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ドイツ優勝はフットボールの勝利 ~W杯決勝ドイツ×アルゼンチン~

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<ドイツ優勝はフットボールの勝利 ~W杯決勝 ドイツ×アルゼンチン~

いや~終わっちゃいましたねW杯。

意外な伏兵の躍進やエース不在と同時に衝撃の惨敗で大会を去ったブラジル、
攻守分断のアルゼンチンに5バックのオランダと色々トピックはありましたが最後に優勝したのがドイツというのは
フットボールの未来にとってもよい出来事だったのではないでしょうか。

では今回はこのW杯決勝をマッチレビューで振り返ってみたいと思います。


<トータルフットボール×キングダムフットボール>
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打倒王者スペインを目標にスペイン化を進めてきたレーブ政権化のドイツは
その本家グアルディオラがバイエルンの指揮官となった事である意味レーブとペップによる
トータルフットボールの合作のようなチーム。

片やアルゼンチンはメッシという個人の才能を最大限に活かす事から逆算して作られた王様の為のチーム。
すなわちキングダムフットボールですね。

ドイツのスタメンを見ていくと本来ラームをアンカーに置いてクロースとシュバインシュタイガーで組ませる事で
このサッカーに一番重要な中盤をそのままバイエルンメソッドで埋められるのが当然ベスト。

しかし、現実には両SBにこれといった駒がいないのでラームを本職の右SBで起用し、
左はCBのヘヴェテスを持ってくる事でラームが上がった際にCB3枚の3バックが敷けるという割り切った人選。
勿論、この鈍足3バックがあれだけ高いラインを敷けるのは怪物ノイアーのお陰ですけどね(^^;

加えて中盤から前は流動的なサッカーが出来る人材を集めたものの、結局エースはクローゼっていうところにドイツらしい名残りを感じさせるではないか。


対するアルゼンチンはアグエロとディマリアの状態が充分ではなくベンチスタートになった事で
ハッキリと「王様メッシと10人の労働者」という構図になりました。

王様とお付きのイグアインは守備免除の完全前残りで8人で守って2人で攻める攻守分業サッカーの清々しい事。

まあ、こういう飛び抜けた才能がいるチームには往々にして起こりがちなんですが、
思い返してみればマラドーナがいた頃のアルゼンチンも8人で守ってマラドーナ+バルダーノ(86)かマラドーナ+カニーヒア(90)だったしな…と(^^;

それでW杯ファイナルに2回辿り着いた訳ですし、3回目は「メッシ+イグアイン」であのトロフィーを掲げるってのもあながちない話ではないですよね(笑)


<バイタルエリアを巡る攻防>

試合は予想通りドイツがボールと主導権を握ってアルゼンチンが受ける形でスタート。
アルゼンチンの守備は4-4-2の3ラインというより4-4-0-2とも言える超間延び布陣なので
4-4の2ラインの前で常にシュバインシュタイガー、クロースがフリーでボールを持てるという異常な展開で試合は進んでいきます。

ペップイズム全開のドイツはこの2ラインの間(つまりバイタル)で間受けして中央突破から崩す攻撃がしたいチームなんですが、そんな事は百も承知のアルゼンチンも4-4の2ラインを中絞りにして入ってきたボールを囲い込んで奪い⇒後はメッシさんお願いしやす!とかえってやりたい事がハッキリした感も。

【4-4-0-2 アルゼンチンの狙い(守備)】
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アルゼンチンの4-4ブロックは外は捨てて中絞りの構え。
左SHのペレスも実質ボランチの役割なので中盤は3センター+SH(ラベッシ)に近い感じ。

ペナルティ手前にゾーンを敷いて横パスは静観するが、中に入ってくる敵は排除するぞ…と。

この場面ではボールを持ったクロースに対してプレーの選択肢を制限する為にまずビグリアがプレッシャーをかけ、残りは様子見の構え。


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クロースはこれをかわそうと中へドリブルで進入すると・・・


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EMERGENCY! 侵入者を排除シマス!!

中へ入って来る侵入者へはマスケラーノ、ペレス、ビグリアの3ボランチが囲い込んで瞬殺。
マスケラーノを中心としたこの3枚の殺傷能力は半端ないぞ…!(笑)


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ボールを奪ったら3バックで残っているドイツDFラインに対してメッシ、イグアインの2トップでカウンター発動!

特に左のフンメルスのところがメッシとミスマッチになっているので狙い目だと思います先生!!


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スピード勝負では全く話にならないフンメルスをメッシが二度三度置き去りにしてカウンターからチャンスを量産。
この割り切った狙いがアルゼンチンの作戦や…!!

まあ、ハッキリ言ってリケルメもベロンもアイマールもいない現在の構成力を考えたら中盤をパスで繋いで崩すのは無理なんですよね。
だからサベーラ監督からするとしっかりフットボールをして繋いで崩そうと出てきてくれるドイツみたいな相手はむしろ大歓迎で
ある意味「お前等もドン引き分業かYO・・・・!!」だった準決勝オランダの方がやりづらかったはず。


ところがこのアルゼンチンの狙いを察知したドイツもすかさず攻撃ルートを変えて中⇒中⇒中のルートから一度外のSBへ迂回させた中⇒外⇒中へ変更。

試合が動き始めます。


【攻撃ルートを変更したドイツ】
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局面は左から右へ攻めるドイツのビルドアップで、一度中に入れてまず一番厄介な排除者マスケラーノを食いつかせておく


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その上で大外のSB(ラーム)にボールを迂回させて・・・・


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狙い通り空けたバイタルでエジルの間受けやで!!

だがだがアルゼンチンもこれを放置しておく訳はない。
ドイツのルートが変更された事を察知した排除者マスケラーノはこれにすぐさま反応。


【マスケラーノの対応】
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局面は同じくドイツのビルドアップから。
ここではあまりシュバへ食いつかないで縦のコースだけ切っているマスケラーノ。

シュバは大外のSBラームへ展開。


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・・・で、ここでも同様に「外から中へ」のドイツ


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マスケラーノ「甘いわっ!!」

ん~、もう読み切って対応してきましたね・・・(^^;

バイタルエリアを巡る攻防、レベル高過ぎwwww


<間延び上等!アルゼンチンが決勝までこれた理由>
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そもそも何故こんな前時代的な攻守分断サッカーのアルゼンチンが決勝まで勝ち上がってこれたのでしょうか?

大会前はチームのアキレス腱と言われていたDF陣。
仮にアルゼンチンがドイツのようにDFラインを押し上げてコンパクトなサッカーを志向していたらおそらく大量失点で大会を去っていた事でしょう。
何故ならアルゼンチンのDFのクオリティでは横68M縦54Mの自陣全てをカバーする事は到底不可能だからです。

サベージ監督は手持ちのDF陣のクオリティを分かった上で
オールコートで相手とガップリ四つに組み合う戦いは諦め、ゴール前の局地戦で守る考え方にシフトしたのだと思います。

4×4のブロックを自陣前に敷いて中盤を捨て、中絞りにする事で両サイドも捨てました。
更に2トップは前残りにする事でコンパクトさも捨て、意図的に前線とDFが間延びする泥仕合に持ち込むのが彼らの狙いです。
そういう試合をさせたら個で守れるマスケラーノ、個で得点が取れるメッシ要するアルゼンチンに勝つのは容易ではありませんからね。

そして大会随一のモダンなサッカーを志向していたドイツが攻めあぐねた理由もまさにここにあります。


【アルゼンチンの局地戦 ハンドボールディフェンス】
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これがこの試合、アルゼンチンの基本的な守り方です。

中盤でボールを持つクロース、シュバインシュタイガーは捨てて自陣PA前に極めてコンパクトな4×4のブロックを敷き人海戦術で守ります。

ドイツはこの2ラインの間にボールを入れて崩す事を信条としてきたチームなので・・・


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意地でもバイタルへタテパスを入れてきますが、ミュラーの間受けレベルと小回り性能では
さすがにアルゼンチンの人海戦術の方が上回ります。

アルゼンチンのDF陣(特にCB)はスピードは無いのでラインは上げられませんが
入ってきたボールを潰す対人の強さは「さすがは南米」
しかもアンカーにはマスケラーノとかいう1人でボランチ、SB、CBの3役をこなしてしまう化け物までいますから。

この「中盤は捨ててゴール前の人海戦術で守る」やり方はどちらかというとハンドボールに近い考え方ですよね。
手でボールが扱えるハンドボールでは中盤でのインターセプトという概念が存在しないも同義なので
オールコートで守備をするのではなくゴール前にゾーンの人垣を作って守るんですが
ティキタカメソッドを身につけたドイツ代表はアルゼンチンからすれば「どうせ前から取りに行ったって取れっこない」相手。
ある意味、ハンドボールみたいなもんです。

だったら「待ちガイル」(えっ?20代には通用しないネタ?ww)で相手が来るのを待ち伏せたらいいってのがサベーラの考え方だったんじゃないでしょうか。
ある意味、コレがハマって決勝まで来ちゃったのがアルゼンチン。

そう、意図的に試合を間延びさせたらアルゼンチンのペースなのです。


<流動性が消えたドイツ>
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一方のドイツのこれまでの歩みですが、当初前線はミュラー、ゲッツェ、エジルの3トップで流動性溢れる攻撃を展開していました。

しかしスーパーサブの切り札として使ってきたクローゼの存在感が次第に光り始め
「やっぱドイツのエースはこの男やろ」という雰囲気になってきた頃からクローゼをCFに置いた3トップに変更されていきます。

