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FCバルセロナが見せた異次元 【10/11CL決勝レビュー】

*2011-05-30更新 (アーカイブ記事)





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<FCバルセロナが見せた異次元>



「このサッカーを超えるものは今後10年は現れないだろうな・・・」



昨年の11月、衝撃の"5-0クラシコ"を終えた時、そんな感想を抱いたものですが、

まさかシーズン中に自己ベストを塗り替えてくるとは・・・・。



いや~、恐れ入りました。(^^;




またもや近代サッカーのレベルを一つ上の次元へと押し上げたCL決勝戦。


僅か64m×108mのピッチに22人の人間とたった1つのボールだけで生み出された芸術の極み。



それでは早速、今季を締めくくるこの大一番を徹底レビューしていきましょう!




<両チーム スターティング布陣>

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↑が両チームのスターティングオーダーです。



バルサは鉄板の4-3-3。


補足するならば両WG、ビジャとペドロの位置を

いつもとは左右逆にしてきた事ぐらいでしょうか。

(*これについては後述)



試合前のプレビュー記事でも注目点として挙げたマンUの布陣は4-4-2。


ファーガソンは公言通り、「いつも通りの布陣でガチンコ勝負」を挑んできました。


その意気や良し!



<小細工無しのファーガソン>



元来、ファーガソンは相手に合わせて戦術的に小細工を施すタイプの監督ではありません。



それでも2年前の決勝では

守備に不安の残るCロナウドをCFに置き、ルーニーを左のSHに回してサイドのケアを託したものの、

結局ルーニーは守備に撲殺されて完全に持ち味を消してしまった苦い経験があります。



この2年前の反省に加え、

これまでチーム最大の得点源でもあったCロナウドの離脱もあり、

今回はエース・ルーニーの持ち味を最大限、攻撃に活かそうという意図が汲み取れます。



想定された中でも最も攻撃的な4-4-2。


「バルサだぁ?  しゃらくせぇ!真っ向勝負よ!」


ファーガソンのそんな男気が感じられる采配ですね。



この並びで来るにしても、今季のマンUの戦いぶりからは

恐らくルーニーを1列下げた縦並びの2トップ、

すわなち【4-4-1-1】でくるだろうと店長は予想していました。


バルサがボールを持った時には

ルーニーに中盤の守備へ参加させるだろうと読んでいたのですが、

実際にはエルナンデスと前線のラインに留まって完全な2トップ気味の体勢。



まあ、確かにバルサから90分で勝ちをもぎ取ろうと思ったら

ルーニーを前線に残す強気采配が一番ですが、

分かっちゃいるけど普通はなかなか出来ませんよ・・・・(^^;



このユナイテッドの強気な姿勢が

結果的に試合をよりオープンに

そして娯楽性の富んだものにしてくれました。



試合はキックオフからユナイテッドの強気な姿勢が

バルサの出鼻を挫きます。



果たしてバルサ相手に 過去こんな強気に出てきたチームがあっただろうか・・・?



ユナイテッドの今季最高とも思える

強烈なプレッシングによるボール狩り。


0・5トップで構えるメッシに対しても特別なシフトは敷かず、

あくまで自分達の形の中で正攻法で抑えようという体勢です。



必然的にCBのヴィディッチ、ファーディナンドがメッシと対面する時は

既にメッシが前を向いてトップスピードで仕掛けてくる局面になっている訳ですが、

ここでヴィディッチとファーディナンドが見せた気合の1対1は特筆もの。


(ヴィディッチの鬼のように深いタックル半端ねぇ・・・!!www)



ユナイテッドのゴール前ではお互いの意地を懸けた

世界最高レベルの「守備」対「攻撃」が絶えず繰り広げられていました。




<バルサの調律>


以前、このブログでも一度書いた事がありますが、


バルサには試合中、必ず"調律"と呼ばれる時間帯があります。

(*ちなみに僕が勝手に呼んでるだけですww)

