東アジア選手権総括 ~待望の新星は現れたのか?~

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<東アジア選手権総括 ~待望の新星は現れたのか?

昨夜、日本代表は韓国を激闘の末に下し自力で東アジア選手権の優勝を手にしました。

振り返ってみると日本、韓国、オーストラリアが主力抜きの編成で「新戦力の発掘」に重きを置いていた今大会。

出場国の選定から2年おきだったり3年おきだったりする開催時期に至るまで
日本のサッカーファンにとっても今ひとつ「どう位置づけていいか分からない」この大会も今年で5度目の開催を迎え
アジアの列強各国の間ではようやく大会の使い方がハッキリと確定してきた感がある。


なるほど、どこの国も一目で「即席の寄せ集めチームだな…」と分かる完成度とクオリティで
だからこそ個々の能力を査定しやすいおあつらえ向きの舞台だったと言えるかもしれない。

今大会の3戦を完全なローテーションでメンバーを組んだザックが
敢えて山口と扇原のセレッソコンビをボランチで分けて編成していたのは「クラブで培ってきた連携」ではなく
「個としてのボランチ能力」を純粋に判別したかったという意図も窺える。

故に日本代表の優勝に水を差す気は毛頭無いのだが、
今大会における各国最大の目標は「来年のW杯本番へ向けた新戦力の発掘」であろう。
(中国はシラネwww)

その意味でザックの韓国戦後のコメント「このチームの中からすぐにでも代表チームに合流する選手が出てくるだろう」というコメントは興味深い。


果たして今大会で評価を上げ、来年のブラジル行き航空券へのラストチャンスを掴んだ新星は誰なのか…?

今日は各ポジション別に通信簿という形で今大会を総括してみたい。


<ポジション別 通信簿>

【GK】

およそ3年間、川島の控えとして召集されてきた西川の「このチャンスに賭ける」という気迫が随所から伝わってくる好プレーだった。

キックフィードの精度など川島には無い武器も持っているだけに彼に欠けているのは唯一「国際経験」か。

前回の2010W杯時、それまで正GKは楢崎で確定していたものと思われていたが
奇しくもこの東アジア選手権でA代表デビューを飾った川島が残り1年というタイミングでチャンスをものにした経緯があるだけに、西川にもまだ可能性は残っているかもしれない。

*豪州戦のみの出場となった権田は相手チームのていたらくもあって参考記録不足。


【CB】

率直に言って大会に参加していない吉田、今野の評価が相対的に上がってしまった結果と言えよう。

既に「第3のCB」として代表でも地位を築いている栗原はやはり空中戦で計算が立つ駒で
試合終盤、相手のパワープレーで押し込まれる苦しい展開での投入用というザックの見立ても納得のパフォーマンスだった。
だが逆に言えば「ベンチに置いておく駒」というポジションも今大会で確定させてしまったようにも思う。

吉田、今野に続く「タテパスの出せるCB」として国内で評価を得ていた森重は
国際舞台でそのタテパスを披露する事はほとんど叶わなかった。

他にも守りで一点気になったのが「手と身体の使い方」
身体能力の高さは随所に感じさせる半面、読みが悪く最初の駆け引きで出遅れをとって不必要に手を使う場面と
空中戦の競り合いで相手の背中から覆いかぶさるようなプレーが目立った。

CBに求められる国際基準が「ファウル無しでボールを奪う個の力」という時代だけに、今大会のプレーでは厳しいか。

豪州戦に出場した千葉&鈴木のコンビは「一発で裏をとられる」「CBの間のど真ん中を空けすぎる」など残念ながら選考対象外確定。



【SB】

駒野の劣化、槙野の4バック時におけるSB適正の無さ…etc等々が浮き彫りになった今大会。

唯一、守備では安定していた徳永も絶望的なまでに攻撃力が足りなかった。

内田&長友はもちろん、控えもW酒井で確定したポジションと言えよう。


【ボランチ】

正直、青山という選手がどういうプレイヤーなのか、今大会で僕は何一つ見出す事が出来ませんでした。
他にも広島の選手はクラブのスタイルがかなり特殊な形で完成されているせいか、
今大会では「個のプレー」という点で軒並み苦戦していた印象。

高橋は「ザックJAPAN第4のボランチ」というプレーは見せていたものの、それ以上でもそれ以下でも無いといったところ。(既にザックには評価されている選手)

新戦力としては山口蛍がこの「第4ボランチ争い」に絡む資格は証明していたが、さすがにレギュラー奪取は厳しいだろう。
どちらかと言うと来年のブラジルよりもその次の大会で「ポスト遠藤&長谷部時代」を担うプレイヤーかもしれない。


最後に扇原は合コン行き過ぎ。



【SH&トップ下】

大会前の本ブログで斉藤学を散々disったお陰もあり、見事な逆フラグ発動(ドヤッ)←

問題は今大会でも最もひどかった…というかチームのていを成していなかったオーストラリア戦限定のパフォーマンスという点で
このプレーが果たしてどのレベルの相手まで通用するのか未知なところ。

ただ、今後もテストされるべき資格は証明出来た訳で短い時間にはなるだろうが、そのチャンスは巡ってくるかもしれない。

但し、繰り返すようだが彼が狙うポジションは清武、乾、岡崎、香川とザックJAPANの中でも最もレベルが高い最激戦区である。


一方、原口はモチベーションの高さは感じさせるものの攻守に「俺が何かをやってやる!」という意識が強く周りが使えない&見えていないという印象を受ける。

ドリブル時の姿勢と首の振り方にも問題があり、あのフォームのままアジアを飛び出して世界で通用する選手になれるかは個人的には疑問。

山田大記は若いながらも足元の技術の高さと、サイドから仕掛けて中へ折り返すまでのフォームが自分の形の一つとして確立されている事が強み。
特に豊田へのクロスは質も高く、クロス精度では香川、乾を凌駕する可能性を秘めたタレントである。

工藤は「ポスト岡崎」としてのキャラクターを日本中へ向けて発信。
現状ではまだまだ「劣化版岡崎」に過ぎないが、とにかくこの手のキャラは日本サッカー界では希少種であり、
足元の技術ばかりに長けたチームに一種のスパイスとなる可能性がある。


高萩⇒今大会で最も印象に残ったプレーは韓国戦の逆転ゴール時におけるベンチからの飛び出し(あのダッシュ力!)とカメラに向かってのドヤ顔



【FW】

言うまでも無く今大会最も収穫が多かったポジション。

個人的にはプレースタイル上、豊田には今後柿谷以上にチャンスがあるのではないかと思っている。
マ○クには無かったポストプレーはザックJAPANの1トップに求められる基準点そのもの。

又、守備でも自陣CKでは競り合いに大きな力を発揮する事も分かり、まさに「和製ドログバ」そのままのプレーぶりだった。

無得点のFWに対するザックの惜しみない賛辞も豊田を高く評価している事が窺える。


反対に2得点の大迫は評価が難しい立ち位置になってしまった。

あのオーストラリア相手に2得点というのをどう評価すべきかがそもそも難しい(^^;

得点機以外でのポストプレー、トラッピング、ボールを運ぶドリブル等ではむしろ厳しい評価となるのだが・・・?


