プレミアから王者ユナイテッドが消えた日 ~マンチェスターダービー~

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<プレミアから王者ユナイテッドが消えた日

衝撃のマンチェスターダービー再び-

2年前の惨敗劇を思い起こさせる今回のダービーで我々の前に曝け出されたのはファギーマジック無き"ありのままのユナイテッド"の姿だった。

ある意味で昨季の勇退セレモニー以上にこれほど「ファギーのいないプレミア」を痛感させられた日は無いだろう。

その存在だけで「年間勝ち点+20」とこれまで畏敬の念を込めて表現してきたファギーがベンチに座っていないと
ユナイテッドの戦力とはかくも脆弱なものだったのか-

赤と水色、どちらのマンチェスターも新たな監督を迎えて目下チーム作りの真っ最中だが、その現状は対照的だ。

片やモイーズと現有戦力の限界が明らかにされつつある
片や恐るべき戦力がじょじょに噛み合いだし新チームの輪郭が見えつつある水色と。

今日はこのダービーが明らかにしつつある二つのマンチェスターについて考察してみたい。


<スタメンは格差社会の赤と水色>

【マンチェスターC×マンチェスターU】
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ハイ、今日もユナイテッドのスタメンに香川はいません。
さすがに最近は香川クラスタ達でさえ見慣れてきた光景なのでいまさら驚きませんがww

加入前は何故か一部で「これで香川のポジションが更にピンチ!」と騒がれていたフェライーニは予想通りボランチに収まっています。
(スコールズの引退以降、キャリックの相棒はずっと懸案事項だったので当然の補強ですね)

DFラインではラファエウもフィルジョーンズも使えないという事で急遽スモーリングが右SBに入っていますが、
それ以上に大きな問題が試合当日に練習で負傷したエース、ファンペルシーが使えないという事です。

この緊急事態にモイーズはお気に入りのウェルベックを1トップに置きますが、
Vペルシーの代役としては余りに小物過ぎて涙そうそう。

ユナイテッドの選手層の厳しさを垣間見た思いですが、
こういう時こそチチャリートか香川じゃないのかモイーズよ・・・!!


対する水色のチームは圧巻の戦力充
30億のヨベティッチがベンチメンバーなのを始め、ネグレド、ナバス、フェルナンジーニョの新戦力が顔を揃えました。

そして開幕戦で負った負傷により戦線離脱中だったキャプテン・リヴァ・・・もといキャプテン・コンパニーが遂にプレミア復帰。


【参考画像:コンパニ兵長】
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『オイ見ろ!コンパニ兵長だ!』

『あれがプレミア最強のCBか・・・何でも1人で一個師団並の戦闘力に相当するらしい』

『DFラインに置いておけばたった1枚でも
ミ○ンやリバ○ールの4バックなら軽く凌駕するぞ・・・(ゴクリ)』


『兵長が出撃という事は・・・いよいよあの"鎧の巨人"GOC201309210039-2.jpg

を狩るのか・・!?』



『ああ・・・間違いないだろう』



<周回遅れになりつつあるユナイテッド>
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さて、まずは本ブログではすっかり「脳筋サッカー」で御馴染みになってきたモイーズのユナイテッドについて
その攻撃システムを現代の潮流と比較する事で違いをあぶり出してみたい。

比較対象としては時代の先端を走るチームの一つ、クロップのドルトムントをここではサンプルとしよう。


【ドルトムントの中攻め】
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現代サッカーではますます「バイタルエリアを巡る熾烈な攻防」が激化してきています。
勿論、サイド攻撃も重要ですが攻撃で中攻めのルートを持たないチームはCLのベスト8以上も厳しい時代になってきました。
時代はサイド攻撃を生かす為の中攻めが要求されているのです。

そこで最近主流となっているのが中攻めの際、両サイドの攻撃プレイヤーが中にカットインしてくる攻撃パターンです。

クロップのドルトムントでは中攻めの絶対的基準点となるレバンドフスキーにボールを当てる際は
2列目の両サイドが中に絞ってくる事でバイタルエリアの人口密度を上げ
サイドのスペースに関してはSBの上がりでまかなう事にしています。(↑図解参照)

では実際の試合からこの形を検証してみましょう。


【ドルトムントの中攻め】
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局面は右から左へと攻めるドルトムントが、ここではCBのフンメルスから中へクサビを打ち込む瞬間です。
(ちなみに試合は今季対ナポリ戦からの1コマ)

この瞬間、ドルトムントの両サイドのプレイヤーが中に絞って意図的にバイタルエリアの密度を上げているのが分かります。
その代わり手前のサイドのスペースはSBの上がりによって補完していますね。


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この場面ではレバンドではなく中にカットインしてきた選手同士でクサビをつないでバイタルエリアを攻略しています。

この絡みによってレバンドは次のラストパスに備えて裏抜けの準備が出来る訳ですね。


余談ではありますが、我らがザックJAPANも同じ形を採用しています。

【ザックJAPANの攻撃形】
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両SHの清武(岡崎)と香川が中に入ってきて大外はSBの上がりで突く形ですね。


では改めて視点をダービーに戻して、今度はユナイテッドの攻めの形を見ていきましょう。

【ユナイテッドの攻め】
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局面は右から左へ攻めるユナイテッドがキャリックのタテパスを通してルーニーの間受けに繋げている場面。

キャリック⇒ルーニーというチームの生命線とルーニーをトップ下に置く狙いがまさにコレですね。

問題は両サイドのAヤング、バレンシアのこの後の動きにあります。


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両サイドが香車過ぎてワロタwww 
(*香車とは将棋で縦にしか進めない駒の事)


クロップ「これが噂の脳筋サッカーか・・・(ゴクリ)」


それでもトップ下に置いてるのがチートなルーニーなんでボールは奪われないし、
ここからAヤングへ得意のサイドチェンジも出せるから一応攻撃は成立するんですよ・・・


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左のサイドチェンジを受け取ったAヤングからクロス。

確かに一見、サイド攻撃らしきものは成立してるんですがよく見て下さい。

果たしてここから単純にクロスを入れて、中でウェルベックがコンパニ兵長とナスタシッチに競り勝てる確率ってナンボよ…?

ハッキリ言ってこの攻撃が成立するのはあくまで中で待っているのがもう1人のチート、Vペルシーだった場合に限ります。

これが攻撃のほとんどを「2人のチート」に頼り過ぎてきたモイーズのツケですね。

いくらなんでも今のユナイテッドは持ち駒に香車が多過ぎるせいか時代からすっかり取り残され、
もうすぐ周回遅れも見えてくる危機的状況だと思うんですよ。

そうならない為にも前任者がチームに置いていったのが「香車」じゃなくて「香川」なんじゃないのか…?と。

例えば今の攻撃でも左サイドに香川がいたらと仮定すると・・・?

【香車じゃないよ 香川だよ】
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こんだけバイタルエリアがオイシく空いてたら、当然香川は中に絞ったポジションからルーニーとワンツーなりの絡みで中攻めを狙っていたと思うんですよ。

相手が格下だったり、1トップにVペルシーがいるなら今までのやり方でもプレミアではある程度勝ち点も稼げるとは思いますが、
時代に対して周回遅れになりたくないならここには早急に手をつけるべきでしょう。



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<シティの中盤が求めていた最後のワンピース>

結局試合は事前に予想されていた事とは言え、序盤から圧倒的に中盤でシティがボールを支配する展開で進んでいきます。

元々中盤の構成力ではその圧倒的な戦力で他の追随を許さないレベルにあったシティですが
ペジェグリーニのメソッド注入と新戦力フェルナンジーニョの加入によって更にワンランク上がった気がします。

特に昨季CLで躍進したシャフタールでもその舵を握っていた存在と確信するフェルナンジーニョに関しては
今季個人的にかなり期待していたのですが予想通り既にシティの中盤を仕切り始めているではないですか。

元々フットボールIQの高い選手として目をつけていましたが、
この選手の何がいいって上手いクセに必要以上にテクニックを見せびらかすような事はせず、
華は仲間に持たせて一歩引いたところからチームを操るそのインテリぶりです(笑)

(間違ってもインテルぶりではありませんのであしからず)


ところで、この試合を見た多くの人がナスリヤヤトゥーレの縦横無尽な無双っぷりが凄かったと感じたのではないでしょうか。

これはペジェグリーニ監督が志向する中盤はポジションに縛られず流動的に動いて
ボールから近い距離を保ちつつ短いパスの繋ぎで崩していくという基本スタイルと
ナスリ、ヤヤの元々持っている資質がガッチリ噛み合った結果と言えるでしょう。

但し、サッカーでは常に「カオス」「バランス」は隣り合わせ。
中盤で流動的に動く選手がいたら、誰かがバランスを取ってその埋め合わせをする必要があります。

バルセロナの中盤から前があれだけ自由に動き回っても最後の一線でバランスが崩れないのは常にブスケスが後ろで帳尻を合わせているからであり、
同じくポゼッション型のマドリーにおけるアロンソやビエルサ・ビルバオのハビマルティネスもその代表例と言えるでしょう。

シティもこれまでヤヤの隣にバリーやハビガルシアを置いてきたのは
そのバランスを取ろうとしていたからなのですが、いかんせんブスケスらのトップクラスと比べると
フットボールIQという質の面で見劣りする感は否めませんでした。

その意味でフェルナンジーニョの加入はシティの中盤に欠けていた最後のワンピースが埋まったとさえ言えるかもしれません。

では実際の試合からシティの圧倒的なボール支配を影で支えるフェルナンジーニョの働きぶりを検証してみましょう。


【フェルナンジーニョのプレーを検証】
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局面は左から右へと攻めるシティのポゼッションですが、既にナスリとヤヤはかなり自由な動きを中盤で見せています。

フェルナンジーニョの役割は味方の動きを見てから常に「後追い」でそのバランス収支を取る事です。

一見この簡単そうに見える「後追い」の動きですが、サッカーでは才能がある選手ほど本能の赴くまま
「主体的にプレーしたい」という欲求が強いのでプロのサッカーチームともなると逆に難しかったりします。

故にナスリやヤヤトゥーレのようなタイプの選手を規律で縛りつけてしまうと本来の持ち味も消えてしまうので
フェルナンジーニョのようなタイプはかえって貴重なのです。

↑の場面でもヤヤ、ナバス、サバレタがユナイテッドの守備ブロック内で攻撃スイッチを入れようと窺っているのに対し、
フェルナンジーニョはブロックの外で「保険のパスコース」を作る地味な動きを入れています。

これでナスリにはヤヤやナバスを使った右サイドの崩しという選択肢の他にもう1つ、
フェルナンジーニョを経由して左サイドへボールを展開するという選択肢が与えられているのです。


続いてフェルナンジーニョの気の利いたポジショニングをもう一つ。

ユナイテッドが中盤のこぼれ球をことごとく拾われ、シティに絶え間なくボールを支配されてしまった原因は
そもそもリオヴィディッチを基準としたDFラインを低く設定せざるを得ない⇒つまりそれに合わせてMFラインも低くせざるを得ないから…という理由もありますが、
この試合ではそのユナイテッドの低いラインを上手に利用したフェルナンジーニョのポジショニングが効いていました。


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局面はシティが右サイドでサバレタ、ナバス、ヤヤのトライアングルを作ってサイド攻撃を狙っている場面ですが、
ユナイテッドはこういう時にトップ下のルーニーが守備でも加勢してくれるのが卑怯と言えば卑怯ですよね(笑)

この加勢によってユナイテッドの左サイドは数的優位を保つ事が出来る訳ですが、
フェルナンジーニョはこの動きを逆に利用します。


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ルーニーがサイドに加勢したという事は中央のエリアが空いているという事。

フェルナンジーニョは一歩引いたところから全体のバランスを見越して
ここぞというタイミングで顔を出しては味方に別方向からの組み立て直しをポジショニング一つで提案するのです。

しかも彼はここから決定的なスルーパスも通せますし、自らボールも運べて更にシュートの得点力もあります。

これが同じ場面でもボールを受けたのがバリーやガルシアの場合と大きく違う可能性を生み出していると見ます。


そしてもう一つ、フェルナンジーニョは守備でも効いていました。

チーム全体の重心を低くとらざるを得ないユナイテッドの望みはカウンター攻撃となる訳ですが
ここでも頼みの綱はルーニーのキープ力と個でボールを前に運べる推進力です。

ですが、ここにフェルナンジーニョが立ちはだかります。


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局面はナスリがユナイテッドのゴール前で赤い壁に向かって強引にシュートを振り抜く場面です。


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これが壁に当たって跳ね返り、ボールはルーニーの目の前へ。

ユナイテッドが待ち望んでいた千載一遇のカウンターチャンス!


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・・・ところがフェルナンジーニョの寄せがクソ早えwww

さすがは読みの効く選手です。


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しかも守備は守備でマケレレばりの強さがあるので、ルーニーに前を向かす事すら許さないこの寄せww

これでユナイテッドにとって唯一の望みと思われたカウンターも寸断してしまいます。


このようにシティが完全にゲームを支配出来た背景にはフェルナンジーニョの地味な働きがありました。
最高の相棒を得た今季のヤヤもこれまで以上の無双っぷりを見せてくれるはずです。


<采配から見るモイーズの限界>
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結局試合は前半16分にアグエロがセンス抜群のミートボレーでシティが先制。

確かにユナイテッドは右サイドにおけるスモーリングとバレンシアの受け渡しミスが痛かったですが、
それ以上にあれだけベタ引きのラインでシティの波状攻撃を受け続けたら失点は時間の問題でした。


1点のビハインドを負った事でモイーズが動きます。

試合開始からコンパニ、ナスタシッチを前に1人で何も出来ずにいたウェルベックをフォローする為、
ルーニーのポジションを上げて2トップ気味に修正。

実際問題、攻撃は「ルーニー頼み」になっていたので守備でルーニーに余計な体力を使わせないよう
シティがボールを持った時にはウェルベックが代わりに中盤の守備に参加します。


しかし、結果的にはこの采配が・・・・最悪の一手でした。

これでキャリックとルーニーの距離が開いてしまいチームの生命線とも言えるタテのラインが消滅。
ユナイテッドのビルドアップは一転して、トップ下のルーニー無双からサイドの迂回ルートへと傾いていきます。

(しかもルーニーを最前線に上げた事でかえってコンパニ兵長がはっきりマークに付ける形に…)


【中盤にルーニー不在で攻撃ルートはサイド迂回へ】
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局面は右から左へと攻めるユナイテッドのビルドアップ。

CBを経由して攻撃の起点キャリックへボールが渡ります。


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ですが、ルーニーを前線に上げた事で中攻めの経由地点すら失ったユナイテッド。

これだと起点となるキャリックからのパスが直接もうサイドへの迂回ルートになってしまいます。


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CB⇒CH⇒SB⇒SHと絵に描いたような迂回攻撃。

ですが、こんな見え見えのルートは当然シティに読まれています。


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スモーリングからバレンシアへのタテパスをコラロフにインターセプトされてしまいました。


もはや司令塔キャリックがボールを持っても彼の目の前にはヤング、ウェルベック、バレンシアと香車、香車、香車の3枚並び。
(そして隣には謎のアフロの大男という涙目www)

【ユナイテッドの残念なバイタルエリア】
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ヤングとバレンシアの両翼はキッチリ開いて画面に映ってすらいねぇぞオイ!www

なんだかもう残念なユナイテッドを象徴するような無人のバイタルエリアだと思いませんか?(笑)


ただでさえ苦しいユナイテッドが自ら戦局を詰みに持っていくようなモイーズの一人将棋でしたが、
ハーフタイム直前に加点されたとは言えまだスコアば0-2。

これがファギー時代であればハーフタイムに雷が落ちて後半目の色を変えた選手達によるユナイテッドの反撃が始まり、
まだまだ勝負の行方は分からない…という試合がこれまでいくつもありました。

ところが選手交代も無く、ピッチに現れた選手達の表情も冴えないまま迎えた後半は開始5分でシティに2点を追加される始末。

0-4になってからクレバリーを入れたところで何が起きる訳でも無く・・・。


しかしモイーズで驚くべきはそれから残りの40分間を交代枠も使う事なく傍観者として過ごした地蔵っぷり。
これならまだアフロの大男目掛けてひたすら放り込むパワープレーでもしてくれた方がマシってもんです(笑)

確かに試合の勝敗は既に決しており、ここからどんな手を打ったところで勝負が引っ繰り返る事もないですが、
無抵抗なままただ時間が過ぎていくダービーにもはや王者ユナイテッドの面影は残っていません。

そこにいたのは赤いユニフォームを着たエバートンの亡霊です。

確かにシティ相手に4点差をつけられたエバートンならそれでも許されますが、
同じ事をオールドトラフォードでやったら多分次は一発でクビが飛ぶと思います。


ユナイテッドの監督として必ずしも香川を使う義務は無いでしょう。

しかし、少なくともこの試合で見せたベンチの姿勢とピッチ上で繰り広げられる時代遅れのサッカーは完全にアウトです。

せめて「結果」か「内容」のどちらか一方は説得力のあるものを見せておかないとモイーズに残された「時間」そのものが削られていく現状だ。


最後に-

あの使い切る事の出来無かった交代枠に関しては、
モイーズ OUT⇒ファーガソン INで使う為の布石と受け取っておこうか。




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(いや、ギリギリもうちょっと長い目では見てあげるけどねww)


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メッシとネイマールの共存が難しい理由

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<メッシとネイマールの共存が難しい理由>

まだ欧州リーグが開幕して1ケ月ちょっとという段階ではありますが、
今日は今季最も注目されていたトピックの一つ「メッシとネイマールの共存」の現状について考察してみたいと思います。

まず当初のスーパーサブ的な扱いから次第に出場時間を伸ばしてきているネイマールですが、
ここにきてようやくスタメン候補として定着してきた感があります。

しかし現地スペインのマスコミもこのトピックは注目を集めているらしく、
当初は試合後の会見の度に「メッシとネイマールで交わされたパスが僅か○本だったが?」といったような質問が飛び出ていましたが最近になってネイマールのアシストからメッシのゴールが2本生まれた事で一旦収束している様子。


