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プレミアにモウナチオが帰ってきた! ~マンチェスターU×チェルシー~

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<プレミアにモウナチオが帰ってきた! ~マンチェスターU×チェルシー~

"あの男"がロンドンに…プレミアに戻って来ました。

世界中のブルース達が「あの黄金期よ再び」という事で今季は開幕前から鼻息が荒いのも納得です。
2度目となるチェルシー就任で今度はいかなるチームを作ろうというのか-

きっと多くの人が注目している事でしょう。

そこで今日は先日のマンチェスターU×チェルシーのビッグマッチから
モウリーニョ就任によってチェルシーはどのように生まれ変わろうとしているのか?
そしてモウのせいですっかり脇役に追いやられてしまった感はありますが(^^;
こちらも「ネクスト・ファギー」の幕開けとして新監督モイーズがユナイテッドの第二章をいかにスタートさせていくのか?

勿論、我々日本のファンとしてはもう一つ、香川の立場はどうなっていくのかも気がかりですよね。

今回のマッチレビューではそこらへんに注目しながら試合を分析していきたいと思います。


<モウリーニョは三銃士がお嫌い…?>
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ユナイテッドは開幕戦に引き続き香川はベンチへ。

モイーズは開幕戦でスウォンジー相手に中盤でのポゼッション勝負には付き合わず、
ウェルベック、バレンシアらタフな選手を前線に並べて前プレを敢行。

後ろから丁寧につないでくると分かっているスウォンジーのビルドアップに圧力をかけ
手数をかけないショートカウンターから最後はVペルシーの決定力勝負で快勝しています。

そのあまりに「これぞプレミア!」な4-4-2と潔い程の脳筋サッカーから
「やべぇ・・・香川の居場所がねえぞ・・・コレ」と早々に日本のファンを不安にさせていましたが
この試合では布陣こそ4-2-3-1に戻したもののトップ下に置かれたのはルーニーで
その両脇を固めるもバレンシア、ウェルベックの強面コンビ。
第二節にして香川ファンには早くも絶望感が漂ってきました(笑)

(モイーズの香川の起用法については後ほど詳しく)


対するチェルシーはDルイスの怪我による欠場もありテリーとランパードがモウリーニョの元で再び地位を取り戻しつつあります。

反対に昨季までチームの絶対的な司令塔であったマタは開幕戦に続きベンチという驚き。

戦術的な問題なのかそれとも移籍を含めたナイーヴな事情なのか詳しくは分かりませんが
もしモウリーニョが純粋にマタをベンチに下げているのだとすれば理由として考えられるのは
オスカル、アザールとの比較で最も守備力が低い事ぐらいしか思い浮かばないのだが…。

このユナイテッド戦で見せたサッカーと併せて考えるともしかするとモウリーニョは
昨季までこのチームが見せていた2列目の「三銃士」によるパスワークがあまりお好みでは無いのかもしれない。

余計な手数をかけずにシンプルに縦へ速い攻めを望んでいるのだとすると、
マタのベンチも一応の納得だが・・・・個人的には勿体無い感しかない(笑)

(ベン○ル、アッ○グリ『よし、ウチが引き取ろう』)


加えてもう一つの驚きはトーレス、ルカク、デンバ・バというCFの手札がありながらモウリーニョはいずれも使わず、
シュールレの「0トップ」できた事だ。

これは手札にベンゼマ、イグアインがいながら結局最後まで理想のCFを見出せなかったマドリー時代を思い起こさせる。

この0トップ布陣が伝えているメッセージは要するにチェルシーに今ある手札には理想のCFが見出せないという結論だろう。
もしかするとその理想のピースはこの試合で赤いユニフォームを着ていたのかもしれないが。(爆)
(と思ったらエトーさんが来ただとー!?)


<プレミアらしさとの決別>

試合は開始早々から我慢比べの様相を呈する。

チェルシーは守備の際、4-4-2の3ラインを形勢するのだが
モウリーニョは前線のシュールレとオスカルにキャリックとクレバリーをマンマークするよう指示。

【モウリーニョのキャリック潰し】
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・・・そう、昨季マンUの独走を見ながら個人的にも「何故プレミアはキャリックにマンマークを付けないのか?」と疑問に思っていたのだが、
明らかに今やこのチームの攻撃タクトを握っているのはキャリックである。

キャリックを野放しにしておく事はマドリーで言えばアロンソを放置している事と同じだし、それがユーベならピルロになるだろう。

↑の画像は左上のタイム表示を見ても明らかなように前半4分のシーンからなのだが、
さすがはモウリーニョ、7年のプレミアブランクがあってもいきなり抑えるべきところはしっかりと抑えてきた。

(そもそもプレミアはユナイテッド相手に真っ向勝負し過ぎwww まあ、それがプレミアの魅力でもあるんだけどね…(^^;)

これでユナイテッドのビルドアップはヴィディッチとリオが担う事になり、これだけでその質をかなり落とす事に成功していたと言える。


ところが守備では成功していたチェルシーも攻撃では稚攻を繰り返してばかりになってしまった。

チェルシーの攻撃は基本的にラミレス、ランパードあたりから中盤は経由せずに縦1本のパスを裏に放り込んで1トップのシュールレを走らせるというもの。
ところがシュールレはそういうプレーを得意としていないし、そもそもデブライネと併せて新加入の2人がいきなりの0トップ戦術で機能するはずも無かった。

マタを起用せず、オスカルの頭上をボールが飛んでいくチェルシーの攻撃に貫かれていたのは
「中盤でリスクを冒さない事」ただそれだけだった。

確かにモウリーニョの視点に立てば「引き分け上等」は偽らざる本音だろう。
まだ開幕第2節の段階でチームは定石通り守備から手をつけたものの、攻撃はノータッチで新加入選手も多い。
まだまだこれからが長いリーグ戦のレース展開を考えた時、オールドトラフォードでの勝ち点1狙いはむしろ定石通りか。

…そう、モウリーニョの選択はいつだって正しい。
だが、それ故にこのビッグカードは真っ向勝負が売りのプレミアらしい試合とは決別していく事になるのだが…。


<プレミアのトップ下に求められるものとは>

ユナイテッドはキャリックとクレバリーが抑えられビルドアップの質が大幅に低下中。
一方のチェルシーもシュールレ、デブライネの新加入組が機能せず、オスカルは頭上を越えていくボールを眺めるだけ。

となるとチェルシーの攻撃はアザールの個人技が頼みの綱になるのだが、
これもユナイテッドの右サイドに配置されたバレンシアの驚異的な運動量&守備力が抑え切っており、お互い詰め将棋のようになってくる。

・・・この膠着状態を打ち破るにはどこかで変化を加える必要があるのだが、
奇しくもモイーズ、モウリーニョが導き出した答えはピタリと合致するものだった。


まずモウリーニョだが、ラミレスとランパードのパスが無駄にユナイテッドボールになるだけの現状を見かねて
攻撃の際はオスカルをボランチの間に降ろして一時的に3センターの4-3-3になるよう修正。

【ボランチの間に降りてくるオスカル】
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これで中盤からのパス出しは多少マシになるのだが、相変わらず前のアザール、シュールレ、デブライネがユナイテッドの守備陣に消されていて、
本来中盤の底で一度散らしたボールをゴール前でオスカルが再びリターンを受ける狙いのはずがボールが一向に返ってこない。


今ひとつピリッとしないチェルシーを尻目にユナイテッドはキャリックとクレバリーが抑えられているならば…とルーニーが積極的に中盤の低い位置やサイドに顔を出して攻撃の起点として機能し始めた。

…そう、モイーズとモウリーニョが行った修正は「トップ下を動かして起点にする」という点で合致していたのだが、
結果に大きな違いが出たのはトップ下に置かれた駒の違いによるものだ。

それではルーニーの積極的な顔出しがユナイテッドの攻撃を潤滑にしていく様子を検証してみよう。

【これがプレミア最高峰のトップ下だ! (ルーニー)】
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局面は左から右に攻めるユナイテッドの攻撃。

ここでは左サイドに流れてボールを受けたルーニーがまず攻撃の起点になります。

(こういう時、ルーニーの代わりにCFの仕事が出来るウェルベックが左SHに入っている利点は大きい)


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ルーニーはドリブルでチェルシーのDFを2枚引きつけてからフリーになったクレバリーへパス。

(ドリブルで自分にマークを引きつける事によって味方からマーカーを剥がす)


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ルーニーによってマーカーから開放されたユナイテッドのボランチコンビ。

クレバリーからキャリックを経由して、得意のサイドチェンジ。


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ボールが右サイドへ展開されると、ルーニーは再びゴール前へ


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これでチェルシーの守備ブロックを深い位置まで押し込んでからバレンシアは再び顔を出したクレバリーへ。
(クレバリーは展開力ではキャリックに一歩譲るものの、こういう場面で必ず顔が出せる非常に気の利いたプレイヤーだ)

と同時にクレバリーが前を向いてボールを受けられるのを見てVペルシーが右へ流れてルーニーの間受け用のコースとスペースを空けている。


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狙い通りルーニーへ楔のタテパスを入れるとクレバリーはパス&ゴー!

ボールを受けるルーニーへは左からラミレスも寄せてきており、普通ならばここは簡単にクレバリーへ落とせばいい場面。


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はい出ました!神トラップ!

ところがルーニーはこの僅か30cm四方のボール一個分のスペースで何とターンしながらも
ファーストタッチでラミレスが足の出せない置き所へ完璧にコントロール!まさに0スペースでの間受け!


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左に流しながら反転するとそのままシュートまで持って行ってしまいました。

香川よ・・・これがユナイテッドで求められる間受けだ。


オスカルが動いても今ひとつ攻撃が機能しなかったチェルシーと
ルーニーが動く事で一気に攻撃が活性化したユナイテッドとの差がここにある。

それは勿論ルーニーの超人的な個の能力(香川・・・乙)も去ることながら、
ユナイテッドにはルーニーの後ろにタテパスが通せるキャリック&クレバリーが控えている事が大きい。

翻ってラミレスとランパードにキャリックのような展開力は求められないだろう。


<見たか!これがモウナチオだ!>

ルーニーが神出鬼没の動きを見せ始めた事で試合は次第にユナイテッドペースへ。
だが、こういう時にジタバタ慌てないのがモウリーニョたる所以なのか。

モウリーニョはここで機能しない攻撃に見切りをつけてモウナチオを発動。

そもそも7年前のチェルシー時代、何故モウリーニョがプレミアで無敵を誇ったかと言えば
この人こそがサイド攻撃全盛の時代に「サイド封鎖」を完成させた張本人だったからだ。

プレミアリーグのサッカーと言えばとにかくサイドをガーッ!と走って折り返し、あとは空中戦で男の勝負!がテンプレ戦術だが、
モウリーニョのチームはサイド攻撃で失点をしないチームなのである。

SBは無理に上がらせずAコール&イバノビッチで蓋をした上にWG(またはSH)のプレスバックとボランチの挟み込みでサイドのエリアを完全封鎖。

その上で、仮にクロスを上げられても中からの崩しに切り替えられても慌てる事が無い。

何故ならいずれの場面でもゴールエリア内で2ラインのブロックを形成し、
危険度が高いエリアから優先的に消していくという役割分担がハッキリしているのだ。

この試合でもそのモウナチオの真髄がいたるところから窺えたので見ていくとしよう。

【中央からの攻撃に中に絞った2ラインブロックで対応】
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まず中からの攻撃にはしっかりと4-4の2ラインを絞る事でシュートコースと裏へ抜け出るスペースを消し、
反対にサイドを空ける事で一旦攻撃を迂回させる。

その上でサイドから上がるクロスへの対応も原則的に2ラインブロックで完璧にシャットアウトしてしまう。

【サイドからの折り返しにも2ラインブロックで対応】
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例えばユナイテッドが左のエヴラからクロスを入れる場合、ゴール前で4-4のラインを形成するのだが
この時最も危険なエリア、言い換えれば統計的に最もゴールが生まれる青で囲ったエリアにはほとんどスペースが無い。

これを可能にしているのがクロスを上げられたサイドから見て逆のWG(ないしはSH)がしっかりゴール前に絞る事で
最終ラインの4枚をゴールエリアの半分ほどの長さに密集させている点だ。


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見たまえ!この美しい守備を…!

ゴールエリアの幅でしっかりと4-4のブロックが出来ているではないか。

ユナイテッドは一見チャンスのように見えてエヴラがクロスを上げる前の段階で無理ゲーになっているのがよく分かるかと思う。

ポイントはボールと逆サイドのアザールがしっかりと戻っているのでAコールをここまで絞らせる事が出来ているというところ。


モウリーニョが来る以前のプレミアではここまでしっかりとゴール前の守備を体系づけて築き上げたチームは皆無だった。

そしてそれは7年経った今でも充分アドバンテージとして機能するようである。

結局ユナイテッドはこの試合25本ものクロスを放つが味方に渡ったのはその内僅か4本で
いずれも競り合いながらの苦しいヘッドやシュートブロックに遭い、決定機と呼べるものはほとんど無かった。


<モウナチオの天敵=間受け>

そもそも現在のユナイテッドの持ち駒を考えるとやはりサイド突破を念頭に作られたチームでは無い事が分かる。

最後にゴール前で仕上げを担うVペルシー、ルーニーのコンビは確かにクロスに合わせるワンタッチストライカーとしても非凡な才を持っているが、その持ち味を最大限生かそうと思えばやはり中央を突くタテパスがメインになるだろう。

モウリーニョがライン形成を意識した守備ブロックを敷くのならば尚更「間受け」は有利に働くからだ。

現在のユナイテッドが…そして前任者ファギーが目指した攻撃の形がよく現れているシーンをここで検証してみよう。

【キャリック⇒ルーニー⇒Vペルシーの縦のライン】
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局面は左から右へ攻めるユナイテッドが今まさにキャリックからルーニーへ間受けのタテパスが入れられるところ。

(キャリックはこういう間受けの顔出しを常に見ているし、狙っている)


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チェルシーは一度押し込まれた状態でラインを形成しているのでVペルシーとウェルベックにDFラインを牽制されると
空いたバイタルエリアに入り込むルーニーがどうしても捕まえ切れなくなる。

(勿論、その為のウェルベック起用であり、ここも狙ってルーニーに間受けをさせている)


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ルーニー得意のフリックパスに反応しているのは勿論Vペルシーただ1人。


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あれだけ強固に見えたモウナチオをたったパス2本で崩し切っているのがお分かりだろうか。

これが現代のトレンド「間受け」の威力なのである。

(その意味でもやはりキャリックを抑えに来たモウリーニョのアプローチは正しい)


それでもモウリーニョは最終的にミケル、アスピリクエタを次々と投入し最後は↓の5-3-1-1で逃げ切った。

【チェルシー (試合終了時の布陣)】
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「ここまでやるか・・・」(^^;という布陣だが、もはやこれで試合の狙いは一つにチームが意識統一されるのは当然だ。
いざという時にこういう潔い采配が出来るのも彼の強みだろう。

モウリーニョは望み通りの「勝ち点1」を手にしてオールドトラフォードを去る事になる。


<モイーズは無能か?>
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スコアレスドロー。同じ勝ち点1でもしてやったりのモウリーニョと消化不良のモイーズと。

なんだか微妙に白黒ついてしまった感じで、特に香川を最後まで使わなかった事と合わせて日本では
「コイツ・・・あかんのとちゃうか?」という見方が一層高まったように感じる。

結局、両サイドにガチムチのサイドアタッカー置いて脳筋サッカーに逆戻りじゃないか・・・と。


だがちょっと待って欲しい。
それはエバートン時代のモイーズを知らないが故の短絡的な見方ではないのか?

モイーズは決してプレミアの権化でもなければ脳筋サッカーの信望者でも無い。
むしろ手持ちの駒に合わせて最も適したサッカーを選ぶオーソドックスなタイプの監督だ。

それはエバートン時代、チームの司令塔にグラベセン、アルテタがいた頃は彼らを中心としたグラウンダーのパスをメインに最後はケーヒルの二列目からの飛び出しと得点力を生かすチームが構築されていた事からも明らかだ。

一方、アルテタが去り代わりにフェライーニがチームの中心プレイヤーとして育った後期では
一転して長めのパスをフェライーニに当てるチームに生まれ変わっていた。

つまり、チームの現状にサッカーの方をアジャストしていったのである。

そうでなければ選手を「取られる側」のチームであるエバートンであれほど安定した成績での長期政権は築けなかったであろう。


翻って現在のユナイテッドではどうか?

開幕戦をウェルベック、バレンシアらの強靭なフィジカルでスウォンジーのパスサッカーを封じようという狙いは理に適っていたし、実際に結果も出ている。

このチェルシー戦で考えても右サイドに起用されたバレンシアの守備力はアザールを無効化し、
ウェルベックはルーニーがサイドに流れたり中盤に降りた時はCFとして、
反対にルーニーが前線に残った時は変わりに自陣まで帰って献身的に守備をこなす言わば「ルーニーの影武者」として機能していた。

何より・・・このチームで従来のプレミアサッカーを1年通して貫けば、
少なくともプレミアリーグを制する事が出来るのは過去の歴史が証明している。

決して日本の香川ファンの為に戦っている訳では無いモイーズが何を変える必要性を感じろと言うのか?


無論・・・「プレミアはそれでもいいが、CLで露呈した限界をどうするのか?」という反論は当然あろう。

だがあのファーガソンでさえ従来のサッカーに限界を感じ、
香川獲得の契機となったのは実際にCL決勝でバルサに完膚なきまでに叩かれた実体験の後だ。

CL本戦はおろか、プレミア優勝も未知の領域である今のモイーズに「プレミアのその先」まで見渡せというのはいささか無理な注文だろう。


加えて香川自身の問題もある。

それはザックJAPANですら左サイドの持ち場放棄が守備に多大な影響を与えているというのに、
果たしてこのチェルシー戦のような高いインテンシティが求められる世界トップクラスのゲームで香川を使ってよいものか…?という疑問だ。
(ちなみに昨季のレアル戦では何も出来ないまま途中交代)

そう考えていたらザックJAPANとモイーズのユナイテッドに面白い共通点を発見した。

例えばこのチェルシー戦におけるユナイテッドの前線を見てみると・・・

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ユナイテッドは両サイドに馬車馬(ウェルベック、バレンシア)を置いて文字通り馬のように走らせて、
真ん中にチート枠としてルーニーとVペルシーを置いている訳である。

前者を「量」、後者を「質」の駒と見て考えてもいいが、実際にはルーニーは「量」も兼ね備えたチート中のチートである。
(そりゃモウリーニョさんも欲しがりますわな・・・ww)


対するザックJAPANでは本田と香川がルーニーとVペルシーに相当するチート枠なので・・・

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まあ、こうなりますわな。

要するに現代サッカーでは「前線からの守備がチーム全体の守備力を決める」時代になっている事の証でもあり、
その意味でザックは決してトレンドから外れた事をやってきた訳では無かったんだな…と改めて思う次第。

(1トップを馬車馬・・・もとい前田から柿谷に代えたウルグアイ戦での4失点はやはりチーム全体の責任としてみるべきだろう)


<香川が超えるべき壁とは>
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話がだいぶ横道に逸れたので香川に戻そう。

香川は今後一体どのようにしてチームで定位置を確保していくべきなのか-

まずあくまで「トップ下」として勝負するのであれば、ルーニーがこの試合で見せたような縦横無尽の顔出しと
何より香川の最大の武器であるはずの「間受け」でも0スペースであれだけのプレーが求められるという事だ。

これはザックJAPANでも同じ壁にぶち当たっていて、あのチームでトップ下で出たければ
本田レベルの絶対的なキープ力が求められる。

そう考えるといずれのチームでも「トップ下」で競争に挑むのは相当に困難な道が待っていると考えた方が早いかもしれない。

ならばザックJAPANにいる時と同じようにとりあえずサイドで勝負してみるか…?