最後はもちろん「日本の救世主!」「やっぱりジーニアス!」と見出しを並べた柿谷耀一郎。

ゴール前での冷静な決定力、浮き球を難なく処理するボールコントロール技術、落としから再度ボールに関われるプレーバリエーション、背筋がピンと伸びたドリブルフォームなど持っているポテンシャルは間違いなく一流の素材。

但し、日本が苦戦する展開が続いた今大会にあって、1トップで起用された彼のプレー機会は数える程だった。

その僅かなプレー機会で結果を出した事はもちろん素晴らしいのだが、もっとコンスタントにプレーを見て再度評価を下したいタレントだと言える。

当然、次の代表戦でもいの一番に呼ばれて試されるべき文字通りの「新戦力」であろう。

(このスターシステム、数年前にC大阪の先輩、大久保にも発動した事があり、このままマジョルカ行くとか言い出さないか不安であるww)




・・・それとこれは完全に余談ではありますが、大会後柿谷が【大島優子推し】だったという情報を得て
「だからコイツはやってくれると思ってたよ!」と今日から堂々と掌返ししていこうと思います(爆)

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ドリブラー進化論 ~バイタルエリアを攻略せよ~

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<ドリブラー進化論 ~バイタルエリアを攻略せよ~>

かの有名なイギリスの自然学者チャールズ・ダーウィンが『進化論』を発表したのは今からおよそ150年前の事。

曰く、自然界における生物の進化とはその時代、時代に合わせて有利な方向に自然選択されてきた歴史の積み重ねであるという。

そしてこれはサッカー界における戦術進化の過程も全く同じである。

昨季の欧州サッカーシーンにおいてもトレンドの最先端が示された訳だが
中でもここ2~3年で顕著になってきた一つの興味深いトレンドが決定的になったシーズンだったと言えよう。


それこそが本日のお題『ドリブラー進化論』である。


<ゾーンプレス⇒サイド封鎖⇒0トップの時代へ>

その本題に入る前に、まずはここ20年における戦術トレンドの流れをざっとおさらいしてみたい。


1980年代-、まだマンツーマン守備が主流だったこの時代においてはマラドーナやジーコといった圧倒的な個の力を持つチームが優勢を占めていた。

彼らはトップ下のポジションで文字通り攻撃の中心としてタクトを振るった訳だが、
1対1が守備の基本軸となる戦術では彼らを抑えきるのは至難の業であった。

しかし90年代に入るとこの流れは一気に逆転する。

アリーゴザッキの登場と共に守備はマンツーマンからゾーンの時代へと移行すると
1対1では無敵のトップ下もむしろ中央のゾーンで多方面から囲まれる絶好の狩り場となってしまった。

この頃からトップ下というポジションは次第に絶滅し、スター選手は中央からサイドへとその持ち場を移動。
フィーゴ、リバウド、ロナウジーニョ、ロッベン、Cロナウドらのプレイヤーが時代を謳歌した。


ところが2000年代も中盤を迎える頃、このサイド攻撃全盛の流れに待ったをかけたのがモウリーニョである。

彼はサイドのエリアでSBとプレスバックするSH,そして真ん中から寄せるボランチとの強力な包囲網で時代を謳歌したウインガー達を無力化。「サイドエリアの封鎖」を完遂する。

サイドからの突破とクロスからの得点率自体が減少していく中で次なる一手は時代の寵児グアルディオラから放たれた。

当時、世界最高のドリブラーだったメッシ(今もだけど)をそれまでのウインガーポジションからCFへコンバートする奇策は「0トップ戦術」として瞬く間に時代の最先端へ躍り出たのである。

CFともトップ下とも言えない微妙なポジションでメッシのようなドリブラーを起用するメリットは
それまでサイド突破⇒クロス一辺倒だったプレーバリエーションに中央突破からのシュートもしくはラストパスというよりゴールへ直結する怖さを持たせた事だろう。

「いくらクロスを上げられたところで中で跳ね返せば怖くない」という守備側優位に傾いていたバランスをグアルディオラはこの一手で覆したと言える。

当初、バルセロナという特殊なチームだけが実現可能に思われたこの戦術だったが
次第に時代のトレンドとしてここ2~3年で定着してきた感がある。


まずそのバルセロナと日常的に対戦する環境にあったリーガエスパニョーラで変化の芽が生まれた。

モウリーニョのRマドリーは当初ポジション固定型のカウンター攻撃に特化したチームであったが次第に2列目の流動性を解禁。

これに伴いエジルがサイドに流れる事でCロナウドが中央へ進出。
バイタルエリアでの間受けからシュートorラストパスというプレミア時代には見られなかったプレーバリエーションを広げる事に成功。


すると2強の流れを追うように他のクラブも追随を開始する。

昨季、ペジェグリーニのマラガではスペインきってのウインガーであるホアキンをトップ下へコンバートし、
むしろクラシカルな司令塔タイプのイスコをサイドで起用する策が見事にハマっていた。

同時にトレンドの波は海を渡りプレミアの地へ。

「プレミア最高のウインガー」として一昨年、プレミア最優秀選手に選ばれたギャレス・ベイル
今季は新監督ビラスボアスの元、トップ下としての新境地を開拓。


一見、攻撃の主役がトップ下⇒サイド⇒トップ下へと戻ってきただけのようにも見えるが
80年代の王様プレイヤーがトップ下のエリアで鎮座しながらパスを待っていたのに対し、
現代のハイブリット型は動きの中でボールを受け、囲まれる前にドリブル、シュート、ラストパスで勝負を決める事が出来る。


一方、イタリアのセリエAにこのトレンドが及ばなかったのは単にその手のプレイヤーを持たないからである。

時代を代表するスタープレイヤーは資金力の強い国へと流れるのが自然の摂理であって、
その意味でもイタリアの資金力及び競争力の低下を象徴する事例であると言えよう。

ただその分、イタリアでは3バックの復権など独自の流れで列強と渡り合おうという知恵比べが生まれていてそれもまた面白いのだが。


余談ついでにもう一つ、ザックJAPANではトップ下にハイブリット型の流れを汲む香川ではなく
クラシカル型の本田を据えているのは面白い事例だろう。

これはJリーグを母体とする日本サッカーの土壌には、まだ世界の一部トップクラスにだけ起こっている戦術トレンドの波が及んでいない事を意味する。

日本ではまだトップ下にしっかりとクサビのボールが入る起点としての役割が求められているし、
そっちのスタイルの方が普段慣れているので選手達もシックリくるのだろう。

一方で世界のクラブシーン発の流れはメッシを要するアルゼンチン代表はもちろん、
先のコンフェデではブラジルもネイマールのポジションを流動化させて度々トップ下の位置に進出させるなど確実にナショナルチームにも及びつつある。

トップ下の本田が潰されると即チームとして機能不全に陥る宿命のザックJAPANがW杯本大会でどこまで通用するのか?

そして、もしかすると本田を獲得した場合の某イタリアクラブがセリエAとCLでどこまでやれるのかも我々日本のファンはそういう観点で見てみると面白いかもしれない(笑)



<来季、注目すべき2つのクラブ>
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…以上の流れを踏まえて、こんな反論は当然あると思う。

「昨季、CLを制したバイエルンは従来のサイドアタック型のチームではないか?」と。


その通り。
昨季のバイエルンはリベリーとロッベンのポジションチェンジはあっても基本両サイドからの崩しを軸に据えたチームだった事は間違い無い。

言い換えるならば完全無欠に見えたハインケスのバイエルンも、実は中央突破の流動性という部分だけは手つかずのままだったのだ。

時代のトレンドに敏感なドルトムントのクロップ監督は先に香川⇒ロイス⇒ムヒタリアンとトップ下にハイブリット型を置いてバイエルンに対して優位性を築く事に成功していたのだが、当然バイエルンもこのまま黙っている訳にはいかない。

「何故、完璧な仕事をしたハインケスを解任してまでわざわざペップ招聘というリスクを冒すのか?」という問いの答えはここにあると見る。

つまり、既にサイドアタックと前プレで欧州制覇を成し遂げたチームをベースに
今度はその先の時代の変化にも取り残されないよう・・・否、むしろ自分達がその先頭を走れるよう「今、求められる」最適の人材としてグアルディオラが招聘されたのだ。
(バイエルン陣営の本気が感じられる)

早速プレシーズンマッチでもリベリー、ゲッツェ、ミュラーをCFに据えた0トップやラームのアンカー抜擢が試みられるなどペップのバルサイズムが注入されている模様(笑)

戦術のトレンドという観点から見ても来季のペップバイエルンは俄然目が離せないチームと言えよう。


そしてもう一つ。

メッシという最高峰のエンジンに来季、更に双璧を成す新エンジンを加えたWハイブリット型エンジン搭載のFCバルセロナ。

ネイマールとメッシの競演はまさに無限の可能性を秘めているに違い無い。

バイタルエリアにメッシ、ネイマールが交互に、又同時に進出する変幻自在のアタック。

あのメッシをオトリに使っても尚、本線でネイマールが決める凶悪さ。


無論、共存を実際に機能させる為には数々の障害もあろう。

しかし、フットボールにおける僕の持論は「天才同士の共存は困難な道であっても不可能な道ではない」という確信があり、
言われずとも彼らの共存は来季のバルサが世界のフットボールファンから課せられた命題でもある。


『ドリブラー進化論』
今はまだ白紙の新しい数ページに来季、何かを書き加えるとしたらこの二つのクラブではないだろうか-

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驚きも収穫も無いサバイバル ~東アジア選手権 【日本×中国】~

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<驚きも収穫も無いサバイバル ~日本×中国~>

率直に言って予想通りの試合だった。

中国代表の実力もJリーグ選抜のパフォーマンスも両チームが繰り広げるであろう低調な試合内容も。

この試合に欠けていたのは"予想外のサプライズ"であり、
ザック監督も我々日本国民もそれを期待していた訳だから、全てが予想の範疇で終わってしまった事が残念でならない。


僕の周りのサッカーファンと呼べる人達の中でバイエルンとドルトムントが戦ったCL決勝の試合を見ていないという人間は1人も知らないのだが、
よもやプロのサッカー選手である彼らはあの試合を見たのだろうか-

もし「観た」と言うのならば、昨夜の試合の攻守の切り替えと皆無だった前プレをどう説明してくれるのだろう?