これで、ゴール前のいるべきところにいる決定力は増した分、前線の流動性という点ではやや落ちた格好でしたが
この決勝戦は前半の30分にクラマーが負傷退場を余儀なくされた為、レーブはシュールレを投入し、布陣を4-2-3-1へ変更。

これで1トップのクローゼ、左SHのシュールレはガチガチの本職なので定位置固定。
更にこれまでサイドから中に入ったりと出入りがあったエジルが待望のトップ下に移った事でこちらもポジションは固定化。
結果、右SHのミュラーも他の3人が動かないので入り込むスペースがなく、半ば強制的に固定化されてしまいます。

こうなるとドイツの魅力でもあった流動性溢れる攻撃が硬直化し、アルゼンチンを守りやすくさせてしまったのも苦戦の一因と見ます。


<レーブの4×4ブロック崩し>

話を試合に戻しましょう。
中⇒外⇒中の攻撃ルートも次第にアルゼンチンに読まれ始めたドイツ。

レーブの次なる手はアルゼンチンの中絞り4×4ブロックそのものを崩しにかかる事。
現状、ドイツが攻めあぐねているこの試合の噛み合わせをピッチ全体像で見るとこんな感じ↓

【ドイツボール保持時の両チーム布陣図】
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アルゼンチンの2トップに3枚DFを残しているドイツは
アルゼンチンの4×4ブロックの手前まではクロース、シュバインシュタイガーがどフリーでボールを持てる状態。

代わりに3トップがアルゼンチンのブロックの中にすっぽり納まって、ここへ外からいくらボールを入れても8対3の数的不利なのでいくらなんでも苦しいものがあります。

そこでレーブはアルゼンチンが放置プレーにしている大外のSBをもう一つ高い位置まで上げて
アルゼンチンのSBにケアせざるを得ない状況を作り出そうと画策。

【SBを更に高い位置まで上げる】
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具体的には「世界ナンバー1右SB」のラームをアルゼンチンのSHの背中を取る位置まで上げると
さすがにラームをどフリーのまま即ゴール前へクロスを上げられる状態で放置しておく訳にはいかなくなったアルゼンチン。

レーブの狙い通り、SBロホがラームのケアに釣り出されると
空いたスペースをケアする為にマスケラーノがカバーに入る形へ。

これで4×4のブロックから5×3のブロックになり中へパスが通しやすくなります。
(強制的にアルゼンチンを5バック化させる)

では実際の試合からこれで何が起きたかを確認していきましょう。

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局面はまさに5バック化させられているアルゼンチンのブロックに
「前の壁が3枚になって中へ通しやすくなったゼ!」と言わんばかりのシュバインシュタイガーという構図。
厄介なマスケラーノがSBのカバーでDFラインに入っているからですね。


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ドイツは中のエジルに当ててクロースへボールを落とす。

この後のマスケラーノの動きにご注目。


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クロースから再び中へクサビを入れると受け手のミュラー、エジルにはアルゼンチンのマスケラーノとガライがDFラインから飛び出して対応。

ドイツの間受け攻撃は相手の守備がラインを維持してくれないとそもそもラインとラインの「間」が生まれないので機能しません。

これが南米特有の【ゾーンで待ち構えて入って来るボールにはマンツー気味に人を捕まえに行く守備】ですね。
まあ、そもそも「ゾーンディフェンス」っていうのは各自の持ち場を区切って、自分のゾーンに入ってきた敵を捕まえる守備ですからアルゼンチンが特殊って話でもないんですが。

ただ、欧州だとどちらかと言うともう少しスマートに2ラインを維持して守ろうとするので
瞬間、間受けの為のスペース(文字通り「間」)が生まれるものなんですが
これだけ人にガップリ寄せられると間受けは出来ません。

欧州のチームが「守りに徹した南米勢」に苦戦するのはだいたいこのパターンなんですよね。

まあ、この守り方もDFラインからCBが躊躇無く飛び出していく分、
空いたスペースを第三者に使われたりするリスクも内包しているのでどっちが良くてどっちが悪いって話でもないんですが。
(決勝点でこの守備の負の面が出るのは後述)

ただフリックパスや逆を取るトラップで外されそうになったら最悪プロフェッショナルファウルで潰すっていうのも
彼ら南米特有のマリーシアでなかなか上手くリスク管理されているんですよね(^^;

試合では↑ここでボールを失ったドイツ。


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ハイ!ココがドイツが苦戦してる理由その②です。

ドイツの中央を厚く攻める攻撃はボールを失った際に攻撃の厚みをそのまま守備の囲い込みとして投入⇒すぐさまボール奪取⇒波状攻撃がその狙いです。

ここでもボールを失った瞬間にすぐさまラベッシを挟んでボール奪取を狙います。


5baku0718-5.jpg
・・・が、ラベッシ特急止まらず・・・!!

ココなんですよ、ドイツが苦戦している要因は。

アルゼンチンはこれだけドン引きの守備をしてるので当然の帰結としてボール奪取位置はめちゃくちゃ低いんです。
なもんで奪ったボールもドイツの包囲網にあうんですが、ここでボールを失わずにドリブルで運べる個の力があるんですよねー。
特に守備時は半分ボランチとしての仕事もこなしているペレスやラベッシはマイボールになった瞬間、1人で20~30Mボールを運べるキープ力があります。

お陰でドイツは一度アルゼンチン陣内でボールを失うとなかなか波状攻撃が出来ずにいたんですね。
これが試合を通して攻めあぐねた大きな要因だったと見ます。


<我こそはFW充!3トップで勝負を賭けたサベーラ>
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0-0で折り返したハーフタイム、アルゼンチンのサベーラ監督が動きます。
ラベッシに代えてアグエロを投入し4-3-3の3トップへ。

まさかの3枚前残しで守備は4×3ブロック。勝負を決めにきました。
とにかくアルゼンチンにとってドイツの間受け隊は問題じゃありません。入ってきたら潰せますから。
厄介なのはドイツのSBが高い位置まで上がってきた時。

という事もあって2トップだとドイツは後ろに3枚残しで1枚SBを上げてきちゃうから
3トップにすればドイツの両SBに蓋を出来るだろう・・・という算段もあったはずです。

その上で守ってるだけでは優勝出来ませんから
どこかでマークの噛み合わせのズレを生もうという攻撃面での狙いも含んだ4-3-3だったのではないかと。

具体的にはどういう事かと言うと・・・

【4-3-3に変更して噛み合わせをズラす】
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アルゼンチンから見ると3トップにしてドイツのSBには蓋をしてあるので
クロース、シュバインシュタイガーの2ボランチの両脇でペレスとビグリアがフリーになれるという算段です。

試合では早速、後半開始早々の46分に狙い通りのシーンを作っていました。

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局面は後半、左から右へと攻めるアルゼンチンのビルドアップの場面。

ボールを持ったビグリアにはトップ下のエジルが寄せてくるのでペレスがフリーになるというところ


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ボールを受けたペレスにはラームが出ていきたいけれど距離がある上に
背後はアグエロ、メッシ、イグアインの3トップが控えているので行き切れないんですよね。

そうこうしている内にマーク役が不在でフリーなペレスから裏へ抜けるメッシへスルーパス


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狙い通りメッシが抜け出てノイアーと1対1や!
(シュートは惜しくも枠を外れる)

この変更によって後半立ち上がりの15分ぐらいまではアルゼンチンが得点機を量産していたので
出来ればここで勝負を決めたかったはず。

その後はドイツに対応されてしまったのと
なにより投入したアグエロのコンディションが悪過ぎて全く脅威にならなかった事。

ディマリアがいれば・・・というのが本音ですが、だったら前半ボールを運ぶ際に
ラベッシ無双が利いていたので下げるんだったら別の選手でもよかったような・・・・?


<肉を切らせて骨を断つ>

ドイツからすると当初相手のシステム変更にとまどってSBが上がれない⇒攻撃の横幅が生まれない⇒アルゼンチンが4×3枚の中絞りで充分対応出来ちゃう という悪循環に陥っていました。

これを察知したレーヴはすぐさまアルゼンチンの4-3-3に対応。
特に右WGのイグアインは全く守備をしないので左SBのヘヴェテスを下げっぱなしの守備専にするのではなく
思い切って高い位置まで上げて左サイドで攻撃を組み立てるよう変更してきました。

【後半45~60分 ドイツのプレイヤーマップ】攻撃方向⇒doimapu-final.jpg
↑明らかに左SBのヘヴェテスを高い位置に上げて攻撃の起点としている事がデータからもハッキリと分かる。

実際の試合の流れで確認するとこんな感じ↓

【4-3-3にも打ち合い上等!】
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局面は右から左へ攻めるドイツのビルドアップ。
メッシは守備時、目の前をボールが通過しても静観なのでクロースはノープレッシャーでボールを運べる。

この間にSBヘヴェテスを高い位置まで上げておきシュールレと組んでドイツは左サイドでトライアングルを形成。
3トップが前残りのアルゼンチンはサイドの守備がSB+CHの2枚なので必然的に3対2の数的優位が作れます。


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高い位置をとったSBに相手のSBを食いつかせておいて、その裏をSHシュールレが取るというサイド攻撃。

ドイツはボールを持てばほぼサイドでこの深さまで自動的にボールが運べるのですが
最後の最後でマスケラーノの鬼カバーやCBの頑張りもあってなかなかゴールを割る事が出来ません