ただ試合を見ていて「実際のところどうか?」と問われればハッキリ言ってコンビネーションの欠片も見えてこないのがその実情です。

これは2人の相性と言うよりもネイマールがまだバルサというチームに完全に溶け込めていないのが主要因ではありますが、
じゃあ「時間が解決してくれるのか?」と言われればこれもまた怪しい部分があると思います。

というのもネイマールをどうやってバルサに取り込むべきかという問題において
ネイマールのスタイル(持ち味)とバルサのスタイルが磁石のS極とN極のように反発し合ってしまうからです。

それではまずバルサの基本スタイルをちょっと今季の試合からおさらいしてみましょう。


【バルサの攻撃スタイル】
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局面は右から左へと攻めるバルサで左ウイングを基本ポジションとしているネイマールにパスが渡る場面です。

ブラジル時代のネイマールであればディフェンスの寄せがこれだけ甘い状況なら縦に突破してクロスを入れる事は容易い事です。

しかしバルサの攻撃スタイルで「単騎突破」が許されているのは唯一メッシだけで
基本的には味方選手とグループを組んでブロック(塊)で攻めていくという鉄の掟があります。

仮にネイマールがここで単独突破を試みたところで
折り返しのボールに【ゴール前に誰もいない現象】が起こるだけです。
(実際バルサの試合ではこういう場面をよく目にします。0トップ乙…)

よって0トップのバルサでは黄色い丸で囲ったエリアに味方選手がいないこのような孤立した状況でボールを受けた選手の役割は攻撃スイッチを入れる事ではなく、あくまで様子を窺いながら組み立て直しを図るものです。


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実際、ネイマールも素直にアドリアーノへボールを下げていますね。


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じゃあ組み立て直したところでどっから攻めていくの?という事ですが、
その指標となるのが選手同士が近い距離感にいる塊(グループ)で、
その目的はバルサにおける基本事項「トライアングル」を形成する事です。

つまり多くのチームで攻撃のスイッチが入る瞬間というのが広いスペースで1対1になった場面なのに対し、
バルサはその反対で狭いスペースで3対3や4対4になった瞬間なのですね。
(かの有名な練習メニューの一つロンド(鳥かご)はこの状況における判断力を養う為)

サッカーでは局面を単純化させた1対1では文字通り個対個の勝負となる訳ですが
バルサではより局面を複雑化させたグループ対グループで相手チームを圧倒する事が出来ます。

これには育成が生命線となっているクラブのコンセプトと密接に関係していて
1対1の場面を攻撃スイッチにしてしまうとそれこそCロナウドやロナウジーニョのような突出した才能の出現を偶発的に待つか、
そうでなければ多額の移籍金を払って他所から買ってくるしかありません。

しかし個の力でなくグループによる動きの連動と複雑化によって攻撃のスイッチを入れる方式であれば
育成でそのメソッドを安定的に叩き込む事が出来ます。

言うまでもなくこれが「バルサスタイル」の独自性と強みに繋がっている訳ですね。

ですので↑のような場面ではバルサの選手達は瞬時にシャビ-メッシ-ブスケスの大御所トライアングルから攻撃のスイッチを入れるという共通意識を持てる訳です。

(このトライアングルを使う為に直接ボールは入れられないからブスケスが「一度下げろ」と腕を使って指示)


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アドリアーノから最終ラインのマスケラーノまでボールが下げられると
同時にシャビが動き出して攻撃のスイッチを入れる下準備を始めました。

この動きが何を意味するかと言うとトライアングルの一点が動く事で・・・


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今度はシャビが別の頂点になって新たなトライアングルを形成します。

そして相手の選手がこのシャビの動きをケアしようと釣られた事でマスケラーノにタテパスのコースが生まれました。


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トライアングルの強みが生かされるのはここからです。

マスケラーノからクサビを受けるメッシにはここでシャビ、ブスケスという2つの選択肢があり、
どちらか状況の良い方へ落とせる距離感がこのグループとトライアングルの強みです。

ここでは当然シャビへ落とす事になります。


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メッシ→シャビ→Dアウベスへと繋がる淀みの無い流れ。

トライアングルで相手の守備ブロックを引きつけておいたお陰でDアウベスは先程のネイマールと違い
ここではフリーで(つまりノーリスクで)ボールを前に運べる状況になっているのがミソです。



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Dアウベスがフリーでボールを運んでから再びここで新しいトライアングルを形成。

Dアウベス、ペドロ、いずれの選手がボールを持っても後ろにシャビという安全なパスコースを確保しているのが分かります。

この場面ではボールを受けたシャビに今度はディフェンスが食いつくので、次はフリーでメッシがボールを受けて
満を持してバイタルエリアでの無双発動…という流れまで見えてくるかと思います。


いやまあ…ここまでの流れはいつもバルサの試合を見ている方ならば「何を今さら…そのぐらい知ってるよ」という基本事項なんですがこれを実も蓋も無い言い方で表せば
『グループによってノーリスクでボールを運んで最後はメッシ様 お願いします』という事です(爆)

ここで重要なのは最後に攻撃の仕上げを行うのは唯一メッシであるという事なんですね。

だからたまにサイドで1対1になったテージョあたりが空気読まずに単騎突破を図ると中に誰もいなかったり、
逆に中にメッシがいる場面でシュートでも打とうもんならメッシが激おこで怒鳴りつけているシーンは誰もが一度は目にした事があるかと思います。

ですが、これが近年バルサの攻撃パターンの硬直化と相手に研究し尽くされるという現状を生んでおり、
本来これを打破する為の切り札としてネイマールが加わったはずなんですが、
この数シーズンでバルサというチームに根付いたメンタリティとメッシのエゴイズムはそう簡単に変える事は出来ません。

それが顕著に現れているのが次のシーンです。↓


【バルサイズム=メッシのエゴイズム?】
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局面は今度左から右へと攻めるバルサの攻撃場面。先程と同じような場面を抽出しました。

ボールはアドリアーノからネイマールへ出ますがやはりネイマールは孤立していて後ろからディフェンスも迫っています。

そして後ろではトライアングルが出来ているのでイニエスタも指を差して「後ろへシンプルに下げろ」と指示を飛ばしていますね。
ブスケスは既に右でフリーになりかけているシャビを首を振って捉えているので下げられたボールをこちらへ展開しようと決めているはずです。


ですがネイマールという選手はそんじょそこらのプレイヤーとは訳が違うんですよ。

ここでボールを受けるのがペドロとかアレクシスとかテージョなら下げるが唯一の正解でもいいと思いますが、
ネイマールは世界一のトリックスターで特にDFが寄せて来た時に咄嗟に逆を取る引き出しの多さとその変幻自在のテクニックは目を見張るものがあります。

なので、↑の場面でも背後から迫るDFの気配をネイマールは背中で感じているんですね。


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反転しながらヒールでボールを流し、完全に逆をとったー!

もう「上手ぇ!」としか言いようが無いプレーがネイマールからはポンポン飛び出してくると。

・・・で、ここで問題になってくるのがネイマール以外の選手が従来のグループ攻めとパスを下げる攻め直ししか頭に無かったんで、全く後ろが反応していないという事態が起こるんですよ。


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ネイマールは無人の荒野を独走するようにドリブルのスピードを上げて、ディフェンスもそれを追いながら必死で戻っているんですが、肝心のメッシとイニエスタは明らかにジョギング走りなんですね。

もう「オイオイ・・・あいつ空気読まずに1人で何やらかす気だ?」なんて心の声まで聞こえてくるようなやる気の無いジョグですハイ。

静止画だと必死に戻るディフェンスとメッシのジョギングの差が分かりにくいかと思うので
赤丸で囲った2枚のボランチとメッシの次の位置関係でそれを推し量ってください。↓


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あー、これはやる気の無い中学生のマラソン大会そのものですね(爆)

結果的にネイマールは1対2の数的不利になっとります。

で、ネイマールも味方の走りの様子と何かおかしい空気感をここで感じ取って・・・


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「ハイハイ、メッシ常務お願いしますよ…」と新入社員ばりの接待パス。

本来、メッシが全力で走っていたら黄色い丸の位置までは余裕で到達していたし、
そこからワンツーなりの絡みで確実にもっと決定的な場面が生まれていたはずなんですよ。


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しかも最悪な事にここでボールを受けた常務は1人でボールをこね出した挙句、囲まれて奪われるという大惨事ですよww

ネイマールはDFに肘打ち食らって倒れてるし踏んだり蹴ったりです(笑)


要するにこれがここ数年で固まってしまったメッシの
「攻撃のスイッチを入れるのはお前じゃねえだろ」というエゴイズムの正体です。

現在のメッシが味方にパスを出す時は主に3パターンしかありません。

一つはDFを背負いながら受けた時に「はい、やり直し」と簡単に下げるバックパスか
前を向いて無双が発動した後に「よし、決めろ」とばかりに出すラストパスか
もしくはドリブル中にリターンをもらって突破する壁パスのどれかです。

結果、現在のバルサで一度メッシのスイッチが入った場面では
周囲の選手はオトリか壁役に徹するしかその役割はありません。

(イブラはこの役割に収まり切らず放出)


昔はね…、それこそネイマールと似たような突破をロナウジーニョが左で見せていた頃は
メッシがロナウジーニョの壁役になったりその逆もあったりでユニットとしての完成度はあの頃の3トップの方が遥かに高かったと思うんですよ。

故にバルサがもう一歩次の階段を上るには実はこのメッシが壁役もこなすようになれば
最強の壁とオトリ役になると個人的には確信しています。

それこそネイマールのカットインにメッシの壁パスが絡んで2人だけのワンツーで中央を突破。
最後はどちらかが華麗にGKまでかわしてドリブルでネットの中に突進していくようなゴールが見られるようになればバルサはまた強くなりますよ~!(妄想)


しかし現状ではプロサッカチームとは言え、これも一つの人間組織ですから「同調圧力」は馬鹿に出来ません。
お蔭で最近のネイマールからはすっかりブラジル時代の凄みが消え、まるで牙を失ったライオンです。

(総じて草食系が多い純正培養のカンテラ上がりにネイマールの野生が加わるのが面白いのに…!)

最後にちょっとブラジルのファンが見たら卒倒しそうなシーンをオマケで見ていきたいと思います。↓


【牙を失ったネイマール】
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局面は無双で完全にバイタルエリアを独走したメッシからネイマールへ「決めてこい」とばかりのラストパス。


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・・・が、ここでもメッシ常務への接待しか頭に無いネイマールはそもそもボールを受ける段階の身体の向きからしてメッシの方しか向いてないんですよwww

これだと守るディフェンス側としても丸分かりで・・・


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あー最悪のやつだ コレwwww

どこぞの島国代表のFWじゃないんだから「打てよ!」www

てか、お前本当にネイマール?www

「いやー折り返して確実に・・・」とは言わせないよ。だって君・・・・↓




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ここからカシージャス相手にニアの天井ぶち抜いた人だよね?

忘れたとは言わせませんよコンフェデ決勝。
プジョルを縦に振り切って、カシージャスが守るゴールニアの天井を打ち抜いたあの衝撃を…!

あのカナリア色のユニフォームを着たトサカ頭に世界中がひれ伏し、
「来季のバルサやべぇかも…」ってガクブルになったのは何もマドリディスタだけじゃなかったはず!


よって今季マルティーノがネイマールをチームに組み込もうと思ったら
実はバルサの結構根深いところまで一度手を突っ込まないといけないと思うんですよ。


それを余所者が出来るのか・・・?


否、余所者だからこそ出来るのか?



いずれにせよただの接待パスで「2ゴールをアシストした」なんて今は上辺だけ取り繕えても
この2人の真の融合なくしてはバルサの次の時代はやって来ないだろう-



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プロビンチャ化するインテルと王者ユベントス ~イタリアダービー~

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<プロビンチャ化するインテルと王者ユベントス>

「ええい・・・セリエAはまだか・・・!?」

マイノリティと後ろ指を差されながら今日もせっせとセリエAを見続ける物好きな皆さん(笑)
お待たせしました。今季初となるセリエAマッチレビューはその名誉に相応しいビッグマッチ=イタリアダービーから。

安心して下さい。
海外サッカー誌での扱いがブンデスに抜かれて4番手になろうが、マンデーフットの扱いが日に日にリーグアンレベルへ下がろうが、今季も変態ブログはセリエAを見捨てません…!!www


【インテル×ユベントス】
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王者ユベントスは昨季「泣きどころ」と言われていたFWにジョレンテとテベスが加入。
これでヴニチッチ、ジョビンコ、クアリラレッラと合わせて2トップの選手層は一気に磐石なものへとなりました。

反面、マルキージオが離脱中の中盤には代わりに「恐るべき20歳」「中盤のバロ○ッリ」ことポグバが起用されてはいますが、
実質この4枚で中盤の3センターは回し続けているようなもの。

戦術的にもチームの鍵を握る中盤の3枚ですが、こちらの選手層には一抹の不安が残ります。


対するインテルはナポリで実績を築いた「3バックトレンドの火付け役」ことマッツァーリが新監督の座に就任。
ストラマ政権下でも3バックだったインテルは彼にとって既に下地が出来ている理想的な職場と言えるだろう。

メンバー構成でも早速彼の色が出始めている。
と言うのもこの日の3-5-2で純粋に攻撃の駒と言えるのはパラシオとアルバレスぐらいなもので
メンバー構成を見ると随分守備的になったものだなぁ…というのが率直な感想。(^^;

攻守に持ち味を発揮する4発の弾丸が砲撃主ピルロを囲むユベントスと比べると
中盤の5枚全員が労働者というインテルの陣容はまるでビッグクラブに挑むプロビンチアそのものです。

さすがはレッジーナ、サンプドリア、ナポリと渡り歩いてきた苦労人!


<3センター その完成度の違い>
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実際に試合が始まるとインテルはその陣容だけでなく、ピッチ上で見せる素振りも驚く程に謙虚なものでした。

ユベントスがボールを持つとインテルは一度2トップを含めた11人全員が自陣に引いてリトリートディフェンス。
昨今、守備と言えば「前プレ」ばかりが持てはやされていますが、
マッツァーリは守備になったらひとまず全員、自陣に帰るという基本をチームに徹底させています。

思えばこのチームの崩壊はモウリーニョ離脱以降、
スナイデル、Dミリートらのスター選手がだんだんとハングリーなディフェンスをしなくなっていった事が原因でした。

勝ち過ぎたボクシングのチャンピオンじゃないですが、やはりライカールト時代のバルサにおけるデコ、ロナウジーニョやペップ離脱後のメッシなど「王者の失墜」はそういう些細な事から始まっていくものなのでしょう。

その点、プロビンチャかの叩き上げ監督はチームの建て直し方とセリエAでの勝ち点の稼ぎ方を熟知しているようです。

但し、開幕3節の時点で全員守備の意識を徹底させたまではお見事ですが、
実際に「どうやって組織的に守るのか?」という部分はさすがにチームを熟成させる為の時間が必要です。

その点、コンテ体制3年目でチームの総仕上げの段階にあるユベントスとは大きな差も見られたのですが、
特にお互いの3-5-2で戦術上の鍵を握る3センターの完成度にその違いを見る事が出来ます。


【インテルの3センター】
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局面は右から左へと攻めるユベントスの攻撃ですが、グアリン、カンビアッソ、タイデルで組まれたインテルの3センターの間を通して易々とクサビのパスをFWに打ち込めています。

これでは折角中央を3枚にして分厚くしている意味があまりありません。

似たようなシーンをもう一つ↓


【インテルの3センター②】
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中盤の底からピルロのタテパスが3センターの間を縫って前線へ


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ここに一発でクサビが入るようでは中盤の守備組織としてはまだまだと言えるでしょう。


翻ってユベントスの3センターは円熟の極地にあり、中への絞りが巧みでそう易々とはクサビのタテパスを通してくれません。


【ユベントスの3センター】
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ポグバ、ピルロ、ビダルで組んだユベントスの3センターですが、
アンカーポジションに入るピルロが常に首を振って背後のFWの位置をチェックし、
そのパスコース上に必ずポジションをとる事でまずクサビのタテパスを殺してしまいます。

決して屈強なフィジカルがある訳ではないピルロですが、この読みで相手のパスを殺し、
実際に身体を張ってボールを奪う仕事は両脇のビダル、ポグバ(又はマルキ)が担うという仕事の分担も完璧です。


ユベントスはこの3センターが中を絞って相手の攻撃を外へと誘導し、
サイドの狭いエリアで囲い込んでからボールを奪うという戦術が完成されています。

【ユベントスの3センター②】
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この場面でもドリブルで中央を持ち上がるアルバレスに対し、ユベントスの3センターが中を絞ってドリブルのコースを横へ横へと誘導していき・・・


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結局、攻撃をサイドへ迂回させる事に成功。

これをされるとインテルの両WBである長友、ジョナタンは個の力でサイドを突破するプレイヤーではないので打つ手がありません。
(開幕から絶好調のジョナタンもユーベレベルのチームに組織的にサイドへ蓋をされると何も出来ず)

そう考えるといつの時代もサイドを個の力で突破出来るプレイヤー(ロナウド、ベイル、ネイマール)は需要が高く高額な移籍金が付くのも頷けますし、
今やそういった選手を抱える事が出来ないイタリアサッカーでユベントスが圧倒的な地位にあるのも納得ですね。


<マッツァーリの割り切り>
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ただインテルのマッツァーリも予めそれが分かっていたのか、ほとんど攻撃で色気を見せず
チームのリソースの全てを守備に注ぎ込んでいたような前半の45分間でした。
(ユナイテッド戦のモウリーニョを思い起こさせる)

ユーベを遅攻で崩す事は出来ないし、チームの完成度でも到底王者に及ぶものでは無い事を自覚したマッツァーリの割り切りは自陣深いエリアでの人海戦術に現れています。

それはもうほとんどカテナチオと呼ぶべき古き遺産の守備でした。


【インテルの人海戦術①】
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ユベントスはクサビのボールこそFWに入るのですが、
そこから先インテルのなりふり構わない人海戦術の守備を正攻法で切り崩すのは困難な仕事でした。