こちらの方はまだ可能性がありそうだ。
いずれにしてもそれは香川が昨年のCL決勝が世界中に示した基準、攻守の切り替え(インテンシィティ)があの試合に出ても恥ずかしくないレベルに達する事が最低条件となってくるのではないか。

確かに厳しい環境だが、香川自身の成長を考えればこれはむしろ歓迎すべき高い壁なのかもしれない。
(少なくとも本田が言うように「Jリーグにいては決して見える事のない壁」だ)


それにユナイテッドの今後を考えてみても香川の成長はチームにとって欠かせないものとなるだろう。

このチェルシー戦でも最後まであと一歩の決め手に欠けたのは、
極論すればキャリック×ルーニー×Vペルシーの縦ラインにウェルベックとバレンシアでは全く絡めなかったからだ。


だが、もしピッチに香川がいたら・・・?

この縦のラインにもう1枚加わって多重層の攻撃が描けたはずだ。


私は今のモイーズの判断に微塵も疑問は抱いていないが、
同時にこの先のユナイテッドの進化には香川の適合が絶対不可欠だと確信している。


<モウリーニョはドログバの夢を見る?>
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最後にモウリーニョチェルシーについての今後にも少し触れておこう。

この試合では見事なモウナチオを見せてくれた反面、
ドログバ、ロッベン、Dミリートらがいない攻撃は炭酸の抜けたコーラのようであった。

これは言い換えれば攻撃の際、最終目的地点がハッキリしない事を意味している。

そもそもモウリーニョはインテルでもRマドリーでも結局はっきりとした遅攻の形を構築出来ないままチームを去ってきたが、
やはり今回もカウンターと縦に早い展開がメインとなるなら、このままマタは構想外という事になるのだろうか?

モウリーニョ就任以降の新加入選手シュールレとエトー、そして開幕戦に続いて重宝されているレンタルバックのデブライネという顔ぶれを見ていく限り、モウリーニョが攻撃陣に求めているタレントもおぼろげながらに見えてこよう。

CFの顔ぶれもどれも「これじゃない…!」という事になれば、結局追い求めているのはドログバの幻影か?

いずれにせよ守備はもう間違いのないところまで持っていくだろうから
あとはモウナチオにマタ、オスカル、アザールの三銃士が組み合わさったサッカーをどうしても夢見てしまう自分がいるのだが-




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【ミランCL出場に黄信号!?】PSVのサッカーが素晴らしかった件 ~CL予備予選 PSV×ACミラン~

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PSVのサッカーが素晴らしかった件 ~CL予備予選 PSV×ACミラン~

いよいよセリエAも開幕しましたね~。
そして早速あの赤黒のチームがやらかしてくれました(^^;

「(∩ ゚д゚)アーアーきこえなーい」と仰るそこのミラニスタの貴方!

逆に考えましょう。

これはアッレグリがガリアーニに補強の危機感を煽る為に仕掛けたマインドゲームだと!
(本田早よ!)


まあ、毎年逆噴射スタートのアッレグリ@ミランの事ですから、
年が明ける頃にはエンジンもかかって帳尻も合わせてくる事でしょう。

だからセリエAに関してはそれほど心配する事もないんでしょうが、問題はCLの方ですよ。
今季は予備予選からスタートのミランは「なにせスロースターターなもんで(テヘペロ♪)」じゃ済まない訳です。
予備予選はホーム&アウェイの一発勝負で決まっちゃいますからね。

先日行われたPSVホームの1stレグは1-1のドロー。
ミランにとってはアウェイゴールを持ち帰っての折り返しなんで決して悪い結果とは言えないものの、
セリエAの開幕戦と併せてその低調な試合内容には一抹の不安もよぎります。

なによりPSVが見せたサッカーが予想外に良かったんですよ!ええ。

普段、エールディビジの試合を見る事があまりない僕も試合後にPSVの成績を調べてみたら今季開幕3連勝の好スタートも思わず納得。


という訳で今日はこのブログらしく、敢えてPSVの方に視点を置きながらその魅力的なサッカーとこの試合から見えてきたミランの弱点に迫っていきたいと思います。


<イタリアとオランダ それぞれの4-3-3>
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ミランは「2トップ?何それオイシイの…?」と言わんばかりに昨季同様の4-3-3布陣。
(2トップ信者で有名なベルルスコーニ会長の圧力もあり、ガリアーニ副会長が「今季は2トップで行く」と開幕前に名言済み)

昨年も色々な布陣を試行錯誤した結果、既存のメンバーが最も機能するこの4-3-3に落ち着いた経緯があるが、
なにせ今季も即戦力の補強が皆無でメンバーがそのままなのだからアッレグリとしても布陣を変えようが無いのだろう。
どうやらアッレグリは今季も「ベルルスコーニ会長のプレッシャー」というもう一つの敵とも戦わねばならぬようだ(笑)
(なんというブラック企業ww)

ミランが採用する4-3-3の利点は守備時に4-5-1の強固なブロックを築ける事(昨季はCLであのバルサをも封じ込めた。)と2ボランチの布陣より司令塔モントリーボの守備負担を減らせる事。

反対に課題としてはエルシャーラウィ自身の得点機会が減少した事と右ウイングのチョイスか。

右に関してはボアテングを出せば守備も安定するしバロテッリのポストプレーがあれば彼の飛び出しも活きる反面、個の突破力が無くてサイド突破に詰まってしまう。
かと言ってニアンを出せばサイドに突破力は生まれるが今度は守備で安定感が欠ける…と一長一短だ。

それでもエルシャーラウィに関してはこの試合を見る限り、時折バロテッリとポジションを入れ替えたりして
上手くゴール前にも絡めており今季はアシスト役だけでなく得点機会も増えそうな予感。


一方のPSVもオランダの定番4-3-3。

一見同じ布陣同士にも見えるがミランが守備時に両WGを下げて4-5-1にするなど守備のバランスに重きが置かれているのに比べるとPSVのそれは中盤2列目の飛び出しも含めてかなり攻撃的な印象を受ける。

そのPSVでは特に印象に残った選手が2人。

一人はお馴染みのパクチソンで相変わらずの運動量はそのままに若いチームに豊富な経験からくる安定感をもたらしていた。
05/06シーズンのPSV在籍時にまさにこのミランとCLで死闘を繰り広げていた頃はまだ若く、
とにかくガムシャラに走り回るエネルギッシュさだけが売りのプレイヤーだったが今ではその動きに戦術的なインテリジェンスが加わって熟成されたワインのようだ。

2人目はCBのブルマで身体能力の高さを活かしたカバーリングと前に出て潰す時の強さ、
そしてこの試合では得点にもつながった長距離砲が魅力的なプレイヤーでチェルシーが保有権を持っているのも納得の逸材。

紙の上ではあくまで4-3-3同士のぶつかり合いだが、
イタリアとオランダ、両国のサッカー文化が色濃く反映された対決はCLにおける一つの醍醐味と言えるかもしれない。


<ミランを攻略するPSVの若さ>

さて、試合が始まるとすぐにある事に気が付いた。とにかくミランの動きが重い…のである。

このへんは「リーグ開幕を週末に控えたイタリアのビッグクラブ」「開幕3連勝で勢いづくオランダの強豪」との差と見るべきか…?

キックオフから攻め立てるPSVにとって厄介なのはミランに自陣でしっかりと4-5-1のブロックを作られた時だろう。

【ミランの4-5-1】
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バロテッリ1枚を前線に残しコンパクトな4-5-1の3ラインを作られるとあのバルサですら攻略には苦労させられていた代物だ。

しかし面白いのはPSVがこのミランに根付く強い「ブロック守備の意識」を逆手に取るような試合展開になっていった事なのだ。

PSVの4-3-3における攻撃の基本的なメカニズムは下記の通り。↓

【PSVの4-3-3 (攻撃メカニズム)】

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ポイントは両WG2列目のMFの動き方である。

元来オランダ伝統の4-3-3におけるウイングとは個の突破力でもってサイドを深くえぐり
折り返しのクロスを中でCFが決める…というのがその定番であった。

しかし、時代が変わりオランダのクラブの資金力ではその花形ウイング(ロッベンやオーフェルマルス他)を長くクラブに引き止めておけなくなった事、
又、最先端のサッカーが「ポジション固定型」から流動性を活かした形に進化した経緯もあり、
最近のアヤックスやPSV(AZもか?)では元来のオランダサッカーのイメージとはだいぶ違ったタイプのウイングが起用されているケースが目に付く。

今季のPSVも例外では無いらしく、両WGはサイドに張り出しているというより頻繁に中に入って来るなど
2列目のMFの飛び出しも含めてかなり流動性に富んだ攻撃メカニズムになっている。

これにチームの若さも加わってPSVは各選手が躊躇無く攻撃に飛び出してくるのが魅力だが
これがセリエAだとボールを奪われた時の守備バランスも考慮しながら攻めるので、ここまでの流動性はあまりお目にかかれない。

実際、PSVは確かに「行き過ぎ」な場面もあってかなり危なっかしい印象も受けるのだが、
守るミランとしては勝手知ったるユーベやインテルの攻めよりも手を焼いたのではないか?

実際の試合から検証してみよう。


【PSVの3センター剥がし】
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局面は右から左へとPSVが攻める場面。

ミランは4-5-1ブロックが既に出来ており、特に中央の3センターが近い距離感でしっかりラインを形成しているとここを攻略するのは困難である。

そこでPSVはまずミランの3センターを剥がしにかかる。


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ミランの4-5-1はトップ下がいない為、PSVのアンカーに対して特定のマーカーがいない。
(守備免除のバロテッリにそこまでの献身は求められない)

現在のPSVでアンカーを務めるスハールスは若い選手が多いチームにあって中盤の底でバランスを取る重鎮である。
(ちょうど現監督のコクーがPSV在籍時に務めていたのと同じ役割ですね)

PSVはミランにとってマークが付きにくいこのスハールスを効果的に使い、3センターを上手く解体していくのだがこの場面でもまずモントリーボを食いつかせる狙いだ。

同時に従来のオランダ型サッカーであれば、ここから左WGのデパイにタテパスを送ってサイドを縦にえぐらせるのが本道なのだろうが、現在のPSVではこの場面で左サイドを敢えて無人にし、WGのデパイを中に入り込ませているのが後にポイントになってくる。


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スハールスにボールが渡るとミランの3センター(モントリーボ、ムンタリ、デヨング)はそれぞれ1対1の関係でマークを受け持つ事になるのだが、
この隙に浮いたデパイがバイタルエリアでの間受けを狙うのである。


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スハールスからデパイへタテパスが入るとまんまとフリーで間受けに成功。

ミランはこの「3センター剥がし」で中盤のマークをハッキリとさせられた形から
流動性の高いウイングのマークがどうしても浮いてしまい捕まえ切れない。

これはミランに根付く「ライン形成」という意識を逆手に取っているからなのだが、それがよく分かる形をもう一つ。↓


【ミランのDFラインを逆手に取るPSV】
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局面は今度は右WGのパクチソンが中に入ってきている場面。

今、CFのマタブスがポストプレーに入ろうと中盤に下がる動きを見せたのでミランのCBサパタがこれに付いて行こうとするが・・・


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PSVのタテパスのコースをデヨングが切って横パスへ迂回させた事と
2列目のMFマヘルがサパタが上がった裏を狙って飛び出してきた事で急遽サパタはDFラインへUターン。


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ところが今度はパクチソンがマタブスと入れ替わるようにバイタルエリアを狙って下がってきた。

と同時に右サイドではアバーテが1対2の関係になってしまい、マヘルとデパイどちらに付いていいのか明らかに迷っているしぐさを見せている。


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結局やはりここでもWGのパクチソンが浮いてしまい間受けが成功してしまう。

ミランは最後までDF「ライン」は維持しているものの、
反面PSVの流動性にどうしてもマークがどこかで浮いてしまうというジレンマに陥っていた。

(↑の場面ではミランの左SBエマニエルソンは最初から最後までマークする相手が不在)


マークの混乱は更に続き・・・


【ミランの混乱】
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最終的にはこのような状態までミランは追い込まれている。

↑の場面では3センターは剥がされ、アバーテはサイドに釣り出され
サパタとデヨングがそれぞれパクとマヘルを「誰かそいつを捕まえろ!」とお互い指を差してコーチングしている始末。

もちろん相変わらずミランの左SBは浮いたままだ。

確かにこの場面でもしPSVがボールを奪われた場合、
明らかにミランから見て左サイドが空いておりカウンターでかなり深いところまでえぐられてしまうだろう。
故にセリエAではここまで大胆な攻撃を見せるチームは少ないのだが、
こういう思い切りがジャイアントキリングを生むのもまた確かなのだ。


結局、試合は「この内容でどうやったら先制点を食らうハメになるんだ…!?」と思わずツッコミたくなるPSVの集中力欠如からミランが前半最初で最後のワンチャンスを先制点に結び付けている。

このへんがPSVの若さとカルチョのしたたかさなんだよなぁ・・・(^^;

後半何とか追いついて1-1のドローで終わったものの、ホームの勢いをかってフルスロットルで攻め続けたPSVと
動きの重い中、省エネサッカーでしっかりと「結果」だけは持ち帰ったミランと。

確かに状況だけを見ればミラン優位なのは間違い無いのだが、
ベローナに逆転負けを喫した開幕戦のような試合を続けるようだと足元をすくわれかねないだろう。


何より、PSVのような魅力的なチームを発見する事はCLを見る上での大きな醍醐味の一つであり、
仮に今どちらのチームをCL本戦で見たいかと言われたら・・・・


とにかく!(笑)明日の2ndレグは注目の一戦ですよ!


【次回予告?】マンU×チェルシーのマッチレビューは次回か次々回あたりに(^^;


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脱「戦術メッシ」宣言 ~スーペルコパ1stレグ~

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<脱「戦術メッシ」宣言 ~スーペルコパ1stレグ~

奇しくも前回に引き続きバルサネタになってしまいました。(^^;

まあ、開幕戦の相手レバンテがあまりにふがいなかったので改めてこのスーペルコパでバルサの真価を測ろうじゃないかと。
今回はそういった趣旨のマッチレビューとなっておりますので、前回の記事と併せて読んでいただければ幸いです。

では早速、両チームのスターティングオーダーからいってみましょうか。


【Aマドリー×FCバルセロナ (スーペルコパ1st)】
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Aマドリーはリーガから「スペイン人は無制限、EU圏外選手は3人まで。但し野人・巨人の類は出場禁止」と言われたかどうかは定かではありませんが、遂にあのファルカオがフランスへ移籍。


【参考画像 (ファルカオ選手) Aマドリー在籍時】
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『駆逐してやる…白い巨人も…カタルーニャの雄も…一匹残らず!』


但しアトレティコはファルカオを移籍金約80億で売り払った代わりに今度はバルセロナからビジャを僅か6億円というバーゲン価格で取ってきました。

*【参考記録】
Fトーレス⇒65億
ベンゼマ⇒45億

どうしてこうなった・・・。○| ̄|_


これで戦力ダウンを最小限に止め、何なら「もう2~3人補強しちゃいなよYOU」ってぐらいのキャッシュに余裕も生まれています。

間違いなく今季のリーガにおける移籍市場で最も上手な売り買いをしたのはこのチームでしょうね。

そしてバルサ時代はある意味メッシの為に犠牲になるプレーも厭わなかったビジャがこのチームでは思う存分点取り屋としての本能を爆発させる事が出来ます。

正直、バルサでは持ち味の3割ぐらいしか発揮出来ていないんじゃないか?と思っていたので今季は得点王争いに絡んでくる活躍も期待していいんじゃないでしょうか。


対するバルサは開幕戦では代表遠征の影響で温存されていたイニエスタとJアルバがスタメンに復帰。
これでメンバー的には完全に昨季バルサの通常営業モードに戻った感じですかね。


<メッシを狩れ!>
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試合はまずキックオフからアトレティコが「レバンテとは違うのだよ!」というところを見せてくれました。

開幕戦でバルサと対戦したレバンテは中盤を4枚にした4-4-2で真正面からぶつかったはいいですが、
結果的に中盤に空いたスペースへズコズコとパスを通されまくっていたので試合にならず。

一方のアトレティコは昨季CLでミランも採用していた中盤のラインを5枚にする事で
中を締めつつ両サイドを突かれてもスライドが容易な4-5-1で迎撃体勢を取ります。

【アトレティコの4-5-1】
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【昨季ミランの4-5-1】
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まあ、これまで散々試行錯誤されてきた対バルサシフトにおける一つの完成形ですね。

特に3センターに配置された中央の3枚はバイタルエリアで間受けを狙うメッシへのパスコースを徹底的に遮断。

このへんがバルサと何度も対戦経験を積めるリーガ勢の腕の見せ所でシメオネも「いつまでもやられっ放しと思うなよ?」という意地を見せてくれます。

お陰でバルサはアトレティコが敷くブロックの外ではいくらでもパスを回せますが
中に入れるコースにまったく隙が無く開始から10分間は間受けはおろかメッシのボールタッチすら0に近い状態でした。
(シメオネ親分が相当鍛えてますwwこのチーム)

こうなるとボールに触りたい性分のメッシは段々とボールをもらいに低い位置まで降りてくる傾向が出てきてしまうんですねー。

勿論それがシメオネとアトレティコの狙いだったんですけども。


そもそもメッシの間受けが何故怖いかと言えば、
自分達の懐の中でメッシにボールを受けられてしまうと守る側としてはもう手も足も出なくなってしまうからなんですよ。

【メッシの間受け (成功パターン)】
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こうなるとメッシの背後から後追いになる中盤のラインは後ろからタックルに行かざるを得なくなるので必然的にゴール前の決定起阻止でファウル+カードをもらう確率が非常に高いし、
反対にDFラインはこの状態でメッシへ迂闊に飛び込めば一発でかわされてジ・エンドとなってしまうので無抵抗のままズルズル後退するしか無い…と。