【後半45~75分 アルゼンチン プレイヤーマップ】arugefinal.jpg
この時間帯はアルゼンチンの右サイドにご注目。
前残りのイグアインのサイドをドイツが徹底的に突いた事でCBのデミチェリスが完全にサイドまで引っ張られている。
(ガライとのCB同士の距離感を見れば明らか)

ドイツにしても逆にこの攻めでボールを失うとSBを上げた裏のスペースにイグアインが入り込んでくるのでカウンターから何度か危ない場面も。
アルゼンチンもこれが分かっていて「肉を切らせて骨を断つ」覚悟で3トップを前残りにしているし
ドイツだってSBを上げるリスクを分かった上で勝負を決めにきているのです。

お互いがリスクとリターンを天秤にかけて「打ち合い上等!」と狙いが一致した後半~延長戦はある意味オープンなカウンター合戦となっていきます。

その裏で繰り広げられた両指揮官の指し手争いも見応え充分。

まずは後半30分にパラシオを投入したアルゼンチンは
ドイツが自分達の右サイドを攻めてくるならばとメッシを右に回し、ヘヴェテスの裏で待機させるカウンター要員を
イグアインからメッシにスイッチさせるという鬼畜な一手。

【後半75~90分 アルゼンチン プレイヤーマップ】
sashite433.jpg

メッシを右に持ってきて中央にアグエロ、左にパラシオの並びへスイッチ。

するとすかさずレーブもメッシを残されたらリスクとリターンの収支が合わないと判断したのか
ヘヴェテスを上げるのを止めて、代わりに今度は右サイドのラームへと攻撃の起点を移していきます。

【後半75~90分 ドイツ プレイヤーマップ】
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ヘヴェテスを下げて守備専に残し、今度はラームを上げてエジルとのコンビで右サイドからの攻略を狙う。

延長戦はこの流れで主戦場のサイドが逆サイドへ移った事により右サイドのメッシがなかなかボールに絡めなくなってしまいました。
ボールを欲しがるメッシは次第に低い位置まで降りていくようになります。

【延長前半90~105分 アルゼンチン プレイヤーマップ】
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パラシオ、アグエロとの距離感を考えても、もはや3トップは崩れているも同然。
メッシがこの位置取りだとドイツからしても怖さは無いんですよね。

さて、両軍ベンチが空中戦を繰り広げる中、ピッチ上に目を戻すと
アルゼンチンはマスケラーノが、ドイツはシュバインシュタイガーが抜群のカバーと危機察知能力を見せて最後失点は許さずにPK戦濃厚となってきました。


<勝負を決めた0トップ采配>
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延長戦突入に向けてレーヴがクローゼに代えて投入したゲッツェ。
延長前半は中央にミュラー、左シュールレ、右ゲッツェの並びの3トップでしたが
これだとミュラーが常にゴール前にいるメリットはあるんですが前線の流動性という意味では今ひとつ。

そこでレーヴが延長後半を迎えるハーフタイムに勝負を賭けます。
これまで散々温めてきた「0トップ」布陣をここでぶつけてきました。
打倒スペインに向けて6年の歳月をかけて注入してきたスペインメソッドの総仕上げが今ここに・・・!!

具体的には3トップの中央にゲッツェを置いたCF0枚システムですね。
ミュラーは右に移されるとそこから斜めにゴール前へ入って行く動きが得意なので自然と流動性も生まれる…と。

そして待望の決勝点は0トップが見事にハマって生まれたものでした。

【ドイツの決勝点を検証】
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局面は左から右へ攻めるドイツの攻撃。
この場面では左のシュールレがボールを持った際にゲッツェがボールサイドへ流れ、空いた中央へミュラーが入り込んでいます。

これがゲッツェを中央に置いた0トップが持つ流動性ですね。


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なおもシュールレがドリブルでボールを運ぶと前線ではミュラーが更に流れて
今度は空いた中央にゲッツェが入って来る旋回の動き。

アルゼンチンはCBのデミチェリスが逆サイドから入り込んできたミュラーを抑える為に(入って来た人を捕まえる守備)釣り出されています。


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シュールレがサイドで抜きに入った瞬間、ミュラーに食いついたデミチェリスの背後をゲッツェが取った時点で勝負ありました。

シュールレが折り返したボールに中でフリーになっていたゲッツェが合わせてタイムアップ。

アルゼンチンの人に食いつく守備には流動性が高い0トップ戦術がモロにハマりましたね。


<フットボールの勝利であり 育成こそが優勝へ通ずる道>
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結果的には今大会で最もモダンなサッカーをしていたドイツの順当な優勝だったと見ます。

脆弱な戦力とロッベンという資源を最大限に活かした5バックのオレンジ軍団はPKに勝負を委ねるしかなかったし、
攻撃は若きクラッキ頼みでCFは置物、中盤以下を労働者で固めたカナリアは翼をもがれています。

メッシという天才から逆算してチームを組み上げざるを得なかったアルゼンチンの攻守分断サッカーは決勝Tを3試合連続延長戦という苦難の道へ迷い込み、キックオフから散歩を続けた天才は準決、決勝と240分間で1ゴールも演出出来ませんでした。これではチームとして収支が合っていません。

その意味でドイツの優勝は「フットボールの勝利」であると言えるのではないでしょうか。

このドイツにしたって優勝までの道のりは決して楽なものではなく、
EURO2004の惨敗を機に国を挙げて育成の改革に乗り出した成果が10年の歳月を経てようやく実を結んだものです。

思えば98年、初優勝のフランスもかの有名なクレーヌフォンテーヌに作られた国立のユースアカデミーが完成したのが1989年ですから優勝まで約10年。
スペインは「予選だけ無敵艦隊()」と揶揄され、長年国際舞台でのコンプレックスに悩んでいましたが
カシージャス、シャビらの若い世代がワールドユースで優勝したのが99年なので、こちらも10年の後にW杯のトロフィーを掲げている事になります。

やはりW杯優勝へ通ずる道は一番遠回りなように見えて「育成」こそが最大の近道なのです。

もし、日本が今回の失敗を糧にその成果を出すとするならば2022年カタール大会あたりから。
既にバルセロナやRマドリーのカンテラに日本人がいる時代ですから
もしかするとその頃にはクラシコで日本人対決・・・・なんて夢物語も?

まあ、本気で世界の8強を狙うならそれが当たり前の時代になっていないと厳しいとも言えますが-





*そう言えば開幕前、オランダを壮大にdisってませんでしたっけ?と思った貴方はクリック!↓

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ブラジルによるブラジルの為のフェスタ ~コンフェデ総括~

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<ブラジルによるブラジルの為のフェスタ ~コンフェデ総括~

姉さん、夏バテです。コンフェデ終了と共に完全にサッカーのスイッチがOFFになっていました。(海外サッカー厨あるある)

まあ、別件でちょっと進めているネタがあったりと(近日告知予定)なにもアイドルDVDとアニメばかり見ていた訳でもないのですが(^^;、
さすがに世界のサッカー情勢が色々動いたコンフェデという大会をこのままスルーという訳にもいくまいて。


…という事で今回はコンフェデの総括を準決勝&決勝を中心にお送りしたいと思います。

結果的にはご存知の通り「ブラジルのブラジルによるブラジルの為の大会」と言ってよかったと思いますが
戦術的観点で振り返った時、興味深かったのは「スペインの倒し方」というトピックですね。

なにせEURO⇒W杯⇒EUROと近年のサッカー界は最強スペインを中心に回ってきた訳で
勿論次のW杯本大会でも優勝候補の筆頭に挙げられる王者をどう倒すか?というのは本試験を来年に控えた模擬試験とも言うべきコンフェデでは最大の注目ポイントであった訳です。

そこでまずは準決勝のイタリアが見せた対スペイン戦の戦術から振り返ってみましょう。


<イタリアのスペイン対策 ~準決勝~>
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↑これがスペイン戦のイタリアのスタメンです。
ええ、プランデッリはここでいきなり3バックの採用ですよ。(カルチョ萌え)

日本ではよく3バックの弊害として「サイドを突かれて両WBが下がると5バック状態になる」とか言われますが、
アズーリはむしろこれを「迅速に5バックへ移行出来る」利点として捉えていたフシがあります。

イタリアはスペインが一度ボールを繋ぎ出して高い位置での奪回が無理と判断した場合、
割り切って自陣に5バックのブロックを形成し迎撃体制を整える守り方を見せていました。

【3-4-2-1⇒5-4-1へ】
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このように両サイドが一列づつ下がって5-4-1になります。

『5バック上等!』という自信が日本との違いですかね。

【意図的に5バック化するイタリア (対スペイン)】
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一見、守り一辺倒にも見えるこの5-4-1ですが、その実ピルロ、デロッシという発射台が中盤に2つあり、
尚且つ両サイドを1枚で上下動出来るマッジョ&ジャッケリーニ、
そして飛び出しと縦の推進力に長けたマルキージオ&カンドレーバというスペシャリスト達がいるので
イタリアのこのシステムは実によく機能していたし、むしろカウンターから度々チャンスを作っていたのはイタリアの方でした。

ただ、決定機を最終的に決めきる絶対的なストライカーの不在、
そしてデルボスケのスペインは相手が守りを固めてきた時は無理に攻め急がず、
安全第一のポゼッションでリスク回避の時間消費からPK合戦上等!という強みを発揮されて惜しくも敗れてしまいました。


イタリアはこの一旦引いてからバイタルにパスを出させないという「待ち」の守備でスペインを苦しめましたが
決勝のブラジルはまた違ったやり方で対抗していく事になります。


