出された場面。
ここではSBが外に出るのと同時に予めハーフスペースに配置されていたIHが戻ってそこを埋める動きがオートマティックにセットになっています。



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SBが釣り出されたハーフスペースをIHが埋める事でCBが一歩も動かされていないのがよく分かると思います。
シティはこの状態で大外からクロスを上げても得点を取れる設計にはなっていません(中はジェズスやアグエロ)
というより、先ほど触れたようにそもそもここから大雑把にクロスを上げずに済むよう設計されているチームなのです。

故にこのように中が万全の時は攻撃の目的が曖昧となり、次第にサイドで攻撃が停滞・・・




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気付けばボールホルダーのザネが挟まれて奪われている、というようなシーンが最近の試合では目立ってきました。

やはり「CBを崩す」という手順に乗らないとなかなかフィニッシュに結び付かない事、
型が精密で再現性が高いが故に、対応策も再現性が高くなってしまうのがポジショナルプレーの弱点と言えるでしょう。



<負けパターンにおける再現性の高さ>
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シティとチェルシーは攻撃が手詰まりになった場合、被カウンター時におけるリスクも共通しています。

何故なら前線が常に5レーンを埋めるポジショニングを取っているという事は、失った時に5枚並んでいるワンラインが全員カウンターに置去りにされる、という事と同義だからです。

次の2枚の画像をご覧下さい。


mannc1228.jpg
失点チェルシー1229
↑これらはシテイ、チェルシーがそれぞれ対レスター戦でくらった失点シーンになります。

状況は驚くほど似通っており、カウンターからアンカーを通過されると3枚残りのDFが無防備に晒されている場面になります。
つまり、ここでも失点パターンにおける再現性の高さが確認出来る訳ですね。

では、具体例として実際にチェルシーの典型的な失点シーン(対スパーズ戦)を検証していきたいと思います。


【チェルシーの失点シーン検証】
ジョルジ3
↑は敵陣内でチェルシーがボールを失った瞬間です。
チェルシーは攻撃時、特に左サイドでSBのMアロンソを絡める事で攻撃の厚みを出すポジショニングに特徴があります。
特にウィリアンやアザールがサイドに開いて幅を取った時に、Mアロンソが内側のレーン(ハーフスペース)を取るオートマティズムは完成の域に達してきました。

しかし、↑の画像でも分かる通り、本来SBのMアロンソが内側を取るという事は失った時にSB裏に広大なスペースが広がっている事と同義。
スパーズは事前のスカウティングから完全にこのスペースを俊足のソンフンミンで狙い撃ちにするゲームプランを仕込んでいました。



ジョルジ
実際にソンフンミンに走られて並走で対応するジョルジーニョ。
しかしジョルジーニョは前線の守備が機能している時のパスコースの切り方や、読みを効かしたインターセプトでは守備力を発揮するものの、広大なスペースを肉弾戦で守る局面では無力です。

この場面でも無抵抗のままソンのスピードで千切られますが、チェルシーは被カウンター時アンカーで相手のスピードを止められないと3枚残りのDFが無防備に晒される状態になってしまいます。




ジョルジ2
しかもジョルジーニョが振り切られた後にカバーに入るDルイスも守備で我慢が効かない為、一発で飛び込んで万事休す。
これではいくら高いポゼッション率を記録しても失点が減る訳がありません。


では同じジョルジーニョをアンカーに置いていたナポリ時代はどうやって守っていたのか?と言われれば
それはIHのアランが常に被カウンター時に身体を張って相手のスピードを止めていたのです。

恐らくサッリはチェルシーでIHに起用しているカンテにこの役割を担って欲しいと考えているはずですが、
まだカンテも取るべきポジショニングを完全には理解しきれておらず、それがカウンターを食らった際のモロさに直結していると見ます。


シティの失点パターンも構造自体は同じ。

【シティの失点パターン検証】
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↑はレスター戦の失点シーンですが、アンカーのギュンドアンが置去りにされてDF3枚で守る場面。

ここでもレスターは事前のスカウティングからシティの失点パターンを解析し、フィニッシュパターンを仕込んでいました。
それはデルフのクロス対応です。





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クロス対応も基本的にゾーンで守るシティはバーディーが右足に切り替えしたタイミングでCBが1~2歩DFラインを上げています。
デルフは逆サイドからのクロスに対して、必ず隣のCBを基準にラインを上げるのでそれと入れ替わるように背後を取れる、この形を練習から準備してきたに違いありません。

それは同じ試合で何度も繰り返された攻撃パターンからも明らか↓



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本職がボランチのデルフは通常、逆サイドからのクロス対応で正しい身体の向きとポジションを取る、といった局面を数多く経験してきた選手ではありません。

故にどうしてもボール状況に応じてラインを崩して人に付いて行く、深さを取る、といった咄嗟の対応に弱さを覗かせるのはある意味当然です。


では何故ペップはわざわざ本職がボランチのデルフを左SBに起用しているのか?
それはSBの怪我人状況なども勿論ありますが、攻撃時(ボール保持時)に偽SBとして振る舞えるデルフのボランチ性能を高く買っているからに他なりません。


【偽ボランチとして振る舞う左SBデルフ】
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つまり攻撃時はメリットとなっているSBデルフは今後も再現性高く、クロス対応の守備では繰り返し「穴」になるはずだと予測されます。
これに対するペップの対応策、修正も今後一つの見所ですね。



<ポジショナルサッカーは器に過ぎない>
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例えばチェルシーにアランがいたら・・・、この被カウンター時の諸さは高確率で解消するでしょう。
同じようにシティはアンカーのフェルナンジーニョが怪我で離脱していなければ、DFラインが晒される前に相手のカウンターを潰すか、悪くてもスピードを殺す対応が出来るはずです。(その間に前線の5レーンが猛スピードでプレスバック)

攻撃も同じ話。
いくらハーフスペースを埋められたと言っても、シルバであれば絶妙のタイミングでマークを外してハーフスペースに入っていけるセンスが絶妙ですし、時には自分をオトリにワンツーでWGをカットインさせるなどのバリエーションも豊富。
同じくデブライネが万全の状態であれば、大外からのクロスでもGKとDFラインの間にピンポイントの質で入れる事で「CBを崩す事」が出来るはず。(昨季、何度も見た形)


つまりペップが言うように「戦術が凄いのではなく、まず選手が重要」なのです。
ポジショナルサッカーは単なる器に過ぎず、中身(選手)の質が乏しければ監督が誰であろうと「絵に描いた餅」に過ぎません。

一時、ペップバルサの模倣を目指した多くのチームで死屍累々・・・という時代がありましたが、
同じように今、ペップシティを目指した多くのチームが「質の伴わないポジショナルサッカーほど悲惨なものは無い」という教訓を与えてくれるに違いありません。







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テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

数的優位と質的優位を巡る戦い ~マンチェスターU×マンチェスターC~

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<数的優位と質的優位を巡る戦い ~マンチェスターU×マンチェスターC~


ここに一枚の写真がある-



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ある日のトレーニングの午後、選手と通訳によるたわいもないサッカー談義に花が咲いているのだろうか。

まだ"何者"でもなかった両者の間には何の垣根も障害も無かったのだろう。

そして恐らく当時の2人のサッカー観もきっと根底の部分では通じ合うものがあったのではないだろうか


しかし時を経て、2人は全く異なる立場に身を置く運命となったのである-


1人のロマンチストは言った
「自分の哲学は美しく勝つ事である」


1人のリアリストは言った
「勝利こそが私の哲学である」


戦術の進化を巡る歴史とは即ち、異なる価値観のぶつかり合いである

その最高峰に立つ両者がスペインの地で対峙したクラシコでは「0トップ」と「間受け」、
それに対抗する「中央圧縮」「トリボーテ」「ゾーンを越えたCBの迎撃守備」など数多くの戦術的進化が促された

それに比べるとここ数年の現代サッカー史は戦術的にはやや停滞期に入っていた、と言えるかもしれない


その両者がマンチェスターに地を移し、再び相まみえるというではないか


これはただの1試合ではない。


『さあ、そろそろフットボールの歴史を動かそうか』



<スペシャリスト集団対マルチロール集団>
スタメンダービー0917

という訳で上記が両チームのスタメンです。

ユナイテッドは各セクションにワールドクラスのスペシャリスト達を揃えた非常にモウリーニョらしいチームになっています。
特にセンターラインにはバイリー、ポグバ、イブラヒモビッチというフィジカルモンスターを獲得。