この場面でもテベスは高い位置でターンに成功するのですが待っているのはインテルの青い壁です。


【インテルの人海戦術②】
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この場面なんかユーベの2トップそれぞれに3枚づつのマークを割いている徹底ぶり。

こんな姿勢のチーム相手に攻守のバランスまで考えた正攻法で攻め続けるユベントスが馬鹿らしくなってくるような試合展開。

但し、日曜ドラマ劇場の主人公よろしく「だったらこっちも総攻撃だ!」とコンテがバランスを崩してまで攻めに出れなかったのは
それがマッツァーリの罠である可能性も大で、カルチョとは普段そういう駆け引きが日常的に行われている場であるからに他なりません。

そう考えていくとインテルのこのスターティングオーダーも実に味があります。

前線のアルバレス、パラシオの2トップは重量こそ欠けていますが
それぞれ個人で長い距離ボールを運べる機動力に長けているので自陣に引いた守備からのロングカウンターにはうってつけです。

しかも彼らの後ろの中盤は全員が労働者なので、カウンター発動時に長い距離を駆け上がっていく分には苦もありません。

実際に今季、右に流れたパラシオらがカウンターでサイドをえぐり、
折り返したボールに逆サイドから長友が走り込んで来る形は大きな武器の一つになっています。
(今季、長友2得点)


結果、インテルのロングカウンターも気にしながら真面目に戦ったユーベだけがサッカーをしていたような前半は0-0のスコアレスで折り返す事に。

(まあ、「相手にボールを持たせる事もサッカーだ」と考えるイタリア人からするとこの表現は正しくないでしょうけどね(^^;)


<勝ちに出た後半と完璧なゲームプラン>
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後半も前半と同じように守備を緩めないインテル。

ユベントスの攻撃練習のような時間が流れていく中で、次第に前半とは違う現象も見られるようになってきました。
それは後半も半ばを過ぎてお互いの布陣が少しづつ間伸びしてきた時間帯の事。


【間延びする後半】
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局面は後半、左から右へと攻めるユベントスの攻撃。

相変わらずクサビのパスが入れ放題のユベントスはバルザーリから中盤を飛ばして直接テベスへ。


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ところがお互いの布陣が間延びしてきた後半は中盤でユベントスのフォローが遅れ始め、
こうなると運動量自慢のインテルが次第にボールを拾えるようになってきました。

実際にこの場面でもテベスにボールが入った後に味方のフォローが無くインテルが数的優位で囲い込んでボール奪取に成功しています。


マッツァーリはこの機を逃しません。

後半23分、中盤の労働者タイデルを下げてFWイカルディ(ちなみに昨季ユーベ相手に2試合で3得点のユーベキラー)を投入。

アルバレスを中盤に下げてパラシオとイカルディの2トップに変更し、攻撃力をUP。
明らかに勝ちにきました。そしてこの狙いがピタリとハマります。

イカルディ投入後の僅か5分後、高い位置でキエッリーニからボールを奪ったアルバレスからカウンターが発動すると最後はそのイカルディが決めてインテルが先制!

全ての質で上回る王者ユベントスを相手に前半はサッカーを捨てて人海戦術で守り、
お互いに疲れが出始める後半に「質より量」の勝負へ持ち込んでからユーベキラーを投入⇒勝ちに出る。

完璧や・・!!

まるでプロビンチャがジャイアントキリングを狙うようなゲームプランですが、ここまでハマるとは恐るべしマッツァーリ…。

マッツァーリ(試合後の談話)
『我々はユヴェントスと渡り合うことができた。後半には勝利も狙ったね。望んでいたインテルを見ることができた。』


試合の流れからいけばこれは完全にインテルもらっただろうと思っていたのですが、
この会心のゴールから僅か2分後に一瞬集中力を切らした隙を突かれてアッサリ失点…。(^^;

ある意味、なんともインテルらしいと言えるのですが(笑)、
さすがのマッツァーリも「これが噂の持病、珍テルか・・・」とベンチで頭を抱えていた事でしょう。


<それでもユベントスのスクデットは堅いか>

結果的にマッツァーリの「王者に一泡負吹かしたる作戦」に見事ハマってしまったユベントスですが
それでもチームの完成度、プレーの質から言って今季のスクデットも堅いのではないでしょうか。

中盤の勤続疲労は気になりますが、今季は1・5列目で自由に動き回るテベスへクサビも入るし、
一度入ったらほとんどボールを獲られないので攻撃の幅が確実に広がりました。

コンテの集大成として今季CLでどこまでやれるかは「欧州におけるイタリア代表」としての期待も背負っています。


一方のインテルですが優勝を狙うクラブから見ると「今季、一番厄介なプロビンチャ」が誕生したかもしれません(笑)

マッツァーリ体制の1年目でミランやユーベを追い抜かしてスクデット…と言われるとちょっと厳しい気もしますが、
長期的な視野で見れば「初心に立ち返って謙虚に戦う」チームへ生まれ変わった今季はそのターニングポイントになる可能性は充分にあります。

これまでビッグクラブというプライドだけが一人歩きしていましたが、
そもそも今やELすら出られない現状ですから…!!(涙目)

リバ○ール「来季は一緒にCL出ようね」


戦術的に見れば守備は安定、あとは未だ手つかずの遅攻をどうするか?

中盤に1枚はゲームを組み立てる選手が欲しいところですが、
コバチッチを入れるとユーベ戦で見せた守備のバランスは崩れる可能性も。

実はナポリがスクデットまであと一歩届かなかったのも
結局最後までこの遅攻で点を取る形を作れなかった事が一因となっていただけに果たしてインテルではどうだろうか-



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揺れるJリーグ ~2ステージ制を問う~

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<揺れるJリーグ ~2ステージ制を問う~

Jリーグが揺れています。

以下、ニュースサイトより引用↓

>>Jリーグは17日、都内で理事会を開き、2015年シーズンからJ1リーグの大会方式を前後期の2ステージ制に変更することを決定した。

>>2ステージ制は04年以来、11年ぶりの復活となるが、15年シーズンからは新たに前後期上位2チームが出場するスーパーステージを導入。まず前期1位と後期2位、前期2位と後期1位が1回戦を行い、勝者が2回戦に進出し、チャンピオンシップ進出チームを決定する。チャンピオンシップでは年間勝ち点1位チームとスーパーステージ勝利チームが一発勝負で対戦し、年間優勝チームを決める。

>>前後期の上位2チームの中に年間勝ち点1位チームが含まれる場合や、当該チームが重複する場合のスーパーステージの開催方法、AFCチャンピオンズリーグ出場権をどのように与えるか、賞金の分配方法などは決定次第、発表される。



各方面からの意見を立てた結果、なんとも複雑怪奇なその名もスーパーステージなるプレーオフ制度が出来上がった訳だが、
ACLや賞金等の詳細を後回しにしてまで決定を強行しようという姿勢にJリーグ側の強い意志が窺える。

普段、海外サッカーや日本代表を主に扱っている当ブログとしてはこの決定に当事者として「反対」とも「賛成」とも言うつもりはなく、あくまで第三者的な視点から今回の決定を客観的に考えていきたいと思っています。


そこでまず、今回の問題の発端となっているそもそも何故「Jリーグの観客動員が横ばいになっているのか?」を知る為に実際に今Jリーグ観戦の実態とはどういうものなのかを取り上げてみましょう。

というのもちょうど先月の末にJ1の上位対決である「横浜×浦和」の一戦とJ2の「G大阪×横浜FC」の試合をスタジアム観戦する機会に恵まれたので、その時の経験から感じたJリーグへの率直な感想を書いてみたいと思います。

恐らくこのブログの性質上、読者の中には「しばらくJリーグは観に行っていない」「そもそも一度もスタジアムに足を運んだ事がない」という方も実は結構いるんじゃないかと睨んでおりますので、
毎週スタジアムに足を運んでいる方からすると「何を今更…」な事ばかりかもしれませんが、
年に数回しかスタジアムに足を運ばない僕等のような層こそ今回の2ステージ制のターゲットとなっているはずなのでそこはご容赦下さいませ。


<私的Jリーグ観戦記>
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まず「横浜×浦和」を観戦した日産スタジアムと「G大阪×横浜FC」が行われた三ツ沢競技場について。

日産スタジアムは都心からのアクセスという面では決して便利とは言えないまでもまだ許容範囲と言えるでしょう。

だが三ツ沢、テメーは駄目だ!
ただでさえ不便な地下鉄の最寄り駅から徒歩25分って、リケルメなら1試合分の運動量に匹敵する走行距離じゃねーかYO!
(公式サイトにはあくまで徒歩15分ってなってるけど、多分ガットゥーゾじゃないと無理!)

なもんで結局、横浜駅からバスという事になるんだけど、当然スタジアムに向かうほとんどの人がこのルートになるからバスに全然乗れません(笑)

いや、それでも行きはまだ我慢しましょう。
覚悟を決めて乗車率120%の満員バスで間受けをすれば済む話ですから。

問題は帰りの方ですね。
(行きはまだ入りの時間にバラつきがありますが帰りは一斉ですから当然です)

試合終了の時間に合わせてバスが数台待機してはいるものの、タイムアップと同時にスタジアムを後にしても
バス乗り場の前にはカンプノウの外周分ぐらいの長蛇の列が待っています。

しかもこの列の掃かせ方が何とも日本人らしい方法で、律儀に先頭のバスから一人一人運賃を支払って乗っていき、バスが一杯になったら次のバスへという具合。

これねー、僕の経験から言うとアルゼンチンやオランダじゃ5分もしない内に列の後方からブーイングが起こって列が決壊⇒我先にとバスに雪崩れ込む事態になるんで、こういう時はバスを5台ぐらい並べて全車ドアは開けっ放し。
それぞれのバスにガーッと入れるだけ入れて満員になったらドア閉めて問答無用の発車⇒以下繰り返しのピストン運動でさばいちゃえば時間も五分の一に短縮されると思うんですけどねー(爆)

まあ、この手はスタジアムへのシャトルバスを基本的に無料開放している国だから出来る事なんですけど(^^;

とにかく帰りのバスに乗るまで30分近く待たされるって、単純に「次も来よう!」っていうリピート率を著しく下げてると思うんですよ。
それは見た試合がどんなに素晴らしいものだったとしてもです。


続いてスタジアムの見易さですが、ここでは一転して横浜国際競技場はさすが横酷と言われているだけあり、
観客席の傾斜も緩く、とてもサッカーを観るための入れ物とは言い難いレベル。
(実際、専用スタじゃないからそうなんですけどww)

その点、三ツ沢はピッチのスピード感が直に感じられる距離で、
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そのせいもあってかJ1の上位対決と比較してJ2の試合ながら特に競技レベルで劣っていると感じる事はほとんどありませんでした。

柏や広島が昇格してすぐ優勝している事から考えても、やはりJ1とJ2のレベル差は他国と比べてかなり近いものなのかもしれません。


次にスタンドですが、三ツ沢にゴール裏当日券で入ったところで一つ問題が起きました。

サポーターがゴール裏中央に陣取る…ぐらいの予備知識はあった僕なので、
いつものようにゴール裏端っこの最上段の席で道中買っておいたココイチのカレーを食している時にそれは起こったのです。
(余談ですが、スタジアムで試合前に必ずカレーを食べるのが僕の観戦スタイルなんです。どーでもいいかww)

お気に入りの唐揚げカレーを頬張る僕に何となく周囲の視線が集まるのを感じてはいたのですが、
さっきまで空席だらけだった周囲の席にキックオフが近くなるとお揃いのTシャツを着たいかつい兄ちゃん達が集まってきたところで異変に気が付きました。

明らかに自分が場違いである事を悟った僕はカレーを中断し、そそくさと席を移動しますが、
どうやらそこのエリアはゴール裏中央に陣取るサポーター集団とはまた別のサポーターチームの定位置だった模様。

別段、その人達から直接恫喝されたというような事は無かったのですが、
僕がかよわい女子の初観戦だったとしたら多分次は来ないと思います(^^;
(ゴール裏には色々ローカルルールがあって難しいですな…。)


又、サポーターに関しても試合中ピッチを見てるのか怪しい人もいたりして、
まあそれぞれの応援スタイルだからそれはいいとしても試合中のリアクションが画一的過ぎる印象を受けました。

例えば自チームの選手が倒れた場合、それがどんな些細な接触だったとしても相手チーム目掛けて全力でブーイング。
相手チームが後方でボールを回し始めると、これまた自動的にブーイング。

もはや半ば決まり事のようになっていて、今見ている試合に対するリアクションという感じはしないんですよね。

中には「そのぐらいの接触でいつまでも倒れてる場合か!?」という場面もあり、
これがプレミアだったら逆の意味でブーイングが起きているよなーとか思う事も。

プレーに対する反応という意味でもCBがクリアでなく地味に中盤に繋げた難しいタテパスとか、
読みの利いたインターセプトなんかにはもっと拍手が起こってもいいと思う反面、
そこはクリアでなく繋げただろう…という場面でのクリアには溜め息ではなく拍手で応えたり。

徹頭徹尾応援に徹しているという事なのかもしれませんが、
これはどちらの試合でも見られた法則なので、恐らくJリーグの観戦文化として深く根づいているものと推測されます。

(但し、観戦マナーの良さと試合後のスタジアムの清潔さはやはり改めて世界に誇れるものであり、
今回観戦した4チームの中でも特に浦和レッズのゴール裏の熱狂は本場の香りを感じさせるものだった事も追記しておきます)


最後に肝心のピッチ上で行われた試合の質について。

どちらの試合も全体のレベルは決して低くなく、普段海外のサッカーしか見ていない人達に対しても
セリエの下位対決とかELの下手な試合よりよっぽど面白いぞ!と胸を張って言えるものでした。

(どうせ香川も出ないどこぞの脳筋サッカーを見ている時間があるなら、Jで未来の香川を探そう!ww)


ただ、勿論物足りない部分もあります。

まず攻撃で間受けが意識されていたのは2試合を通じてG大阪の遠藤選手とあとは浦和の柏木選手にかろうじて感じたぐらいで、あとの選手は皆無でした。

遠藤は間受けのポジションで相手を食いつかせているのですが、敵を背負った味方に出すのが怖いのか
周囲の選手は敵の守備ブロックの外側、外側へとパスを簡単に迂回させてしまう傾向が強すぎます。

将棋で言うなら1~2手先までは読んでいても「中で食いつかせてからの外」や「一度遠藤に当てた落しを3人目4人目の動きを使ってDFライン裏へロビング」といった3~4手先を読む発想が無く、
観戦している側が頭に描いた画の通りにパスが回らないのでこれまた見ていてストレスが溜まります。

2試合を通じて、なるほどこれならタテパス1本でスアレス、フォルランにあれだけ面白いように裏を突かれる訳だわ…と妙に納得してしまった次第。


・・とまあ、個人的な感想はこれぐらいですが、スタジアムのハードとアクセス、サポーターとピッチ上のプレー、
それぞれにいい面と悪い面を確認する事が出来た貴重な経験になりました。


<プレーオフは一種のドーピング措置>
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そもそもJリーグ創設は川渕チェアマンが選手時代に日本代表の遠征で訪れたドイツのスポーツシューレ(芝で8面のコートを完備)を見て感激し「この環境を日本にも」と決心した経験が発端となっています。

そのお陰で基本的にJリーグはドイツサッカーを下敷きとしてきた経緯がある訳ですが、
そのドイツサッカーが近年に行った改革を大成功させ、今や「世界最優良リーグ」と言われるようになったのに対し、
皮肉にもJリーグは迷走の道へ片足を突っ込んでいるようにも見えます。


今こそ、原点に立ち返ってドイツサッカーの成功に習うとするならば、
まずはスタジアム、つまりハード面の整備は再考が必要でしょう。

この10年で平均観客動員数を1万人以上増やし、今や世界最高の動員数を誇るようになったブンデスリーガの成功は、まず「魅力的なスタジアム」なくして成し得なかったと言われているからです。

10年前というと当時のバイエルンミュンヘンはオリンピックスタジアムをホームとしており、
CLの試合中継を見ていても他の国の三ツ星スタジアムと比較してカメラアングルも迫力を欠いたスタジアムだなー…という記憶がおぼろげながらに残っている時代。

当時のドイツにはサッカー専用スタジアムが7つしかなかったのですが、これを2006W杯開催を機に15にまで倍増。
それと意外に重要なのがそれぞれの入れ物を適した大きさにリフォームした事でスタジアム稼働率が90%を超えているという点。

これが2万5000人を集客しても日産スタジアムで行われる横浜マリノスの試合が「スタンドがらがらじゃん…」というような事態を避け、あの独特の空間を作り出している訳ですね。

但し、スタジアムは莫大な金と時間がかかります。
どこのクラブからも自虐的な貧乏自慢しか聞こえてこない今のJリーグには夢のまた夢というのが現状でしょうか。


そもそもプレーオフという仕組み自体、弱者が縋る窮地の策であり禁断の果実とも言えるでしょう。

オランダのエールディビジやスコットランドでも独自のプレーオフ制度を導入していますが、
見ようによっては興行的に苦戦しているリーグが取り入れている制度と言えなくもありません。


その昔、Jリーグでも一度取り入れられたJ1参入決定戦(1999年)や昨年から復活したJ1昇格プレーオフっていうのがありますが、これはどちらも相当盛り上がりました。

目先の1~2試合で明日のJ1かJ2が決まるって言うんだから選手達はそりゃーもう必死でボールを追う訳です。
で、サッカーっていうのは本来プレーのレベルに関係なく、そういう必死さからアバウトに出されたロングボールでも最後まで追う事で"何か"が起きたりするところにその面白さがあったりするんですよ。

だからこれは言わば、普段のリーグ戦でぬる~くプレーしている選手達に対するシステム的ドーピングと言ってもいい代物で面白くなるのは当たり前っちゃ当たり前の話。

同じように毎年、ナビスコ杯と天皇杯の決勝で国立が謎の満員で埋まる事からも
潜在的に「面白い試合が見たい」という層は一定数眠っている気もするんですよね。

要はJリーグ側が「この試合は見に来て損は無いよ!」という説得力を持ったソフトを普段のリーグ戦で提供出来てないだけなんじゃないかと。


ちなみに一応最後となった2004年のJリーグチャンピオンシップ(浦和×横浜M)では確かに視聴率13%前後を取っているので恐らくこの数字を元にTV局側からの甘い誘いをJリーグが受けた形なんだろうけど、あくまで10年前の数字。

今、復活させて果たして何%取れるだろうか…?


