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掴んだアジアの頂点 【アジアCUP決勝レビュー】

*2011-01-31更新 (アーカイブ記事)





<プロローグ>



実況 
『さあ、20××年シーズン、CL決勝【Rマドリー×バイエルン・ミュンヘン】の試合は
0-0のシーソーゲームのまま、延長後半を迎えました』





実況
『解説のベッケンバウアーさん、
今季のバイエルンは本当に充実したシーズンを送っていますね』





ベッケンバウアー
『仰るとおり。
一時期はプレミアやスペインに完全に水を開けられたと言われたブンデスだったが
今季のバイエルンの活躍がそれを過去のものとしてくれた』





実況
『やはり近年の"名より実"の補強が実った事が大きいですよね?』





ベッケンバウアー
『ドルトムントから引き抜いたシンジ・カガワはリベリー移籍の穴を完全に埋めてくれた。
リベリーに熱狂していたサポーターも今ではすっかりシンジの虜だよ。

更に中盤の司令塔としてロシアから引き抜いたケイスケ・ホンダはまさに新時代のトータルプレイヤーだ。
ケイスケのお陰でシュバインシュタイガーの負担もだいぶ軽減されたものさ』




実況
『ゲスト解説のクライフさんは、今季のバイエルンをどう見ていますか?』




クライフ

『カガワとホンダはもちろん素晴らしいが、地味ながらもCBに補強したマヤ・ヨシダ。

最終ラインで彼が見せる優雅なたたずまいは、まるでフランツ、君の現役時代を見ているようじゃないか…!』






ベッケンバウアー
『ハッハッハッ!確かにハンサムなところも私とソックリだ。(笑)』






クライフ
『それとロッベンの長期離脱の穴を埋めたミスター・ザキオカ。
彼もフランツがとってきたのだろう?』




ベッケンバウアー
『ザキオカはシュトットガルトでチーム得点王になるなど目覚ましい活躍を見せていたからね。
あのエネエルギッシュな動きはバイエルンの右サイドを必ずや活性化させてくれると信じていたよ』






実況
『さあ、ピッチ上ではRマドリーベンチに動きがあるようです。

モウリーニョ監督、ここで1トップのイグアインに代えて、
この冬の移籍市場でとってきたばかりのFW、タダナリを投入です。

この選手については手元にほとんど情報がありませんが・・・・』





クライフ
『彼については典型的な"持っている"選手と言っていいだろうね。
アジアの大陸選手権・決勝で信じられないゴールを決めていたよ。
以来、彼についた名称が ”アジアの・・・・』







実況
『おっと!ピッチ上ではRマドリーの”新たなロベカル”ことナガトモが
左サイドでラームに1対1を挑むぞ…!』







クライフ
『全く・・・既に延長後半だというのに、今試合が始まったかのようなあの動き。

彼には今季のクラシコで我がバルサも痛い目を見たからね(笑)
あのクラスの選手がイタリアの片田舎クラブにいたって言うんだから驚きさ。

もし私がモウリーニョより早く彼を発見していたら、
ペップに言って絶対にバルサの選手として迎えていたはずなんだが(笑)』






実況

『ナガトモがラームを抜いてクロス・・・! 

おっと中では完全に1枚、フリーになっている選手がいるぞ!?


あれは誰だ・・・!??』









ガタッ・・・・!!



(クライフが思わずイスから立ち上がる)









クライフ

『この形・・・!! 

間違いない、あのアジアCUP決勝で見たゴールと全く同じ形じゃないか・・・!』









実況

『中は完全にフリーだ!すでにボレーの態勢に入っているぞっ・・・!!?





誰だ!? あれは誰なんだ・・・!?』











クライフ

『あのゴール以来、彼についた名称 それが”東洋の・・・・


























実況&クライフ

『ジネディーヌ・タダナリだぁぁあああああああ~~~~!!!!!!』

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・・・・ハッ!



店長「どうやら居眠りをしてしまっていたようだな・・・・」



店長「何の夢を見ていたのかよく思い出せないけど、

やたら現実味(リアリティ)のある夢を見ていたような・・・・?」



店長「・・・おっと、こんな事している暇は無かったんだ。

急いで決勝のレビューをUPするべ」







<掴んだアジアの頂点>
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「いよぉぉおおおっしゃ・・・!!」




李のスーパーゴールが決まった瞬間、

店長と一緒に思わず立ち上がってしまった同士はこのブログ読者にどれぐらいいるでしょうか?(笑)





「日本一頑固なツンデレ」ことセルジオのスイッチをぶっ壊し、


後半頭から既に「飲み屋のオヤジ」状態だった我らが松木を

「新橋の駅前でネクタイ頭に踊り出した酔っ払い」に変えたあのゴール。




何のかんのと言ってみたところで

やはり"football最大の醍醐味"は「GOAL!の瞬間」でしょ!



そんな当たり前の事を思い出させてくれた

アジアCUP決勝「オーストラリア戦」を遅ればせながら検証していきましょう。




<オーストラリアの秘策>



まず、決勝で対戦したオーストラリアですが、あの舞台に相応しい好チームでした。


個々の技術、パワーでは日本を圧倒していたと言ってもよいでしょう。



180cmのキューウェル、178cmのケーヒルで組む2トップは

豪州規格でなくとも”小型コンビ”ですが、

日本はこの2人に対し、個々ではパワーでも太刀打ち出来ず。



決勝前のプレビュー記事でも取り上げましたが

ケーヒルはもう「190cm超え」のFWぐらいの気持ちで向かうべき選手であり、

キューウェルの胸板の厚さと身体の使い方は完全にワールドクラス。



オーストラアはこの2人でゴール前の競り合いと制空権は握れると読んで

明らかな対日本用の秘策を用意してきました。






オーストラリアから見た場合、日本のこれまでの試合を分析すれば

やはり「日本の左サイド」は非常にうるさいところ。


逆に言えば、ここを抑えてしまえば勝ちは約束されたようなものです。



中でも尋常ではないアップダウンを繰り返す長友をどうにかできないものか―



そこで、日本の事情にも精通しているオジェック監督が用意した秘策。



それが「徹底して長友の裏を突くべし」です。




実はオーストラリアの手持ちの駒にも

”豪州版・長友”とも言うべき活動量を持った

素晴らしいSBウィルシャーがいました。



序盤、オーストラリアは彼を使って、

徹底して長友の裏のスペースを突いてきます。



それを実際の試合のシーンで確認してみましょう。





【オーストラリアの徹底した長友潰し】

2011-01-31_14-41-35_entry-10785575474_o0590034111017396441.jpg



ボールを持っているのがウィルシャーです。


ここからCFのキューウェルにサイドに流れさせ、

長友の裏を突かせる事でCBの吉田を外に釣り出します。


この流れたキューウェルにウィルシャーが縦パスを送り、自らはパス&ゴー。



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局面はキューウェルが縦パスを受けたところ。

背後には吉田がマークで付いています。



吉田が外に釣り出された事で空いてしまったCBのスペースを

長友が埋めているのが確認出来ます。



これで日本のDFラインは吉田と長友の位置を逆転させられてしまいました。


加えて、パスを出したウィルシャーは更に裏のスペースを狙って、もう走り出しています。


2011-01-31_14-41-35_entry-10785575474_o0590034211017396420.jpg


キューウェルは無理をせず、そのまま上がってきたウィルシャーにボールを預けると

キューウェルに付いていた吉田は1対2の数的不利に陥ってしまい、

完全に左サイドを破られてしまいました。


長友もCBのカバーに入った手前、(加えてケーヒルが嫌らしい動きで中に入ってきてる)

自らも外に流れる訳にもいかず、ウィルシャーは完全にフリー。



長友と吉田を本来の仕事場から遠ざけ、日本の生命線を殺しつつ、

自分達はチャンスを作る一挙両得の作戦。




この形をオーストラリアが繰り返した為、

長友は得意のオーバーラップを封印せざるを得ません。



しかも、この秘策にはもう1つ、

オーストラリアの武器を活かす隠し味が存在するのです。





【狙われた内田】



日本の左サイドからファーサイドに高いクロスを上げれば

そこで競り合うのは必然的に逆サイドから絞ってくる右SB内田の仕事になります。



ご存知の通り、内田は決して空中戦の競り合いを武器としている選手ではありません。



オーストラリアは多少ラフでもいいから、ここに向かってフワリとしたボールを徹底。




松木「背の高い人用のボールですね。これは」


(注* ケーヒルとキューウェルの身長は180cm未満、吉田は191cm)