この「調律」とは、バルサの試合でよく見られる 一見意味の無いパス回しの事です。

時には1~2メートルの近い距離で交わされるワンタッチでのパス回し。


行っては戻し、戻しては逆サイドへ流す。

ゴールに向かうでもテンポアップするでもない"攻撃を目的としない"パス回し。



じゃあこれ、一体何の目的の為にやってるの?っていうと、

つまりオーケストラで言うところの"調律"(リハ)なんです。コレ。(多分ね)


バルサのサッカーっていうのは、今更説明するまでもなく 通常のチームでは考えられない本数のパスが選手間を行き交います。


その為、僅か数センチのズレが致命的になり、その影響はチーム全体に及んでしまいます。

(100人のオーケストラでも99人が完璧な音程で演奏しているのに、1人が音程を外してしまうと致命的ですよね?)


その為、当日のピッチ状況、相手の出方、試合の流れ、お互いのリズムを
この一見意味のないパス交換を行う事によって確認し合っているのです。


言葉は交わさずともパスで


「今日のピッチは芝が長いから少し強めに行こう」


「相手はこの位置で回している分には取りにこないみたいだな・・・」


「○○だけ1テンポ、みんなよりリズムが早いぞ。調整しよう。」


そんなコミニケーションがボールを通じてチーム全体に行き渡っていくようなイメージです。


(~過去記事からのコピペ終了ww)





ユナイテッドの猛烈なプレスは試合開始からバルサにこの調律を許しませんでした。

パスを5本と繋げないバルサは非常に珍しい光景です。



これで、いつもは”相手にサッカーをさせない”バルサに

サッカーをさせない事に成功。


(なんか禅問答みたいだな・・・(^^;)



しかし、皮肉な事にこのユナイテッドが見せた最高の守備が

バルサから更なる覚醒を導き出す事に。



前半10分―


この試合で初めてブスケス⇒イニエスタ⇒シャビ⇒メッシ⇒ペドロと

綺麗にボールが繋がったシュートシーン。


シュート自体は枠を外れましたが、

この瞬間、シュートを外したペドロを始めとするバルサの各選手の表情に

確かな手応えを見る事が出来ました。


「行ける・・・・!!」




この1シーンを見て店長は確信しました。




こりゃスイッチ入ったな・・・・。


調律終了。



以降、残りの80分間で見せたバルサの鬼ポゼッションは

これまでのサッカーを超越したものとなりました。





『信じられません!バルサのシンクロ率が400%を超えています・・・!!』



『いけないわペップ君!これ以上はフットボールの形に留めておけない! ”神の領域”よ・・・!!』




<シャビの覚醒>
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バルサのスイッチを入れたのは他でもないシャビでした。


この日のシャビのプレーは常軌を逸していたと言ってもいいでしょう。


バルサのトップチームデビューの頃からシャビのプレーは見続けてきましたが、

この試合はシャビの”生涯ベスト”になるかもしれません。



普段から人一倍、試合中首を振ってルックアップを欠かさないシャビですが

この試合では1・5割増。


普段からシャビのルックアップをスロー再生でカウントし、検証している

「自称・シャビ検定一級」の僕が言うのだから間違いありません。




この尋常ではないルックアップを見せながら、フィールド中を駆け回り、

最後尾でビルドアップを展開したかと思えば、

続いて中盤に顔を出し、最後はメッシと入れ替わるように前線で決定機を演出。



試合後のUEFAのデータでは

この試合、誰よりも多くのパスを受け(136本)、誰よりも多くのパスを成功し(124本)、

そして誰よりも長い距離を走り抜けました(11.95km)。



これぞ「フットボーラーの完成形」 「トータルフットボーラー」

「シャビがフットボールをしている」というより「フットボールがシャビを動かしている」

というのは言い過ぎか・・・・?(笑)





かつて、あの秋元Pは言った・・・・



「AKB48とは 高橋みなみの事である」と。





ならば言わせてもらおう。








「FCバルセロナとはシャビの事である。」






<秀才コンビが生んだバルサの先制点>


バルサの先制点も、当然

そんなスイッチが入ってしまったシャビが演出。


では検証していきましょう。



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「4-4-1-1」ではなく「4-4-2」でマンUが挑んだ事から