<今大会で定まった新生ブラジルのスタイル>
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ブラジルに関しては初戦の日本戦マッチレビューでその「勤勉なセレソン」の強さを検証しましたが、
どうやらこの大会でフェリポン・セレソンのスタイルはおおかた定まった感があります。

まー何と言いますか「グレミオ時代の泥臭いサッカー」が代名詞の実にフェリポンらしいチームに仕上がってきたな…と(笑)

でもさすがにフェリポンは仕事が早いし、これなら最悪ラスト1年の段階でヤバかったらフェリポン召還で毎回何とかなんじゃねえか…?wwっていうのはブラジルらしいっちゃらしいか。
(おっと・・・この流れで緊急事態の「岡ちゃん召還」と口を滑らせるのもそこまでだ)


【スペイン×ブラジル】
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日本相手にもあそこまでしっかりと前プレをかけてきた新生ブラジルですから、
スペイン相手となればその戦い方は推して知るべし。

勿論、「待ち」で臨んだイタリアとは正反対の「攻める守備」でスタートからスペインを潰しにかかります。

知っての通りこのセレソンの強さは何より「守備」が支えている訳ですが、
これをもう少し細部にまでフォーカスして考えてみると「前線」「ボランチ」「DFライン」という3つのフェーズで成り立っている事が分かります。

まずはフレッジ、ネイマール、オスカル、フッキで構成された「前線」のフェーズがスイッチとなる「前プレ」を見てみましょう。

【ボールへアタックし続けるブラジルの前プレ】
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局面はブラジルが一度スペイン陣内奥深くまで攻め込んだところをピケにカットされ攻⇒守に切り替わった場面。

ボールを奪ったピケからペドロへタテパスが送られた瞬間に、ネイマールとオスカルがもう守備に意識を切り替えています。


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ネイマールの接近を感じたペドロはこのボールをダイレクトで後ろのブスケスへ落としますが、ここには続いてオスカルがアタック。

たまらずブスケスは左前方のイニエスタへワンタッチで展開。

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イニエスタへボールが渡った瞬間にブラジルが囲い込んでいるのが確認出来ます。

このように高い位置からブラジルの「前線」が諦めずボールへアタックし続けるので
この試合ではイニエスタ、シャビ、ブスケスらが低い位置で潰されてしまい、ほとんど有効な状態でボールを持たせてもらえませんでした。


とは言え「前プレ」は高い位置でボールを奪い返せるチャンスがある反面、
前線がボールに食らいついて行くので「待ち」の姿勢でバイタルへのパス自体をシャットアウトしたイタリアの戦い方に比べるとどうしても中盤へのタテパスを入れられるシーンは多くなってしまいます。

しかし、このタテパスをリスクとしないのがブラジルが誇る鉄壁のボランチコンビであり、
「前線」に続くこの「ボランチ」のフェーズがあるからこそこのチームがスペイン相手にも「前プレ」を仕掛けていける保障にもなっているんですね。

【ボランチの防衛ライン】
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局面は中盤でボールを持ったイニエスタがブラジル陣内にドリブルで侵入していく場面。

ブラジルのボランチコンビ(グスタボ&パウリーニョ)はイニエスタのドリブルに合わせて少しづつ後退しながら周囲の状況を確認します。


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・・・ハイここ!

…で、これ以上先へは侵入させないというボランチの防衛ラインを阿吽の呼吸で定めてここでピタッ!と止まり、イニエスタの進行を阻止します。


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ここからブラジルのボランチコンビはボールに近いグスタボがアタックし、残ったパウリーニョがカバーリングに回るという基本どおりの「チャレンジ&カバー」の関係を形成。

イニエスタからシャビへと下げられたボールにもグスタボがアタックを続け・・・


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シャビからイニエスタへと苦し紛れに出されたボールを今度はカバーに回っていたパウリーニョが「取れる!」という判断の元アタックを仕掛けボールを奪い返しました。

一見、何という事はないダブルボランチの「チャレンジ&カバー」ですが、スペイン相手にしっかりとボランチの防衛ラインを定めて、2枚だけの力でそこから先へは侵入させないという「個で奪う能力」の高さはやはり王国の底力を感じさせます。

続けてボランチの守備をもう一つ。

【ボランチの防衛ライン②】
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局面は中盤でボールを持ったペドロに対し、またもブラジルがボランチの防衛ラインを引いているのが分かります。

ペドロはこれを見て一旦後ろのシャビまでボールを下げます。


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下げられたボールへはオスカルが付き、パス&ゴーで縦に抜けるペドロにはそのままグスタボがマンマークで付いて行きます。

ここからシャビは更に後ろのブスケスへボールを下げる。


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このバックパスで食いつかせておいて⇒間受けのタテパスがスペインの十八番。

↑の場面でもブスケスからイニエスタへのラインがスペインの狙いですが、
これを察知したグスタボはボランチのラインを再度設定し直す為、ペドロを捨てイニエスタへ急行。


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…で、ここでも必ずボランチが設定したラインの前で潰してしまうブラジル。

このグスタボの何と言いましょうか・・・Mシルバ感?Fコンセイソン感?Gシルバ感って言うの?(笑)

ブラジルが強い時はいつもこういうボランチが必ずいますよねー。


そんでブラジルのボランチを見ているとつくづく我が国のボランチとは何だったのか…?を考えてしまう訳ですよ。


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遠藤、お前のその距離感な!www


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で・・・何となくそのままズルズル後退するだけのアリバイ守備な!www



敢えて言おう・・・



クソであると!(爆)


君らには「俺達がここで食い止める」というライン設定はないのか?とww

これじゃあボランチがフィルターにすらなってないんですよねー。
(3試合で9失点も致し方ナス・・・)



話がちょっと逸れちゃいましたが、ブラジルの場合は仮にこのボランチのラインを突破出来たとしても
更にその後ろにはチアゴ・ゴッド・シウバアフロ・ルイスが控えていてゴールマウスにはJセーザル神が鎮座してるって言うんですから鉄壁過ぎンゴwwww


<ブラジルのフェスタ開幕!>
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試合ではキックオフからブラジルのこの「前プレ」を後押しするべく、マラカナンの7万人大観衆がセレソンの背中を押します。

その熱狂と迫力たるや圧倒的で、スペインは何が何だか分からない内に先制点を奪われた感じだったのではないでしょうか?

マラカナンは前半1分の先制点でまるで優勝が決まったかのようなフェスタ状態。

これぞブラジルでしょ!www


お陰でTシウバが神なのは仕様としてもJセーザルが鍵をかけるゴールは理屈以上の何かが働いてまるで入る気がしなかったし、
Dルイスは普段青いユニを着ている時とは別人のような覚醒(どう見てもビーストモード発動してました)で、
グスタボは「バイエルンで控え?冗談だろ?ww」という職人ぶり。
フレッジに一瞬ロマーリオの幻影が見えるわパウリーニョのプレミア移籍は決まるわネイマールは今大会で神への階段を上りきるわのブラジル無双。


来年の本大会もブラジルは全試合このホーム状態で、
もし決勝まで勝ち進んじまったりしたら「W杯決勝」をこのマラカナンでやる訳ですよね…?

ちょっとどこが相手でも勝てる気しないでしょコレwww 
(でも見てみた過ぎる)


<スペインの1ボランチは限界か?>

一方、スペインの側の視点に立ってこの試合の敗因を探るとすると、
無双状態のブラジル相手に1ボランチはちょっと厳しかったかな・・・?というのがあります。

デルボスケのスペインはEUROでもW杯でもそうだったように基本はブスケスとアロンソの2ボランチで、
これまでどれだけ批判を浴びても頑なに1ボランチにはしようとしませんでした。

この大会はそのアロンソが手術の為欠場という事もあり、「まあコンフェデなら試してやってもいいか」とようやくデルボスケがその重い腰を上げてくれました。

かく言う僕もこれまでスペインの試合をレビューする毎に2ボランチは無駄だからもう1枚を前の方に割いてくれ!と繰り返し言ってきたんですが、事実攻撃面ではアロンソとブスケスの役割が完全にかぶっちゃってるのは間違い無いんですよ。

だったらアラゴネス時代のセナ1ボランチみたくブスケスかアロンソのどちらか1枚にした方が役割がスッキリするし、
何よりベンチに座らせておくにはマタ、イスコ、カソスラ、セスクは勿体無さ過ぎる!と思ってたんです。


しかしこれは今まで通りスペインが圧倒的にボールを支配している事が前提の話で、
このブラジル戦のように前プレから完全に押し込まれるような展開になると一転してブスケスの1ボランチはフィルターとしては厳しい一面が見えてきます。

【ブスケスの1ボランチでは抑えきれないバイタルエリア】
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局面はフッキがドリブル突破でスペイン陣内に侵入してきた場面。

ここではスペインのDFラインの前でブスケスがフィルターになるべくボールへ向かいます。

これを見たフッキはブスケスを寄せてからフレッジへ横パス。


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スペインは1ボランチのブスケスを引き出されてからバイタルを使われるとちょっともう抑え切れないんですよねー。

ボールを受けたフレッジはドフリーで余裕を持って次への展開へ繋げられてしまいます。


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結局ここではフッキとフレッジのワンツーが成立してあわやDFラインの裏を突かれる決定機になるところでした。

(*フレッジのリターンがやや高く浮きすぎたお陰でピケのカバーが間に合って助かる)