普通、クロスは「低く速く」入れるのが鉄則です。


何故なら、滞空時間の長いクロスではDFに対応する時間を与えてしまうから。




しかし、対応させた状態でもヨーイドン!の競り合いで「絶対に勝てる」という確信があるなら話は別。



高く上げた事で、ラフなクロスでも

キューウェル、ケーヒルの2トップにボールに向かう時間を与え(もちろん内田にも)、

そこで満を持して競り合わせる。




これがオジェックの仕掛けた2つめの罠です。




では、実際の試合で確認してみましょう。


2011-01-31_14-41-35_entry-10785575474_o0595042011017432264.jpg


局面は先程とは別の場面ですが、

相変わらずオーストラリアは徹底してウィルシャーを使った攻めを見せます。



長友と岡崎は分かっていても、対応に向かわざるを得ません。



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結局、長友と岡崎が引っ張り出された状態で、ウィルシャーにクロスを許す日本。



ここで注目したいのはキューウェルのポジショニング。



明らかに狙って内田と競り合う為の位置に、クロスが上がる前から入っています。


結局、このクロスは内田が競り負けてキューウェルにヘディングシュートを許す事に。



そして試合が進んでくると、

この攻撃に味をしめたオーストラリアが調子付いてきます。



右に張らせたウィルシャーを今度はオトリに使い、

中央からもボンボンと内田の位置に入り込ませた2トップへ向けてロングボールを入れ始めました。



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ややもすると↑と同じシーンにも見えますが、全く別の局面です。



真ん中からの放り込みですが、長友は相変わらずウィルシャーが気になって仕方ない様子。



今度は「空中戦の鬼」ケーヒルを露骨に内田と競らせてきました。



結局、このシーンはケーヒルが競り勝って

裏に抜け出たキューウェルにボールを落とす⇒キューウェルのボレーシュートは枠を外れる。





<ザック「奇跡の一手」を検証>
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オジェックの罠もあり、前半45分は圧倒的な豪州ペースで折り返し。



前半、そしてハーフタイムでもザックは懸命に形勢逆転へ向けた一手を思案していたはず。



店長も試合を見ながらアレコレと考えていたが、

考えれば考える程、状況は厳しい事が分かってきます。




まず、本来なら攻撃でアクセントをつけられる駒を投入したいところだが、

この役割を担う松井と香川は負傷離脱で、

藤本もいきなり回ってきた決勝の出番に消化不良を起こしている。



ところが、手持ちの持ち駒はアクセントをつける駒同士を結ぶ「リンクマン」柏木と

いまだ実戦でほとんど使っていない李の2枚。



かといって後半頭から細貝を入れて守り切る作戦はいくらなんでも早すぎる。




う~む・・・・


どんな名将でも頭を抱えたくなるようなこの局面、


(もし店長がザックのポジションにいたらとっくにサジを投げてますw)




ここまで定石を積み上げてきたザックが「奇跡の一手」を打ちます。



藤本OUT⇒岩政IN



この交代には、さすがに指揮官の意図を計るのに時間が必要だった。



一瞬、「ここで3バックかっ!?」と思いましたが、

あくまで表面上の配置は4-2-3-1のまま、

長友を一列上げて、今野を左SBへスライドさせてきました。



2011-01-31_14-41-35_entry-10785575474_o0580032011017460815.jpg



で・す・が・・・・・


この一見4-2-3-1に見える布陣には、今度はザックが仕掛けた隠し味の妙アリ。



守備時にはこの並びで間違いないのですが、

一旦マイボールとなって攻撃に移る際には各選手が持ち味を活かして赤の矢印のように動きます。




エネルギッシュな岡崎と長友の両サイドは言うに及ばずですが、

攻撃を持ち味とする内田が一列前へ、

逆サイの今野は守備に専念で若干中へ絞り気味に残ります。



そして戦況を見極めた本田が

日本の生命線である左サイドを復活させる為、基点を作るべく左サイドに流れる と。




すると・・・・・



2011-01-31_14-41-35_entry-10785575474_o0580032011017460817.jpg

あ~ら不思議。



あっと言う間に3-4-3がピッチ上で具現化されます。



攻撃で長友を蘇らせ、

守備では内田が豪州の2トップと競る必要がなくなり

岩政がしっかりと空中戦の強さを見せて
オーストラリアのロングボールをシャットアウト。



役割分担が俄然ハッキリしました。

ザックがこの決勝の土壇場で遂に伝家の宝刀3-4-3を抜いてきました!


(この采配には店長シビれたゼ・・・!!)




【ピッチ上で具現化された3-4-3】
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最終ラインの3バックこそ画面には入りませんでしたが、

前線の3トップと中盤のフラットな4枚のラインが確認出来ると思います。



又、これまでやりたい放題だったウィルシャーに

守備から解放した長友を当てた事で

今度はウィルシャーの裏のスペースを日本が突く形に。



長友は最終ラインから一列上がって、後ろに今野(画面外)が控える事から

安心して攻撃に専念出来ます。




この采配で一気に日本が形成を逆転。




CBを投入したのに結果として攻撃的になるというトリック。



まさに現状の持ち駒ではこれしかない!という神采配。




僅かCB1枚を投入しただけで、ここまで大掛かりな仕掛けを打つとは

完全に店長が想定した指し手の外、まさに「奇跡の一手」でした。




しかし、この一手はザックのその場の思いつきだったのでしょうか?