中盤のセンターではギグス、キャリックの2ボランチに対し、

バルサはブスケス、イニエスタ、シャビの3枚で数的優位の状態。


それを察知したシャビが中盤のビルドアップをブスケスとイニエスタに任せ、

自身はユナイテッド2ボランチの裏を取りに行きます。



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ユナイテッドの綺麗な3ラインが確認出来ます。


ボールを受けたイニエスタから裏へ抜け出したシャビへ。




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狙い通りユナイッテドのMFとDFラインの間のスペースでシャビがフリーでボールを受ける。


フリーのシャビに対し、ユナイテッドはDFラインが当たりに行かざるを得ない。



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シャビは充分にユナイテッドのDFラインを引き付けてから、

その間に裏へ流れたペドロへ向け スルーパス一銭・・・!!



しかもシャビはノールック状態で

パスは膝から下の振りだけで出したアウトサイド・・・!!



そんでもって両者の間にアイコンタクトは一切無し・・・!!



受けたペドロもシャビならここに出すと信じ切っていたかのような見事な動き出し⇒

完璧なファーストタッチ。


(ボール1個分でもズレて、シュートステップの踏み直しが必要だったならば、

ヴィディッチ決死のスライディングが間に合っていただろう)



トラップと同時にシュートモーションに入りつつ、

GKファンデルサールのポジショニングを確認して

ニアサイドへグランダーを流し込むペドロ。



"巧"です。




この先制点はバルサの歴史上でも「10年に1人の天才」と呼ぶべき

メッシとイニエスタがマークを引き付ける脇役に周り、


天才ではないものの、バルサのカンテラによって育てられた

「最高傑作」と呼ぶべき"秀才"の2人、

シャビとペドロによってもたらされました。




<現代サッカーの盲点を突くバルサ戦術>



続いて現在のバルサのサッカーがいかに「現代サッカーの盲点」を突いているかを見ていきましょう。



バルサの攻撃時における基本的な並びはこうです。↓


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この日、いつもとペドロ、ビジャの並びを左右逆にしてきたのは

後ろのSBとの関係上だったと見ます。


ビジャは表記上のポジションこそウイングですが、

メッシが中盤に下がった時は代わりにCFを勤める「偽ウイング」です。


ビジャが中に入って来るなら 空いたウイングのポジションには

後ろのSBが上がってこなければならない。


この役割は左のアビダルより右のDアウベスの方が適役で

したがってビジャを右ウイングに置いたと見るべきでしょう。



この時点で、既に基本の【4-3-3】布陣からは大きく崩してきている訳ですが、

バルサはここから更なるローテーションを起こして

現代サッカーの盲点を突いてきます。




【ラインDFの穴をつく前線のローテーション】

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局面は中盤に降りてきたメッシとシャビによる絡みから。


前線には"予定通り" ビジャとペドロの2トップ状態が形成されています。


メッシはボールをシャビに預けてパス&ゴー。




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シャビに渡ると同時に大外からSBのアビダルが疾風のごとこ駆け上がり、

メッシ、ペドロと共に一斉にユナイテッドDFの裏へ走り始めます。


この動きに対し、「ライン」と「ブロック」単位で

組織的に動く事が基本のユナイテッドDFラインは後退せざるを得ません。



ところがこの瞬間、それまでCFの位置にいたビジャ"だけ"が

周囲と逆のベクトルを描いて手前に引いてきます。


DFからすると分かっちゃいるけど、原則的に付いていけない訳ですね。



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狙い通り、自身の前にスペースを得たビジャへ

シャビから横パスが送られてシュート。



バルサの攻撃陣は誰もが「CF」であり「ウイング」であり「司令塔」でもある。


その時その時で役目を変えるバルサのローテーション攻撃に対し、

現代サッカーの基本戦術である「ブロック守備」と「ラインDF」では

もはや守る事に限界が来ているのかもしれない。




【ゾーンディフェンスの盲点を突く】



現代サッカーでは守備時、基本的に全てのチームがゾーンディフェンスで守備を行っています。


もはやサッカーにおける「イロハ」と言ってもいいでしょう。


最前線のFWからMF,DFと各セクションで受け持ちのゾーンを決め、

3ラインが綺麗にピッチに描かれるのが基本ですが、

バルサの攻撃はそのラインの間を巧みに突いてきます。



先制点の場面でもそうだったように、

バルサの各選手は相手チームのラインとラインの間でサッカーをしている事が確認出来るはずです。


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*↑の局面は前線から降りてきて、
ユナッテドのMFラインとDFラインの間でボールを受けるメッシ。


