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芸術の都フィレンツェと魅惑のパスサッカー ~フィオレンティーナ×ユベントス~

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<芸術の都フィレンツェと魅惑のパスサッカー ~フィオレンティーナ×ユベントス~

プレミアリーグファン及びリーガエスパニョーラファンの皆様、
セリエA強化週間シリーズもこれでラストですので今しばらくのご辛抱を(^^;

(次回からはクラシコとCLのマッチレビューに移るのでしばらくの間セリエは放置プレーとなる予定ですww)

というのも昨季から個人的にも推してきたつもりのフィオレンティーナをここらで一度やっておかねば…という使命感に駆られたのであります(笑)

何故、そんなにヴィオラを推すのかと言えば、まず都市とフットボールとの間にある背景が魅力的だと思うからなんですね。

ご存知の通り、このチームがホームとしている都市フィレンツェはレオナルドダビンチやミケランジェロとも縁の深い芸術都市で
それはピッチ上でもRバッジョやルイコスタらのファンタジスタが愛されてきた歴史と風土に表れています。

(その昔、日本で公開された「冷静と情熱の何たら…」とかいうクソ映画の舞台としても有名ww)


昨季、モンテッラが就任してからもチームはその期待に応えるように
「セリエAで最も美しい」と言われるサッカーを展開してきました。

「パスの為のパス」を延々と繋げられるバルサのサッカーと比較すると
元来イタリアのサッカーはゴールから逆算してパスも考える傾向が強かったのですがヴィオラだけは話が別です。

現在イタリアで最も美しいプレイヤーと言われるピルロでさえ、
一番評価されている点は【たった1本のパスでゴールに結びつく決定機を演出出来る】という事からも分かる通り、
やはりカルチョという文化の元では結果に直結しないものはあまり評価されないと考えるべきなのですが
モンテッラは周囲の雑音に惑わされる事なく己のサッカーを貫ける強いパーソナリティを持っています。

故に横パスとバックパスで相手を焦らして焦らしてスパッ!と一刀両断する快感がこのチームのサッカーには確かにあるんです。

勿論、昨季からその「異端」である事の強みが結果として結びついているからこそ今があるとも言えるんですけどね。


<イタリア(冷静)とスペイン(情熱)のあいだ>
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そんなフィオレンティーナのサッカーはイタリアとスペインのいいとこ取りを目指したものと言えるかもしれません。

バルサのサッカーも行き過ぎれば「パスを回す事が目的」となってしまい、これが典型的な負けパターンにもなっていますが、
他方で一直線にゴールを目指すサッカーも行き過ぎれば単調な攻めとなってしまいますし、
あまりに結果を重視した守備的サッカーも臆病過ぎればかえって「勝ち」を逃す失態にもなりかねません。

つまり理想的なサッカーのバランスとは色々な要素の中間にある訳ですが、
モンテッラはそれをイタリアとスペインの関係に見ているのかもしれませんね。

前置きが長くなったところで、それではいよいよマッチレビューに移っていきましょう。

【フィオレンティーナ×ユベントス】
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フィオレンティーナは3-5-1-1とも言える中盤を厚くした布陣でこの試合に臨みます。

最終ラインにSBも出来るロンカグリアとボールの持ち出しを苦にしないサビッチを両脇に並べた3バックは
明らかに「後ろから組み立てる」事を意図したものです。

ロッシを最前線に置いた1トップも中盤と絡ませる0トップ寄りの傾向が強いものと言えるでしょう。

3-5-1-1から3-6-1、そして3-7-0にもなり得るシステムがこのチームの性格を現しています。


一方のユベントスは中盤の要ビダルがW杯予選で連戦をこなした影響もあってベンチスタート。

代わりに今季はポグバの目処が立っているのが大きいですね。

2トップはテベス、ジョレンテという最強のポストワーカーを2枚並べたところから見ると
コンテはピルロ、ないしは最終ラインからのタテパスで直線的にゴールへ迫る事を意識したメンバーを組んできたと言えそうです。


<パスサッカーの負けパターン>

さて、試合ではユーベの巧みな「前プレ外し」にモンテッラがどう出てくるかが序盤の注目ポイントでした。
これまでセリエAの多くのチームが3バック+ピルロが絡むユベントスのビルドアップには苦労させられてきたからです。

はたしてモンテッラの出した答えは驚くべきものでした。

それは特別なピルロ対策も前プレもせず真正面から打ち合うというもの。

元々このチームはセリエAでは珍しく、どこが相手であろうと自分達のサッカーをぶつける気質を持っていましたが、
それはユベントス相手であろうとビルドアップ対決であれば負けないという自信の裏付けでもあります。

かくして後方からテベスへクサビが入れ放題となったユベントスは
ゴール前でボールを受けたそのテベスの突進からPKを獲得し先制に成功。

モンテッラからすればこのプランを選んだ時点で多少の失点は覚悟していただろうし、
打ち合いになれば自分達にも充分勝機があると睨んでいたはずです。

ではそのフィオレンティーナのビルドアップはどうだったかを見ていきましょう。

現代サッカーではビルドアップの際、両SBを上げて中盤からアンカーを降ろすチームがますます多くなっていますが、
このチームは3バックが自力でビルドアップが出来るので中盤の枚数を減らす事なくそれを可能にしています。

このユベントス戦を例にとれば両WBを高い位置に上げてバレーロ、ピサーロ、アンブロジーニの3センターで組み立てを構築していきます。


【フィオレンティーナのビルドアップ】
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具体的には守備時5-3-2で守るユベントスに対し、中盤でユーベの3センター脇に出来るスペースを使ってボールの落ち着きどころを確保。

まずはビルドアップの段階でユーベの前プレを空転させる事には成功しました。
これだけでも他のセリエAのチームとは大きな違いと言えるでしょう。

しかし王者ユベントスの強みは引いて守る事も出来るし、
何よりヴィオラのように簡単には中央へクサビのパスを通させない守備の完成度です。

では実際の試合からユーベの守備を見ていきましょう。


【ユベントスの中央にはヤツがいる】

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局面は左から右へと攻めるフィオレンティーナのビルドアップの場面。

ここまでの段階で右から左、左から右へとボールを丁寧についないで揺さぶりをかけたビルドアップから
満を持してバイタルエリアで間受けを狙うロッシへクサビのタテパスを狙います。


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ピルロ『・・・・そこは通行止めだ』

やはりユーベ相手にバイタルエリアを狙う際は常にこの男の存在がそこに立ち塞がるのです。

コンテはフィオレンティーナに対し、横へはいくらでも繋がせる代わりにタテパスだけは絶対に通さないという割り切った守りで対応。

前半終了間際には引いた守りからのカウンターで鮮やかに2点目もゲットしています。
(この引き出しの豊富さが王者の強み)


一方、パスでの崩し一点突破でユーベ攻略を狙うモンテッラのヴィオラは
横パスばかりが積み重なっていく典型的なパスサッカーの負けパターンへ。

クサビが打ち放題のユーベとタテパスが通せないフィオレンティーナ。

試合は60分まで完全にユベントスのものでした。


<ドリブルというエッセンス>
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ところが試合は60分を堺に一気にその様相を変貌させていきます。

キッカケはモンテッラが切った一つの交代カードでした。

アクイラーニ OUT⇒ホアキン IN

これに伴い、布陣も4-3-3へ変更。

【フィオレンティーナ 後半の布陣】
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クアドラードを一列上げて守備から開放させると
右のホアキン、左のクアドラードという両翼に中央がロッシという並びの3トップが完成。

ユベントスとすれば実に試合の3分の2を掌握し、スコアは2-0。
あとは試合をクローズさせるだけという絶対に勝ち点3は落とせない展開だったのですが、以降思わぬ濁流に飲み込まれていく事になります。

まずそれまで横パス一辺倒だったフィオレンティーナの攻撃にドリブルという要素が加わり、
クアドラード、ホアキンという目の離せないドリブラーが両脇一杯に構える為、
それまで中央を閉めていた守備ブロックがどうしても横へ広げられてしまいます。

それではこの交代と布陣変更で実際にピッチ上で何が起きていたかを検証していきましょう。


【ドリブルを挟む事でクサビが入る】
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局面は右から左へ攻めるフィオレンティーナの攻撃。

ユベントスの守備はまずボールホルダーのピサーロにマルキージオが当たる事で
この瞬間にアンカーのピルロが首を振って背後を確認

バイタルエリアで間受けを狙うFW(ロッシ)の動きと位置を確認して中を通すボールに対する予測と準備を行っています。

要するにピルロをプロテクトする3センターの両脇(マルキージオ、ポグバ)がまずボールに当たる事で
その隙にピルロが守備でもその能力を最大限に発揮出来るようチームのメカニズムが組み立てられている訳ですね。

ところがこの場面ではそれまで散々切れ味鋭いドリブルを見せてきたホアキンが右の大外に張る事で
その存在にユベントス守備陣の意識がどうしても引っ張られがちになってしまいます。


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ピサーロはこれを逆手にとって自ら中へドリブル。

ユベントスはマルキージオが剥がされるとピルロが直接カバーリングに向かわざるを得ない為、
ピルロの視野がボールに固定されて後方の確認が出来なくなってしまいます。


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ピサーロはホアキンという存在を利用しドリブルを挟む事でクサビを入れる事に成功。

この場面からも分かる通りユベントスの守備はピルロが直接ボールホルダーに応対するようになると非常に苦しいんですね。


続いてフィオレンティーナは右がホアキンならば、左はコイツだと言わんばかりにもう一つドリブルを効果的に使った崩しを見ていきましょう。

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今度は左でクアドラードがボールを持ってポグバにドリブルで仕掛けていく場面です。


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クアドラードが中へカットインするドリブルを挟んだ事でポグバが引き出された上に
ここが抜かれた際のカバーリングに備えるピルロの意識も同時に引き付けています。

結果、中へのパスコースが空きました。


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ここでも途中でドリブルというエッセンスを加える事でクサビのパスを活かしています。

CLでミランと戦ったアヤックスもそうでしたが、いくらパスサッカー、パスサッカーと言ったところで
やはりパスだけで現代サッカーの…特にカルチョの守備網を破っていくのは難しいと言わざるを得ません。

時代はパスサッカー全盛をベースに、いかにドリブルという味付けをここに加えていくか…という戦いに突入しているのです。

ベイル、ネイマール、アザール…etcと近年の移籍市場における人気銘柄を見てもそれは明らかと言えるでしょう。


<一歩遅れた一手>

試合はこれでゴール前にクサビが入るようになったフィオレンティーナが後半21分にMフェルナンデスの突破からPKを獲得。

まあこれは前半にテベスが得たPKの帳尻合わせという要素も多分に強かったのですが、
とにもかくにも試合のペースが一気にへと傾きスコアは1点差まで迫っています。

これを見たコンテは慌ててビダルを投入して中盤のバランスを取り戻そうとしますが
続くヴィオラの追加点はピッチ脇でコンテがビダルに指示を与えているまさにその時に生まれてしまいます。


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局面は後半30分―

その時、ユベントスのベンチはビダル投入へ動いていました。


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一方、ピッチでは1点差に追いついてイケイケのフィオレンティーナが前プレを敢行。

この場面ではボヌッチからの球出しにプレスをかけてボールを引っ掛ける事に成功。


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引っ掛けられたこぼれ球がピサーロに拾われるとユベントスはいきなり大ピンチ。

何故かと言えば攻撃に向けて動いていたこの場面でいきなり攻守が入れ替わってしまった為、
ピルロの両脇にガードがなくモロにオープンスペースとしてさらけ出されてしまっているからです。

というのもこの場面におけるピルロは守備範囲からいってこのスペースを広くカバー出来るプレイヤーではなく、
かといって身体をぶつけて攻撃を止める事も得意としていません。

つまりユーベが守備で一番陥りたくないのがまさにこの局面であり、
この後のプロテクト役マルキージオ、ポグバの戻りに全てが懸かっていると言っても過言ではありません。


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ボールはピサーロからMフェルナンデスに展開されますが、ここはさすがユベントスのレギュラー。
マルキージオの迅速な戻りが何とか間に合いました。

しかし一方でポグバの戻りは何とも緩慢・・・完全に日曜のお父さんよろしくジョギング走りで
本来自分がカバーすべきバイタルエリアで待ち受けるロッシの危険性が全く理解出来ていません。


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やっぱりね…という感じでフリーのロッシへ展開されるとここから左足一閃!
右へ逃げて落ちるシュートが見事にゴール左隅へ決まりました。

(やや厳しい事を言えばゴールマウスにいたのがブッフォンだったので、せめて触って欲しかったシュートではありますが…。)


それにしてもコンテにしてみればビダル投入が本当にあと一歩早ければ…と悔やむに悔やみきれなかった失点に違いないでしょうね(^^;


<中盤のバロ○ッリ>
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ここでもう一つ厳しい事を言えばやはりポグバという選手の存在について言及せざるを得ないでしょう。
というのも同点に追いつかれたコンテの打った手がマルキージオを下げてビダルを投入する一手だったからです。

個人的にはポグバを下げてビダルを投入するものとばかり思っていたのでこれは少し意外でした。

同点に追いつかれた事で逆転へ向けた攻撃力を残した…という判断だったのかもしれませんが
やはり従来のレギュラー組としてピルロのガード役を務めてきたマルキージオ、ビダルと比べると
ポグバのプレーはまだまだ甘さが残っていると言わざるを得ません。

純粋に持っているポテンシャルだけで見ればポグバは文句無しでレギュラーを張れる逸材なのですが
プレーの判断、トップレベルの試合がどういうディティールで勝敗が分かれるかという認識、
つまり勝負における厳しさという点でまだ不十分なのです。

ミランにおけるバロ○ッリはヤンチャっぷりや無理なプレーをしたところで
まだFWなので直接失点に絡む可能性は低いのですが、(退場リスクは常にあるとしてもww)
ユーベにおけるポグバは言わば「中盤に置いたバ○テッリ」です(爆)

この試合でも勝敗を決定付けたフィオレンティーナの3点目の場面にそれがよく表れています。


【フィオレンティーナの3点目を検証】
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局面はピルロからのパスをビダルが受ける場面ですが、背後からこれを察知したバレロが迫ります。


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いい出足を見せたバレーロがビダルのファーストタッチを読み切ってインターセプト!

攻守が入れ替わり、ユベントス各選手のインテンシティの強さが問われる場面になりました。


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試合は既に後半30分過ぎ。
しかしユベントスの選手達にとってここでものを言うのは単純な体力ではなく勝負に対する厳しさであり、
現代トップレベルのサッカーがどういうところで勝敗を分けているのかという正しい認識です。

そしてそれは苦しくてもこういう攻守の切り替わりの場面でしっかりと全力を出し切れるか否かにあります。

この場面ではボールを奪われた張本人のビダルは勿論、全ての選手が守備に切り替えていますが
肝心のガード役であるはずのポグバが1人、遅れが目立っています。


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この後、ボールはバレーロから左のクアドラードへと展開されますが
ユベントスは何とかピルロとビダルの帰陣も間に合ってボール周辺で数的優位を回復させる事が出来ました。


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ところがクアドラードにドリブルで粘られた末にパスクアルを経由してバレーロへ展開されてしまうと・・・


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ポグバ!後ろ!後ろ!www

ここで1人遅れてフラフラ~っと戻ってきたポグバでしたが、
肝心のマークすべき相手であるホアキンを離してしまっているので逆サイドで完全にフリーになっています(爆)

バレーロからここにラストパスが出されてジ・エンド。

確かにどちらの失点も直接ポグバがボールを奪われた訳ではないのですが、
味方選手が持っていたそのボールは「チームのボール」として奪われたら同じように追うべきなのです。

コンテのチームで3シーズン鍛えられたレギュラー組と比較して
特に中盤を担わせるにはポグバはまだまだ積むべき経験がいくつも残っているように思われます。


試合では逆転を許したユベントスがこれまでの引いて守る守備から一転して総攻撃へ打って出たものの、これは完全に裏目に出ていました。(^^;

【ユベントス 捨て身の全員攻撃】
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気持ちは分かりますが、カルチョの舞台でこういうバランスを崩した攻めというのは得てして裏目に出る事が多く・・・


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カウンター食らったらもうボヌッチ1枚しか残ってねぇwww

(ユベンティーノ「それでも・・・それでもボヌッチなら・・・・・あ、アッサリ失点したww」)

まあ、こうなりますよね…(^^;という見本のような失点で4点目。

何とユベントスは後半30分から僅か5分の間に3失点というちょっと信じられないような崩れ方で逆転負けを喫してしまいました。


<予測不能な今季のセリエA?>

但し・・・それでも個人的にはユベントスが今季のスクデット最有力候補という見方に変わりはありません。

60分までの完璧な試合運びと引いて守ってカウンターでもOKという引き出しの多さはやはりセリエAでは頭一つ抜けていると思うからです。

(メンバー固定による負の側面も否定出来ませんがね)

無論、この試合で見せた意外な脆さからも分かる通り、
それは昨季までの絶対的優勝候補というほど磐石なものではないというのもまた事実であります。


この機会にその他のチームも眺めていくとローマに関しては攻めは多彩ですが守備戦術の完成度自体はまだ人海戦術に近いものがあって
未だに何故あれだけ失点が少ないのか不思議なんですが、とにかく未知数な部分が大きいチームだと思っています。

ナポリは戦力は揃った感じですが、かえって普通のサッカーをやる普通のチームになってしまったな…という印象。

セリエAでは戦力的優位に立っているので格下からは確実に勝ち点を稼ぐ一方、
ポゼッションスタイルの地力で上回るローマに敗れたように、同格、格上相手には疑問符がつきます。

(ポゼスタイルの最上級ガナーズ相手には何も出来ずにチンチンにされている)

まあ、今はベニテスがチームに染み付いたカウンタースタイルからの転換を図っている真っ最中なのでこれからのチームではありますが…。

(ミラノの2チームについてはCL圏争いが現実的なところかな・・・?(^^;)


このように改めて今季のセリエA序盤戦を眺めていくと従来のユーベ、ナポリ、ミランに
復活したローマ、インテル、そして着々と地力をつけているフィオレンティーナも加わって久しぶり面白いシーズンになりそうな予感があります。

それこそ、かつて7強によって優勝争いが繰り広げらていた「7姉妹」の時代再来を期待したいですね―



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自分達のサッカーを押し付ける強さ~ユベントス×ACミラン~

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<自分達のサッカーを押し付ける強さ ~ユベントス×ACミラン~

最近、「セリエAブログに鞍替えですか?」とツッコまれそうな本ブログですが、
たまたまここ最近のセリエAに好カードが続いただけですので他意はございません(^^;

今週はCLでビッグカードが目白押しですし週末にはクラシコも控えてるのですぐにいつものごった煮に戻るはずです(笑)


さて、今日はそんなセリエA強化週間に相応しいこのリーグの黄金カード「ユベントス×ミラン」の一戦を検証していきたいと思います。

ミランと言えばつい先日CLアヤックス戦で取り上げたばかりですが、
活きのいいオランダの若手は経験でねじ伏せられても同じカルチョの盟主相手にはそうは問屋が卸しませんでした。


<セリエAの苦しい台所事情>
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開幕からまだ2ケ月半だというのに怪我人に泣かされている両チームによる対戦。
(このへんはやはりセリエAの劣悪なピッチコンディションが遠因になっているのでしょうか・・・?)