だけどメッシが「バイタルでいつまで待っててもボールが来ねぇ!」としびれを切らして低い位置まで降りてからボールを貰う場合はこの限りではありません。

【メッシがブロックの外でボールをもらう場合】
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これはもうむしろメッシ無双が発動する前に中盤の高い位置で潰しておけ!とばかりに中盤のラインはきつく当たれますし、これに合わせてDFラインも前進守備が効く訳ですね。
(バルサは裏を目掛けた縦1本のパスも極端に少ないし)

しかも今のアトレティコは「11人のシメオネ」(怖過ぎだろww)とも言われている通り、この手の中盤での潰しはリーガ1エグいです(笑)

では実際の試合から焦れるメッシとアトレティコの「メッシ狩り」を検証してみましょう。


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局面は右から左へと攻めるバルサ(黄色)のメッシがアトレティコの守備ブロックの外まで降りてきてボールをもらい、ここから突破を仕掛けようという場面。

アトレティコはここでメッシにもたせる分には中盤のラインが前を向いて守備を出来ますから迷い無く取り囲んで強く当たる守備が出来ます。

・・・で、実はバルサと対戦するチームにとってはもう一つ、このメッシからボールを奪うという事の意味はことのほか大きいものがありまして。

↑の場面だとDアウベスの動きに注目してもらいたいんですが、
通常バルサではここでボールを持ったのがメッシ以外の選手だった場合、Dアウベスはこのようにボールを持った選手を追い越すのではなく後方待機で「*スペアポジション」と呼ばれる位置取りを維持するんですね。

「スペアポジション」ってのは要するにバルサがボール支配率を高めるにあたっての約束事の一つみたいなもんで
ボールホルダーに対して前に2つのコースを作る事(トライアングル)と併せて
必ず一つ、後ろに下げるパスコースを作りながら同時にボールが奪われた際のファーストプレスとして敵のタテパスを防ぐ役割を担う位置取りの事。
(ブスケスがこれの名手なんで注意して試合を見ているとよく分かるかと)

バルサはこのスペアポジションに常に人を置いているので最悪の場合いつでも攻撃に「やり直し」が効いて自然とボール保持率も高くなる…というカラクリです。

但し、これには例外があって、それが「メッシがボールを持った時」

この瞬間だけはバルサの攻撃が一気にトップギアに入るので、メッシの周りの選手がそれぞれメッシを追い越したり両サイドに開く動きを見せる事でオトリになりつつも、いざとなればメッシからのパスが受けられるポジションへ移動する事になります。

もちろんこれは大前提としてメッシはボールを奪われないという信頼から成り立っているんですけど。

だからこそ、Dアウベスは↑の場面で迷い無く追い越しをかけているし
故にアトレティコの方はメッシからボールが奪えたら最大のチャンスなんです。


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結局この場面ではアトレティコが中盤で2枚ガッツリとメッシに寄せてボールを奪取。


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一気にカウンターを発動させるとバルサは両SBが上がっているのでいきなりCB2枚での守りを強いられています。

アトレティコはコレ、完全に狙ってましたね。
事実、前半12分に訪れた最初のメッシ狩りからのカウンターで見事先制点を奪っています。

この時も↑と同じような形で奪って、Dアウベスの裏のスペースを突いてから最後はビジャのビーティフルボレーで締めました。

しかし、ビジャの力の抜けたあのボレー!美しかったですね~。
まったく…古巣相手にやってくれましたよ(^^;

やっぱりスペイン最強の9番はこの男だな!

Fトー○ス「エ・・・」


得点シーン以外にもアトレティコは低い位置まで降りたメッシを的にするかのように
メッシ狩りから幾度となくカウンターで決定機を作り出していました。


<旧式バルサの限界か?>

開幕戦では上手くいっていたバルサが一体どうしてこんな事態に陥ってしまったのか?

一つの要因として開幕戦ではスタメンだったセスクの不在は大きかったように思われます。

この日はセスクの代わりにイニエスタが使えるという事で中盤はブスケス、シャビ、イニエスタの大御所トリオが顔を揃える事になりました。
しかしこのトリオだとボールポゼッションの安定感は最強になるものの、それぞれが足元でボールを受けたがるので中盤から裏に飛び出す選手がいなくなってしまいます。

これにメッシの職場放棄が加わると・・・・

【旧式バルサの負けパターン】
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そう、攻めるべきゴール前に駒が不在で全員がアトレティコの守備ブロックの外側で戦ってる状態になっちゃうんですよ。

これが昨季、バルサが辿り着いた一つの限界点でいわゆる負けパターンってやつです。

(ちなみにセスクがいた開幕戦はこうです↓)

【開幕戦のバルサ (セスクの中盤からの飛び出し)】bar2-0820-1.jpg


結局バルサは打開策を見つけられないまま前半を過ごし、メッシはボールが欲しいばかりにどんどんポジションを下げていく悪循環。

終いにはこんな感じになってました。↓

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局面は前半終了間際で、最終ラインまで降りたブスケス(両脇はCBのピケとマスケ)からイキナリもうメッシがくれくれの場面。

(当然、背後からアトレティコの選手がもう狙ってる)


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援護も無いメッシに対してアトレティコは遠慮は無用とばかりのメッシ狩り。


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狙い通りボールを奪って、バルサの最終ラインと3対3へ持ち込んでいます。

せめてメッシがいつもの深い位置(バイタル近辺)でボールを奪われる分には両SBの戻りも間に合うんですが、
そもそもSBより低い位置でメッシが取られていたら話になりません。

結局、前半の45分間はアトレティコが狙い通りに試合をクローズさせて1-0のリードで折り返します。


マルティーノ監督(試合後の談話)
『前半はレオだけじゃなく、みんなスペースを見つけるのに苦労していた。
彼らのラインは非常に良く連動していて、間にボールを送るのが難しかっ。』



<脱「戦術メッシ」宣言>
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ハーフタイムを僕はバルサの側に立ったつもりで「どう動いてくるか?」を考えながら過ごしていました。

で、恐らくセスクは入れてくるだろう…と。じゃあ後半はこの布陣だな↓という読みです。

【バルサの後半予想布陣】
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ペドロOUTでセスクをINして、イニエスタが左に張り出し代わりに中盤にセスク。
間違いない。十中八九これで来る…!と勝手に確信していたんですがマルティーノは驚くべき采配を見せます。


メッシOUT⇒セスクIN


いやー、これ世が世なら即打ち首もんですよ?(爆)

でもねー当たり前すぎて頭の中からその打ち筋は完全に外れてました。
恐らくビラノバだったら僕の予想通りの布陣か、それでも交代無しのどちらかで後半を迎えていたはずで
少なくともメッシを下げるという選択肢は無かったはずなんです。

(実際にはメッシは前半に腿の裏側に違和感を感じたという事で大事をとって交代させたらしいのですが
これまでならば無理をすれば後半も出場出来るという状態で迷わず出していたはず)

ちなみに試合後の現地マルカ紙の採点ではこの試合に出場した全選手の中でメッシに最低点がつけられています。

だったら一番出来の悪い選手を下げて、必要な駒を投入する…というのが采配における常識ではありますが、
ことバルサというチームでメッシを下げるという選択肢をすっかり忘れていました。

これはバルサのDNAを受け継いでいる人間(ロウラ、ビラノバ)だとなかなか出来ない一手ではありますが、
こういうところで他所から来たマルティーノというのは実にフラットな視点でバルサの指揮を執っているなぁ…と。

(そういう意味では僕も含めて毎週バルサの試合を見ている我々も半ばビラノバ視点になっていましたね…。(^^;)

開幕戦でも勝負がついた段階で当たり前のようにメッシを途中で引っ込めていたマルティーノですが
これはもう戦術的な采配という枠を超えてチームと世界に向けたメッセージの発信ですよね。

要するに今季のバルサにおいては「メッシも一つの駒に過ぎない」と。
当たり前のラインを改めてスタートの段階でハッキリさせてきたと見るべきでしょう。


いや、もちろんメッシという類稀な武器があるのだからそれを活かす方向性は前提としてあるでしょう。

しかしここ1~2シーズンのバルサにおいてはチームとしての前提がゴールではなく明らかにメッシへ向かっていましたよね?
選手個々がボールを持ったら「いかにメッシへ渡すか」しか考えていないので、メッシに渡した時点で半ば仕事が終了していた感が強かったのも事実。

でも当たり前ですがサッカーはゴールの数を競うスポーツですから、
攻撃のベクトルがゴールへと向かっていないバルサのポゼッションは明らかに限界を迎えていたと思います。

つまりゴールという「目的」へ向かう「手段」の一つとしてメッシがいたはずが
いつの間にか目的と手段が逆転していた…と。

ここをマルティーノはもう一度、原点に立ち返らせようとしているのではないだろうか-


実際に後半、「メッシ」という呪縛から解き放たれたバルサの選手達は見違えるような流動性を見せ始めます。

セスクは裏を狙ったり中盤に引いたりとバイタルに滞留しないので、
空いたバイタルエリアに入れ替わり立ち代りバルサの選手が出入りしてアトレティコのマークが次第に追いつかなくなってきたんですね。

結果としてバルサのポゼッション率こそやや落ちたと思うんですが攻守の入れ替わりが激しい動きのある好ゲームが後半は繰り広げられていました。

そしてマルティーノはこの機を逃しません。


後半14分-

ペドロ OUT⇒ネイマール IN

マルティーノは出来る子!
それやっちゃいますかー、完全に神采配じゃないですかww

メッシという呪縛から解き放たれてピッチ上にフットボールが戻ってきたこのタイミングでのネイマール投入!

もう試合を見ている誰もがこの先に起こるであろう事態を予感しながら、"その瞬間"はネイマール投入の5分後に訪れます。

実際の試合から検証してみましょう。


【バルセロナの同点ゴール】
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局面は後半、左から右へと攻めるバルセロナの攻撃。

ゴール前でボールを持ったシャビが前を向くとセスクは迷い無く裏のスペースへ飛び出します。

アトレティコはシャビへCBのゴディンが詰めたので裏を狙うセスクをケアすべくSBのFルイスが向かう。


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この動きを見透かしたシャビはFルイスの裏をついてアレクシスへパス。

(前半には無かったセスクの裏抜けがバルサの攻撃に化学反応を生んでいますね)


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アレクシスがフリーでクロスの体勢に入ったところでアトレティコのDFは全員視野がアレクシスに向いたままゴール前へ戻るディフェンスを強いられています。

これで大外のネイマールが完全に視野の外でフリーとなりました。

アレクシスからのドンピシャのクロスをネイマールが頭で押し込んでバルサが1-1の同点に。


ネイマールはゴールシーン以外ではそれほど崩しに上手く絡めていた訳では無かったですが
それでも大事な場面でキッチリと結果を出すあたり持ってるな~と(笑)

最後は敵地でこの展開なら1-1の折り返しで御の字と判断したマルティーノがシャビを下げてソングを投入。
ボランチを2枚にして試合を殺す、これまた常套句でありながらこれまであまりバルサでは見かけなかった采配でキッチリとアウェイゴールをカンプノウに持ち帰りました。


マルティーノ(試合後の談話)
『もっと動き、より正確にプレーし、もっと縦にマークを外していかなければならない。
それは簡単なことではないし、バルセロナは特に苦労するだろう。
バルサのプレースタイルはいつも同じで、対戦相手を見る必要があるからね。
私たちは同じスタイルにこだわりつつも、よりダイナミズムのあるプレーをし、バリエーションも増やせるように努めていくよ』


マルティーノの決意とバルサの新たな可能性、そしてもちろんシメオネのアトレティコが見せた対バルサへの反発力。

この試合は「どうせリーガはもうオワコンでしょ?」と言っている人達全てに観てもらいたい好ゲームでした。

2ndレグにも期待しましょう!

(とは言えさすがにカンプノウだと後半フルボッコの展開もあるんだけどね・・・(^^:)


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バルセロナの原点回帰 ~開幕戦から見えてきた今季のバルサとは?~

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<バルセロナの原点回帰 ~開幕戦から見えてきた今季のバルサとは?~

『いかなる視点からしても、私は目新しい事など何もしていない。保存されていた物を再び使ったに過ぎない。
私の使命は、選手達が行うのを止めてしまったいくつかの事を取り戻すことだ。』

開幕戦を終えたバルサの新監督マルティーノのコメントだ。

バルセロナはその言葉通りの戦いでレバンテを7-0と圧倒。
国際的な知名度で言えば正直「あんた・・・誰?」のマルティーノ監督はひとまず説得力のある内容と結果を周囲に示してみせた。

バルセロニスタはもちろん、そうでないサッカーファンも今のバルサについての興味は一つ。
果たしてバルセロナは復活するのか?

そこで今日はこのマルティーノ新監督が指揮を執る今季のバルサについて
開幕戦から見えてきた展望をいくつか検証してみよう。


<前プレの復権>

そう、改めて今季のバルサに託された使命は「復活」である。

本来、昨季のリーガをぶっち切りで優勝したチームに対して「復活」もクソも無いのだが、
CLにおけるバイエルンへの敗れ方となんならコンフェデのバルスペイン代表の決勝惨敗まで背負い込んで
今やすっかり「負」のイメージで語られてしまっているのがバルサの現状だ。

それだけ周囲の期待値も高いこのチームの命運を託されたのがマルティーノ新監督で
正直、僕も彼に対する事前の情報は0と言っていい人物なんですけどね。(^^;

勿論、2010W杯であの岡田JAPANと激闘を繰り広げたパラグアイ代表の監督だったとか
ビエルサと師弟関係にあるだとかそういう諸々の情報は伝え聞いてはいるが重要なのはピッチ上で実際にどんな仕事が出来るか-である。

では注目の開幕戦からマルティーノが送り出した今季最初のオーダーを見てみよう。

【FCバルセロナ ~レバンテ戦のスタメン~】
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イニエスタ、Jアルバは代表の遠征に帯同していたとかでメンバーから外れている。

布陣は従来通りの4-3-3で注目のネイマールはベンチスタート。
なるほどまずはバルサイズムが浸透している従来のメンバーで固めてきたという事か。

それだけバルサというチームのサッカーは特殊だし、このチームではいかにネイマールと言えどもポジションは競争を勝ち抜いて掴むものという新監督の意思表示にもなっている。

マルティーノ『ネイマールはチームに合流した翌日に遠征に発つなど慌しく過ごしてきた。
観客を喜ばすためにメッシと一緒に並べるのは、彼に肉体的な負担を与えることになりかねない。
彼が新しい環境にいち早く適合するのが狙いだが、もう少し時間が必要だ』


さて、今季のバルサ新監督にとっては、まず取り掛からなくてはならない重要かつ急務な命題がある。

それが「前プレの復権」だ-

何と言っても昨季、バルセロナの失点が倍増しCLでも苦戦を強いられた一番の原因は
敵陣で失ったボールを前プレで回収出来なくなった事による。

あのペップがライカールトから指揮を引き継いだ当時もロナウジーニョデコがあまりにチーム内でアンタッチャブルな存在となっており、練習態度も散漫で課せられた守備も放棄。
結果、チームとしてのモラルが著しく低下していた現状を見たペップは最初の仕事としてこの2人をチームから追放した件は記憶に新しい。

実は昨季のバルサにもこれに似た兆候が現れていてチーム内でメッシという存在があまりに肥大化していた結果、
ペップ時代にはチームに前プレのスイッチを入れる役割を担っていたはずのメッシが全く守備をしないという状況に陥っていた。

故に今季バルサのイスに座る指揮官が成功するか否かは何を置いてもまずは低下したチーム内のモラル向上、
つまりは「前プレの復権」こそがその鍵を握ると見ていたのだが・・・。

では早速開幕戦からバルサの前プレを検証してみよう。


【バルサの前プレ ~13/14ver~】
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局面は左から右へと攻めるバルサがレバンテ陣内奥深くまで攻め込んでからボールを失った場面。

まずはボールを失った張本人であるアレクシスがボールホルダーへファーストプレスを仕掛ける。

ここで重要なのがセカンドプレスを担うメッシの役割で
次のパスの出所をメッシが抑えられるかどうかでこの前プレの成否は決まると言っても良い。

ちなみに昨季はこういったシーンでことごとくメッシが傍観を決め込んでいた為に
せっかくのプレスの網に綻びが見られたり、メッシがサボっている分わざわざ逆サイドからペドロが走って急行したりとチグハグな場面が目立っていた。

さあ、果たして今季はどうなる・・・・?


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クララが立った!・・・じゃなくてメッシが動いた!


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アレクシス(左)『私・・・信じてた』 メッシ(右)『今までゴメンね…』


いやー、バルサの歴史に刻まれるべき感動のシーンである(笑)

これならイケる!前プレの復権だ!


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メッシのセカンドプレスを受けてボールを前に持ち出すのは不可能と判断したボールホルダーは攻撃方向に背を向けてGKへバックパスを下げるしかなくなっている。

注目して欲しいのは相手のボールホルダーが背を向けた事でアレクシスも加勢出来る事と
次の受け手にはもうブスケスとペドロが動き始めてパスコースを殺している点である。


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・・・で、ここからGKにやけっぱちのロングボールを蹴らせている分にはバルサの守備は安泰という訳である。

マルティーノ『我々は当初から特にプレッシングに重点を置いてきた。
目新しさと言えば、より長い時間に渡りそれが実践できたことだ。チームが披露した前半のプレッシングには満足している。』


マルティーノ!出来る子だったのね…!