期待の柿谷はバイエルンのマンジュキッチと比べると3テンポ以上、守備の切り替えが遅かった。

なるほどザックが前田の献身性を買ってスタメンに据える訳だと妙に納得させられてしまった始末である。


原口、高萩、工藤らとの前線スカッドという単位で見ても「Jリーグに前プレは存在しないのか…?」と疑ってしまうような意識の低さだったと言えよう。


トップ下の高萩は「20年前のトップ下です」と言わんばかりの竿竹屋顔負けの運動量で
守備はしない、ボールも受けない、タテパスが入ってもキープ出来ないの無い無い尽くし。

見かねたザックが思わず試合中に個人指導を行う有り様だった。


勿論、普段サンフレッチェ広島の試合を観れば昨夜とは違う高萩がそこにいるのだろう。

だが、広島という特殊な戦術を下敷きにしたパッケージの中でしか輝けない選手は
逆説的に言えば「だからこそザックには呼ばれなかった」という事が証明されたとも言える。


前もひどいが後ろも散々だった。

CBのペアはいかに「今野と吉田のタテパスが重要であるか」を我々に認識させ、
時間の経過と共につい先日のコンフェデ杯で「失格」の烙印を押されたばかりのレギュラーコンビを懐かしくさせる一方であった。

(終盤、中国のやけっぱちに近いタテパスの蹴り込みにベタ引きのままDFラインを押し上げられずの2失点は今野を基準とした高いDFラインの重要性がますます浮き彫りに)


低調な面々の中では一番まともなパフォーマンスだったと言えるボランチの山口にしても
とてもじゃないが遠藤や長谷部をベンチに追いやってまで使おうとはザックも思わなかっただろう。

(これならザル守備でも本田にタテパスが通せる遠藤は絶対に外せまい)


見事なクロスで2点目をアシストしたSBの槙野だったが中国の3点目のシーンでは逆サイドから入ってきたクロスに対して絞りが甘く、
マーカーに中に入られるというSBとしては絶対にやってはいけない痛恨のマークミス。


そして駒野・・・・。

オシムJAPANや岡田JAPANで不動のレギュラーとして世界とアジアの舞台で戦っていた頃の彼はこんなプレーヤーではなかった。

そもそもエトーやロッベンを相手に昨夜のプレーは許されないだろう。

年齢からくる衰え…? いや31歳ならばSBとしてこれから味が出てくる時期。

要は2010W杯から3年、代表で厳しい試合を経験出来なくなり、
すっかりJリーグ仕様に落ち着いてしまっていた頃合だったのではなかろうか?

極端な話、この代表の面々はコンフェデでは明らかに浮いていた遠藤の守備を皆が体現していたようなものだ。

一体このチームでは「誰」が「どこで」ボールを奪ったらいいのか…?


改めて言うまでもなくこの国では「サッカーと言えば代表戦!」という層が大半を占めている。

その意味で昨夜の試合に臨んだ選手達に自分達がJリーグの将来を背負っているという自覚はあっただろうか…?

こんな1~2試合でJ全体を判断されても…というのが本音かもしれないが、実際世間はそういう目で見ているだろう。


なでしこJAPANはW杯で世界一になるまで、「代表戦は1試合1試合勝ち続けない限り、女子サッカーに未来は無い」という覚悟で澤や大野らは毎試合臨んでいたという。

それがあのシュートへ身体を投げ出すタックル、ルーズボールへの執着心、格上相手にリードされても最後まで諦めないスピリットに繋がっていたのだろう。

当時の女子サッカーに比べればJリーグは横ばいとは言え一定のパイは確保しているものの
代表フィーバーの熱気を少しでも自分達のプレーでJリーグに持ってこようという気概が欲しかったのだが・・・。


<Jリーグよ 覚醒せよ!>
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そうは言っても毎年ACLで惨敗を続けるJリーグで選抜チームを作ればこれは当然の帰結なのだろうか?

Jリーグを変えようにも所詮、ピッチの外で試合を眺めるだけの我々に出来る事など何もないのだろうか?


・・・否、一国のサッカーはその国のサッカーファンが作るものである。

プレミアリーグを例にとれば多少(いや、かなり?)激しい接触プレーでも痛がってピッチ上に倒れている選手には容赦なくスタンドからブーイングがおくられる土壌がある。

イングランドのファンは身体をぶつけ合うプレーが好みだからなのだが、
この土壌がピッチ上に「甘え」の無いスピーディーな試合を作り上げている。


Jリーグも柿谷のファーストタッチの巧みさに沸くだけでなく、
攻守の切り替えに関しても一定の要求水準を我々が作る事は出来るだろう。

寄せが甘い守備には容赦なくスタンドからブーイングを送るべきだし、
日本サッカーを取り囲む全ての目が変わる事でJリーグの覚醒に繋げたい。



・・・とまあ、これだけ壮大な逆フラグを立てておけば次のオーストラリア戦はバッチリだろう(笑)

次回の更新では是非、コメント欄が「海外厨ざまぁwww」で埋まるという良い意味で裏切られた驚きの結果になる事を期待している。

(べ・・・別にセル○オの後釜狙ってツンデレキャラ変更って訳じゃないんだからね…!ww)



【オマケ】個人的にはそれでも次も柿谷に期待している。
浮き球に対するファーストタッチの処理と2列目に落としてからのリターンをもらう関わり方は前田やマイクには無かったもの。

そしてこの選手は何よりドリブル時の姿勢がイイ!凄くイイ!

背筋がピンと伸びたあの感じは中田ヒデ以来のものを思い起こさせるし、
こういう選手はドリブルをしながら周囲の状況に応じてプレーに変更が効くから幅が広い。

反対に斜め45度俯き姿勢の原口のドリブルは典型的なボール中心半径5M視野のプレーで多分通用してもアジアまでだと思う…。


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ザック解任論は是か非か? ~日本代表のコンフェデを総括~

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<ザック解任論は是か非か? ~日本代表のコンフェデを総括~

ブラジル、イタリア、メキシコを相手に0勝3敗、勝ち点0。

これが現在のザックJAPANに突きつけられた現実である。

この結果を「予想通り」と受け取る人もいれば「論外!ザック解任!」と声高に叫ぶ人もいるだろうし、
「結果でなく内容が問題だ」と言いたい人もいる事だろう。

先日、興味本気でコンフェデの組み分けが決まった当時(昨年12月)のサッカーファンの反応を調べてみたら
「ザック逝ったーー!!」「始まる前からオワタ」「どうせなら玉砕覚悟でいって欲しい」「逆にいい経験になる」と様々な声があったが、一つだけ共通してるのは皆3敗を頭のどこかに前提として置いて話しているところ。

ところがいざ半年たってみて本当に3敗という結果を目の当たりにすると
ここまで「ザック解任論」の声が大きいのはなかなか面白い現象だと思う。
(まあ、この記事書き上げるのに時間かかり過ぎて今はだいぶ沈静化してるけどねww)


果たしてザック解任論は是か非か…?