極論すればCBとボランチは「来たボールは全て跳ね返せ」、両ワイドは「個で突破しろ」CFには「決めろ」です。
フェライーニ&ポグバのダブルボランチとか、もうこれから殺し合いでも始めるのかっていう夢と希望の無さですよね(笑)

それぞれのタスクを明確化して有機的につなぎ、計算出来る100%からブレの無い、
極めて不確定要素の低いチームを作るのがモウリーニョという男の強み


一方で「目に見えない何か」「計算できない何か」から新しい化学反応を生み出そうとするのがペップという男のチーム。
「CBに中盤の選手を起用するのが私の好みだ」と言うように一芸のスペシャリストよりも攻守に秀でるマルチプレイヤーを揃えるのがペップサッカーです。

プレシーズンから早速コラロフ、フェルナンドをCBに起用したりと色々実験しているようですが取りあえずこの試合では通常の位置に戻したDFラインを編成。
GKにはペップの哲学からすると「ただゴールマウスに突っ立っているだけのでくの坊」に過ぎないハートを早々に放出し、バルサから足元の技術に優れたブラボを獲得。

そしてペップのサッカーにおけるヘソの位置にあたる4番ポジション(アンカー)には全能のフェルナンジーニョが抜擢されました。
この選手が「バルサにおけるブスケス」であり「バイエルン時代のラーム」にあたる立ち位置にいる事は間違いありません。

2列目には間受けして良し、ワイドに開いて良しの技巧派を4人並べて1トップはエースアグエロの負傷によりイヘア・ナチョが代役に。



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<ぶつかり合う両者の哲学>

試合は序盤から両者の哲学ががっぷり四つに組み合う展開となる

モウリーニョのユナイテッドは守備時4-4-1-1に近い並びに。
これは守備をある程度免除せざるを得ないイブラを最前線に置いているチーム編成なので致し方なし。

シティがビルドアップを始める段階でイブラをストーンズ(今イングランド人で最も展開力のあるCB)に付けて
ルーニーにはアンカーのフェルナンジーニョを見させる縦関係にしてもう1人のCBであるオタメンディは放置

オタメン放置b0917

相手チームで最もビルドアップに難のある選手を敢えてフリーにしておびき出し、カウンターの罠を張るのはモウリーニョの常套手段です。
クラシコ時代にはロナウドにピケを、ベンゼマにブスケスを見させてプジョルに同じような放置プレーをしていたのを思い出しますね。

なのでシティはオタメンディがボールを持ち運ぶところからビルドアップをスタートさせる事が多く、
ここからモウの張る4×4の守備網シティの2列目間受けカルテットという構図が見られました。

実際の試合からその攻防を確認していきましょう

モウ4141-0917-1

局面はボールをユナイテッド陣地まで運んだオタメンディから間受けを狙うノリートへ


モウ4141-0917-2
すかさず中央圧縮で対抗!

閉められたノリートはワンタッチでオタメンディに返すと、その隙に今度はシルバが「間」を伺う


モウ4141-0917-3
連続した中央閉鎖!

ここではルーニーのプレスバックまで加えて前後左右で囲みこむのがミソ


モウ4141-0917-4

3枚で包囲して狙い通りボール奪取成功


ペップ「ならば0トップ発動だ」

バイリー迎撃0917-1

局面は1トップのナチョを落として間受けを狙うシティ



バイリー迎撃0917-2
モウ「CBで迎撃だ、行け」

どこのSラモスだYO!

メッシの0トップを抑える為にCBのゾーンを広げてSラモスを迎撃に向かわせたあの戦術。

な~んかこのへんの攻防、一時期のクラシコを思い出してオラわくわくすっぞ!


ちなみにこの新戦力のバイリー。
ビジャレアル時代から密かに目を付けてたんですが、個人的には今季モウの下でワールドクラスの仲間入りをするのではないかと期待している逸材です。

確かにまだまだ荒削りなんですが1対1は無敵だし、スピードが半端じゃないんでカバーリングのエリアも広大。
第二のカルバーリョ、Sラモス候補生として要チェキですよ。



さて、モウリーニョに中央を閉鎖されたペップ。
しかしここまではある意味両者織り込み済み

ペップも中央一辺倒だった当時と違い、今は「中がダメなら外」という柔軟性があります。


対角スライド0917-1

4×4ブロックの難しさは横68Mをボールサイドにスライドさせながら4枚で守らなければいけない事。
特に中央のボランチ2枚はサイドを変えられる度に30M以上の横スライドを強いられます。

ペップはそこを突いてボールサイドにユナイテッドがスライドし切ったタイミングでノリートから逆サイドのスターリングへサイドチェンジ




対角スライド0917-2
フェライニ&ポグバは顔色一つ変えず鬼の横スライド!


それならば、という事でスターリングから一旦ボールを下げて・・・



対角スライド0917-3

4×4ブロックのもう一つの泣き所はブロック前にアンカーを置かれるとケアが難しい事

ここでもルーニーのプレスバックが間に合う前にフェルナンジーニョが再び逆サイドへの対角パス



対角スライド0917-4
これ去年までバイエルンで見た事ある!


このように試合は序盤から両指揮官の狙いが明確にピッチで見て取れ、明らかに普段のダービー・・・というかプレミアとは異質の攻防が繰り広げられていました。


<質的優位を作り出せなかったユナイテッド>

ではここで、この試合におけるモウリーニョの狙いを考えてみましょう。
繰り返すようですがモウリーニョのサッカーとはは各ポジションにスペシャリストを配置し、その質的優位を活かして相手を殴り続けるものです。

とすればこの日のスタメンからその狙いは明確。

4×4の中央圧縮から特にセンターエリアでのフィジカルの強さを活かしてボールを強奪⇒サイドに展開してリンガードorムヒタリアンが個で突破⇒中央のイブラ⇒落としてルーニー

非情にシンプルですがその為の駒が各ポジションに配置されている合理性こそ彼の真骨頂

しかし、前半は2つのポジションで不確定要素が発生していました。
不確定要素とは「選手のパフォーマンス」です

モウ「今日はゲームの性質上、我々の個人技で相手にダメージを与えられると考えていたが、彼らは私の欲していたものを与えてくれなかった。前半のうちに2、3人の選手が明らかにプレーできていなかったんだ。ただ、これはフットボールだ。選手は監督を失望させもするし、大きなサプライズを与えてくれたりもする」

試合後モウ本人が語っている通り、前半は奪ったボールを両サイドに展開するもそこでリンガード、ムヒタリアンがことごとくボールをロストしていました。

シティの切り替えの速さも特筆すべきものでしたが、それも含めて個の質で凌駕する算段がモウにはあったはず。
しかし不確定要素により質的優位が確保されなかった事で前半は一方的なシティペースに。

ただ、その時間帯に元々の配置で「質的優位」を確保しておかなかったポジションから失点が生まれたのは必然だったのか偶然だったのか-


この日のユナイテッドのスタメンを見た時に唯一、違和感のあるポジション配置があると思ったのは私だけでしょうか?

モウリ-ニョサッカーの心臓部とも言えるCB+2ボランチの4枚で囲む四角いエリア。

ポグバ、フェライーニのボランチ・・・うん、これぞモウ

新戦力バイリーのフィジカル・・・こういうCB必ずいるよね

CBブリント・・・あれ?本職ボランチの選手が何故ここに?