そしてこのCS復活を外した場合、TV局は去っていくのも早いが、
残ったサポーター達に今回の決定で与えた不信感は永遠に拭い去られるものではないだろう-


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戦術ベイル体質と我が道を行くベンゲル ~アーセナル×トッテナム~

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<戦術ベイル体質と我が道を行くベンゲル ~アーセナル×トッテナム~

え・・・?今更この試合・・・?

ええ、ごもっともでございますが先週は代表戦があったのでそっちを早くUPしたものの、
一応この試合も素材は用意していたのでボツにするのは惜しいかな…と思いまして(^^;

それにCLがあるアーセナルはともかくスパーズの方は次いつ取り上げる機会があるかも分からないので
マッチレビューというよりは今季初めて取り上げる両チームの現状を分析していければと思っております。


【アーセナル×トッテナム】
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アーセナルはこれがエジル加入前の最後の試合ですね。

ベンゲルは最後の最後で大物の一本釣りに成功した訳ですが、
もし僕がアーセナルの熱狂的ファンの立場だったとしたら言いたい事は2つです。

「高い!」そして・・・「補強するのはそこじゃない!」

60億で既にだぶついている中盤にエジルを取るぐらいなら20億のDF3枚取ってくるべきでしょう、このチームは!


いや・・・確かにアーセナルの中盤にエジルってのは魅力的ですよ?
実際に先日のデビュー戦でもいきなりキレキレでしたしね。

でもいつまでもこのアマチュアレベルのGKとDFラインでは絶対にこのチームがタイトルを取る事は有り得ないじゃいですか。

サッカーでは前線が今一つでも後ろが鉄壁の「後輪駆動」のチームであればタイトルを獲得する事もありますが、
後ろが軽い「前輪駆動」のチームが優勝CUPを手にする事は歴史上ほとんどありません。

ましてや近年では後ろも前も強い「4WD」みたいな化け物チーム同士がCLの頂を巡って戦っている時代ですからね・・・。

まあ、それでもやっぱり中盤から前の方の駒を補強しちゃうあたりがベンゲルさんらしいっちゃらしいんですが(^^;
個人的には嫌いじゃないですよ、この理想と心中するスタイルは(笑)


対するスパーズは文字通り、補強の勝ち組です。
ベイルこそ抜けてしまいましたが、予めその事を想定した戦力とチーム作りに着手していた今季は動揺もありません。

特に中盤の充実ぷりには目を見張るものがあり、昨季から一新されたボランチはブラジル代表のパウリーニョと
「ヴィエラ2世」との呼び声も高いカプエが並び、昨季ボランチが定位置だったデンベレがベイルに代わりトップ下に一つ上がった形。

しかしこのカプエ、豪華補強陣の中では最も地味でネームバリューがないクセに開幕からスタメンを守り続けているだけあって、かなりの掘り出し物と見ました。
今、時代が求めている「個の力でボールを奪えるアンカー」そのもので、やっぱりフランスはこの手のボランチ生産国ですねww

両サイドの控えにもレノン、シグルズソン、ラメラが並ぶ充実ぶりで、戦力差では完全にスパーズがアーセナルを逆転しています。


<アーセナルの右サイド>

これでは下馬評で「スパーズやや優勢」となるのも当然で、Vボアスも自信があったはずです。

そんな彼の立場からアーセナル攻略を考えていくと一つの明確な道筋が見えてくるのではないでしょうか?

それは軽量級のウォルコットと文字通り「守備の穴」と言えるジェンキンソンが並んだアーセナルの右サイドですね。
戦略家Vボアスならここを突くのは当然の理と言えるでしょう。

実際に開始5分もしない内に「ベルギーの才能」シャドリがジェンキンソンに格の違いを見せ付けるプレーぶりで完全に手玉にとっていました。

試合を観ながら僕も「アーセナルが右サイドから崩れるのは時間の問題…」と確信していたのですが、
意外にも先制点はアーセナル。しかもその右サイドから生まれています。


【アーセナルの先制点を検証】
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局面は左から右へと攻めるアーセナルのカウンターの場面です。

今、ボールを持ったカソルラの左を猛スピードで駆け抜けているアーセナルの選手が見えますがスパーズのDF陣はまずここを警戒して引っ張られています。


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そしてこういう場面で外を囮にして中を使えるのがアーセナルの強み。

ここでもカソルラは中の厳しいコースにタテパスを通し・・・


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ラムジーの間受けに繋げてよりスパーズにとって危険な場面を演出。

ポッカリ空いたバイタルを突かれる危険があるスパーズは中絞りの守備隊形を敷きます。


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お陰で外のロシツキーが完全にフリーになりました。
このように中を突いてから外を空けるというのがアーセナルの基本コンセプトでもあります。


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フリーのロシツキーが持ち上がるとスパーズは左SBのローズが向かわざるを得ません。

その裏をウォルコットが巧みに狙っています。


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ローズが釣り出された事によってスパーズのDFラインにギャップが生まれてしまいました。

この他の場面でもスパーズの左SBダニーローズはDFラインから浮いた動きをする事が多く穴を作ってしまっていましたが、
よくよくスパーズのDFラインを見てみるとこのローズだけがレンタルバックで昨季一緒にプレーしていない新加入選手だったんですね。


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完全に抜け出たウォルコットの折り返しを現在確変中のジルーが合わせてアーセナルが先制。


ここでスパーズの右サイドを改めて考えてみるとDFラインで浮いていたローズに加え前のSHシャドリは攻撃には光るものを見せる反面、
守備の切り替えはまだプレミア仕様になっておらず相当ぬるいプレイヤーです。
(昨季まではオランダリーグでプレー)

つまりアーセナル最大の弱点と思われていた右サイドは実はスパーズにとってのウィークサイドでもあった訳で
序盤こそ個々の能力差で押し込んでいたスパーズも次第に連携面の差が現れ始めてアーセナル優勢となっていくのでした。


<ジルーの覚醒>
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それにしてもこれまでこのブログでも散々disってきたジルー師匠の確変が止まりません(笑)

この試合でも空中戦の勝率は驚異的でGKからのパントキックは必ずジルーの頭に合わせるよう徹底されていましたし、
ロングボールも含めてかなりの確率で味方に落とすポストプレーが光っていました。

この点、図体だけでかいくせにポストプレーが下手で電柱にもなり切れないプレイヤーとは訳が違います。

ベン○ナー&マイク・ハー○ナー「・・・ぐぬぬ!」


ではここで改めてジルーのゴールシーンの瞬間をトッテナム側の視点から振り返ってみましょう。


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ロリス『中!折り返してくるぞ・・!!』


ドーソン『慌てるな…フランスリーグ得点王だか知らんが"ヤツ"は大丈夫だ』



ゴール前でクロスに合わせたジルー(パサッ・・・)←ゴールネットが揺れる音



「・・・!!??」



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フェルトンゲン『馬鹿な…!?アイツは去年までゴール前2Mの距離からだって外す師匠だったはず・・・くそう!ジルーめ!!』







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『おう 俺はジルー・・・・諦めの悪い男』






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アルテタ「1年間も・・・・待たせやがって」




アーセナルファン一同(激しく同意!!)




<中のアーセナル 外のスパーズ>

・・・はい、今日やりたいネタはやり切ったのでマッチレビューに戻りたいと思います(爆)

1点を取った後も試合はアーセナルが主導権を握り続けるのですが、
その差はやはり中を使った間受けの有無にあったと見ます。

今更言うまもなくアーセナルはプレミアにあって最も間受けを意識したトライアングルの形成が上手いチームなので、
ちょっと実際の試合からそんなアーセナルの良さが分かるワンシーンを検証してみましょう。


【アーセナルの間受けと中攻め】
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局面はアーセナルの中盤でのビルドアップから。

アーセナルの中盤はロシツキーとカソルラの頻繁なポジションチェンジを始め自由自在の流動性に溢れています。

この場面ではラムジー、ウィルシャー、カソルラ、ロシツキーが瞬間、横並びになってしまい縦のパスコースがありません。

こういう時は誰かが深みを作るポジションへと動いてトライアングルを形勢するのが基本ですが、
ここではカソルラが縦へと動いて間受けを狙います。


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カソルラの気の利いた動きによってアーセナルの中盤にトライアングルが生まれてパスコースも安定。

(これが中盤にウェル○ックとかバレン○アがいるチームとの違いですねハイww)


スパーズ側からするとバイタルエリアで間受けを狙うカソルラは非常に危険な存在であり、ここでもアンカーのカプエが捕まえる動きを見せ始めています。


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カプエがカソルラに食い付いたのを見たウォルコットがすかさず中へ絞る動きでカプエの背後を狙っていました。

ロシツキーもこれを見逃さず、単純にカソルラへ出してリターンを受けるのではなく、ウォルコットへタテパスを通してきます。


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中に絞ったウォルコットには当然SBのローズが食い付いているので今度は右の大外が空く訳ですね。

ここをジェンキンソンがフリーで駆け上がっていくというアーセナルの見事な中攻め⇒外使いの流れ、
そしてスパーズのウィークサイドを的確に突く連携でした。


これに比べるとスパーズの攻撃は中盤にトライアングルと間受けの意識が薄いので
どうしても攻撃が外へ迂回するルートになってしまいます。

【トッテナムの攻撃場面】
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局面は右から左へと攻めるトッテナムのビルドアップから。

CBのフェルトンゲンが持ち出した場面で、トップ下のデンベレが中盤に降りてきます。

本職がボランチのデンベレは敵を背負った状態でボールを受けても強いのですが、
やはり3列目で前を向いてボールを持った時に最大の持ち味を発揮するプレイヤーなのでどうしてもボランチのところまで降りてくる傾向が強いのです。


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結果、カプエとデンベレがもろ被りです。


しかもバイタルスペースに間受けを狙うプレイヤーが不在で、これではフェルトンゲンも一度サイドを変えて攻撃をやり直すしかありません。


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逆サイドで攻撃をやり直したスパーズですが、ドリブルで持ち上がったパウリーニョから降りてくるタウンゼントにボールが出るも、これではさっきからアーセナルの守備ブロックの外側を左から右へとなぞっているだけのような攻撃で、アーセナルから見て一番使わせたくない中のスペースに怖さがありません。


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結果、ブロックの外を迂回するような攻撃には守備でも強く当たれる為、タウンゼントはここでボールを奪われてしまいました。

確かにこの外攻めでもベイルがいるなら個の力で守備ブロックをこじ開けてくれるのでチャンスは作れますし、
それこそが昨季「戦術ベイル」と言われていた所以でもある訳ですね。

しかしベイルが抜けた今季は連携で崩していかねばならず、一見中盤に豊富な駒がいるようでも連携らしい形が無いので攻撃が全く機能していないのです。

そう思ってよくよくスパーズのスタメンを見返してみると何とフィールドプレイヤーの内、実に6人が新加入選手で占められていました(^^;

ここが今季も既存の戦力がベースとなっているアーセナルとの差です。
(ベンゲル「敢えて補強を最小限に抑えた計画通りやな(キリッ!)」)


ここで重要なのは決してアーセナルの守備が鉄壁だった訳では無いという事です。

例えばこんなシーン↓

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この場面ではトップ下のデンベレがサイドに流れるとCBのメルテザッカーがこの動きにモロに釣られて
アーセナルのCB間の距離がご覧の通りです。

ここに中盤でバイタルを狙った動き、トライアングルの意識があればスパーズはアーセナルの守備を簡単に突破出来ていた可能性もあると見ます。


後半、さすがにVボアスも動いて攻撃時にはパウリーニョを高い位置まで押し上げてデンベレと共にバイタルエリアを狙う駒を増やす修正を施してきました。

まあ、この狙い自体は間違いでは無いのですが・・・


【後半、パウリーニョを高い位置に上げるスパーズ】
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ここでは1トップのソルダードの下にデンベレとパウリーニョが並んだような形になっているスパーズ。

ウォーカーからデンベレへ中攻めのパスが通ると・・・


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ソルダードがDFラインを引っ張ってバイタルエリアを空け、パウリーニョに受けさせる狙い通りの形


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・・・が、ここでパウリーニョはドゥーン!とばかりにミドルシュート。

ソルダード&デンベレ「・・・・。」


いや、別にミドルも悪い選択肢では無いんですよ?

ただ、やはりチームが深く攻め込んだところで3列目から走り込んで仕上げを担う…というのがパウリーニョ本来の持ち味であって、崩しの途中で絡ませる駒では無いと思うんですよねー。

この場面でもアーセナルのDF陣は皆ボールウォッチャーになっていて、ソルダードが引っ張った裏のスペースを狙うデンベレは完全にフリーで裏抜け出来てたんじゃないかな…と思ったりもして。(^^;


<勝ちにこだわったベンゲル>

試合はこのままアーセナル1点リードで推移した終盤、ベンゲルが意外な動きを見せます。

ロシツキーとウォルコットを下げてサニャ&モンレアルのSBを一挙に投入し、
SBの外側にもう一人づつSBがいる…!?という謎の6バックで遮二無二に1点のリードの守りにきました。

ちょっと一言いいかな・・・?




だったら最初から使えるDF獲っとけよ!!wwww


これでアーセナルはジルー1人を前線に残した6-3-1になり、スパーズのクロス練習が始まります(笑)

【アーセナルの6-3-1】
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守備固め童貞かYO・・!!wwwww


いやーベンゲルさん・・・慣れない事はするもんじゃないっすよ。

この試合、もしモウリーニョが見てたら内心(プププー!(*≧m≦*))って笑われてますって!(笑)

まあ、この守備固めに対し、真正直に両サイドからクロスを上げ続けたVボアスもボアスなんですが・・・(^^;


とにかく最後はベンゲルの執念で勝ち点3をもぎ取ったまではいいんですが、
これに味を占めたのか試合終盤の定番采配としてこれが定着しそうな勢いで早速続くサンダーランド戦でも使ってきたところに一抹の不安を覚えます。

こんな童貞みたいな守り方じゃ、確実にいつか痛い目見ますよ?コレwww

第三者的な目線で見れば「これやるぐらいなら4バックのままで守れるDFを獲りましょう」って思うんですが、
それでもアーセナルはエジルを加えた"らしいサッカー"で今季も我々に面白い試合を提供してくれる事は間違い無いでしょう。

どこかの脳筋チームが塩試合を量産しているのとはえらい違いです(爆)


一方のスパーズはエリクセンの加入でようやく「最後の1ピース」が埋まったと見ます。

この気の利いたトップ下の加入でデンベレを本来のボランチに戻して中攻めと間受けのコースが見えてきました。


あとはVボアスがどれだけ早く「戦術ベイル体質」からの脱却を図れるかにかかってくる事でしょう-




*この人、結局ジルーをいじりたかっただけじゃね?と思った貴方はクリック!↓

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悲観も楽観も必要無い快勝劇 ~日本×ガーナ~

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<悲観も楽観も必要無い快勝劇 ~日本×ガーナ~>


『名誉回復』

もしかするとこれが今のザックJAPANに最も必要な治療薬だったかのかもしれない。
そう考えるとなかなか絶妙なマッチングになったとも言える今回のキリンチャレンジカップ。

コンフェデ⇒ウルグアイ戦と続く惨敗劇でサポーターからの信頼と選手達の自信を失いかけていた日本代表。

おそらく当初の予定としてはグアテマラ戦で自信を回復させ、このガーナ戦で真価を図る…という按配だったのかもしれないが、
残念ながらガーナはスケジュールの都合もあり主力抜き(1.5軍)での来日となった。

とは言え、「世界との距離を測る」という意味ではベストとは言えないガーナの1・5軍も
快勝という結果は残しつつも改めて日本のいい部分と課題をおさらいする意味で悪くない相手だったと言えよう。


先に今回の総論を言ってしまうと、この2連勝をもって日本代表の課題が修正された訳ではないし、
そもそもコンフェデとウルグアイ戦で日本の課題が急に露呈した訳でも無い という事。

このブログでは「決定力不足」と騒がれていたアジア最終予選の頃からこのチームが世界に出た時に課題となるのはむしろ「守備力」(特にボランチ)の方だと言って来たつもりだし、
ザックは就任当初からブレないチーム作りを貫いていると思っている。

つまり、変わったのは日本代表の方ではなく対戦相手のレベルの方であって
そこから導き出される至極当然の結果と内容に周りが一喜一憂してきただけなのだ。

そこで今日は今回のガーナ戦から改めて見えてきた日本代表の強みと、依然として残りつづける課題の部分を浮き彫りにする事で現在のザックJAPANに過度な悲観論も楽観論も必要無いという事を改めてお伝え出来れば本望です。


<見えづらくなった日本の課題>

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日本のスタメンはテスト色の強かったグアテマラ戦からやはり一転して本気モードに戻してきました。

(アマチュアの大学生みたいなチームだったグアテマラ戦で何故か評価を高めていた森重もまだまだ3~4番手争いなのは当然で、ここで再び大量失点は許されない試合だけに予想通りのオーダーと言えよう)

対するガーナの布陣も日本と同じ4-2-3-1で守備時は4-4-1-1のブロックを敷く構え。
お陰でお互いの布陣がガッチリと噛み合い、試合開始からザックJAPANの狙いがよく機能していた。