ではまずはミランから見ていきましょう。

率直な感想としては「まるでプロビンチャのような…」というよりこれはもはや
プロビンチャそのものと言ってもいいんじゃねえか?(涙目)
という気がしなくもないスターティングオーダーですねww

それでもアッレグリはユベントス相手にやれる事はやろうといつもの4-3-3ではなく何故か4-3-1-2を採用。簡単にはやられないぞとの意思表示と見ました。
(この狙いについては後ほど)


対するユベントスはヴチニッチが欠場の前線は今季豊富な持ち駒で問題なくカバー出来ていますが、
リヒトシュタイナー不在のWBは戦力的にも泣き所。

この試合ではパドインが抜擢されていますが、
セリエAでも三本の指に入るWBのリヒトと比べると一段ならぬ三段ぐらい格落ちの感は否めません。
(昨季のCLバイエルン戦でロッベリー相手にチンチンにされていたのがこの人ですねハイwww)

一方でマルキージオが復帰した3センターは開幕から好調だったポグバがベンチに下がっているので少し勿体無い感じもします。


今やプレミアやリーガの上位対決ではこれぐらいの怪我人だと
ほとんどその痛手を感じさせないオーダーを組めるものですがセリエAの台所事情はこれが現実といったところでしょうか。

まあ、セリエAではその分まだ無名の選手達が緻密な戦術の元、渋~く光っていたりするのを見るのが一つの楽しみ方であり、
この試合でもキックオフから18秒で突如ゴール前に現れた"あの男"が
「何故、お前がそこにいる…!?」でお馴染みのムンタリゴールを炸裂させる安定感を披露してくれました。(笑)

(多分、まだサッカーを始めて3ケ月あたりの天才初心者にありがちなプレーだと思いますww)


<相手に自分達のサッカーを強いる横綱ユベントス>

ユベントスからすると自宅の駐車場を出た瞬間に原付と事故ったような出会い頭のこの失点。
気を取り直して再びキックオフとなった試合は、やはり王者ユベントスペースに落ち着いていきます。

ユベントスが何故セリエAで安定した横綱相撲が出来るかというと
相手に自分達のサッカーをさせず、逆に自分達のサッカーを相手に強いる事が出来るからですね。

例えばアヤックス相手には前半、無駄にボールを取りに行く事はせず、
自陣に引いた守備で巧みにスペースを潰していたミランでしたがユベントス相手に同じやり方は通用しません。

何故ならば・・・ピルロという厄介な存在がいるからです。

ユーベ相手に敵陣でビルドアップを自由にさせてしまうと、ピルロが低い位置から好き放題高精度のミドルパスを発射してくるのでミランとしては守備である程度前から制限をかけに出ざるを得ません。

ところがコンテが鍛えたユーベは敵の前プレをいなす事にかけてはセリエAでもナンバー1の上手さを持ったチームです。

と言うのもユベントス相手にはピルロを消してくるチームが大多数を占めるので
当初はピルロにパスを預けるだけだった3バックの選手達も次第にピルロを飛ばして直接前線へクサビのパスを打ち込むシーンが増えていきます。

そしてコンテ政権で3年が経過した今、ユベントス不動の3バックはセリエAでも随一の展開力を持つバックスに成長しました。


【ピルロを経由しない3バックからのビルドアップ】
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局面は右から左へ攻めるユーベのビルドアップ。

ボールを持ったボヌッチにスペースを与えるようにピルロがバックステップでモントリーボを引きつけます。


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すると前線へのパスコースが中央にバックリ空いたのを見逃さなかったボヌッチからピルロを飛ばして直接FWのテベスへクサビのタテパス。

ちなみに今季新加入のテベスはDFを背負った状態でも絶対にボールを奪われない強さを持っているユーベが切望していたFWです。

昨季まではせっかくDF陣がクサビを打ち込める能力を持っていたにも関わらず
前線に満足なポストプレーヤーを欠いていたという事情がありました。

ジョレンテ、テベスという今季の補強からもコンテがどういうタイプのFWを望んでいたかは明白であり、
熟成されてきた戦術に必要な駒が揃った今、ようやく完全体のユーベが見られそうな予感もあります。


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そのテベスの巧みなポストプレーから一度飛ばしたボールを再びピルロが前を向いて受けるという危険なシーンに繋げています。


コンテはこの3バックスの展開力+ピルロの存在感という個々の資質に加え、
システム面でも4バックから3バックへ変更する事でビルドアップを強化してきました。

【3バック+ピルロで敵の前プレをぼかす】
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こちらも同じく右から左へと攻めるユベントスのビルドアップですが、
2トップ+トップ下でユベントスの3バック+ピルロをケアしなければミランの前プレは数の論理から言っても必ずどこかが空いてしまう理屈になっています。

ここでも3バックスのキエッリーニが外でフリーになっていますね。


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ユーベの3バックの中でも最もドリブルが上手いキエッリーニはこの形から単独で敵陣までボールを運べる強みがあります。

勿論コンテもそれを分かっているのでユーベのビルドアップでは明確な狙いの一つとして彼のドリブルを活用している事はこのチームの試合を見続けていると誰でも分かる戦術意図です。


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敵陣までボールを運んだキエッリーニからここでもピルロは経由せずにビダル⇒テベスの流れ。


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テベス&クアリラレッラの2トップが4バックのミランCBと2対2の数的同数を作り出す狙い通りの形になりました。


試合ではこの前プレ外しでテベスに安定的にボールを供給出来るユーベに前半15分、
ゴール前でそのテベスの突破をファウルで止めたFKからピルロの美しい同点弾が生まれます。

このようにセリエAでは前プレ外しのスペシャリストであるコンテのチームに対し、
他チームはそれが分かっていても前プレを強いられる苦しさがあります。

つまり相手に自分達のサッカーをさせる事なく、自分達(ユベントス)のサッカーを相手に押し付ける論理ですね。

この構図こそがユベントスの横綱相撲と安定した勝率を支えてきた事は間違いありません。


<アッレグリの悪あがき>
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しかしミランの指揮官アッレグリもそんな状況を黙って見過ごすだけの男ではありません。

そもそもこの試合で普段着の4-3-3を捨てて4-3-1-2とした狙いはどこにあったのでしょうか…?

それはやはりトップ下のポジションを作る事でそこにモントリーボを起用したかったと見るのが妥当と言えそうです。

これまでユーベと対戦するチームがトップ下を置く場合、それはピルロ番としての役割を持たせる事がほとんどであり
去年までのミランであればここにボアテングの運動量をぶつけていたはず。

しかし今やそのボアテングはチームにおらず、
代わりに獲得したのはミラニスタの不満を抑える為のアイコンに過ぎない「KAKA」というスペランカーであります(爆)

そこでアッレグリはピルロの守備範囲の狭さに着目し(ピルロは読みは利くが守備範囲は決して広くはない)、
モントリーボをピルロに付けるという守備の発想からモントリーボをピルロのマークから剥がすという攻撃面での狙いに転換させたのです。

より具体的に言えば攻撃時、モントリーボをピルロが追って来れない中盤の低い位置まで下げる事で
絶望的なまでに展開力の低い自軍のDFラインと3センターのフォローをさせる狙いがありました。

(ミランはこのDFラインと3センターの顔ぶれではちょっとビルドアップは絶望的ですよねー(^^;)


【モントリーボをトップ下に置いたアッレグリの狙い】
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局面は左から右へと攻めるミランのビルドアップの場面。

ユベントスのようにDFラインに展開力が無く、
しかも前線にクサビを納められるバロテッリという絶対的な核を失った現在のミランでは
モントリーボが低い位置でバックスからの受け手となり攻撃ルートもサイドへ迂回させざるを得ない苦しさがあります。

(本来なら間受けを狙いたいトップ下のモントリーボ自身がビルドアップの担い手にならなければいけない状況とかペップだったらとっくに職場放棄してるわwww)


しかもユベントスは3センターの中央への絞りが巧みなのでこの場面のように
一度サイドに展開してマルキージオとアサモアを引き付ける事でユーベのブロックを横に広げてからロビーニョにクサビを受けるスペースを作ってあげる必要があります。


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これだけの手順を踏んでようやくノチェリーノからロビーニョへワンツーパスが入るのですが、
ミランが苦しいのはここからいくらクロスをゴール前へ送ったところで
結局待ち受けているのがマトリ(orロビーニョ)という無理ゲー状態なんですよね(^^;

(この2トップではユーベの3バックには勝てませぬ・・・。)

…そんな訳でミランはやっぱり外を迂回させてから中央突破へ繋ぎたいとなるんですが、
そこに立ちはだかるのがやっぱり"あの男"ですよ。


【サイド迂回ルートから中央突破を狙うミラン】
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局面は先程と同じように最終ラインから低い位置まで降ろしたモントリーボを経由してサイドのアバーテへ繋ぐミランのビルドアップ。


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今度はロビーニョを飛ばして奥のマトリまで中央を割るクサビを入れるぞ!ってなもんよ


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ピルロ『残念・・・そこは私の守備範囲だ』

ええ・・・中央のエリアにはこの読みの鋭さとインターセプトがいましたっけね…。
個人的には世界遺産としてユネスコに申請したいぐらいですわ…この男のインターセプトってのは(笑)

まあとにかく、これがあるからユーベはピルロをアンカーとして置いておける訳ですね。

ピルロの守備は低い位置まで降りたモントリーボは追えない(追わない)けれど
選手それぞれがチームから与えられている仕事を全うすれば自ずと勝利は転がり込んでくるという自負が王者ユベントスにはあるはずです。


アッレグリは限られた資源で何とか手は尽くしている感じなんですが、残念ながら悪あがきにしかならないっていう悲しさ・・・(^^;

しかもDFラインからモントリーボにつなぐまでのビルドアップもかなり怪しいので
ユーベの前プレを受けると3回に1回はショートカウンターを食らう感じでした。
(特にサパタとかサパタとかサパタとか)


<選手層の差とコンテが求める献身>

それでも結局前半は1-1のまま折り返して後半へ。
その後半はじわじわと両チームにおけるベンチメンバーの差が露わになっていく展開となりました。

まずコンテは後半10分に明らかにクオリティが不足していたパドインに代えてポグバを投入。
本職ではないWBでそのまま起用されたポグバですが、以降明らかにユベントスの右サイドは脅威を増し、攻撃の起点になっていました。

この交代で流れを決定的なものとしたコンテは続いてジョビンコというカードを切ると
その2分後に切れ味鋭い彼のドリブルから見事な逆転ゴールが生まれます。

ミランからするとDFラインから直接最前線へ打ち込まれるクサビ、
一瞬でも目を離すとショットガンパスを放ってくるピルロという厄介な存在、サイドからは脅威を増したポグバの突進、
そしてテベスのキープ力にジョビンコのキレキレドリブルまで重なっては失点も時間の問題と言えたでしょう。

やはりセリエAというカテゴリーで見ればユベントスの戦力は頭一つ抜けているのです。

その後ジョビンコ投入から7分足らずで2枚のイエローを頂戴したメクセスと
そのFKからトドメの3点目を決められた事で試合はほぼ決着・・・と思いきや後半45分にまさかのムンタリ砲炸裂のオマケがつきました(笑)
(こういう試合で謎のドッピエッタをしてこそのムンタリであるww)

ゴールを決められた後のブッフォン激おこぷんぷん丸な表情を見ても分かる通り、
これは自陣ゴール前でのあってはならないイージーな自滅が招いた失点です。

それは後半45分、時計を見て既に勝ちを確信していたポグバが自陣ゴール前で自慢のキープ力を見せ付けるように
いらぬボールキープを披露していると3枚に囲まれボールロスト。
そのままムンタリのミドルに繋がっています。

持っているポテンシャルから考えるとベンチに座らせておくには勿体無いように思える逸材ポグバですが、
こういうプレーをしている内はマルキージオ、ビダルからレギュラーを奪うのは難しいでしょうね。

それはコンテがこのポジションに限らずチーム全員に要求している献身性を
そのマルキージオ、ビダルが率先して体現しているからで、それはこんなプレーからも窺い知る事が出来ます。↓


【ピルロの弱点をカバーするビダルの献身】
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局面は後半、左から右へ攻めるユベントスのビルドアップで最終ラインから出たタテパスをビダルがピルロに落とそうとしたところ、パスが僅かにズレてピルロの重心と逆方向に転がってしまいます。

これを見たモントリーボがボールの回収を狙います。


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実はアッレグリがモントリーボをトップ下に置いたもう一つの狙いがフィフティボールでピルロとの競り合いになれば、
フィジカルで優位に立つモントリーボが拾える可能性が高いという読みです。

(ピルロのところでボールが奪えてショートカウンターとなれば展開力の低いミランにとって最大の得点チャンスですからね)


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↑この場面では狙い通りピルロとの競り合いに持ち込んだところからモントリーボがボールをGET。
(ピルロは倒されていますが正等なチャージの結果なのでノーファウル)

コンテはチームの構造上、ピルロがボールを失ったこの瞬間こそが最も失点の危険性が高い事を把握しています。
故にこのような場面では周囲の選手(特にビダルとマルキージオ)のピルロをプロテクトする献身性が問われるのです。


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ここでルーズボールがピルロとの競り合いになった段階ですぐに動き出していたビダルの献身性が光ります。

モントリーボがマイボールにしたと思った次の瞬間には背後から巧みに身体を入れて・・・


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見事にボールを奪い返しました!

(こういう正等なチャージの応酬によるボールの奪い合いはサッカーにおける醍醐味の一つですが
残念ながらJリーグでは選手が倒れた段階で無条件に笛を吹く主審が多過ぎます)


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次の瞬間にはもうユベントスの速攻がピルロから始まっているというこの機能性の高さ!

(まだモントリーボは倒れたままですがビダルは既に速攻に走り出しているタフさwww)


個々を見ればビダルにピルロのようなプレーは出来ないし、逆にピルロもビダルのようなプレーは真似出来ないはずです。

しかしそれぞれの長所がお互いの短所を上手く補完し合い、
美しいハーモニーを奏でているのがコンテが3年かけて作り上げた傑作なのです。


ただ、それ故にメンバー固定からくる勤続疲労とマンネリズムのせいか
今季のユベントスはふと気が抜けるような時間帯があり、90分を横綱相撲で押し切った昨季までの強さがまだ影を潜めているのも事実。

この試合でもあってはならない失点で終了間際のロスタイムにとんだドタバタ劇を演じてしまいました。
(ムンタリに始まりムンタリで終わるwww)

更に言うならば、ミラン他多くのチームがユーベのような前プレ外しを持っていないセリエAでも
デロッシを最終ラインに降ろすローマと「つなぐ力」ではユーベをも凌ぐフィオレンティーナに対しては果たしてどうでしょうか?