(マンUとすれば、エルナンデスとルーニーを縦並びの2トップにして、

このブスケスにルーニーを当てたかったところだが、

これもファーガソンが勝つ為に選んだ布陣なので、守備時のリスクは表裏一体。)



【バルセロナの2点目を検証】

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局面は中盤でイニエスタがボールを持っているところ。

近くにはシャビと前線から降りてきたメッシの2人。


この3人が並んでいるだけで既にボールを奪う事に絶望感が漂ってくるものだが、

ユナイテッドは懸命に組織で対応しようと試みる。


中盤のセンターはキャリックとパクの2枚。

(本来CHのギグスがサイドに流れている為、パクがしっかりとその穴をカバー)



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だが、そもそもユナイッテドのCH2枚に対し、バルサは3枚かけているので既に数的不利が生まれている。


キャリックがイニエスタ、パクがシャビに付いたものの、

ボールはアッサリとメッシに展開され、

ここから前を向いて加速した【メッシ無双】で2点目を献上。



(*余ったメッシにはギグスが当たりに行くのが理想だが、

そもそもその役目を期待するなら最初からギグスではなくフレッチャーの起用だろう。

これも攻撃のメリットを取った故、致し方ない。)




<バルサのDNA>


これらの図解を見て、

ともすると「ユナイテッドはもっと何とか出来たのではないだろうか・・・?」

という疑問を持った方もいるかもしれない。


はたまた、試合を観ながら

もっと別の布陣、戦術をとれば別の結果もあったのではと考えた方もいる事だろう。



だが、果たして本当にそうだろうか・・・?


この試合を見終わった時、

かつてないぐらい「なんか頭が疲れたなぁ・・・」という感覚を覚えた人はいないだろうか?



それはバルサのポジションチェンジとパスのテンポを

次の展開の"読み"を入れながら目と頭で追った結果である。



文字通り「人」と「ボール」が同時に しかも全てが意味をもって 連動しつつ流れるバルサのサッカーは

将棋やチェスの名人がノータイムで手を指し続ける対局を見ているようなものだ。



我々がTVから俯瞰の図で見ていても目で追うのがやっとの動きを

実際にピッチレベルで走って追い続けなければならないユナイテッドの選手達の負担はいかほどのものか

ご想像いただきたい。



繰り返すが、この日、

ユナイテッドは現代サッカーにおける「最高レベルの守備」をしていた。



それでも止められなかったのは、

バルサが異次元の領域に入っていた・・・・ただ、それだけの事。



それは言うならば「DNAレベルの連携」だ。



シャビ、イニエスタ、ペドロと

それぞれが違う年代でカンテラを上がってきた彼らがコンビを組むのは

一見、トップチームが始めてのように映る。



・・・が、その実 彼らは既に同じチームで何年もプレーしてきたようなものだ。


きっと今更口に出して動きの確認をする必要もなければ、

アイコンタクトすらせずにお互いがお互いの位置と意図を分かり合っているような感覚だろう。


それは言うまでもなくバルサにおける「フットボール」が

カンテラからトップチームにおけるまで常に一貫している事の結晶だ。



このDNAに刻まれた連携に対し、

目で追って対応する現代のディフェンス理論では

そろそろ限界が見えてきたのではないだろうか?