そこで今日はまずコンフェデの3試合で明らかになったザックJAPANの課題を改めて検証し、
本大会までの残り1年という時間をどう使うのがベストなのかを考えてみたい。


<ザックJAPAN コンフェデ総括レポート>

【悪い時間帯を凌ぎ切れない】

コンフェデで得た数少ない収穫と言えば、自分達のサッカーが出来ている=即ち「自分達の時間帯」には世界の強豪相手でも充分勝負になるという事だ。

ブラジル戦の惨敗から見事に立ち直ったイタリア戦やメキシコ戦でもむしろ「日本の時間帯」の方が長かったぐらいである。

問題は自分達のサッカーが出来ない=即ち「相手の時間帯(悪い時間帯)」を凌ぎ切れずに失点を重ねていった事がそのまま3敗に直結したと見る。


この問題と密接にリンクしてくるのが再三述べている通りボランチの守備力だろう。

率直に言って事前の予想通り、このレベルの相手には日本の2ボランチは全くフィルターとして機能しない事が明白になった大会だと思う。

ベスト4に進出したチームのボランチを見てみるとブラジルのグスタボ&パウリーニョを始めウルグアイの泥臭い3センター、
かつての潰し屋からつなぐサッカーへの転進を図るイタリアにしてもモントリーボとデロッシはいざとなれば水準以上の守備力を見せていた。

ここで重要なのはブスケス、デロッシらのように「守れて繋げる」ボランチがいればベストに越した事はないが
そうでないならグスタボやウルグアイの3センターのように「繋げはしないが守りは間違い無い」駒が起用されている点である。

ところが日本の場合、遠藤&長谷部共に「繋ぎ」の方が重視された結果「守れない」2枚でボランチを組んでしまっている。


無論、そうは言っても日本の場合、ボランチの選手層という問題が現実にはある訳で。

となれば現実的な解決策の一つに長谷部と遠藤の後ろに1枚アンカーを置く「アンカー論」は当然の成り行きとして、
最近聞こえてくる声で疑問に思うのが「アンカー起用=岡田JAPANへの回帰」となっている方程式である。

アンカーを置いたからと言って何も岡田JAPANのようにチーム全体の重心を下げたリアクションサッカーに徹しなければいけないという話はどこにもない。

あくまで布陣のオプションとしてのアンカー提起が=チーム全体の戦術と方向性を決めるとは限らないだろう。
アンカーを置きながらチーム戦術としては今の方向性のまま、主導権を握るサッカーを目指したって何ら問題は無いはずだ。

(他にも左サイドの守備は本大会でのウィークポイントとなりえるし、右サイドにしても岡崎の守備力が前提のもので清武を使った場合は大きくバランスを崩してしまう可能性がブラジル戦でも明らかになっている)


…とは言え、恐らくザックがアンカーを起用する事はしないだろうし、遠藤と長谷部の人選も変える事は無いと思われる。


何故かと言えばそれはサッカーでは「ボランチの守備力」という問題だけをチーム全体から切り離して論議する事は出来ないからである。

CBも含め、今大会で批判の的となっている日本のセンターラインについて
「何故アンカーを置かないのか?」「何故、闘莉王を召集しないのか?」といった疑問に答えるには
もう少しザックJAPANというチーム全体のメカニズムを掘り下げていかない限りその答えは見えてこないだろう。


【CB吉田は戦犯か?】

もちろんここであのイタリア戦を取り上げてみれば吉田は間違いなく敗因の一人となるだろう。

仮にあの場面に対応したのが中沢や闘莉王であったならああはならなかった可能性も高いと思う。

・・・が、ここで今一度考えなくてはいけないのは、そもそもザックは何故吉田を重宝してきたのか?という問題である。

改めて振り返ってみると吉田の抜擢はザックが就任早々に初めて行った大きな決断だった事が分かる。
(アジアCUP2011で初抜擢⇒以降完全にレギュラー定着)

確かにCBを「相手の攻撃を跳ね返す」という観点で見れば現在でも闘莉王他、吉田以上のタレントは存在するだろう。

しかし今野+吉田というCBペアはCB単体として見るのではなく、明らかにチーム全体のスカッドという観点から逆算して選ばれている。

つまりこのペアが現状、「日本で最もタテパスを発信出来るCBコンビ」という事であり、
ザックが描いているのはまず間違いなく【吉田+今野⇒遠藤+長谷部⇒本田】というチームの背骨を貫く縦のセンターラインだろう。

【ザックが描く日本のセンターライン】
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と言うのも2010年W杯の日本代表が主導権を握れなかった大きな要因の一つに
CBからの展開で中盤にタテパスが入らないという大きな問題があった。

岡田JAPANでCBを勤めた闘莉王、中沢のコンビは相手の攻撃を跳ね返す仕事には長けていても
奪ったボールをSBへと横に展開するか前線へロングボールを蹴り返すのが精一杯だった事から日本の守備時間は増え、
2010年大会では出場国中パスの成功率が最下位だったというデータがある。

この結果を受け当時のサッカーファン&協会が掲げた次の目標が
「もっと主導権を握って世界と戦える日本代表」であり、
ある意味ザックは協会の発注通りに製品作り(チーム作り)を進めてきたと言っても過言では無い。


ちなみに「何故、CBからタテパスが入らないと駄目なのか?」と言うとそれは日本のチーム事情と深く結びついていて、
要するにCB⇒SB⇒SHというサイドへ迂回するパスルートが日本の場合「実は死に筋じゃね?」という話。
(*「死に筋」というのは将棋で言うところの一見有効筋に見えても4手~5手先を読むと決して有効とは言えない手筋の意)

【従来のCBからのパスルート】
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CBからの展開が横へ横へという事になると、どうしてもそこからSBとSHの縦の関係でサイドを突破していく形になる訳ですが・・・。

仮に日本のSHがリベリーとかロッベンならこの展開ルートでもいいんですが(と言うかむしろ正解)
岡崎にしろ香川にしろ清武にしろ、残念ながら個の力で縦に突破してくタイプではないので
彼らSHが敵のSBを背負った状態でタテパスを受けるこのルートは日本の場合死に筋になる事が多いんです。

ちょっと先日のコンフェデ(イタリア戦)から分かりやすいパターンを見てみよう。


【CB⇒SB⇒SHの迂回ルート】
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局面はイタリア戦からの一コマ

CBの吉田からSBの内田へ展開されたところ。岡崎がパスを受けに下がってくる。


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内田から岡崎へタテパスが入るとまさにCB⇒SB⇒SHという迂回ルートでパスが展開される場面。


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一見パスはつながっているように見えても実は岡崎はここで攻撃方向に背を向けた状態でボールを受けた場合、
振り向けないしキープも出来ないのでとりあえずボールをどっかに逃がさなきゃいけない。

という訳でこのサイドの苦しいエリアで寄ってきた本田に「オナシャス!」って感じにボールをはたいてますが
岡崎にタテの怖さが無い事はイタリアも分かっているので本田にはもう2枚が寄せてきている状態。


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パスを受けた本田も困るような状況で結果、岡崎&本田共にサイドの窮屈なエリアに押し込まれて局面が死に筋になっている。

この後実際にボールはタッチラインを割って攻撃は終わってしまうんですが、じゃあどうすればよかったの・・・?という事で局面を巻き戻して別の可能性を考えてみよう。↓


【死に筋にならない別の可能性】
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実は内田が受けたところでそのままタテに岡崎へ入れるのではなく、中の遠藤を使うと攻撃に別の広がりが持てた可能性が高い。

香川なんかはこの段階で内田⇒遠藤⇒タテパスで自分が間受けという3手先まで頭に描いていたのだろう。
ボールを持った内田に対して中の遠藤を使うよう腕を使ってコーチングしている姿が確認出来る。
(香川はこの形が得意だしね)


では成功例として、実際にSBから中へのパスルートを使った場面も検証してみよう。


【中を使ったパスルートからの攻撃】
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今度はメキシコ戦からの一コマ。

CBの今野からSBの酒井へ展開された後、ここでタテパスを入れるのではなく中の遠藤を経由。


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遠藤から本田への縦のホットラインが繋がり、そこから香川へとよどみなく流れていく日本得意の形へ。



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ボールを持った香川がメキシコのDFを2枚引き付け、更に大外を長友がオーバーラップで仕掛ける事で注意を外に向けている。

これで空いたバイタルエリアで本田がリターンを受ける流れ。


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受けた本田がシュートまで持っていく事に成功。

パスの起点となる遠藤に受けの柱となる本田、そして中に入り込んで細かくボールに絡むのが得意な香川の関係性は言うまでもなく日本の生命線であり、この中央突破の形はザックJAPANには欠かせない武器となっている。

反対にサイドを単純に突く形ではちょっと絶望的なまでに両サイドの突破力の無さがザックJAPANのネックになっているので、それがよく分かる流れをちょっと見ていただきたい。↓


【ザックJAPANのネック (両サイドにおける突破力の欠如)】
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局面は同じくメキシコ戦から日本のカウンターで絶好機の場面。

前田のポストプレーからサイドのオープンスペースに展開され岡崎の前に遮る者は無し。
ブラジルのネイマールでなくとも、これは絶対にシュートまでは持っていきたい局面だ。