どうやらバルサの新監督としてやるべき事は分かっているようであり、これにはバルセロニスタも一安心。
もしこれが1シーズン通して続くようであれば、バルサは再び隙の無いチームとして帰ってくる事だろう。


<セスクの復活>

続いて攻撃面も見ていこうと思うのだが、ここで残念だったのが相手のレバンテのグダグダっぷり。
何とバルサ相手に4-4-2のゾーン守備で真っ向勝負を挑む自殺行為で華々しく散ってくれた。

今更ゾーン守備を破壊するスペシャリストのバルサ相手に中盤を4枚にした正攻法の4-4-2はプレミア勢でも侵さない愚行である。

ちょっとレバンテがあまりに無策だったので、そこは割り引いて攻撃面は見ていく必要があるのだが
それでもおおまかな傾向とやりたいサッカーの輪郭らしきものは見えてきた。

まずはセスクの組み込みである。

昨季、チームへの組み込みに苦戦した挙句、終盤は完全にベンチメンバーへと落とされた感もあるセスクという資源をいかに再活用するかは補強策よりも重要な問題だった。

そこでマルティーノは一度セスクの役割を整理し、昨季はメッシの代役として使われたりしていたセスクを
もう一度メッシとの縦関係から裏へ抜ける受け手として活用し始めた。

【メッシとセスクの縦関係】
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局面はバルサのビルドアップからタテパスが入る場面。

メッシとセスクの基本的な位置関係はトップのメッシが前で中盤のセスクがそのすぐ後ろという
「つかず離れず」の立ち位置を常にお互いが意識しているフシが強かった。(恐らく監督の指示)


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…で、ボールが別のところでプレーされている間にセスクがメッシを追い越して裏へ抜けるという関係である。

これで相手のDFラインは裏へ抜けるセスクに対応してラインを下げればバイタルでメッシがフリーになり
メッシを捕まえようとすればセスクに裏を取られるという按配である。


では更にこの動きをチーム全体のメカニズムにまで視点を広げて、バルサの攻撃の全容を探ってみよう。


【バルサの攻撃メカニズムの全容】
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局面は先程と同じようにバルサのビルドアップから。

やはりここでもボールと関係のないところで既にセスクが裏へスタートを切っており、
この動きで相手のDFと中盤のラインを引っ張ってメッシとシャビをフリーにする狙いである。

(それにしてもレバンテはシャビに対してスペース空け過ぎだろwww)

加えて両ウイングのペドロとアレクシスは両翼に張り出した位置取りをキープ。


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シャビがボールを受けて前を向く頃にはセスクがDFラインを引っ張っているので結果的にメッシがバイタルでフリーになれそう。

守る側としてはこの2人の縦関係を強く意識せざるを得ないので中を絞れば、今度は両翼が空く…というメカニズムである。


そう、これは何と言う事は無い。
バルサの試合を見てきた方ならご存知の通り、これはペップ時代に築かれたメカニズムそのものである。

ここからペップは「外は捨てて中を絞る」というバルサ対策に苦しんだ訳だが、今のバルサはそれで抑えられる程甘くはない。

それは恐らくシーズン中にこの場面で左に張るのがあのネイマールになるからだ。

そもそもネイマールというタレント自体、「バルサシフト」を崩壊させる為にやって来たと言っても過言ではないだろう。
コンフェデではクラシコでも対戦するであろうSラモス、カシージャス相手に左45度のエリアから切れ込んでゴールニアの天井をぶち抜いた破壊力は記憶に新しい。

バルサシフトの時代に終止符を打つ存在として他チームは今から眠れない夜を過ごすがいい(笑)


裏に抜けるセスクとバイタルに降りてくるメッシ、そして中を絞れば外からネイマールと
まさに今季の青写真を描いてみると空恐ろしい決戦兵器が出来上がりかねないのだが・・・。(^^;


最後に意外と事件だと思ったのがマルティーノが71分にメッシをベンチに下げた事

まあ既に試合の結果は決まっており、普通のチームであれば当たり前の話なのだが
フル出場にこだわるメッシの性格が考慮されてこれまで何点差がつこうとフル出場は半ば当たり前になっていたからだ。
勿論、昨季はそれが完全に裏目に出てフル出場を続けたメッシはシーズン終盤の大事な時期にコンディションがボロボロ。バイエルン戦での惨敗に繋がった。

いわゆる監督と選手の力関係が逆転しかけていた象徴的な事例だが、こういうチームは例外なく一つの時代を終えていく。

その意味でマルティーノ新監督がチームにノーマルな一線を引き直した事は特筆していいと思う。

マルティーノ『拮抗した展開でメッシを交代させる監督などどこにもいない。
しかし、早い段階で勝負を付けることができた試合では、彼がシーズンを通じて良い調子を維持できるよう体力を温存できるというものだ』



まあ、それでも開幕戦はレバンテがちょっとアレ過ぎたので、(^^;
次のスーパーCUPでアトレティコ相手にどこまでやれるかを今季の一つの指標として見てみようと思います。



P・S 最後に言い忘れましたがブログのデザインを一新してみました(笑)
従来のは「ダサい」「読みづらい」という意見があったもので(^^;・・・いかがでしょう?
他にも何か要望などありましたら遠慮なくコメント欄等に書いて下さいネ!


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13/14 プレミアリーグ シーズン大予想の巻

今年もプレミアリーグが開幕しましたねー。

昨季の上位3チームが監督を交代した今シーズンのプレミアはまさに「新章スタート」といった感じで新たなサイクルの幕開けを予感させます。
あのファーガソンがいないプレミアとかちょっとまだ想像出来ないんですけどねー(^^;

そこで今日は毎年恒例のシーズンピレビュー企画、今季のプレミアの行方を本命から順に予想してみたいと思います。
(誰だ?「逆フラグ ガクブル」とか言ってるのは?www)



マンチェスター・シティ エンブレム1
【◎本命:マンチェスターC】

個人的には今季の優勝候補筆頭に推します。

フェルナンジーニョ、ヨベティッチ、ナバス、ネグレドと即戦力の補強は豪華過ぎ。(ベン○ル涙目www)
これまで戦術面と采配で足を引っ張ってきた(?)マン○ーニ大先生からしっかとチームが作れるペジェグリーニへ指揮権が移った事でようやくこのチームが持つ戦力充の本領発揮となるシーズンになるのではないでしょうか。

このチームが志向するシルバ、アグエロらを中心とした細かいグラウンダーパスのポゼッションサッカーとペジェグリーニの相性もバッチリなのでスケールアップしたビジャレアル&マラガみたいなサッカーが見られるかもしれません。

又、戦術のトレンド的な視点で見ても遂にプレミアリーグに「0トップ」の波をペジェグリーニが持ち込む可能性も大です。
ヨベティッチを1トップに置いて2列目のアグエロ、シルバらと流動的にポジションを入れ替える魅惑の攻撃陣が実現すれば・・・(よだれジュル♪)

昨今、世界中で「ボランチの重要性」が叫ばれていますが、ヤヤトゥーレとフェルナンジーニョのハイブリットコンビが機能すれば間違いなく「世界最強のボランチペア」が実現する事になるでしょう。





チェルシー エンブレム12
【○対抗:チェルシー】

現地の予想では優勝候補の一番人気に上がっているらしく、
やはりサッカーの母国でモウリーニョ神話は今でも続いているのですね。(^^;

実際に今季、プレミアの優勝レースをリードするのはこのチェルシーとシティの2チームになると僕も見ます。

興味を惹くのはモウリーニョが今度はチェルシーでどんなサッカーを見せてくれるのか?です。
7年前とは当然メンバーが違う訳ですが、やはり今度も「モウリーニョの必勝パターン」で黄金期再び…を目指すのか
それとも現在のメンバーに合わせた全く新しいモウリーニョを見せてくれるのか?

個人的には去年からこのチームを見ていて「何でマタ、アザール、オスカルの三銃士を不動のスタメンに据えないのか?」という疑問を感じていたんですよ。
オスカルをベンチに下げてまでモー○スとかいう凡庸な選手を使う価値がどこにあるのか…?と(爆)

故に僕としてはモウリーニョに是非この不動の3枚看板を中心としたポゼッションサッカーを目指して欲しいんですが、相変わらずこのチームは逆の意味で0トップというか、2列目のテクニシャン達と有効に絡めるCFが不在なんですよね。

なもんで気が付いたらテリーとランパードがルカク目掛けて放り込んでいた…とかいうデジャヴ感満載のチームに仕上がっていそうな気がしないでもないんですが(笑)、それはそれでCLとか取っちゃいそうで怖いぞ…とww

あとはやっぱりミケル、ランパード、ラミレスのボランチ陣がどの組み合わせにしてみたところで、
ちょっと世界のトップクラスと比べると…若干見劣りしてしまうんですけどね。

まあ、僕ならマクイークランをアンカーに置いてその前に三銃士を並べる魅惑の布陣(多分激弱ww)でいきますけどモウリーニョに限ってそれはないでしょうなww






マンチェスター・ユナイテッド エンブレム11
【△要注意:マンチェスターU】

単純に・・・そう単純に見てこの戦力でこのチームがこれまでプレミアの覇者にいた事が一つの奇跡だったんだ…と。
もしかすると改めてそう感じさせられるシーズンになるかもしれません。そう今季は正念場なのです。

簡潔に見積もってファギーの存在で毎年勝点20ぐらいは上積みされていた感じなので
今季は例年に比べると単純に勝点マイナス20スタートと考えるべきで、この損失分をモイーズがどこまで補填出来るのか・・・?

ファギー不在の影響は早速オフシーズンからモロに出ていて、まず戦力補強で完全に出遅れています。ハイ。
その上エースのルーニーまでもに移籍話が出てくる異常事態。
(思い出すのは昨年、ルーニーに同様の移籍の噂が出てきた瞬間、ファーガソンの毅然とした対応でピシャリとこの話を打ち消しにした事)

ただ今季のプレミアが2強のマッチレースになるのか三つ巴の展開になるかはこのチーム次第なので
シーズンを盛り上げる為にも個人的には頑張って欲しいと思ってるんですけどねー。

現状モイーズに課せられたノルマは「CL圏内」、目標は「優勝争いに最後まで加わり続ける事」、もし連覇に成功したのならそれは行幸と言うべきだ。

又、優勝レースとは別にもう一つ、我々日本のファンが気になるのが香川の使われ方ですよね。

開幕戦からいきなり香川の出番0とかピッチ上でもすんげープレミア感たっぷりの4-4-2キター!とかでちょっと不安にさせられてますがコレ大丈夫・・・だよね?(^^;
(困った事にこのチームはこのサッカーさせとけば充分強いんだよなー汗)





トッテナム エンブレム1
【▲穴:トッテナム】

ハッキリ言ってこの夏ベイルがどうなるか次第!以上!(爆)
(なんか去年、モドリッチが同じような状況だったのを思い出しますねー。彼の場合、結局最後は移籍しましたが…)

それぐらい完全に「戦術ベイル」ですよ。現状このチームは。

昨季、ビラスボアスはチームを一つにまとめて非常にいい雰囲気を作り出す事に労力を割いていた為、
チームの戦術的な整備は今季から手をつけようか…という感じもありましたが肝心のベイルが抜けた場合1からチームを作り直す必要があり大幅な出遅れの可能性も?

とりあえず補強は上手くいっているようでGKロリス、CBフェルトンゲン、パウリーニョとデンベレのCH,そして懸案だったCFにソルダードとチームの背骨を貫く縦のセンターラインが整備されてきました。

あとはここにトップ下ベイルが加わればCL圏内は当然として、優勝争いに加われる可能性も0ではありません。





アーセナル エンブレム1
【×大穴:アーセナル】

何・・・!?今季のプレミアリーグ選手名鑑でアーセナルだけ去年のが使われていた・・・だと!?

安心しろ。それは誤植では無い(爆)

…という訳で例年のごとく移籍市場では弱者の立場にあるベンゲルであったが、遂に今季は他チームから獲物にされる選手も残っておらずほぼ昨年からの据え置きとなっております。
(ベン○ナー!てめぇはどの面下げて戻ってきやがった!www)

正直な話、昨季はジルーとかポドルスキーの加入で、やりたいサッカーが少しボヤけてきてしまった印象のアーセナル。
個人的には今季「原点回帰」というか優勝までは届かなくてもまたアーセナルらしいサッカーが見たいなーと思ってるんですけどね。

中盤はもうアルテタ、カソルラ、ウィルシャーにベテランの最後の一花という事でロシツキーの復活に賭けて
敢えてトップ下は置かずにバイタルを空けておいてですね、そこに自由に選手が入れ替わり立ち代り・・・というあのサッカーですよね。
アーセナルはやっぱりコレが一番いいかなーと思うんだけどどうかな?ムッシュ・ベンゲル。





リバプール エンブレム1
【?:リバプール】

いや、あくまで俺は期待してるよ?今季もwww

昨季後半に見せたスアレス+コウチーニョ+スターリッジのコンビネーションは今プレミアで一番面白い攻撃スカッドだと確信してますから!

惜しいのはこの3人に絡むもう1枚だよね。
ダウ○ング(ようやく放出したかww)とかヘンダー○ンみたいなパッとしない奴じゃなくてこうギラついてる奴が欲しい訳よ。

その意味で新加入のアスパスと若手スターリングの覚醒には期待したいところ。

ボランチがジェラード&ルーカスではロジャースのサッカーは難しいだろうけど、
ここはもう開き直ってジェラードにドカッ!と蹴らせて前線でスアレス達に暴れ回ってもらうサッカーじゃ駄目なんでしょうかね…?(^^;




・・・とまあ、何だかんだ言いつつも今季優勝争いが純粋に楽しめそうなのはもはやプレミアだけと言っても過言ではないので一昨年のような神シーズンになる事を期待しています!

(P・S 地味にポジェッティーノのサウサンプトンは今季中位争いに食い込めるんじゃないかと…。目指せEL圏内!)

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今こそ「バランス」が求められる時 ~日本×ウルグアイ~

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<今こそ「バランス」が求められる時 ~日本×ウルグアイ~

だからスアレスには注意しろとあれほど・・・○| ̄|_


ウルグアイがガチで来てくれたお陰でコンフェデ3連戦に続く「世界チャレンジシリーズ」の第四戦となった先日のキリンチャレンジCUP2013。(素晴らしいマッチメイクをありがとう!)

日本はまたも世界との差をまざまざと見せ付けられる内容と結果で2-4の惨敗を喫してしまいました。

これでザックJAPANは直近の7試合で19失点。
守備力に対する不信がDFへの風当たりを強めザックの能力についても疑問を呈す声が聞こえてくるようになりました。

とりわけ稚拙なミスが続いている吉田に対する人選の再考と
岡田JAPAN時代のようにアンカーを置いた守備力強化への要望が高まっているように感じます。

しかし果たして問題はそれで解決するのでしょうか?
吉田を代えてアンカーを置いた布陣に変えれば再びW杯ベスト16への道が開けるのでしょうか?

この疑問を解くためにも、まずはウルグアイ戦の敗因を分析し、
W杯ベスト4のウルグアイにあって日本に無かったものを検証していきたいと思います。


<ジーアニアス+いつものスタメン>

まずは両チームのスターティングオーダーから。↓
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日本は怪我で別メニューだった長友に代えて酒井ゴートクを起用した以外は予想通りの「いつものスタメン」が顔を揃えました。

但し1トップには東アジア選手権で成果を出した柿谷が遂に「A代表のAチーム」デビュー。

やはりザックは1トップの人選だけは未だフラットにしているところがあり、
この試合で結果を出せば前田に変わって柿谷がスタメンのポジションを奪う可能性もあるのだろう。

対するウルグアイはW杯ベスト4⇒コパアメリカ優勝⇒コンフェデベスト4の流れを組む
世界でも5本の指に入ろうかという屈指のメンバーがそのまま顔を揃えた。(*除くカバーニ)

ただ14番のロデイロは日本で言うところの香川系ファンタジスタで
いつもならスーパーサブか使われるとしてもサイドでの起用が多い選手なのだがこの試合ではめずらしくセンターハーフで使ってきた。

彼の攻撃面での能力を考えればセンターの方がより活きるのは分かるが
なにせ守備面で難のあるプレイヤーなので、そこはまあ日本相手というタバレスの余裕か…?


<ザックJAPANが抱える構造的欠陥>

試合は序盤、日本がペースを握ったかに思われた。

と言うのもウルグアイはやはりロデイロが守備時に自由過ぎるのでどうしても中盤に穴が空く場面が目立ったからだ。


【ロデイロのポジショニング】
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日本がボールを回している↑の場面でもロデイロは1人、中盤のラインからふら~っと飛び出して誰を捕まえるでも無い中途半端な位置取り。

このお陰で日本はバイタルで間受けを狙う本田にタテパスが通しやすくなっていた。

ウルグアイは仕方なく中盤で残りの3枚が中に絞るのだが・・・


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そうすると当然今度は外が空くという訳で、両SBは攻め上がりさえすればフリーでやりたい放題の状況。

加えてスアレス&フォルランの2トップはほとんど守備をしないので日本のCBはノープレッシャー。
ウルグアイは実質7枚で守って3枚で攻めるという攻守分業サッカーになっていた。

但し、この「SB上がり放題」の状況と「フォルラン&スアレスの前残り」という攻守分業サッカーは実は密接にリンクさせた罠でウルグアイは日本のSBを上がらせておいてからその裏を自慢の2トップで突くというカウンター狙いのプランを用意していた。

それでもお互いがノーガードの殴り合いで日本のサイド攻撃とウルグアイの前残しカウンターで打ち合いになれば状況的にはまだイーブンと言えるのだが
日本にはスアレス&フォルランのようなKOパンチが無く、そもそもサイド攻撃にしても実は構造的な欠陥を抱えたままだったりする。


ザックJAPANが抱えるサイド攻撃の構造的欠陥とは何か?

これは即ち左で崩して右で決めるという「左右非対称」のメカニズムに原因があり、
つまり左から長友、香川、遠藤の絡みで崩したクロスに逆サイドから岡崎がダイアゴナル(斜め)の走り込みでゴール前に飛び出してくるという日本の黄金パターンが抱える致命的な弱点とも言うべきものだ。

要するにこれは逆に言えば右からは崩せないという話になる。

ちょっと実際の試合から検証してみよう。


【ザックJAPAN 右からの崩し】
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局面は日本の最終ラインからのビルドアップの場面。

ウルグアイはこの試合で意図的に左をケアして右を空けるような素振りを見せており、
もしかすると事前にしっかりと日本をスカウティングしていたのかもしれない。

この場面ではそんなウルグアイの注文通りにCBの吉田から右の内田へと展開


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内田から岡崎へ。これで右⇒右⇒右という展開になってしまう。

しかも岡崎はサイドの狭いスペースで攻撃方向に背を向けてボールを受けても何も出来ないプレイヤーなので・・・


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ここもそのまま内田へ下げるしかなく、下げられたボールにはウルグアイが激しくプレスをかける。



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内田からフォローへと顔を出した長谷部へボールが下げられるが、
この展開に誘導していたウルグアイはここで「待ってました!」とばかりにボールへアタックを仕掛ける。



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教科書通りに横パスをカットしてウルグアイのカウンター発動!


遠藤の展開力に香川のパス&ゴーと狭い局面での細かい展開を苦にしない左サイドと比べると
右サイドはそもそも崩しには向いていないセレクションになっているのがザックJAPANが抱える構造的欠陥というのはコンフェデの際にも指摘した通り。

こうなるとSBが上がった分だけ裏を取られるリスクが増すという悪循環で
事前のプランニングの時点で両者が明暗を分けた結果、4失点&惨敗に繋がったと言うのがまず一つ目の敗因と見る。


<柿谷は本物のジーニアスか?>

続いて取り上げたいのが"ジーニアス(天才)"柿谷の存在だ。

TBSは試合前に煽りVまで入れて、いざ試合が始まっても岡崎のシュートを全部「柿谷!」と実況が連呼するなど
(金田「今のは岡崎でしたね」⇒実況「岡崎が打ちましたー!」www)完全に柿谷スターシステムを発動。


確かにボールコントロールの技術には非凡なものがあり、裏抜けの意識も高く個人的にも期待しているタレントの1人である。

だが、あまりに柿谷への期待値が上がり過ぎた今、果たして冷静にそして客観的に柿谷のプレーを検証しているメディアがどれだけあるだろうか?