この試合では「ちょっとした隙」で済んだ開始早々と終了間際の時間帯も
ロナウド、イスコ、ベイルを擁する白い巨人相手には致命傷にもなりかねません。

今季はセリエA代表という看板を背負うユベントスの欧州での戦いぶりにも是非注目してみて下さい。



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0トップ戦術のリバイバルで躍進するローマ ~ローマ×インテル~

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<0トップ戦術のリバイバルで躍進するローマ>

今回はセリエAで今季開幕から大躍進を遂げているASローマのサッカーについて取り上げてみたいと思います。

相変わらずこの国ではセリエAの注目度が低いせいもあって不当に評価も低い気がしますが、
香川が試合に出るか出ないかの話題よりもこの開幕8戦8勝のチームについてもっと報道されてもよい気がします。(^^;

まあ、そんなチームに光を当てるのがこのブログの使命だと勝手に思っていますが(笑)


ではまず今季のローマを取り上げるにあたってトッティでもなければ新監督ルディ・ガルシアでもない1人の最重要人物をフォーカスせねばなりません。

それは2011年、パレルモから引き抜いてきた辣腕スポーツディレクター、ワルテル・サバティーニ その人であります。

まあサバディーニと聞いてすぐにピンと来る人はごく一部のイタリアサッカーマニアだけなのでここでざっとその経歴をご紹介させていただきますと
例えば2004年から4年間SDを務めたラツィオでは決して潤沢な資金力を持つ訳ではなかったチームに当時はまだ無名だったコラロフ、ベーラミ、リヒトシュタイナー、パンデフらを見出し2007年にはCL権を得るという望外な結果を手にしています。

その後パレルモに籍を移した後もあのパストーレを僅か6億円で発見すると
その2年後には47億円の移籍金でPSGへ移籍させる大仕事をやってのけたのもこの男であります。

ここローマでも既にピアニッチ、ラメラ、オズヴァルド、ストロートマンらを見出してきました。


もう一つ、ローマ躍進の下地となっているのが監督の継投によるチームスタイルの確立です。

その転機となったのが当時バルサBの監督を務めていたルイスエンリケの招聘。
ここでイタリアサッカーの常識とは一線を画すスペイン流ポゼッションサッカー導入への下地を固め、
翌年にはゼーマンにバトンを繋いで「超攻撃的マインド」をチームに注入。

そして今季新監督に指名されたのはリーグアンで地味な戦力ながらもその鮮烈なパスサッカーをして
現地では「フランスのバルセロナ」とまで言わしめたリールを作り上げた男、ルディ・ガルシアでした。

このように監督の顔ぶれこそ毎年変わっていますがチームが目指すスタイルは一貫しており、そこに確実な"積み上げ"を見る事が出来ます。

又、そうでなければ今季新監督のガルシアが就任早々開幕から8連勝というスタートは有り得なかったはず。


サッカー界では高額な選手を獲得出来ないチームこそ「有能な監督を」とよく言われますが、
更に視野を広げて見るとその監督を選ぶSDまで含めたクラブ全体の組織作りがいかに重要なのかを今季のローマは教えてくれています。


<ローマ×インテル マッチレビュー>

では長々と前置きしたところで、そんなローマの戦い振りを先日のインテル戦から検証していきたいと思います。
(今季セリエAで絶好調同士の対戦はローマの真価を図る試金石とも呼べる試合でした)

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まずインテルはすっかり今季定着したプロビンチャ仕様の3-5-2。
ポゼッションとか組み立ては半ば捨てる形で中盤の運動「量」を確保しつつ、質より量で戦うスタイルです。

攻撃でボールを運ぶ仕事は今季絶好調のアルバレスがいるからこそ何とか成り立っている戦術と言えるかもしれません。


対するローマは布陣こそゼーマン時代と変わらぬ4-3-3ですが、その中身はだいぶ様変わりしています。

ゼーマン時代は左WGだったトッティがセンターに戻って、
代わりにMFが本職のフロレンツィがその飛び出しを買われてWGにポジションを上げたりとマイナーチェンジが幾つか。

加えて期待の新加入ストロートマンはフットボールインテリジェンスが高く
無駄にボールをこねずにシンプルに受けて捌くスタイルで早くもチームにフィットしています。


<トッティの0トップ 再び>

そのローマが今季取り入れているのが、かつて「時代を10年先取りした」と言われたトッティの0トップシステムです。

それは05/06シーズン、FWに怪我人が続出して遂には本職のFWが0人という緊急事態に陥った当時のローマが
苦肉の策として取り入れた「ひょうたんから駒」のシステムでした。
(以降、ローマはこのシステムを採用して躍進を続ける事となります)

【07/08シーズン ローマの布陣】
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このシステムでは1トップのトッティが自由に中盤へと降りてくる代わりに
機動力溢れる2列目の3枚が前線に飛び出して4-2-3-1から攻撃時4-2-1-3へシフトする可変式にその妙味がありました。

展開力とキープ力に長けたトッティのポジションをぼかす事で相手チームのマークを難しいものとし
降りてきたトッティから彼を追い越す3枚にキラーパスを通す形がハマった結果、このシーズンのローマは大躍進を遂げるのです。

今でこそ0トップ的な考え方は別段めずらしいものに感じられない時代になりましたが、
当時は過去例を見ない戦術として対策も練られておらず特にセリエAでは無敵の強さを誇っていたものです。

(「時代を10年先取りした」と言われていた戦術も一般化するまでに5年かからなかったと考えるとやはりサッカーが進歩するスピードというのは驚異的ですね)


そんな当時のセリエAを見ていた人間からすると懐かしくもあるシステムが時を超えて今季のローマで復活する事となりました。

【13/14シーズン ローマの0トップシステム】
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ディティールでは当時のシステムと若干の差異こそあれ、
トッティが降りてきて周囲が追い越すという発想自体は全く同じと考えていいでしょう。

ジェルビーニョとフロレンツィなんかはそれぞれマンシーニとペロッタの代わりと言ってもいいぐらいプレースタイルも似ています。

変更点で言えば後ろでアンカーのデロッシをDFラインに降ろし両SBが高い位置をとる現代版ビルドアップのトレンドを取り入れている点がより進化したハイブリッド版と言えなくもないかもしれません。

では実際の試合からこの新しい0トップシステムを検証してみましょう。


【13/14 トッティの0トップを検証】
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局面は右から左へと攻めるローマのビルドアップの場面です。

今、中盤から降りてきたピアニッチに最終ラインからタテパスが入るところですね。

この段階ではまだトッティは通常のCFの位置に入っていますが、ここからの動きがポイントになります。


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降りてきたピアニッチにカンビアッソが少し食い付いたのを見逃さなかったトッティが
ピアニッチが前を向いたそのタイミングで中盤に降りてきます。

(このタイミングがいつも絶妙!)


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通常、ここでピアニッチから降りてきたトッティにタテパスが入るのが本来ローマが狙いとしている本線です。

しかしこの場面ではインテルのCBフアンがトッティに付いてくる素振りを見せたのでローマの狙いは第二段階へシフトされる事となりました。

トッティが警戒されていてタテパスが入れられない局面では次にジェルビーニョとフロレンツィの両WGが中に絞りながら2トップ気味に構えつつ、その両脇を高い位置を取っていたSBが突くという形になります。


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↑このようにトッティ、ジェルビーニョ、フロレンツィのトライアングルが中に絞る事で両脇をSBに突かせる事が出来ます。

その意味でトッティが抑えられると機能不全に陥っていたかつての0トップシステムより進化したバージョンと言えるかもしれません。


守る側のインテルにとっても難しいのはこのトッティの動きを警戒する事でローマのビルドアップを容易にしてしまう事でした。

前回インテルをマッチレビューしたユベントス戦に比べるとこの試合では状況に応じて前プレをかけてからショートカウンターも狙っていましたが、結果的に空転させられてしまいます。


【前プレで中盤のラインを押し上げるとトッティの稼動領域が拡大】
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↑このようにインテルは不用意に中盤のラインを押し上げるとその間のスペースをトッティに使われて稼動範囲を広げてしまう危険性が高いのです。

故に中盤のラインを低めに設定せざるを得ず・・・・

【かと言ってトッティのスペースを制限すると中盤が空いてしまう】
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これを利用してビルドアップに加わるピアニッチとストロートマンを抑える事が出来なくなってしまいます。


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ピアニッチとストロートマンはこういうフットボールインテリジェンスが高いので実に嫌らしいポジショニングでインテルの泣き所を利用してきました。(したたかですね~(^^;)

そう考えると彼ら2人にデロッシを加えたローマの中盤トリオはセリエA随一の「質(クオリティ)」が高い組み合わせと言えるでしょう。

かたや遅攻ではグアリン砲という飛び道具以外、運動「量」しか武器の無いインテルは実に対照的でした。


<量のインテル、質のローマ>
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とは言え、このローマのシステムは間違いなくトッティという傑出した存在なくしては成り立たない代物です。

例えばこの試合で生まれた前半18分のローマの先制点。

後方で物量にものを言わせた守備を強みとするインテルに対し、
目の前に5枚もの青い壁が立ちはだかったトッティは迷い無くその隙間を鋭く抜けるシュートをゴールに突き刺します。

その低く抑えたシュート技術は圧巻の一言でトッティを中央に戻した利点が活きた先制点でした。
(守るインテルとしてもやれるだけの事はやった上での失点なので、もはやトッティを褒めるしかなかったはず)


加えてもう一点、インテルは自分達がCKを得る度に逆にピンチに陥るという不思議な現象も起きていました。

これはトッティという「質」に対し「量」で守ろうとするインテルのジレンマが生んだものです。

実際の試合からインテルのCKの場面を抜粋して検証してみましょう。


【自分達のCKがピンチに繋がるインテルのジレンマ】
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局面はローマ陣内でインテルのCKのこぼれ球がトッティの前に渡った瞬間です。

自陣のCKで守備に加わらないトッティはカウンターの発動装置となるのですが、
当然マッツァーリもここは警戒しているのでセットプレーの際は長友をマンツーマンでトッティに付かせている場面が多く見受けられました。

ここでも長友はトッティに前を向かせないよう0距離まで背後から寄せています。


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それでもボールを上手く隠しながら個の力で前を向くトッティ。

しかし長友が上手く時間を稼いだお陰でインテルも3枚で囲む状況へと追い込んでいます。

にも関わらずこの状況のおいてもトッティのこの落ち着きときたら・・・異常!(笑)

3枚に囲まれながらも全くボールを奪われる気配を見せないトッティはたった1人で3秒・・・4秒と超絶キープを披露していきます。
(この間にローマは周囲の選手達が上がって行く)


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終まいには長友が後ろからシャツを引っ張りますが尚もプレーを止めないトッティの鬼キープwww


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散々1人で時間を作ったトッティから前線へ向けてキラーパス炸裂!


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このタテパスが通ると局面は一気にローマの数的優位に!

インテルはトッティに物量をぶつければぶつける程、周囲のスペースが空いていくというジレンマに陥ってしまいます。


それにしてもたった1人で時間を作りながら溜めて溜めて最後にキラーパス一閃!とか
どこの神谷篤司だよwww
(by 「シュート!」より)

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長友「気をつけろ…!敵には時間を止めるスタンド使いがいるぞ!」


実際に試合ではこの形からローマが試合を決定付ける3点目を決めています。


<ローマの限界から見るセリエAの停滞>

結局試合は前半の内に3-0としたローマの完勝で幕を閉じました。

インテルも懸命なプロビンチャスタイルで頑張ってはいましたが、
ちょっとローマとはスタイルの噛み合わせが悪過ぎたようにも思います。


ではこの好調ローマですが、果たしてこのままどこまで突っ走る事が出来るでしょうか?

選手層は万全とは言えず、例えばトッティが怪我したらチーム戦術が根底から揺らいでしまう危険性もあるので先の事は何とも言えませんが、上手くいけばCL圏内からスクデットも狙える可能性も案外あるのではないでしょうか。

それに実はこの卓越した個のクオリティ(トッティ)をチームに活かすために周りの戦術的なスキームを組む…というやり方はユベントスを筆頭に近年のセリエAでは必勝のトレンドとなりつつある流れを感じます。

ここ3シーズン無敵の強さを誇っているユベントスはご存知の通りピルロという卓越した個を活かす為のショットガンオフェンスですよね。

【ユベントスのショットガンオフェンス】
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もう勘の鋭い方はピンときてるかとは思いますが、基本的には今季のローマもこれと発想は同じですね。

【ローマの0トップシステム】
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と言うのも逆に言えば近年のセリエAにはこうした卓越した個のクオリティを持つタレントが不在だからこその流れなんです。

(ちなみにミランのアッレグリもバロテッリを軸にスキームを組み始めていますが
肝心のバロテッリ自身の波が激しく、その上出場停止もあって稼働率が安定しません(^^;
アッレグリ「本田早よ…!(涙目)」)


プレミアでは既に終わったと見られていたマイコンが普通にローマでは活躍出来ていたり、
ジェルビーニョがアーセナル時代には一度も見せた事のないような無双っぷりで躍動していたりと
ローマにとってはポジティブな現象も見方を変えればセリエAの停滞を示唆していると言えなくもありません。

そもそも過去に無敵を誇ったトッティの0トップシステムをローマ自身が一度封印する事になったのは
国内では無敵を誇ったこの戦術がCLの舞台ではマンチェスターUの圧倒的なインテンシティの高さの前にトッティが完全に潰されてしまい、7失点の大敗を喫したせいでもあります。

(この頃のユナイテッドは間違いなく強かったのにどうしてこうなった・・・OTL)


…そう、ローマのこのシステムは言うまでもなく「トッティはボールを奪われない」事を前提に組み上げられているので彼が持った瞬間にチーム全員の攻撃スイッチがオンになる意思統一を可能にしているのですが、
それは反面、もし彼がボールを奪われた際のリスクの大きさを示しています。

実は今季の試合でもそれは充分に確認出来るので、第4節のローマダービーから以下の場面を見てみて下さい。

【トッティがボールを奪われた際のリスク】
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局面は右から左へと攻めるローマの攻撃です。

今トッティがボールをキープしている場面なのでローマの攻撃スイッチはON。
後方から次々と選手がトッティを追い越して行きます。


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ところが溜めて溜めて出したトッティのパスがインターセプトされてしまいました。

(手前のタッチライン際をSBのバルザレッティが上がっているのがこの後効いてきます)


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周囲がトッティを信じて上がっている分、フィルターも薄く、SBが上がった裏のスペースはがら空きのローマ。


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インターセプトからパス1本でローマはCB2枚での守備を強いられる厳しい場面に。


確かに今季のローマは国内リーグに集中出来るのでプレミアのようなフィジカルでトッティが潰される心配も無ければ、時間を作っている間にバイエルンやドルトムントのボール狩りに遭う事もない境遇です。

実際にセリエAではトッティのクオリティはずば抜けており、リスクよりリターンが勝っているからこその全勝街道なのでしょう。

しかし一歩欧州トップレベルの戦いに身を投じれば、
あの時と同じように全く歯が立たないのでは…という一抹の不安は拭えません。


それは昨季、セリエAでは無敵を誇ったユベントスのショットガンオフェンスが
バイエルンの激しい前プレを受けてピルロが孤立し潰されたあの悲劇を思い起こさせるからなのでしょうか-



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それでもカルチョは死なず ~CL第2節 アヤックス×ACミラン~

いやーしょっぱい試合でしたねザックJAPAN。(^^;

この2試合を見返すとかもはや苦行でしかないので録画は消してしまいました(爆)

まあ、この時期の親善試合と本大会の成績との因果関係が限りなく薄い事は過去岡田JAPAN(若手セルビア相手に0-3)とジーコJAPAN(開催国ドイツ相手に神試合)が証明してくれていますが、
それでもあの内容では不満が噴出するのも仕方ないですよね。

そこで今回は「欧州版ザックJAPAN」と言う訳ではないですが、
「限りなく怪しいCB」「著しく低いインテンシティ」「脆弱な持ち駒」と、
どことなく日本代表を思わせるミランがいかにして毎年欧州の舞台で結果を残してきているのか?を見る事で参考になる部分もあるのではないかという趣旨の元、先日のCLでの戦い振りを検証してみたいと思います。



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<それでもカルチョは死なず ~CL第2節 アヤックス×ACミラン~

さて、目下国内リーグでは絶賛逆噴射中のミラン。

今季も目立った補強はなく救世主のはずだったカカは早々に戦線離脱、更に怪我人も続出と
何一つ明るい話題の無いこのチームがそれでもCLの舞台ではしぶとく結果を残しつつ、セリエAでも最後は帳尻を合わせた順意表でシーズンを終える。

ミランにはそういった熟練の技工士を思わせる老獪さがあります。

このアヤックス戦でも予備予選のPSV戦で見せたように内容と勢いではオランダの若手チームに譲りながら
終わってみればアウェイでしっかり勝ち点を持ち帰る結果になりました。

これこそ他国の文化には無い、イタリア独自のサッカーの捉え方「カルチョ」の息吹そのものです。

では試合を追いながらミランのカルチョ魂を検証していきましょう。


【ACミラン×アヤックス】
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ミランは左のWGに新加入のビルサが怪我で使えず、ニアンは前代未聞の登録ミスでベンチにも入れないという事で遂にモントリーボがこんな位置に入る苦肉の布陣。