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ボールを持ち込んだ岡崎はペナルティエリアの手前で進路を中にとってカットインするも・・・


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仕掛けたというよりもメキシコの壁を前に横へ横へカニドリブルのように迂回させられる形になったかと思えば最後は苦し紛れのバックパス。


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受けた香川も苦しい感じで、これでは一度ボールを下げるしかなく・・・


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結局、これをもらった遠藤も一度GKまでパスを下げるって・・・マジかよ!!ww

よもや最初、岡崎が絶好のオープンスペースでボールを受けた時には、まさかここからGKにバックパスになろうとは夢にも思いませんでした・・・!!(爆)


実はこれ、逆サイドの香川も同じで単独で縦に突破する力は持ってないんですよ。

つまりザックJAPANの構造上、単純なサイドの迂回ルートはやっぱり死に筋なんです。
(まあ、日本人が世界と戦う時に抱えるジレンマとも言えますがね)

ザックはそれが分かっているから↓のようなタテパスで中を使う攻撃ルートを生命線に据えている訳ですね。

【ザックが描く攻撃ルート】
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個人でタテに突破出来ない香川と岡崎はむしろ斜めの動きで中に入ってきたり裏へ抜けたりする事で活きる駒で、
むしろ両サイドのエリアを使うのはSBの上下動に任せている構造になっています。


無論ザックは中央突破だけでは手詰まりになる事は分かっているので、ちゃんとサイド突破の形も構築していますよ。

しかもサイド突破の方はかなりオートマチックに錬られていて、誰が出ても機械的に同じ動きをするので注目して試合を見ればすぐに分かるし、それだけザックがこだわっている部分でもあるはず。

【ザックが描くサイド攻撃の形】
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ここでは例として右サイドでの崩しで考えてみよう。

サイド突破でもやはりボランチから本田への中を使ったタテパスが起点になるところまでは全く変わりません。

まず本田が前線から中盤まで降りてくる事で相手のCBを引き付けると
ボランチ(長谷部)から本田へタテパスが入った瞬間、ほぼオートマティックに中へ入っていくSH(岡崎)とその大外でオーバーラップを仕掛けるSB(内田)の動きがセットになっている。

こうする事で相手DF(左SB)に中へ抜ける岡崎へ付くか大外を走る内田へ付くかマークの選択を迫る仕組みだ。

仮に相手のSBが岡崎へマークに付いた場合↓

【岡崎へマークが付くと内田がフリーになる】
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本田からサイドへフリックパスを使う事で内田はフリーで中にボールを上げられる。
これを前田と逆サイドから香川が入ってきて合わせるのが狙い。

ではもし相手のSBが内田へマークについた場合は↓

【内田にマークが付くと裏へ抜ける岡崎がフリーに】
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この場合は攻撃方向に背を向けている本田が直接裏へ出すのは難しい為、ワンタッチでボランチ(長谷部)にリターンを返して、浮き球で裏を取る形になる。


とりあえず百聞は一見にしかずという事で実際の試合からこのサイドで生まれるオートマティズムを確認してみよう。

【ザックJAPANのサイド攻撃】
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局面は前線から降りてくる本田に長谷部からタテパスが入る瞬間。

この時、SH(岡崎)とSB(この試合では酒井)が同時に動き出す。


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ここではメキシコの左SBが岡崎に付いた為、酒井がフリーになっているのが確認いただけると思う。


つまるところこのブログでも繰り返し「ザックJAPANは本田のチーム」と言ってるのはこの為で
サイド攻撃だろうと中央突破だろうとまずは本田へタテパスを入れる事がチームの構造上、大前提になっているのだ。
(無論ザックが本田にこの役割を託せるのも本田の超人的なキープ力という信頼があってのものだが)

故に守備では難があってもボランチには本田にタテパスを通せる遠藤と長谷部が軸となるし、
となればCBはそのボランチに最もタテパスが通せる吉田&今野というロジカルな結論に落ち着くだろう。

つまりザックは日本に「つなげて守れるCB」はいないという事実を踏まえ
であればCBにも「つなげる選手」を優先的に選び、4年間で守備の成長を期待する方向を選んだという事だ。

無論3年たった今、その守備の成長が充分ではないから「吉田を代えろ」と言うのは簡単だが
その場合そもそものチームコンセプト自体を変える=2010W杯終了時に一度回帰するという覚悟を持って言うべきだ。

繰り返すようだが吉田+今野のコンビ以上に最終ラインからタテパスが入れられるCBペアは現状、日本に存在しない。


以上を踏まえてコンフェデの3試合を改めて振り返ってみると優勝したブラジル相手にはスペインだろうと
まともにつないでサッカーをしようとすれば前プレ+ショートカウンターの餌食になるレベルのチームであったのだから、日本が同じやり方で手も足も出ず3失点したのは致し方あるまい。

むしろザックJAPANの3年間の成長振りは負けはしたもののイタリア、メキシコといったクラスの相手ですらボールを繋げるしタテパスも通せるという成果にあったのではなかろうか。

その意味で前回のW杯ではひたすら守るだけでパスは全く繋げなかった(最下位のパス成功率)チームを
アジア相手なら無双、世界に出てもセカンドクラスまでなら自分達の時間は作れるというレベルにまで持ってきているザックの手腕には一定の評価を与えるのがフェアな目というものだろう。


<クラブチーム化するザックJAPAN>
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もう一点、ザックが批判される大きな要因となっているのが【メンバーの固定化】だろう。

最近ではお決まりのスタメンと交代パターンに「クラブチーム・ザックJAPAN」などと揶揄する声も聞かれるようになってきた。

しかし実はこの「クラブチーム化」こそザックが就任当初から狙っていた一つの強化プランだったとしたらどうだろう?

元々「個の力」で世界と勝負出来ない日本代表というチームは組織の完成度でアドバンテージを握るより他に道は無い。

既に見てきたようにサイド攻撃のオートマチズムにしても中央突破のライン作りにしてもプレッシングの連携にしても
それこそクラブチームのように同じメンバーで完成度を上げていく事で世界と渡り合っていこうというのがザックの狙いだろう。


勿論、チームである以上「競争」も必要だ。

だが「メンバーの固定化」にしろ「海外組の優遇」にしろ、実は同じ問題に原因は求められる。


それはつまり・・・・




国内(Jリーグ)に使える駒がいないという問題だ。

ザックはそれこそかなりの頻度でJリーグを視察しているが、結果毎度呼ばれるメンバーは同じ顔ぶれが並んできた。

固定化しているメンバーには「連携」というアドバンテージがあるのも事実だが、
つまるところそれが消し飛ぶぐらいの素材をいくらJリーグを視察してもザックは見つけ出す事が出来なかったという結論だろう。

結局のところ「海外組」を軸に足りないポジションを国内組で埋めていくという構図は
実はトルシエ、ジーコ、岡田JAPANの頃から全く変わらないものである。

唯一オシム監督だけは「自分のサッカーを既に熟知している」というアドバンテージからジェフ千葉の選手を中心にチーム作りを始められるという特殊な事情があったものの、
それでもアジアCUPに臨む頃には中盤に中村俊輔、前線で高原と海外組が軸になっており、
それらの周りを固めるのも中村憲剛、遠藤という現在にも通ずるお馴染みの顔ぶれだった。


とは言えトルシエの頃とは比べ物にならい程「海外組」の質も量も向上した現在、
コンフェデでのパフォーマンスからザックJAPANの構成を改めて考えてみよう。

まずブラジルやイタリアら文字通り世界のトップクラスを相手にもいつも通りのパフォーマンスがある程度発揮出来た選手↓

【海外トップリーグの実績者】

香川(マンU) 長友(インテル) 内田(ブンデス中堅でレギュラークラス) 本田(CSKAの中心) 岡崎(ブンデス下位で3年目) 長谷部(ブンデス5年の実績。初戦のブラジル戦は低調もイタリア戦以降はさすがの出来。単に試合勘の問題か?) 