ちなみに私は4失点の原因の一つは「1トップ柿谷」にもあったと思っている。

ちょっと実際の試合から2つほどプレーを検証してみたい。


【DFラインの押し上げとファーストプレスの問題点】
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局面は右から左へと攻めるウルグアイのビルドアップの場面。

ザックJAPANの守備は本来1トップの前田から始まるのが原則なのだが
この場面では下げられたボールに何故か柿谷は見向きもしない様子なので仕方なく本田が寄せにいくところ。


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続いてリターンされたパスに今度は香川が向かう流れへ。

本来、この2枚へは柿谷&本田で向かっていれば問題が無かったのだが
柿谷が棒立ちで本田がファーストプレスになった分、一つずつプレスのポイントとタイミングがズレてしまっている。

加えて前線がプレスに押し上げればその分後ろも押し上げないと黄色で囲った中盤のスペースがポッカリと空いてしまうので同時にDFラインも押し上げる必要がある。

故にザックはいつも「コンパクトに!」としつこく言ってきている訳だが
これが「ザックJAPANの守備は前田から始まる」と言われている所以であり、
彼がこれまで絶対的なスタメンとして重宝されてきた理由でもあり。


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しかしこの場面では最初のプレスのタイミングがズレた分、
ボールホルダーのロデイロへのプレッシャーが不十分なままDFラインを不用意に押し上げる形になってしまっている。

しかもボールから遠い逆サイドの内田があさっての方向を見ており
ラインを上げた吉田は目の前のスアレスをオフサイドポジションに置いたと思っているのだが実際には置けていない。
(*吉田から見て内田は背中側にいるので見えるはずがない)


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この場面に日本の守備の問題点が集約されている。

まずファーストプレスの意識が無い柿谷、ボールホルダーに充分なプレスがかかっていないのにラインを上げてしまったDF、にもかかわらず一瞬ラインの意識が飛んでいた内田、ボールが出された瞬間に「オフサイド!」と手を上げている今野&吉田。

要するにそれぞれがバラバラの事をしていた結果、生まれた決定機と言えるだろう。

だが繰り返すように最初のズレは柿谷の怠慢プレーから始まっている点は見逃せない。


続いてもう一つ。↓


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局面は左から右へと攻める日本のパスがガルガーノの足に当たってロドリゲスにこぼれた場面。

まさに日本が攻⇒守へ切り替わった瞬間で、各選手のインテンシティが試される場面と言えるだろう。

ここでも既に守備へ切り替えているのは従来のレギュラー組である本田と遠藤だ。

ちなみにガルガーノと柿谷の関係はこの後重要になってくるので注目していただきたい。



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こぼれ球を拾ったロドリゲスからフォルランへ。

日本は本田、遠藤、長谷部らがインテンシティの高さを見せている。


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フォルランのドリブルにも本田がしつこく食い下がるがここで問題になってくるのが最初の位置から微動だにしていない柿谷の存在である。

この場面では柿谷がガルガーノに付いていれば本来フォルランにパスコースは無く日本が追い込めていた流れだった。


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パスが出てから慌てて走り出しているようでは遅い、遅過ぎる(柿谷)

これで本田、遠藤が見せたインテンシティは台無しとなり、単なる無駄走りになってしまった。

ウルグアイは柿谷が空けたガルガーノを経由してロドリゲスへ。


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ロドリゲスにボールが渡った瞬間、前線から物凄い勢いでプレスバックする影が!

もちろん・・・我らがザキオカである。



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あっと言う間に長谷部とロドリゲスを挟み込んでボールを奪取してしまった。

併せて本田がフォルランへのパスコースをキッチリ消しているのも見逃せない。

ちなみに柿谷はボールが一つ展開された瞬間に再び守備のスイッチがOFFの状態(笑)



要するに・・・・だ。

これが普段、Jリーグで戦っている者世界を肌で感じている者との意識の差なのだろう。

前田はザックJAPAN不動の1トップとして世界と戦った3年間で一番伸びたのが守備の意識で
今では左サイドの香川が度々中に入り込む事で生まれるスペースの尻拭いまで担っている。

遠藤も寄せは相変わらず甘いが攻守の切り替えの意識は高く、基本的に足と頭を止めない選手だ。


確かにJリーグではFWの位置で多少守備が甘かったり切り替えが遅かったりしてもそれが失点へと直結する事は稀だろう。

だがウルグアイクラスの相手では、それが失点と勝敗に直結する事を試合を観た誰もが感じたはずだ。


日本のマスコミも柿谷の曲芸的なトラップばかりを繰り返しリプレーで流すのではなく
柿谷という存在が今、チーム全体にどういう影響を与えているかをもっと客観的に検証し評価するべきではないだろうか?

柿谷が「前田の持っていない武器」を持っている事も間違い無いのだがら、
まずは「前田にあって柿谷に無いもの」を身につけるところから始めようではないか。


<ウルグアイのシンプルなダイレクトプレー>

では次にウルグアイの方の分析も進めてみよう。
攻守分業サッカーであるウルグアイの攻撃は至ってシンプルでダイレクトなものだった。

【縦関係になるウルグアイの2トップ】
uruguai2-top.jpg

ウルグアイの攻撃は基本的に2トップのどちらかが引いてどちらかが裏に抜けるという縦関係によるもの。

まあ小中学生でも習う2トップにおける基本的な動きだが、なにせモノがフォルランとスアレスである(^^;

前掛かりになった日本の高いDFラインも絶好のお膳立てとなり、日本はこの2トップを全く止める事が出来なかった。

具体的には次のようなシーンでウルグアイはシンプルに日本のDFラインを攻略している↓


uru2top-1.jpg

局面はウルグアイが最終ラインのルガーノからボールを持ち出すところ。

ここでスアレスが最前線から引いてくると今野がこれに対応。


uru2top-2.jpg

スアレスが今野を吊り出したのを見てルガーノはそこを飛び越えたタテパス1本を裏へ。

スアレスが引く動きと同時にフォルランが裏に抜け出しているので・・・


uru2top-3.jpg

日本は2トップの動きと縦パス1本で吉田がフォルランと1対1の局面を作られてしまっている。
(て言うか、もう完全に抜け出されて捕まえられないww)

これが現状、日本が最も苦手とする守備の局面で、同時に極めて失点の確率が高い場面と言えるだろう。


ウルグアイは全ての選手が常に2トップの内どちらか1人が裏を狙っている事、
そして2トップのスアレスとフォルランは後ろの味方が常にボールを奪ったらDFライン裏へのダイレクトプレーを狙っている事を分かり合っている。

故に一見シンプルなこのダイレクトプレーが効果的に機能したのである。

なにもサッカーでは複雑な事をやっているチームが偉いのではなく、
チームとしていかに統一されたプレーを実践出来ているかが重要なのがよく分かる試合だったと言えるだろう。



<日本の失点シーンを検証>

ここでは改めて試合の流れを振り返りながら各失点シーンを検証してみよう。


【ウルグアイ1点目 1-0】

日本がウルグアイの注文通りにSBを上げた裏のスペースを「前残し」の2トップに突かれて失点。
ウルグアイのプランニングの勝利であり、日本の不注意が招いた失点と言える。

結果的にはアシストパスになる一見苦し紛れのウルグアイのクリアを見た時、
吉田も内田も今野もほとんど危機感を覚えた様子は無かった。

反対にこの場面をスローで見返してみるとクリアボールが出される直前、スアレスがボールとはあさっての方向を見て何かを確認しているのが分かる。
よく見ると日本のDFラインの高さを確認して自身がオフサイドになっていないかをチェックしていたようだ。

タテに蹴りだせばそこにスアレスがいるという確信と、クリアボールが出される前からオフサイドにさえかからなければ抜け出せるという確信が両者にあった何よりの証拠と言えるだろう。

これに比べて日本のDF陣の危機意識はあまりに低かった・・・。


【ウルグアイ2点目 2-0】

先制点を与えたショックも覚めやらぬ1分後に続けざまの追加点。

フォルランのキックを褒めたいところだが、完全に逆を突かれた川島とゴール前で不用意にファウルを侵す事の厳しさを再確認。


【ウルグアイ3点目 3-0】

これが問題の試合を決定づけた後半開始直後の3点目。
吉田祭りの原因となっている失点シーンですね(笑)

yoshida0815.jpg

この場面では吉田を含めDFライン全体が自陣へ向けて戻りながらの守備を強いられている訳ですね。

しかもサイドからのクロスとなれば吉田の視野はボール方向に固定されているので
後ろから走り込んで来る敵はもちろん、そもそも攻撃方向には全く視野が無い事になります。

こういう状態でのクリアは「見えている方向」へなるべく「高く・遠く」蹴り出すのが基本です。

いわゆるセーフティーファーストってやつで、そもそも裏をとられて自陣に向けて戻る守備っていうのはそれだけ守備側にとって苦しい局面なんですね。

一度、守備ブロックをセットした状態で迎え撃つクロスなら攻撃方向にも視野があるので、
単なるクリアではなくカウンターに繋げるパスにするって考えもアリでしょうがこの場面でそれを考えてはダメです。

まあ、このへんの「つなぐところ」「セーフティにやるところ」の見極めの弱さが
やはり元々がボランチを本職としていた吉田&今野ペアの難点なんですが
かと言って代わりに出せる伊野波だの栗原だの徳重だのはもっと別の難点を抱えているのでそう簡単に代える訳にもいかぬ…と。

となるとそもそも何故、Jリーグから海外へと羽ばたく優秀なCBが輩出されないのか…?という話になってきます。

これは恐らくサッカーという競技の性質上、攻撃は守備側が想定する以上の最高のプレーを出して得点を狙う事は出来ても
守備側が攻撃陣以上のレベルでもって守備をする事は出来ないからではないか。

つまり、Jリーグにワールドクラスのタレントがいなくなってから
そもそも「ワールドクラスの守り」を体得するチャンスも必要性も失われてしまったという仮説である。

その昔、日本がW杯に初出場した頃、当時のCB秋田はW杯を終えてこんなコメントを残している。

秋田『Jリーグでエムボマストイチコフと対戦していたのでW杯で次元が違うな…と感じた瞬間は正直一度も無かった。それはバティやスーケルを相手にした時もです』

同じように中澤もこんな事を言っていたのを思い出す。

中澤『カメルーンもエトーを除けばストイコビッチクラスはいなかったですね』


翻って現在の吉田や今野の世代はJリーグでワールドクラスと対戦する機会を得てはいない。
少なくとも彼らにとってスアレスやフォルランは非日常でしかなかったはずだ。
(吉田はようやくプレミアリーグという日常のステージに立ったが…)


【ウルグアイ4点目 4-1】

トドメの4点目は現在の日本が抱える課題が集約されたような失点だったので流れを追って検証してみよう。

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局面は左から右へとウルグアイが攻める場面だが、まずボールに本田と長谷部がアタックした2:1の数的優位でボールを奪い切れなかった事から始まる。


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ここでウルグアイに倒れながらも粘られてボールを繋がれたのが痛かった。


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ただ、ボールを自陣まで運ばれてしまったものの日本も6:5の数的優位で迎え撃てている。

これで守り切れないのだからツライ。


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ここからロデイロを経由して裏に出されたボールと抜け出たスアレスに無理して突っ込んだ川島が頭上を越されて無人のゴールへ押し込まれてしまった。

だがそもそも数的優位はなずの日本が何故崩されてしまったのか?を考えていくと・・・


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よくよくこの場面を見てみるとボールから遠いファーサイドでは4:2で日本の数的優位なのだが
肝心のボール周辺のサイドで2:3の数的不利に陥っているではないか…!

何でこんな事になってんの?と言うと・・・


urugoal7.jpg
カガーワ! ケアするのはそこじゃないのよ!!

コレねー香川は背後にいるウルグアイの選手が気になってるんですけど、ここで重要なのはそいつじゃないんですよ。

守備の原則としてまずボール周辺の状況から整理していって、遠いサイドは一番最後に回すのが優先順位ってもの。結局ここをフリーにした事で決定的なパスを出されてるんだし。

まーでも香川の守備センスだとこういう事はどうしても起きてしまう訳でね・・・(^^;

数的不利はもちろんの事、数的優位ですらも守り切れない日本の苦しさが集約されたようなシーンでした。


<ザックJAPANは短い毛布?>

・・・さて、そろそろ最後のまとめに入りましょうか。

この試合の日本の敗因、つまりウルグアイの古典的な攻守分断サッカーに何で惨敗しなきゃいけなかったのかを考えてみると一言でいうなら日本にはスアレスもフォルランもいなかったという事になるでしょうか。

んな実も蓋も無い事言うなって話ですが(^^;
要するにウルグアイは前線にフォルラン&スアレスっていう攻撃で数的不利でも個の力で崩しきれるタレントがいる事を前提に後ろは守備専念で数的優位を作れるというチーム構造になってるんですね。

翻って日本の場合は得点シーンでこれだけの人員を投下してようやく崩せたって話なんですよ。↓

【日本の得点シーン (1点目)】
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この場面では遠藤がめずらしくゴール前まで駆け上がって行った事が効きましたねー。
(オシムさ~ん!見てくれましたか~!?)

で、改めて見返してみるとその遠藤、本田、長谷部、内田、岡崎、香川、柿谷と実に7枚を攻撃に投入しているんですね。

この厚みが得点を生んだ訳ですが、仮にもしここで本田のパスがDFに引っかかっていたとするとウルグアイのカウンターに対応出来るのはもう3枚しか残っていない場面でした。


・・・はい、これでちょっと日本が抱える問題の根っこが見えてきたと思いませんか?

とどのつまり日本というチームは攻撃でも守備でも「数的優位」でない限り崩せないし守り切れないんですよ。
点を取るために攻撃に人員を割いたら、その分だけカウンターを食らった時のリスクは増大していると。

だからザックが言っている「得点を多くとる為には失点のリスクは致し方ない」ってのは決してサッカーの真理ではなく(本当の理想のチームは得点を取る事が守備にも繋がっている)
あくまで日本の現状を言っているに過ぎないんです。

言ってしまえば「冬の日の短い毛布」ですね。
頭からかぶってしまえば足がはみ出てしまうし、足までかけようと思ったら頭が寒いってやつです。

繰り返しますがフォルランやスアレスがいれば後ろの数的優位を確保するウルグアイみたいなサッカーも出来ますし、
バルサみたくいくらパスを回しても取られないという技術的な保障があれば攻撃に枚数を投入しても即リスクみたいな事態にはならなくて済みます。


・・・が、我々はそうではない。

まずはこれを認めないとザックJAPANに関する議論は始まらないと思うのです。


じゃあこれを前提にザックは今いかなるサッカーを目指しいるのか?

ここで出てくるのが就任以降、ザックの口グセになっている「バランス」というキーワードですね。

ザックは不必要な場面でリスクを冒すプレーを嫌います。
同時にリスクを冒すべきところで臆病風に吹かれるプレーも嫌います。

だから理想を言えば先程の得点シーンのように崩し切る場面では攻撃に厚みを持たせて
カウンターの危険が大きい場面では守備に備えておければ言う事無しですよね…?

これがザックの言うバランス感覚で、守備は1トップの前田から、攻撃は最後尾の吉田&今野からと
攻守で最大限人員を割けるチーム構成を一貫して構築してきました。

故にこのチームを語る上で守備に難があるからと吉田と今野だけ批判しても意味が無いと思うのです。

この試合で守備を語るなら柿谷から逆算して考えていくべきだし
攻撃力に不満があるなら吉田と今野のフィードから論じていくべきです。


今回のレビューでも右サイドの岡崎の突破力の無さと同時に守備では彼のプレスバックがいかにチームに貢献しているかを検証してきました。

遠藤の寄せは確かに甘いけれどあのタテパスはチームになくてはならないものですし、
彼がゴール前へ飛び出す場面が増えれば日本の攻撃力は更に高まる可能性を秘めています。

プレミアの名門ユナイテッド所属の香川にしても守備でのポジショニングはまだ甘い部分がありますし、一方で前田がその穴を補っていたりと…。

要するに何が言いたいのかと言うとフォルランもスアレスもいない中で
ザックは世界と戦うに値する駒を総合的に判断し、組み合わせによってお互いの長所と短所を補完し合おうとしているのが現在のメンバーなのです。


確かに吉田のやらかしや川島のアボーンに絶句させられる時もありますが、
これはもはやザックの手腕とかそーいう領域を超えてますよ(笑)

ザックも本音としては「Jが温いからじゃね?」と言いたいところをそうも言えないから
「日本はまだ世界と戦う経験が…」とか言葉を濁しているだけで、
オシムみたいな人だとちょいちょいストレートに言っちゃってますからねww

だからあの草サッカーみたいな後半の2失点が無ければスコア的には2-2だった訳でそこまで悲観する内容でも無かったかな…と。
(そもそもあのガチメンのウルグアイと正面切ってオープンに試合すればこのスコアは至極順当)

付け加えるとこのウルグアイですら南米予選では現在崖っぷちの順位で、来年の本大会に出場出来るかどうかすらまだ微妙ってんだから無風のまま予選通過を決めたアジアというぬるま湯との差を思わずにはいられませんよね・・・。


閑話休題。

最後に「頭は寒くてもいいから毛布は足までかけておけ」という反論についても少し。
要するに攻撃のリソースは減らしてもいいからアンカーを置くなりDFラインを下げるなりしてもっと守備を重視した戦い方に変更しようという意見です。

いわゆる「アンカー待望論」とか「岡田JAPAN回帰論」ですが、
少なくともこれは「戦犯吉田」よりは論ずる価値がありそうです。(^^;

3年前に本番2週間前からの突貫工事で出来た事ですから今からやってやれない事も無い訳ですが、
思い出して欲しいのはあのパラグアイにPK負けを喫した瞬間に4年後もこのサッカーで世界と戦う日本代表を夢想した人はほとんどいなかったという事実です。

選手もファンも協会も、誰もがもっと主体的にボールと人が動く日本らしいサッカーで世界とどこまで戦えるかが見たい…とそう感じたのではないでしょうか?