試合は序盤からザックの基本コンセプトである「コンパクト」「連動」がピッチ上からハッキリと確認出来る内容で日本が主導権を握る いい立ち上がり。

まず守備では縦と横の幅をコンパクトしたスモールフィールドで選手同士の距離を近いものにし、
個々ではなく複数の選手による連動したプレスが求められるこのチーム。↓

【ザックJAPANが形成するスモールフィールド】
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局面は自陣左サイドからガーナに攻め込まれている場面で、
ここでは逆サイドもフィールドの半分程の幅に絞って横幅も狭いスモールフィールドが形成されている。

これは今や世界でも常識となっている基本であり、それは例えば今季モウナチオを敷くチェルシーを見てもそれは明らかだ。

【モウリーニョのチェルシーが形成するスモールフィールド】
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この距離間で日本代表は連動した守備から中盤の高い位置でボールを奪うと次々と決定機を作り出していく。

但し、守備ブロックを縦でも横でもコンパクトにする為には勇気を持ってDFラインを高い位置に押し上げ続ける必要があるのだが、この際に見られる日本代表の課題は依然として散見された。↓

【危うさと紙一重のラインコントロール】
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例えばこの場面↑。DFラインは果敢に高い位置へ押し上げて確かに縦幅の狭いコンパクトさが維持されてはいるのだが、肝心のガーナのボールホルダーに対して全くプレッシャーがかかっていない。

あれだけザックが「私のチームでは守備はFWから始まる」と会見でも繰り返し発言していた事からも
恐らく合宿中、柿谷はその点をザックから口酸っぱく言われていただろうし、
実際にこの試合でもグアテマラ戦に続き守備の意欲は高かった。

だが、柿谷の弱点は"守備のセンスが致命的に欠けている”という事だ。

意欲はあるので場面によっては猛烈なプレスバックを見せていたりするのだが、
どれも自分のタイミングで行っているだけで、周囲との連携で「今、自分が抑えるべきスペース」と次の展開を読むという予測が欠落していると見る。

↑の場面でも柿谷はバックパスのコースを消すような素振りだが、
自チームのDFラインがあれだけ高い位置に押し上げているのだから、まずはボールに必ず誰かが行かなければならない局面だ。だが、柿谷の姿勢から次の展開を読んだ危機感は感じられない。

そして、これは柿谷を起用して以来のザックJAPANの課題であり、先日のウルグアイ戦でも全く同じようなシーンを確認出来る。↓

【ウルグアイ戦から柿谷のファーストプレスを再検証】
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局面は先程と似たような場面を先日のウルグアイ戦より抽出。

ここでも柿谷がボールホルダーへファーストプレスをかける意識が全くないので、1テンポ遅れて本田が向かうはめになっている。


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それでもチームの約束事として空いた中盤のスペースを埋めてコンパクトにする為、DFラインを押し上げると・・・


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このタイミングに縦1本のパスで裏を突かれ続けた事によりウルグアイ戦では大量失点につながってしまった事は記憶に新しい。


だが、幸いにもガーナには今回フォルラン&スアレスのクラスのFWはいなかったし、
縦1本で裏を狙う意識もウルグアイと比べれば皆無と言っていいレベルだったので危険な場面を作られる事は無かった。

だがこれは決して日本の守備における課題が解決した訳では無く、単に相手のレベルが下がったから見えずづらくなっているだけで、しっかりと試合を検証すれば同じ課題を引きづったままなのは明らかである。


<最大の武器こそ時に弱点となる>

…とは言え、実際の試合では相手のレベルにも助けられ、日本がコンパクトな守備からボールを奪い攻撃に繋げていく場面が多く見られました。

そしてこの攻撃でも鍵を握るのはやはり「コンパクト」と「連動」です。

ザックJAPANの攻撃スイッチはSHが中に絞りつつ中盤に降りてきて顔を出す動きと
ほぼ同時にSBがその外側をオーバーラップする連動から始まるのがその基本形。

【ザックJAPANのサイド攻撃】myboard.jpg

右サイドなら内田+清武+長谷部によるトライアングルが、
左サイドなら長友+香川+遠藤によるトライアングルが基本となってこれにトップ下の本田が絡む事で厚みを加えていきます。

この試合では両サイドの攻撃がガーナ相手に実によく機能していたので検証してみましょう。


【右サイドの連携】
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局面は日本の中盤からのビルドアップで、長谷部がボールを持って前を向いたタイミングで
ほぼ同時に清武の中に引いてくる動きと内田の縦抜けの連動。


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ガーナ守備陣から見ると実に中途半端な位置に下りてきた清武へ長谷部からパスがつながる。


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ここから内田のスピードを生かした縦1本のスルーパスで裏抜けに成功。見事に右サイドを崩している。

この試合では特に守備力こそ岡崎に劣るものの動きの多彩さと周囲を活かす視野の広さという点で清武が光っており、
心なしか内田もいつもより迷い無く攻め上がっていた感が強い。

ただ清武の課題はやはりゴール前に入ってくる動きとシュート意識で、そこは岡崎に見習う部分でもあり
今後も右サイドのレギュラー争いではそれぞれの特徴を活かして相手と展開に応じて使い分けても面白いかもしれない。


続いて左サイドのトライアングルも見ていこう。

【左サイドの連携】
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こちらのサイドは今や日本の生命線としても有名なので今更…な感もありますが(^^;、
とにかくこの場面でも中盤に降りて間受けを狙う香川と大外を駆ける長友、そして遠藤のタテパスともはや何度も見てきた光景ですね。


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香川はダイレクトでこのボールを本田に流しながら自らはパス&ゴー!


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本田からのリターンを受けた香川から⇒柿谷⇒長友と見事な連携プレーで左サイドを攻略。


このように守備からいいリズムを作って攻撃に繋げ、左右両サイドで連携も冴え渡った日本が
前半20分までは完全に主導権を握っていた。

これを受けてガーナの選手達が「ヤベェ…思っていたより日本やるぞ」と表情を変え始め、
序盤からふわっと取りに行っていた守備を諦めて一旦自陣へ引き、
密集したブロックから日本の受け手に強く当たる守備へ切り替えたのが20分過ぎの事。
(このへんの臨機応変な対応は若いチームなのに腐っても世界のガーナか?)

そしてガーナがカウンター狙いに切り替えた事で露わになったのが
日本のサイド攻撃の負の側面『カウンターへの脆さ』である。

改めて↑のサイド攻撃の図を見ていただくとお分かりの通り、そもそも日本のサイド攻撃は両SBを高い位置まで押し上げる連携によって成り立っています。

故にカウンターを食らうと残ったCB2枚でこれに対応せねばならず、フォルラン&スアレスには吉田と今野が涙目にされていましたよね?(笑)

前半24分に生まれたガーナの先制点はまさしくこの形で訪れた最初のカウンターからファーストシュートを決められたものです。


【ガーナの先制点に繋がったカウンター】
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これが失点へと繋がったガーナのカウンターの場面で、
これを一つ遡ると日本が左サイドから攻め込んだ流れで長友から香川への横パスをかっさらわれてしまい、
吉田と今野の2枚でこの広大なスペースを守らなければならなくなってしまった事が発端になっています。

まあ、この失点に関しては自分のミスを取り返そうと全力で戻ってきた香川の足に当たったボールが
更に長友に当たって敵の前に転がる…という不運が重なったものとも言えるのですが、
やはりそれでも自陣の深い位置までボールを運ばれてしまったのはSBの裏がガラ空きだった事が原因です。

…で、この時間帯、ガーナは明らかにカウンターから日本の両SB裏のスペースに狙いを定めていて、
失点の直後にも似たようなシーンから決定機を作られているんです。↓


【狙い打ちにされたSBの裏】
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局面は今度は右サイドから攻撃を仕掛けた日本が清武のところでボールを奪われ攻⇒守に切り替わる場面。

(*内田が既に清武を追い越して上がっていたのがポイント)


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当然、内田が上がった裏のスペースを突かれる訳ですが、これはサイド攻撃を仕掛けている都合上致し方ないところだと思うんですよ。

・・・ただね、問題は逆サイドのSBである長友のポジショニングにあります。

ザックJAPANでは攻撃に厚みを持たせる為に両SBを同時に上げるんですけど、
前々から僕はこれが自陣に引いたアジアのチームを崩すには有効だとしても世界相手には厳しいんじゃないか…と思っているんですよ。


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↑実際にこの場面でも長友が上がっていた事で戻りが間に合わずCB2枚の守備ではやはり自陣で数的不利に陥っている…と。

故に個人的にはサイド攻撃を仕掛けるにしても攻撃サイドのSBを上げた分、逆サイドのSBはDFラインに残して後ろに3枚は確保しておいた方が世界相手にはいいんじゃないかな…?と思う訳です。

(まあ、攻撃では当然両SBを上げたメリットも大きいので、あとは指揮官がリスクとリターンのどっちを取るかっていう性格の問題になってくるんですけども)


…でね、試合を見てたら「さすがインテル!伊達にカルチョで相手の弱点を突き合う詰め将棋みたいなサッカーしてきた訳じゃねえな!」と思わず長友に感心した場面があるんですよ。

と言うのも長友は途中でこのガーナの「SBの裏狙い」に気付いて、微妙にポジショニングを自重気味に構えるようになるんです。


【自重する長友 3枚残した場合の守備】
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局面は先程と同じように日本が右サイドから攻めてボールを失った場面。

(やはり同じように内田と清武が攻め上がった裏がスペースとなる)


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但し、この時長友は最初からDFラインに残っていたので3枚でDFラインが構築出来ているのが大きな違い。

もし、この場面でも先程と同じように長友も攻め上がっていたとしたら・・・↓


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ガーナに左の広大なスペースを使われて、またもやCB2枚による苦しい守備になっていたはず。


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実際は日本が3枚のラインを残した事で、直接ガーナにタテパスを出される事なくここで1本横パスを挟ませているのが非常に大きい。

(カウンターではなるべく相手にタテパスではなく横か後ろ方向へのパスを挟ませて少しでも攻撃を遅らせるのが鉄則)


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↑で攻撃に手数をかけさせた事で前線の帰陣が間に合い、ボールサイドでもゴール前でも数的優位を回復させる事に成功。

要するにこれはCB2枚残しで守る事がいかに難しいかという事の証明で
つまり日本の生命線であるサイド攻撃の連携は常にカウンターを受けた際のリスクと隣り合わせでもあるという事なんですね。


それは相手のガーナでさえCB2枚での守備では日本に決定機を作られている事からも明らかです。↓

【日本のカウンター ガーナの2枚守備】
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局面はガーナが左から右へとサイドチェンジしようとたものの、このパスを狙っていた香川にインターセプトされるところから日本のカウンターが始まる。


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重要なのはこの時、ガーナの両SBが同時に高い位置を取っていたという事。


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やっちまったなコレ…と言わんばかりに、日本と同様CB2枚での守備を強いられているガーナ。

いくらスピードがあるアフリカのCBと言えども、たった2枚ではこの広大なスペースはカバーし切れない。


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香川のスルーパスが柿谷に通ってこの折り返しを合わせた本田のゴール・・・と思いきやまさかのQBK(笑)

(まー、あの折り返しを左足で振ってしまったらふかす確率は上がっちゃうよねー(^^;
出来れば右足のインサイドで面を作って確実に当てにいってもらいたかったんだけども…)


ちなみにバルサも攻撃時は2CB残しが基本ですが、このチームの場合は攻撃の途中で変なボールの奪われ方をしない事が前提になっていて、この前提が崩れてしまった場合、昨季のバイエルン戦のような酷い事になる。

ましてや日本のボランチはブスケスのように相手のカウンターを未然に防ぐ能力にも乏しい。
やはりW杯本大会では3枚残しが日本代表として現実的だと思うのだが・・・いかがだろう?(^^;


<最後に違いを作り出す個の力>
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結局前半は0-1、ガーナのリードで折り返しますが決して内容の悪い45分間では無かったので、これは後半充分勝負になると個人的には楽観視していました。

そして実際に後半は香川、遠藤の立て続けのゴールで日本が逆転に成功する訳ですが、
それぞれのゴールが生まれた背景には最後に違いを作り出す個の力がものを言ったと思います。

つまり、ファイナルサードに至るまでの崩しの形はザックが用意出来ても
そこから先、ある程度のレベルの相手から得点を奪おうと思ったらそれ相応のプレーが飛び出さないと難しいという事ですね。

実際にまず日本の1点目はサイド攻撃の連携という基本形から始まり、
最後は香川が中へカットインして自らシュートを放つという勝負を仕掛けたワンプレーから生まれています。

(モイーズよ…これがKAGAWAだ・・・!!)

香川はこのようにカットインからのシュートを見せておく事で次からシュートフェイントを挟んだワンツーで完全にDFを食い付かせられるようになるから得意の裏抜けもより活きてくるんです。
(ネイマールやリベリーが左45度で無双出来るのはまさにこの原理ですね)


同様に遠藤の2点目は遠藤⇒本田の縦のホットラインから本田に当てた落としを走り込んだ遠藤がゴール左隅に狙い済ましたシュートを流し込んでいます。

これは遠藤のシュート技術もさる事ながら、そのベースには本田に当てれば絶対にボールを失わないという遠藤の信頼感がものを言ったゴールでした。

この試合でも本田の相手を背負った際のキープ力は抜きん出ており、
遠藤や香川はボールを持った時にまず最初に本田を探しているし、
本田も彼らの技術には一目置いているので結果として相互信頼関係が築かれており、リターンパスも実にスムーズです。

それに比べると1トップの柿谷にはまだそういう信頼関係を築く為の時間が足りず、
なかなかパスのファーストチョイスに置いてもらえないジレンマを感じずにはいられません。

特にそれが所属チームのセレッソでは誰がボールを持ってもまずは自分を見てもらえるという「チームの王様」柿谷であれば尚の事。

やはり現状ザックJAPANでは香川、本田の個の力が依然として得点を奪う為に不可欠であるという事がこのガーナ戦からも明らかになったと思われます。


<3-4-3は不要か?>
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試合は終盤、本田がダメ押しの追加点を決めて3-1。

これでほぼ勝負アリとなったところでザックはグアテマラ戦に続き、清武を下げて森重を投入。
3-4-3への変更を指示してきました。

これに対しては何故かTVの解説陣を始め壮絶な「3バック不要論」とバッシングが巻き起こっているのですが、ここでは改めてその3-4-3について考えてみたいと思います。

まず試合終盤の3-4-3への変更に関して「いい加減諦めろ」「過去の成功は忘れろ」という論調が目に付きますが、そこで思考停止していてはザックの真の狙いは掴みきれないでしょう。

勿論、過去ウディネーゼ、ミランで味をしめた成功体験から3-4-3への拘りが生まれている事も間違いないでしょうが、それが全てでは無いはずです。

このガーナ戦を例にとっても、それが明らかにテクニカルな要素を含んだ戦術的交代であった事は明らかです。

まずあの時間帯(後半30分過ぎ)、日本のリードが2点となった段階でガーナは国内リーグ得点王のオトー(なにこの劣化版エトー臭www)を投入し、
布陣を4-4-1-1から4-4-2の明確な2トップへ変更していました。

更に両チームの布陣が間延びし、スペースを得た香川&本田が無双していた時間帯という事もあり、
前半は献身的に左サイドのスペースを埋めていた香川も段々トップ下へ留まる時間が長くなっていたという事情があります。

その結果、ピッチ上で何が起きていたかと言うと・・・↓


【香川トップ下問題 再び】
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このブログでも何度か取り上げていますが攻撃で香川がトップ下に入ってくるのは彼自身が乗ってきたいい兆候でもあるんですが、
反面守備の時に香川がその位置から守備を始める事になると当然左サイドが無人のエリアになってしまう訳ですね。

ここでも見事にその左をガーナに突かれるんですが・・・


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問題はこの時間帯ガーナが2トップになっていて、しかも右SHも後ろのSBにどんどんサイドのスペースを使わせようと自分が中に入る事で長友を引っ張って、大外を空けてるんです。

こうなるとこのスペース…誰がカバーするんだ?って事でいつもは前田が尻拭いしてくれてるんですが今は不在なので、もう本田先輩が向かうしかねぇと。

(いつも思うんだけど、もうちょっと遠藤&長谷部の2ボランチはここのスペースをカバー出来ないものか…?
ただ、どうやらザックはボランチがサイドに引っ張られてバイタルを空けるのを極端に嫌っているらしく、あまりサイドに釣られるなと言われている模様)


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いかんせん本田が戻ろうにも距離が長すぎて後追いになってしまい、仕方なく長友が引っ張り出されたところで中を使われてしまう。


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PA内でフリーで前を向かれてシュート。あわや1点差に追い上げられるゴールを決められるところでした。


この「香川トップ下問題」はアジアだとほとんど粗にならないけど、
ある程度のレベル以上の相手だと確実にここを突かれて決定機まで持っていかれるんですよねー。(^^;

話をガーナ戦に戻せば、もう3-1でリードしているのであとは試合をクローズさせて確実に勝ち点3をGETする…といういかにも本大会で有りそうなシチュエーションになっている訳です。

・・・で、これを見たザックが動くんですね。ならば「3-4-3だ」と。


【サイドに蓋をする3-4-3】
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日本だと「3バックはサイド攻撃に弱い」と通説のように言われていますが、一口に3バックと言っても色々な形があるのでその限りではありません。

特にザックが使うイタリア式(カルチョ直伝)の3-4-3はむしろ両サイドに3枚の選手がいてサイド攻撃に強い布陣と言えるでしょう。

これで仮に香川が好き勝手に中へ入っていったとしても長友と今野で後ろの数的不利は防げるというザックの修正策だった訳ですね。


【3-4-3でサイドが安定】
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…ほら?実際の試合でも左端で香川がふらっとしてても長友と今野でしっかりと左サイドに蓋が出来ているでしょ?