・・・さて、まだあの試合を観たばかりの我々には

このバルサのサッカーが一つの完成形のように思えてしまうのも無理からぬ事。




だが、それでも必ずこのサッカーを凌駕するサッカーがいつか必ず現れる。




それはフットボールの歴史が証明している事だ。





幸せな事に、僕らの楽しみはまだまだ終わらないのである。




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リトルブッタよ 永遠なれ― 【デ・ラ・ペーニャ引退に寄せて】

*2011-05-20更新 (アーカイブ記事)





店長にとって、サッカー界における「永遠のアイドル」

デラペーニャが遂に現役引退を表明。


近年は怪我との戦いで
今季に至っては26分間の出場に留まっていたので無理もない。



それでも店長は、いつか「すぽると」の「マンデーフット」のコーナーで


ジョンカビラ・ボイスが高々と

『イバン・デラペーニャ エスパーニャ!』

と呼んでくれる日を夢見て
↓こんな画像まで自作して復帰を待っていたのだが・・・(笑)

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これで、少年時代の店長を魅了した
「デラペーニャ⇒ロナウド」による"夢のバルサライン"の2人が引退した事になり、
否が応でも一つの時代の終焉を感じさせられる。



デラペーニャは歴史に残るようなレジェンドな選手では無い。



デビュー当時の名声に比べれば獲得したタイトルはごく僅かだし、
いわゆる「早熟の天才」と呼ばれるカテゴリーに属する選手だろう。


いつかバルサかスペイン代表でシャビ、イニエスタらと形成する「夢の中盤」が見てみたかったが
パスの成功率ではシャビ、グアルディオラの足元にも及ばないかもしれない。


・・・・でもペーニャには

シャビにも グアルディオラでも イニエスタにも

・・・はたまたジダンでも ロナウジーニョでも 絶対に出せない

そう、世界で彼にしか見えないパスコースに通す事が出来る。





TV画面から俯瞰の図で見ていても想像も出来ないスルーパスに
何度、度肝を抜かれた事か・・・・。



10メートル前方にいるDFの股の間、


届きそうで届かないコース取り


重心が逆にかかっているせいでDFがスルーパスを目の前に金縛りにされているような痛快さ。




ビデオテープが擦り切れるまでスロー再生とコマ送りを使って見返しましたよ。
(今思うと、ここから僕の分析フェチが始まったんだな・・・とwww)



守備時には腰に手を当ててセンターサークルを闊歩するその自由奔放な後ろ姿。


自分のパスは鬼パスのクセに
味方からのパスは足元からボール1個分でもズレようものならプイッ!とそっぽを向いて
足すら伸ばそうとしないチャーミングさ


快心のスルーパスを通した後のドヤ顔
(とっくに攻守が入れ替わっていようが一切お構いなし!)





腕の角度に至るまで研究して、よく草サッカーで真似したものです。







・・・・チームメイトからフルボッコに遭いましたがwwww





こりゃもう、現地で「デラペーニャ引退試合」なんてあったら、行くしかねぇな。


むしろ俺が行かずに誰が行く って勝手に思ってますが何か…?




前半はエスパニョール、後半はバルサでプレーしてもらうとして、

当然ブラジルからロナウドを召集しての
【デラペーニャ×ロナウド】ライン復活!は鉄板。


これが生で見られると考えただけでも旅費から充分お釣りでますわww






「スルーパス1本に全てを賭ける」

長いサッカーの歴史の中で1人ぐらい  こんな選手がいてもいいよな・・・なんて思いつつ、
こういう選手がどんどん消えていく現状に一抹の寂しさを覚えずにはいられません。





・・・・ただ、今後10年経っても 20年経っても 30年経っても





ペーニャが僕の『永遠のアイドル』である事に一片の変わりもありません。



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(現地エスパニョールの練習場を訪れた際の珠玉の2ショット写真!)