ザックはね・・・もう納豆の食いすぎで半分日本人になっちゃったんじゃないの?ってぐらい
イタリア人が見たらビックリのサッカーを愚直なまでに貫いて世界と戦ってますよ。

それともブラジル、イタリア、メキシコ、ウルグアイ相手に日本は五分以上の成績をノルマとしていたチームでしたっけ…?


安心して下さい。
ちょっとここんとこ世界の強豪ばかりと当たっていただけで来年のW杯本番ではこんな鬼グループに入る事は現実的に有り得ませんから。(^^;

過去のW杯を振り返ってみても明らかな格上(アルゼンチン、ブラジル、オランダ)が1つと
同格に近い中堅~格下(クロアチア、デンマーク、カメルーン、ジャマイカ、オーストラリア)が2つという按配になるので
大事なのは今のサッカーでこの後者の2つに勝ち切れるチームに仕上げる事です。


恐らく多くの人が3年前の記憶で止まっている闘莉王や中澤がいない今、本当にDFラインを下げて守り切れますか?
スアレスもフォルランもいないのに数的不利が前提のカウンター頼みになってしまえば得点はFKを祈るだけに逆戻りですよ?


今こそ我々も「バランス」を取り戻すべき時ではないでしょうか-


ザック(試合後の談話)
『私は就任したときのノルマとしてW杯で優勝してくれというリクエストは受けていない。
日本と、世界の強豪との差を縮めてほしいと。W杯までにその近くまで持っていく自信はある』



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スアレスから学ぶプレーの修正力&キャンセル力

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<スアレスから学ぶプレーの修正力&キャンセル力>

明日はいよいよウルグアイ戦ですねー!

予想以上にウルグアイがガチメンバーで来日してくれるお陰でかなり楽しみな試合になりました。

まあ、一部ではカバーニが早速来る来る詐欺をかましてくたりしているようですが(笑)、
それでもW杯ベスト4、コパアメリカ王者ほぼそのままのメンバーとの一戦になります。


中でも一番注目していただきたいのが個人的には現在、世界最高のFWだと思っているルイス・スアレス選手です。

まー今更お前に言われんでもwwっていう選手ではありますが、
どうしてもこの選手から真っ先に連想される世間のイメージって・・・




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コレwwwwとか・・・・


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人を・・・食ってる・・・!?





或いはW杯で有名なナイスブロック!!
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ビシッ!!


とか・・・



ダイブ批判された翌週の試合で・・・



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批判した相手監督の目の前でゴール後のダイブパフォーマンス(爆)とか



まあ、要するに・・・・









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奇行キャラのイメージが強いと思うんですよ(爆)




まあ、別にそれは否定しないんですが(しないのかよww)
そっちの方ばっかりフォーカスされてしまって
実はサッカープレイヤーとしてはとても賢い選手であるという一面が見落とされているような気がするんですね。


改めてこのスアレスというFWを選手として見た場合、
得点力はもちろん、間受けが出来て、周りを使える三拍子揃ったオールラウンダーであるというのは当然、
何よりプレーの修正力&キャンセル力がすば抜けて素晴らしいと思うんです。

一般的に「判断力に優れた選手」というとバルサの頭脳シャビのような常に事前の情報収集(ルックアップ)から最善の選択肢を判断出来るプレイヤーが思い浮かびますが
サッカーでは時に事前に予想していなかった自体が発生する事がままあります。

パスが思っていたよりもボール2個分右にズレるとか、ボールを受ける直前にDFが死角から飛び込んできたりとか
ピッチの状態が劣悪でボールが突然変なバウンドをしたり…etcとかそういう事態はサッカーでは日常茶飯事な訳ですね。

こういう時は頭で考えて判断していたのでは間に合いません。
過去の経験に裏打ちされた「脊髄反射」とも言えるプレーが必要になってきます。

例えばボールを受ける瞬間に咄嗟に背後から迫るDFの存在を感じ取る嗅覚と
それと同時に身体と足首を使ってDFからボールを「隠す」事の出来る選手とか、
DFを背負いながらファーストタッチでターンしようとしていたものの
トラップでボールを浮かしてしまったので無理せず後ろに落とすポストプレーへ瞬時に切り替えられる選手とかは
プレーの修正力&キャンセル力が非常に高い選手と言えるでしょう。

この特殊能力とも言えるスキルは世界でも身につけている選手が非常に稀な"レアもの"です。


そこで今日は明日のウルグアイ戦ではスアレスのこういうプレーを見落とさないで観て欲しい!というプレーをご紹介したいと思います。
(特にスタジアム観戦組の人!)


【スアレスの修正力&キャンセル力】

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試合は昨季のリバプール×チェルシーの一戦から。

局面は右から左へと攻めるリバプールがGジョンソンからのタテパスをジェラードを経由してバイタルエリアで間受けを狙うスアレスへ繋ごうという場面。


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ジェラードはスアレスへダイレクトでボールを流した後にリターンを受けるべくパス&ゴー!

これを観たスアレスは瞬時に意図を理解し、ワンタッチでジェラードへ落とそうとしているのが身体の向きと蹴り足の方向から確認出来ます。


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ところがここでスアレスにしてはめずらしくファーストタッチでボールを浮かしてしまいます。

まあ、この手の細かいミスはサッカーではどんな名選手にもある事なんですが重要なのはミスをしてしまった後の対応です。


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スアレスは全く慌てる様子もなく、この浮かせてしまったボールをすぐさま左足の腿でコントールしてまずはボールを沈める事に成功。

(並の選手だとここで慌ててプレーがバタバタしてしまい、苦し紛れのミスパスで余計事態を悪化させてしまうもの)


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続いてスアレスはジェラードへの落としを諦めて、ヘンダーソンへ一旦ボールを下げる選択肢へとプレーを変更します。

ところがこの落としには背後からラミレスが反応していて・・・


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足を出したラミレスにボールが当たって一瞬フィフティーボールの競り合いに・・・


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ここでもスアレスは恐ろしい程の落ち着きで浮いたフィフティーボールを胸で押し出しつつ左へ持ち出します。


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しかもスアレスは胸でボールをコントロールしながら間接視野で左サイドにいる味方選手の存在を新たに確認。

コントロールしたボールの落ち際を叩くお手本のようなボレーパスで左に展開。


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このパスをフリーで受けたコウチーニョが左からドリブルで持ち込み折り返しを狙う。
と同時にスアレスはもうゴール前へ入る動きを見せていた。


・・・いかがだったでしょうか?

ボーッと試合を流し見にしていると一瞬見落としてしまいそうな何気ない一連のプレーでしたが、
この僅か1秒足らずの間にスアレスは・・・

右足でジェラードへの落としのパス

キャンセルして浮かしたボールを左腿でコントロール

ヘンダーソンへボールを下げるプレーに変更

キャンセルしてラミレスとの競り合いからフィフティーボールを胸でコントロールしつつ左へ逃がす

新たに見つけた左サイドのスペースへのパスに変更



これだけの修正とキャンセルを行っているのです。


こういった「頭で考える」というより「身体が反応する」部類の修正力は幼少期からどれだけ多くのゲームをこなしてきたかの経験値による部分が大きく、指導によって人工的に身につけさせるのが非常に難しいスキルと言えます。

もっと言ってしまえばストリートサッカー出身の選手にこの手の能力が高い選手が多いような気がするのも偶然では無いでしょう。

(特に南米出身の選手に多い気がします。他に思いつくので言うとアグエロやテベスも咄嗟のフィフティーボールをマイボールにする能力が非常に高いですよね。)

そして、こういったディティールの積み重ねが実は日本代表が南米や北中米の国と試合をした時に
フィフティーボールをことごとく持っていかれるという現象に繋がっていると見ます。


という訳で明日のウルグアイ戦では彼らのこういったプレーに注目しつつ、
我ら日本代表がどう対抗していくのかも楽しみましょう。




【オマケ:明日のウルグアイ戦も生実況&解説ツイッター開催します!】



物好きな方はスマホorPC2窓片手に一緒に明日のウルグアイ戦を観戦しませう!



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ミュンヘンの地でティキタカを奏でし者 ~グアルディオラのバイエルンを検証~

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<ミュンヘンの地でティキタカを奏でし者>
 ~グアルディオラのバイエルンを検証~


さて今日は記念すべき13/14シーズン最初のマッチレビューという事で
先日開催されたドイツスーパーCUP「バイエルン×ドルトムント」の一戦から
主にペップ就任後のバイエルンの仕上がり具合と今季の展望を見ていきたいと思います。
(モタモタしてたらブンデス開幕しちまったし…!!ww)

気が付いた方もいるかもしれませんが昨季12/13シーズンのラストマッチレビューを飾ったのがCL決勝を戦ったこの2チームだったというのは奇遇というより時代の風がいよいよドイツに向かって吹き始めているのだなと改めて実感させられますね。


<0からのチームと完成間近のチーム>

【ドルトムント×バイエルン (ドイツスーパーCUP)】
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バイエルンは新加入選手やコンフェデを戦った選手もおりコンディションがバラバラ。

当然このスタメンがペップのファーストチョイスという訳ではなく、
あくまで現時点でのコンディションを考慮したものだ。

ドルトムントは唯一の新加入選手(ゲッツェの後釜)ムヒタリアンが怪我で出遅れている為、
この試合では昨季までのメンバーがそのままスタメンとして名を連ねている。


まず先に試合の流れをざっと観ていくと、バイエルンは思ったより「ペップのチームになっているな」という感じ。

もし仮に今季バイエルンの監督が変わったという事を知らずにこの試合を観ていた人がいたとしても
明らかに昨季までのチームとは「何かが違う」と感じられる…そんなレベルにまでペップはチームにメスを入れていた。

しかし悲しいかな、この事が逆に試合の大勢を決めてしまったのは皮肉だった。


思い出していただきたい。

昨季CL決勝で試合開始からドルトムントのハイプレスを受けたハインケス指揮下のバイエルンは
これに一切付き合わず
しばらくの間中盤は飛ばしてDFラインからマンジュキッチの頭目掛けてロングボールを蹴り続けていた事を。

無論これはドルトムントの戦い方を熟知しているハインケスが彼らが得意とするカウンター合戦にはさせまいと後半のガス欠をも見込んで仕掛けたゲームプランである。

一方、ペップが目指すサッカーはとにかく「中盤至上主義」
「中盤を制する者が試合を制す」を地で行くペップのメンタリティはドルトムントにとってはむしろ好都合だったと言えるだろう。

結果、試合は序盤からバイエルンにボールを「持たせる」ドルトムントが
彼らの慣れないティキタカをGプレスでかっさらってショートカウンター⇒ウマー!(゚д゚)という展開がしばらく繰り返されていた。

但し、これはペップとドルトムントの相性という話ではなく
単に今まさに0からチームを作り始めているバイエルンと既に完成されているドルトムントが戦えばこうなるという至極単純な話である。

故にこの展開とこの結果(2-4)に驚きは無く、個人的には概ね予想通り。

いきなり4失点というとすぐにでも「バイエルンの堅守崩壊か!?」と周囲が騒ぎ出しかねないが
この内2失点はGKのやらかしとファンブイテンの芸術的なオウンゴール(笑)によるものなので必要以上に深刻に受け止める必要は無いだろう(笑)


<ペップバイエルンを解析してみよう>

ではいよいよ、ペップイズムが注入されたバイエルンのチーム構造を解析していこう。

まず、改めてスタメン表を見ていただいても分かる通り、昨季までのバイエルンを見ていた人なら一目瞭然。
ポジションがめちゃくちゃじゃないか・・・!!(笑)

勿論これはベストメンバーが揃わなかったチーム事情もあるが、
ブンデスリーガに関して余計な情報が無い分実にペップらしいユニークな並びになったと言えるだろう。


さて、ペップが目指すサッカーは繰り返すようだが「中盤至上主義」
その為に外せないのが0トップ戦術だ。

1トップに配置されたCFが状況を見て中盤に降りてくる事で4-6-0を形成。
確実に中盤で数的優位を作り出し(普通、中盤に6枚割いてくるチームなんていないので *ビエルサ除く)、試合を優位に運ぶというもの。

プレシーズンからペップは戦術のキーマンでもある0トップの適材探しを積極的に行っていて
既にリベリー、ミュラー、ゲッツェと試されてこの試合ではシャキリを持ってきた。

(まーそりゃそうだわな。まずは0トップが見つからない限りペップのサッカーなんて実現不可能だし(^^;)

まだ若い上に実質今季がブンデス1年目みたいなところがあるシャキリは
リベリーやロッベンと比べると個の完成度ではまだまだでもその分白紙の伸びしろがある。

ペップはそこに賭けたのかもしれないし実際シャキリは監督の指示を懸命にこなそうという動きを見せていた。

ペップバイエルンの4-2-3-1は攻撃時、↓以下のように動くメカニズムを持っている。

【バイエルン 攻撃時のメカニズム】
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CFのシャキリが中盤に降りてきて、代わりに左WGのマンジュキッチが中に入ってくると
空いた左サイドのエリアにはSBのアラバがかなり前掛かりの位置を取るという按配。


【バイエルン 攻撃時の全体図】
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この一連の流れを見て勘のいい人はすぐにピン!ときたかもしれませんが、
これはペップがバルサで見せていたメカニズムと全く同じですね。↓

【ペップバルサのメカニズム (攻撃時)】
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上がるサイドがバルサとバイエルンで左右逆なのはそれぞれのチームにおける選手キャラクターの違いから。
(つまりバイエルンではアラバがDアウベス役をマンジュキッチがビジャの役割を担っているという事)

重度のバルセロニスタなら、もうこの一連の動きを見ただけでペップの香りを嗅ぎ付けられるはずです(笑)


加えて守備面で一番顕著な変化はハインケスの時代に比べるとDFラインが常時10M前後高い位置取りになっています。

【ペップバイエルン (DFラインの位置取り)】
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本当に高けーな!オイ!wwwww


併せて守備の仕方もハインケス時代は前プレから始まってそこを掻い潜られた場合は一旦自陣に引いてのリトリートを使い分けていましたが、ペップに「撤退」の二文字はありません。

守備でも常に前進あるのみ。ペップのチームでは原則、例えファーストプレスが掻い潜られても
後ろの選手が二の矢、三の矢としてボールが奪い取れるまで前進守備を行います。

但しこの守備方法は優れた駒と統一された動きが要求される非常に高度なものなので一朝一夕という訳にはいきません。

この試合では特にこの「前進守備」の完成度の低さを突かれてドルトムントのお家芸でもあるカウンターにやられてしまった感じです。


<0トップと4番>

では続いて、このペップのメカニズム下で実際にバイエルンの選手達がどういうプレーを見せていたのかを検証してみよう。
ここからバイエルンの現在の仕上がり具合も見えてくるはず。

まずは戦術の鍵を握る0トップに抜擢されたシャキリから。


【降りてくる0トップ [シャキリ]】
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局面はシャキリが最前線からハーフライン付近まで降りてきてタテパスを受ける場面。

バルサの試合でもメッシが度々ふら~っとこの近辺まで歩いてきてボールを受けるシーンがよく観られますよね。


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しかしシャキリはこの何でもないタテパスをトラップで思いっきり浮かしてしまう有り様。

フリーの状態でグラウンダーのパスであれば、「シャキリ無双」とは言わないまでも
ここは余裕のターンから前を向くまでは最低条件。

ちなみにメッシだとパスが荒かろうが、DFを背負っていようが何事も無かったかのようにパーフェクトなファーストタッチでボールを沈める事が出来ただろう。
(更にコンディションが良ければトラップと同時にDFを置き去りにしてのメッシ無双まである!)

改めて「0トップ戦術」とメッシという稀有なクオリティを持った選手との強い結びつきを思わずにはいられない。
(まあ、セスククラスでもボールは収まるんだけど、そこから先の突破まではなかなか辿り着かないからねぇ・・・(^^;)


続いてシャキリのプレーぶりをもう一つ。

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今度はバイタル付近でふらふらしていたシャキリにロッベンからクサビのタテパスが出される場面。

ゴール前の密集地帯であろうと、通せるコースさえあるなら信じて出せ!というのがバルサ流。
(実際、メッシだったらDF4枚に囲まれていても足元にビシッ!と通してやりさえすればボールはロストしない)


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フンメルスを背負いながら受ける形となったシャキリ。ここはミュラーに落として一気に崩し切りたい場面。


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しかし背中からフンメルス将軍の圧力を受けつつボールを処理する事が求められたシャキリはこの落としをミスパス。シャヒンにボールが渡ってしまう。


このようにシャキリからは懸命に言われた役割を全うしようという心意気は感じられたが、
いかんせん一昨年までスイスリーグのバーゼルでプレーしていた選手。

まだ0トップを務めるには明らかにクオリティ不足と言わざるを得ないだろう。


ペップのサッカーを語る上でもう一つ。
実は彼のチームでは0トップと同様か或いはそれ以上に重要な戦術の鍵を握る存在がある。

それが長い事バルサで「4番」と言われてきた中盤の底を務めるポジションである。


ペップの…というかバルサのサッカーでは「ボールを持ったらまずは4番を見なさい」と言われるぐらいに
全てのボールがこの4番を経由してピッチ上に行き渡っていく。

チームを一つの人体に見立てた場合、文字通り心臓を務めるポジションという訳だ。
(ご存知の通りペップは現役時代、バルサの伝説的な4番だった)

近代サッカーにおいてはとりわけこの4番が守備でも重要な役割を果たすようになってきた。

現バルサのブスケスのプレーぶりを思い出していただければ話は早い。

イニエスタやシャビと言った必ずしも身体の強さを活かしてボールを奪い返すのが得意ではない選手達で構成されながら、ペップ時代のバルサが何故あれ程の堅守を誇っていたのか?