いくら日本代表の選手達と言えども、

いきなりの本番で初の3-4-3がここまで上手く機能するはずがありません。




ここで時計の針を遡り、昨年末、

このアジアカップに向けた日本代表の直前合宿の時の記事を抜粋しましょう。




~~~以下、朝日新聞の記事より抜粋~~~~


サッカーのアジア杯に向けた日本代表合宿は30日、堺市内で紅白戦を行った。


ザッケローニ監督は、イタリア時代から精通している「3―4―3」の布陣を試し、

就任後初めての国際大会を目前に自分の色を出し始めた。



 3バックのこの布陣は、ザッケローニ監督がウディネーゼで成功を収めた際に練り上げ、

同監督の代名詞といえるもの。


初めて取り組んだ29日の練習では、約1時間かけて身ぶり手ぶりを交えて基本の動きを教えこんでいた。



アジア杯は従来の4バックで臨むというが、

「試合でチームの顔を変えられるよう、両方できるようにしたい。

現代サッカーは一つのシステムだけでは厳しい」


と狙いを語る。




朝日新聞 2010.12.30


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




ザック・・・・事前に仕込んでやがった!!



これが当時、一部でアジア杯は3-4-3!の憶測を生んだりもしましたが、

やはりベースは4-2-3-1というのがザックらしいバランス感覚。



それにしても有事の際の奥の手を用意しつつ、

実戦では常にバランスをとった定石を積み上げ、

いざという時には思い切った一手を打つ決断力・・・・




この男、どうやら本物です。




<ザックJAPANが掴んだもの>




ザックJAPANはこの勝利でもちろん「アジアの頂点」という称号と

「コンフェデ杯 出場権」というチケットを手にしました。




しかし、今大会で彼らが掴んだ最も価値あるもの、


それは"国民の信頼"です。



この大会を見た者なら店長でなくとも、

この代表をザックに3年も預けたら、一体どんなチームが出来上がるのか、

その未来に想いを馳せてワクワクした事でしょう。




このアジアカップを見た多くの人も、

次のコパアメリカは見ずにはいられない大会になりました。




気が付けば、コパアメリカに向けて

選手達はもちろん、我々も揺ぎ無い自信を得て、

ザックJAPANの航海は続く―



関連記事
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大会史上に残る激戦  【アジア杯準決勝 日韓戦レビュー】

*2011-01-26更新 (アーカイブ記事)





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<大会史上に残る激戦>



日韓戦、前日の記者会見でザックはこの試合をこんな風に例えた。



「この試合は欧州におけるイタリア×ドイツ、南米におけるブラジル×アルゼンチンのようなものだ」




宿命のライバル、数々の激闘、絶対に負けられない相手 ―



積み重ねてきた歴史だけが作り上げる伝統の重み。



"アジアのクラシコ"と呼ぶに相応しいこの一戦を迎え、

帰りの電車でも


「試合、間に合うかな」 「韓国に勝てるの?」


そんな会話を交わす人々を見かけた。



瞬間最高視聴率で40%を超えるなど、

昨夜は久しぶりに ”日本がfootballに酔いしれた夜" となった。




試合は韓国が日本の良さを引き出し、日本が韓国の力を引き上げる一進一退の攻防。



日本人は「ザックJAPANが持つポテンシャル」を発見し、


韓国人は「韓国サッカーの底力」を再確認したはずだ。




お互いが「勝利への意思」を乗せてプレーする120分は

観る者にチャンネルを変える余地を与えない。


(こんな試合を毎試合見せてくれたら僕らの業界も安泰なんですけどね~ww)



"大会史上に残る激戦"を共に作り上げた韓国には、

勝敗を抜きにして、こんな近くに素晴らしい好敵手がいる幸運を

いちサッカーファンとして感謝せずにはいられない。



<日韓戦 レビュー>


では、試合を検証していきましょう。



試合前、カタール戦を終えて批判の集まっていたFW前田、

痛恨のミスから失点を喫したGK川島のスタメン落ちも一部では囁かれていたが

ザックはこの大一番に不動のスターティングオーダーを送り出す。



この指揮官からの絶大な信頼に

前田はゴール、川島はPK阻止という最高の形で応えた。



ザックのチームマネジメント、人身掌握術の一端が垣間見える隠れた好采配だ。





キックオフと共に、試合は中盤の主導権争いから始まった。



1トップの前田がこの大一番で自らの持ち味を思い出したプレーを見せると

これまで詰まっていた物が一気に流れ出したかのように

日本のパスがスムースに回り始める。



試合前には警戒されていた韓国の右SBチャドゥリは

長友が攻守に渡り 機動力で圧倒。


大型トラックのパワーを軽自動車の小回りで凌駕した。



この長友を軸に香川と本田で作る

日本の左サイドのトライアングルが再三に渡ってチャンスを演出。



今大会で最高の出来を見せた日本代表に対し、

やはり中盤の構成力では劣勢に立たされる韓国代表。



そこで韓国は、すかさず中盤を飛ばしたロングボール主体の攻撃に切り替え、

日本に揺さぶりをかけてくる。





これで微妙に試合の流れが変わり始めると

1本のロングボールから韓国にPKが与えられる。




このブログでは、あくまでピッチ上のプレーと戦術に絞ったレビューでお送りするので、

敢えてここでジャッジングの問題に触れる事はしません。



まあ、このPKによって解説・松木氏のエンジンを一気に点火させる事に成功―



ぐらいに捉えておけばいいんじゃないかと思います(笑)





松木「なんなんだコレは!? なんなんだコレ!? えぇっ・・・!?」





<ザック采配を検証>



思わぬ先制点の献上にも動じる事なく、すぐさま前田のゴールで追いついた日本。



後半は韓国が得意の肉弾戦に持ち込んでプレッシャーを強めてくると

徐々に受けに回らざるを得ないザックJAPAN。



やはり事前の見立て通り、チームの総合力では韓国が一枚上。



そこでザックは運動量の落ちてきた香川に代えて細貝を投入。


中盤を3センターにして守備を強化。

(4-3-3へ布陣を変更)



この辺の一貫した見切りと駒扱いはさすが。





延長では、前半の"疑惑のPK"の帳尻合わせで今度は日本にPKが与えれて勝ち越しに成功。



ここでザックは前田を下げてCB伊野波を投入。


DFを5バックにして前線は岡崎と本田の2トップによる5-3-2へ。



最後の交代枠は足を吊った長谷部を本田拓にパーツチェンジで使い切った。

(布陣はそのまま)



ここで、この采配に集まっている批判

「5バックにした事でベタ引きに」
「本田拓の無用なファウルからのFKによる失点」について言及したい。




まず、「5バックにした事でベタ引きに」について。



延長突入前、ザックはしきりに身振り手振りで「コンパクトに!」を指示していたが、

あの時間帯、すでに極限まで疲労していたピッチ上のイレブンは

”頭では分かっているが身体が動かない”状態に陥っていた。



DFラインもMFラインもなくスクランブル状態で守る日本が

もしあの時、無理にラインを上げようとすれば

それこそバラバラのギャップを突かれて韓国の選手にどフリーで抜け出される危険性がある。



トルシエJAPAN時代のフラット3で何度か喫した事のある失点パターンだが、

この延長後半にそんなバカげた形で失点する事だけは避けねばならない。



もちろん、それでも卓越したライン統率能力を持つCBがいれば話は別だが、

今野と岩政にそれを求めるのは酷というもの。



そこで、限界がきていた今野と岩政を助け、

中央の守備に厚みを持たせる伊野波の投入と5バックへの変更は理に適った一手だと見ます。







もう一点の「本田拓の無用なファウルからの失点」について。



この戦術も組織も効かないカオスな時間帯において、

あの瞬間 「後ろの人数は揃ってるから無理に当たりに行くな」というのは

完全な結果論ではないだろうか?



そもそも他の選手達に限界が来ている時間帯で

「無理をしてでも止めに行く」為に本田拓は投入されている。



それこそ、あそこで当たりに行かず、

結果としてクロスを上げられ失点していたら

「何故、無理してでも止めに行かなかったのか。途中出場で体力もあっただろうに」

と言われていた可能性すらある。




結果的に

戦局を一発で変えるウルトラCの奇手こそ無いが、

非常に理に適った定石を積み上げるザックの采配がこの日も見られたと思う。





<本田圭佑のブレイクスルー>
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最後に、この男の常軌を逸したプレーに触れないわけにはいかないだろう。



この試合に本田のブレイクスルーを見た。



強引な突破や派手なシュートこそ無くなったが


サイドに開いて香川、前田にスペースを空けたかと思えば、


ボランチの位置まで引いてきてのゲームメイク、


と思えばサイドからのクロスにはゴール前に現れて頭で合わせる―




これぞ”トータルフットボールプレイヤー”と形容できる

時代の最先端を行くプレーを披露。



「百聞は一見にしかず」という事で

この大会で本田がどれだけ進化したかを見てもらう為に

初戦のヨルダン戦と昨夜の韓国戦における本田のプレーエリアを見てもらいたい。





【ヨルダン戦 本田のプレーエリア】
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【韓国戦 本田のプレーエリア】
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化け物か コイツはwwww




どうやら本田圭祐というプレイヤーに関して、僕は少々誤解していたようです。



最初、VVVフェンロンで頭角を現した時には、

その見たくれと言動に加え、

それこそイケイケのエゴイストなプレースタイルから


「う~ん・・・ 諸刃の剣か。危うい駒だな」



と見ていたが、

2010W杯では1トップとして献身的なプレーを見せ、



このアジア杯では更に進化して、