そう、ここだけ異質なんですよねー。
過去ここにはテリーとかペペとか屈強マンが配置されてきたと思うんですが。

恐らくモウの狙いはブリントの左足からのロングィードでイブラへタテポン1発を攻撃面で確保したかったのだと思いますが
本職ボランチのCBは良くも悪くも「リスクよりもリターン」を見てプレーを選択しがちなんですよね。

シティの先制点の場面ではブリントの軽い対応が失点に直結してしまいましたが
ああいうフィフティーボールの処理でまずはリスク回避と割り切ってドーンとタッチラインに蹴り出せるのが本職CBで
最後までマイボールにしてつなごうかという選択肢を持ってしまいがちな故怪しい対応になってしまうのが日本代表の吉田らにも通じるボランチからの転向組です。

攻撃面での質的優位を取って起用したものの失点場面では守備面でのマイナスが出てしまった恰好。


<『11対10の戦い』数的優位を活かすシティ>
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一方ペップのチームは局面局面で数的優位を上手く作り出して相手の守備を丁寧に剥がしていく攻撃に持ち味があります。
メッシの0トップも元々は中盤で数的優位を作り出すのがその目的でした。

ではペップがシティで作り出す数的優位は何か-

それはGKを本格的にフィールドプレイヤーとして活用するビルドアップです。
シティは攻撃時、積極的にGKのブラボも活用してビルドアップを行っていました。

【シティのGKを活用するビルドアップ配置図】
マンCGKつなぎ0917

シティのビルドアップに対し、ユナイテッドはルーニーがアンカーを見て両SH+イブラと4枚で4枚を見る4対4の構図に見えてシティはブラボも活用するので実は5対4の数的優位を作られてます。

その上、シティはユナイテッドの4バックを前線のワイドかCFが前残りになってピン止め。
その隙にシルバ、ノリート、ナチョらが入れ替わり立ち代り中盤の低い位置まで降りてくるのでユナイテッドのCBはそこまで深追い出来ないし、ルーニーら前線からすると背後から降りてくる技巧派達までケア出来ません。

ちょっと実際の試合からシティのGKを活用したビルドアップの場面を確認してみましょう。

【シティのGKを活用したビルドアップ】
GKつなぎ0917-1

局面はGKブラボからビルドアップを始める場面での両チームの配置
4対4に見えて5対4という構図ですね。

注目すべきはCBのストーンズがアンカーポジションに入ってアンカーのフェルナンジーニョがCBに降りてきているポジションチェンジ。
このカタチは過去バルサでもバイエルンでも見せなかったペップの新機軸です。

単にストーンズとフェルナンをケアしてきたモウへの対応なのか、実際にこのポジションチェンジ自体がこの試合で戦術的に何か大きな機能を果たしていたかと言うと必ずしもそうではないのですが、もしかしたらシーズンが進むにつれて何か新たしい発展系があるのかもしれません。


GKつなぎ0917-2

ブラボからフェルナンジーニョに展開されるとボールサイドでは画面には映っていませんがSBのコラロフがワイドで中途半端な位置を取っているのでムヒタリアンは思い切ってボールにアプローチ出来ません。

このボールサイドの局面だけ見るとユナイテッドは1対2で、シティから見ると2対1の数的優位を作り出せているのが分かります。


GKつなぎ0917-3

ムヒタリアンがボールに行けない隙を狙って今度はノリートとシルバがフェライーニの脇まで落ちてきます。
フェライーニからするとここでも1対2の数的不利を強いられていて思い切った守備が出来ません。


GKつなぎ0917-4

引いてボールを受けたノリートにSBのバレンシアが食いつくと今度は大外のコラロフへ

シティはビルドアップの始点でGKが作った数的優位を段階的にズラして活用し、ノーリスクで相手のアタッキングサードまでボールを運べてしまえるという訳ですね。
(実際に試合ではこの後方からのビルドアップで2点目を取っています)

つまり11対10(実質はイブラが守備でノー戦力なので9・5かな?ww)の構図こそが圧倒的シティペースで終わった前半の肝だったと見ます。


<モウリーニョの勝てるところで勝負する>

結局前半はお互いミスから1点を取り合い、その後シティが数的優位を活かして追加点、2-1で折り返す事に。

モウリーニョからすると苦戦の原因はハッキリしています。
自分達の質的優位が両サイドで確保できていない事、そしてGKから剥がされる相手のビルドアップです。

という事で選手のパフォーマンスが悪ければパーツ交換で対応。
ムヒタリアンとリンガードを下げてラッシュフォードとエレーラを投入します。

まずは両翼をラッシュフォードとルーニーに変えて両ワイドで質的優位を確保しました。
試合では入ってすぐのラッシュフォードが個人技でアドバンテージを握ると右サイドではクロッサーと化したルーニーがベッカムさながらの高精度クロスでイブラの空中戦を活かし始めます。

相手のビルドアップに対しては布陣を4-1-4-1にして前線を「3-1」から「4-1」の5枚にした事で
パスコースを消しながらGKブラボにもプレスをかけに行く守備に変更。
これでブラボから余裕を持ったビルドアップが出来なくなり、あわやGKでボールを奪われそうなシーンまで。

そして後半キックオフのいかにもモウリーニョらしいデザインプレーも秀逸でした。


【後半キックオフのデザインプレー】
後半キックオフ0917-1

局面は後半、今夏からのルール変更を利用してキックフからのボールをCBのブリントまで下げると
フェライーニとルーニーが右サイドでGO!


後半キックオフ0917-2

相手のSBとフェライーニをロングボールで競らせて落としたボールをサイドでルーニーが拾い⇒イブラへ高精度クロス

これで後半スタートのワンプレーで同点にしたろ!と狙っていたモウリーニョの完璧にデザインされたキックオフ。

前半は先制点を失うキッカケとなったブリントでしたが後半のキック&ラッシュ戦法ではロングボールの精度で大いに貢献していました。

後半のユナイテッドはこれを徹底的に繰り返し、まさに「勝てるポイントで殴り続ける」モウリーニョの真骨頂とも言える展開に。


又、↑の場面で注目したいのはフェライーニにシティのSBが競りに出た際、アンカーのフェルナンジーニョがDFラインに入って中を固めている点

まあ、アンカーポジションの鉄則とも言える動きですが、ただ実際にもしこれでクロスが上がってきた場合、
中でイブラと競るのがフェルナンジーニョではかなり不安があるなぁ・・・と思った矢先


後半動き0917-1

シティベンチでコーチと何やら話し込んでいるペップ

からの~


後半動き0917-2
3分後にはもうフェルナンド用意しとる!


これでアンカーにフェルナンドを入れてユナイテッドのキック&ラッシュにも空中戦で対抗出来るように高さを確保・・・っていう意図は分かるんだけどこのベンチワークの早さは尋常じゃない!








これは本当にプレミアリーグの試合なのか・・・!?
IMG_7655.jpg



試合は後半、イブラ、フェライニ、ポグバに放り込んで凶悪なキック&ラッシュ戦法になった事でボールが落ち着かなくなるとペップもサネを投入してデブライネを1トップに。

前半の間受け&ワイドでポゼッションしようぜチームから完全に奪ったボールをカウンターで仕上げる編成にチェンジして逃げ切る、らしくない(?)試合巧者ぶりをペップが発揮してシティが快勝。


恐らくあと2ケ月遅かったら両チームの仕上がりもだいぶ違って全く別の内容になっていたと思うだけに
個人的には少々早すぎる巡り合わせとなった今回のマンチェスターダービー。

次回のダービーではプレミアの地からサッカー史を動かすような名試合を期待したい。









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『持たざる者達』の生存戦略~レスターとアトレチコの躍進を探る~

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<『持たざる者達』の生存戦略~レスターとアトレチコの躍進を探る~

さて、かなり久々の更新になります。

これまで散々ネタにしてきたラニエリに対し
昨年の11月ぐらいからずーっと焼き土下座機に乗って頭(こうべ)を垂れて続けてきたせいで
両腕がタイピング出来ないぐらいの火傷を負ってしまったからですね。

そろそろ古傷も癒えてきたので今回はラニエリへの謝罪の意も込めて誰も予想しなかったレスターの躍進と、
CLでバルサ、バイエルンを破り予想外のビッグイヤー王手をかけたアトレチコの戦術を取り上げてみたいと思います。


<10人ブロックの時代>

と言ってもこの2チームが執っている戦術時代は別段目新しいものではありません。
少なくとも本ブログでこれまで取り上げてきた革新性や変態心とは間逆の発想とも言えるでしょう。

レスターは勿論、アトレチコもリーガの2強やCLで対戦する欧州の列強と比べれば圧倒的弱者。
故に彼らの戦術は「弱者の兵法」であり、その最大の特徴は「全員守備」です。