関連記事

ナポリ躍進の秘密を探る 【4バック全盛時代における3バックの考察】

*2011-05-13更新 (アーカイブ記事)








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<今季のセリエAを沸かせたナポリの躍進>



ACミランの優勝で幕を閉じた今季のセリエA。




ミラン優勝の分析についてはまた別の機会に譲るとして、

その前に シーズンを振り返る上でどうしても外せないチームがある。


それが最後まで優勝戦線をかき回してくれたナポリである。


もしかすると今シーズン、

セリエAとELをスルーしてた人の中には「ナポリかよ・・・」と思われる方もいるかもしれないが、

このナポリ・・・・・来季はCLに参戦してきやすぜ。



という事は貴方が応援しているクラブとCLの舞台で対戦する可能性は充分にある!と。


かと言って、今季ナポリについての報道のされ方は

「カバーニ! カバーニ! カバーニ!」で終始されており、


そんな雑な触れ方あるかよ・・・www

という個人的な思いもあって、



今日は今季のセリエAを大いに沸かせてくれたこのナポリについて深く考察していきたい。



<異端の3バック>


それではナポリの基本フォーメーションから見ていきましょう。


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まず目に付くのは何と言っても「4バック」が主流の現代サッカーにあって異端の3バックなのである。



だからと言ってナポリは決して時代遅れのサッカーをしている訳ではないし、

3バックとは名ばかりの両WBベタ引き⇒5バックの引きこもり弱小サッカーをしている訳でもない。


むしろ時代の流行を逆手に取り、3バックを自分達の強みとしているチームである。



各セクションを見ていくと

まず3バックの3人はクラシックな"人に強い"ストッパー3枚を並べてゴール前をしっかり固めている。


イタリアサッカーファンにとってはあのカンナバーロ弟が

地元ナポリでこうして活躍しているのは何とも嬉しい話だろう。




続いてボランチの2枚には昔ながらの「守備的MF」が2人が並び、

彼らがゴール前に上がったりする事は滅多にない。




この布陣のキーとなる両WBは

派手な個人技こそ無いが鬼の運動量を誇る まさにうってつけの人材が2人。



ドッセーナ、マッジョは共に90分、1人でタッチラインを上下動出来るタレントだ。



そしてネームバリュー的にも一番見栄えが良く

ナポリがクローズアップされる時に真っ先に語られる前線の3枚は

ラベッシ、ハムシク、カバーニと個々の能力も高い3人が揃った。



パス、ドリブル、シュートと3拍子を高いレベルで備えたハムシクは

今や総合力で欧州トップクラスのMF。



そのハムシクがパスを主体に崩しを計るMFなら

ラベッシはゴリゴリの典型的アルゼンチン型ドリブラー。



ゴールに背を向けてボールを受ける事が多い最前線のCFから

今季は少し下がったこの1・5列目シャドーストライカーのポジションで

そのドリブルが活きている。



最後にCFのカバーニは言うまでもなく「今季セリエA最大のブレイク」。


得点王争いでも26得点で2位につけている。




以上、パッとこのチーム構成を見ていくと

「前線に能力の高い3枚」はいるものの、


中盤から後ろは違いを作り出すというよりは各々の仕事をこなす職人タイプの選手で固められており、

どうしても「中盤の構成力」という点で一線級のビッグクラブには一歩劣る。




ともすれば、7人で守って攻撃はカウンターから前線3人の個人技頼みという・・・

典型的な「セリエAの中堅~弱小チームのサッカー」になりかねないチーム構成だ。



チームを率いるマッツァーリ監督は

どうすればこの戦力で最大限の成果を出しうるかを考え抜いたはずだ。



そこで導き出されたのが「3バック」という答えだったのである。



<3バックでサイド攻撃を>


今季ナポリが採用している「3-4-2-1」という布陣は非常に特殊だ。


見ようによっては「3-4-3」気味にも見えるが

決して"イケイケ"のサッカーではないし、

かといってDFとMFの7枚で自陣に引きこもるような事もない


非常に攻守のバランスを重視したサッカーを展開する。



その上で自分達が「異端の3バック」であるという事を最大限、

アドバンテージとして利用するのである。


・・・では、そもそも何故3バックが異端なのか?