香川や前田を活かす為の完全なバランサーとして機能している。




そこで、この本田が持つ抜群のサッカーセンスが発揮された

韓国戦でのシーンを2つ検証してみましょう。




<本田が見せるスペースメイク>


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局面は本田が左サイドに流れた位置からボールを受けようというシーン。


遠藤からのタテパスを感じつつ、

視野の隅で後方から上がってくる長友を確認する本田。


(ミドリで囲ってあるのが長友です。)


マーカーのチャドゥリを中に釣り出す。


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遠藤からのクサビをチャドゥリを釣り出しながら受け、

ダイレクトで遠藤へ戻す。


この何気ないワンツー1回で

長友が上がるスペースを本田が意図的に空けているのが分かる。



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遠藤は突っ立ったまま、

本田から戻されたボールをダイレクトで長友の鼻先へ出してやるだけで

韓国ディフェンスを完全に崩せている。



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裏に抜け出た長友が、これをダイレクトで中へ折り返すと

合わせた岡崎のヘディングシュートは惜しくもポスト直撃!




松木「入った! 入った!」





遠藤→本田→遠藤→長友→岡崎



と全てダイレクトによる崩しは「アジアのバルサ」の名に相応しい攻撃。



遠藤がシャビ、本田がビジャ、長友をアビダルに置き換えても

バルサの左サイドで見られる崩しと何ら遜色は無い。





<本田が見せるスペースメイク2>


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日本の同点ゴールが生まれたシーン。



中盤でボールを受けた本田の前には

等間隔で綺麗に整った韓国の守備ブロックが築かれている。



当然、このままでは日本のチャンスは生まれない。



しかし、前述したシーンで韓国の右SBチャドゥリが

ボールに釣られやすいというクセを見抜いていた本田。



そこでこのチャドゥリの弱点を利用すべく

韓国の守備ブロックに向かってゆっくりとボールを持ち出す。



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後方からチャージを受けつつも抜群のキープ力を活かし、

ブロックの中へドリブルで突き進む本田。


韓国はこの本田をケアする為に守備ブロックを狭めざるを得ない。


この時、チャドゥリの視野は完全に本田に向いており

自らの背後を抜けようとする長友は完全にノーマークになっている。



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最初はバランスの取れていた韓国の守備ブロックが完全に本田1人に翻弄され、

再び狙い通りのスペースが創出された。



ここで本田は韓国DF4枚が完全に自分に集中するギリギリまで"溜め"を作ってから

最高のタイミングでスルーパスを通す。



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先程と全く同じような崩しから今度は前田が決めてくれました。



断言してもいいですが、

間違いなく最初のシーンの段階(ドリブル開始時)で

本田の頭の中にはこの「3秒先のゴールシーン」が浮かんでいたはず。




香川のようにキレのあるドリブルではないものの、

味方をフリーにし、無かったはずのスペースを創出した

「2手、3手先を読んだ」本田のドリブルがゴールを生んだ。




韓国DF4枚相手にあそこでもし本田が潰されていれば、

長友と一緒に置き去りにされるカウンターの大ピンチに陥る局面。




自らの技術、キープ力に絶対の自信があり、

尚且つ周囲の味方の配置、韓国の守備陣系を視野に入れた判断力。



今、本田は確実にプレイヤーとして一つ上のステージに昇りつつある。






ちょっと話は飛ぶが、ここで新銀河系のRマドリーの話を持ち出したい。




昨年、Cロナウド、カカの2枚看板の共演が期待された新星銀河系だが

この2人のプレーエリアとプレースタイルが被ってしまった結果

なかなかチームが機能しない状態に陥っていたRマドリー。



そこに今季エジルが加わり、カカの怪我を受けて代役で出場すると

見違えるようにチームが機能し始めた事は皆さんご存知の事と思う。



自ら仕掛けるカカと違い、エジルの周りを使うプレー、

トップ下から降りてきてCロナウドにバイタルエリアを使わせる動き、

これらが上手くハマった。




ちょっと大袈裟に表現すれば、

このカカ→エジルのバトンタッチを本田は自ら1人の選手の中で行ったかのようなプレースタイルの変貌だ。




香川(Cロナウド)は、この恩恵をモロに受けている。




派手さは減ったものの、地味ながらも抜群のゲームメイカーとなった本田を決勝でも注目していきたい。



関連記事

瞬間 心重ねて 【アジア杯 カタール戦レビュー】

*2011-01-22更新 (アーカイブ記事)




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<奇跡の価値は>


これでこそアジアカップ。


昨夜のカタール戦はサッカーの醍醐味が詰まった なかなかの好ゲームが展開されました。



全国民が待望していた10番 香川の あの展開の あの時間帯でのゴールには


思わずザックと一緒に「よっしゃ!」のガッツポーズが飛び出てしまった人も多いはず。





さりとて、ヨルダン戦「新星現る! 吉田!」 ⇒ シリア戦「本田△!」 ⇒サウジ戦「日本のエース 岡崎!」と来て、


今朝の一面が「やっぱり香川! 持っている!」ではあまりにも・・・なので、

このブログではもうちょい突っ込んで昨夜のカタール戦をレビューしていきましょう。




<今大会 最大の収穫>



昨夜の試合は地元カタールとあって、スタジアムは超満員。



しかも相手はアジアの盟主、宿敵 日本という事もあり、

カタールの選手達のモチベーションは試合開始からMAX状態。



対する日本は、解説・松木さんのエンジンの暖まり具合と比例するように

今ひとつの出足。



どうも今大会の日本代表は松木さんの調子が出てくると同時にエンジンがかかるような気がするのは気のせいか?(笑)


(テレ朝で大会を見続けている人には もはや「松木JAPAN」!?ww)




帰化選手を軸にしたカタールの前線は前を向かせると非常にうるさい存在。


特に吉田は前半からセバスチャン相手に苦境に立たされ、

カタールの先制点の場面では切り返し一発で外されると

その後はファウルで止めるシーンが増えてゆき、

遂に後半開始早々に退場に追い込まれてしまった。



もし、これをもって吉田を戦犯にするような論調が出てきてしまうようだと

それは非常に勿体の無い話。




改めて確認すれば、

彼はトゥーリオの欠場を受けて急遽先発のバトンが回ってきた初代表の若者である。



しかも移籍したオランダでは怪我による長期の離脱もあって、

このようなガチンコの試合は彼にとって初めての経験だったであろう。



そんな中、最終ラインから堂々と攻撃を組み立てるあの姿は衝撃的ですらあった。



もちろん、中澤やトゥーリオらと比べれば まだまだ「相手を止める」という点では及ばない。



だが、フィードのセンスがないCBにプロになってから一流のフィードを求めるのは難しいが、

守備の技術はこれから積む経験次第でいくらでも向上するものだ。



吉田に必要だったのは、まさにこのカタール戦のような経験で、

是非ともこの逸材を今後「4年スパン」という長い目で育ててもらいたい。




もしこの先、日本がこの大会で優勝しようとも

”今大会の最大の収穫は吉田であった" という認識に何ら揺るぎは無い。





<瞬間 心重ねて>



まさかの吉田退場の後のFKによる失点。



完全に追い込まれたかに思われた日本代表だが、

これが逆に勝利への契機となるのだからサッカーは面白い。



ヨルダン戦のロスタイム、シリア戦の10人になってからの展開にも言える事だが

このチームは追い込まれてからが強い。



…とだけ書くと何だかやたらドラマチックに仕立てたがるスポーツ誌の原稿みたくなってしまうのでw

ここでは「追い込まれる前」と「追い込まれた後」で

日本代表選手の何が違ってくるのかを具体的に検証していきたいと思います。




採り上げるのは、もちろん昨夜のヒーロー 香川選手。


(ようやく香川を採り上げられるよ!何だから嬉しいですね!ww)




【前半 香川のプレー】
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前半の香川の象徴的なプレーです。


これは左サイド際でボールを受けるシーンですが、

身体の向きからも分かる通り、中に切れ込んでから

前にいる本田や前田を使っていこうという意図が伺えますね。



確かに中盤の1枚として、こういう「つなぎ」の部分を担うのは一概に悪いとは言えません。



しかしこのシーン、カタールの側に立って考えてみた時、

「守備ブロックの外」で受けて「つなぎ」で終わる香川に果たして怖さを感じるでしょうか?



続いてもう一つ、今度はサイドではなく中で受けるシーンを検証。




【前半 香川のプレー】
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タテパスを中盤で受けて、ポストプレーを落とそうとしているシーンです。


見て分かる通り、 「立ち止まった」状態で「ゴールに背を向けて」受けている為、

カタールのDFが思い切って寄せに行っています。



どちらも中盤で「つなぎ」をこなしているシーンですが、

前半の日本は香川に限らず全ての選手が「つなぎの為のつなぎ」に終始していました。



要するに ちょっと「カッコよく」「綺麗に」崩してやろうと余裕ぶっこいていた訳ですね。



もっとストレートに表現すれば"ただ何となくつないで"いる状態であり、

まさしく前回のブログで取り上げたところの「球蹴り」状態。