そもそも普段セリエAに馴染みの薄い人とっては「ビルサって誰だよ?」「どこの3-4-3マニアだ?」って話ですが、
ジェノアから加入の新顔ウインガーは開幕からなかなかいい仕事をしてくれています。

ポーリ、サパタという新顔もそうですが、もうすっかりミランの補強範囲ってセリエAの中堅どころなんですよね。
いかにして他国から目を付けられていない国内の掘り出し物を安く買ってくるか…みたいな事になってしまっているのが現実かと。

それ故に豪華さはありませんが、カルチョのDNAはどんどん濃くなっているとも言えます。
(スタメン全員がカルチョ○年目という選手ばかりで構成されていますからね…(^^;)


対するのは我が愛しのアヤックス。

最近の若いファンにはあまりピンとこないのかもしれませんが、
やっぱりオーバー30の僕ら世代はアヤックスこそ「最先端」っていうイメージが未だ残ってたりするじゃないですか(^^;

バルサのサッカーだって源流を辿ればこのチームに行き着くし、
ユースからの一貫したパスサッカースタイルだってこっちが本家です。
なにより僕にはファンハールの3-4-3黄金期の記憶が鮮烈過ぎたってのもあるんですがね(笑)
(あれから私の3-4-3人生が始まった…ww)

今は資本力のある各国ビッグクラブからの草刈り場になってしまっていますが、
それでも一貫したスタイルの元、面白い素材を輩出し続けています。

例えばCB。
アヤックスというチームが無かったら今も「つなげるCB」というカテゴリーは欧州中で脆弱なものになっていたはずです。

Fデブールから始まりキブ、ベルメーレン、ヴェルトンゲンと常にこのチームの最終ラインにはエレガントにボールを繋ぐCBの姿があります。

現在のチームでもAZから復帰させたCBモイサンダーがしっかりとその系譜を受け継いでいます。



<現代版アヤックスのワイド攻撃>


試合では序盤から圧倒的なアヤックスのボールポゼッションが展開されていきます。
前半20分の段階でアヤックスのポゼッション率は75%に届こうとしていました。

そんな彼らの生命線は今も昔もピッチの横幅をワイドに使ったサイド攻撃ですが
現在のアヤックスにはオーフェルマルスやフィニディ・ジョージのように個の力でサイドを縦に突破出来るウインガーがいないので(いてもすぐ獲られてしまう)別のやり方でサイド攻略を実現させています。

では実際の試合から現代版アヤックスのワイド攻撃を見ていきましょう。


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局面は右から左へと攻めるアヤックスの攻撃。

この場面では左のWGフィッシャーが手前に引いてSBのアバーテを釣りだし、その裏をMFデュアルテが狙う動きでサイド突破を目論みます。


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SBのブリントから引いてきたフィッシャーにつなぎ、狙い通りアバーテを前に釣り出しました。


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ここからアバーテの裏を狙っていたデュアルテに繋いで・・・


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パスを受けたデュアルテにミランのCBサパタが食いつくとデュアルテは巧みなターンで前を向きます。

(CB軽いよ!どこのアジア代表だよ!)

又、この動きと連動するようにアヤックスはCFのシグソールソンがメクセスのマークを外して弧を描くように内へ。


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デュアルテから裏へ抜けたシグソールソンへラストパスが出て決定機を演出しました。

このように現代版アヤックスでは個の突破力ではなく、ポジションチェンジと食い付かせによってパスでワイド攻撃を実現しているのです。


<ミランの修正力>

試合展開としてはまるで「バイエルン×マンチェスターC」のような流れで進んでいくのですが
大きな違いとしてシティは相手にボールを回され続けている状況はストレスでしかないものを
ミランは開き直って「待てる」メンタリティを持っているという事ですね。

つまりボールを「回されている」チームと「回させている」チームの違いです。

そもそもアッレグリのプランとして若いアヤックス相手に前半からそのパス回しを追いかける体力勝負では話にならないので、とにかく前半45分は好きなだけ回させての0-0折り返しプランだった事は間違いありません。

先程、↑で紹介した前半4分のアヤックスのサイド攻撃を見てピッチ上の選手達も
「こいつらのパスに食い付いていたら厄介な事になる」と悟ったのでしょう。
以降、見事な修正力で守り方を修正してきました。

では続いてミランの修正力が光ったアヤックスのサイド攻撃への対応を検証してみましょう。


【サイド攻撃への守り方を修正するミラン】
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局面は前半19分過ぎのアヤックスのサイド攻撃の場面。

4-3-3の3ラインで守るミランに対し、アヤックスは外側を使ってCBから右SBのファンラインにつなぐところです。

先程はSBのアバーテを当たりに行かせた事で裏のスペースを狙われたミランは
この場面ではSBではなく中盤の3センター(ムンタリ&デヨング&ポーリ)をサイドにスライドさせる守り方に修正します。


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ボールへ当たりに行くムンタリとワンツーリターンでこれをかわすファンラインの攻防。

ここでポイントとなるのが食い付かせる事なく後ろへ残したSBコンスタンの位置取り

ボールへチャレンジしたムンタリに対していわゆるイタリア語で言うところの「スカラトゥーラ」
つまりカバーリングのポジショニングを取る訳ですが、これが最初からサイドの裏を意識し過ぎるとWGのム・サが空き過ぎてしまい、かと言ってWGのマークに気を取られ過ぎると裏のスペースを突かれた時にカバーリングが間に合わなくなります。

この難しい局面をコンスタンはどっちにボールが出ても間に合うファジーな位置取りで完璧な対応と言えるでしょう。


miransoto1015-3.jpg

実際に裏に出されたボールへはコンスタンのカバーリングが半歩早くクリアに成功しています。

と同時に今度はコンスタンが空けたスペースをMFデヨングが埋める地味な連動も見逃せないポイント。

う~ん・・・緻密、さすがカルチョっすな~(笑)

(カルチョ好きの守備マニアはこういう地味なシーンでご飯3杯いけるもんなんですよ、ええww)


先程サイドを崩されたシーンと比較しても完璧な修正を見せたミラン。
ピッチに出たら選手自らが判断し、修正も行う。これが本来のフットボールだと思うんですよ。

にも関わらずこの国のサッカーに対する見方はチームに何か問題があるとすぐに監督(ザック)の対応が修正が…と話がそっちへ向かってしまうのは非常に残念ですね。

守備で明らかに崩されている…と感じたなら守り方を変えればいいじゃないですか。
きっとイタリアでもブラジルでもそんな事は草サッカーレベルでもやっている話だと思うのです。


<守備マニア必見の攻防>

こうなると試合は何とかしてパス回しでミランを引きずり出そうとするアヤックスの揺さぶりと
そんな誘いには乗らんと言わんばかりのミランとで高度な駆け引きが繰り広げられていきます。

ここでは守備マニア必見のミランの見事な守備を実際の試合からいくつか検証していきたいと思います。


【誘いに乗らないミラン】
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4-3-3で待ちの守備を行うミランにとっては何より中盤の3枚(3センター)の位置取りが生命線です。

アヤックスもそれは分かっているので色々と揺さぶりをかけてくる訳ですが
↑この場面ではCBからタテパスを入れたいアヤックスがデヨンクがムンタリを引っ張る事でスペースを空けて
次に中に絞るファンラインへタテパスを送ろうという狙いです。


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一度ムンタリもこのデヨンクの動きに引っ張られかけるのですが、ギリギリのところで後ろへマークを受け渡し中盤の3センターを崩しませんでした。
(中盤の誰かがDFラインに吸収されてしまうと3センターが崩れてしまう)

これを見てアヤックスも一度は入れようと思っていたタテパスをキャンセルしていますが、
かと言って手前に引いてくるCFシグソールソンへはデヨンクがしっかりコースを消しているし、
そうこうしている内にポーリはボールへアタックをかけようとしています。

ミランは中盤の3センターがそれぞれの役割を完璧にこなしつつ組織としても見事に機能している状態と言えるのではないでしょうか。


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結局タテパスを断念したアヤックスは一度サイドへ迂回させてから再び中への展開を探り出します。

この隙にミランの3センターは再び各自が持ち場に戻ってラインを形成。


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中に入れたパスには今度はデヨングが対応して前を向かせずアヤックスの攻撃をバックパスへ誘導させました。

このようにアヤックスはあの手この手でミランへ揺さぶりをかけるのですが、ミランの守備は全く崩れる気配を見せません。

やはり中央のパスコースに間受けの名手エリクセンを失った痛手が大き過ぎると見ます。

では続いてもう一つ、ミランの守備を。


【守備の優先順位を崩さない】
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局面は右から左へ攻めるアヤックスが攻撃の起点でもあるアンカーのポウルセンへタテパスを入れるところから始まります。


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ポイントはココ!

まずムンタリの寄せ方が巧みで逆サイドへの展開を消しながらポウルセンへ寄せているので
アヤックスが数的優位になっているエリアを殺しているのが秀逸ですね。

もう一つがデヨングの絞り。

普通、ここでポウルセンの身体の向きとその先にいるデュアルテを見たらこのパスコースを真っ先に切りたくなるものだと思うんですよ。

でも守備の優先順位とデヨングのアンカーという役割を考えたら消すべきコースは外<<<中なんです。

守るミランから見てここで一番嫌な展開はデヨングがパスコースに食い付いてシグソールソンに間受けを入れられた上に前を向かれる展開なのです。

しかもこうしてムンタリが逆サイドの展開を殺し、デヨングが中を絞ればポウルセンからの展開は一択に限定されたも同然なので・・・


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はい、パスを出させてポーリがインターセプトに成功しました。

ムンタリ、デヨング、ポーリという何とも地味な3センターのこの見事な働きっぷり!


昨季のCLを思い返してみてもメッシの規格外な無双さえなければベスト8へ勝ち進んでいたのはミランの守備だったはず。

そう考えるとドリブルでの剥がしが無く、チームの構成上パスだけでミランを・・・否、カルチョを崩しきろうというアヤックスの攻めには無理があるようにも思えます。


更にミランの老獪な守備に比べるとアヤックスの守備はいかにも青臭いものと言わざるを得ません。

【アヤックスの守備】
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局面は左から右へと攻めるミランの攻撃に対するアヤックスの守備の場面。

今、DFラインからタテパスを受けたムンタリにアヤックスの中盤が寄せにかかります。


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ボールを受けたムンタリは左へ展開しますが、これにアヤックスの中盤全員が食い付いてしまいます。


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するとアンカーのポウルセンが不在のバイタルエリアに気付いたロビーニョが降りてきて間受けを狙う動き


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コンスタンからロビーニョにパスが出て間受けを成功させると・・・


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ロビーニョから逆サイドへ決定的なパスが出されてアヤックスは完全に崩されています。

ミランの老獪な守備と比べるとアヤックスの青臭さは明らかですね(^^;

もしアヤックスはボール狩りがしたいのであれば最初の場面でペップのバイエルンばりに激しくムンタリに寄せてボールを奪いきってしまわないとこの戦術は成り立ちません。

ミランは自分達のメンバー構成上、最先端のバイエルンやドルトムントのようなインテンシティが無い事を分かっているので、そこは開き直って「待ち」の守備を完璧に遂行させる方向にシフト出来る強みがあります。


<トレンドを追う者、追わぬ者>

試合は前半を狙い通り0-0で折り返したミランが後半は一転して前からプレスをかけてアヤックスを翻弄。

攻撃でもこの日のピッチ上で唯一のワールドクラス、バロテッリの強靭なキープ力を活かしたポストプレー(ほぼ取られないし!)を軸に
次々と危険なカウンターを繰り出して完全に試合の主導権を握ってしまいます。

アッレグリのプランは完璧にハマったと言えるでしょう。

ところが面白いもので攻め手を失ったアヤックスがたった1本のCKから試合終盤に先制ゴール。

さすがにこれで決まったかと思われましたが、ミランが総攻撃を仕掛けたロスタイムに微妙な判定からPKを獲得。
これをバロテッリが沈めて1-1のドロー決着となりました。

90分を総括すれば内容的にドロー決着は妥当な線ではありますが、
最後のPKが微妙な判定だっただけにアヤックスからしたら受け入れがたい勝ち点1となった事は間違い無いでしょう。

ガリ○ーニあたりに言わせれば「ウチが毎年バルサを引き受けてやっているんだからこれぐらい当然(キリッ!)」とかうそぶくのかもしれませんがww、
それならアヤックスだって3年連続Rマドリー⇒今年バルサの涙目状態だっていう話も…。(^^;


最後に何とか結果を持ち帰ったミランですが、昨今多くのチームが「ボールポゼッション」「高いインテンシティをベースとした前プレ」を理想のスタイルとしてトレンドに傾く中、自分達の置かれた状況を冷静に判断してこの開き直った路線を取れるのはさすがはアッレグリと思わせるものでした。

恐らくアヤックスのパス回しにメッシやネイマール、ロナウドやベイル、ロッベンにリベリーあたりのドリブルが加わる相手には多分ミランの守備では限界があると思います。

同じセリエAでカルチョの老獪さを持つ曲者相手にもこうはいかないでしょう。


しかし、チャンピオンズリーグのような異種格闘技戦で見せるカルチョの輝きは
「それでもカルチョは死なず」を強く印象づけるに充分だったのではないでしょうか-


(一方、アヤックスのパスだけで崩しきろうという攻撃の限界はザックJAPANと全く同じ課題と言えそうです・・・。)



*同じイタリア人繋がりで本大会は「アッレグリJAPAN」も有りかな…と思った貴方はクリック!↓

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フットボールを新たな次元へ押し上げたペップのビジョン ~CL第2節 マンチェスターC×バイエルン~

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<フットボールを新たな次元へ押し上げたペップのビジョン>

どうやら最近だとグアルディオラの現役時代のプレーを見た事の無い若い世代が
バルサやバイエルンの試合を見たり語ったりしているのがもう当たり前の時代だったという事を知って己の年齢を感じずにはいられない今日この頃、いかがお過ごしですか?

ちょっとワタクシの昔話を一つさせていただきますと過去に一度だけ、
ペップ・グアルディオラのプレーを生でお目にかかれる幸運に恵まれた経験があるんですよ。

…そう、あれは忘れもしない13年前の初夏-
EURO2000の為に初めて海外サッカー観戦に出かけたオランダでの事。

アムステルダムの空港に降り立った僕はバス停や街のいたるところに掲げられているEUROの大会ポスターにまず目を奪われました。

それは出場各国をそれぞれイメージしたポスターが国別にデザインされていたんですがスペインはグアルディオラが描かれていたんですね。
(このチョイスがまずいいと思いません?これがもし2002の日韓W杯だったら絶対ラウールを前面に押し出したデザインになってたと思うんですよww)

で、そのポスターのデザインというのがグアルディオラのインサイドキックの背中とサッカーのフィールドが重なり合うような構図でそこに一言・・・「VISION」(ヴィジョン)って書かれてたんですよ。

当時20歳の僕はこれを見て(やべー!カッコよ過ぎー!)って内心ガッツポーズ。

なんでかって言うと、これさり気ないようですけど物凄い高いレベルのフットボールリテラシーが無いとそもそもポスターデザインの意味が汲み取れないじゃないですか。

サッカーのフィールドにグアルディオラのインサイドキック、そして「VISION」の一文字。

これだけで分かる人にはスペインというチームのサッカーを全て完璧に表現出来ている訳ですよ。

もう若造だった僕は空港で見かけたポスター1つで「ああ・・・自分は今、サッカーの本場ヨーロッパに来てるんだ…」なんてやけに感動したのを今でもよく覚えています。
(我ながら痛い若造ですねーwww)


…で、そんな昔話まで持ち出して結局、何が言いたかったかと言いますと
現役時代のグアルディオラって明確な「ヴィジョン」を持ったプレイヤーだったよな…という話で。

そしてそれは監督になった今でも全く変わらず今度は己のヴィジョンをピッチの中からではなく、
ピッチの脇から投影するようになった彼の姿がそこにあります。

そのバイエルンですが、先日のCLで物凄い試合を我々に見せてくれましたよ。

一言でいうならばあのシティ相手に・・・







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ペップ『圧倒的じゃないか・・・我が軍は』
という完璧な試合運び。

そこで今日は先日のCL「マンチェスターC×バイエルン」の一戦から新たなる伝説のチーム誕生の予感を検証していきたいと思います。


<0トップへの第一歩>
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まずはそのバイエルンからですが、注目ポイントは二つ。

一つはペップ流フットボール(バルササッカー)のヘソとも呼ばれる重要なポジション「4番」(アンカー)に
シュバインシュタイガーでもクロースでもなくラームが定着しかけている事。

これはチアゴとハビマルティネスの合流が遅れている事情もありますが、
それ以上にチームで一番インテリジェンスが必要とされるポジションにペップが一番そのセンスを高く買っているラームを置いているという事でしょうね。

(その期待に応えて水準以上のプレーを見せているラームもお見事)

もう一つはCFのポジション。
開幕前のプレシーズンこそペップはこの1トップのポジションにリベリーやらロッベンやらシャキリやらを置いて0トップの方向性を探っていましたが、どうやら性急過ぎた方向展開はチームに混沌をもたらすだけでこれが時期尚早と判断し、一旦従来のマンジュキッチ1トップ体制に戻してシーズンインさせてきました。