「全員守備」「全員攻撃」なんてものはもはや現代サッカーでは極ありふれた陳腐な表現ですが
彼らの強さは文字通り、本当の意味で「全員で守備」をするところにあります。


その意味を探る前に彼らの守備を現代サッカー史の流れから考えてみたいと思います。
90年代のサッカーは「8人ブロック」の時代でした。
サッキの登場以降、いわゆる4-4-2が世界中に浸透し守備時は4×4の2ブロックを形成して守るので
相手ボール時守備に思い切りリソースを割く人員の数が「8枚」という意味です。

これが2000年代に入ると4-2-3-1が主流になり、守備時は1トップを残して9枚が守備に参加する時代に突入しました。
代表的なのは4×4ブロックの前でブスケスをフリーにしてしまうとバルサに好き勝手されてしまうのでここに「+1」でマークを置く4-4-1ブロックのイメージですね。

そして2010年代に入り、CBの攻撃力向上、アンカーをDFラインに落としたビルドアップなど進化した攻撃戦術がテンプレ化されていくと特に質の高いタレントを揃えたビッグクラブ相手には9枚守備でも守りきるのが難しい時代になってきました。

そこでもう1枚、つまりフィールドプレイヤー全員で守備ブロックを形成する「10人ブロック」の代表例として
レスターとアトレチコの存在は時代の必然とも言える流れで捉えるとよりしっくり来るのではないでしょうか。


では実際の試合からレスターの10枚守備を検証してみましょう。

【レスターの4-4-2】
レスター442-1
局面は自陣で4×4のブロックを形成するレスター

従来の4×4ブロックの泣き所は2ラインの前でボランチに持たれて、そこからバイタルへタテパスを入れられた瞬間のモロさにありました。


レスター442-2
ここでも相手は定石通りボランチを使って打開を図りますが、そこに背後から猛烈な勢いでプレスバックする我らがザキオカ


レスター442-3
前を向けなかったボランチがたまらずボールをSBへ返す


レスター442-4
ボールはSB経由でもう1枚のボランチへ

ここで4×4で守る側としてされたらキツイ攻め筋が逆サイドへのサイドチェンジ。
長い距離の横スライドはブロックに隙が出来やすく、逆サイドはスペースがあるので攻撃側が圧倒的に優位です。
(今季のバイエルンだとこの攻め筋から逆サイドでDコスタ、ロッベン、リベリーが仕掛ける鬼)


レスター442-5
そこでヴァーディーですよ。
ここに2トップのFWがプレスバックして逆サイドへのパスルート切ってくれたら4×4の2ラインはどれだけ楽か。
結局サイドチェンジをさせなかった事でこの後レスターがボールを奪う事に成功。

4×4の2ラインに2トップのハードワークが加わって10人が守備で機能している事がレスターの堅守を支えています。
特に一度も横スライドをせずに相手の攻撃を左サイドだけで抑え込んだ守備がポイント。


しかしもしかするとこれだけでは10人守備の堅さがいまいちピンとこない方もいるかもしれません。

次はサッカーにおいて「横スライド」の有無がどれだけチームの守備力に影響するかという事がよく分かる例を見ていきましょう。
駄目な守備の見本として今季のRマドリーの守備を取り上げるのでレスターの守備との比較で見ていくと面白いかと思います。

【Rマドリーの揺さぶられる守備】
ヴォルフ1
試合はCLヴォルフスブルク戦から。
右から左へ攻めるヴォルフスブルクに対してのマドリーの守備を見ていきます。
局面は先ほどのレスターの展開と一緒でSBからボランチがボールを受けたところですがCFのベンゼマは横で見ているだけです。

これだと当然ボランチが楽に前を向けるのでまずは1回目のサイドチェンジでボールは逆サイドへ


ヴォルフ2
この横パスの間にRマドリーは何とか自陣で4×3の2ラインを形成。

この試合のマドリーの布陣は4-3-3なので4×3のブロックが基本になります。


ヴォルフ3
しかしモドリッチの守備力では仕掛けられた時に無力過ぎるのでここでも楽にカットインを許すと
カゼミーロはかろうじてカバーに入って中を閉めていますが横のクロースは棒立ち

したがって逆サイドへのパスコースが全く切れていません。
ボールは再び右サイドへ-


ヴォルフ4
守る側からすると横の揺さぶりでスライドが繰り返されると何がキツイって
視野がボールの動きを追うのに手一杯でマークを捕まえるのが難しく、
かと言って逆サイドのボールには必ず1枚はアプローチしないといけないので段々とブロックに隙間が出来てしまう事。

↑の場面でも注目して欲しいのはマドリーのDF陣が全員ボールの動きを追ってボールウォッチャーになっています。
しかもSBのマルセロがアプローチに出て行った後の中途半端なスライドのせいでCBとCBの間に恰好のスペースが。
これをボールウォッチャーになっているCBの背後から前を取るのはさほど難しい事ではありません。


ヴォルフ5
アッーー!!


一連の攻撃を遡るとボールが右⇒左⇒右⇒左でGOALという流れですが、
横の揺さぶりがどれだけ守備の強度に影響するかというのがよく分かる場面だったと思います。



<「7人守備」と「10人守備」の二極化>
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一方、アトレティコの守備はもっと割り切って2トップを守備ブロックに組み込んでいます。
相手が自陣で持っている時にチャンスと見れば前プレをかける一方、
奪うのが難しいと判断すればすぐさま自陣に撤退して10人で強固な守備ブロックを形成。

【アトレチコの自陣撤退10人ブロック】
アトレ442
自陣ゴール前で鬼の4-4-2!
2トップが相手の中盤にファーストプレスをかけるのでDFはおろかボランチを引きずり出すのさえ一苦労する完全リトリートブロック。

これ崩せるチームいるの・・・?(笑)


ブロックの堅さはイコール密度と言い変えてもいいので理論上、フィールドプレイヤー10人のサッカーではこれが最強です。

そして、これと対極を成すのが今季の「MSNバルサ」。
(通称ウイイレサッカー)

ではブロック守備における密度の重要さを検証する為に
実際の試合からアトレティコの対極にいるバルサの「7人守備」を検証してみましょう。


【バルサの貴族守備】
バル433-1
試合はCLのアトレチコ戦から。
局面は自陣でブロック・・・・らしきものを作っているバルサ。

マドリーと同じく4-3-3・・・のようなものを形成していますがMとSとNはどちらかというと傍観者と言った方が近いでしょう。
中盤を3枚で形成する4-3-3のウイークは横幅68Mを3枚だとスライドしきれずに逆サイドが空いてしまう・・・というのが定説ですが、このシーンだともはや真ん中がズコーッと空いてしまっとりますがな。
(普通はラキティッチとメッシの間のスペースが泣き所になる)

要するにアトレチコの4-4-2と比べてブロックの強度(密度)が偽装建築ばりにスッカスカやないか!という話。


バルサ433-2
当然アトレチコがこのスペースを見逃すはずもなく。
ここのタテパスを入れられたら対応するのはCBしかいません。⇒ピケ突撃


バルサ433-3
アッーーー!!
(本日二度目)

角度を変えてもう一度


バルサ433-4
ブロック守備の弱点は一つの小さな穴が最終的に大きな穴となって失点につながりうるという事。
(バルサキラーの王子にこれだけのスペース与えちゃったらね・・・)

3トップが守備をしない

中盤のスライド負担倍増

スライドが甘くなって中盤に穴が開く

穴を塞ぐ為にCB突撃

最終ラインに穴が開く


という構図ですね。

故に守備の密度が重要で時代の流れが「10人守備」を生んだのは必然としても
一方でバルサのようなタレントを抱えるチームは「7人守備」というまるで貴族のような守備を謳歌しているのが格差時代の実情です。
(それでもバルサやマドリーは「肉を切らせて骨を断つ」カウンター合戦に持ち込めば決定力の差がものをいって年間収支で大幅プラスというリア充っぷり)


<『持たざる者達』の生存戦略>

このように平面的な戦術論で彼らのスキームを探っていくと、ともすればみんなが頑張っているだけで特段凄い事をしている訳ではないとも捉えられてしまうのですが
もう一つ違った側面で彼らのとった戦術を考えていくと非常に合理的である事も分かります。

その視点とは「経済的」な側面で、言うまでも無くレスターはプレミアリーグの中でも予算の限られた『持たざる者』ですが
彼らのような弱者がアップセットを起こせるようなチーム編成とは何か?を考えてみると一つの戦略が浮かび上がってきます。

ポイントはどこで予算を抑えて、どこに投資するか?