それは前述の「前進守備」が彼らのハンデを覆い隠し、一転して長所へと変えていたからだ。

よく「バルセロナは攻めながら守っている」と言われるが、
これは実際に理路整然としたポジショニングで攻撃をするバルサは仮に技術的なミスでボールを失う事があっても
周囲のポジショニングは整っており、むしろボールを奪う為にポジションバランスを崩していた相手チームの方が一転して危機に陥ってしまう事に起因している。

この状態でバルサは攻撃に投入していた人員をそのまま前進守備でもって再活用するのだ。

選手個々が身体のぶつけ合いからボールを奪うのではなく、
理路整然としたポジショニングからの囲い込み(小回りが利く機動力が活きる)⇒苦し紛れに出されたパスをインターセプトで奪い返す…という具合に。

そしてこの前進守備を支えているのが4番のお仕事。
前進守備におけるクリーナー(掃除人)の役割を果たしているブスケスの存在である。

【前進守備時におけるブスケスのポジショニング】
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↑はバルサではなくスペイン代表だが、ブスケスが担う役割は全く同じ。

スペインはブスケスより前にいる2列目の4枚が前進守備を行ってDアウベスにプレッシャーをかけパスコースを限定させる。


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で、この出されたパスに読みを利かせていたブスケスがインターセプトしてしまうというのがその役割。

ブスケスはこの仕事をさせたら現在世界ナンバー1のプレイヤーである事は間違い無く、
言い換えればブスケスの存在がバルサの守備面での弱さを覆い隠していたと言ってもいいだろう。

故に前プレが機能しなくなった昨季のバルサはペップ時代に比べて失点が倍増してしまっている。



話がだいぶバルサ寄りに逸れたので戻そう(笑)

この試合、バイエルンは2ボランチなので厳密には「4番」のポジションは存在しない。
しかし攻撃時にはクロースが上がってチアゴが1人底に残る関係性だったので
実質的にはチアゴがバイエルンにおける「4番」の役割を担っていたと言っていいだろう。

まあ、文字通りバルサのカンテラ上がりの傑作であるチアゴはその為に取ってこられたようなところもあるので当然なのだが、このチームで唯一本場のティキタカが身体に染み付いている男である。

実際に攻撃時は持ち前のテクニックを活かしてティキタカの香りを漂わせるパスの散らしを見せていた。


問題は守備である。

バルセロナではチアゴが4番の位置で使われた事は恐らく一度も無い。
何故ならブスケスと比べるとドリブルでのボール運びなど攻撃面では優れる一方、決して守備が計算出来る駒では無いからだ。

では実際の試合からチアゴの守備を検証してみよう。

【チアゴの守備 (前進守備時)】
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局面はドルトムント陣内へ攻め込んだバイエルンがボールを奪われ攻⇒守に切り替わり、
ボールホルダーのグロスクロイツにグスタボとクロースが寄せてパスコースを限定させている場面。
*先ほどのブスケスの場合とほぼ同じ場面を抽出

ここでは本来チアゴはレバンドフスキへのタテパスのコースを消すポジション取りが望まれるのだが
(逆に言うとこの場面ではこのパスコースだけには出させてはいけない)
恐らく中のギュンドアンが気になったのか中途半端なポジショニングでコースを消せていない。

こうなると前進守備は単なるリスクでしかなく・・・


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チアゴの裏を取られてレバンドに通されてしまうとタテパス1本でもうDFラインが丸裸状態。

(チアゴの後ろはもう最終ラインだからね(笑))


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サイドに振られてから中へ通されるとジ・エンド。

CBのVブイテンまでサイドに釣りだされてるから、もうボアテングとラームしか残ってねえし!
DF2枚×攻撃3枚ってシュート練習かよ!www

結局、このままボアテングとラームはズルズルと後退するしかなく、
無人の荒野を持ち運んだギュンドアンが最後はミドルシュートをぶち込んで試合を決定付ける3点目を決めている。

これに併せて続く4点目のシーンでもチアゴが自陣からドリブルでボールを持ち運ぼうとしたところを囲まれてしまい、
何とか出したパスも引っ掛けられてドルトムントのショートカウンター発動。

今度はビルドアップ時だったので両SBも共に高い位置を取っており、チアゴの後ろに残っていたのはCBの2枚だけ(笑)

やはり守備時のリスクを考えると現状のチアゴでは4番起用は難しいのではないか-


<ドイツサッカーをイノベーション(革命)せよ!>
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改めて試合を振り返ると前半はペップの期待に応えようとお仕着せのサッカーで窮屈そうにしていたバイエルン相手に
ドルトムントが「これが俺達のサッカーだ!」と言わんばかりのカウンターで圧倒。

後半に2点差を付けられたところでペップも決心し、
0トップ(シャキリ)に見切りをつけてシュバインシュタイガーを投入。布陣も以下のように修正された。↓

【後半のバイエルン】
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0トップは諦めてマンジュキッチを定点的な1トップに置き、
ロッベンを得意の左に回して「しょうがないからもうお前は張ってろ!」と言わんばかりのウイングへ。

・・・そう、つまりは昨季までの従来の布陣へ戻しただけ(笑)

これで前半は無理に「中⇒中」の攻撃ルートを意識していたバイエルンが
得意の「外⇒外⇒中」というコースをとる事で両サイド攻撃が蘇った。

左でロッベンの突破とアラバのフォローが、右で中へ飛び出すザキオカ…もといミュラーとラームのオーバーラップが急に機能し始めたのだからペップにとっては皮肉でしかあるまい。

現金なもので、前半は完全に「借りてきた猫」状態だったロッベンが突如復活しての2得点で
一時は1点差まで追い上げるのだから昨季王者の底力を感じさせる。


…まあ、結果としては「ティキタカ」は美しいメロディーを奏でる事は無かったのだけれど、これは当たり前の話で。

ライカールト時代の遺産ともっと言ってしまえばクライフイズムの伝統+それに則ったカンテラという育成機関まで持つバルサは
ペップ就任時に既にベースとして70点からのスタートみたいなところがあった。

ところがここドイツでそれをやろうと思ったら文字通り0からのスタートだ。
今はまだ20~30点ぐらいの段階だろう。


一方で僕は何よりもドイツサッカー界のこの貪欲さに驚かされている。

国を挙げて行ってきた育成改革でドイツ代表のサッカーとこの国から生まれるサッカープレイヤーは一新された。

国内リーグ(ブンデスリーガ)は世界一の観客動員数を誇り、
2006W杯を機に各地のスタジアムは最新鋭のハードを揃えている。

欧州全体を襲う経済危機もなんのその。各クラブは黒字の健全経営を敷いているし、
それでいながら近年はワールドクラスのビッグスターも集まるようになってきた。

その上、今度は戦術面でも世界の最先端を学ぼうとマイスター達を招聘し始めたのだからドイツサッカーはどこまで行ってしまうのか考えただけでも末恐ろしい。

そしてこのドイツの地で今、イノベーションの先端にいるのが、まさにこの試合で顔を合わせた2人の男、クロップとグアルディオラなのである-


次はリーグ戦の「ドイツ版クラシコ」で再び両者が相まみえる時、お互いのサッカーがどこまで進化しているのか。

今は期待に胸を膨らませて待とうではないか-




<【オマケ】12/13シーズン バイエルン各選手の展望>

最後にオマケとしてこの試合から見えてきた今シーズンのバイエルンにおける各選手の展望をポジション別に予想してみたい。


【Vブイテン&ボアテング(CB)】
恐らく今季は両者共にベンチを暖める事になるだろう。
何故ならCBのファーストチョイスはダンテ&ハビマルのペアに行き着くと個人的に確信しているからだ。
ペップのサッカーを考えた時、最終ラインからの展開力ではこの2名が安定している。

但し、ハビマルを中盤で起用すると結論した場合はその限りではないが。
尚、Vブイテンに関しては「プジョル枠」としてそのキャラが気に入られる可能性も微レ存(笑)


【ラーム(右SB)】
監督が変わろうともこの「世界最高の右SB」がDFラインの中心である事に変わりは無い。

相変わらず安定感は抜群だが、左肩上がり(アラバ)のチーム構成の割りを食う形で右のラームが自重気味になってしまうには
この男のオーバーラップの切れ味はあまりにも惜しいのだが・・・。


【アラバ (左SB)】
見事「Dアウベス同位互換機」としての存在価値を見せ付けた。
コイツなら左サイドは1人で任せられるだろう。


【チアゴ (ボランチ)】
ティキタカの伝道者。多分、当面はこのプレイヤーが中盤にいないとバイエルンのパス回しに「ティキタカ」のリズムを生み出すのは無理だろう。

但し「4番」で使うには現状、守備面が怖過ぎる。
現実的な選択肢としては4-3-3にして本来のポジションに納めるか、布陣は変えずにトップ下で使うか、
もしくは相棒を守備職人のグスタボと組ませる事ぐらいか。

もちろんペップがブスケスを育て上げたように、今からチアゴを「本物の4番」として時間をかけて磨いていくという腹積もりならそれも面白そうではある。



【クロース (ボランチ)】
可もなく不可もなく。予想通りバイエルンの選手の中で最もペップとの適正が高そうである。

ただこの選手もこれまでずっと一列前のトップ下として使われてきた選手でやはり守備面に難がありチアゴとボランチを組ませるのは不可能だ。
あとは2列目で使うにしろ3列目で使うにしろ最大の武器であるミドルレンジからの正確無比なシュートは活かしたいところ。



【ミュラー (トップ下)】
この日の布陣だと実質中盤の組み立てはチアゴ、クロース、ミュラーの中央の3人が担う事になるが、明らかに彼の持ち味では無かった。
攻撃のベクトルが「中⇒中」へと向いているペップの元では中盤の選手に足元で繰り返しボールを受けるプレーが求められるが、ミュラーの持ち味はやはりボールを持っていない時のフリーランニング(飛び出し)にある。
中よりは外で使うべき駒だろう。





【マンジュキッチ (左WG)】
残念ながらペップが理想を貫く限りこの選手の居場所はチームに無いと思われる。
前線からの献身的なチェイシングは買うがいかんせんペップサッカーでは致命的に使いどころが無い。

1トップに置けば0トップは実現不可能になり、この日のようにサイドに置いてみても足元の技術が足りないので中盤と絡める訳でもなし、かと言ってサイドで個の突破力があるでも無し。

あとはもうペップが理想を諦めて従来のドイツサッカーに路線変更すると言うのなら出番もあるだろうが…。
(多分、開幕からしばらくは使われるだろうけど、よほどのブレイクスルーがない限りレギュラー定着は厳しいか?)




【シャキリ (0トップ)】
リベリーやロッベンは既にプレーヤーとして一定のスタイルが確立されている分、今から0トップへの順応は厳しいかもしれない。
…であれば、この選手にはまだ可能性がある。足りないのはクオリティだけ。
今季精進すれば大化けの可能性も(?)



【ロッベン (右WG)】
予想通りと言うべきか・・・ペップサッカーにとっては異物でしかなかった。
前半の空気っぷりがあるだけに、後半の清清しいまでの覚醒ぶりが逆に腹立たしい(爆)

試合中、タッチライン際でペップが何度も「サイドに張りっぱなしになるな…!」「前プレをしろ…!」と叫んでみても「オランダ語でおk」とどこ吹く風。ww

はて、どうしたもんかね・・・?(^^;



・・・以上を踏まえて僕が導き出した今季バイエルンのベスト布陣予想がコチラ↓

mybaiyanbest.jpg

布陣はやっぱりの4-3-3にして0トップにはリベリー、ロッベンよりは若く、シャキリよりもクオリティが保障されているゲッツェに賭ける方向で。

これなら引いてきたゲッツェに合わせてミュラー、リベリーのどちらが中に入ってきてもOKだし、
という事はつまり状況に応じてアラバ&ラームのどちらが上がってきても大丈夫って事。

チアゴとクロースは1列上げて守備の負担を軽くしてあげてアンカーには「バイエルンの頭脳」シュバインシュタイガーを昨季に続いて任命。

CBがどちらもタテパスが出せるのでこれなら中からも外からも攻められる万能布陣…と妄想するのは簡単なんだけどね(笑)





【今日の一枚】
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関連記事

パスコースを作り出せ! ~タテパスの出せるボランチへ~

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<パスコースを作り出せ! ~タテパスの出せるボランチへ~

今日は一部で好評をいただいておりますオフシーズン企画の第2弾。

サッカー観戦派の貴方には一つ上級の観戦術を(最近その手の本が売れてるらしいヨ!)
プレイする派の貴方には明日からでも取り入れられる実践的テクニックを…のコーナーです(長いww)

前回がボールを持たない時のフリーランニングだったので、
今回はボールを持った時の駆け引きを一つご紹介したいと思います。


先日、ザックJAPANの記事を書いた時にも「何故、ザックJAPANでは遠藤が外せないか?」の答えとして触れましたが、
現代サッカーではチームのボランチがタテパスを出せるかどうかは非常に重要な鍵を握っています。

というのもボランチのタテパスこそが「間受け」へと繋がる攻撃のスイッチになる以上、
このポジションの選手が安易にボールを左右へ散らすだけだと一向にバイタルエリアを侵略出来ないからです。

想像してみて下さい、
左右へ散らすだけのブスケスを⇒バイタルでメッシが棒立ちのまま存在価値0

想像してみて下さい、
バレンシアとナニが左右でひたすらドリドリやっているだけのマンUを⇒香川涙目⇒…あれ?これは昨季実際によく見た光景じゃね?(爆)


・・・という事からも何故ブスケスやキャリックやシャビアロンソやギュンドアンが重要な選手で
これらの選手を要するチームがCLでも上位まで勝ち上がれたかが推し量れるかと思います。

そうは言っても守る方だって簡単には中は開けてくれません。
何故ならディフェンスの基本原則は「中を絞って外を空ける」だからです。

故に僕はボランチを見る時、
「左右に散らすのは二流」「タテパスのコースが空くタイミングを見つけて一流」
そして超一流は「タテパスのコースを自ら作り出す」と定義する事にしています。


ちなみに僕がJリーグの試合を見る時に物足りなさを感じるのも安易にサイドへと散らしてしまう攻撃にあります。

相手に一度守備ブロックを作られると多くのチームがボランチからタテパスが入らず、バイタルでの間受けに繋がらないのです。

結果、その多くが両サイドから何となく上げるクロスに終始してしまうので
一度クサビを入れてディフェンスを中に寄せてからサイドを突く展開や
ワンツーやドリブルを織り交ぜての中央突破というシーンがほとんど見られません。

これでは試合の娯楽性は削がれてしまうし、非常に勿体無い話。


そんな事情を踏まえまして、今日は世界でも指折りのレジスタであり
勿論僕も超一流と太鼓判を押す2名の選手のプレーを検証する事で
「タテパスのコースを自ら作り出す」とはどういう事かを感覚として掴んでいただければ幸いです。


<デロッシとピルロに見る タテパスを巡る駆け引き>

ではまずASローマのデロッシ選手に登場していただく事にしましょう。

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試合は昨季のローマダービーから。
局面は右から左へと攻めるローマのデロッシ選手がボールを持った場面です。

右のSBがオープンスペースへと攻め上がりを見せており、
多くの選手がこの場面でボールを持ったデロッシ選手と同じ状況の場合、右へパスを散らす事を真っ先に考えると思いますし、
実際この場面でもデロッシの身体の向きは明らかに右への展開を意識しています。


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で、実際にキックモーションへと入るデロッシ。

この瞬間、ラツィオの守備陣も右への展開を察知して既に動き出しています。

デロッシの身体の向きからもこれは右へ展開されるだろう…という空気は明らかで
青丸で囲ったボランチの選手は完全に油断した棒立ち状態です。

しかし、これはデロッシがまいたエサだったのです・・・


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デロッシは上半身を右に向けたまま腰を軸に蹴り足を90度に交差させるようにして強引にピアニッチへのタテパスに切り替えたのです。

まさにこれが「安易にサイドへ散らすボランチ」と「自らの力でタテパスのコースを作り出す」超一流との差が如実に現れた瞬間と言えるでしょう。


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完全に虚を突かれたラツィオ守備陣に対し、デロッシのタテパスからピアニッチの間受けが決まって
サイドへ展開されるよりも遥かに可能性の高い攻撃が展開されていきます。

観る側にとってもピッチ上にこういう選手がいると次の展開への読みと驚きがあり、
目線や身体の向きを使った駆け引きを観る楽しみも生まれるというものです。


では続いてはユベントスのピルロ選手に登場していただきましょう。

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試合は昨季のセリエAからユベントス×ラツィオの一戦より。
(分かりやすく相手役はラツィオで統一してみました)

黒のアウェイユニを着たユーベが左から右へと攻める場面。

アルメロからピルロ(画像左外)へと一旦ボールが下げられるところですが、
ここでのポイントはリヒトシュタイナーなので彼のポジショニングを踏まえた上で次の場面に進んで下さい。


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で、下げられたボールを受けたピルロという場面ですが、
彼の視野の向きが完全に右大外のリヒトシュタイナー(画像右外)へと向けられているのにご注目。

実際にピルロからのミドルパスが大外を駆け上がるリヒトシュタイナーの鼻先へ…という展開は
現在のユーベが持つ攻撃ルートの柱の一つになっています。
(ミラン時代はピルロ⇒カフーでしたね。)


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そのままキックモーションに入ったピルロですが
彼の武器は実際に赤矢印のパスコースで右へ展開するつもりでモーションに入っても
ボールにインパクトするギリギリの瞬間まで間接視野で別のパスコースを探し続けている点にあります。


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この場面でもボールにインパクトする直前にバイタルエリアで待つヴチニッチへのタテのコースを間接視野で捉えたピルロは
やはり上半身は外に向けたまま蹴り足をクロスさせる形でタテパスへと切り替えています。

ピルロが厄介なのは、もし仮にラツィオがこの場面で中へのコースを切っていたとしたらそのまま右のリヒトシュタイナーへと展開出来るところにあり、
言わばジャンケンで相手の出し手を観てから後出しをしているようなもの。

ただ、この場面のように外へも中へも通せるのであれば、ギリギリで中を選んだ見返りは大きいものとなるだろう。


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ピルロがヴチニッチへのタテパスを選択した事でラツィオの守備ブロックは慌てて中へ絞り出す。

ボールはヴチニッチの間受けからマルキージオへ


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一旦、中を経由した事で完全にラツィオディフェンスを中に寄せてから大外でどフリーのリヒトシュタイナーへ。

これがピルロから直接サイドへ展開された場合との大きな違いである事は明白だ。


他にもブスケツやキャリックなどこの手のプレーを得意とする選手が必ずビッグクラブに重宝されている事実は興味深い。

何故、バイエルンはグスタボをベンチに置いてまでクラブ史上最高額でハビマルティネスを取ってきたのか、
何故、昨季モウリーニョがケディラでなくアロンソの隣にモドリッチを置く構想をマドリーで描いていたのかも含め
そこから現代サッカーのボランチに求められる技術がハッキリと見えてくるだろう。


ちなみにJリーグで最もタテパスのコースが空くタイミングを見つけられるのは遠藤だが、
コンスタントとはいかないまでも柴崎は身体の向きを駆け引きに使ってパスが出せる数少ないボランチだと思う。


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【毎年恒例企画!】マイラブメイト10 ~2013~発表!