あのスペインですら、悪い時はこの状態に陥っての負けパターンは過去にいくつもあるぐらいです。


これで日本がモチベーション満タンのカタールから点が奪えるはずがありません。




しかし後半、退場者を出して追い込まれた後、

ようやく日本の選手達のプレーに変化が生まれてきます。



プレーの一つ一つに「勝ちたい」という意思、

つまり1-2の現状から「得点を奪る」という意思の元、選手全員の意思が”瞬間 心重なって"きました。



では、後半の香川のプレーを見ていきましょう。



【後半 香川のプレー】
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もう中盤で綺麗につないで満足している場合ではありません。



その意識が前半のサイドで受けた場面と比べても明らかに香川のプレーを変えています。



まずボールを受ける位置が「相手SBの手前」ではなく、

一発でカタールのSBを振り切れる 相手からしたら非常に危険な位置に。


(「守備ブロックの外」から「中」へ)



続いて身体の向きを見て下さい。


前半とは打って変わり、ゴールへ向かっています。


そうなると自然と香川の視野もゴールへ向けられるわけですね。





そして次の中で受ける場面が日本の2点目のシーン。


これぞ香川の真骨頂が現れた場面です。



【後半 香川のプレー】

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前半のシーンでは、この本田がボールを持っている位置で香川が受けていましたね。


しかし、この場面では中盤の「つなぎ」を下りてきた本田と日本の中盤2枚で作った3角形に任せ、


(中盤で三角形を作るとそこでボール回しが安定します。

前半は11人いたのに作れていなかった!)


香川自らは裏のスペースへスピードに乗った長いフリーランニング。



ここにタテパスが送られて岡崎ともつれたこぼれ球を拾った香川が

迷い無くシュートを振り抜きました。



この前を向いて スピードに乗った状態でゴール前に走り込んで来る香川



これこそドルトムンドで見せている彼の真骨頂であり、

アジアレベルでこの香川を止められるチームはいません。





<勝利への意思を込めて>



この後半は香川だけでなく、



遠藤のパスからも「展開」ではなく「崩し」の意識が感じられ、


長谷部からは中盤のこぼれ球を全部「自分が拾ってやる」というダイナミズム、


岡崎はゴール裏に抜けるだけでなく 自陣に戻っての守備から、速攻の起点になるなど



各選手が「勝利への意思」を発し始めます。




決勝点を決めた伊野波にしても、キャプテン長谷部をして


「何故あの時 伊野波があそこにいたのか分からないww」


と言わせる程のアグレッシブなポジショニングでしたが、



あれも彼なりにこのまま10人での延長突入は不利と感じての

「勝利を求めた」意思だったと見ます。



守るべきところではしっかり守りつつも、

訪れた一瞬の勝機にはリスクを負って前へ出る。



こういう一瞬の判断こそがサッカーの勝敗を決定付ける分かれ目だという事を

昨夜、我々も日本代表も実感した事でしょう。






「11人の前半」と「10人の後半」



恐らくパスの本数もポゼッション率も後半の方が落ちていると思います。



しかし、カタールがどちらのチームに怖さを感じたか



我々がどちらのチームに想いを託したか



そんな事は今更、ここで僕が書くまでもないでしょう。





次の準決勝では松木さんがキックオフからMAXテンションになるような試合でお願いしますよ…!



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収穫なき快勝 【アジア杯 サウジ戦を振り返って】

*2011-01-18更新 (アーカイブ記事)





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<収穫なき快勝>



さて、日本のGL突破が懸かった昨夜のサウジ戦。



早々に2連敗で敗退決定のサウジは

監督解任に続いてサッカー協会の会長まで辞任する中東お得意の内紛勃発。



地力での首位通過を目指す日本に対し、

サウジアラビアは既にチームの体を成していないも同然の状態で

試合前に決着は着いていました。



きっとサウジの選手達は試合中、帰った後のバカンスの事でも考えていたのでしょう。



これでは飲み屋のオヤジ・・・・もとい、解説の松木さんのテンションが上がらないのも致し方ないですね!





< 必要なのは悲観でも楽観でもなく "客観"的な視点 >




「日本のエース岡崎 覚醒!」 「前田、遂に本領発揮!」 「秘密兵器・柏木に収穫」




今朝のスポーツ新聞の見出しは大方、こんなところでしょうか?



前の2戦での煮え切らない試合の後のゴールラッシュに

つっかえていた物が取れたかのような爽快感は分からなくもありません。





・・・・で・す・が。




果たして昨夜の日本代表は前の2戦に比べて大きく進歩していたのでしょうか?





・・・・否、


敢えてここで店長が言いましょう。




5-0の快勝も、内容では前の2戦と大差無し と。





変わったのは相手が全くやる気の無いチームだっただけで

日本が展開したサッカー自体にこの3戦で大きな変化はありませんでした。



サッカーは同じような内容の試合をしていても結果が全く変わってくるスポーツです。




考えてみれば、ピッチ上で日本代表が見せているサッカーが同じなのに、

その結果によって我々だけが悲観したり楽観したりと踊らされているのは少し奇妙な光景。




故に、このブログでは敢えて天邪鬼的にアジアCUPの日本代表を検証してきたつもりです。




初戦、格下相手にまさかの引き分けスタートで

「ザックJAPAN 大丈夫か!?」の悲観ムードが漂い始めたヨルダン戦では、

敢えて「吉田の好プレー」などのポジティブな面と「アジア大陸全体のレベル向上」を取り上げ、



「疑惑の判定」に話題が集中したシリア戦では、

あくまで日本代表のピッチ上の「戦術的な分析」を



そしてこの5-0快勝のサウジ戦は

「収穫なき大勝」として取り上げたいと思います。




何故なら店長は、日本代表を見守るのに必要なのは

楽観でも悲観でもなく "客観的"な視点だと信じているからです。




<日本のゴールラッシュを検証>


では、昨夜の日本のゴールラッシュを検証していきましょう。



基本的な流れはこうです。




岡崎が裏へ抜ける





サウジDF 誰1人 付いてこず





ボールを持ったドフリーの遠藤(香川)からタテ1本





抜け出した岡崎へ





サウジ あぼ~ん





この岡崎のゴールで試合が早々2-0になるとサウジDF陣は更にやる気を無くし、

ついには裏抜けだけでなく、ゴール前で待っている前田すら 誰も捕まえにいかなくなり

日本とすれば「クロス入れ放題」、「中で合わせ放題」のシュート練習状態。



個々の能力面を別にすれば、昨夜のサウジDFの連携レベルは

日本代表が調整で行う大学生との練習試合と大差なし。



もし、JリーグのDFレベルがあの程度だったら

岡崎は年間50点は取っているはずですから(笑)



つまり昨夜のゴールラッシュは、

地元の大学生チームと練習試合をやって 攻撃の形を確認した 


ぐらいに捉えておくのが丁度いいでしょうw





<それでも見えた収穫と課題>



・・・と、ここまでピリ辛風味で書いてきましたが、


(決して月9の出来にイライラした結果ではない)



最後に、それでも見えてきた 日本の収穫と今後に向けた課題をさらっと触れておきましょう。




まず日本のエース・ザキオカさんこと岡崎選手。



前2戦でも確認できたコンディションの良さを

松井の怪我というアクシデントで回ってきた先発のチャンスで見事活かしてくれましたね。



FW前田を含め、日本の中盤から前線の選手は皆、軒並み優れた足元の技術を持っているのですが、

いかんせん長い距離を走ってスペースで受けようという選手がいません。



岡崎は足元の技術では決して日本代表の中でも上位という訳ではありませんが、

反面・・・・・いや、それ故に 「よりフリーで」「よりいい状態で」ボールを受けようと

常にスプリントを繰り返しています。



昨夜は、この岡崎の動きが日本の攻撃のスイッチの役割を果たしていました。



(ちょっと大袈裟ですが、

銀河系Rマドリーでジダン、フィーゴ、ロナウドらの攻撃スイッチを担っていたのがラウールだったように)






何より岡崎の真骨頂はゴール前での動き方にあります。




【サウジ戦 岡崎のプレーエリア分布図】
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注目して欲しいのは、”中盤ではサイドに張ってプレー”しつつも

ゴール前では中央に向かってグググーッ!と走り込んで来る動き”です。



まさにこの動きでゴールが生まれた訳ですが、

これをチーム全体の配置で考えた時、


左の香川がドリブルで切れ込んでからのクロス⇒逆サイから中に入り込んできた岡崎へ

という画が頭に浮かびますよね?



今後、日本の武器にしていきたい一つの形と言っていいでしょう。






もう1人、初のお目見えとなった柏木にも触れておきたい。



トップ下に入ったこの試合では、決定的なプレーという面では本田圭、香川の両者に譲るものの、

その我の無いシンプルなプレーで攻撃のリズムを作る一面は見れたのではないだろうか。



やはりこの選手は、ドッカリとトップ下に座らせるよるは、

むしろ本田と香川のようなタイプの選手をシンプルに繋ぐ”リンクマン”として

その本領を発揮出来るだろうと見る。



<三人称の攻撃を>


さて、今後に向けた課題ですが、もちろんこの攻撃がこの先の

韓国、オーストラリアのレベルの国にそのまま通用しない事は火を見るより明らかだ。



では、我々は何を望み、チームとしてどこを進化させるべきなのか―





基本的には、現在の日本代表の攻撃は”二人称”で完結しています。



つまり、パスの「出し手」と「受け手」の関係ですね。



サウジレベルのDFなら、これでも問題はないんです。



前述したように「出し手」の遠藤のパスと「受け手」の岡崎のフリーランニングで点は取れるのだから。