【DF】
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まずDF陣の編成。
昨今「ハイライン&ハイプレス」戦術がトレンドとなり、それに合わせて「攻撃の起点となるCB」の市場価値がますます高まっていく中、同じ土俵で選手獲得競争をしていては勝ち目は100%ありません。

そこでCBには「ハイライン」と「攻撃の起点」を捨てる事でスピードが無く足元の弱いCBであれば比較的安値で取って来る事が可能。
ターゲットは時代に取り残された昔堅気の「不器用だけど跳ね返す仕事に専念させたら無敵」というストッパータイプだったらどうでしょうか?

もし生まれた時代が違えば、例えば90年代までであれば一線級で戦えたはずの「忘れられたストッパー」はこの時代にも確実にいます。
プレミアで一度は失格の烙印を押されたフートやアトレチコのゴディンがこのタイプなのは決して偶然ではありません。

過去、ビラスボアスがチェルシーで、ロジャースがリバプールで近代的なサッカーを実現しようと試みたものの、
手駒のCBが前時代タイプだった為に無理に上げたラインの裏を突かれ、ビルドアップでは自滅し、散々たる結果だったのは記憶に新しいところ。

しかしレスターやアトレチコは持ち駒に合わせた戦術をとれるので、
「だったらラインも上げずに、無理して繋がなくてもええやん」という割り切りが可能。


SBも攻撃力を売りにした点に絡める攻撃的SBは人気銘柄なので、
ハードワークと安定感が売りのどちらかと言うと地味なSBが理想。
元々リスクを冒さない4バックがチーム戦術になるのでニーズとも合致します。

フェリペルイスが今季チェルシーとアトレティコで見せた輝きの違いを見れば要は適材適所っていう事ですな。


【MF】
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ボランチは「ボールを持っている時」に仕事をする司令塔タイプが市場の主役なので
「ボールを持っていない時」に仕事をするファイタータイプを並べます。

その意味でカンテは理想的ですがフランスサッカーは元々マケレレを筆頭に
この手のタイプをボランチに置くのが古くからの文化として定着しているので
「無名のマケレレ」を探すという意味ではスカウティング的にも正解です。
(マチュイーディ、エッシェン、ディアラの系譜)

そして現にマケレレを過小評価していた世界的なクラブが過去あったように(尚、いまだに反省はしてない模様)
この手のタイプは実際の価値より市場価格が低くなっているのも魅力。


【ボールの運び屋(SH&WG)】
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実はここがこの戦術のキーポジションになります。
10人の撤退守備戦術における最大の弱点はボールの回収地点が低くなるという事。
仮に自陣でボールが奪えても相手ゴールまでボールを運べなければ攻撃が成立しないというジレンマが解消出来ず
多くの「持たざるクラブ」がただベタ引きするだけのジリ貧サッカーに陥ってしまうのです。

レスターとアトレティコがその点、他と一線を画すのはここに一点集中の投資を行い
長い距離を単独でボールを運べるタレントを擁している事。
レスターならマフレズであり、アトレティコならグリーズマンやカラスコ、元アルダの役割ですね。

移籍市場でのポイントは多少戦術的には荒削りでも「個でサッカーをするタイプ」で構わないという割り切りが出来る点です。
攻撃に余計な人数をかけて失った時のリスクを冒したくないので、個で仕掛けてくれるのはチームの戦術的なニーズとも合致するという訳ですな。
仮に3回に2回失っても、はなからカウンターに人数を投下していないのでまた自陣で跳ね返せばいいという割り切りが弱者の強みと言えるでしょう。


【点取り屋(FW)】
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多くのクラブが最も大金をつぎこむストライカーにはそれほどお金をかける必要はありません。
というより・・・かけようがないのが現実です。

どういう事かと言うと「得点」というハッキリした指標に対し有能な選手はすでに適正な市場価値がついているので
「持たざるクラブ」はどっちにしろ獲れないという現実がある訳で。

なのでここはもう無名の掘り出し物を発掘してきて自前でブレイクさせるしかないというのが
ヴァーディ、ジエゴコスタらの例でもよく分かると思います。

クラブのスカウト力とある程度の「運」も必要なのは致し方ないとして
ブレイクするとすぐに引っこ抜かれるのが悩みどころ。


今後サッカー界でもますます広がっていくであろう「格差時代」の中、
時代のトレンドと敢えて逆をいく事で戦力補強でも市場価値を逆手に取り
たくましく強者と渡り合う彼らの「生存戦略」をそこに見た思いです。








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浪漫主義を貫くベンゲルと現実に寄せたロジャース ~アーセナル×リバプール~

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<浪漫主義を貫くベンゲルと現実に寄せたロジャース>
~アーセナル×リバプール~

今日はプレミア屈指の浪漫主義者であるベンゲルとロジャースの対決をレビューします。
ま、ミッドウィーク開催(?)だったんでネタの鮮度的にはギリギリOKでしょう(笑)

前回のチェルシーとシティに続いて、今回この2チームをフォローしておけばプレミアはOK感もありますし。
(マンUファン「香川とモイモイいなくなってから冷た過ぎやしませんか・・・?」)

そもそも昨年、モウリーニョの独走を許したのはベンゲル、ロジャース、ペジェグリーニと
ライバル達がそろいも揃って「相手なんて関係ネェ!サッカーはポゼし倒しもん勝ち!」っていう思想の持ち主だったんで
彼らが壮大な未来構想やら設計図やら無駄に高額の屋根をつけるとかつけないとかやってる間に
モウリーニョは基礎工事終わらせていたぞ・・・ってなシーズンだった訳ですね(笑)

まあでも嫌いじゃないですよ、彼らみたいなタイプも。
だからこの試合のピッチにバスは留まらないだろうし、バカ試合の期待もあるぞ・・っていうカードです。


<MF王国に守護神がやってきた!>
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ベンゲル「今季の補強はMFとMF、そして最後にMFを加える予定だ!(ドーン)」

例年こんな感じで多くのグーナーをゲンナリ(そして一部のドMグーナーを歓喜)させてきたベンゲル。
今季を迎える前の段階でも既にチームにはエジル、カソルラ、ラムジー、ウィルシャー、アルテタ、ロシツキー、チェンバレンと彼のコレクションでMFはパンパンの状態です。

個人的には今季更にこれを推し進めてそろそろラムジーあたりにGKやらせる頃合いかと思ってたんですが(ユーティリティーだし出来んだろ)、完全にアテが外れました。

昨季は中盤に守備の出来るアンカー(コクラン)を補強したと思ったら今季はGKにツェフを補強ですって・・・!?


つ・・・遂にベンゲルがサッカーにMF以外のポジションもある事を気付いてしまったかーー!!


実は過去このチームの歴史を振り返ってもGシルバ、エドゥ、フラミニ、ソングと守備を引き締める選手がいる時のアーセナルは勝てるんですけどね。
問題は指揮官がそういった駒達を次々と売っ払っちゃう事なんだけど(爆)

そんな訳で中盤の底にコクラン、ゴールマウスにツェフが控える今季のアーセナルは侮れないぞ・・・と思うのです。
しかし、この試合ではキッチリ帳尻を合わせてきたわけでもないでしょうが、チーム事情によりCBはチェンバースとガブリエルの若手コンビに託されました。


対するリバプールはチームのレジェンド・ジェラードとチームの未来スターリングがチームを去りました。
かつてSASと言われた流動性溢れる攻撃陣がプレミアを席巻したのが遥か昔のよう、
一時はバロテッリだランバートだと何を血迷ったか自ら電柱を買い求めた挙句に攻撃を硬直化させるなどチームとロジャースは迷走の一途。

今季もベンテケ、フィルミーノ、ミルナーあたりは確かに悪い選手じゃありませんよ?