しかしこの試合ではそのマンジュキッチをベンチに下げてMFが本職のミュラーをCFに抜擢。
これは開幕から2ケ月を経てチームのベースもだいぶ固まり出し0トップへ向けて再びその一歩を踏み出す頃合と見たのか。


一方のシティでは両SBの人選に注目しましょう。
これまでのサバレタ&コラロフというレギュラーコンビから一転、リチャーズ&クリシーへと変更されています。

リチャーズに至っては見る人によっては「あ・・・まだいたんだ(笑)」ぐらい久しぶりの先発な気もしますが、
という事はここにペジェグリーニの戦術意図があるという事でしょう。

そうですね・・・どう考えてもこれはロッベリー対策ですハイ。

左はコラロフだと守備に不安があるし、右はリベリーの屈強なフィジカルに対抗する為にこちらもフィジカルモンスターをぶつけたと見るべきでしょう。


コンパニ兵長『やれやれ・・・今度の巨人狩りは骨が折れそうだぜ…』



<ペップのボール狩り 守備こそ最も攻撃的になる瞬間>

ところがぺジェグリーニのロベリー対策は開始僅か5分足らずで瓦解してしまいます。

前半6分、リベリーが右からのサイドチェンジを左サイドで受けるとその大外をアラバがオーバーラップ。
これでシティの右サイドはリチャーズがアラバにナバスがリベリーにマークへ付くというミスマッチを作られてしまい、リベリーが得意のカットインから強烈な一撃。

GKハートの手をはじき飛ばしてネットに吸い込まれた日向君ばりのタイガーショットは今年のバロンドールを僕の中で確定させるに充分なものでした。

(それにしても今季のハートは完全にBADモード突入したな…(^^; イングランド大丈夫か?ww)


とは言え試合はまだ85分近く残っています。
あのマクレスターユナイテッド相手に4点をぶち込んだチームであれば勝負はここからでしょう。

が・・・しかし、結局この後の85分間、シティが試合のペースを握る事は一度もありませんでした。


何故ならば相手のバイエルンはプレミアでは決してお目にかかれない、異質のサッカーを展開してきたからです。

プレミアでは守備時、4-4-2のコンパクトな3ラインを形成してあとは持ち前のハードワークで守るというのが基本戦術となっていますがペップのバイエルンが行う守備はもう3ラインとか4-4-2とかそういう次元を超越しています。


【バイエルンのボール狩り】
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これがかの有名なペップのボール狩りですね。
もはや「3ラインとか何それ…?」ってレベルですがゾーンを守るのではなくボールそのものを狩り取る守備です。

この極めて攻撃的なディフェンスこそが現代の最先端であり、守備はもはや受動的なものではなくなりました。
↑この場面を見て「どちらが攻めている?」かと問われればそれはもう明らかだと思うのです。

まあ、シティからしたら奇行種の大群に襲われている感覚でしょうね(笑)


コンパニ兵長「奇行種の群れだ! 一旦退け…!!」
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このボール狩りに面食らったシティの選手達は普段ではお目にかかれないパスミスを連発。

プレミアではどこが相手でもひとまずポゼッションでは主導権を握れるはずのシティが
めずらしく中盤での戦いを避けてDFラインの裏めがけた縦一本の長いボールが増えていましたがバイエルンボールを増やすだけの結果となっていました。

と言うのもバイエルンのDFラインが巧みなライン操作でシティの攻撃スペースをほとんど消してしまうからですね。

【バイエルンのライン操作】
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局面は左から右へと攻めるシティのビルドアップですがボールを受けたナバスにはアラバがここまで高い位置を取ってプレーを制限しています。

シティの前線にはナスリとアグエロが待っていますがナバスが持っているボールにプレッシャーがかかったと見るやバイエルンのDFラインはただでさえ高い位置取りから更にラインを上げてシティが使える裏のスペースを消しにかかります。


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ラインを上げた事で前にいるアグエロとナスリをオフサイドポジションに置きました。
これでナバスには縦パスという選択肢が削られ、ボールを中心とした2対1のバイエルン数的優位という局面だけが切り取られている状態です。
もはやナバスには独力でこの1対2を何とかするしかない状況へ追い込まれてしまいました。

もう一つのポイントがアラバの位置取りです。
ご覧の通り、敢えて縦のスペースを空けて中のジェコへのパスコースを切るポジショニングをとりました。

この場面でバイエルンにとって最も避けたいのが横のオンサイドポジションにいるジェコにつながれて
そこから高いDFラインの裏を狙われたスルーパスを出される事です。

従って通常SBが相手のSHに対し敢えて縦のコースを空けるという有り得ない守備がここでは正解となります。
ナバスに縦へ行かれる分にはここからいくらでも対応が利きますしね。

実際の試合では追い込まれたナバスがアグエロへタテパスを出してバイエルンの策にハマる形でオフサイドを取られてしまいました。


<トライアングルの意識>

一方、攻撃でもバイエルンは目に見えてペップイズムが浸透してきたな…という場面が増えていました。

ペップイズムのアタッキングとは要約すれば「トライアングル」「間受け」です。
では実際の試合からバイエルンの成長ぶりを確認してみましょう。


【ペップイズムが浸透し始めたバイエルン】
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局面は右から左へと攻めるバイエルンのビルドアップの場面。

右サイドでトライアングルを作ったバイエルンはこの三角形をなぞるようにしてロッベン⇒シュバイニー⇒ラフィーニャとパスをつないでいきます。


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ポイントはパスを出した足を止めないという事です。

ここでもパスを出したシュバインシュタイガーがそのまま縦に抜けて反対にロッベンはバックステップで後ろに下がってくるというそれぞれが反対のベクトルでポジションチェンジを敢行。


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裏に抜けるシュバイニーがシティのDFを引っ張るので降りてくるロッベンがフリーになるというメカニズムですね。

動いた後に再びシュバイニーを頂点とした新しいトライアングルが描かれているのもポイントです。


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フリーになったロッベンが前を向いて起点となると最前線ではリベリーが裏へ抜ける動きでシティのDFラインを後ろへ引っ張っています。

これでシティのバイタルエリアが確保されクロースの間受けが活きる状況が生まれました。


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サイドでのトライアングル形成⇒フリーの起点作り⇒クロースの間受けと完璧な流れでボールを動かすバイエルンの姿があります。

これをされるとシティの通常ゾーンディフェンスでは手玉に取られるだけで
ヤヤトゥーレやフェルナンジーニョのフィジカルの強みを活かそうにもボールホルダーの身体にさえ触る事が出来ない状況。

こういうサッカーに対する振る舞いならアトレティコやマドリー等のリーガ勢はもっと上手くやれるもんですが、
よくよく考えてみればシティはほとんどバルサと対戦経験が無かったのですね…。


前半30分の段階でバイエルンはシティの3倍以上、300本を越すパスをつなぐ独演状態で
こうなると次第にシティの選手達からボールを奪おうという能動的なアクションが消えていくのでした。


何故あのシティがバイエルンの三分の一しかボールを繋げなかったのかと言えば、
それはポゼッションのメカニズムがバイエルンの三分の一レベルでしかなかったからです。

例えばこういう場面↓

【シティのポゼッション】
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局面は左から右へ攻めるシティの攻撃の場面。

左サイドでナスリがボールを持ったこの局面でまずシティには間受けを狙うスペースに選手がいませんし、
ボールサイドにも2枚しか駒が無いのでトライアングルも作れていません。


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そうこうしている内にナスリはすぐにシュバインシュタイガーに寄せられて中へのパスコースも消されてしまったのでフォローに上がってきたクリシーへボールを下げます。


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ボールは更にクリシーからアグエロと渡りますがサイドで局面が狭くなり過ぎてしまっているのでここまでくると一旦フェルナンジーニョまでボールを下げざるを得なくなります。


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…で、そのフェルナンジーニョへもプレスがかかるのでボールは更にCBのコンパニまで下げられて・・・


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コンパニから今度はナスタシッチへ。これ以上後ろにシティの選手はいないので・・・


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ナスタシッチは大外のクリシーへ窮屈な浮き球のパス。

パスを出したというより追い込まれて蹴らされた格好の浮き球は精度を欠き、そのままタッチラインを割ってしまいました。


シティは前線とアグエロとジェコがバイエルンの巧みなラインコントロールによって存在を消され、サイドではナバスが孤立。
司令塔になるべきナスリもボール狩りのターゲットにされ、ヤヤとフェルナンジーニョは守備に追われて攻撃どころではありません。

つい一週間前、プレミア王者相手にサッカーのレッスンを施したチームがペップのヴィジョンを前にフットボールをさせてもらえない現実がそこにありました。

(こうなるともしモイーズとペップが今ぶつかったら一体何点差つくんだよ・・・(ガクブル))


<シティの前プレとペップのいなし>

それでもシティはコンパニ兵長を中心に最後の一線で凌ぎ切って前半をなんとか0-1で持ちこたえていました。

迎えた後半、ペジェグリーニはゾーンの網を張って待っていたところで好き勝手に回されるだけだと悟り、一転して前プレへ舵を切ってきます。

これで後半はお互いの前プレとボール狩りのアグレッシブな応酬となり、CLのあるべき姿、昨季決勝の対ドルトムント戦に近い状態へ。


しかしペップにはバルサ時代に散々相手の前プレ対策は積んできているのでバイエルンでも同じ事をするまでです。
後半、シティの前プレを受けたバイエルンのDFラインはGKノイアーを使ったボール回しで難なくいなしにかかります。

「こりゃあプレシーズンに相当ペップに鍛えたれたな…」と確信するノイアーの見事なボールテクニックは
バックパスからの展開をしっかりビルドアップとして攻撃に繋げられるレベルに達していました。

GKを使った前プレのいなしが有効なのは所詮「全員守備」と言ったところでサッカーでは10人での守備が限界なのに対し、ボール保持側のチームがGKを使ったボール回しを可能にすると10対11の数的優位になれるという事ですね。

ノイアーの見事なビルドアップ参加に比べるとハートのキックはそのほとんどが相手ボールになるかタッチラインを割るお粗末なものでした。

そもそもGKをビルドアップに参加させるという発想がまだないイングランドフットボールでは、そういったGK育成法も確立されていないのでしょうか?

これではせっかく前プレ合戦になった後半も結局10対11の数的優位でバイエルンが戦っているようなものです。


となればその必然としてバイエルンの追加点が生まれるのは時間の問題でした。

後半55分、それまであれだけ見事なパス回しを中盤で見せていたバイエルンがシティが前プレに出たと見るや
いきなりCBからシティのDFライン裏目掛けた縦一本のロングパス。

これに「裏抜けの名手」ミュラーが絶妙のタイミングで飛び出したかと思うと落ち着いてGKとの1対1を沈めてしまいます。

それまで0トップとしてずっとMF的な振る舞いを見せていたミュラーの一転した裏抜けにシティは完全に虚を突かれてDFラインは棒立ち状態。

しかしこれは予めマンジュキッチではなくミュラーをこの日の1トップに指名したペップの明確なヴィジョン(狙い)だったとすると空恐ろしい男であります。

一方、前プレの出鼻を挫かれたシティはすっかり意気消沈。
そこに追い討ちをかけたのが「空気の読めない男」ロッベンです(笑)

ミュラーのゴールから僅か4分後の後半59分、
ロッベン無双から対面のDFをきりきり舞いにさせてゴール右隅に流し込む得意の形。

バイエルンが後半60分までに0-3とした事でここで勝負アリです。

(試合はその後、ペースを緩めたバイエルン相手にシルバを投入したシティが1点を返しますが何の慰めにもならない悲しいゴールでした…。)


一見、無秩序(カオス)にも見えるペップバイエルンの攻撃形ですが、
実はその目的は明確なヴィジョンの元緻密に計算されている事が試合後のデータからも明らかになっています。

ではちょっとここでこの試合における両チームのプレーゾーンをUEFAの公式データから拾ってきましょう。

【バイエルン×シティ 両チームのプレーゾーン】
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がバイエルン、水色がシティで、色のエリアが大きければ大きいほどプレー頻度が高かったという事を示しています。

近代サッカーでは最もゴール攻略の確率が高いと言われているペナルティエリアの四角、
その両角をニアゾーンと言ったりしますが、あれだけ無秩序に見えたバイエルンの攻撃がこの2つのニアゾーンに集約されている事がこのマップから確認出来ます。
(サッカーではこのエリアを抑える事が「王手飛車取り」なのです)

そこに至るまでの過程は自由でもあり、幾つもの緻密なパターンがあったりしても目的地だけはハッキリと共通のビジョンとして持っている。

これがペップバイエルンの強みなのでしょう。



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<ペップが再びフットボールを新たなる次元へ押し上げるのか?>

ここ数年、近代サッカーにおける最高到達点と言えば2011/12シーズンのCL決勝、
対マンチェスターU戦で見せたペップバルサの最高傑作とも言えるあの試合です。

あの試合を基準にその上を行くチームが出てくるかどうかを見守ってきた訳ですが、
その意味で昨年のバイエルンと当時のバルサが試合をしたらどんな事になるのか?はサッカーファンなら誰しも一度は妄想した事があるのではないでしょうか。

まあこれはあくまで妄想なので現実的には立証不可能な問いなんですけど、
この問いに対する明確な答えがこの日のピッチで見つかったような気がします。

なんと言ってもあの最強バイエルンにペップがバルサイズムを持ち込んでいるんですからこれが完成したら問答無用で
あのペップバルサも昨年のバイエルンをも上回る新次元のフットボールがそこに現れるはずです。

実際にその息吹は確かにこの試合でも感じる事が出来ました。

ペップバルサではメッシの両脇に配置された両ウイングはあくまでオトリ、もしくはメッシのワンツー専用の"かかし"でしかなかったものが
ここバイエルンではあのリベリーとロッベンがそこに配置されているのです。

リベリーのカットインから生まれた1点目、0トップ・ミュラーの裏抜けで2点目、そしてロッベン無双でとどめの3点目とそのバリエーション豊かな得点パターンはかつてのバルサには明らかに無かった物。


一方のシティは、厳しい見方をすればまだバイエルンへの挑戦権すら手にしていない現状と言えるものでした。
要するにバイエルンとシティとでは違う次元でサッカーが展開されていたと言ってもいいでしょう。

例えばこのブログでは何度か紹介している現代サッカーの一つのトレンド。↓

【時代のトレンド⇒両サイドを絞らせてバイタルの密度を上げる(例:ドルトムント)】
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例の2列目の両サイドを中に絞らせて大外はSBを香車として使うという形ですね。

シティも基本的にはこれに近い形を採用しているんですが、ペップはもうその一歩先を行っています。

勿論サイド攻撃の際は先制点の場面のように大外をSBが香車として使う基本形はペップも持っているんですが・・・

【バイエルンの先制点 (SB香車の陣)】
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ハイ、リベリーの大外をSBのアラバが駆け抜ける事でシティにミスマッチを誘った場面ですね。

ところがペップのバイエルンではこの形に加えてもう一つ、
ポゼッション時にSBをボランチに加えて中盤の厚みを増すというオプションを今季から取り入れているんです。


【SBをボランチに加えるオプション】
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局面は右から左へと攻めるバイエルンのビルドアップの場面なんですけど。

ここで攻撃サイド(右)のSBラフィーニャは通常通りの位置取りなんですが、
ポイントになるのが攻撃サイドとは逆サイドのSBアラバのポジショニングですね。

これまで逆サイドSBの位置取りはDFラインに残って3バックを形勢するか
もしくは両SBを同時に高い位置へ上げてボランチが真ん中に下りてくるかのどっちかだったんですがペップはそこに新たなエッセンスを持ち込もうとしているのでしょう。

確かにこれだと中盤の厚みは確実に増して間受け要員に避ける人員にも余裕が生まれるはず。


要するにドルトムントを例に紹介した現代サッカーのトレンド系が
従来の香車だった両ウイングを飛車や銀・金としての動きにまで進化させ、代わりに後ろのSBを香車化するものだったとすれば、
ペップが今行っているのは両ウイングに加えSBにも金へ成れという進化のプロセスです。

攻撃の起点となるべく大きく両サイドに開くCBに中盤や間受け要員としての進化を見せつつあるSB,
そしてビルドアップを有利にする為の切り札となったGK。

そこにもはや香車や歩といった専門職は無く、盤上全ての駒が金や飛車で埋め尽くされたハイブリットサッカーの未来が見えてこよう。

(未だに両サイドが香車で埋め尽くされている某チームについてはまた別の機会に・・・www)


この新次元のサッカーに現状挑戦権を持っているのはスペインが誇る二強と宿敵ドルトムントの3チームまでが限界か。

思えばファギーもCL決勝で実際にペップのフットボールに触れて、プレミアの限界を感じサッカースタイルの変換へと動いた経緯がありましたね。

だとするとCLのグループステージを未だ突破した事のないシティの現在の位置は自ずと見えてくるし、
その挑戦権を手にする事こそが今季の使命になってくるかもしれません-





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【告知:今夜の日本代表×セルビア戦を実況解説ツイートします!】

今夜24時過ぎぐらいからツイッター上で開催予定!
(ツイッターに登録していない人でも見るだけなら可)
物好きな方はスマホ片手にツイッターしながら一緒に観戦しませう!