しかし、この先のレベル、それこそ世界の強豪を持ち出すまでもなくシリアやヨルダンですら

この”二人称”の攻撃はしっかりと抑えてきます。



(だからこそ、前の2戦はスッキリとした形で点が生まれていない)





このレベルの守備を打ち破るには日本の攻撃もそれに合わせてレベルUPする必要があります。



つまり、”二人称”の攻撃を”三人称” ”四人称”にしていかなければならない訳です。




岡崎のフリーランニングを、あくまで”囮”として使って、

空いたスペースに3人目、4人目が湧き出てくる津波のような攻撃が望まれます。



サイド攻撃にしても単純にSBのクロスから中で待つ前田 では潰されてしまうでしょう。



これを一段進めて、クロスに対し前田がニアで潰れて本田がファーに流れてDFを釣り出し、

後ろから走りこんだ長谷部、柏木が空いた(空けた)真ん中に突っ込む!


・・・というような形を構築していかなければなりません。






幸か不幸か、次の相手は地元カタールと本物のアウェイでのタフな試合が用意されました。




この試合で日本代表の更なる”進化”と”真価”を見守っていこうではないですか。







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松木が吼えた夜 【日本×シリア戦 レビュー】

*2011-01-14更新 (アーカイブ記事)




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ザック「こ・・・・・これがアジアか・・・・(ゴクリ)」







アジアCUP第2戦 「日本×シリア」




ー後半30分



事件は突然起こった。






追加点こそ奪えなかったものの、

日本は前半の先制点を守ったまま試合は膠着状態。




深い時間帯だった事もあり、

ともするとやや眠気が日本国民を襲いかけていた そんな時間帯だった。



長谷部の中途半端なバックパスを慌ててけり返したGK川島のミスキックは

そのままシリアの選手の足に当たって再びゴール前へ。


このボールを抑えようとGK川島が相手選手へ向かって必死に跳びついた瞬間、

副審の旗が上がり、主審はPAを指して笛を吹いていた。




「PK? オフサイド?」



戦況を見つめていた我々に突きつけられたのは

何故か川島に対するレッドカードだった。




「・・・ちょwww」



これにはさすがに日本国民も目が覚めた。



そして僕は何故か むしょうに"あの人"の声が聞きたくなり、

無意識の内にチャンネルをテレ朝に回していた。





そこは既に・・・・・




「松木安太郎 オンステージ」と化していた。









松木「ねぇ? 何なんすかコレ? 何なんすかコレ!?」


(川島の退場とPKに)









日本のカウンターのチャンスに




 ↓    ↓    ↓






松木「よし! 内田も来い! 内田も来い!」





内田(・・・!??)











長友のクロスに



 ↓   ↓   ↓





松木 「いいクロスだ・・!!」





(クロスはゴールラインを割る)










長谷部のファウルに



 ↓  ↓  ↓



松木 「悪いファウルじゃないですよ!!」








岡崎のオフサイドに



 ↓   ↓   ↓



松木「悪いオフサイドじゃないですよ!!」











岡崎がPK獲得!  


実況「さあ!松木さん、ここは日本 是が非でも決めたいですね!」




 ↓   ↓   ↓



松木「今は黙って見ましょうよ!」
(それまで散々騒いだ後に)









本田がミスキック気味(?)ながらも ど真ん中にPKを決める



 ↓  ↓  ↓



松木「まぁ、いいんだ 入りゃぁ ヘヘヘッ!www」













ロスタイム6分が告げられる



  ↓   ↓   ↓


松木「ふざけたロスタイムだな!これ」




 






緊迫したロスタイムの攻防の最中・・・・



  ↓    ↓    ↓



松木「ここは時間を上手く使って欲しい!」









その後すぐのシーンで



 ↓   ↓   ↓



松木「もう 時間を考えないで行って欲しいですねぇ!」









これだ・・・・。wwww



僕はこれが聞きたかったのだ。



一瞬にして場末の飲み屋でTV観戦しているかのようなこの安心感。




アジアのカオスな試合には松木の解説がよく似合う。



そんな事を思った「日本×シリア」戦なのであった。





<空回りの香川>


・・・・さて、前置きはこれぐらいにして。


そろそろシリア戦の本格的なレビューに入りましょう。




注目のスタメンはヨルダン戦と変わらず。


戦前では「香川をトップ下に持ってくるのでは・・・」との声もあったが、

結局全く同じ並びとメンバーをザックはこのシリア戦に送り出した。




しかし、ヨルダン戦での「攻撃の停滞」を受け、

ピッチで1人、明らかに動きに変化のあった男がいた。



本田圭祐である。



トップ下の位置で渋滞を起こしていた課題をピッチ上で感じていたのか

この日は積極的にボランチの位置まで降りたりサイドへ流れたり、

意識的に中央のエリアを空けていた。




【シリア戦の本田のプレーエリア分布図】
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バイタルエリアに留まらず、ボランチのエリアまで引くか、裏へ抜けるかを繰り返す事で

意識的に中央を空けていた事が分かる。



本田がボランチまで降りてくる事でボールを受ける回数が格段に増え、

尚且つ代わりに長谷部を押し上げて

遠藤、本田がボランチの位置に並ぶ事でボール回しが安定した。



比較データとしてヨルダン戦の本田のプレーエリアはコチラ↓



【ヨルダン戦の本田プレーエリア分布図】
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赤いエリアがヨルダン戦とシリア戦で正反対になっているのが分かるだろう。



これはザックの指示というよりは、本田自身の自己修正による変化と見る。


この選手、意外と(?) 戦術判断力が高いかもしれない。





そして、この本田が空けてくれたエリアを傍受したのが、

この日も1トップを努めた前田。


【シリア戦 前田のプレーエリア分布図】
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ただこの日も前田はチャンスを活かす事が出来なかった。



まあ、ゴールに関しては水もの的な要素もあるので、

1点決まってしまえばあとはポンポン入ったりするのかもしれないが・・・。



それよりも前田で気になるのは、身体を張ってボールを守れない点だ。



このシリア戦でも自分より明らかに身長の低いDFに身体を寄せられて

ブロック出来ないどころかよろけていたのは気にかかる。


CFならば最悪倒れてもファウルがもらえるようでなければ厳しい。




更に最大のブレーキとなったのが10番を背負った香川だ。


ブンデスリーガでも、ドルトムント相手にここまで極端に引いてくる相手は中々いないのだろう。


密集地帯に向かっていつものようにスピードに乗って突っ込んで行っては潰されていた。



もう少しワンツーを使ったり、

敵を自分に集中させておいてフリーになった味方にはたくなどの

プレーバリエーションを見せないと、アジアとは言えあのブロックを突破するのは容易ではない。



この選手は本田とは逆に、意外にも(?)戦術的な判断レベルは今ひとつかもしれない。




思えばドルトムントでも「香川のチーム」というよりはその実、
「香川を活かす為のチーム」という面がある。



周囲の選手が上手く香川の為に立ち振る舞って、

一番彼が得意な形でボールを受けられるようにシステムが構築されている。



終まいには上手く前線でボールが受けられないと焦れてしまい、

中盤のかなり低い位置まで降りて来ていたが、あれではシリアの思う壺である。




【シリア戦 香川のプレーエリア】
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(ボールを受ける位置が明らかに引くく、途中で潰されているのでゴール前まで上手く入り込めていない)



この"香川のブレーキ"を受けた後半頭の「香川 out ⇒ 岡崎 IN」の交代は

ザックの客観的な視点が光る一手。




いくら香川の動きが悪いといっても10番を背負った日本の切り札である。



これまでの指揮官であれば、なかなかあの早い時間帯で見切りはつけづらい。



ザックのあくまで戦術的に ドライに選手を見れる視点が光った。





<際立った本田の高い技術>



試合がカオスになればなる程、



日本の選手達が慌てれば慌てる程、



本田圭祐の高い技術と安定感が一際目に付いた。




”いて欲しいところにいる”



”ボールが収まる”



”周囲が見えている”




本田の技術的な下地はもはやアジアレベルでは頭一つ抜けている。



ボールを渡して 一番ボールロストする確率の低い選手には自然と味方からボールが集まってくるもの。


どことなく全盛期の中田ヒデが日本代表で担っていたポジションを思い起こさせる選手だ。





<積み重ねてきたもの>


スーパーサブが板についてきた岡崎だが、

やはりこの日も岡崎が入ると攻撃が活性化する。


あの愚直に裏を狙い続ける動きが攻撃に奥行きを生むのだ。



前田と香川が空回る中、

結局試合を締めているのは本田、長谷部、岡崎といった2010W杯組だ。



彼らはアジア予選から共に戦ってきた積み重ねがある。



ザックとしてはこのアジアCUPを連携の熟成、新戦力のテストと捉えているのならば

香川、前田は試行錯誤しながらも使い続けていくはずだ。



「アジア王者」という結果と「新戦力の融合」という内容を求めて、

ザックJAPANの戦いは続く。


関連記事

ヨルダン戦のザック采配を斬る!【吉田 麻也という希望】

*2011-01-11更新 (アーカイブ記事)




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<アジアのレベル向上を証明する今大会>