前半の途中からこういうシーンが続いていたので危ないなーと見ていたんですが、案の定ブラジルの2点目はこの形で決まっています。

【ブラジルの2点目を検証】
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局面はブラジルが自陣からのビルドアップ。

Dアウベスからフッキへパスが出るところですが、注目のブスケスは今この位置にいます。


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で、ボールを受けるフッキへ寄せるのは当然アンカーのブスケスの役目になりますが、
フッキは背後からの気配を感じてここでボールをトラップせずに咄嗟の判断でスルーを選択。

ボールがブスケスとフッキをすり抜けていきます。


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そうなるとブスケスが寄せた裏のスペースでは完全にオスカルがフリーな状態になる訳ですね。

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ブラジルのお家芸カウンターの発動で、無人の荒野を行くがごとくオスカルがドリブルでボールを運んでからネイマールへ。


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ネイマールという選手は絶対に前を向かせた状態でこのネイマールゾーンとも言うべき左45度のエリアに侵入させる事だけは阻止しなければなりません。

こうなってしまうと例えDF側が2対1の数的優位だろうがもうほとんど関係無し。

PKも怖いので迂闊に飛び込めないし、かといってディレイしようにもグイグイとカットインしてきますからねー。

まあ、ブラジルはこの状態まで持っていけば半ば勝負アリみたいな2点目でしたね。

(カシージャス相手にニアの天井へぶち込むとかこの男、クラシコでも怖すぎる!ww)


この様なシーンを見ていくとなるほど、デルボスケがこれまで頑なにブスケスの隣にフィルター役のアンカーとしてスペイン最強のアロンソを置き続けてきた理由がよく分かりました。


<スペインの時代が終わる?>
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スペインの敗因をもう少し掘り下げて考えてみると、やはり彼らのサッカースタイルがその一因であったという結論に行き着くのではないでしょうか?

これまでスペインは相手のDFライン裏へ目掛けた縦1本のパスを半ば捨て去る反面、
成功率の極めて高い距離感でのグラウンダーパスに攻撃を特化させる事でその圧倒的なポゼッション率を実現してきました。

しかしこれは守る側にとってみると裏への怖さが無い事で思い切った前プレを許す一因となってはいないだろうか。

仮にブラジルの相手がピルロ要するイタリアだったらどうだっただろう?
もしくはスペインにアロンソがいたらどうだっただろうか?というのは考えてみる余地はありそうだ。


加えてもう1点、スペインの頑なな中央突破へのコダワリがブラジルの守りを楽にさせていた点にも言及したい。

ブラジルの強みはやはりTシウバ、Dルイス、グスタボ、パウリーニョで形成される鉄壁のセンターボックスにあります。

【ブラジルが誇る鉄壁のセンターBOX】
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にも関わらずスペインは前半からバイタルでの間受けを狙い続けていましたが、明らかにこの狙いはブラジルに読まれており、
スペインが中へのタテパスにこだわればこだわるほどブラジルのカウンターチャンスが量産されていったフシは否めないでしょう。

事実、後半はサイドへのルートに活路を見出す為、ヘススナバスを投入してようやくスペインもチャンスらしいチャンスを作る事に成功していましたが、
所詮どこまでいってもバルサをベースとしたバルスペイン代表なので、サイドからのクロスを中で押し込む為の駒と方法論が無く中途半端な攻撃で終わっていました。


戦(いくさ)における兵法の基本的な考え方の一つに
「利の無い攻撃はむしろ窮地である」というようなものがあるんですが、
要するに攻めた結果のリターンが不明瞭な攻撃をするぐらいならいっそ守りに徹した方がマシという事なんですよ。

ブラジル戦におけるスペインの攻撃はまさにこの典型で、攻撃をすればするほどピンチを量産するという悪循環にハマっていました。

イタリア戦でもこの傾向は見受けられたのですが、途中から無理には攻めずにポゼッションでいなす時間帯を作って試合の流れを変える事に成功。

しかし決勝戦では先にブラジルに先制点を与えてしまっている上、前半はブラジルの前プレが機能していた事もあり「いなす」時間帯を作る事が出来なかったのが痛かったですね。


・・・とは言え、この試合をバルサのバイエルン惨敗にダブらせて「スペインの時代終焉」とするのは時期尚早というもの。

メンバーや試合の展開が一歩違えばスペインのパスがブラジルの前プレを空転させて、後半ガス欠のブラジルをスペインがなぶる…という展開だって充分に有り得るのがサッカーの難しさでもあります。

圧倒的に見えるブラジルにしても先制すればその後の「前プレ」と「カウンター」がハマって強いですが、
逆に相手に先制されて引かれてしまうと遅攻で打開し切る強さは無いと見ます。
(この辺はロナウジーニョを選考外としたドゥンガのセレソンと構造的には同じはず)

一つ言えるのは今後の近代サッカーは間違い無く「前プレ」「ポゼッション」の二本柱を軸に進んでいくという事で
ブラジル、スペイン、イタリア共にそのバランスの取り方が微妙に違うだけでそれぞれが同じベクトルに向かって進んでいる現状です。

来年、このマラカナンの地であの栄光のトロフィーを掲げるには、
これからの1年でどうチームを進化させていくかに懸かっているはず-


コパアメリカ2011総括 【テクニカルレポート】

*2011-07-27更新 (アーカイブ記事)







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<もはやブラジル、アルゼンチンが無条件で勝てる大会ではない>


ウルグアイの優勝で1ケ月間の戦いに幕を閉じた「コパアメリカ 2011」。


今日はこの大会の総括として、躍進した国と期待外れに終わった国のまとめと

「大会から見えてきた南米サッカーの今」をテクニカルレポートとしてお届けしたいと思います。





まず今大会の最大のトピックと言えば、何と言ってもブラジル&アルゼンチンのベスト8敗退だろう。

もはやコパアメリカは彼らが無条件で勝ち上がれる大会ではなくなった。


これは今年のアジアカップ、昨年のEUROを見ても明らかな世界的潮流で

世界のサッカーはますます全体の底上げが進み、レベルが拮抗してきている。


名前の知られていない小国ですら

最先端の戦術、システムを当たり前のように取り込み、

楽に勝たせてくれる国などもはや存在しないかのようだ。


今大会でも長らく「南米最弱」と言われていたベネズエラが着実に力をつけている事を示し、

ボリビア、ペルーといった国々も「組織的なブロック守備の構築」「全員守備、全員攻撃」という

世界の流れを汲んだサッカーを当たり前のように行っていた。



ただ、それらをベースにしながらも、やはり南米大陸の大会という事で

いくつかの"南米らしさ"というポイントも同時に見る事が出来たのではないか。



<1対1を重視した守備>


組織的なディフェンスの方法論というベースの部分では、もはや欧州、南米に大きな差異は見られない。

しかしながら、その中で「何を優先して抑えるか」という優先順位には多少の違いが見られたように思う。


おおまかな傾向として欧州が採用するディフェンスでは

「まず危険なスペースを埋め」⇒「次に人を捕まえ」⇒「最後にボールにアタックする」という順が基本にある。


要するに”最後の危険なスペースさえ使わせなければ失点のリスクは大幅に軽減出来る”という

リスクバランスを重視した合理的な考えだ。



これに対し、今大会でも見られたように南米では

「まずボールにアタックして」⇒「次に人を捕まえ」⇒「ファーストディフェンスが突破されたら危険なスペースに備える」という順で守備を行っていた。


つまり、 ”まず最初の1対1で勝ってしまえばピンチをチャンスに変えられる”という

リスクよりメリットを見る考え方だ。

その根底には自分達の"個の力"に対する絶対の自信が伺える。


今大会では「守備のバランスが取れるまで辛抱する」「数的優位が作られてからボールにアタックする」

そんな甘っちょろい守備はどこの国も行っていなかった。

ピッチ上、全ての選手がまずは目の前の1対1に責任を負って果敢に勝負していった姿がとりわけ印象的だ。


ここらへんは今後、何を置いても「まずは数的優位の形成」を基本とする我々日本サッカーも

大いに見習いたい姿勢である。


サッカーを複雑に考える前に、それぞれが1対1で負けていたら話にならないという至極単純な考え方なのだろう。
予断ではあるが、「ボールへのアタック」が守備の優先順位として高くなっていく傾向は

今後欧州でもどんどん広がっていく可能性が高いのではないか。


それは既に近年のCLにおけるトップレベルの戦いで見られいる潮流でもある。


言うまでもなく、この流れの最先端を走っているのが

あのバルサの「ボール狩り」と呼ばれるディフェンス方法なのだが、

もはや「待ち」の守備を行っているチームは弱小、強豪に関わらず

トップレベルのコンペティションを勝ち抜くのが難しくなっているように思われる。

(イタリアの低迷もこの潮流と無関係ではないだろう)


*Jリーグはこの「ボールへのアタック」の部分が最も世界から取り残されているように感じる。




このように南米と欧州で考え方の違う部分もあれば、共通している部分も、もちろんある。


それは”全ての選手が攻守に渡ってプレーに関与し続ける”という姿勢だ。

これはもはや「現代サッカーにおけるプレイヤーとしての必要条件」と言い換える事も可能だろう。



現在の日本代表で考えても、長友、長谷部、本田、香川らが

何故欧州のトップレベルでプレー出来ているのか推し量れるというものだ。




<躍進した国 没落した国>


続いて今大会で「躍進した国」と「没落した国」を見ていこう。


まずは開催国アルゼンチン。

召集されたメンバーを見るまでもなく、間違いなく本気で優勝を狙いにきていたアルゼンチンは何故ベスト8で破れてしまったのか?