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新たなる銀河系は誕生するのか? ~マドリードダービーに見る『守・破・離』~

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<新たなる銀河系は誕生するのか? ~マドリードダービー~

「Rマドリーはスルーですか?」

・・・って、そんなつもりは毛頭無かったんですが、
確かにタイミングが合わず、まだ今季一度も取り上げていませんでしたね(^^;

とは言えちゃんと開幕から試合は追っていましたので今日は今季開幕~これまでのRマドリーを振り返りつつ、
ある意味マドリーの現状が決定的となった試合とも言える先日のマドリードダービーを検証していきたいと思います。

ではまず、モウリーニョと決別した白い巨人が新たなる銀河系チーム再建を託したこの男に登場してもらいましょう。


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<アンチェロッティという男>

今季のマドリーを語る上で、まずはこのアンチェロッティという新指揮官は外せないファクターになってきます。
そこで彼のこれまでの経歴を振り返る事でこの新監督を今一度おさらいしておきましょう。

そもそも彼が現在の地位まで上り詰めるそのキッカケとなったのは96年から2シーズンに渡って指揮をとったパルマでの躍進です。

当時、生粋のサッキニスタだったアンチェロッティは師匠アリーゴサッキの流れを汲むゾーンプレスの申し子で
パルマでも「4-4-2にファンタジスタの居場所は無い」としてチームナンバー1のテクニシャンだったジャンフランコ・ゾラを放出。

後にアンチェロッティ本人も「当時の私はまだ若く、監督として頭も固かった」と認めている通り、
この頃はまだガチガチにシステマチックな戦術で固めるタイプの監督でした。

そんな彼の戦術観を一変させたのが、次に指揮を執ったユベントスでの事。
キッカケは1人の選手、ジダンの存在です。

屈強なフィジカルと繊細なテクニック、「近代サッカー最後のトップ下」と言われたジダンを抜きに
当時のユベントスでチーム作りを進めていくなど到底不可能な話でした。

しかしジダンを使うからにはピッチ上の選手が均等に攻守を受け持つ4-4-2を諦めねばなりません。
そしてアンチェロッティは決断するのです。このチームではジダンを最大限に活かす3-4-1-2を採用すると。
(ジダンには守備を免除する代わりに彼の周囲にその負担を受け持つ労働者を配置してバランスを取る布陣へ)

結果的にこの決断は吉と出てジダンに率いられたチームは躍動。
この時の経験がアンチェロッティの戦術に幅と柔軟性をもたらす事になります。

その後はミランでピルロをアンカーに置いたり、PSGでスター軍団の共存を図る4-4-2を採用したりと
年齢を重ねると共に引き出しを増やしていきました。

よく監督をタイプ別に分ける際「自身の戦術に合わせて駒を選ぶタイプ」「持ち駒に合わせて戦術を選ぶタイプ」の2種類がいると言われますが、
アンチェロッティの強みはこの2つのちょうど中間に位置している事です。

選手やクラブの会長とも温厚な関係を築く事が出来る彼は、全てにおいてバランスを調整する事に長けたオールラウンダーな監督と言えるでしょう。

昨季、ロッカールームでの派閥闘争、クラブ内部での政治的駆け引き、カウンター戦術の限界と不満に揺れたマドリーにとって、まさに今クラブが必要としていた男がアンチェロッティだったのです。


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<「ネクスト・ジダン」 イスコの存在>

運命とは時に不思議な巡り合わせをするものですが、
今季アンチェロッティのチームには「次世代のジダン」とも言うべき天才イスコという持ち駒がいました。

しかもこのイスコをマドリーに引き寄せ、
アンチェロッティと引き合わせたのが誰あろうそのジダン張本人だったというのだから面白い話ですよね。

ではここで、そのジダンをアシスタントコーチに加え、
今季アンチェロッティが最初に送り出した開幕当初のオーダーを見てみましょう。

【13/14 Rマドリー (開幕当初)】
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ポイントは4つ。

まずはSBに新加入のカルバハルを開幕スタメンに大抜擢したものの、
攻撃力では魅せた反面、守備で裏のスペースを空けるクセがあるというまるで「スペイン版マルセロ(笑)」だった事からマルセロとの併用はリスクが大き過ぎると判断。

以降はアルベロアが起用されいますが、左のマルセロが怪我で戦線離脱すると再びカルバハルに出番が回ってきたり…とやり繰りに試行錯誤している現状です。

次に話題のGK問題。
昨季は監督との個人的ないざこざからベンチメンバーになっていたと見られていたカシージャスが
新指揮官の元でもベンチに座り続けた事でちょっとした騒動に発展していました。

しかしアンチェロッティからすると昨季から試合に出続けていてパフォーマンスにも問題が無い正GKを下げる理由が見当たりません。
実際にDロペスは今季も開幕から絶好調で、彼のスーパーセーブが無ければ今頃マドリーはバルサに大きく勝ち点で離されていた可能性もあります。

折衷案として今はCLでカシージャス、リーグ戦でDロペスを使うという苦肉の策を取っていますが、
確かにカシージャスには大一番になればなる程、又チームが苦境に陥れば陥る程その力を発揮する
通称「聖・イケル・カシージャス」なる特殊能力を持っているのでシーズンの佳境では出番が多くなる事も予想されます。


3つ目は骨折でしばらく復帰が見込めない司令塔シャビアロンソ不在のボランチです。
新戦力として同タイプのイジャラメンディを補強してはいましたが、
すでにチームに馴染んでいるモドリッチとケディラのコンビが無難に起用されました。

しかしこの組み合わせは2ボランチとしては最悪です。

ケディラは身体をぶつけた競り合いに強いので、いつもケディラがボールに当たりアロンソがそのカバーをするというのがマドリーの2ボランチにおける基本的な役割分担になっていました。

一方のモドリッチもスパーズ時代から豊富な運動量で攻撃に上がっていく事でその持ち味が発揮されるので
相棒のパーカーがその分バランスを取るという分担です。

つまり、逆の言い方をすればケディラにチーム全体のバランスを見たカバーリング役をこなせるセンスは無いし、
モドリッチもアンカーとして身体をぶつけてでも相手の攻撃を止めるフィジカル的な強さは持ち合わせていません。

結果としてお互いに「アロンソを必要としている」このコンビは全く機能していませんでした。


4つ目はこの中盤のゴタゴタをたった1人で解決していた「新たなるジダン」イスコの存在です。

マラガ時代からその能力の高さは際立っていましたが、
周囲の味方のレベルが上がった事で今季は更に輝きを増しています。

とにかくバイタルエリアで間受けに入るタイミングが絶妙でマドリーは彼にボールを渡しておけば自動的にチャンスが生まれるというボーナスステージ状態。
あのロナウドも含め、マドリーはボールを持ったらまずイスコを探しているフシもあり、瞬く間にチームの王様として君臨しています。

ゴールとアシストという二つの決定的な仕事によって開幕序盤のマドリーを文字通り引っ張っていたのがイスコでした。

一方でそのイスコと役割が完全にかぶっているエジルはサイドに追いやられ、
ピッチ上の持ち場まで奪われてしまい、さすがにこれは移籍も止む無しと見ました。


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<そしてベイルがやってきた…。>

そして移籍市場も終了間際になって遂に「130億円の男」ベイルがチームに加入しました。

勿論、彼の力は大きな武器になり得ますが、既にスター選手と新加入選手で溢れかえっているチームで一歩使い方を間違えれば諸刃の剣にもなりかねません。
アンチェロッティの慎重な手綱さばきが問われるところです。

実際に開幕から1ケ月ほどはチームとしての機能性に問題を抱えながらも個々の能力の高さによって順調に勝ち点を稼いでいたマドリーでしたが、遂に第4節のビジャレアル戦で負の側面が一気に露わになります。

それはモウリーニョとの決別から今季は多くのマドリディスタ達が望むポゼッション型へ舵を切っているマドリー相手に、2部に落ちようとも一貫してポゼッションサッカーを貫いてきたビジャレアルがそのお手本を示したような試合になりました。

ではこのビジャレアル戦で見られたマドリーの課題を検証してみましょう。

【13/14 Rマドリー 対ビジャレアル戦】
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この試合、怪我のマルセロに加えてアルベロアとコエントランも使えない事情からアンチェロッティはナチョ・フェルナンデスをSBに抜擢。

加えて最悪のバランスだったボランチペアはモドリッチとイジャラメンディの組み合わせに変更されています。
そして注目のベイルは右SHとしてデビュー戦を迎えました。


ところが試合は序盤から見事なパス回しを見せるビジャレアルにマドリーが翻弄される事となります。
まずボランチのペアが抱える問題はこの試合でも全く改善の兆しを見せる事が無かったのでバイタルエリアは終始不安定なままでした。

【ビジャレアルのカウンターに無人のバイタルエリアが狙われる】
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マドリーはモドリッチと新加入のイジャラメンディで役割分担がハッキリせず、
攻撃時にどちらも自分のタイミングで持ち場を離れてしまうのでDFラインの前は常に無人のスペースと化し、
カウンターを食らう度にこのバイタルエリアを使われる有り様でした。

そしてそれは遅攻を受けた際にも同じような問題が発生しています。


【遅攻でもバイタルエリアを埋めきれない】
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↑この場面では片やDFラインに吸収され気味の深いポジションを取るイジャラメンディと
片やボールに食らいつくモドリッチで距離が開き過ぎてしまい、結果としてやはりバイタルを空けてしまっています。

出来ればベイルにも中に絞ったケアをしてもらいたい場面でしたが
ここでは相手のサイドチェンジを想定したのか逆サイドのエリアに回るような動きを見せています。

まあ、細かい事を言ってしまえば守備の優先順位として逆サイド<<中のバイタルとなるんですが
そもそもベイルにはそういう気の利いた守備を期待してわざわざ大枚を叩いた訳ではありません。


続いてビジャレアルのパス回しに翻弄されるマドリーをもう一つ↓


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局面は左から右へと攻めるビジャレアルのビルドアップにまずイジャラメンディが食いついた場面です。

実はこの一つ前の段階で既にモドリッチも持ち場を離れているので微妙な判断ではあるんですが、
なにぶん前がロナウド、ベンゼマ、イスコでは積極的な前プレが全く期待出来ないというチーム事情があります。

既にいいようにボールを回されてきたマドリー守備陣の心情としては
ここでも相手のボランチに全くプレッシャーがかかっていないのを見て積極的な動きに出たのも無理はないかな…と(^^;


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ですがイジャラメンディの積極性も所詮周囲が連動していない単発的な動きなので難なくいなされてしまうと
ダブルボランチが空けた中央のパスコースがパックリ空いてしまい、ここでもベイルに対して中へ絞る守備が求められる事となってしまいました。


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しかし、元来が純粋なサイドアタッカーであるベイルに過度な守備センスまでは求められません。

この場面でもやはり中ではなく外をケアするクセが出てしまい、一番危険なコースにパスを通されてしまいます。


…このように前線をベンゼマ、ロナウド、イスコ、ベイルで構成してしまうと絵面こそ豪華絢爛ですが
やはり攻守のバランスがガタガタになってしまうのですね。

その上、攻撃でもベイルが右サイドを突破する度にわざわざ左足に持ち変える姿を見ては
「何という130億の無駄使い」「こんなベイルは見たくなかった」というのが偽らざる感想です。


この中途半端なポゼッションサッカーが本家ビジャレアルに通用しないと見たアンチェロッティは後半、
ベイルに代えて右が本職のディマリアを、ボランチにはモドリッチに変えてケディラを入れる事で昨季までのカウンターサッカーへスタイルを180度変更。

この効果はすぐに現れて右サイドでディマリアの走力が復活⇒攻守のバランスも改善。
試合は伝家の宝刀カウンターからマドリーがなんとか引き分けに持ち込んでいます。


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<4-4-2の【守・破・離】 ~マドリードダービー~

そんな流れで迎えたのがこの大一番マドリードダービーになります。

ではいつものように両チームのスターティングオーダーから見て行きましょう。


【Rマドリー×Aマドリー】

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*アトレチコの布陣はアルダとコケが左右逆でした(^^;)

アンチェロッティはこれまでのイビツなバランスの布陣ではリーガナンバー1のリアクションサッカーで鳴らすシメオネのアトレティコ相手にカウンターで狙い撃ちにされる危険性を懸念していた事でしょう。

そこで立ち返ったのが自らの原点でもある4-4-2でした。

ここで一度それぞれのポジションを固定化させた4-4-2にする事でまずは攻守のバランス改善に努めたアンチェロッティらしい狙いが透けて見えます。


対するシメオネもこのダービーでは自分達の基本布陣である4-4-2を押し通してきました。

但し、同じ4-4-2でもこちらは意味合いが全く異なります。

何故ならシメオネはバルサと戦ったスーパーCUPでは中盤を厚くした4-5-1で迎撃体制を取っていたからです。

【バルサ相手に4-5-1で迎え撃つアトレティコ】
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↑このようにビジャを1トップに残した4-5-1でバイタル閉鎖を敷いたのがバルサ戦のアトレティコでした。

本来の4-4-2に比べるとビジャの1トップではどうしてもカウンターの切れ味が落ちるんですが、
それ以上にバルサに中盤を明け渡したくないというのがシメオネの偽らざる本音だったのでしょう。

逆に言えば「マドリー相手には4-4-2でいける」という自信があったという事です。


【ダービーのアトレティコは4-4-2】
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実際の試合では予想通りアトレティコがボールをマドリーに譲りながらも試合の主導権は自分達が納めるという狙い通りの展開。

アトレチコはある程度マドリーにボールを回させて自陣におびき寄せたところからボールを奪い、
一気にカウンターで得点を狙うシンプルなリアクションサッカーに徹していました。


一方、ビジャレアル戦と違いボールを渡されたマドリーには難点があります。

ポジション固定型の4-4-2だと2列目の中盤がボールを持った時に前へのパスコースが2トップの二つしか無いという事です。

これがマドリーのボール回しを難しくしていました。


【ディマリアの前に誰もいない問題】
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局面は左か右へと攻めるマドリーのビルドアップの場面。

最終ラインから右へと展開されたボールをディマリアが受け取ります。


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ところが中盤がフラットなラインになっている4-4-2だと
2トップが降りてくるかサイドに流れない限り、中盤から前へのパスコースが生まれません。

ところが足元で受けたがるベンゼマとロナウドの2トップは味方へのフォローに回る意識が緩慢で
この場面ではディマリアの前にパスコースが全くありません。


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仕方なくディマリアはドリブリでマークをズラしながら無理やり逆サイドのイスコ目掛けたサイドチェンジを試みます。

ですが、戦術的に見て自陣深いこのエリアでSHが攻撃方向と逆に向かってドリブルしながら無理やりサイドチェンジを通そうとういう攻撃は明らかに異常だと思うのです。


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結果的にこのサイドチェンジは完全に読まれていてインターセプトからカウンターを受ける事になりました。


戦術的な違和感というのはやはり失点に直結するもので、アトレティコの先制点もこの問題が遠因となっています。

【アトレティコの先制点を検証】
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局面はマドリーの自陣深いエリア、DFライン前でこぼれ球をディマリアが拾った場面。

ここにはFルイスが自信を持って詰めて来ていますが、その自信の裏付けとなっているのがディマリアの前にパスコースが無い事なのは明らかです。


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パスコースの無いディマリアは自分でボールを運ぼうとドリブルを挟みますが、これをFルイスに突っつかれてこぼれ球がコケの前に。


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手前でパスカットを狙ったアルベロアの裏をDコスタに抜けられてGKと1対1を作られてしまいました。

今季開幕から絶好調のDコスタがこの決定機を外す訳も無く、しっかり流し込んでアトレティコが先制します。


これで勝利には2点が必要になったマドリーは俄然攻撃モードに入りますが、ここでもお仕着せの4-4-2が邪魔をするんですね。

まずイスコがサイドに張っているので中央で得意の間受けが激減。
反対にロナウドは得意のサイドから2トップに回された事で前を向いてではなくDFを背負ってボールを受ける場面が増えてこちらも持ち味が半減していました。

【機能しないマドリーの遅攻】
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局面は左から右へと攻めるマドリーの遅攻の場面。

ここではやや中に絞った位置でもらいたいイスコとトップから下がってきたロナウドでエリアがもろ被り。
奥のイスコが早速死んでいます(笑)


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DFを背負ってボールを受けたロナウドは力強いターンで前を向きます。

サイドのエリアと違って守りがぶ厚い中央のエリアではすぐにカバーのDFが入るのですが、
これがイスコなら自分に食いつかせる事を逆手にとってDFの鼻先でボールを逃がす視野とテクニックを持っています。

ところがロナウドはドリブル時の視野がイスコほど広くなく、自分で突破しようとする傾向も強いのでここでも切り返しでカバーのDFを外そうとするんですが・・・


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シメオネ直伝の深いタックルにボールを奪われてしまいます。

(きちんとボールに行っている正等なスライディングなのでノーファウル)