それは、とどのつまり現代サッカーが

「サイドを制すものが試合を制す」と言われるように

「サイドの攻防」に主眼が置かれた結果と言えよう。



故に、今ではどのチームでも両サイドにSBとSH(又はウイング)の2枚を置いて

攻守に最大限サイドを活用していく。



すると両サイドのエリアに1枚しかプレイヤーを置かない3バックは

どうしてもサイドの攻防で後手に回ってしまい

サイドを上手く活用したサッカーが展開できない



・・・・というのが一般論として定説になっている。



面白いのはナポリのマッツァーリ監督がこの定説を逆手にとり

「3バックによるサイド攻撃」を展開している事。



この独自の戦術メソッドこそが

「カバーニ!ラベッシ!ハムシク!」では語りきれない

ナポリ躍進の要因と見た。



<3バックによる両翼上げ>


繰り返しになるが、「3バックが異端」という事は

裏を返せばナポリの対戦相手のほとんどが4バックを基調としているという事。


それもほぼ4-4-2か4-2-3-1(4-3-3)に収束される。



ナポリの特徴は、この布陣の相手と戦う時、

両翼のWBを思い切って同時に上げる点にある。




ここで実際に3-4-2-1のナポリと

フラットな4-4-2の3列布陣のチームとが対戦した時、

ピッチ上に現れる両布陣の噛み合わせを見ていこう。




【3-4-2-1と4-4-2の噛み合わせ (ナポリの両WBが上がる)】
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水色の丸で示したのがナポリで左から右に攻める側。(3-4-2-1)

黄色い丸が仮想の対戦相手で右から左に攻める側。(4-4-2)


通常、3-4-2-1の両WBは

相手側4-4-2の両SHの手前にいて、そのマーク役も兼ねるのが普通なのだが、

ナポリは敢えてそれを無視するように両翼を上げてくる。



すると どうなるか・・・・?



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やはり黄色チームの両SHはこの動きについていかざるを得ず、

結果としてボールを奪った際、攻撃の基点を担うべき黄色のSHが

DFライン手前の低い位置まで引っ張られてしまう。


この動きによって、まずナポリは相手の攻撃力を割く事に成功し、



中盤の攻防を「4対4」から「2対2」にする事で

(中盤のセンターには両軍のボランチ2枚同士しかいなくなってしまう)



自軍のボランチ2枚(決して展開力があるとは言えない2人)の

プレッシャーを軽減させる一挙両得作戦。




では、この動きを実際の試合の映像から確認してみましょう。



取り上げるのはELの「ナポリ×ビジャレアル」の一戦から。



この試合、ビジャレアルはまさにこの図の通りのフラットな4-4-2を採用。



右のSHには攻撃の基点として司令塔のVバレーロを起用してきました。




【ナポリ×ビジャレアルの検証】
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右から左に攻めるのがナポリ。


局面はラベッシが得意のドリブルでボールを運んでいる最中。



中央にはカバーニを頂点に、その下にハムシク、ラベッシが並ぶ

綺麗なトライアングルを形成。



注目の両WB ドッセーナとマッジョが

同時に最前線まで上がっているのが確認出来るだろう。



ボールが左サイドにある為、

ボールサイドのSHに位置するVバレーロがドッセーナの上がりを無視する訳にもいかず、

完全に引っ張られて DFラインまで引いてきてしまっている。



この「両翼の同時上げ」自体は

バルサやアーセナルも採用している攻撃戦術の一つとして珍しくはないのだが、


基本的には相手を圧倒的に押し込める攻撃力を持った

ごく限られたチームが採用する戦術と考えるのが普通だ。




何故なら、この状態でボールを奪われれば

DFラインにはCBの2枚しかおらず、

加えてアンカーの位置にMFを1枚しか残していないバルサのような布陣であれば

カウンターの際、致命的なピンチに陥る可能性が極めて高い。



(まあ、現実にはバルサの場合、そもそもボールを奪われる事が稀だし、

奪われても即奪い返す守備戦術がセットになっているだが・・・・。)



そこでナポリの場合、3バックが活きてくる。



両翼を上げようとも、そもそも3バックのナポリは最終ラインに3枚CBが待機しており、

更にボランチの2枚も攻撃に上がらない為、

常に5人は相手のカウンターに備えている万全体制。




この絶妙な「攻守のバランス感覚」こそがマッツァーリ監督の真骨頂と言えるだろう。



では続いて、この「両翼上げ」が最も活かされる

攻撃での崩しを見ていこう。




【"両翼上げ"からの崩し】
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局面はハムシクがボールを持って攻めの機会を伺っている場面。