ご存知の通り、1-1のドロー発進となったアジアCUP2011の日本代表。


今日はこの試合から見えてきた日本代表の収穫と課題、

そしてアジアのサッカーシーンを探っていこうと思います。



まずはヨルダンが披露したサッカーの充実ぶりに触れないわけにはいかないだろう。


TV放送では試合前、盛んに7年前の試合映像を流していたが、

当時のヨルダンと比べて明らかにレベルの向上が見られたのは

試合をご覧になった皆さんも率直に感じたのではないでしょうか。



これまでのアジア中位~下位チームに見られた

自陣にひきこもって守備を固めるものの、連動性の欠如から度々穴が空いてしまう、

せっかく奪ったボールも速攻の精度が低く すぐに相手に渡してしまう。


そんなお決まりの欠点はこの日のヨルダンには見られなかった。



守備では昨年のW杯本大会で見られたようなしっかりとしたブロックを自陣に構築し、

奪ったボールもただ前に蹴り返すというシーンは激減。


前線の2~3枚のユニットが連動した鋭いカウンターを繰り出しシーンが見られるようになっていた。



巷ではこの引き分けを受け、

「日本代表のコンディション不良」が主だった要因として取り上げられているが、

これまでの対アジア中位~下位チームにおける試合では

いくら日本のコンディションが悪かろうが、内容はともかく勝ち点3は問題なく計算できるものであった。



ところがこのアジアカップ初戦を見る限り、

いよいよ日本も「ならし運転」の気分ではそう簡単に勝ち点が計算出来ない時代に突入している事を告げている。


そんな警笛のような試合だったのかもしれない。




この日本戦の後に行われた「サウジ×シリア」戦も続けてチェックしたが

こちらはシリアが2-1の番狂わせを起こすなど、

アジア大陸全体のレベルが向上している事が伺える。


(日本の次戦の相手シリアは決して油断出来ないチームだった)




<「エゴイストとナルシストの集団」>



さりとて、この引き分けは日本側にも大きくその責任がある。


いくらヨルダンが強くなっていると言っても、

日本がそのポテンシャルを充分に発揮出来れば問題なく快勝できるはずの相手だった事もまた事実なのだ。



「日本停滞」の細かい戦術的な分析はまた次の機会に改めるとして、

まずはそんなディティール部分の前の大きな要因として

日本代表選手達のメンタル面における「焦り」があった事は指摘しておきたい。



これはサッカーの試合、とりわけ「格上 対 格下」の対戦ではよく見られる一つの現象だ。



自分達の勝ちを信じて疑わなかった格上チームを相手に

格下チームが先制したり、0-0のまま長い時間試合が推移した場合、

格上チームが「おかしい、こんなはずではなかった。そろそろ決めないとヤバイかも・・・」と焦り出す。



結果、選手個々が「自分が決めねば」という意識が強くなり、

普段通り シンプルに味方を使って崩せば簡単に崩れるところを

強引に1人で行っては格下チームを助けてしまう悪循環。



ヨルダン戦の後半、日本代表はまさにこの負の連鎖にハマってしまった。




もし、あのオシムがこの試合を見ていたら



「これではエゴイストとナルシストの集団だ」



「今日の日本代表からはインテリジェンスが感じられない。

皆が仲間の事を忘れている」



きっとそんな風に指摘したに違いない。





<ザック采配を斬る>


続いては、前回の記事でも触れた「ザックの采配」について検証していきたいと思います。


注目されたスターティングメンバーは吉田の抜擢以外は順当な4-4-1-1でしたね。



しかし、試合は前半ロスタイムにヨルダンが先制した事でザックは決断を迫られる展開に。



【後半0分 前田⇒李】


ハーフタイムでの交代は事前に想定していなかった緊急の打ち手だったはず。


それでも前半ロスタイムの失点を受け、

すぐにカードを切れる決断力はまず評価してもよいのではないでしょうか。


(日本人監督だと、なかなか事前に想定していなかった交代をすぐには打てないものです)



この交代の狙いは、CFの位置から一度引いてきてボールを受ける前田とトップ下の本田、

それに加えて中に入ってくる香川によって渋滞気味だった前線のエリアを

裏へ抜ける動きが得意な李の投入で渋滞を解消し、攻撃に奥行きを出そうとする思惑。


(結果としては本田と香川が李にラストパスを出すより自ら打つプレーを選択した為、奏功せず)




【後半13分 松井⇒岡崎】



どうしても攻撃が香川のいる左サイド寄りになった事もあり、

前半から攻撃に絡めず消えている時間帯の多かった松井を代えて岡崎に。


と同時にザックは2列目の配置をいじくってきた。


中に入りたがっていた香川をトップ下に入れ、本田を右へ回し、

岡崎はそれまで香川がいた左に投入。


岡崎のエネルギッシュな動きで左サイドが活性化され、

香川はドルトムントでプレーし慣れている中央で蘇った。



機能していない駒の交換と選手の配置変えを同時に行う一手は

セオリー通りとは言え、非常に有効な一手。




結局、終盤にも3-4-3の実戦投入は無く、

ザック自身が語っているように最後まで「バランスをとる」事を貫いた90分。



特にこれまで1点が欲しい時の常套手段であった「CBを上げるパワープレー」を

ザックは最後まで指示せず。


これはもちろん闘莉王が不在だったという前提もあるだろうが、

どちらかと言うとイチかバチかを狙う手段である「パワープレーで前線に放り込む」という選択はせず、

あくまでロジカルに布陣の変更で逆転を狙っていくという 実にイタリア人監督らしい判断だったように思う。


(事実、後半残り10分の猛攻はパワープレーでは無い形から生まれていた)





<吉田 麻也という希望>

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最後にこの試合の最大の収穫である「吉田 麻也」に触れない訳にはいかないだろう。


正直に申し上げると、実は店長、この吉田麻也のプレーを実戦でチェックするのは

このヨルダン戦が初めての事。



しかしそのプレーぶりは今後に期待を抱かずにはいられない素晴らしいものであった。


何より特筆すべきはその正確なキックから繰り出されるフィードである。


(イメージとしては「和製ピケ?」ww)




店長はCBのフィードを評価する時、次のような指標で見る事にしている。






プレッシャーを受けるとGKにバックパスを返すのは"3流のCB"





とにかく奪ったボールは前線にドカンと蹴り返すのは"2流のCB"





プレスの厳しい中央を避け、横のSBに渡すのは"並のCB"







厳しいプレスをかいくぐり、

ど真ん中を通してボランチに預けられるのが"一流のCB"




そして、ボランチを飛ばして、

FWやウイングに崩しのパスを展開出来るのは"超一流のCB"





ヨルダン戦の吉田はこの”超一流のフィード"を幾度となく試みていた。


しかもグラウンダーのパスによって。



ボランチを超えて前線にフィードを送る時、相手選手の頭上を超える浮き球を使えば

確かにインターセプトされるリスクは少ないが、

パスを受けた選手の次の展開を考えるとグラウンダーのパスとは雲泥の差がある。



浮き球はボール到達までに相手DFにプレスに向かう時間的猶予を与えるだけでなく

受け手に胸トラップや足を高く上げてのコントロールを強いるのに対し、

速いグラウンダーのパスはそれだけで受け手にアドバンテージを与える事が出来る。



もちろん、CBの位置でグラウンダーのパスをカットされれば

高確率で失点につながる非常に危険な局面になってしまうリスクはある。



故に、このフィードを選択出来るのは自分の足元の技術に絶対の自信を持った選手だけなのだ。



とにかく試合翌日のスポーツ新聞が

「1ゴール、1オウンゴール」だけで吉田を報じてしまうのが勿体無い素材だ。




確かに「最後の局面で身体を張って跳ね返す」という点では

まだまだ前任の中澤や闘莉王には及ばないものの、

かつて日本代表でこれ程までに優れたフィードを持つCBは存在しなかった。



現代サッカーにおいて優れたフィードを持つCBがいるチームは

それだけでゲームのイニシアチブを握れる事を意味する。



何故ならCBに展開力があれば、

最後尾からのビルドアップを大きく両サイドに開いたCB2枚に任せ、

SBが同時に高い位置を取る事で中盤以降で確実に数的優位を作れるからだ。



大きく開いたCBの間にアンカーの遠藤が降りてきて、

闘莉王+遠藤+吉田の3バックで攻撃をビルドアップしてく布陣も面白いだろう。


(これはもちろん、今季のバルサが導入している両SBを上げ、

ピケとプジョルの間にブスケスが降りてきて攻撃を構築する形の亜流)





とにかく店長的には早くもCBは吉田を軸に固めて欲しいという思いで固まってきた次第。


今後、多少のミスがあったとしても、

これから3年をかけて厳しい国際舞台で経験を積ませる事で

協会の方針としても「吉田をワールドクラスのCBへ」成長させる事にチャレンジしてみてもいいのではないだろうか。



彼が"本物"に成長した時、日本代表は世界の舞台で「跳ね返すだけ」だった守備から

「攻撃の第一歩」となる守備へ変わっているはずなのだから。



関連記事

アッレグリの決断 【2010/11のACミランを検証する!】

*2011-01-06更新 (アーカイブ記事)



今季の「チーム検証シリーズ」でミランだけ先延ばしにしていたのは実は理由があります。



それは今季開幕時のミランと現在のミランとでは、

とあるチーム事情から”まったく別のチーム”になってしまった為、

それぞれのサンプル試合数がある程度溜まるまで様子を見ていたんですね。



そこで今日は満を持して

ミラニスタお待ちかねの「今季のACミランを検証」してみたいと思います。




<古き良き浪漫主義フットボール>



今季、レオナルド監督の後を継いでACミランの指揮官に就任したのは、

昨季まで万年セリエAのエレベーターチームだったカリアリを見事な手腕で中位争いまで引き上げた

新進気鋭の若手監督アッレグリ。



この 昨日までスーパーファミコンで遊んでいた子供にいきなりプレステ3を渡すかのような大抜擢は

イタリアでも注目されていたはず。



そして、そのアッレグリが今季のミランを率いるにあたって