でもこれ・・・・・明らかに中位クラスの補強だよね?

果たしてリバプールが今季スポットを浴びる瞬間は来るのだろうか・・・ちょっと心配になる陣容である。


<ロジャース『浪漫主義から・・・ワタシ、卒業します!』>

さあ、どんな打ち合いが見られるか?と期待した試合だったが蓋を開けてみて驚いた。

リバプールがベタ引きなのである。


【リバプールの撤退4-1-4-1】
リバ4141-0829
うーむ・・・さすがのロジャースも今季は相当追い詰められとるな。

是が非でも結果を出さないと確かにラストシーズンだもんな。


問題はこのチームはもうコウチーニョ無双に託すしかないのに
自陣に撤退した4-1-4-1だと肝心のコウチーニョが相手のワイドを気にしてこの位置まで下がってこないといけないってところ。

【コウチーニョのポジショニング】
コウチ0829-1

逆サイドからのクロスに自陣ゴール前まで絞って守るってこれじゃまるでモウナチオのポジショニングですよね。



【モウナチオにおける両SHのポジショニング 】
soto-0830.jpg

モウリーニョだったらこれでいいと思うんですよ。毎度これでベンゲルは料理してきましたし。
(ただ、今季のアザールは絶対ここまで帰ってこないよね?)


でもコウチーニョなんて本当はカウンターの起点にしたいんだろうけど
ここまで下げちゃうとリバプールの攻撃は1トップのベンテケにタテポンしかなくなる訳で。

実際に序盤のリバプールにとって唯一の攻め筋がベンテケにドーン!と蹴ってキープしてもらって
その間に右SBクラインが駆け上がるとサイドに展開⇒クロスっていうプレミア版プロビンチャみたいな戦い方(笑)

でもこのクラインの絶妙のタイミングを感じ取る攻撃参加と中がベンテケ1枚でもピンポイントでクロス上げられるんで
何となく形になってるっていうww
さすが現在、プレミアナンバー1の右SBやな!(これは間違いなく良い補強)


ただ、それ以上にこんな旧式タテポン戦法が通用したのはアーセナルの急造CBの方に原因があります。


【アーセナルの急造CBコンビ】
オフサイ0829-1
局面は右から左へ攻めるリバプール。中盤でセカンドボールを拾ったミルナーが前線のベンテケを狙う瞬間ですが、
ベンテケはこういう時にDFと駆け引きをして抜け出すみたいな狡猾さが全くないので(アグエロの動き出しと比べれば一目瞭然)
なんかもうボールしか見てないからオフサイドラインとか全然気にしてない風なんですよね(笑)

なもんで、こんなのはラインコントロールで一発退治出来るんですが・・・



オフサイ0829-2
このタテパスでオフサイド取れないもんかねー(^^;

こんなのボールサイドのCB(ガブリエル)にラインを合わせるっていう基本だけ抑えておけば・・・




オフサイ0829-3
余裕で取れてるでしょ

チェンバースもベンテケを気にしてカバーポジションの深みを取ったんだとしても
結局ボールサイドにスライド出来てないから全然ボールにアプローチ出来てないし。

もうね、アーセナルのDFラインにはセリエAのラインコントロールでもDVDに編集して見せるべき(笑)
(勿論、去年のエンポリな!ww)


ベンゲル『それよりこのポゼッションのDVDを見てくれ、ほらワンタッチパスが6本もry・・・』


お前もな・・・!!www



他にもやっぱり急造CBと新加入のツェフとの連携というか信頼関係構築はまだまだっていうのが試合を見てて随所に感じられました。

例えばこんなシーン↓

バックパス0829-1]
局面はこれ、アーセナルのCKの跳ね返りを拾ったミルナーからまたもやタテポン!って場面なんですけど。
アーセナルは自分達のCKでは前残りのベンテケ1枚に対してSB2枚を自陣に残した配置で対応しています。


バックパス0829-2
いやいや、全然2枚でベンテケをプロテクト出来てませんやん・・・!!
これじゃせっかく2対1の数的優位を作ってても意味ないですって!

そもそも敵陣で2枚が変にラインみたく平行に並んだところでオフサイド取れないですから!!(笑)

素直にベジェリンは絞りながら深みをとってカバーポジションにいて下さい。

じゃないと・・・


バックパス0829-3
毎回、このタテポン1発でヒヤヒヤさせられるのってどうなの・・?(笑)

一部のガナーズ「このスリルが病みつきになるんだよなー」



バックパス0829-4
結局最後はベジェリンがタッチラインに蹴り出しましたけど、これだってツェフにバックパスすれば済む場面だったんじゃないかと。

なんかアーセナルの後ろの方は全員ポジショニングが怪しすぎなんですよね(爆)

確かにこれが浪漫主義一徹の代償みたいなもんなんですけど、
これだったらロジャースの現実的なサッカーの方が効率よかったりして・・・?

ロジャース「やっぱ引いてタテポン最高!」


<ブロック崩しなら御手のもの>

ただ試合は当然ながらアーセナルがボールを握る展開になります。
問題はボールを譲ったリバプールがにわか仕込みのブロック守備でアーセナルをシャットアウト出来るかどうか。

リバプールは明らかにいつもと違うよそ行きのサッカーですが、
アーセナルからしたらボールを譲られて引いたブロック崩しの展開というのは普段着のサッカーです。


【引いたブロックはこう崩せ!】
ラムジーゴール0829-1

局面はペナルティエリア手前に2ラインを引いたリバプールのブロックの外からカソルラがスルーパスを狙う場面です。

カソルラから裏を狙うラムジーの間にはリバプールの選手が最低でも3~4枚いますが、果たしてこれを通せるのか・・・?



ラムジーゴール0829-2

スパッと通したーー!!SUGEEEE!!!


ベンゲル『ンギモヂイイイイ・・・!!!』




ラムジーゴール0829-3
ピッピー!!オフサイド

嘘やん・・・完璧な崩しやん。

いやこの際、ライン出てたかどうかなんてもうどうでもよくて、
その旗1本でこの美しいゴールが取り消される事が許せん(笑)


おっと・・・つい私情を挟んでしまいました。(^^;

要するにニワカ仕込みのブロックディフェンスなんて、いくらでもその外から崩せてしまうアーセナル。

ただ散々崩して、最後は華麗に外すという様式美も健在で圧倒的に試合を支配しながら
たまにスコア表示にチラッと目をやるとまだ0-0という不思議な現実がそこにあります。

リバプールは単発のベンテケ頼みもさすがに苦しくなってきました。

やはりコウチーニョ無双なくしてこのチームの攻撃は成り立たん・・・。


<無双スイッチ 押せないなら押させよう>

しかしロジャースはロジャースで、いつもの組み立てを半ば放棄してもまだ
攻撃の可能性はある・・・と踏んでいたんじゃないでしょうか。

リバプールの守備は自陣近くまで運ばれたら一旦リトリートする一方で
アーセナルがGKや最後尾からビルドアップする場面では一転していつもの前プレを発動。

標的はアーセナルのDF陣で、ここにプレッシャーをかける事でショートカウンターの可能性を感じていたんだと思います。


【アーセナルのビルドアップ対リバプールの前プレ】
前プレ0829-1

局面はアーセナルの左から右へ攻めるアーセナルのビルドアップ。
若きCBのチェンバースがボールを運んでいるところにリバプールが前プレをかける場面

リバプールは中のコースを切りながら寄せて次のパスコースをSBに限定させています。


前プレ0829-2

注文通りSBのベジェリンに出させたところをコウチーニョが狙っていました。


前プレ0829-3

インターセプトからコウチーニョ無双発動!

これにはコクランが寄せますが、するとその背後を狙うミルナーのランニングに付いていける中盤の選手がアーセナルにはいません。

しかもアーセナルの最終ラインは相変わらず変なギャップが出来ており、ミルナーにはオフサイドにならずに抜け出せるスペースがありました。


前プレ0829-4

インターセプトからコウチーニョのスルーパス一発でこのシーンを作られてしまうアーセナルの苦しさよ・・・(^^;

要するにアーセナルにとっての最終防波堤って、ほぼ中盤の番人であるコクランであって
そこを突破されたらあとはもう神頼みって感じなんですよね(笑)
(せめてコシエルニーがいれば・・・)

ロジャースとしてはこれがあるからこの日のプランも成り立つ訳で。

続いてこんなシーンも↓


自陣ミス0829-1

こちらも同様に自陣から運ぶチェンバースにプレス!