先程の4-2-3-1でサイドを突かれた場面と比較しても安定感は明らかです。

要するにこの場面での3-4-3はサイドを厚くする為の一つのオプションとして行使されていて、それは戦術的に至極ロジカルな決断だったと見ます。

ザック(試合後の会見)
『最初は4−2−3−1だったが、あの時間帯になって(相手が)2トップ気味にしてきたので3バックで対応しようと考えた。』



個人的にはマスコミ主導の3-4-3ネガティブキャンペーンで世論を誘導しようという動きは全く理解出来ないのですが、
我々はフットボールリテラシーを持って多角的な視点からサッカーを見つめていきたいものですね。


勿論、だからと言って僕も3-4-3が万能で本大会までに絶対ものにしろ!と言いたい訳ではありません。
実際にやり慣れている4-2-3-1と比べるとその完成度の低さは明らかですからね。

特にビルドアップ時の持ち出しではCBの攻撃参加が不可欠なんですが、ここが不十分なせいで槙野とかが呼ばれちゃってる訳です。↓

【3-4-3のビルドアップ】
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これは3-4-3にした後の最後尾からのビルドアップの場面なんですが、テクニカルエリアでザックが何かを懸命に指示しているのが分かります。

要するに左から攻めるこの場面だったら今野は本来青丸の高い位置まで進出して、
全体の横幅ももっとボールサイドに寄せろ!って事を言っているんですね。ザックは。

横幅で言うと本田も青丸のところまで絞ってボールに関与できる位置取りにしないと
これじゃあボールと逆サイドにいる本田、酒井、山口蛍は死んじゃってます。

なので本当は今本田がいる位置に酒井が、遠藤の位置に山口が、今野の位置に吉田が…という具合に一つずつボールサイドにスライドさせた位置取りがザックが望む3-4-3のビルドアップ形と言えるでしょう。


加えてもう一つ、ザックが3-4-3にこだわる理由があります。

それはこのチームには途中で流れを変えるスーパーサブというカードが持ち札に無いという理由ですね。

W杯本大会では、リードしている場合、リードされている場合、同点で試合が膠着している時間帯など
何かにつけてベンチからの一手で流れを変えたい場面というのは必ず訪れるんですよ。

そうなった時に残念ながらこのチームには有効な打開策が無いし、
何より交代の肝になってくるであろう1トップ+2列目の3枚の内、本田と香川については不動な訳です。
(つまり絶対に下げられない駒ですね。)

まあ、これがザックJAPANにおける采配の硬直化にも繋がっているんですけど、
誰が監督だろうとこの2枚は下げられない現状なので致し方有りません。

・・・で、ただでさえ交代ポイントが少ないのに、そもそもベンチも弾切れじゃねえか…と(^^;
(清武は途中投入で流れを変えるタイプではないし、乾は波が激しすぎて計算が立たない。ましてやマイクなど…論外ww)


となればせめて、選手が変えられないなら布陣を変えるオプションぐらいは持っておきたいというのが監督ザックの本音ではないでしょうか。

特に3-4-3は使い方によって守備固めにも総攻撃にも使える便利な布陣なのでモノに出来れば大きな武器になる事は間違いありません。
問題は本大会までに間に合うかですが…、だからこそザックは最低限の時間を使ってのテストでギリギリまでそこを見極めようとしているんだと思います。


<1トップは決め手の無い混戦レースへ>
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最後に今後のザックJAPANを考えていく上で、いよいよマッチレースになってきた1トップのイスを巡る争いについても考えてみたいと思います。

現状では柿谷が頭半分抜け出してその後ろを大迫、豊田、そして既に力は分かっている前田が追ってマイクは脱落しかけている…という現状でしょうか。

ただ、この1トップというポジションは香川、本田クラスの個の力で違いを見せるという仕事を求められていると同時に
ザックのチームではこなすべき約束事が電話帳のようにぶ厚い…という一面が既にこれを習得済みである前田以外のストライカー達を苦しめていると見ます。


例えば柿谷は裏を取る意識の高さはいいのですが、このガーナ戦でもオフサイドがあまりに多過ぎます。

守備同様にプレー全般が本能的な自分のタイミングがベースとなっていて(お山の大将だった経歴が窺える(^^;)
パスの出し手が顔を上げたタイミングに合わせて走り出すなどの一工夫が欲しいところ。

更にザックが言う通りこのチームでは「守備はFWから始まって全員でするもの」となっているので、
この点で前田がこれまでこなしていた部分が穴になっている感は否めないんですよねー。

ガーナ戦でもちょっと面白いシーンを一つ見つけたので検証してみますね。↓


【ザックのコーチングから見る全員守備】
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局面はガーナのビルドアップを日本が全員で左サイドへの迂回ルートへ誘導している場面。

ここで僕が「おや…?」と思ったのはテクニカルエリアに立つザックがボールとは全く関係の無い方向を指差して何か懸命に指示を飛ばしている姿なんですよ。

この【ザックは何を指しているのか…?】はこの後の流れを見ていく事で直に判明します。


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サイドに誘導したパスに対しては内田が背後から寄せてまず縦を切り、
清武のプレスバックと長谷部の中からの寄せでガーナのボールホルダーの選択肢を確実に削っていきます。

加えて本田はバックパスのコースを切る為に動き始めていいて、これが個々の判断ではなく「連動」による守備というものです。



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…で、肝心のザックはどこを指していたのか?ですがここまで来るとよく分かります。

ハイ、ザックは柿谷のポジショニングに最初から不満があった訳ですね。

何故かというと・・・・


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せっかく左サイドに追い詰めて選択肢を消したところだったんですが、柿谷の絞りが甘くガーナのCBへバックパスを下げられてしまうんですね。

…ええ、もうこのザックの背中からは激おこぷんぷん丸な怒りが伝わってくる訳ですが(^^;、
それにしても最初の場面からガーナのバックパスを想定し、1トップの柿谷のポジショニングまでが守備全体の成否に繋がってくるザックの緻密な戦術には驚愕させられます。


まさにこれこそザックが前田を重宝してきた理由であり、
ザックのチームでメンバーが硬直化しがちなのは、それだけこのチームでは「経験値」という要素が何よりも求められているからでもあるんでしょう。

例えJリーグの所属チームでは自分の為のチームが作られていても、ザックJAPANにおける1トップではそうはいかないという現実があります。

柿谷も守備の意欲が目に見えて増してきた点は買うんですが、
ここから先のレベルでは走る「量」と同様にその「質」が問われる世界になってくるだろう。


・・・さて、次の代表戦は海外遠征によるアウェイ戦でセルビア、ベラルーシとの試合が待っている。

セルビアと言えば奇しくも3年半前、当時の岡田JAPANが若手主体の2軍相手にチンチンにされ
その後の本大会であの「超守備的サッカー」を導入するキッカケとなった相手だ。

これに続いて11月には「欧州最強国(笑)」ベルギーとのアウェイ戦が組まれるという話もあり、
いよいよ本大会に向けた仕様が固まってくる時期に差し掛かってくるが、ここで過度な悲観や楽観は厳禁だ。

ここは一つ、目先の結果に一喜一憂する事なく各々のフットボールリテラシーの元、客観的な目でザックJAPANの行く末を見守りたいものである。




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【特別読み切り】ファンペルシー物語~戻らない時だけが~

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<オマケ:読み切り短編 [ファンペルシー物語]>
~ 戻らない時だけが- ~



ここはロンドン北西部に位置する"とあるクラブ"の練習場-


ここ10シーズン、タイトルからは見放されているが、
かつてはプレミアリーグを無敗で優勝した事もある強豪中の強豪クラブだ。


「右だっ…!もっとパスを散らせー!」

「クロスはダイレクトで上げろ!」

「右⇒右と繋いだら3本目はサイドを変えるんだ!」


その日も精力的にチーム練習が行われていた。


サニャ(イケる・・・!今年はイケるぞ。去年の新加入組が馴染んできたし、何より最後の最後でとんでもねえ大物が来やがった。
エジル・・・あいつは過去俺が一緒にプレーした奴らの中でも間違いなく3本の指に入る!)


ロシツキー「…おい、ランニング中になにもの思いにふけったような顔してんだよサニャ。てか、今日監督は…?」

サニャ「・・・あ、ああ。なんでもFAでカンファレンスがあるらしくそっちに顔出してからって話だ」



ふ~ん…というロシツキーの気の無い返事をかき消すように、練習グラウンドの入り口からけたたましいエンジンの爆音が鳴り響いた。




宮市「た・・大変です・・・!!練習場にフーリガンが・・・!!」






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ロン毛『なんだか無償に懐かしいゼ・・・この青くせぇ芝の匂いがよ(ペッ!)』





リーゼント『おいロビン、こんなとこ来て何するつもりだ…?』





ロン毛『決まってるじゃねぇか・・・・フットボールだよ(ニヤリ)』







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ジルー『オイ!てめー! 革靴でピッチの中に入るんじゃねー!』

ポドルスキー『・・・さっき吐いた唾・・・拭けよ』





ロン毛『オイそっちのデカいの・・・リーグアン得点王だか知らねえがオメェみてえな木偶の坊にここのCFが勤まるのかよ?』





ジルー『うるせー!今季開幕から絶好調だっつーの!!』





アルテタ(果たしていつまで続くかは疑問だが…)








フェルメーレン『久しぶりだな・・・・・ロビン





ロン毛『チッ・・・キャプテンのお出ましか』





ジルー『え・・・?キャプテン、コイツと知り合いなんすか?』





ロシツキー『俺達の世代でロビンを知らない奴はいないさ…。
プレミア得点王に年間最優秀選手、あの当時はコイツにパスさえ出しとけば何とかしてくれたもんだよ』






ロン毛『下らない昔話は止めろ・・・!!』






ジルー『そんな凄い奴がなんでこんなところに・・・』






ロシツキー『あの頃、ロビンはタイトルに飢えていた。それで皆了承の上、名門に移籍したんだ』



サニャ『それで移籍1年目で見事にプレミアのタイトル獲得。ところが翌年、監督が変わり、サッカースタイルも変わり・・・・気が付いたらロビンのポジションには見慣れないアフロの大男が立っていた。その後の詳しい話は俺も聞いてなかったんだがまさかな・・・』






ロン毛『うるせえ!つまんなくなったから辞めただけだ!
こんな・・・ただボールを蹴っ飛ばしてひたすら走るだけの球蹴りじゃねえか!くだらねぇ』





ラムジー『ロビンさん・・・一番過去にこだわってんのはアンタだろ』






ロン毛『・・・!!』








ベントナー『大人になれよ・・・ロビン』
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一同(お前もな・・・!!)









ロン毛『クソッ!クソッ!ぶっ潰してやるよ・・・こんなクラブ!』







その時、練習場に到着した一台の車からスーツ姿の紳士が降りてくるのが見えた。




ベンゲル『これは・・・何事かね?』





ロン毛(ドクン・・・・)





~鮮やかに蘇る走馬灯~



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Ohhhhh!!What a goal !! ファンペルシーがまた決めた!!





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ガナーズのエース!!今日もハットトリックだ!!





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ブリリアント!!! これは後世に語り継がれるであろう見事なゴール!!




ダウンロード
(ベンゲル監督・・・・・)







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ロビン『ベンゲル監督・・・・・・・・


















パスサッカーが・・・したいです』
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【NO MORE 脳筋サッカー】
『シアターオブドリームスにフットボールを…!!』
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時代に乗るリバプールと取り残されるユナイテッド ~リバプール×マンチェスターU~

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<時代に乗るリバプールと取り残されるユナイテッド

『フットボールは生きるか死ぬかの問題ではない。それよりももっと重要な問題だ』

そんな素敵な名言を残したのは今からおよそ50年前にリバプールの黄金期を築いた伝説的名将ビル・シャンクリーだが、
この度のナショナルダービーは彼の生誕100周年という事で試合前に盛大なセレモニーが行われた。

こういうところに本場イングランドの歴史と伝統を我々は垣間見る訳だが、
「歴史を重んじる事」と「過去に囚われる事」には近いようで大きな違いがある。

現代サッカーでは過去の成功体験に縛られ時代から取り残される者には必ず淘汰される運命が待っているのだ。

そんな教訓を教えてくれた今回のナショナルダービーを今日は徹底的に検証してみたい。


【マンチェスターU×リバプール】
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ホームのリバプールはプレミアでも最近逆にめずらしい(?)4-4-2。
(但し、2トップの一角アスパスはプレーエリアも広く、頻繁に中盤へも降りてくるので4-2-3-1と言っても差し支え無い。)

スアレスは例の事件による出場停止がまだ続いているが、
スターリッジとコウチーニョの覚醒に加え9番を託された新戦力アスパスがフィットすれば充分その穴も補えるだろう。

加えてこちらも新加入のGKミニョレは開幕戦でチームを救うPKストップから完全に波に乗り、目下神がかり的なパフォーマンスを継続中。
一気にプレミアナンバー1GKの座を狙うところまで駆け上がってきた感もある。

ちなみに「こやつ一体何者…?」と思って調べてみたらベルギー代表だった模様。
またもや【欧州最強チーム=ベルギー代表説】が一歩真実に近づいたか(笑)
(マジで最近のベルギーはチート過ぎるwwww)


対するユナイテッドは香川ベンチ外というまさかの仕打ちに日本のファンも激おこぷんぷん丸状態。
(日本の民放で中継が入ってたら危うく香川カメラを無駄にするところだったYO!)

しかもルーニーも練習中に負った頭部の負傷により欠場ときたもんだ。
(植毛でもミスったか・・・?)

そんな事情もありトップ下にはウェルベックが入って、
これはもうスウォンジーの兄貴分であるロジャースのリバプール相手に開幕戦同様、前プレでいてこましてやれ…!!という腹積もりですね。


<外されたユナイテッドの前プレ>

という訳でまずは試合の流れを左右しそうなユナイテッドの前プレが機能するか否か…?について検証していこう。

ちなみに昨季、プレミアリーグ第22節で当たった「ユナイテッド×リバプール」の一戦では
まだぎこちないパス回しでビルドアップを図るリバプールに対しユナイテッドの前プレがよく機能して快勝をものにしている。

【昨季12/13シーズンの試合からユナイテッドの前プレを検証】
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試合は昨季12/13シーズンのナショナルダービーから。
局面は右から左へ攻めるリバプールのビルドアップに対し、ユナイテッドが前プレを仕掛けていく場面。

リバプールはビルドップ時、両SBを高い位置に上げてCB(アッガー&シュクルテル)が大きく横に開き、
降りてくるボランチ(アレン&ルーカス)と絡んでボールを運んでいく。

ところがこの試合ではユナイテッドのボランチが自信を持って高い位置からリバプールのボランチへプレッシャーをかけていた。

何故ならばルーカスのビルドアップ時の貢献度の低さを見抜き、
中盤が数的同数ならば縦に大きく蹴ってくる事のないロジャースのサッカーには強気の前プレで行けるというファーガソンの確信があったからだ。


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実際にこの場面でもアッガーからタテパスを受け取ったアレンに対し、次の展開が用意されていない。
(ルーカスもビルドアップに上手く絡めていない)

結果、背後からキャリックに寄せられたアレンはここでボールを失い、決定的なピンチへと繋がっている。


・・・なるほど、これならモイーズのプランもあながち的外れという事もあるまい。
というよりルーニー不在でチャンスを作ろうと思ったらこれが一番現実的な話になるのだが(^^;

では満を持して今季のナショナルダービーからユナイテッドの前プレとリバプールのビルドアップを見ていこう。


【13/14プレミア 外されるユナイテッドの前プレ】
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局面は右から左へ攻めるリバプールのビルドアップ。

左右に大きく開いたCBの内、右のシュクルテルからの展開だがここには1トップのVペルシーがプレスをかける。

続いてパスの受け手であるルーカス&ジェラードのボランチをトップ下のウェルベックが1人で見る形になっているが、
これではどちらか1枚が空いてしまうので簡単にフリーのルーカスへ繋がれてしまう。


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パスを受けたルーカスにはすかさずウェルベックが向かうが、となると今度は当然ジェラードの方が空いて簡単にいなされてしまう。


一体、ユナイテッドのボランチはどうした・・・?というと実はこの時、中盤では予想外の事態が起きていた。↓


【ロジャースが仕掛けた前プレ外し】
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本来4-4-2のリバプールと4-5-1のユナイテッドが噛み合えば中盤では必然的にリバプールが4対5で数的不利になるのだが、
ロジャースはユナイテッドの前プレ戦法を見越して攻撃時、ヘンダーソン、コウチーニョの両SHを高い位置まで押し上げ、逆に2トップは中盤まで引いてくるという変則的なオプションを用意していた。

これでリバプールは2-6-2のような布陣になり、ユナイテッドのDFラインは両SHが引っ張って中盤で数的優位を築く事に成功。

・・・そう、これはペドロとアレクシスの両WGが相手のDFラインを引っ張ってメッシが中盤まで降りてくる、かの有名なバルサ式の亜流ですね。

これによりユナイテッドのボランチ(キャリック&クレバリー)は引いてきたアスパスとスターリッジもケアしなければいけなくなり、昨季の対戦時のように強気に前プレという訳にはいかなくなってしまった。


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実際にこの場面でもジェラードにボールが渡ってから一つ遅れてキャリックが向かっている。

何故なら背後にいるアスパスの存在が気になっていたからであり、
ここでもキャリックがジェラードに当たりに行った事で今度はクレバリーがアスパスに付くべきか、
背後のスターリッジをケアするかで迷いが生じている。


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お陰で中盤でフリーでパスを受けられたアスパスが余裕でボールを運べる場面を演出。

ロジャースはしっかりと昨季の反省を活かしているし、
ルーカスも以前と比べるとだいぶボールを動かせるようになった成長も大きい。

前回の対戦からおよそ8ケ月、時は確実に流れているのだ-


<リバプールのインテンシティ>

さて、こうなると苦しいのがユナイテッドである。

自分達の前プレが空転させられた上に今度は逆にリバプールの素早いプレスに晒されてしまったからだ。

そう、現在のリバプールは非常に攻守の切り替えが速いチームに仕上がっている。

【リバプール 攻⇒守への切り替え】
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局面はスターリッジのドリブル突破をヴィディッチが決死のスライディングで防いだ場面。

ここで攻守が入れ替わる。


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このボールをクレバリーが拾い、一気にカウンターへ。ここで一つギグスへタテパスを入れる。


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ところが、ここでルーカスの寄せがメチャクチャ速い

とにかくこの試合でも守備では効きまくっていたルーカス。
個の力でボールを奪いきれるボランチという意味では現在のプレミア・・・いや世界でも屈指のプレイヤーだろう。

日本でも最近は「ボールを奪う力」に対する関心が高まっているが、プレミアは伝統的にこういう選手が正当に評価される土壌がある。これも歴史の差だろうか。


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このスピードで寄せられてはさすがのギグスも前を向くのは不可能だ。

ここは大人しく一旦後ろに下げるしかない。

(こういうカウンターの時は、とにかく相手に1本でもバックパスを出させてなるべく攻撃を遅らせるのが鉄則)


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後ろに下げられたパスがキャリックを経由して再びクレバリーの元へ。

ここでもコウチーニョのプレスバックが凄まじい。
ルーカスが相手に1本バックパスを挟ませている隙に全力で帰陣していた。

インテル時代、守備になったらあとはもっぱら鼻クソをほじりながら傍観しているだけだったあの男が…である!