これらの選手は文字通りザックJAPANの主軸中の主軸であり、海外での実績上位者達でもある。


続いてコンフェデではいつも通りのパフォーマンスが通じなかったものの、ザックJAPANでは不動のメンバーを占める選手達↓

【海外リーグの中堅実績者】

吉田(プレミア下位移籍初年度) 清武(ブンデス下位1年目) 酒井(ブンデス下位ベンチ) 細貝(ブンデス2年目) (ブンデス1部1年目) マイク(オランダ1年半) 川島(ベルギー3年目)

つまり何が言いたいのかというと、要するに普段戦っているリーグの環境がより厳しいレベルでより長く在籍している実績を持つ者がやはり世界と戦う上でも計算が立つ選手になっているという事実である。

(若干、本田だけは例外だけど、それだけ普段から環境が求める以上に己に課す意識が高いという事か)


・・・まあ、こんな事を書くと「海外厨のJ軽視」とか「レテッテル厨」「ブランド厨」という反論が来るだろう事は承知の上で(汗)、
それでも敢えて言ってみたのはザックを始めとするプロ中のプロの監督の目で見てもそういう選考になっているからだ。

で、これらに該当しない国内組(Jリーグからの選抜)からは海外組のいないCBというポジション(吉田の相棒)に国内で最もタテパスが通せるDF今野
ボランチに守備では細貝より劣るものの「展開力」を重視するチーム事情から遠藤がレギュラーを占めているのもロジカルな選択だと思う。


そのJリーグ勢については、やはり今大会で見せた遠藤の守備感覚が全てを物語っているように思う。

遠藤自身はJリーグで見れば決して守備面で特別劣った選手では無い。
むしろデータで見ても1試合平均のインターセプト数ではJリーグ全選手の中で常にトップ10に入る実力者だ。

だが逆説的に言えば、遠藤の守備が荒として目立たない環境ではハッキリ言って限界も見えてくる。

CL優勝バイエルンのマンジュキッチ、コンフェデ優勝ブラジルのネイマールを持ち出すまでもなく
世界トップクラスでは前線の選手ですらあそこまでの守備が求められている時代なのだ。

だが日本には「守れる遠藤」「タテパスが出せる細貝」もいないのが実情だ。

故に我々は【帯に短し襷に流し】の駒の中から何かをとるには何かを捨てる覚悟でメンバーを選ばなければならない。


現在、Jリーグで飛びぬけた活躍を見せている選手にしても東アジア選手権ならそのまま通用しても
ブラジルやイタリア相手に同じようなプレーが出せるとは到底思えないのが現状だ。

例えば左SHには香川(スタメン)乾(控え)という明確な序列があるが、
今回東アジア選手権のメンバーにはこのポジションにJリーグの好調ぶりを買われて横浜Fマリノスの齋藤学が選ばれている。

「和製メッシ」とも言われるキレ味鋭いドリブルは今季のJリーグでも手がつけられない暴れっぷりであるが
例えば乾はJリーグでの無双時代を経てドイツへ渡りブンデス開幕初期はブレイクを果たしたものの、
今は対策を練られて一つの大きな壁にぶち当たっている段階だ。

つまりまだJリーグ無双で春を謳歌している斉藤とは2ステップから3ステップ先にいるのが現在の乾でましてやレギュラーはあのマンチェスターUの香川である。

果たして今回の東アジア選手権で斉藤がどれだけ活躍したところでザックJAPANのレギュラーもとい、ベンチメンバー争いにすらどれだけ絡んでこれるかはかなり怪しいところだと言わざるを得ない。

(斉藤に関してはロンドン五輪に臨んだ関塚JAPANで結局ベンチメンバーのまま大会を終えている)


そしてこれは何も左SHだけに限った話でなく、その他全てのポジションで似たり寄ったりの状況と言えよう。


<ザックJAPAN 進化の道を探る>
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ここまで書いてきたところで「オイオイ前田の話はスルーか?」と思った方もいる事だろう。

先ほどのザックJAPANのメンバー構成で敢えて前田を外したのには訳がある。

これに加えて実は攻撃のルート図でも前田が全く絡んでいなかったのにお気づきの方はいただろうか?

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要するに今の状態だと1トップではなくトップ下の位置で本田のポストプレーが中心になっているから前田意味なくね?って話。

余談だけどザックが3-4-3を捨てきれないのはもしかすると
「どうせ1トップの前田が遊んでる状態ならいっそ本田を1列上げてCFに持ってきちゃえばポストプレーがゴール前で活きるんじゃね?」っていう算段があるんじゃないかと個人的には思っている。

【3-4-3で本田のポストプレーをゴール前に持ってくる妥協案】
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要するに本田を一列上げたらそのまま3-4-3にいけるよねっていう妥協案なんだけども・・・。(^^;


・・・おっと、話が横道に逸れたので本題に戻ります。
何で前田をスルーしたのか?っていう話の続きですね。

現在、ザックJAPANの1トップはボールの収まりと献身性という点で前田がマイクを頭半分リードしている状況だが
このポジションに関しては恐らくザックもまだ納得がいっていないはずだ。

イマイチ活かし方が見つけきれないマイクと攻撃で香川+本田+遠藤ら中盤の連携に全く絡めない前田が担う1トップは現状ザックJAPANの足枷になっていると言っても過言では無い。

つまり他のポジションとは違い、「CF」だけはまだ横一線に近い競争状態にあるという事だ。

ザックが描く理想の攻撃形は仮に1トップにボールが収まって、
2列目の香川らと有機的に絡める選手がいたとすると飛躍的にその機能性が向上すると考えられる。

つまりボランチや両SH&SBから本田を飛ばして1トップにクサビを打ち込めるとなれば
この落としを本田が前を向いた状態で受けられる事を意味するからだ。(しかもバイタルエリアで)

【ザックが描く理想の攻撃形 (進化ver)】
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ここで本田が前を向ければそれこそやりたい放題なので攻撃のバリエーションは無限に広がると見ていいだろう。

前田とマイク以外の手札は「高さ」の豊田、「裏抜け」の佐藤寿人、「テクニック」の柿谷という事になるが
やはりチームの構造上「裏抜け」ではなくポストプレーが絶対基準となってくる以上佐藤の選考外は致し方無しか。

そこで個人的には柿谷に期待したい。

彼については足元のテクニックでは既に申し分の無いものを身につけているので
あとは90分間の中でどれだけコンスタントにボールに絡めるのかを東アジア選手権で見ていく事になる。

具体的にはボールが逆サイドにある時でも絶えずCBの視野から消える駆け引きが出来るのか?
又、Jリーグではファーストタッチの技術だけでポストプレーが成立してもオーストラリア、韓国相手に同じようにボールが納まるのか?

そして守備についても最低限、前田と同等の献身性は見せて欲しい。

これらの基準をまずはアジアの舞台でクリアしない限り、世界への挑戦権は回ってこないと思っていいだろう。


・・・さて、以上が僕が考えるザックJAPANが積み上げてきた3年間の全貌と未来の展望だが、
それでも「ザック解任論」を唱える意見があるのは当然だし、あるってしかるべきだとも思う。

ただ、その根拠となるべきものが単なる「3連敗」に起因する感情論だったり、
誰か特定の選手をチームという枠組みから切り離した無意味なシステム論だったりメンバー選考論だったりするのはフェアな評価軸とは言えないだろう。

仮に今からザックを解任して4年前と同じように「守り」を優先したチームを組めばある程度失点は軽減出来る事も事実だ。

しかしそれは「攻撃機会の激減」「ポゼッションの放棄」「神頼み(セットプレー頼み)の得点力」と背中合わせである事も充分認識すべきだろう。
(グループリーグ3試合でFKから2得点という神業の再来を宝くじを待つようにして眺める他ない)


W杯本大会まで残り1年-

ザックJAPANの進化に賭ける道も、3年前に時計の針を巻き戻す道も我々にはまだ残されている。


今一度問う。"貴方はそれでもザックを解任したいですか?"