おおまかな敗因は既にレビューでもUPした通りだが、

このチームが始動5ケ月だったというのは微妙に違うのではないか?


ハッキリ言って近年のアルゼンチン代表はバシーレ解任の2008年以降、

3年間を丸々無駄に費やしてきたと言ってもいい惨状だろう。


この間、世界のサッカーが(もちろん南米諸国も)日進月歩で進化している中、

アルゼンチンだけは停滞・・・・・いや、下降線を描いていたというべきか。


優勝したウルグアイの自慢の2トップ、スアレス&フォルランが全力で守備をこなし

文字通り「攻守に関わり続けていた」のに対し、

アルゼンチン自慢の"フォワ充"達は守備の際、前線で味方選手を眺めているだけだったのは

彼らが世界から取り残されようとしている"今"を象徴している。



何よりまず、アルゼンチンが目指すべきは

「メッシに使われるチーム」を脱却し「メッシを使う事の出来るチーム」になる事だ。

その為に次の新監督にはクラブシーンで充分な実績を持つ実力者を招聘し、

長期政権をもってチームを一から作り上げていく事が期待される。


幸い、この国には次のW杯まで「時間」も「人材」も充分残されているのだから―




同じくベスト8敗退組のブラジルだが、こちらは大分事情が変わってくる。


開催国で超絶ガチ仕様だったアルゼンチンと比べると

ブラジルは今大会を若手に経験を積ませる大会として位置づけていたフシが多少なりともある。
中でも3年後の本大会ではチームの主軸を担う事が期待されているガンソとネイマールだ。


ガンソに関しては一つ一つのプレーに確かな技術とセンスの高さを感じるのは間違いないのだが、

まだまだそのテクニックを「チームの勝利」へと結びつける術を知らないと言うべきか・・・。


試合から消えている時間も多く、

「勝敗を決定づけるプレー」「10番としての存在感」という意味で、

現時点ではカカやロナウジーニョと比較出来うるタレントではない。


ネイマールは本来エースとして「チームが苦しい時」こそ値千金のゴールが求められるはずだが、

(かつてロマーリオやロナウドが決めてきたように)

現状、チームが苦しい時間帯はほとんどネイマールは消えてしまっている。


楽な展開の試合、2-0や3-0からゴールを決める事は誰にでも出来る。

ネイマールの真価は初戦やベスト8敗退となったパラグアイ戦でこそ発揮されるべきだったのだが、

現状ではまだまだこれからのタレントと言うべきか。


スーパーサブとして才能の片鱗を見せた18歳のラミレスも含め、

彼ら若手の今後の課題は「トップレベルでの試合経験」、

すなわち欧州チャンピオンズリーグへの参戦だろう。

適切なタイミングで適切なチームに移籍させる事がカギになる。


幸い、メネーゼスがチームに植えつけようとしている方向性の片鱗は垣間見る事が出来た。


チーム力はこれから3年をかけて徐々に上向いていく事は確実。あとは選手個々のレベルUP次第だ。


幸い、ネイマールもガンソも持っている才能に疑いの余地は無いのだから―




続いては、躍進組のペルー、コロンビア、ベネズエラ。


彼らの躍進は過去の南米中堅、弱小国がもっていた雑さが消え、

しっかりと「近代サッカー」に適応してきた事が要因と見た。


ペルーとコロンビアは欧州CLのチームと比較しても遜色ないレベルの組織的ディフェンスを構築。

そこからエースのゲレーロ、ファルカンを使ったシンプルでスピーディな攻撃にチーム全体で意思統一が出来ていた。


ベネズエラは飛びぬけた選手がいない分、「全員攻撃・全員守備」に手を抜かないサッカーが印象的。




そして昨年のW杯に続き、着実に力をつけてきている成長組がウルグアイ、パラグアイ、チリ。


ウルグアイはW杯4位のベースとなった「堅い守備からのリアクションサッカー」に加え

「2トップの決定力を活かした自分達で仕掛けていくサッカー」という新たな引き出しを増やし、

着実にチーム力をつけてきている事を印象付けた。

対戦相手や試合の状況に応じて、色々な引き出しを出せる懐の深さが最大の優勝要因だろう。



パラグアイも昨年のW杯を戦ったチームをベースに

チーム力を落としていない事が準優勝につながった。


相変わらず「中盤の展開力」と「前線の攻撃力」に課題は残るが、

こちらは新鋭ドリブラーのエスティガリビアなど新たな俊英の登場で今後どう解消していくかが鍵。



チリは個人的に今大会最も魅力を感じたチームだった。

ビエルサが蒔いた種がしっかりと芽を出し、昨年のW杯時より更に完成度は上がっていた。


欧州だけでなく南米諸国の多くまでもが「リスクを管理する」実利路線を歩む中、

このチリだけが「飽くなきアタッキングサッカー」を理想に掲げ、独自の道を進んでいる。


CB,ボランチ、SH,ウイングが次々とポジションを入れ替えていくチリの試合は

検証する楽しみに溢れており、「これぞ近未来のトータルフットボール!」と確信した次第。


反面、どうしてもオールマイティなキャラクターの選手が増え、

「スペシャリストの不在」がチームの課題でもあり、魅力でもあるのか。


例えば、このチリにフォルラン、スアレス、もしくはマイコン、マスケラーノのような選手がいたら

楽にもう一つ上の段階に進めるだろう。




総じて見れば、アルゼンチンが停滞し、ブラジルがチーム一新のタイミングで一時的にチーム力を落とす中、

W杯のチームをベースにチーム力を落とすことなく臨んだチームが

そのアドバンテージを生かして上位に進出した大会だったと言えるのではないだろうか。



上の停滞と下の突き上げで、かつてない程に横一線、混戦模様の南米フットボールシーン。


次は、ここから南米全体のレベルを押し上げる為にも

混戦から頭一つ二つ抜け出すスーパーチームの登場を期待したい。





大会の締めは「店長が選ぶコパアメリカ2011 ベスト11」でお別れです。



ラテンサッカーに酔いしれた日々と少しの寝不足をありがとう!コパ!






<店長が選ぶコパアメリカ2011 ベスト11>

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ウルグアイが見せた"懐の深さ"  【コパアメリカ決勝 ウルグアイ×パラグアイ】

*2011-07-26更新 (アーカイブ記事)








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<ウルグアイが見せた"懐の深さ">


開幕前は誰がこの地味な決勝を予想できたか「ウルグアイ×パラグアイ」。


それではコパのレビューシリーズを締めくくる決勝戦のレビューいってみましょう。



<両方チーム布陣>
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まずはパラグアイの布陣から。

この試合、ベンチ入り禁止のマルティノ監督は思い切った采配を見せる。
エースのバリオスとチーム一のドリブラーであるエスティガリビアをベンチに置いた守備重視の4-4-2。


なるほど、未勝利で決勝まで勝ち上がってきたパラグアイとすればこの試合もロースコアでの展開に勝機を見出したいのは当然だ。


というよりも、そもそもこのチームの勝ちパターンはこれしかないと言うべきか。


中盤に展開力のある駒や前線に決定力を備えたストライカーを持たないパラグアイが
ここまで勝ち(分け)上がってこれたのは徹底して試合を膠着状態に持ち込み、
焦れた相手がバランスを崩して攻め込んできた瞬間を見計らっての一刺しが頼り。


つまり自分達で相手チームを崩す攻撃力がないのなら、
相手の方からバランスを崩してもらうまで。


そういう割り切った戦いをチーム全員で徹底出来る開き直りがある。

狙うは1-0。何なら延長戦やPK戦だって望むところだ。


(思えば昨年のW杯での「日本×パラグアイ」戦は
120分、お互いがバランスを崩さずに"様子見"を続けた末のPK決着であった。)




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対するウルグアイの勝ち上がりは開幕初戦こそ3トップで臨んだものの、
これが機能しないと見るや早々の見切りで2トップに戻したのが奏功。決勝進出に結びついた。
(バルサシステムをギリギリまで引っ張ったアルゼンチンとは対照的)


よって、もちろんこの試合も4-4-2である。


実はウルグアイもパラグアイと同じく中盤に展開力のある選手が不在という事情を抱えている。
故に、しっかり引いてからのカウンターというロースコアの展開もやぶさかではないのだが、
わざわざパラグアイが望む展開に付き合う事も無い。


何故ならウルグアイはパラグアイが持っていない決定的な武器を持っているからだ。


ウルグアイにあって、パラグアイにないもの―



それは試合を決定付ける"ストライカーの有無"である。




<持つものと持たざるもの>


そう、前線にフォルランとスアレスを持つウルグアイは
むしろ試合をアップテンポの打ち合いに持ち込めれば勝ちは必然だ。


何故なら、そこで勝敗を分けるのは
打ち合った中で何本それを決める事が出来るかという決定力の差に集約されるからである。


問題はキックオフから試合のペースダウンを目論むパラグアイに対し、
どう自分達のペースに巻き込んでいくか―



そこでウルグアイのタバレス監督は今までの戦い方とは若干違うプランを決勝に用意してきた。


それが徹底して中盤を省略する【縦に速い攻撃】と前への【パワーを持った守備】の2つ。


【縦に速い攻撃】は女子W杯決勝でアメリカが日本に対して仕掛けてきた事と同じですね。
自軍の2トップを活かす為、早めのタイミングで裏のスペースに蹴りだしてFWにヨーンドン!させる・・と。


まあ、今大会のスアレスは反則級のキレ味なんで、
これがまぁ~多少無理目のボールでも鬼のようにマイボールにしちゃうんですな。(^^;


ただ、2トップを活かした速い展開ってのはこの決勝に限らず、

ウルグアイが本来持っている形の一つなので、

試合のミソになってくるのは【パワーを持った守備】の方です。



そもそも【パワーを持った守備】とは何か?