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ルーカスの寄せとコウチーニョの帰陣により、ユナイテッドはもはやカウンターどころではなくなっている。

ここでもクレバリーはまずマイボールを失わないプレーへと切り替えた。


・・・いかがだろう?リバプールが見せたまるでドルトムントのようなインテンシティの高さは。

ロジャースが目指しているのは恐らく昨季のCL決勝に出ても恥ずかしくないレベルであり、
ポゼッション時に見せたバルサ式の亜流と合わせて確実に時代の波に乗ろうとしている。

片や中盤にギグスを起用している事からも分かる通り
ユナイテッドは攻守のテンポという点でどうしてもリバプールに遅れをとってしまう場面が目立った。


<キック&ラッシュでは・・・>

さて、試合の方では前半4分にCKからリバプールが先制。

前プレは空転させられ、ルーニーもいない中、ここからユナイテッドがどんな反撃を見せるのかと思って録画で見返した際、
試しにユナイテッドの間受けの数をカウントしてみたのだが、果たして貴方は前半いくつの間受けがあったと思うだろうか…?


答えは・・・である。

そう、前半を見る限りただの一度としてユナイテッドの攻撃に間受けは生まれなかったのだ。

ユナイテッドはリバプールの素早いプレッシャーに晒された事もあり
「苦しくなったらコーナーフラッグ目掛けて蹴りこめ」のキック&ラッシュを地で行く30年前のサッカーへ逆戻り。
両サイドではひたすらシャトルランが繰り返されていた。

例えば先制点を生むキッカケとなったCKはAヤングが自陣での不用意なドリブルを奪われた事が原因だったが、
この日のヤングはボールを持つたび何の考えも無しにドリブルで突っ込むので単調なサッカーへの流れを加速させていた感が強い。

実際の試合から見てみよう。

【Aヤングのプレー】
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局面は左から右へと攻めるユナイテッドのヤングがボールを持った場面。

ここではヤングに無数の選択肢があり、どれが正解とは言い切れないが
例えばVペルシーにクサビを入れてリターンを受けるポストプレーなど色々な可能性が見えてこよう。


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ふあっ…!? ドリブルで単騎突破…だとっ!?

確かに色々な選択肢があるとは言ったが、敢えて中盤の密集に向かってドリブルという選択は完全に斜め上を行かれたわwww


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案の定、ルーカスにボールをカット・・・されたと思いきや、
ヤングはそのまま身体をぶつけて力づくでボールを前に掻き出してしまったwww


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…で、最後はジェラードに身体を寄せられながらも泥臭く前にパスを出すと抜け出したウェルベックがこれまたゴリゴリッとしたドリブルから力づくでシュートまで持って行くという。(^^;

う~ん・・・何という脳筋サッカーwww 

確かにこの場面ではゴリブルの力押しでシュートまで持っていけたけれども
しょせん駆け引きの無い攻撃ではディフェンスの裏を取れず限界があるというもの。

(さすがにこの日のヤングの出来なら「香川でもよかったのでは・・・」と思わず喉まで出かかったww)


そして、この脳筋サッカーに引っ張られるようにユナイテッドの選手達は益々サイド攻撃へと意識を偏重させていく。

それは例えばこんな何気ないプレーにも現れている↓

【クレバリーの視野】

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局面は中盤でこぼれ球を拾ったクレバリーのプレーから。

「ボールを持ったらまずサイド!」に意識が傾いているクレバリーは、最初から右サイドの方しか視野に入れていないが、よくよく見ると中央のウェルベックには間受けへと繋がるタテパスのコースが空いているのが分かる。


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必ずしもサイドへの展開が間違いとは言い切れないが、中と外を見た上で選択した判断と最初から外しか見ていなかったプレーとではそこに大きな違いがある。

仮にこれがキャリックだったら中のウェルベックは必ず視野に入れていたであろう。


<「プレミアなら勝てる」という幻想>

それでも試合は後半、リバプールの運動量が落ちた事と1点リードしているので中盤を厚くして(スターリングを入れて4-5-1へ)迎え撃つ守備に切り替えた事で次第にユナイテッドがボールを持つ時間が長くなっていく。

だが尚もユナイテッドはサイド一辺倒の稚攻を繰り返すばかりで一向にチャンスは生まれないままタイムアップ。

前線で待つVペルシーも明らかにイラ立ちを募らせており、
終いにはサイドに流れて自ら局面を打開するアシスト役に回る始末だった。

一方、古巣ではウィルシャー、ラムジーの成長にカソルラのブレイク、
更にはエジルまで加入というラストパス充だというのに…。

Vペルシーどうしてこうなった・・・・ ○| ̄|_) 


要するにユナイテッドはルーニーが不在だと【キャリック×ルーニー×Vペルシー】のセンターライン(これがチームの生命線)が前後に切り離されて攻撃に1本筋が通らなくなってしまうのだ。
(結果、エースのVペルシーは前線で孤立)

そこで、ちょっと実際の試合から一つの可能性を検証してみたい。


【ユナイテッドの攻撃から別の可能性を検証】
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局面は左から右へと攻めるユナイテッドのビルドアップから。

ここはCBのファーディナンドから教科書通りのサイド迂回ルートを通って右SBのPジョーンズへパスが出たところ。


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…で、このパスを受けたPジョーンズからSHのギグスへ


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パスを出したPジョーンズも教科書通りのパス&ゴーでギグスからのリターンパスを受ける


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リターンを受けたジョーンズはエンリケに進路を塞がれた事もあり中へのカットインへドリブルコースを切り替えるが、
これはジェラードの方へおびき寄せて2対1の数的優位を作ろうというリバプールの罠。

ここでジョーンズはボールを奪われてしまい攻撃は終了。


うん・・・決して悪くは無い。

右SBがジョーンズという事でそもそも攻撃力が低い事も合わせて考えれば一応教科書通りサイド突破の形は作れている。

だが、同時にやはりこれ一本槍では守る側に読まれてしまっている感も否めないだろう。


そこで・・・だ。

場面を一つ巻き戻してみて、こんな可能性もあったのではないか…?という可能性を検証してみたい。

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それは例えばジョーンズからギグスにパスが出た場面で
ピッチ上に香川がいたらどうなっていたか…?という可能性だ。

まずこの場面、リターンを受けるジョーンズから一旦視野を前線へと向けてみると別の顔が見えてくる。

つまり1トップのVペルシーとトップ下のウェルベックとが完全横並びの2トップ状態になっているという点だ。

これだとクロスが入った場合の標的という点では有効だが、中央突破を考えた時にはタテパスのコースを一つ減らしてしまっている事にはならないだろうか?
(加えて前線が横並びなのでVペルシーとウェルベックのラインにギャップがなくそもそも間受けが消失)

こういう場面で、香川が最も得意とするのが相手DF3枚の間(トライアングルの中間)に入り込んでの間受けである。
そこでは単純にジョーンズへリターンパスを出すより遥かに危険な場面が生まれていただろう事は想像に難くない。

そしてこれこそが現代サッカーにおける間受けの重要性と言えよう。
仮にサイドのジョーンズにパスを出すとしても、一つ前に香川の間受けで相手を中に絞らせてから出していれば
ジョーンズもフリーでクロスを上げられていた可能性は高い。


ちなみに私はチェルシー戦で香川を使わなかったモイーズの判断には理論的に整合性があり、基本的に支持する意向を以前の記事にも書いた。
何故ならあの試合にはトップ下にルーニーがいて、サイドにはアザールを消す為の守備力と運動量が求められたからだ。

・・・だが、ルーニーがいないとなれば話は別だ

チーム全体のバランスを考えた時、勿論攻守のバランスも重要だが
何より今のユナイテッドでは【Vペルシーまでどうボールを運ぶか?】を考えるべきで
キャリック発⇒ロビン終点のラインをどう繋げるかが目下最重要課題と見る。

現状ルーニーというスーパーな存在が守備のバランスを崩さずに中盤ではキャリックとVペルシーの橋渡しもし、
尚且つ自ら得点まで奪うというチートな役割を担っているが、
この内「守備のバランス」と「得点力」は他で補えても「橋渡し」の部分を担えるのはもはや香川だけだろう。

そして恐らくファーガソンはその事にいち早く気が付いていた。

なんでもこの試合後に「今までの3戦の中では一番出来が良かった(キリッ!)」というコメントを残したらしいモイーズの事、
今のやり方の限界に気が付く頃には恐らくプレミア優勝には取り返しのつかない勝ち点を失っているだろうが
それでも長期的な視点で見ればなだらかにチームを向上させていく事が出来る監督として今ファンに求められるのは「忍耐」の二文字かもしれない。


もし現状のモイーズサッカーでプレミアを獲ろうと思ったらサイドにCロナウドの突破力か
もしくは中で合わせるのがVペルシーとニステルローイの2トップ…という具合でない限り厳しいと思われる。

思えば20年ほど昔、当時プレミアのタイトルを欲しいままにしていたユナイテッドは
右からベッカムの高精度クロス、左にはキレッキレのギグスがいて、中で合わせるのがヨーク&コール(もしくはニステル)だった。

他のチームも皆ユナイテッドと同じ4-4-2の真っ向勝負で来るものだから、
それぞれのポジションの個の力で優位に立つユナイテッドが勝つのは極当たり前の論理と言えよう。


それが今や時代は移り変わり、プレミアでも4-4-2は減ってきているし、
スウォンジーやロジャースのリバプールなどパスサッカーに特化したスタイルも現れた。
ましてやチェルシーにはあのモウリーニョもいる。

そう考えるとユナイテッドがこれまで「プレミアでは勝てるがCLでは限界がある」とされてきた従来のスタイルは
もはやプレミアでも通用しない時代になってきているのかもしれない。


つくづくフットボールとは残酷な世界だ。

そこでは少しでも進歩の歩みを緩める者に未来はなく、ロジャースのように常に進化し続ける姿勢が求められている。

もしかするとそれはサッカーにあまり馴染みの無い人間から見たら、一種狂気のように映るかもしれない。

何故なら彼らが身に宿す信念こそはかつてのビル・シャンクリーそのものなのだから-


『フットボールは生きるか死ぬかの問題ではない。それよりももっと重要な問題だ』



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モウリーニョとグアルディオラ第二幕 ~UEFAスーパーCUP チェルシー×バイエルン~

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<モウリーニョとグアルディオラ 第二幕>
~UEFAスーパーCUP チェルシー×バイエルン~


今週は国際Aマッチデーでリーグ戦はお休み。
この隙にプレミアのビッグマッチ他を片付けてしまいたいところですが、
まずはモウリーニョとグアルディオラの再会となったUEFAスーパーCUPをスルーする訳にはいきません。

インテルとバルサによるCLでの激闘、そして数々の名勝負を生み出したクラシコと
あの頃、間違いなくペップとモウリーニョによるせめぎ合いが近代サッカーの戦術を発達させた時代がありました。

今度はチェルシーバイエルンにそれぞれチームを一新しての再会が一体どんなケミストリー(科学反応)を起こすのか-


【チェルシー×バイエルン スターティングオーダー】
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チェルシーはDルイスが復帰してようやくベストメンバーが揃ったところ。
ユナイテッド戦では不慣れなCFを任されていたシュールレもこの日は本来の持ち場で見違えるような働きを見せていた。
トップにはカップの懸かったタイトル戦に出しておけば「不敗」というラッキーアイテム、Fトーレスを起用。
(しかしマタと香川が干されるリーグとか一体どうなっとるんだ・・・(^^;)


対するバイエルンはペップのサッカーで核となるアンカーポジション(4番)をこれまで任せてきたシュバインシュタイガー、チアゴが揃って欠場中。(更にハビマルも負傷中でベンチスタート)
第三候補のサードチルドレンとしてこの試合ではクロースが抜擢された。

代わりにクロースがいつも入っている中盤のポジションにはペップが就任時から「この選手ならどこを任せても大丈夫」と太鼓判を押すラームが任されている。
彼にとって今季はユーティリティープレイヤーとして開花するキッカケを掴むシーズンになるかもしれない。

一方でペップはプレシーズン中に散々0トップの適任者探しに奔走してきた訳だが
あまりに早急な改革がチームに与える混乱と、そもそも適任者を見つけ切れなかった事を踏まえ、
マンジュキッチを従来のCFに戻して「0トップ戦術」に関しては一旦後回しにしている。


<揺れるペップ 迷い無きモウリーニョ>

ペップが0トップを後回しにしてまで今手をつけているのがチームのベースとなる戦略、
「ティキタカのパス回し」「中央突破のルート開拓」である。

この2つはセットのようなもので、要するに昨季まで鬼のサイド突破(リベリー&ロッベン)を最大の武器としていたバイエルンに間受けからの中攻めを攻撃の柱の一つに加えようというのがペップの目論見だ。

ところがペップが成功したバルサ時代の中央突破もそもそもメッシという類稀な天才の存在が密接に関わっており、
マンジュキッチには「0トップをものにしろ」とは言わないまでもそれ相応の働きというものが求められる。

だが、あのセスクでさえメッシの代役には荷が重かったというのだから、
これがマンジュキッチとなればその結果は推して知るべし。

では実際の試合からバイエルンの間受けと中央突破にマンジュキッチがどのように絡んでいるかを検証してみよう。


【マンジュキッチとティキタカ】
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局面は右から左へと攻めるバイエルンの攻撃。

今、中盤でアンカーのクロースから間受けを狙うミュラーへタテパスが出されるところ。

(この2人の中盤での位置関係とパスルートは昨季のバイエルンには無かったもの)


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間受けに成功したミュラーからバイタルエリアへ出されたパスを受けるのがマンジュキッチである。

(ペップのサッカーではまさにこの瞬間が攻撃のギアがトップに入るタイミング)


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本来、ここでボールを受けたのがメッシであればターンしてのメッシ無双発動。
そのままタテに突破するかチェルシーDF陣を引き付けてから裏に抜けたミュラーへラストパス。
いずれにせよここからGKと1対1という決定機を作らなければいけない場面である。

ところがマンジュキッチには個でボールを運ぶスキルが無いので、
結局サイドへはたくか後ろへ落とすかのポストプレーに終始するしかないのである。

この場面でもマンジュキッチはサイドへの展開を選ぶが・・・


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モタついている間に完全に意図を読まれていたランパードにパスカットされる始末。

これだったら最初からサイドの迂回ルートで突破するし、
元々出来るチームなんだから「最初からお前はゴール前で待っとれよ」という従来のサッカーになってしまう。

要するにクロース⇒ミュラーのラインで間受けを成功させても、
その先のFW陣の並びを妥協して旧来のものにしているから正当な対価を受け取れない攻撃システムに陥ってしまっていると言えよう。


結局、バイエルンの中央攻撃はシュートもしくはラストパスまで至らないので
結果としてどこかで中途半端な奪われ方をして終わる事になってしまう。

そうなると両SBを高い位置まで上げているだけでなく、
アンカーポジションに決して守備の得意な選手を置いている訳でもないペップのチームは一転して守備の脆さを露呈する事に。

ちょっと実際の試合から観ていくとしよう。

【カウンターへの脆さ】
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局面は右から左へ攻めるバイエルンが一度チェルシー陣内深くまで攻め込んだ後にパスをカットされたこぼれ球がオスカルの前にこぼれた場面。

本来、こういう場面ではアンカーポジションに入る選手が味方の攻撃中から守備になった場合を考慮したポジション取りが求められ、
ブスケスであれば予めオスカルともっと近い距離を取っていた事は間違いないが、
クロースは明らかにオスカルの方がボールに対していいポジションにいるにも関わらずボールが出てから無理に潰しに向かう流れになってしまっている。

(仮にこうなってしまった場合、ブスケスは相手陣内で速やかにプロフェッショナルファウルを行い、カウンターの芽を摘む最終手段を取る)


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案の定無理に飛び出したクロースは一発でオスカルと入れ替わられ・・・


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こうなるとクロースはファウルも出来ないままオスカルに独走を許す事になり、
元々バイエルンはクロースの後ろにCB2枚(ボアテング&ダンテ)しか残っていないのでこのままズルズルと後退守備を余儀なくされ・・・


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無抵抗のまま自陣で3対4の数的不利で守備を強いられている。

これが今季、バイエルンが見せるカウンターに対する脆さであり、
ブンデスでは下位チーム相手にもちょくちょく危ないシーンを作られてしまっている。


無論、これで助かったのはモウリーニョだ。

ユナイテッド戦では相手にしっかりと引かれてスペースを消された為に
遅攻のメカニズムを持たないチェルシーは攻撃で沈黙を余儀なくされたが、
このように不用意に前へ出てきてボールを失うチームは格好の餌食だ。

早速、前半8分にカウンターから右サイドを破ると最後は「幸運を呼ぶ男」トーレスが決めてチェルシーが先制。

理想の追求と現実との妥協の間で揺れるペップと
勝手知ったる庭と選手の元、最初から実利のみを追求できるモウリーニョとの明暗が分かれた前半となった。


<鉄壁のモウナチオ>

そもそもペップが苦戦を強いられた理由は自軍の不備だけでなく、
敵将モウリーニョが敷く守備戦術が元々バイエルンの現状と大変相性が悪い代物であった事も間違い無い。

先日のユナイテッド戦のマッチレビューでも散々検証したが、
守る側にとって危ないエリアから優先的に消していく見事な連携と中を閉めるブロック守備、
すなわちモウナチオはメッシのいない中途半端な中央攻撃でこじ開けられるものではない。

では実際の試合からこのモウナチオとバイエルンの中央突破が繰り広げる攻防を一つ検証してみたい。


【鉄壁のモウナチオ】
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局面はバイエルンが右サイドで起点を作ってからCFのマンジュキッチにタテパスを入れる場面。

モウリーニョのチェルシーは守備時4-4-1-1のラインで後ろに4-4の2ラインブロックを形成するのが基本。

加えてここでは相手の左サイドからの攻撃に対し、
守備の優先順位としてより危険な中を閉めて安全な逆サイドのスペースを空けるという意思統一の元、
ボールから逆サイドのSHシュールレがここまで中に絞って来ているところにモウリーニョイズムの息吹を見るのである。

(マタだとこういう場面でちょくちょく甘さが出る事があるから、それも使わない理由かな~?(^^;)


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チェルシーはマンジュキッチへクサビのタテパスが入ると当然優先順位の最も高いボールへは
CBとボランチが挟み込んで絶対に前は向かせないという構え。モウナチオといったらこの挟み込みだよね!
(心無しかラミレスがマケレレに見えてきて思わず涙目ww)

苦しいマンジュキッチは後ろのロッベンへ落とすしかない。


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落としを受けたロッベンにもあっと言う間に3枚が壁となって中を切り、ロッベンにタテへのドリブルを許さない。
仕方なくロッベンはフォローに顔を出したラームへボールを預ける。

と同時にCBのDルイスが前に飛び出した事による青丸のスペースがどうなっていくかにもご注目いただきたい。


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ここで先程のシュールレの絞りが利いてくる!