自陣ミス0829-2

チェンバースからの横パスを引っ掛けてインターセプト成功。
そのままサイドに持ち込んで・・・


自陣ミス0829-3

リバプールはショートカウンターからクロスのチャンスだけど
いかんせん前に人数はかけてないので中はベンテケ1枚。

数的優位のアーセナルはこの1枚さえ、中でしっかり捕まえておけば問題無い場面だったんですが・・・


自陣ミス0829-4
やっぱ捕まえ切れんか~!

ベンゲル「オワタ!\(^o^)/|」


自陣ミス0829-5
神『今季は俺がゴールマウスにいるぜ…!』


ロジャース「去年までだったら決まってた」

レッズサポ一同「ポーランド人だったら入ってたな」

ガナーズファン一同「間違い無い」


試合は結局、内容だけ見るとアーセナルの攻撃力がリバプールのにわか仕込みブロックを上回ってチャンスを量産、
その一方でリバプールの前プレがアーセナルの拙いビルドアップをかっさらってショートカウンター量産、
・・・・で、結局両チームGKの美技連発でバカ試合なのに最終スコアは0-0というセリエAでは絶対に見られないゲームになりました(笑)


アーセナルはこれでコシエルニー&メルテザッカーのレギュラーCB陣が戻ってくれば面白いなと思わせる出だし。

リバプールはすっかり中堅クラブみたいになっちまってますけど、
ロジャースもビッグクラブのプレッシャーで縮こまらせるぐらいならもう一度スウォンジーみたいなクラブで
じっくり理想を追ってもらいたいなーと思う次第。




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脱モウナチオ? モウリーニョのネクストステージ ~マンチェスターC×チェルシー~

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<脱モウナチオ? モウリーニョのネクストステージ>
~マンチェスターC×チェルシー~


今日は記念すべき2015/16シーズン一発目のマッチレビューをUPします。

カードはもちろん、先日どっかのブログで「今季は無い(キリッ!)」と言われたシティが
「今季もこのチームが引っ張る(キリッ!)」と豪語されたチェルシーをチンチンにやっつけた試合ですね(笑)

ではまず試合を振り返る前に昨季~今季に到るまでのディフェンディングチャンピン、チェルシーのこれまでを振り返ってみたいと思います。
(実は昨季、一度もチェルシーには触れてなかったので・・・)


<モウリーニョがセスクを望んだ理由>
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昨季から現在に至るチェルシーを振り返った時、一番のトピックとなるのはやはりセスクの加入です。

この移籍を最初に聞いた時「モウリーニョのサッカーに必要か?」と個人的には思った記憶があります。
そして「これでマタに続きオスカルが干されるのか・・・」と使われるポジションもてっきりトップ下だとばかり思っていたので
まさかモウリーニョがセスクみたいな駒をボランチで起用するとはちょっと意外でした。

というのもこれまでのモウリーニョサッカーにおけるテンプレ型では
少なくともセスクの居場所はトップ下しかなかったはずなんです。

【モウリーニョサッカーのテンプレイメージ】
moufome2.jpg

大体モウリーニョのチームって、こういう型に手持ちの駒を当てはめていくイメージだと思うんですけども(笑)

モウリーニョのフォーメーションは基本的にはポジション固定型でボールを失った時のリスクマネージメントという意味でも特に4バック+2ボランチには「そこにいろ!」っていうタイプです。
大雑把に言ってしまえば後ろは6枚残して、攻撃は前の3~4枚で取ってこい!のイメージですね。
(レアルの3年目あたりからは流動性にも手を付け始めましたが)

第一期チェルシーまでは4-3-3だったのでランパードは普通に攻撃OKでしたが
それにしたって脇を固めるのがあのマケレレとエッシェンでしたからね・・・(^^;
(中盤2枚で全域カバー出来る反則コンビだろww)


故にモウリーニョのチームって就任1~2年目で守備組織構築とカウンター精度の向上までは恐ろしい速さと精密さでもって仕上げるんですが
相手にベタ引きされた時に手詰まりになって3年目あたりで次のチームへ・・・ってのを繰り返してきました。


だからこそ「飛び出しとポジションの流動性」を武器にするセスクをこの型にハメ込むとしたらトップ下しかねえだろう・・・と。

ところが蓋を開けてみると昨季のチェルシーはボランチにセスクを起用しただけでなく「3列目からの飛び出し」も免除した事で
特に守りを固めてくる格下相手に「前線の4枚+セスクの飛び出し」が効きまくってアシストを量産。

一方で同格以上が相手となるビッグマッチやCLでは一転してモウナチオ発動でセスクをトップ下に移したりのバランス調整もしながら手堅く勝ち点をもぎ取る二刀流でプレミアリーグは独走優勝でした。

つまりモウリーニョはモウナチオの限界を超える為の次の一手として「ボランチ・セスク」を獲得し、見事それを成果につなげたという訳ですね。


<横綱チェルシーのゲームプラン>

そんな流れで迎えた今季最初のビッグマッチが早くも第2節で実現。

チェルシー×シティ

ちなみに昨季のこのカードは2戦とも1-1のドローでチェルシーはカウンター中心のビッグゲーム仕様。
セスクはホームは怪我で欠場(ボランチはラミレス+マティッチ)、アウェイではボランチスタートでしたが、
途中で「やっぱシティ相手には守備のリスクが高い」とばかりにミケルがボランチに入ってトップ下に移っています。

この試合で再びボランチ起用というのは王者の余裕なのか、シティ相手にもある程度ボールとゲームを支配して横綱相撲で勝つ!というゲームプランなのか。

一方のシティは左SHに95億円とも言われる無駄な大金叩いてリバプールから加入したスターリングが先発。
これに伴いシルバがいつもの左からどうやら今季はトップ下に固定されそうな気配。


繰り返すようですがチェルシーはボランチにセスクを置いたからには
自分達でボールを支配しないとそのメリットは活きてこないし、飛び出しを禁止して自陣のバイタルを埋めるのであればよっぽどミケルあたりを使った方が有益ですからね。


<解き放たれたシルバ>

次にシティの視点に立ってこの試合を観れば、主導権を握れるかどうかはシルバの出来次第となります。
まあ、このチームの場合、別にこの試合に限った話でもないんですが(笑)

ペジェグリーニとすればシルバを左ではなくトップ下に使ったのはあくまでスターリング加入という
自チームの事情によるものなのですが、結果的にこれが功を奏したと見ます。

シルバがトップ下に移ったという事はマッチアップするのはチェルシーのボランチという事になる訳ですね。

キックオフから僅か30秒、この試合を象徴するシーンが早くも顕在化しました。

sesuku0820-1.jpg

局面は左から右へと攻めるシティ。中盤でシルバがボールを受ける場面です。
チェルシーからすると、ここで簡単にシルバに前を向かれては試合にならないので
当然、背後からボランチのセスクが潰しに向かいます。


sesuku0820-2.jpg

結果、ファーストタッチで軽くいなされてターンを決められてしまいました。
セスクはほぼ無抵抗(笑)


sesuku0820-3.jpg

ここでシルバにフリーで前を向かれるという事はこういう場面に繋がる事を意味します。

チェルシーのDF陣から見るとボールにプレッシャーがかかっていない状態で、中途半端にラインは高い状態。
おあつらえ向きに空いた裏のスペースに解き放たれたチーターのように走り出すのはアグエロで
それをヨーイドン!で追うのがテリーとケーヒルのオッサン2人という按配。