これは主にコーチ等が使うテクニカル用語の一つで、
要するにサッカーにおける守備の中でも"前方向へのディフェンス"ってのは
守備側に有利なディフェンスと言われておりまして・・・。


ディフェンスの選手が進行方向へ勢いを持って行う守備は
自分のマーカーと次の展開のパスコースを同時に視野に入れる事が可能な上、
例えボールを下げられたとしても
そのままの勢いで"前へ前へ"と継続して【パワーを持った守備】が行える、と。


これに対して、攻撃方向に背を向けながらプレスを受ける攻撃側の選手というのは前方への視野もなく、
エリアによってはミスからのボールロストが即失点につながりかねない厳しい局面に追い込まれている訳で、
どっちが主導権を握っているかと言ったらもう圧倒的に守備側なんですよね。


このへんが体格の小さい選手を集めていながらバルサの守備が崩れない要因だったりもするのですが、
まあ今はそれは置いておくとして・・・。



この日のウルグアイのゲームプランが秀逸だったのは
何より2つの攻守におけるプランが密接にリンクしていたっていう事だと思うんです。


要するに【縦に速い攻撃】ってのは、
例えマイボールに出来なかったとしても相手DFに後ろ向きでの処理を強いる訳で、
更にそこにはもう全速力で追ってる2トップもいる訳です。


だから【縦に速い攻撃】の段階でウルグアイは既に【パワーを持った守備】を同時に行っているようなもので、
この一見「攻撃」と「守備」に分かれていたゲームプランが
実はピッチ上では溶け合うようにして混ざっていた・・・と。


そう見る事も出来るかと思います。


では、このウルグアイの狙いが見事にハマった2点目となるフォルランのゴールを検証していきましょう。




【ウルグアイの"パワーを持った守備"が生んだ得点】




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パラグアイ陣内でのフィフティーボールに対しゴンザレスとパラグアイの2選手が競るところから局面はスタート





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競り合ったこぼれ球がパラグアイに渡ると、すかさずゴンザレスはこれを追撃。


この追撃に合わせて後ろからMペレイラ(?)が物凄い勢いで距離を詰め、挟み撃ちへ。



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いきなりの挟み撃ちに遭ったパラグアイの選手はたまらず近くの味方へボールを預けようとするが

2人の挟み撃ちによってこのパスコースを完全に読んでいたアルレバロが

前がかりに【パワーを持った】状態で詰める。


ここで注目したいのはパスを受ける選手が完全にアレバロに背を向けている状態であるという事。

これでアレバロは躊躇無く突進出来る。



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「待ってました!」とばかりに詰めたアレバロがボールを奪い、そのままの勢いで突進。

巧みに裏へ抜けたフォルランにラストパスを出し、これを冷静に決めた。


フィフティボールのこぼれ球から僅かパス2本、パスカットからラストパス1本、

時間にして3秒の電光石火の得点だった。


自分達が抱える「中盤の展開力不足」という弱点を補い、

自分達の武器である「2トップの決定力」は生かすという見事なプラン。



<ウルグアイが見せた"懐の深さ">


いや~お見事でしたね~。


でも、だったら大会の最初からコレをやってればよかったんじゃないか・・・

という意見もあるかもしれませんがそう単純な話でもありません。


"前へ前へ"守備をするという事は、同時に裏には常に危険なスペースが出来る事と隣り合わせ。

前へ勢いがついている分、ワンタッチの素早いパス交換や逆をつくターン&ドリブルなどでプレスがかわされた場合、
一気に数的不利に陥るリスクを抱えている訳ですね。


実際、ウルグアイは準々決勝のアルゼンチン戦において、
この裏のスペースでメッシをフリーにしてしまった事から失点を喫しています。


(この試合では失点後10人になった事もあり、
一旦後ろに引いて【迎え撃つ守備】に切り替えた事で勝利に結び付けました。)



つまり【パワーを持った前への守備】と後ろで【迎え撃つ守備】は
どちらがいいとか悪いではなく、使いどころの見極めが一番重要って事です。



その点、この決勝の相手がパラグアイという事を考慮すれば、

これはウルグアイのベストプランだったかな…という気がしますね。


なんせパラグアイには中盤のプレスをかわせる「展開力」も

一気のカウンターを決める「個の力」も無い訳ですから。


(まあ、このへんが未勝利で決勝まできちゃったチームの限界かな?)



試合は後半、もう行くしかなくなったパラグアイが

温存していたドリブラーのエスティガリビアやエースのバリオスを投入し、一気に攻勢に出ます。



しかし、ここでも光ったのはウルグアイの懐の深さでした。


すかさず今度は引いて「待ち受ける守備」にゲームプランを切り替え、

今度はウルグアイがゲームにテンポを落としにかかります。

(アルゼンチン戦でも見せた黄金の「2010W杯バージョン」!)


それでいながら、残り時間が僅かとなって総攻撃状態になったパラグアイの隙は見逃さず、

今度はカウンターからキッチリとどめの3点目を奪うしたたかさ。



今大会の出場全チームと比べても

このウルグイアというチームが持つ「懐の広さ」「引き出しの豊富さ」が最後に勝負を分けたかな…と思わせる

そんな象徴的な決勝戦でした。


マラドーナにはなれないメッシ 【アルゼンチン×ウルグアイ】

*2011-07-21更新 (アーカイブ記事)







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<マラドーナにはなれないメッシ>
」で沸き立つ裏で

ひっそりと・・・



そう、ひっそりとコパアメリカでは2つの大国が姿を消していた。


いっその事、彼らの為にもこのまま触れずにおくのもやさしさかと思ったのですが(笑)、

やはりコパアメリカを徹底的に追っていくと決めた限り、

この2ケ国の最後をきちんと振り返っておくべきだろう。


という訳で今日はまず「やっちまったぁ~!1号」こと

開催国アルゼンチンの「どうしてこうなった・・・」をお贈りします。




<アルゼンチンの『キングダムサッカー』>


今大会のアルゼンチン代表チームを


『メッシの メッシによる メッシの為のチーム』


と言ってしまったら大袈裟に聞こえるだろうか?



これまでの戦い振りを見る限り、

監督のバチスタがこのチームに望んでいるのは「バルサでのメッシ様 光臨」

ただそれだけである。


フォーメーションをバルサに合わせ、

メッシ以外の全ての選手がメッシの為にプレーする。

バチスタがこの大会に送り込んだのはそんな歪んだチームである。
かつて、サッカー史においてこんなチームがあっただろうか・・・?






・・・・一つだけあった。


それも他でもないこのアルゼンチンで。


そう、 『マラドーナの マラドーナによる マラドーナの為の大会』と言われた86年W杯。

アルゼンチン代表はマラドーナによる「キングダムサッカー」で世界の頂点を獲ったのだ。


そして、このチームでマラドーナの後ろに陣取り、黒子に徹した地味なプレーで

優勝に貢献したMFこそが、セルヒオ・バチスタ・・・・その男である。




<マラドーナとディアス>
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この86年のアルゼンチン代表は、チーム構成から戦術に至るまで

全てがマラドーナがプレーしやすいよう仕組まれたチームだった。


マラドーナが守備をしない分は他の選手でその負担を分け合い、

奪ったボールは余計な事はせず、とにかくマラドーナに集めるのが唯一無二の戦術と言ってもいい。


こういった環境下でプレーさせた時のマラドーナは恐らく無敵だった。


このチームでマラドーナの相棒としてプレーした攻撃の選手はブルチャガとバルダーノ。

どちらも献身的な守備でマラドーナを助け、攻撃でもマラドーナにはやりたいようにやらせて

自分達はゴール前での泥臭い仕事に専念出来る。そんな選手達だった。



しかし、当時のアルゼンチンにはもう1人、

誰もが認める国内最強のストライカーがいた。


ラモン・ディアスである。


そう、日本のファンにはJリーグ初代得点王、元横浜マリノスの選手としてもお馴染みのあの選手ですね。


ディアスは当時、その強烈な左足から繰り出されるシュートで得点を量産。

常にゴール前に陣取り、「奪ったボールは全てオレに寄こせ」とばかりのプレースタイルは

超一流ストライカーに必要なエゴイズムの表れか。


とにかく、当時のリーベルは「ディアスの為に」作られたチームだったと記録されている。



つまりアルゼンチンには国内最強、

いや、世界でも屈指とされていた「10番」マラドーナと「9番」ディアスがいた事になる。

この2人のコンビが代表で実現すれば・・・・と考えたのはアルゼンチン国民だけではなかったはずだ。


ところが、結局このコンビは86年W杯で実現しなかった。



・・・・何故か?