ここでもハムシク-カバーニ-ラベッシの綺麗なV字が描かれていますね。



両WBのマッジョとドッセーナは既に両サイド目一杯に張ってスタンバイ。



右SHのVバレーロはここでもドッセーナに引っ張られて

ビジャレアルは5バック状態。




ナポリはハムシク、マッジョで一度右サイドにビジャレアルを引っ張っておいてから、

今度は逆サイドのラベッシに展開。



【右で引っ張って⇒左へ展開】

2011-05-13_16-53-27_entry-10890442956_o0600034111225514291.jpg



ラベッシに展開したハムシクはその足でゴール前へパス&ゴー!


この右で引っ張ってからの左への展開で

どうしてもナポリのラベッシ&ドッセーナに対し、

ビジャレアルは数的不利に陥ってしまい

ボールを受けたラベッシにきつく当たりに行けない。


(Vバレーロがラベッシに当たりに行くと今度はドッセーナがフリーになってサイドをえぐられる危険性大。)


2011-05-13_16-53-27_entry-10890442956_o0568033811225514292.jpg


余裕をもってゴール前をルックアップ出来たラベッシからクロスが送られる。



ナポリの攻撃の形はこのサイド攻撃から

必ずCFのカバーニはもちろん、

加えて2シャドーの内の残り1枚(右からハムシクが上げる場合はラベッシが飛び込む)、

更に大外で張っていたSHも飛び込むパターンが確率されている。




分かりやすく別角度からもう一枚。


2011-05-13_16-53-27_entry-10890442956_o0611032311225514293.jpg




まずは「両翼上げ」で相手のSHを引っ張ってカウンターの威力を下げ





サイドからサイドへの展開で数的優位を確立





余裕を持ってのクロスに3枚がゴール前に飛び込む





それでも守備体勢は万全






・・・どうでしょう?



なかなかによく練られたシステムですよね(笑)





<カバーニ!カバーニ!カバーニ!>
2011-05-13_16-53-27_entry-10890442956_o0656036911225514942.jpg


それでも最後に、このカバーニについて触れない訳にはいかないだろう。


ミランでもインテルでもユーベの所属でもない

このストライカーが突如シーズン26得点というのは

間違いなく今季最大のサプライズだった。



果たして2010年W杯、

ウルグアイ代表としてフォルランとコンビを組んでいたこのFWの事を

一体何人の人が覚えていただろうか・・・?



かく言う店長も


「何かフォルランの横にいたような・・・いなかったような・・・・」


ぐらいが正直なところ(爆)




カバーニの特徴は常にシュートシーンに備えて

90分、準備をし続ける生真面目な性格。



そして「ここぞ!」というタイミングで

一番相手のプレッシャーがきつい・・・でも裏返せば一番相手にとって危険なエリアに

身体ごと飛び込んでいける勇気。



最大の武器でもあるファーサイドからニアサイドへ斜めに走りこんでくる動きは

"全盛期のラウール"を彷彿とさせる。



そしてカバーニを語る時についつい忘れられがちだが、

何と言ってもその「いち速く守備に切り替える」献身な姿勢は外せない。


チームのトップスコアラーが

最前線から全力で守備をしているのだ。



他のチームメイトがこれでサボれる訳があるまい。





やはり近代サッカーにおける「FWの理想像」として

これからますますこの「いち速い守備への切り替え」は外せないものとなってきそうだ。





その点で、同リーグで

ゴール前でふんぞり返っているイブラの行く末が少し不安だったりする・・・。(^^;

(でもそんなオレ様なイブラが好きなんだけどねwww (どっちだよ!!))




他チームからの引き抜きに耐え、「この陣容のまま」という条件付きではあるが、
来季のCLでは充分にベスト16を狙えるチームに仕上がっていると見る。



もし、陣容を維持したまま、更に2~3人中盤に戦力を加える事が出来れば・・・・。




なかなかに楽しみなチームが来季、CLの舞台で見られそうだ。



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