まずは「レオナルドのチーム」の戦い方を引き継ぐ事にしたのも ごく自然な成り行きだろう。



「レオナルドのチーム」とはイタリア国内で”4-2-ファンタジーア”と評された

4枚のDFライン,2枚のボランチの前に"セードルフ+ロナウジーニョ、ボリエッロ、パト"の3トップが並ぶという布陣。


つまり戦術、決まり事と言える部分は4-2までの部分だけで

あとは前線4枚のファンタジーアに賭けるという

選手の能力を全面的に信頼している実にレオナルドらしい古き良きブラジルスタイルだ。




<4-2-ファンタジーア>

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アッレグリが送り出した今季開幕からのミラン「初期バージョン」はこの並びそのままに

CFをボリエッロから新加入のイブラヒモビッチに置き換えたもの。



ぱっと顔ぶれを見ても分かる通り・・・・非常に濃い(笑)


そしてバランスが悪いww


ロナウジーニョ、イブラ、セードルフ、ピルロは皆、「人を使う」選手であり、

パトにしても一度足元でボールを受けたがる選手なので基本的には"待ち"の姿勢。




要するに誰がボールを持っても



「おい、誰か走ってくれよ」



「じゃあ、お前が走れよ」



「いや、お前が走れって」



「いやいや、俺はここで待ってるからお前こそ・・・」



のエンドレスで

いつまで経っても「・・・どうぞ どうぞ」とはならないのだ。(笑)




じゃあ、結局誰が走るのよ というと

大御所芸人にアゴで走らされるのは売り出し中の若手芸人の役目っつう事で

両SBの若手2人になる。



アントニーニやアバーテからすれば

あのロナウジーニョ先輩やイブラ番長にアゴで「来い!」と合図されれば

上がっていかない訳にはいくまい。ww



しかも必死にパシらされている最中に

先輩がアッサリとボールを取られたりした日にゃあ、

今度は急いで守備に戻らねばならない。



要するにこのチームは個々の質は高いが、動きの量が絶対的に足らないのだ。




その結果、前線、中盤の運動量不足のしわ寄せがSBに回る通称「SB涙目システム」

というイビツな布陣が出来上がってしまった。



こう見ると何故、突然SBに若手2人が抜擢されたのか非常に分かりやすい。ww





<ミランの守備を検証する>



そして何より、このフォーメーションの一番の特徴であり泣き所でもあるのが守備。



何故ならこの顔ぶれでは前線の3トップが全く守備に参加しない為、

相手ボールの際は4バック+中盤3枚(2ボランチ+セードルフ)だけで守りきらねばならないのだ。



もっと分かりやすいように実際の試合の映像を使って

このミランの守備隊形【4-3】の2ラインを見てみよう。



2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0432025410966125704.jpg


この画はCLにおける対Rマドリー戦から。



ここで「クラシコ レビュー」で紹介したRマドリーの守備陣形が

基本的には4枚のDFライン+5枚の中盤(Cロナウドを除けば4枚)だった事を憶えているだろうか?



これは別にRマドリーに限った話ではなく、

現代サッカーにおける基本的な並びである。


4枚のDFに5枚 or 4枚の中盤を合わせた合計8~9枚で守備ブロックを築かなければ

現代サッカーの洗練された攻撃を防ぎ切るのは不可能。


これが現代サッカーが辿り着いた一つの回答なのだ。




翻って、この↑の図はミランが相手に中央から攻められた時の基本的な守備陣形が描かれているが

中盤の3枚が中に絞っている為、

どうしたって両サイドのスペースが空いてしまっているのが分かるだろう。




更に特筆すべきは画面の中に3トップの誰1人映っていない事。ww


要するに全く守備に参加せず前線で待っている訳だが、

これではミランは守備時、常に退場者が出た状態で戦っているようなもの。



この画でボールを持っているエジルにしても

後ろから挟みにくるプレッシャーが皆無の為、楽にプレー出来ているのが分かる。



補足として今度は相手にサイドから攻められた時の守備陣形を見てみよう。



2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0431025310966157708.jpg



ミランのボランチ2枚がサイドに寄せている為、

今度は黄色い円で囲った真ん中のバイタルエリアがぽっかりと空いてしまっている。


更にゴール前で待つレアルの2枚に対し、

ミランのDFが数的同数になってしまい数的優位を作れていない。



そして相変わらず3トップの方達の影も形も見えない(笑)



ちなみにこの画からの流れで、結局Cロナウドにサイドをえぐられると

最後はこのぽっかり空いたバイタルエリアをエジルに使われ、ゴールを許している。



このRマドリー戦は結果こそ2連敗を免れたものの(1敗1分)、

試合内容では完全に圧倒されていた。


さしずめ、現代サッカーの最先端を走るモウリーニョのRマドリーが

古き良き時代のサッカーを叩きのめした試合といったところか。




<アッレグリの決断>



このレアル戦を経て、アッレグリもさすがにこのシステムの限界を感じ取ったのだろう。


この試合を境にメンバーとフォーメーションを一新。


ロナウジーニョをバッサリ切って、ベンチに下げる決断を下すと

時を同じくしてパトが怪我で離脱した事もあり、3トップを諦めて2トップに変更。


更に中盤の人数不足と運動量不足を解消する為にガットゥーゾとフラミニを起用し、

中盤は3センター+トップ下にセードルフを並べた4-4-2へ。


前線は基準点のイブラの周りをロビーニョが衛生的に動くという

それぞれの役割がハッキリした関係に。



<ミラン 10/11 NEWバージョン>
2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0580030110966252218.jpg


これがピタリとハマった。


布陣を変更したレアル戦後のセリエA7試合は6勝1分の絶好調。


では、この大ヒットの要因を探っていこうと思う。




【甦ったフラミニ】




まずはベンチで燻ぶっていたフラミニの蘇生に成功。



最近のフラミニといえば、


「ああ・・・そういえばミランにいたんだっけね」


なんて言われかねない地位に甘んじていた男。



”4-2-ファンタジーア”というカオスの中で全く持ち味を活かせずにいたが、

元はといえば、あのアーセナルが躍動したフラミニ、セスク、フレブ、ロシツキーによる

"黄金の中盤四銃士"の1人。



渋滞気味だった前線がスッキリとした事で走りこむスペースが生まれ、

ガットゥーゾ、アンブロジーニというパートナーを得た事で

ピッチ上を縦横無尽に駆け回る"アーセナルのフラミニ"が甦った。



今では、イブラのポストプレー⇒走りこんできたフラミニ の形がミランの重要な攻撃形の一つになっている。




【天上天下唯我独尊】



そしてもう1人、復活の狼煙を上げた男がイブラヒモビッチである。


思えば昨季、バルセロナの高度な攻撃戦術の中でどこか窮屈そうにプレーしていたイブラ。




しかし、中盤に人数を割いたこのシステムで最前線のイブラに託された役割とは


「とにかく奪ったボールは全部お前に集めるから、あとは独りで何とかしてくれ」


というもの。



しかしこれがイブラを甦らせる最善の方法なのだから皮肉なものである。



浮き球のロングボールを胸トラしての余裕しゃくしゃくボールキープ、

完全に相手を見下したドリブルの仕掛け、

そして反則級のシュートセンス。



今のイブラはユニフォームの色こそ青×黒の縦縞から赤×黒に変わったものの、

天上天下唯我独尊のプレーぶりは完全にインテル時代のそれ。



システムが整備された事で甦ったのがフラミニなら、

自由を与えられた事で復活したのがイブラというところだろうか。





<改善されたミランの守備>



もちろん一番肝心な守備も大きく改善された。


再び実際の試合映像を使って、どう改善されたのか見ていこう。



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見てお分かりの通り、中盤に人数を増やした事で

4-4のモダンな2ラインに前線のロビーニョも下りてきて9枚で守備ブロックを構築している。



レアル戦の画と見比べるとまるで別チームのようだが、

この2つの画の間には僅か1~2週間の時系列の違いしかない。



もう1つ、サイドから攻められた時の守備はどうなっただろうか。


2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0607030310966248888.jpg


この画ではサイドから攻め込もうとする敵ボールホルダーに

3ボランチの内の2枚と下りてきたセードルフでトライアングルを形成して囲みにかかっている。


3ボランチの内の余った1枚がしっかりとバイタルエリアを埋め、

ゴール前の最終ラインでは3対2の数的優位が築けている。


つまりレアル戦で確認出来た守備の課題を全て解決している事が

この画からも確認出来るだろう。




<セリエA 勝者の方程式>



このシステム変更には、実に気鋭のイタリア人監督らしいロジカルがつまっている。



中盤の3センターによる守備の安定は

あのマンチーニが率いてセリエAの覇権を独り占めしていたインテルの

ヴィエラ、カンビアッソ、サネッティによる3センターと全く同じ発想だ。



そしてイブラを前線の基準点として、後ろから選手が飛び出していく攻撃の形。


これもイブラをトッティに置き換えれば、ローマの"0トップシステム”の亜流である事は

セリエA通の方ならピンとくるはず。



つまり近年のセリエAにおける【勝者の方程式 いいとこ取り】というロジックが

このシステム変更の根底にあると見る。






このシステム変更でミランがこのままスクデットまで突っ走るかどうかは

蓋を開けてみないと分かりません。




ただ、非常に個人的な意見で言えば、

ロナウジーニョがいる浪漫フットボールの方で優勝して欲しかったなぁ・・・

というのは僕の贅沢な要求でしょうか?(^^;




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