マラドーナが拒んだからだ。



マラドーナは『他の選手と違い、マラドーナの為にプレーせず、己のエゴを剥き出しにするアイツはいらない』

公の場で発言している。


(しかし、この発言も冷静に聞くと無茶苦茶な事言ってるよな・・・。さすがディエゴww)



遂にはチームの絶対的な支配者であったマラドーナによってディアスは代表チームを追放されてしまう。

(以来、未だにこの2人は犬猿の仲で有名)



だが、結果的にこの選択が正しかった事はアルゼンチンの優勝をもって証明された。


当時、世界の全てのチームがストライカーとしてのディアスを欲しがったかもしれないが、

「マラドーナのチーム」にとってディアスは"いらない駒"でしかなかったのである。



<矛盾を抱えた「メッシのチーム」>



翻って今大会のアルゼンチンはどうか?


バチスタは自分がW杯を制したあのチームの再現を「メッシのチーム」にする事によって目論んだのだろうが、

マラドーナと違い、果たしてメッシはそれを望んでいたのだろうか?


そもそもメッシの性格から言って、チームから馬の合わない選手を追放するなど不可能な話。


結果、開幕戦のオーダーは自国のスター選手をかき集めた「ベストな布陣」による「メッシのチーム」という

大きな矛盾を抱えた布陣でスタート。


そもそも「メッシのチーム」にテベスやラベッシは必要だったのか?


彼らは普段、自分達の所属チームでは「テベスの為のカウンター」「ラベッシの為の形」というものを与えられている

言わば”メッシ側”、特権階級の選手達だ。


そんな彼らが両サイドにハリボテのカカシのように貼り付けられた姿は、もはや滑稽ですらある。


「メッシのチーム」を作りたいのなら、「メッシの為の駒」と配置を用意する必要がある。

これは当たり前の話だ。


少々やり方に問題はあるが、結果としてマラドーナは自身でそれを行ってきた。




又、バチスタが用意した戦術もお粗末なものだった。


メッシの為に真ん中のスペースを空けるのはいいとして、

あとはひたすらメッシがそのど真ん中を独力でこじ開けてくれる事を期待した攻撃戦術など

相手チームからすれば「メッシを止めればアルゼンチンは止まる」と言われているようなもので、

事実、簡単に中央を閉鎖されて手も足も出なくなってしまう。


【行き詰る"メッシ頼み"の中央突破】

確かに今期、メッシがバルサで得点を量産出来たのは

中央で自由に動く「0.5トップシステム」がその鍵を握っていた事に間違いはない。


だが、このバルサの戦術が

いかに周りの選手達の緻密な動きとプレーによって支えられているかをバチスタは見落としていた。



開幕からの2戦を2分けで落とし、

後がなくなったバチスタはようやくこの「擬似バルサ」の限界に気付き、

第3戦のコスタリカ戦でメッシを右のWGにズラし、CFに本職の選手を使う布陣で臨む。

この試合を3-0で快勝し、この布陣に手応えを感じたバチスタは

強敵ウルグアイを迎える準々決勝に自信を深めていた―



<【ウルグアイ×アルゼンチン】 マッチレビュー>


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注目のアルゼンチンのオーダーはメッシを右のウイングに置いた4-2-1-3。


これまで「無駄に濃いww」だけだった前線のユニットからテベス、ラベッシを外し、

代わりにゴール前で自分の仕事に徹するイグアインとアグエロを配置。


中盤もシンプルにボールを運べるディマリアとガゴを起用。

(キープやドリブル突破に色気を出すバネガはベンチ落ち)


なるほど、まずは駒の顔ぶれからバランスをとってきた訳だ。


まあ・・・気付くの遅過ぎるけどね・・!!www



これで真ん中をメッシの花道としていただけだった中盤でしっかりとボールが運べるようになり、

メッシがゴール前の仕事に専念出来る体制が整った。


特にガゴのキレのある動きには

思わず偵察にきていたブラジル陣営から


ラミレス『既に長いシーズンを終え、休みも無く借り出されているこのコパという舞台で、

まるで今シーズンが始まったかのようなあの動き・・・。

ガゴのスタミナは脅威ですよ』



Dアウベス『いや・・・あいつ今期ほとんど試合出てないから実際、

今日からシーズン開幕なんじゃね?ww』


という声も飛び出したとか出さなかったとか。




対するウルグアイだが、こちらもグループリーグの3試合を経て自信を深めていたチーム。


開幕当初、2010W杯の「リアクションサッカー」から3トップによる「自らアグレッシブに仕掛けていくサッカー」にシフトチェンジを図ったチームは機能不全を起こすも、元の2トップの形に戻して蘇生に成功。


布陣は戻しても「仕掛けいく気持ち」はそのままに、

何より彼らはもはやアルゼンチンなど全く恐れていなかった。


試合開始と同時に仕掛けて、早々にFKから先制点を奪取。



<縦横の交差>


先制点は許したものの、アルゼンチンは今大会ベストという内容の試合を見せていた。


まず、メッシをサイドに置いた事で、

これまで真ん中に寄っていた攻撃の起点をサイドに作る事に成功。



更に両サイドで蓋になるだけだったテベスとラベッシが取れ、

代わりにメッシとアグエロの両翼が中にカットインする事で

詰まっていた栓が取れたように後ろのSBがオーバーラップしてくるスペースが生まれ出す。



これで相手としてはDF陣を横に広げるしかないが

ゴール中央には危険な男イグアインが常に隙を伺っていた。



要するにこれは現在の緻密なバルサシステムで活かされているメッシを諦め

彼のデビュー当時の3トップの並びに戻したのだ。



右からメッシ、エトー、ロナウジーニョと並んでいたあの3トップに。



これでメッシが中にカットインする「横への動き」と

イグアインが裏を狙う「縦の動き」が初めて交差し、

相手守備陣からすると非常に守りづらい状況が生まれる事になる。



試合はウルグアイが「追加点への色気」を見せた事でスペースが生まれ、
そこをアルゼンチンが突いて同点へ。



<勝負を分けた退場劇>


悪い事は重なるもので、ウルグアイは同点ゴールを奪われただけなく前半のうちに退場者を出してしまう。

結果的にこの退場劇こそ、この試合の最大の分岐点となったと思う。


仮に、試合がこのまま11対11で進めば、店長は限りなくアルゼンチンが勝っていたような気がしてなりません。


いや~、サッカーは分からないものですね。

10人になった事で、返ってウルグアイに勝機が出てくるのですから。


アルゼンチン相手に10人になった事で、ウルグアイは目を覚ます。


「色気を出している場合じゃない! まずは守るんだ・・・!」

ここに「ウルグアイ 2010W杯ver」再インストール完了。


とにかく「リアクションサッカー」に徹して守らせた時のウルグアイは本当に強い(笑)

ウルグアイの布陣はこの時既に4-3-2で、攻撃は2トップに"行ってこい"のタテパス1本。


しかし、攻撃にかける枚数が減った事で、逆に鋭さが出てくるんだから

このウルグアイってチームは一体どうなってるんでしょうか・・・?(笑)


「多勢に無勢」の苦境にかえって興奮したのか、フォルランとスアレスが活き活きと躍動。


2人だけのコンビネーションでシュートまで持っていくのだから大したものだが、

間違いなくこの2トップ・・・ドMであるwww



アルゼンチンは数的優位を活かして総攻撃をかけたいのは山々なのだが、

この2トップが色んな意味で危険過ぎるのでDFの枚数を残しておかざるを得ない。



<パストーレ投入>


ウルグアイの守備が一気に締まった事で、

アルゼンチンの即席布陣のアラが徐々に表面化していく。


本来、中で仕事がしたいアグエロをサイドに、

サイドで仕事がしたいディマリアをトップ下で起用している並びでは

ボールは運べても決定的な崩しに弱さが否めない。


試合は膠着状態が続き、ようやくバチスタが動く。


ディマリアOUT⇒パストーレIN


そう、トップ下といえばこの選手がいたんじゃないですか!


この布陣でパストーレを使わなかったら何の為に召集したのか分かったもんじゃありません。

ていうか、スタメンで使え・・・!!



本職のトップ下が入った事で、アルゼンチンの攻撃は違う顔を見せ始める。


真ん中からサイドに流れたがっていたディマリアと違い、

パストーレは度々中央のスペースでパスを受け、攻撃の起点に。


特に中にカットインしてくるメッシと交わすワンツーのコンビネーションは

「これぞアルゼンチン!!」


「オレが見たいコパはこれだったんだよ・・!!」と思わず店長も膝を叩き出す。



が・・・さすがにいきなりの投入がこの局面では残り時間も足らず、

気がつけばマスケラーノが相殺の退場劇で

パストーレのポジションはボランチに下げられていた。

(何の為にグループリーグの3試合があったのか・・・!!)


試合は結局、ウルグアイの狙い通りにPK戦に持ち込まれ、

アルゼンチンは必然の敗北であった。



<アルゼンチンのコパアメリカ2011 総括>


「開催国」と「負けの許されないメンバー」、そして「世界最高の選手メッシ」という

三重のプレッシャーを背負ったアルゼンチンはまさかのベスト8敗退という結果で終わった。


アルゼンチン代表で「バルサシステム」の再現を狙うという

とんだ「ウイ○レ厨」&「WC○Fのやり過ぎ」だったバチスタ監督。


いくら何でも気付くのが遅すぎて、全ての試合で後手、後手に回ってしまった感じだ。


(店長が監督やってもベスト4は堅いで・・・このメンバー。(^^;)



開幕前から「フォワ充!フォワ充!」と散々イジってきましたが、

今からでも決勝戦に向けてパラグアイに何枚かレンタルさせていただきたいところである。



最後にバチスタ監督に一言かけて終わりにしよう。
























とりあえずDミリートに謝れwwww
(今大会、出番0分wwww)







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