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遅攻で攻めに人数をかけているところで奪われてのカウンターは非常にしんどい守備になります。

マドリーとしては早めに高い位置で潰しておきたいところですが、
アトレチコにドリブルでだいぶ運ばれているこの場面でも尚、ロナウドは倒れたままの姿勢でレフェリーにファウルを求めるいつものダダっ子ポーズww

これでは素早い攻守の切り替えなど望むべくもありません。

ロナウドはサイドから斜めにカットインして入って来た時は前を向いているので中央での間受けも活きるんですが
CFから降りてくる場合だと背後にCBかボランチを背負う事になるので今ひとつだと思うんですよね。

やはりこの仕事をさせるならイスコだろう…と。


一方、懸案だったボランチの守備はだいぶ改善の兆しが見えていました。

攻撃で持ち場を離れる傾向が強いモドリッチをベンチに下げて、
ポジション固定型の4-4-2でケディラとイジャラメンディを並べた事で不用意にバイタルエリアを空けるシーンは半減しています。

しかし、これが逆に攻撃では足枷となってしまうのがサッカーの難しいところ。


【ポジション固定のボランチが生む弊害】
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局面は左から右へと攻めるマドリーの攻撃の場面。

イスコが巧みなポジショニングで間受けを狙っていますが、ケディラには手前の門のコースにパスを通す自信が無いのか逡巡している様子。

(手前でペペが「早く縦に出せ!」って叫んでるのが笑えるwww)

まあ、ここはそもそも中盤にケディラなんかを置いているのが問題なんですが、ここでは一旦それは置いておきましょう(^^;


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仕方ないのでイスコがより広いパスコースを求めて中へ移動。これでケディラからようやくタテパスが入ります。

ですが問題はこの後のイジャラメンディの動きにあります。


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イスコの間受けの狙いは自分にDFを食いつかせてからボールを逃がし展開する事にあります。

ここでもケディラのタテパスをフォローに来るであろうイジャラメンディに落とす画を描いていましたが、
問題はボランチにモドリッチがおらず、ポジション固定型になっているという事です。


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ハイ、やっぱりイジャラメンディが上がってきません。

そうこうしている内にイスコへはDFが迫って来てしまい・・・・


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せっかくの間受けが台無しになってしまいました。

「こっちを立てればあちらが立たず」
マドリーの難解な攻守のバランスを巡るパズルにアンチェロッティも頭が痛いはず。


【アンチェロッティの出した回答 後半】
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0-1アトレティコのリードで折り返した後半、アンチェロッティはメンバーチェンジで4-4-2に見切りをつけます。

イジャラメンディに代えてモドリッチを、ディマリアに代えてベイルを投入。

この交代が生み出した攻守バランスの結果を象徴するシーンを一つ見て行きましょう。


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まずこの交代のメリットはイスコを中央に戻した事で間受けが復活して中盤の預けどころが明確になった事ですよね。

ここでも2テンポから3テンポぐらいケディラのパス出しが遅くてイライラしたんですが、
まあなんとかイスコにパスを入れているのでギリギリ合格としましょう(笑)


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パス出しが遅かったせいでDFに寄せられたイスコでしたが、そこは巧みなターンでかわしつつ前を向いて間受けを成功させます。(流石やね)


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イスコをトップ下に置いたもう一つのメリットはベンゼマとの縦関係で中央にラインが出来る事です。

お陰でこの場面でもベンゼマに預けたワンツーリターンで中央突破の画が描ける訳ですね。


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と・こ・ろが…ベンゼマさんの落としが雑過ぎ~!!

今季も開幕から低調なパフォーマンスに終始しているベンゼマ先生ですが、
「本気のベンゼマを見せる(キリッ!)」と言い出して早3年。

いい加減マドリディスタも愛想を尽かしている感もあります(笑)

試合ではこのパスがインターセプトされた事でアトレティコのカウンターが発動。



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前線のDコスタにタテパスが入ったところで残っていたモドリッチが背後から寄せますが簡単に後ろへ叩かれて・・・


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ここでファウルでもいいから身体で止めきれないのがアンカー・モドリッチの泣きどころ。

マドリーはカウンターを受けた場面でボランチがいなされてしまうと2CBでの守備を強いられてしまいます。


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ここでアトレティコが2トップを残していたメリットが活きるんですね。

マドリーはベンゼマのミスパスから僅かタテパス3本繋がれただけでGKと1対1の決定機を作られてしまいました。

つまりこの交代を総合的に見るとトップ下イスコの復活とモドリッチの攻撃参加で中央に厚みを増した攻撃面では良い効果が得られていましたが、
やはりカウンターを受けた時の守備は脆弱なものになってしまったと言えそうです。

(加えて右のベイルは左足でボールを持つので横か後ろ方向へのドリブルがほとんどという惨状…OTL)


試合では最後、アンチェロッティが3枚目のカードにイスコに代えてモラタを投入。前線の厚みを増やしてきました。
(個人的にはベンゼマの方を下げて欲しかったが・・・)

精彩を欠くベンゼマと違いモラタのハツラツとした動きがようやく前線を活性化させますが時既に遅し。

1点のリードを持ったアトレチコが終盤は自陣深くに4-4-2の強固なブロックを敷いてそのまま試合をクローズさせる事に成功しました。

【アトレティコの4-4-2ブロック】
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日本の伝統芸能ではその道を極める過程を「守・破・離」と表現する事がありますが、
これはまず「型」を"守る"ところから入り、次にその既存の型を"破り"、最後に型から"離れて"自分のモノにするという意味ですね。

アトレチコは半ば遅攻は捨て気味の開き直りがあるので4-4-2の型を守る事で自分達の勝ちパターンを持っていますが、
マドリーは4-4-2の型を守る事がイコール呪縛となってしまい、足枷になっている感が強い訳です。

同じ4-4-2でも完成度に雲泥の差があった2つのマドリーが戦えばこうなるのはある意味必然の結果だったのかもしれません。


<新たなる銀河系は誕生するのか?>

このように選手の組み合わせを変え、布陣を変え、最適バランスを見極めるアンチェロッティの苦悩こそが今のマドリーの全てです。

カウンタースタイルに徹すればすぐにでも欧州最高峰のチームに戻るんでしょうが、
現在のどっちつかずの中途半端なポゼッションスタイルだとパス回しではビジャレアルに翻弄され、
アトレチコにはカウンターの餌食にされるレベルの代物でしかありません。

さて、それでは最後にアンチェロッティが見い出すべきベストバランスとはどこにあるのか?を少し考えてみましょう。

まずGKは世界一レベルの高いレギュラー争いを今後も続けていく事になるのでしょうか。
正GKを固定しないリスクも高いのですが、クラシコ等の大一番ではやはりカシージャスの神通力が必要な気もします。

DFラインは経験重視のCBはラモスとペペで固定(ヴァランはカップ戦要員からスタート)、
SBはマルセロが復帰すればだいぶ磐石なものになるはずです。

懸案のボランチはアロンソ1人が欠けただけでここまでガタガタになる事がそもそも驚きでした(^^;
(まあ、その昔同じような事がプレミアの赤いチームでも起こったそうですが…(爆))

彼の復帰次第で万事解決する気もしますが、とするとベストな相棒は果たして誰なのか?
順当にモドリッチでもいいですが、個人的にはMシウバ、Gシルバの系統を受け継ぐブラジル人ボランチ=カゼミーロを置いてみるのも面白いんじゃないかと思います。
(この選手は個の力でボールを奪える若いボランチで将来が楽しみですよね)


前線ではやはりロナウドをサイドに、イスコは中央に戻すのが無難かと。

イスコを銀河系時代のジダンに見立ててロベカル役をマルセロに…という見方もあるかもしれませんが、
それをやるには前線で気の利いた献身が出来るラウールとボランチにもマケレレ役がいません。

ベイルは右に置くぐらいだったらプレミアに返却して下さい(爆)これは僕からの切なるお願いですww

(やっぱり中盤にはこのチームで唯一、攻守で汚れ役になれるディマリアが必要だと思いますよ。ええ)


それとあれだけ補強資金を使っておきながらイグアインを放出したCFにベンゼマとモラタしかいないのは一体全体どういうチームバランスなのでしょうか?(^^;

まあ、最近のパフォーマンスを見ればCFにどちらを使うべきなのかは明らかだとは思いますが、それにしても層が薄過ぎる…。

結局、本気を出さず終いのベンゼマにしても、そもそも1トップは彼のベストポジションでは無いのです。

リヨン時代のベンゼマ無双が見たいならチーム全体の戦術をベンゼマに寄せる必要がありますが、
それをやるにはこのチームは他に主役級の駒が多過ぎるのですね…。


一見豪華なように見えて激しくバランスの偏ったこの持ち駒をアンチェロッティがいかに使いこなすのか。

新たなる銀河系が誕生するか否かは、案外彼が「第二のデルボスケ」になれるかどうかと同義だったりするのだろうか・・・?





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師弟の再会と最後のピースが埋まったスパーズ ~トッテナム×チェルシー~

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<師弟の再会 最後のピースが埋まったスパーズ>

さて、今日はモウリーニョとビラスボアスの師弟対決となった注目のロンドンダービーですね。

このカードは知将同士のベンチワークも興味深く、
普段プレミアではなかなかお目にかかれない知略戦が繰り広げられていていました。

モウリーニョからすれば弟子のボアスには負けられないというプライドがあるだろうし、
ビラスボアスからすれば当時、「貴方のゲームプランは自分のスカウティングが導き出してきた」という意地もあった事でしょう。

どちらも負けられない戦い…という訳です。


【チェルシー×トッテナム】
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まず、師匠モウリーニョのチェルシーはマタがまたまたベンチかYO!
(ダジャレではありません。念のため)

わざわざボランチにミケルまで引っ張り出してきてまで右にマタではなくラミレスを配置したとなると本格的に干してきたかな?こりゃ。

CBでは当初Dルイス離脱期間中の起用かと思われていたテリーがすっかりレギュラーポジションを確保して代わりにケーヒルがベンチ落ちとなっています。
ランパードも健在でやっぱりモウリーニョチルドレンへの信頼は厚いという事なんでしょうね。
(実際、テリーはこの試合チェルシーで一番の出来)

このへんはチェルシー就任時に世代交代を急いだせいで彼らベテラングループと対立してしまった愛弟子との対比で見てみても大変面白い構図だと思います。


一方、モウリーニョの元を離れてから監督としてメキメキと頭角を現してきたビラスボアスは
昨季「戦術ベイル」だったチームを豊富な戦力を活かしてどうマイナーチェンジしていくのか。

そのベイルが担っていたトップ下には移籍期限ギリギリでエリクセンを確保。
アヤックス時代から個人的にも注目してきた司令塔が早速レギュラーとして定着しています。


<求めていたラストピース エリクセンの輝き>
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以前、アーセナルとトッテナムのロンドンダービーのマッチレビュー
スパーズが求める最後のピースとしてトップ下の補強の話をしたのを覚えているでしょうか?

というのも今季のスパーズはCFにソルダード、ボランチもパウリーニョ、カプエらがいて両サイドの顔ぶれも充実しています。
出来ればデンベレは本職のボランチで使いたいし、要するに脇を固める仕事人は揃っているので
あとは中央で彼らを繋ぐ中継地点のような役割が出来る選手が欲しかったんですよ。

【バイタルエリアでの間受けによって各パーツを繋ぐ中継点が不在】
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↑この場面のようにアーセナル戦でのスパーズには明らかに「中攻め」のルートが不足していました。

まあ、それでもベイルのように外で受けてから個の力で中にカットイン出来る選手がいるのであれば問題ないのですが、
彼抜きのチーム作りが求められる今季においては何か別のピースが絶対に必要だろうと思ったのです。


結果的に移籍期限ギリギリで獲得したエリクセンこそがスパーズにとってのラストピースとなりました。

前半19分に生まれたトッテナムの先制点はアーセナル戦では見られなかった「中攻め」のルートが起点となって生まれています。


【トッテナムの先制点を検証】
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局面は右から左へと攻めるスパーズの攻撃。

この試合では本職のボランチへ下がったデンベレがボールを持つと
常にバイタルエリアで間受けを狙っているエリクセンがいる事で中へのパスコースが生まれています。


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バイタルエリアでボールを受けたエリクセンがそのままサイドへ流れるようにしてボールを運ぶと
チェルシーのDF陣はこれに対応する為、彼1人に5枚が引き付けられる事に。

これが中攻めの強みで守備ブロックの外から上げる単純なクロスとの違い、
中のバイタルで間受けをされてしまうとDFラインは丸裸、
2列目のMFラインは背走での守備を強いられるのでどうしても対応が後手に回ってしまうんですね。

この後手に回らされた守備では得てしてボールウォッチャーになりやすく
この場面で重要なのはパウリーニョを誰も捕まえられていない事と
イバノビッチがボールウォッチャーになってしまった事でマークに付いていたシグルズソンを視野から外してしまっている事。(これが後に響いてきます)

つまり外から上げられるクロスに対しては次の受け手を視野に入れた守備が比較的容易なのに対し、
ブロックのど真ん中、自分達のヘソで前を向かれてしまう間受けは今そのボール自体が最も危険因子なので
まずはここを最優先に潰す事を考えざるを得ず、周囲のマークまで手が回らなくなってしまうのがポイントなんです。

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エリクセンはそのままチェルシーのCBとボランチを外に釣り出しておいてから
中で1対1の関係になっているソルダードへクロス。
(守る側は1対1の関係で迂闊に飛び込めないのでパスの成功率が飛躍的に上がります)

DFを背負ってクロスを受けるソルダードには後方からフリーで走り込むパウリーニョとシグルズソンという二つの選択肢が用意されていました。

なにしろパウリーニョには最初の段階からマーカーは不在でしたし、
イバノビッチが視野から外してしまったシグルズソンは中へ入り込む動き出しで完全に先手を取っています。

ソルダードはよりゴールの確率が高いと判断したシグルズソンに落として、ゴールが生まれました。


この失点シーンを見て中には「あのモウナチオがいとも簡単に…」と思われる方もいるかもしれませんが、
某脳筋サッカーの単純な外攻めと比較すればチェルシーが強いられた対応の違いは一目瞭然です。

【ブロックの外から上げられるクロスへの対応 (モウナチオ)】
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↑このような単純にブロックの外からクロスを上げる場面では中を崩されていないチェルシーの4-4守備ブロックに乱れはなく
クロスが上がる前段階でマークの確認かボールとマーカーを同一視野に納める対応が可能となっています。

つまり、この状態でクロスを上げられてもモウリーニョのチェルシーは崩れないのですね。


話がちょっと脇道に逸れましたが、先制点の後もとにかくエリクセンはスパーズが作り出す全てのチャンスシーンに絡んでいたと言ってもいい働きで攻撃をリードし続けます。

絶妙なタイミングでの顔出しと間受けで周囲の選手を繋ぐ見事な中継点としての役割を果たしていました。


【エリクセンが中継点となって周囲が輝くスパーズ】

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局面は右から左へと攻めるスパーズのビルドアップから。

SBウォーカーの持ち出しに中央からややサイドに流れてタテパスのコースに顔を出すエリクセン。
(このタイミングがまた絶妙)

アンカーのミケルを引っ張り出して後ろのパウリーニョへスペースを空けています。
(本当によく周囲の状況が見えている)


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背後からのタテパスを巧みなターンで前を向きながらスペースへ落としのパス。


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エリクセンという中継点がいる事でパウリーニョ得意の攻撃参加が完全に蘇っています。
まさにチームが求めていたラストピースこそエリクセンだったと言えるでしょう。

しかもこの素晴らしいトップ下がたった15億円程のバーゲン特価だと言うのだから、
移籍期限ギリギリまでユナイテッドのスカウトは一体どこで何をしていたのか?www

(モ○ーズ「シンジ…?NO! 我々にはあと5人程ワールドクラスが必要だ(キリッ!)」)


もしかするとビラスボアスにとっては昨季までのベイルから逆算するチーム作りより
遥かに自分の持ち味が生かせる駒が揃ったといえるのかもしれません。

と言うのも早速欧州最先端のトレンドらしき形がこの試合からも見られたからです。

時代のトレンド⇒両サイドを絞らせてバイタルの密度を上げる(例:ドルトムント)
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以前もドルトムントを例に紹介したこの形。

絞った両サイドをバイタルでの間受けに充てて、大外のスペースはSBの上がりでまかなうというメカニズムですね。


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…ハイ、Vボアスやってます。ちゃんと取り入れちゃってます。
ソルダード(1トップ)の下にタウンゼント、エリクセン、シグルズソンがしっかり並んでるんです。

もう時代は「両サイドが香車」とか言ってる場合じゃありません(爆)

何故かと言うとここ↑で一回中にボールを入れる事によって・・・


baitaru1001-2.jpg

相手のSBを食いつかせてからフリーの大外も使えるんだよって話です。


これまではボアスのチーム、ボアスの手柄と言うより全て「ベイルのチーム」「ベイルの手柄」という環境だったスパーズで、いよいよボアスが本領を発揮し始めたと見ていいのかもしれません。


<ジョゼは"ハッピーワン"になれるのか?>
309885_heroa.jpg

対するモウリーニョは試合開始から"アンハッピー"な前半戦を強いられていたはずです。

主任早々のモウナチオ整備とチームの掌握、テリーとランパードの蘇生は確かに愛弟子には出来ない見事な手腕だったと言えるでしょう。

しかし、チェルシー⇒インテル⇒Rマドリーと指揮した全てのチームで決定的な遅攻の形を構築しきれなかった課題は未だ持ち越しとなったままなのです。

そもそもRマドリー時代にもケディラを、この試合ではミケルなんかを先発で使ってくる時点で劣勢は必至。
遅攻も半ば諦めているんじゃないかと勘ぐられても仕方ないのではないでしょうか?