最初の段階であそこまでシュールレが絞っていたのでここでもラームに中への展開を許さず前を向かせていない。
こうなるとラームはサイドのアラバへまたしても横パスを迂回させるしか選択肢が無いのだ。

と同時に先程Dルイスが空けたスペースはAコールが絞って埋めて後ろのDFラインを3枚で再構築させている。

この徹底して危ないエリアから埋めて⇒相手の攻撃を危険度の低いエリアへ誘導、迂回させるという守備はモウリーニョの真骨頂だ。


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結局、ボールは一旦後ろへのバックパスを挟んで左のアラバへ。
バイエルンはマンジュキッチに入れたタテパスのあと後ろ⇒横⇒後ろ⇒横とかなり手数をかけさせられた上に逆サイドまで迂回させられている。

勿論、バイエルン(ペップ)の狙いは中央突破だった訳で、ボールこそ失ってはいないがもはやこれは失敗に近い。

しかもチェルシーはバイエルンの攻撃を迂回させている間にDルイスが自分のエリアに戻って既に4-4の守備ブロックを再構築済み。
(そして一旦この2ラインが出来てしまえば外からクロスを入れられる分には鉄壁の空中戦で必勝!)

加えて何故あれだけシュールレが中に絞っていたのにも関わらず迅速に4-4のブロックが再構築出来たかと言えば、
空いたシュールレのエリアをオスカルが埋めているからである。

一つ前の場面でDルイスが空けたエリアをAコールが埋めたように、
まずボールにキツく行って⇒中を閉めつつ⇒空いたエリアは誰かが代わりに埋めるというこの一連の連携・・・

モウナチオの完成度早過ぎんゴwww


終いにはペップのバイエルンが前半は中攻めに躍起になっていた事もあり、これに対応するチェルシーの2ラインが・・・


【超中絞りの4-4ブロック形成】
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横幅15Mブロックwww フォークダンスじゃねえんだぞ!この距離感www

これじゃあ中央突破は無理っすね・・・(^^;


<理想を捨てたペップの追い上げ>

結局、前半は1-0、チェルシーリードのまま終了。

モウリーニョからすると相手に「メッシはいない」「中央は完全に閉めた」「サイドからクロスを上げさせておけば跳ね返せる」という事でユナイテッド戦と同じ流れを1点のリードを持って進められる事になる。
このまま試合をクローズさせれば勝ちはもらったも同然だ。

しかしペップは後半、理想は捨てて実利を取りに来た。

つまり・・・「戦術ロッベリー」の解禁だ。
(合わせて負傷中のハビマルをアンカーに入れてラームも本来の位置に戻した通常営業の布陣へ)

ユナイテッドのサイド攻撃とバイエルンのそれとが違うのは
彼らはクロスを上げるだけでなくリベリーらのカットインシュートというパターンがあり、
しかもそれが大変凶悪な破壊力を秘めている…という事である。

元々、1on1の機動力ではリベリーに対抗できないイバノビッチはドリブルについていけず、
しかもチェルシーは攻撃時アザールとシュールレの両翼の位置を入れ替えたりしていたので
イバノビッチの前が守備の弱いアザールの時にリベリーに仕掛けられるともはや打つ手無し。

慌ててモウリーニョが両サイドのポジションチェンジを禁止させ、
シュールレを右に固定するもイバノとシュールレの2人がかりですらこの欧州最優秀選手(リベリー)からボールを奪うのは困難であった。

バイエルンは後半開始早々の47分にリベリーのカットインシュートから同点に追いつく。

こうなると一転、下手に格好つけた攻撃の形を追わなくなったバイエルンが開き直った強さを見せ始めるのだからサッカーとは分からないものだ。

元々戦力充のバイエルンが個の力でゴリ押ししてくるとチェルシーは次第にファウルが嵩み出し、
86分にラミレスが2枚目の警告を受けて退場。

この試合は同点の場合延長戦もあるのでこれで終わりという訳にはいかないモウリーニョは
シュールレを下げてミケルを投入し4-4-1の10人で120分まで戦う苦しい展開に。

ところが延長前半3分、アザールが左サイドでボールを受けると味方のフォローもなく1対3のいわゆる「何も生まれない状況」から
単騎突破で3人をぶち抜いてノイアーが守るゴールにミドルシュートを突き刺すという離れ業をやってのける。

これで再び1点のリードを得た10人のチェルシーは完全に守り切りの体勢に入ると試合はバイエルンのシュート練習へ。

最後はテリーまで投入しての5バックで懸命に跳ね返し続けたチェルシーだったが延長後半ロスタイムにパワープレーから追いつかれてPK戦突入。

もはや力の残っていないチェルシーに対し、一昨シーズンのCL決勝のリベンジに燃えるバイエルンがこのPK戦を制して120分の激闘をものにした。


<それぞれの立場>

改めて試合を振り返ると前半はチームは変われどそれが「ペップ×モウリーニョ」の戦いである事を充分に感じさせるものであったが、
後半はお互いに相手の事を意識するよりもまずは自チームが置かれた状況に即した戦い方へと重点が移り、
これがあくまでシーズン序盤のスーパーCUPに過ぎない事を再確認させられた次第。


結局バイエルンの2得点にしてもペップが意図した形では生まれていない。

試合が戦術的に膠着状態に陥った展開で、決め手となったのはリベリー、アザールら「個の力」であった。

バルセロナがネイマールをマドリーがベイルを加えた事と合わせて考えると今季の興味深いトレンドが見えてくるかもしれない。

又、今回はPK戦決着という事で是非とも両者のリターンマッチを望みたいところだが、これは案外早く叶えられるかもしれない。
因縁大好きのUEFAさんがCL決勝トーナメントの1回戦か2回戦あたりで早速組んでくれるだろうからだ(笑)

半年後にそれぞれのチームの形が見えてきた頃、この両者の再戦がどうなるかは大変興味深いところ。


一方でペップが懸命に理想を追いつつもギリギリのところで現実と折り合いをつけながら序盤をやり繰りしているのに対し、
ファーガソンから受け継いだチームで最初から実利のみを追っている指揮官もいる。

これは今の段階でどちらが良くてどちらが悪いという結論は出し得ない、それぞれの監督が置かれた立場の問題だ。


最後に誰が正しかったかはシーズンが終わる頃に結論も出よう-




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13/14 CLグループリーグ展望

「チャ~ンピオ~ン♪」

今年も各クラブのサポーターに悲喜こもごもをもたらしたCL組み分け抽選会。
こういう時ばかりは中立的な立場にいる第三者として上から抽選を見下ろすに限りますなーワッハッハッ(笑)

・・・おっと、煽ったつもりは無かったんですが
とりわけミラニスタとガナーズサポーターからは熱い視線をいただいた気もします。(爆)

そういう訳で早速今年も逆フラ・・・もとい、各グループの状況と個人的な予想に移ってまいりましょうか。




■グループA
マンチェスターユナイテッド(イングランド)
シャフタール・ドネツク(ウクライナ)
レヴァークーゼン(ドイツ)
レアル・ソシエダ(スペイン)


ムムッ・・・!?なんだこの微かに漂うモイーズ死亡フラグの香りは!?ww

ユナイテッドにとっては微妙に曲者揃いのグループが出来上がりました。

まずレバークーゼンはシュールレこそ抜けたとは言え残りの戦力は据え置きでエースのキースリンクも健在。
決して侮れる相手ではありません。

昨季リーガで大躍進を見せたRソシエダも司令塔イジャラメンディと指揮官のモンタニエが引っこ抜かれててっきり予備予選で落ちるパターンかと思いきや意外とチーム力は落ちておらず今季も健在。
グリーズマン&ベラの両サイドはロナウド&ベイルとかいうチートなチームを除けば現在リーガナンバー1の破壊力を秘めていますし、
司令塔シャビ・プリエトの渋いゲームメイクとスペイン代表でピケ、プジョルの後継者となるであろうイニゴ・マルティネスの堅守にもご注目。

そして大物食いの曲者と言えばCLではお馴染みの感もあるシャフタール。
とは言え、こちらはウィリアン、フェルナンジーニョ、ムヒタリアンが抜けたので昨季の"あのチーム"とは別物と考えた方がいいでしょう。
代わりに獲得したベルナールは現在ブラジル国内でナンバー1ドリブラーとも言われていた逸材なのでこの変態ドリブラーがブレイクすると面白い存在に。

肝心のユナイテッドはモイーズがCL本戦初出場というのが唯一にして最大の懸念材料か。
CLという大会でいかに経験がものを言うかはあの戦力充で有名な水色のライバルクラブが身を持って証明してくれています。
(マン○ーニ先生・・・。)

それでもシティと大きく違うのは選手達は欧州の舞台の酸いも甘いも噛み分けたツワモノ揃いなので恐らく大丈夫でしょう。
(いざとなったらコーチでありクラブの生きる辞書ことギグスコーチが何とかしてくれるはず…!!ww)


という訳で勝ち抜け予想はマンチェスターUとRソシエダで。




■グループB
レアルマドリー(スペイン)
ユヴェントス(イタリア)
ガラタサライ(トルコ)
コペンハーゲン(デンマーク)


まーここは馬単1点勝負。Rマドリー⇒ユーベの1着2着固定で手堅いレースでしょ。

それでもグループを面白くしてくれるとしたら内弁慶ガラタサライがホームでどれだけ勝ち点を稼げるかが重要になってきますが、
地元番町テリムがアウェイで望める勝ち点はどうせ0~3が限界です。
となると「地獄へようこそ」のホームで6~7の勝ち点を稼がないと2位以内は厳しいライン。

Rマドリーから1、ユベントスから3の勝ち点をホームでもぎ取れれば奇跡もあるが・・・現実的に考えて厳しいでしょうな(^^;





■グループC
ベンフィカ(ポルトガル)
パリ・サンジェルマン(フランス)
オリンピアコス(ギリシャ)
アンデルレヒト(ベルギー)


来たかっ!今年もUEFACUPが!(笑)

今年のPSGはカバーニ獲得に資金のほとんどを費やしたのかと思いきや、プラティニのポケットにも捻じ込んでいたとはね…!ww
どうせギアをローに入れたまま悠々と突破するんでしょう。
(イブラ!チアゴ!お前らはグループリーグ限定で古巣にレンタル移籍しろ!www カバーニ!お前もだよ!)

残る1チームも決勝がホームスタジアムという事でUEFAの計らいもあり、
ベンフィカをとりあえず決勝Tまで行かせてくれるんじゃないでしょうか。
(このチームの司令塔マティッチは欧州でも屈指のレジスタ!)




■グループD
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
CSKAモスクワ(ロシア)
マンチェスター・シティ(イングランド)
ビクトリア・プルゼニ(チェコ)


出来ればこのグループで本田を見たくは無かった・・・。○| ̄|_

その本田に関しては「量産型マルティンス」みたいな新加入の若手ムサを手なづけているようで
プレーの選択肢がドリブルかシュートのコマンドしか出てこないドゥンビアよりは使いやすい模様。

とは言えCSKAは毎回CLでもそこそこ評価は得ているんですが、
僕はこのチームのクソサッカーを決勝Tで見たいとは微塵も思った事がありません(爆)

…となるとシティが遂に16強へ名乗りを上げる時が来たか。
昨季マラガの戦力でベスト8まで持っていったペジェグリーニならぬるゲーだな!

という訳でここも順当にバルセロナ・ミュンヘンシティの勝ち抜けと見る。




■グループE
チェルシー(イングランド)
シャルケ(ドイツ)
バーゼル(スイス)
ステアウア・ブカレスト(ルーマニア)


モウリーニョにとっては「両目をつぶったまま」でも突破出来るグループ。ここは問題無い。

問題は2位争いだが、ここは安定感に乏しいシャルケより
バルサのような一貫したプレー哲学と育成に定評のあるバーゼルを本命に推す。

昨季ELベスト4の実力は伊達ではなく、シュタインフェーファーとパクチュホが抜けても自慢のパスサッカーは不変だろう。

ステアウアは予備戦お疲れ様でした。




■グループF
アーセナル(イングランド)
マルセイユ(フランス)
ボルシア・ドルトムント(ドイツ)
ナポリ(イタリア)


このグループはまず組み分け抽選時のベンゲル監督の表情を追っていく事としよう。




『ポッド2・・・・オリンピック・マルセイユ・・・・グループF』



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ベンゲルキターーー!今年もベスト16は確実だお!
メシウマーーーー!!』






『ポッド3・・・・ボルシア・ドルトムント・・・・グループF』



odoroki0901.jpg
ベンゲル『・・・・!?』



ざわ・・・・ 

   ざわ・・・・・





『ポッド4・・・・・SSCナポリ・・・グループF』


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ベンゲルバカな・・・!?昨年だってシャルケ、モンペリエ、オリンピアコスみたいなクソグループをギリギリ勝ち点1差で何とか2位に滑り込んだというのに・・・・第一、今年も補強0で乗り切ろうとした私のプランはどうなる!?
ウチの選手名鑑を見てみろ!去年の焼き直しだぞ!?)



遂にアーセン・ベンゲルに試練が訪れました。
下手をするとEL行き・・・どころか最下位まであり得るグループです。

昨季準優勝のドルトムントは言うに及ばずマルセイユだって元々地力のあるチーム。
カバーニを放出したナポリはその資金による大量補強でむしろチーム力を上げた感すらありますし、
何より今季のハムシクはキレキレ過ぎてヤヴァイ!

個人的な予想では・・・僅差でドルトムントとナポリかなー…と(^^;




■グループG
FCポルト (ポルトガル)
アトレティコ・マドリー (スペイン)
FCゼニト (ロシア)
FKオーストリア・ウィーン (オーストリア)


CLにおけるポルトの安定感は異常。…という事でポルトはしぶとく2位以内には食い込んできそうです。

問題のもう1チームですが・・・「EL最強チーム」ことAマドリーにCLってイメージがほとんど無いんですがどうでしょう?(笑)
ただゼニトもパッとしないですし、シメオネ親分に闘魂注入されているアトレティコは決勝Tでも番狂わせを演じてくれそうで是非とも16強で見たいチームです。

ここは順当にこの2つですかね。




■グループH
FCバルセロナ (スペイン)
ACミラン (イタリア)
AFCアヤックス (オランダ)
セルティックFC (スコットランド)




ピンポ~ン♪


バルセロナ『おや・・・?こんな時間に誰だろ』




(ガチャ)





ミラン『ゴメン・・・また来ちゃった///』


完璧出来てるだろこの2人www

一部ミラニスタが「やられたらやり返す・・・倍返しだ!」と息巻いているとかいないとか噂の完全ネタグループですが(笑)、この組はジャンケンみたいな関係性が面白い顔ぶれです。

つまり、バルサにとっては自分達の兄貴にあたるアヤックスは同じ土俵で真っ向からポゼッション勝負してきてくれるので全く問題にならない…と。
むしろ昨季もあったようにセルティックのような最初から10人でゴール前にバスを止めてくるチームの方が断然やりずらい訳ですね。タテポンとセットプレーでゴールまで奪われるし・・・(^^;

反対にミランはアヤックスのような若くて勢いのあるチームにボールを持たれるのを苦手としていますが、
セルティックのように現実路線で来るチームには「その戦い方なら我々の土俵だ」という事で
カウンターにおける決定力の差と試合のクローズのさせ方という点でも大いに分があります。

となるとそれぞれが得意とするチームから勝ち点6、苦手とするチームからは3~4点を稼いで
バルサとミランの出来てる2人の試合ではお互いドローの談合試合で両者勝ち抜け…が規定路線ではありますが、
ここまで順当な予想ばかりだったので敢えてここはバルサとアヤックスの兄弟勝ち抜けを予想!

(もちろん完全なる僕の趣味予想で、ミラニスタの皆さんも「やった!今年も逆フラグや!」とむしろ喜んでくれるツワモノばかりだとは思いますがwww)




・・・と思ったらミランにカカ復帰だとー!?

ちょっとタンマ!予想撤回!撤回!www


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