ベゴビッチ「ちょ・・・wwww」

結果は誰もが想像した通りシルバからのスルーパス1本であっという間にGKと1対1という場面を作られてしまいます。

このスタートの1シーンを見ただけでおおまかな今日の展開は読めた感じですが
ここから過酷なベゴビッチのシュート練習が幕を開けました。

シティからしてもこのワンプレーで狙いがハッキリした感有り。
セスクのエリアでボールを受けて、ここを起点に崩す。


バイタル空け0820-0

このシーンなんかはシルバがトップ下の位置から明らかに狙ってセスクの前に入って来てボールを受けてます。


バイタル空け0820-1

そんでセスクを食い付かせて簡単にサイドへはたくと・・・


バイタル空け0820-2

空けたバイタルにスターリングを侵入させるという流れ。


更にシティはヤヤトゥーレまで高い位置に加勢させると一気に攻勢を強めていきます。

シルバ間受け0820-1

局面はこれも左から右へ攻めるシティのビルドアップ。
ヤヤトゥーレが高い位置を取っているのでマティッチがこれをケアしていますが、するとその背後をシルバが狙っているという形


シルバ間受け0820-2

狙い通り、マッティチの脇でシルバが受ける流れ。
ここでシルバの怖いところは中盤の横スライドが間に合う前にファーストタッチで前を向けちゃうところですね。
チェルシーからすると攻撃方向に背を向けたまま足元に止めてくれればマティッチのスライドも間に合うんですが・・・


シルバ間受け0820-3

で、ここから簡単にサイドのナバスへ展開。
ナバスはスペースをたっぷり傍受した状態でしかも前向きにスピードに乗ったまま1on1に突入出来ます。


う~ん、今時シティとやるのに「シルバが捕まえられません!」とか試合にならんだろうに(笑)
プレミア最高の間受け職人にここまで簡単に間受けされ放題じゃ失点は時間の問題でした。

しかもバイタルを制圧されるという事は↑の展開のようにサイドも同時に支配されるという事を意味します。
(守る方は後手を踏んで中を絞るしかないですからねぇ・・・)

シティは最初の1~2本のクロスこそ正攻法で上げて跳ね返されてましたが
すぐに低くて速いグラウンダーのクロスに狙いを変えてきました。

空中戦なら跳ね返せても、ボールとマークを同一視させながら
スペースに入れられたライナー性のクロスにアグエロとヨーイドン!して抑えろというのはテリーの老体には厳しい話。

チェルシーは中盤ではシルバに自由勝手にやられ、ゴール前ではアグエロを捕まえられないという惨状で先制点を許す苦しい展開。


ベンチワークを見ても・・・





エヴァいない
ハゲ『これアカンやん・・・』   助手『んー厳しい』

って・・・何だよこのムサ苦しいベンチはwwww

ピッチ上はグダグダだし、ベンチを抜いても華が無いとか、今日のチェルシー終わってるだろ(笑)


<兵長・・・復活>

さて、一方的にやられてきたチェルシーですが、手をこまねいて見ていた訳ではありません。
そもそもセスクのボランチ起用は攻撃面で主導権を握る為のものなのですから、こちらも反撃せねば。

兵長0820-1

局面は右から左へ攻めるチェルシー。
ヤヤとフェルナンジーニョの2ボランチを食いつかせながらワンタッチでボールをはたいてフリーのアザールへ


兵長0820-2

アザールから空けたバイタルに走りこむトップ下のウィリアンへ。


兵長0820-3
ウィリアン「よし!もろた! バイタルでどフリーや・・・!!」





o064004801370914409391.jpg
!!!????



兵長0820-4
コンパニ兵長『おとなしくしてろ・・・今ボールを削ぎ取ってやる』


兵長完全復活じゃないっすか(笑)

しかも兵長が復調すると不思議と周りのマンガラ、フェルナンジーニョ、ヤヤらも活き活きしてくるから面白いですね。
こうなったらシティは堅いよ。

そして試合はチェルシーのカウンターリスクだけが増大していくのであった。


【チェルシーのカウンターリスク】
セスク間受け0820-1

局面は右から左へ攻めるチェルシー。
セスクがボランチの位置から飛び出して間受けを狙っています。
当然です、その為のセスクですから。


セスク間受け0820-2

・・・が、この後横パスをカットされると1枚残りのマティッチの両脇をシルバとスターリングが抜けていきます。
その上、ボールに一番近いアザールがほとんどボールに寄せてないので出所もノープレッシャー。

いくら潰しが得意のマティッチと言えど、この状態での1対3では後退するしか選択肢がありませんでした。


セスク間受け0820-3

・・・んで、ズルズル後退している内に背後を通されて、またフリーでバイタル侵入されとる。

ケーヒル『テリー兵長、ヤツを迎撃して下さい・・・!!』


テリー『・・・・ゴメン、無理』


モウリーニョ(ありゃもう潮時か・・・)






テリー0820
『・・・・・・・・・・。』(チ~ン)
ミケル「どん・・・・マイケル」


<シティと同じ土俵に乗って惨敗>

後半、テリーに見切りをつけたモウリーニョがCBをズマに変えてから最終ラインはだいぶマシになりましたが中盤は相変わらず劣勢のまま。

まあ、単純にシルバ、フェルナンジーニョ、ヤヤトゥーレの3枚に対してセスク、マティッチ、ウィリアンじゃ分が悪かったというべきか。
加えてアザールは明らかに去年より守備しなくなりましたよね?

例えばこんなシーンです↓

アザール裏0820-1

局面は右から左へ攻めるシティを中盤で遅らせようとするチェルシーという構図です。

ウィリアンはボールの後ろまで戻ってきているのにアザールは完全に左サイドを放棄して前残りなので
チェルシーの中盤のバランスがいびつでサイドがガラ空きです。

当然、目ざといシルバはこのスペースを狙いますわな


アザール裏0820-2

シルバに展開されると左サイドでアスピリクエタは1対2の数的不利を強いられています。

レアル時代のロナウドのように戦術的にアザールを前残りにするというのなら分かりますが
中盤がそれに伴った守備の準備が出来ていないのを見ると、どうやらそういう訳でもなさそう。


試合はこの後、ナスリを投入して一層のボール支配を強めようというシティに対し
チェルシーはセスクを中盤に残したまま、ポゼッションの援護策とは間逆のドリブル兵器クアドラードとペナルティエリアの住人ファルカオを投入し、0-3で敗戦。


そもそもシティ相手に「ボールは譲ってスペースを支配する」といういつものアプローチではなく
同じ土俵に立って押し切ろうというゲームプランは果たして理に適ったものだったでしょうか?

同じメンバー構成でもせめて、セスクをトップ下にしてウィリアンをいつもの右SHに、ボランチはラミレスとマティッチという選択肢もあったのでは。


勿論モウリーニョの苦悩も分かります。
じゃあ、「それでプレミアは勝てても欧州は取れるのか・・・?」という問題がありますからね。

現状、プレミアで勝てるサッカーに寄せれば寄せるほどCLは遠のくというジレンマを抱えています。
CLは今、ボールとスペースの両方を同時に奪い合う戦いになってきており、
最初からどちらかを手放すというチームはますます勝ち抜くのが厳しいコンペティションになってきました。

ただ、モウリーニョのチェルシーがスペースだけでなくボールも支配下に置きたいなら
中盤でラミレス、ミケルあたりが普通に戦力になってるようでは厳しいし、
ボールを失った後の撤退守備一辺倒とこの試合でのアザールのような守備では攻守一体からは取り残されていきます。

セスクの活用法にしても、もう少し周囲に活かせる駒が欲しいよねー・・・と言おうとしたら既にペドロ獲得に向けて動いてるとか?


モウリーニョもこれまで散々バルサをバカにしといて、ここにきてバルサのカンテラから変態を集め出すとか・・・



もしかしてツンデレだったの!?www

あのペップとの壮絶な戦いは前フリ!??


恐らくモウリーニョの今季のテーマは『脱モウナチオ』として、これまでのカウンターの鋭さと守備の堅さを維持しながら
いかにバルサ方面からの変態エッセンスを融合させられるか・・・?これに懸かっていると見ます。


え?快勝したシティですか?

まあ、彼らは良くも悪くもいつも通りで、毎年シーズンの内に何試合かこういう会心のゲームはある訳で。
問題はこれが持続しない(特に格下相手)という事と相手が違うアプローチできても
今日のこのプラン一択しかないという潔さの方でね・・・(^^;




まあ、それよりも僕がこの試合で一番残念だったのは・・・チェルシーベンチが抜かれた時の絶望感な!

そりゃ0-3にもなりますって・・・OTL




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