今日も息抜き更新ですので、予め言っておきますがサッカーネタはほとんど出てきません!(爆)
硬派なサカヲタの方は速やかに「戻る」を押して次回の更新をお楽しみにしていただければ幸いです。
(あ・・・、でも最後にちょっとだけサカネタも出ます!ww)



・・・そうです、今年もこの季節がやってまいりました。

『マイラブメイト10 2013』の発表でございます!
(パチパチパチ~♪)


ハイ、今年で4年目となるこの定番企画もブログ引越し後初という事もあり知らない方の為にサラっとご説明しておきますと
フジテレビ27時間TVの恒例コーナー「さんまと中居の今夜も眠れない」で発表されるさんま師匠の「その年、最も気になった女性」のベスト10をそのまま僕がやっているだけ!という話でございます(爆)

2002年の第1回から誰に発表する訳でもないのに地道にノートにつけていたものを
ブログを初めてからは年に1度の恒例行事として勝手に発表し続けて早4年目という誰得企画。

毎年この企画をやる度に50人ぐらい読者を失っているという噂もありますが、本人は全く懲りておりません!ww

今年も完全なる自己満足の為に遠慮なく発表させていただこうと思います。
(一応、最後のオマケに申し訳程度のサッカーネタもありますww)


ではまず一応昨年の「マイラブメイト 2012」をここで振り返ってみましょうか。

第10位 森崎友紀 (美人料理研究家)
第9位 平沢唯 (アニメ「けいおん」)
第8位 権田の嫁
第7位 長澤まさみ
第6位 エヴァ・カルネイロ(チェルシー メディカルSTAFF)
第5位 平井理央
第4位 矢野あやね (漫画「君に届け」)
第3位 大場美奈 (AKB48)
第2位 宮崎あおい
第1位 吉高由里子


なんかたった1年前だっていうのに既に懐かしい感じがあるのは何故でしょう…?(^^;

単に僕が時代に流されやすいだけでしょうか?(爆)

ちなみに過去1位をとったプレイヤーはバロンドーラーとして殿堂入りとなるので以降選出対象外となります。
(現在までのバロンドーラー 香里奈、篠田麻里子、吉高由里子)

プラスして今年からは戒めの為にAKBは敢えて選出対象外とさせていただきました。
(完全に一部のヲタしか分からん誰コレ?ランキングとなってしまうためww)


ではお待たせしました。
今年のランキングの発表です!


 ↓   ↓   ↓   ↓


『マイラブメイト10 ~2013~』


【第10位 桐谷美玲】
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トップバッターはミレイ・桐谷嬢の登場です!

いや~基本的には僕、「女子が憧れる女子」って苦手なパターンが多いんですよー。

漫画は好きだけど「ONEPIECE」だけは絶対に読まないとか、
サッカー好きだけどメッシだけはあまり褒めない…みたいな根っからの天邪鬼気質って言うんですか?(笑)

でも「NEWS ZERO」で毎日顔合わせる内に…参りました投了ですって感じですわ。○| ̄|_

ルックス良し、スタイル良しでフェリス学院って、前プレ良しカウンター良しポゼッション良しの昨年のバイエルンみたいでちょっとズルイですよね(^^;

ちなみにこの美玲嬢、好きなスポーツはサッカーで千葉の実家に住んでいた頃はよく市原臨海競技場に足を運んでいたらしいですぞ!(好感度+40点)







【第9位 森保まどか(HKT48)】

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セーフ!HKTだからセーフ!セーフ!(必死)

シノマリが去り、ともちんまで去ってしまう現在のAKBってのは
サッカーファンの方に分かりやすく言うと「スコールズ、ギグス引退後のマンU」みたいな状態なんですよ。

そこでモデル体型&クール&不思議キャラという事でこの子に「ポスト・しのまり」は決めました!

しかし・・・なんですな。
サッカー選手が最初自分より年上だったのが段々同年代⇒年下になっていくのは自然な時の流れを感じますが
アイドルがダブルスコアの年齢になってくると急に犯罪の香りがしてくるのは何故なんでしょうかwww








【第8位 二階堂ふみ】
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噂の「ポスト宮崎あおい」キターー!!

何がいいってこの子は演技がグンバツ(*抜群)なんですよ!

山田孝之主演の映画「指輪をはめたい」で彗星のごとく現れたかと思ったら
『悪の教典』でもシャビのゲームメイクみたいな"いい味"出してましたよね~。

僕の読みでは今年の下半期~来年の上半期あたりで完全に"世間にバレる"はずです(笑)









【第7位 能年 玲奈】
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じぇじぇじぇ…!!



・・・ええ、僕もハマってます。「あまちゃん」(笑)
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第一話を見た時の衝撃たるや、まだ背番号24をつけてた頃のイニエスタを発見した時のようでしたよ、ええ。

某国民的アイドルグループや毎年マイラブメイトのメンバーが次々スキャンダルが発覚していく中、
この子の武器は鉄壁のカテナチオ!

「ノースキャンダル」の安心感たるやブッフォンの前に全盛期のネスタ、カンナバロ、バレージを並べた3バックレベルかと。


もしこの子にスキャンダルでも発覚しようものなら・・・2週間は寝込む自信アリ
(どう見てもフラグです。ありがとうございました)








【第6位 白石 麻衣  (乃木坂46)】
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まいやんだおー!ペロペロ (^ω^)

いよいよ乃木坂にまで手を広げてしまったか・・・・俺。


乃木坂のいいところは某顔面センターをプロデューサーが1トップに固定していたグループと違い
早くもファンの民意を取り入れてCFの交代に踏み切ったところですよねー。

これを見てザックJAPANも早速マイクを召集外にして柿谷、豊田の召集に踏み切ったあたり
乃木坂からの影響だな!?と僕だけは気付いてましたよ!(キリッ)

まいやんの今年のハイライトは先月、楽天イーグルスの始球式に登板した際、
渾身の一球は北沢のミドルシュートばりの精度でキャッチャーへ⇒本人悔しくて号泣の一幕でしょう。

負けず嫌いな一面もGOODです!







【第5位 天野春子 (小泉今日子)】
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本日の「あまちゃん」パート②でございます(^^;

僕がなんでこのドラマにハマったかって、きょんきょんの好演があればこそ!なんですよ。

天野春子って役どころはこのドラマでは「母であり娘である」という非常に重要なキーマンで
このドラマのテーマそのものだと思うんですよねー。

本当、いい女優になったと思いません…?









【第4位 山本美月】
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最近公開された邦画の中でも出色の出来だった『桐島、部活やめるってよ』で完全に発覚。

家でDVD見ながらその場でスマホ片手に調べましたからね。

現在放送中のフジ月9ドラマ「サマーヌード」にも出演中で要注目株です。

この子は何がいいって一見このリア充系モデル女子でありながら、実は根っからのヲタクキャラってところですよ!

ブログに掲載した「まどマギ」のコスプレ写真は一部俺らを熱狂の渦に巻き込んだという伝説アリ。









【第3位 羽川翼 (猫物語)】
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毎年恒例の二次元枠キターー!! 

この守備範囲の広さである(キリッ!)

学級委員長が髪をショートにして眼鏡外したら更に美少女とか完全に数え役満だろコレww

今季始まったアニメのOPも神だしな!











【第2位 橋本愛】
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『告白』、『Another アナザー』、『桐島、部活やめるってよ』と出てる作品がいいですよね、彼女の場合。

そしてもちろん・・・




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本日の「あまちゃん」パート③でございます(笑)

もうただの「あまちゃん好き」じゃねえかというお叱りはごもっとも。(^^;

前半戦の勢いで言えば完全に今年のマイラブメイト1位確定かと思っていたんですが
土壇場のスキャンダルとヤンキー化が響いて惜しくも2位!


















【第1位 きゃりーぱみゅぱみゅ】
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鮮やかに~恋~して~にんじゃりばんばん♪(^ω^)

ブーン~ブーン~ブ~ン♪⊂二二二( ^ω^)二⊃ 花びらも舞う♪


もう自分でも「お前はどこへ行きたいんだ…?」って感じですが、皆さんの仰りたい事もよく分かります。

でもね・・・一見奇抜なメイクでとっつきずらいけど、これが段々ハマっていくんですわ。

今ではすっかりきゃりーワールドに迷い込んでしまった三十路過ぎの夏-


曲とか歌詞とか繰り返し聞く内に麻薬みたいに頭から離れなくなる快感と
ダンスとPVの世界観が実はめちゃめちゃ作り込まれていて何度も見る内に意味が分かってくるきゃりーワールド恐るべし…!



<2013年版総括>

いかがだったでしょうか? 

「あまちゃん」強し!を印象付けた2013年。
一方でここ4年の殿堂入りバロンドーラーを並べてみても自分がどこへ向かっているのか一抹の不安が残ります(笑)

最後に、一部の読者の皆様は是非、今日はどこか違うブログに迷い込んだと思って見逃していただければ幸いです(滝汗)



【オマケ:13/14シーズンに期待するマイラブフットボーラー】

最後の最後に申し訳程度ですが来たるべき13/14シーズンに向けて僕が期待するプレイヤーを5人ほど紹介して締めたいと思います。


第5位 クロース(バイエルン)

第4位 本田圭佑 (ACミラン[希望込])

第3位 インシーニェ (ナポリ)

第2位 イスコ (Rマドリー)

第1位 フェルナンジーニョ(マンチェスターC)



クロースは厳しい競争の元、実はタイプ的にはペップと最も波長が合って今季一番成長するんじゃね?という期待感。
本田はそろそろ日本中の期待を込めて(笑)
インシーニェは今季こそサッカーファンに「バレる」シーズンになると読んでいます。
(ベニテス絶対使えよ!てめえ!ww)
イスコはマドリーでポジション取った本当に時代が来るシーズン。

フェルナンジーニョに関してはCLでシャフタールを見ていた人にはお馴染みでしたが、
今季はサッカー誌の表紙とか飾っちゃってもおかしくないレベル。
走・攻・守の三拍子を高いレベルで備えていてボールを奪えて運べてパス出せてゴールまで取れる世界でも数少ないオールラウンダーです。
ヤヤトゥーレとコイツが中盤にいるだけで普通のチームだったらルー○ス、ラム○ーの5人分に相当します(爆)

昨季足りなかった「戦術」が注入される水色のチームにあってロッカールームの秩序さえ乱れなければプレミアの覇権は取り返せると思いますが、
だからこそ副顧問としてグレートティーチャー・マンチーニ先生をコーチに置いておけとあれ程…と言わせる事にならなければいいのですが(^^;



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スウォンジーのパスサッカー解析 ~敵を操るフリーランニング~

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<スウォンジーのパスサッカー解析 ~敵を操るフリーランニング~

今日はオフシーズン企画第一弾という事でちょっとマイナーなチームを取り上げてみようと思います。

それでいて部活少年、草サッカープレイヤーには明日からでもすぐに取り入れられるワンランク上の実戦テクニックご紹介と一部の方に好評の企画でもあります(笑)

本日取り上げるチームはここ2シーズン、プレミアで魅力的なパスサッカーを展開しているスウォンジーシティです。
その美しいパスサッカーを評して一部では「スウォンセロナ」なんて呼ばれているチームですね。

個人的にも今プレミアで一番面白いサッカーをしているチームだと思っていますし
このパスサッカーの礎を築いたロジャース監督がその手腕を見込まれて昨シーズンにリバプールへと栄転しています。

ところが選手個々のレベルではスウォンジーと比べて圧倒的に良質な駒が揃っているはずのリバプールでなかなかロジャースのパスサッカーが機能しなかった一方、
ロジャースの後を引き継いだ新監督ラウドルップはベースとなるメンバーをそのままに前任者を継承するサッカーで躍進、見事リーグカップ優勝を手にしたシーズンとなりました。


何故、両者でこのような差が生まれてしまったのでしょうか?

それは個々の能力では補えない、スウォンジーのパスサッカーを支えるメカニズムにあります。


<現代版ポゼッションサッカーにおけるビルドアップの考察>

スウォンジーに限らず、今ポゼッションサッカーのエッセンスを取り入れているチーム(CLに出てくる欧州の強豪と呼ばれるチームはほとんどと言えますが)では
最終ラインからのビルドアップ時にほとんどテンプレとも言えるオートマティックなメカニズムを採用しています。

仮にGKから攻撃を組み立てるとした場合、まずCBが両サイドに開き、SBを高い位置に押し上げてボランチ(アンカー)が1枚最終ラインに降りてきて最後尾の3枚で組み立てを行う動きですね。

【ビルドアップのメカニズム (4-2-3-1の場合)】
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↑例として4-2-3-1布陣の場合を図にしてみましたが、両SBが高い位置を取る分、
両SHは中に絞って敵バイタルエリアでの間受け要員を厚くするのが現代のトレンドと言えます。

(布陣が4-3-3でも4-4-2でも基本となるメカニズムは一緒)

このメカニズムのミソは3枚になった最終ラインが相手の布陣が2トップにしろ1トップ+トップ下の2枚にしろ
敵の前プレに対して3対2の数的優位を持てるところにあります。


【最終ラインで3対2の数的優位を確保】
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この数的優位を活かしてボールをつないでいく訳ですが当然守り方のほうも進化しており
最近では敵の2トップが簡単に中を割らせない絞りの動きや
敢えて展開力が低いCBの方を常にフリーにさせておく事でビルドアップをスムースに行えないような工夫も見てとれるようになってきました。

当初CBに利き足がヘディングのシュクルテルだったりアンカーにボールを蹴るより相手の足を蹴るのが得意なルーカスだのを置いていたリバプールが苦戦していたのも当然と言えるでしょう(^^;

じゃあスウォンジーにはリバプールに比べてテクニックに優れた選手を揃えているのかと言うと決してそうではありません。
(資金力的にもそういう戦力を揃えるのは不可能)

FCバルセロナのように全てのポジションに超絶的なテクニックを持った選手を揃えていれば
相手がどれだけ守り方を工夫してこようが密集地帯に平然とパスを通していく事も可能でしょうが多くのチームでは現実的な話ではありません。


そこでスウォンジーのパスサッカーを支えるメソッドが活きてくるのです。

パスのコースを限定されたり中盤で密集を作られたりしたらそこを繋いで行くのが難しい多くのチームにとって
大切なのは相手にそうさせないよう仕向ける事です。

より具体的に言えば「パスを受ける為のフリーランニング」から一歩進んだ「敵を操るフリーランニング」がその鍵を握ってくるので、
続いての章では実践的テクニックの一つとして試合画像を使って解析していこうと思います。


<ブリットンが見せる敵を操るフリーランニング>

スウォンジーのパスサッカーを支えるメソッドを紹介するにあたってここで1人の選手をピックアップさせて下さい。

スウォンジーの背番号7、MFのブリットン選手です。
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まあ、代表暦もありませんし、プレミアでもかな~り地味な部類に入る選手なので知らない人も多いかとは思いますが…(^^;

但し、一見地味な見かけとは違い、この選手かなりのやり手です。

一昨シーズンの欧州五大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)の全選手におけるパス成功率のデータであのシャビの92.4%という数字を唯一上回ったのがこのブリットンであり、その数字は脅威の93.5%!

プレースタイル的にもチームで担っている役割的にも「スウォンジーのシャビ」と言って差し支えないかと思います。

とまあ、ただでさえスウォンジーのパスサッカーは有名になった上にブリットンはこんな派手なスタッツを叩き出しちゃった訳ですから、昨季は相手チームからのマークも一段とキツくなったのは当然の話。


ところがこの選手の場合、その脅威のパス成功率を叩き出していた秘訣は超絶的な足元のテクニック・・・ではなく、(繰り返すようですが、そういう選手は取れません)
頭の良さ、周囲を見る眼の良さといった地味な部分が支えていたので、敵のマークを利用してチームのパス回しの流れを作る巧みさを見せてくれました。

では実際の試合からブリットンの動きが作るスウォンジーのビルドアップを見ていきましょう。


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局面は左から右方向へと攻めるスウォンジーの最終ラインのビルドアップから。

スウォンジーは4-2-3-1布陣でボランチがキ・ソンヨンとブリットンのコンビになります。
ここではCBの間にキソンヨンを降ろして最終ラインを3枚に、ブリットンはボランチのポジションに留まる関係性です。

これに対し敵チームも青丸で囲った1トップ+トップ下の2枚が簡単にはビルドアップさせまいと前プレを仕掛けていきます。
(敵チームからすると中のブリットンを使われると厄介なのでここは切りたい)

ボールは降りてきたキソンヨンから左のCBへ


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左のCBへボールが渡ったところでブリットンがタテパスのコースに入る動きで水色2枚の前プレを牽制。

ブリットンの動きに釣られて2枚が大きく右へと引っ張られているのが分かります。

この動きで逆にキソンヨンにはスペースが出来ました。


swan3.jpg

ボールはもう一度キソンヨンを経由して今度は中のCBへ。

と同時にブリットンが今度は青2枚のちょうど真ん中でタテパスを受けられるようなポジション取りへと修正。

現代サッカーにおける2トップの前プレで一番やっちゃいけないのは真ん中を割られてタテパスを通される事なので、
ここは急いで中に絞る動きに変更しています。


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「中を絞れば当然外が空く」ってな訳で、スウォンジーはブリットンの動きに釣られて中を絞った前プレを見て再び外のCBを使います。
(ここにはブリットンが作ったスペースがある。)



swan5.jpg

ボールが左へと展開されると再びブリットンは流れながらタテパスを受けるような動きを見せて前プレを引っ張ります。

これで空いた斜めのパスコースにブリットンの意図を感じて次の味方(デグスマン)が動き出しているのがミソ。
(これがスウォンジーが築いたコンビネーションのメカニズム)


swan6.jpg

予定通りここにパスが入って・・・

(ここで前プレ2枚を完全攻略)


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受けたデグスマンからサイドへ大きな展開が入ると・・・


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ビルドアップ完成⇒次は崩しのフェーズへと移っていきます。


以上、3枚にした最終ラインからの見事なビルドアップを見てきましたが、
最大のポイントは一度もパスを受け取っていないブリットンの動きにあると見ます。

ビルドアップの段階で3対2の攻防がメインとなる現代のポゼッションサッカーでは
敵の前プレをここでいかに外すかがその後の展開の成否を握っています。

そこで自分へのマークをパスを受ける為に外すというフリーランニングではなく
チームのビルドアップを助ける為に使うというブリットンの自己犠牲はチームにとってなくてはならないものです。


今後マイボール時には多かれ少なかれポゼッションが求められる現代サッカーにおいて
どうしてもポゼッションというと=足元のテクニックと見られがちな側面があるものの、
その実、重要なのは頭を使った駆け引きであるという事がよく分かるのではないでしょうか?


プレイヤー目線で見ても人間の心理上、決定機などで自分がボールを受ける為に走れる人は多いですが
味方の為に無駄走りが出来るプレイヤーはますます貴重になっていくはず。

(オシムなんかは「水を運ぶ」という表現を使ってこの手の選手をとりわけ高く評価していましたね)


現役プレイヤーの皆さんも自分のマークが厳しい時や中盤に出しどころが無い苦しい局面でこそ
「敵を操る動き」でチームに貢献してみましょう。

勿論、来季の『スウォンセロナ』の躍進にも期待大ですね!

(某リバ○ールはロングパス蹴っ飛ばしてナンボのジェラードとルーカスのボランチじゃーロジャースサッカーは無理だと思います!ww)


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