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ブラジルによるブラジルの為のフェスタ ~コンフェデ総括~

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<ブラジルによるブラジルの為のフェスタ ~コンフェデ総括~

姉さん、夏バテです。コンフェデ終了と共に完全にサッカーのスイッチがOFFになっていました。(海外サッカー厨あるある)

まあ、別件でちょっと進めているネタがあったりと(近日告知予定)なにもアイドルDVDとアニメばかり見ていた訳でもないのですが(^^;、
さすがに世界のサッカー情勢が色々動いたコンフェデという大会をこのままスルーという訳にもいくまいて。


…という事で今回はコンフェデの総括を準決勝&決勝を中心にお送りしたいと思います。

結果的にはご存知の通り「ブラジルのブラジルによるブラジルの為の大会」と言ってよかったと思いますが
戦術的観点で振り返った時、興味深かったのは「スペインの倒し方」というトピックですね。

なにせEURO⇒W杯⇒EUROと近年のサッカー界は最強スペインを中心に回ってきた訳で
勿論次のW杯本大会でも優勝候補の筆頭に挙げられる王者をどう倒すか?というのは本試験を来年に控えた模擬試験とも言うべきコンフェデでは最大の注目ポイントであった訳です。

そこでまずは準決勝のイタリアが見せた対スペイン戦の戦術から振り返ってみましょう。


<イタリアのスペイン対策 ~準決勝~>
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↑これがスペイン戦のイタリアのスタメンです。
ええ、プランデッリはここでいきなり3バックの採用ですよ。(カルチョ萌え)

日本ではよく3バックの弊害として「サイドを突かれて両WBが下がると5バック状態になる」とか言われますが、
アズーリはむしろこれを「迅速に5バックへ移行出来る」利点として捉えていたフシがあります。

イタリアはスペインが一度ボールを繋ぎ出して高い位置での奪回が無理と判断した場合、
割り切って自陣に5バックのブロックを形成し迎撃体制を整える守り方を見せていました。

【3-4-2-1⇒5-4-1へ】
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このように両サイドが一列づつ下がって5-4-1になります。

『5バック上等!』という自信が日本との違いですかね。

【意図的に5バック化するイタリア (対スペイン)】
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一見、守り一辺倒にも見えるこの5-4-1ですが、その実ピルロ、デロッシという発射台が中盤に2つあり、
尚且つ両サイドを1枚で上下動出来るマッジョ&ジャッケリーニ、
そして飛び出しと縦の推進力に長けたマルキージオ&カンドレーバというスペシャリスト達がいるので
イタリアのこのシステムは実によく機能していたし、むしろカウンターから度々チャンスを作っていたのはイタリアの方でした。

ただ、決定機を最終的に決めきる絶対的なストライカーの不在、
そしてデルボスケのスペインは相手が守りを固めてきた時は無理に攻め急がず、
安全第一のポゼッションでリスク回避の時間消費からPK合戦上等!という強みを発揮されて惜しくも敗れてしまいました。


イタリアはこの一旦引いてからバイタルにパスを出させないという「待ち」の守備でスペインを苦しめましたが
決勝のブラジルはまた違ったやり方で対抗していく事になります。


<今大会で定まった新生ブラジルのスタイル>
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ブラジルに関しては初戦の日本戦マッチレビューでその「勤勉なセレソン」の強さを検証しましたが、
どうやらこの大会でフェリポン・セレソンのスタイルはおおかた定まった感があります。

まー何と言いますか「グレミオ時代の泥臭いサッカー」が代名詞の実にフェリポンらしいチームに仕上がってきたな…と(笑)

でもさすがにフェリポンは仕事が早いし、これなら最悪ラスト1年の段階でヤバかったらフェリポン召還で毎回何とかなんじゃねえか…?wwっていうのはブラジルらしいっちゃらしいか。
(おっと・・・この流れで緊急事態の「岡ちゃん召還」と口を滑らせるのもそこまでだ)


【スペイン×ブラジル】
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日本相手にもあそこまでしっかりと前プレをかけてきた新生ブラジルですから、
スペイン相手となればその戦い方は推して知るべし。

勿論、「待ち」で臨んだイタリアとは正反対の「攻める守備」でスタートからスペインを潰しにかかります。

知っての通りこのセレソンの強さは何より「守備」が支えている訳ですが、
これをもう少し細部にまでフォーカスして考えてみると「前線」「ボランチ」「DFライン」という3つのフェーズで成り立っている事が分かります。

まずはフレッジ、ネイマール、オスカル、フッキで構成された「前線」のフェーズがスイッチとなる「前プレ」を見てみましょう。

【ボールへアタックし続けるブラジルの前プレ】
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局面はブラジルが一度スペイン陣内奥深くまで攻め込んだところをピケにカットされ攻⇒守に切り替わった場面。

ボールを奪ったピケからペドロへタテパスが送られた瞬間に、ネイマールとオスカルがもう守備に意識を切り替えています。


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ネイマールの接近を感じたペドロはこのボールをダイレクトで後ろのブスケスへ落としますが、ここには続いてオスカルがアタック。

たまらずブスケスは左前方のイニエスタへワンタッチで展開。

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イニエスタへボールが渡った瞬間にブラジルが囲い込んでいるのが確認出来ます。

このように高い位置からブラジルの「前線」が諦めずボールへアタックし続けるので
この試合ではイニエスタ、シャビ、ブスケスらが低い位置で潰されてしまい、ほとんど有効な状態でボールを持たせてもらえませんでした。


とは言え「前プレ」は高い位置でボールを奪い返せるチャンスがある反面、
前線がボールに食らいついて行くので「待ち」の姿勢でバイタルへのパス自体をシャットアウトしたイタリアの戦い方に比べるとどうしても中盤へのタテパスを入れられるシーンは多くなってしまいます。

しかし、このタテパスをリスクとしないのがブラジルが誇る鉄壁のボランチコンビであり、
「前線」に続くこの「ボランチ」のフェーズがあるからこそこのチームがスペイン相手にも「前プレ」を仕掛けていける保障にもなっているんですね。

【ボランチの防衛ライン】
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局面は中盤でボールを持ったイニエスタがブラジル陣内にドリブルで侵入していく場面。

ブラジルのボランチコンビ(グスタボ&パウリーニョ)はイニエスタのドリブルに合わせて少しづつ後退しながら周囲の状況を確認します。


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・・・ハイここ!

…で、これ以上先へは侵入させないというボランチの防衛ラインを阿吽の呼吸で定めてここでピタッ!と止まり、イニエスタの進行を阻止します。


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ここからブラジルのボランチコンビはボールに近いグスタボがアタックし、残ったパウリーニョがカバーリングに回るという基本どおりの「チャレンジ&カバー」の関係を形成。

イニエスタからシャビへと下げられたボールにもグスタボがアタックを続け・・・


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シャビからイニエスタへと苦し紛れに出されたボールを今度はカバーに回っていたパウリーニョが「取れる!」という判断の元アタックを仕掛けボールを奪い返しました。

一見、何という事はないダブルボランチの「チャレンジ&カバー」ですが、スペイン相手にしっかりとボランチの防衛ラインを定めて、2枚だけの力でそこから先へは侵入させないという「個で奪う能力」の高さはやはり王国の底力を感じさせます。

続けてボランチの守備をもう一つ。

【ボランチの防衛ライン②】
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局面は中盤でボールを持ったペドロに対し、またもブラジルがボランチの防衛ラインを引いているのが分かります。

ペドロはこれを見て一旦後ろのシャビまでボールを下げます。


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下げられたボールへはオスカルが付き、パス&ゴーで縦に抜けるペドロにはそのままグスタボがマンマークで付いて行きます。

ここからシャビは更に後ろのブスケスへボールを下げる。


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このバックパスで食いつかせておいて⇒間受けのタテパスがスペインの十八番。

↑の場面でもブスケスからイニエスタへのラインがスペインの狙いですが、
これを察知したグスタボはボランチのラインを再度設定し直す為、ペドロを捨てイニエスタへ急行。


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…で、ここでも必ずボランチが設定したラインの前で潰してしまうブラジル。

このグスタボの何と言いましょうか・・・Mシルバ感?Fコンセイソン感?Gシルバ感って言うの?(笑)

ブラジルが強い時はいつもこういうボランチが必ずいますよねー。


そんでブラジルのボランチを見ているとつくづく我が国のボランチとは何だったのか…?を考えてしまう訳ですよ。


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遠藤、お前のその距離感な!www


endo0627-2.jpg
で・・・何となくそのままズルズル後退するだけのアリバイ守備な!www



敢えて言おう・・・



クソであると!(爆)


君らには「俺達がここで食い止める」というライン設定はないのか?とww

これじゃあボランチがフィルターにすらなってないんですよねー。
(3試合で9失点も致し方ナス・・・)



話がちょっと逸れちゃいましたが、ブラジルの場合は仮にこのボランチのラインを突破出来たとしても
更にその後ろにはチアゴ・ゴッド・シウバアフロ・ルイスが控えていてゴールマウスにはJセーザル神が鎮座してるって言うんですから鉄壁過ぎンゴwwww


<ブラジルのフェスタ開幕!>
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試合ではキックオフからブラジルのこの「前プレ」を後押しするべく、マラカナンの7万人大観衆がセレソンの背中を押します。

その熱狂と迫力たるや圧倒的で、スペインは何が何だか分からない内に先制点を奪われた感じだったのではないでしょうか?

マラカナンは前半1分の先制点でまるで優勝が決まったかのようなフェスタ状態。

これぞブラジルでしょ!www


お陰でTシウバが神なのは仕様としてもJセーザルが鍵をかけるゴールは理屈以上の何かが働いてまるで入る気がしなかったし、
Dルイスは普段青いユニを着ている時とは別人のような覚醒(どう見てもビーストモード発動してました)で、
グスタボは「バイエルンで控え?冗談だろ?ww」という職人ぶり。
フレッジに一瞬ロマーリオの幻影が見えるわパウリーニョのプレミア移籍は決まるわネイマールは今大会で神への階段を上りきるわのブラジル無双。


来年の本大会もブラジルは全試合このホーム状態で、
もし決勝まで勝ち進んじまったりしたら「W杯決勝」をこのマラカナンでやる訳ですよね…?

ちょっとどこが相手でも勝てる気しないでしょコレwww 
(でも見てみた過ぎる)


<スペインの1ボランチは限界か?>

一方、スペインの側の視点に立ってこの試合の敗因を探るとすると、
無双状態のブラジル相手に1ボランチはちょっと厳しかったかな・・・?というのがあります。

デルボスケのスペインはEUROでもW杯でもそうだったように基本はブスケスとアロンソの2ボランチで、
これまでどれだけ批判を浴びても頑なに1ボランチにはしようとしませんでした。

この大会はそのアロンソが手術の為欠場という事もあり、「まあコンフェデなら試してやってもいいか」とようやくデルボスケがその重い腰を上げてくれました。

かく言う僕もこれまでスペインの試合をレビューする毎に2ボランチは無駄だからもう1枚を前の方に割いてくれ!と繰り返し言ってきたんですが、事実攻撃面ではアロンソとブスケスの役割が完全にかぶっちゃってるのは間違い無いんですよ。

だったらアラゴネス時代のセナ1ボランチみたくブスケスかアロンソのどちらか1枚にした方が役割がスッキリするし、
何よりベンチに座らせておくにはマタ、イスコ、カソスラ、セスクは勿体無さ過ぎる!と思ってたんです。


しかしこれは今まで通りスペインが圧倒的にボールを支配している事が前提の話で、
このブラジル戦のように前プレから完全に押し込まれるような展開になると一転してブスケスの1ボランチはフィルターとしては厳しい一面が見えてきます。

【ブスケスの1ボランチでは抑えきれないバイタルエリア】
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局面はフッキがドリブル突破でスペイン陣内に侵入してきた場面。

ここではスペインのDFラインの前でブスケスがフィルターになるべくボールへ向かいます。

これを見たフッキはブスケスを寄せてからフレッジへ横パス。


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スペインは1ボランチのブスケスを引き出されてからバイタルを使われるとちょっともう抑え切れないんですよねー。

ボールを受けたフレッジはドフリーで余裕を持って次への展開へ繋げられてしまいます。


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結局ここではフッキとフレッジのワンツーが成立してあわやDFラインの裏を突かれる決定機になるところでした。

(*フレッジのリターンがやや高く浮きすぎたお陰でピケのカバーが間に合って助かる)

前半の途中からこういうシーンが続いていたので危ないなーと見ていたんですが、案の定ブラジルの2点目はこの形で決まっています。

【ブラジルの2点目を検証】
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局面はブラジルが自陣からのビルドアップ。

Dアウベスからフッキへパスが出るところですが、注目のブスケスは今この位置にいます。


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で、ボールを受けるフッキへ寄せるのは当然アンカーのブスケスの役目になりますが、
フッキは背後からの気配を感じてここでボールをトラップせずに咄嗟の判断でスルーを選択。

ボールがブスケスとフッキをすり抜けていきます。


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そうなるとブスケスが寄せた裏のスペースでは完全にオスカルがフリーな状態になる訳ですね。

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ブラジルのお家芸カウンターの発動で、無人の荒野を行くがごとくオスカルがドリブルでボールを運んでからネイマールへ。


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ネイマールという選手は絶対に前を向かせた状態でこのネイマールゾーンとも言うべき左45度のエリアに侵入させる事だけは阻止しなければなりません。

こうなってしまうと例えDF側が2対1の数的優位だろうがもうほとんど関係無し。

PKも怖いので迂闊に飛び込めないし、かといってディレイしようにもグイグイとカットインしてきますからねー。

まあ、ブラジルはこの状態まで持っていけば半ば勝負アリみたいな2点目でしたね。

(カシージャス相手にニアの天井へぶち込むとかこの男、クラシコでも怖すぎる!ww)


この様なシーンを見ていくとなるほど、デルボスケがこれまで頑なにブスケスの隣にフィルター役のアンカーとしてスペイン最強のアロンソを置き続けてきた理由がよく分かりました。


<スペインの時代が終わる?>
20090705_1260690.jpg

スペインの敗因をもう少し掘り下げて考えてみると、やはり彼らのサッカースタイルがその一因であったという結論に行き着くのではないでしょうか?

これまでスペインは相手のDFライン裏へ目掛けた縦1本のパスを半ば捨て去る反面、
成功率の極めて高い距離感でのグラウンダーパスに攻撃を特化させる事でその圧倒的なポゼッション率を実現してきました。

しかしこれは守る側にとってみると裏への怖さが無い事で思い切った前プレを許す一因となってはいないだろうか。

仮にブラジルの相手がピルロ要するイタリアだったらどうだっただろう?
もしくはスペインにアロンソがいたらどうだっただろうか?というのは考えてみる余地はありそうだ。


加えてもう1点、スペインの頑なな中央突破へのコダワリがブラジルの守りを楽にさせていた点にも言及したい。

ブラジルの強みはやはりTシウバ、Dルイス、グスタボ、パウリーニョで形成される鉄壁のセンターボックスにあります。

【ブラジルが誇る鉄壁のセンターBOX】
box-brazil.jpg

にも関わらずスペインは前半からバイタルでの間受けを狙い続けていましたが、明らかにこの狙いはブラジルに読まれており、
スペインが中へのタテパスにこだわればこだわるほどブラジルのカウンターチャンスが量産されていったフシは否めないでしょう。

事実、後半はサイドへのルートに活路を見出す為、ヘススナバスを投入してようやくスペインもチャンスらしいチャンスを作る事に成功していましたが、
所詮どこまでいってもバルサをベースとしたバルスペイン代表なので、サイドからのクロスを中で押し込む為の駒と方法論が無く中途半端な攻撃で終わっていました。


戦(いくさ)における兵法の基本的な考え方の一つに
「利の無い攻撃はむしろ窮地である」というようなものがあるんですが、
要するに攻めた結果のリターンが不明瞭な攻撃をするぐらいならいっそ守りに徹した方がマシという事なんですよ。

ブラジル戦におけるスペインの攻撃はまさにこの典型で、攻撃をすればするほどピンチを量産するという悪循環にハマっていました。

イタリア戦でもこの傾向は見受けられたのですが、途中から無理には攻めずにポゼッションでいなす時間帯を作って試合の流れを変える事に成功。

しかし決勝戦では先にブラジルに先制点を与えてしまっている上、前半はブラジルの前プレが機能していた事もあり「いなす」時間帯を作る事が出来なかったのが痛かったですね。


・・・とは言え、この試合をバルサのバイエルン惨敗にダブらせて「スペインの時代終焉」とするのは時期尚早というもの。

メンバーや試合の展開が一歩違えばスペインのパスがブラジルの前プレを空転させて、後半ガス欠のブラジルをスペインがなぶる…という展開だって充分に有り得るのがサッカーの難しさでもあります。

圧倒的に見えるブラジルにしても先制すればその後の「前プレ」と「カウンター」がハマって強いですが、
逆に相手に先制されて引かれてしまうと遅攻で打開し切る強さは無いと見ます。
(この辺はロナウジーニョを選考外としたドゥンガのセレソンと構造的には同じはず)

一つ言えるのは今後の近代サッカーは間違い無く「前プレ」「ポゼッション」の二本柱を軸に進んでいくという事で
ブラジル、スペイン、イタリア共にそのバランスの取り方が微妙に違うだけでそれぞれが同じベクトルに向かって進んでいる現状です。

来年、このマラカナンの地であの栄光のトロフィーを掲げるには、
これからの1年でどうチームを進化させていくかに懸かっているはず-


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