そんな彼の元でずっとそのチーム作りを見てきた元右腕がチェルシーのスターティングオーダーを見て気付かないはずがありません。

…そう、チェルシーの攻撃では「なるべくミケルにボールを持たせろ」と。

【逆ミケルシフトを敷くVボアス】
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もう、あからさまにミケルさんどフリーっすwww

守備時、4-4-2の3ラインで守るスパーズは前線の2枚を露骨にミケルを空けるようにしてマークに付かせる事で彼がボールを持つ時間を長くし、ビルドアップの起点をミケルにさせる状態を作り出します。

この狙いは見事にハマり、ミケルからのパスはことごとくスパーズにとってカウンターの起点となっていました。

しかもこの試合では守備でもエリクセンに手玉に取られていたとあってミケルはハッキリ言えばチェルシーの穴でしかありませんでした。

厳しい事を言えばマイボール時に戦力にならないMFなどもはや時代遅れなのです。

守備を免除され攻撃でしか輝けないファンタジスタが中盤から絶滅したように
守備でしか活きない職人が淘汰される時代はすぐそこまでやって来ているのですから。

勿論、守備を固めるアンカー起用という道は細々と残るかもしれませんが、
チームがその道を取るという事は初めから劣勢を覚悟しているという言わば折衷案に過ぎません。

現代サッカーで勝ちたいのならば…ブスケス、ハビマル、アロンソ、ギュンドアンが中盤に必要なのです。


…さて、ミケルとランパードでボランチからのパス出しが詰んでいるチェルシーは
打開策としていつものようにオスカルの手を借りなければなりません。

極端に言えばチェルシーの中盤で遅攻らしき形が見えるのは
オスカルとアザールが近い距離で絡んだ時だけです。


【チェルシーの「中攻め」】
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局面は左から右へ攻めるチェルシーのビルドアップの場面。

間受けは、中に入ってくる受け手とそれを感じている出し手の2枚が最低でも必要ですが(勿論3枚4枚~と絡めれば理想的)、
この日のスターティングオーダーだとこの2人の関係に望みを託すしかないでしょうね…(^^;

ボールは中盤の低い位置まで降りてきたオスカルからアザールへ。


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アザールとワンツーを挟んでボールを運ぶオスカル。


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イバノビッチにボールを預けたオスカルはパス&ゴーでサイドに流れます。

そしてこの動きに連動したのも…やはりアザールでした。


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オスカルがデンベレとフェルトンゲンを引っ張った事でアザールとランパードにスペースが生まれています。

ボールを持ったイバノビッチには無数の選択肢が用意されていますが、ここはしっかりと中攻めを決めきりたいところ。

さあ、注目のイバノビッチの選択は…!?


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無駄にドリブル挟んでからロングボール蹴ったったーー!!www


アザール&オスカル&ランパード「ェ・・・」

トーレス「・・・エ!?」


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トーレス「そりゃ無理ぽ・・・_| ̄|○」


ハイ・・・このようにエリクセン、デンベレ、シグルズソン、パウリーニョらが有機的に絡むスパーズと比べると
チェルシーの「中攻め」は完全に無理ゲーです(爆)

少なくともあと1枚・・・アザールとオスカルに有機的に絡める駒が必要でしょう。




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そう、あと一枚・・・・



<師弟対決によるプレミア屈指の知恵比べ>
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結局、前半は1-0スパーズのリードで折り返しますが、このプレミア屈指の知将対決がこのまま何の動きもなく終わるはずがありません。

ハーフタイムにモウリーニョが動きます。

ミケル OUT ⇒ マタ IN

当然の一手です。
むしろこれで動かなかったらこれからモウリーニョの事をモイーニョって呼んでやろうかと思っていたぐらいです(爆)


これでボランチはラミレスとランパードのコンビになりますが、
せっかくのマタ投入も遅攻の改善という意味では期待していた程の大きな成果は得られませんでした。

何故なら2列目に三銃士が揃ってもやはりランパード&ラミレスのボランチでは肝心の彼らまで良質なパスを届ける事が出来ないからです。

【後半、ラミレス&ランパードでのビルドアップ】
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局面は後半、右から左へと攻めるチェルシーの最終ラインからのビルドアップ。

ボールはCBのテリーからフリーのラミレスへ。


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しかしボールを受けるラミレスは事前に首を振ったルックアップが不十分で
周囲の情報が不足したまま不必要かつ無謀とも言えるドリブルを中盤で挟んでしまいます。


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アッサリとセレソンのレギュラーボランチまで奪われたパウリーニョに身体を入れられてしまいました。

これではせっかく2列目に三銃士を並べている意味も半減ですね。


しかしモウリーニョの凄いところはこの事態も予め想定しており、
ハーフタイムの修正は単なるマタ投入の攻撃力UPにとどまらなかった事です。

むしろモウリーニョは前半、4-4の2ラインブロックの隙間を好きなように使われてしまった守備の方をしっかり修正してきました。


【中盤でスパーズの起点をマンツーマン気味に抑える後半のチェルシー】
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組織的なブロック守備という意味では若干崩れていますが、それよりも中盤で起点となっていたうるさいポイントをマンツーマン気味に捕まえて、組織×組織だった前半戦から後半は個×個の局地戦に持ち込んでいます。

こうなると1対1のベッタリマークで強みを発揮し始めたのがチェルシーの面々。
モウリーニョはこの守備でボールを奪い、ハッキリとしたカウンター狙いにプランをシフトしてきました。


すると後半徹底マークに遭ったエリクセンが運動量も減って次第に試合から消えていきます。

このへんはリーガ移籍初年度のエジルなんかにも見られた現象ですが、
オランダやドイツ(当時の)と比べてゲームの強度…つまりインテンシティが格段に高いリーグに移籍した場合、
その肉体的&精神的負担は以前の環境と比べ物にならないものがありますので慣れるまでは途中交代が多くなっても致し方無いでしょう。

これを見たVボアスはエリクセンに見切りをつけると代わりにホルトビーを投入したのを皮切りに
シャドリ、デフォーと持ち前の戦力充を活かして次々と攻撃のカードを切っていきます。
師匠相手に一歩も引かない構えですね。


一方、チェルシーではこれまで満足に出番が与えられず試合に飢えていたマタが、
今までに見た事の無いような勝利への気迫を全面に押し出したプレーでチームを引っ張っていました。

そもそも何故モウリーニョがマタを干していたのかと言えば、
恐らく三銃士の中でも最も守備の貢献度と切り替えの意識が低かったから…ぐらいしか理由が見当たりません。

プレミアでも屈指のテクニシャンであるが故に、これまで中盤でファイトする姿勢がやや物足りなかったマタでしたが、
モウリーニョによって植えつけられた危機感がそうさせるのか、この日はプレー全体のクオリティこそまだまだ60%といった出来だったものの、全力でピッチを走り回る姿がありました。

(もし、これを狙ってそうさせていたのだとしたらモウリーニョの心理マネージメント恐るべし…!です)


相変わらず後ろから良質な組み立ては期待出来ないチェルシーですが、
カウンターで決定的なパスが出せる駒としてマタを投入したのであれば理には適っています。

そして忘れちゃいけません。この状況を歓迎する選手がもう1人いました・・・



『カウンター・・・・だと?』



<カウンターの申し子 エルニーニョ復活>
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そうです。最近試合から消え過ぎてネタとしてすら取り上げられなくなっていた"あの男"が帰って来ました。

中盤で三銃士が面白いようにパスを回している試合では消えてしまうト-レスも
後ろからのパスが雑になり味方の援軍も期待出来ない状況でかえってやる事がシンプルになったのが吉と出ました。

となればカウンターの申し子、エルニーニョこと僕らのトーレスの出番です。

後半ともなると、もはや「ボールを受けたら前を向いて仕掛けろ」の一点勝負。

どこの草サッカーだ?とお思いでしょうが、チェルシーの攻撃で一番脅威を与えていたのは間違いなくトーレスの仕掛けでした。

その証拠にマーカーのフェルトンゲンはトーレスとの小競り合いからめずらしく冷静さを欠いたイエローをもらっただけでなく、
余計なファウルで与えたセットプレーから同点ゴールを許すハメになってしまいました。


マタからタテパスをもらったら一切後ろを振り返る事なく、
ただひたすらにゴールを目指すその姿を見ていたらいつしかユニフォームの色も青から・・・




フェルトンゲン『目の錯覚か!?赤・・・・だと?』

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モウリーニョ
『錯覚などではない。"赤"は通常の3倍速いのだよ』

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恐らく全てのチェルシーサポーターがずっと待っていたトーレスの姿がそこにはありました。


しかもスパーズはエリクセンの代わりに投入されたホルトビーがその代役を務めきれず攻撃は尻すぼみ状態。


これを見たモウリーニョはすかさずエトーを準備させ3枚目のカードで2トップ策を取ろうとピッチ脇で指示を飛ばしています。



チェルシーサポ(イケる・・・これは逆転フラグだ・・!!)



主審『ピピーッ!』


おもむろにトーレスへ近寄る主審


「・・・???」


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今度はそっちの"赤"かーーーい!!wwww



チェルシーサポ一同(フラグはフラグでも退場フラグだったか・・・OTL)


しっかり自分でオチまでつけてくれた王子はさすが!ww


ベニ○ス『フフフ・・・赤(ビースト)モードは最後まで試験段階だったのだよ・・・』


<どうなる?混戦のプレミアリーグ>

結局、トーレスの退場によりモウリーニョは3枚目のカードを急遽エトーからアスピリクエタに切り替えて最後は4-4-1、マタの1トップでモウナチオ発動。

こうなると先にカードを使い切っていたボアスにもはや攻め手は無く無難に1-1のままドロー決着で師弟対決を終えました。


最後に今後の2チームについての展望を少し。

チェルシーはハッキリ言って一番活き活きとしていたのが退場者を出して「あとは守るだけ」となったラスト10分、
つまりモウナチオ発動後だったのは何とも皮肉なものです。

やはり守らせるとなったらこのチームに深く根付くDNAが躍動するのだろう(笑)


試合後のスタッツも両チームの現状を雄弁に物語っています。

まず中盤での繋ぎをメインとしたスパーズのオフサイドは2ですが、チェルシーは実にその5倍となる10を記録しています。
(多分、ほとんどが"あの男"だろうwww)

一方で中攻め主体のスパーズのクロス成功率は僅か7%ですがチェルシーは19%。
スパーズはそもそも攻めでクロスに頼っていないという事でしょう。

そして最もストロングポイントが明確になったのは空中戦の勝率。
なんとチェルシーが79%でスパーズは僅か21%でした。

(やっぱりこのチーム相手に単純な浮き玉をいくら放り込んでも時間の無駄ですね・・・(^^;)


このように数字から見てもモウリーニョが後半に選んだプランは正しかったと言えるでしょう。

前半あれだけ劣勢に立たされても的確な修正と3枚のカードの切り方で最後は引き分けに持ち込んでしまうあたり、やはりさすがと言わざるを得ません。

(ウェストなんとか…みたいなチームに成す術無く逆転負けしちゃう監督とはワケが違うww)

マタを含めたチームの人身掌握術も弟子のボアスとは経験の差を見せつけた格好でしょうか。


但し、最先端のトレンドを取り入れたチームの方向性と未来にはボアスの方に軍配が上がります。

昨季王者は論外としてシティも毎試合ダービーのようには戦えないメンタルの波にムラがあり、
いつになく混戦模様が予想される今年のプレミアリーグ。


であれば、ボアスのスパーズはCL圏内の先にあるプレミアの頂をも現実的に見据えるシーズンとなるかもしれない-






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総額350億円の金満ダービーが欧州勢力図を塗り替える? ~モナコ×PSG~

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<総額350億円の金満ダービーが欧州勢力図を塗り替える? ~モナコ×PSG~

昨今、経済不況が叫ばれる欧州サッカーシーンにおいて移籍市場もますます縮小傾向に向かっていますが、
そこで異彩を放っていたのがフランスの誇る2チームです。

イブラ、Tシウバ、ラベッシらを獲得した昨年の補強に続き、今季もカバーニ、マルキーニョスらに128億円を投下したPSG
ファルカオ、モウチーニョ、Jロドリゲスらの大量補強におそよ220億円をつぎ込んだASモナコ

彼らの視線の先にはリーグアンの覇権を超えてビッグイヤーまでをもその視野に収めた本気が窺えます。


その意味でこの2チームがぶつかった先日のフランスダービーは
総額約350億円をかけた世界一の金満ダービーと言ってもいいでしょう。

既にPSGは昨季のCLであのFCバルセロナをあと一歩のところまで追い詰めてのベスト8進出で
欧州の勢力図を塗り替え始めていますが、来季以降は確実にフランスからこの2チームが出場してくるとなると更に大きな動きも予想されます。

一部セリエAの強豪達や他の国のビッグクラブも内心ガクブルのオールスターチームがフランスで着々と進められているのです。

そこで今日は普段リーグアンを観ていないという多くの方にも向けて
先日のフランスダービーからPSGとモナコの現状を検証していく事で欧州勢力図の変化の可能性を探ってみたいと思います。


<豪華過ぎるスターティングオーダー>

ではまず350億円ダービーの豪華なスターティングオーダーを(笑)

ASモナコ×PSG
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まずスタメンのおよそ7割が新加入選手という大量補強を行ったモナコは昨年から始まったこのプロジェクトの指揮官としてあのラニエリを召集。

「タイトルは取れないが崩壊したチームの建て直しと新チームの基礎工事ならお任せ!」のラニエリはまさに今のモナコに打ってつけの人材と言えるでしょう。

もちろんその布陣も安心の4-4-2。
難しい事は出来ませんが各自の役割がハッキリしたシンプルなこの布陣こそラニエリ工業の十八番であり、チームの基礎工事にはもってこいなのです。

そのチームの構成を見ていくとCBやボランチ、CFのセンターラインに経験豊富なベテラン(アビダル、カルバーリョ、ファルカオ他)を置いて
その両脇を固めるのが世界的にはまだ無名ですが、確かな実力と勢いのある若手という構成になっています。

既に現地でもラニエリでチームの土台を作ってから大物監督にバトンを渡すというのが規定路線として報じられているそうですが、これはなかなか理に適った工程だと僕も思います(笑)
(ラニエリの後任はマンチーニ他、有名監督の名が)


対するPSGはまずCBに「Tシウバ二世」とも噂される19歳の有望株マルキーニョスをおよそ45億円でローマより獲得。
この試合では昨季レギュラーだったアレックスが故障中という事でそのTシウバと新旧CBコンビを組む事に。

そしてカバーニを加えて更に厚みを増した前線は当初カバーニとイブラの2トップでシーズンをスタートさせたものの、
中盤との絡みが上手くいかずチーム全体が機能不全に陥った事でブラン新監督は早くも4-4-2から4-3-3への布陣変更を決断。

スタメンにこれだけの顔ぶれが並んでも尚、ベンチにはルーカス、パストーレ、メネズが座っているというのだからその戦力充たるや恐るべし…!!


<PSGの最強3トップによる脅迫オフェンス>

試合開始から終始ペースを握り続けたのはやはりチームの完成度で一歩リードするPSG。

まず攻撃では「この3トップをどう活かすのか?」に注目していたのですが、
ブラン監督は両翼のラベッシ、カバーニを中に絞らせて3トップ同士の距離感を短くする事でその破壊力を最大限に発揮してもらおうという意図が窺えました。

確かにラベッシ、カバーニは生粋のウインガーという訳でなく、やはりゴールエリアの幅で力を発揮するタイプなのでこれは当然の判断でしょう。

しかも守る側から見たらこの3トップが自分達のゴール前に並んでいるという迫力はもはや恐喝に近いものがあります(笑)
自然と4バックも中に絞って対応する事になり、代わりに両サイドのスペースが空いてしまう訳ですね。


【PSGの両サイドを空けさせるメカニズム】
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ブランはこの両脇のスペースにSBを同時に高い位置へ上げる事で3トップの迫力を武器に両サイドからのルートを確立しています。


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ブランは3トップには自由に入れ替われる動きを許容しているので並びこそ変わっていますが、
3トップがこの近い距離感で並ばれた時の圧力は推して知るべし。

モナコのDFラインが自然と中に絞った結果、両脇のSBにスペースが与えられる…というより脅して与えさせたといった表現の方が近いかもしれません(笑)


そしてこの狙いが早速功を奏して前半7分にPSGが先制に成功しました。

【PSGの先制点】
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局面はPSGの最終ラインからのビルドアップですが、既に両SBは高い位置へと押し上げられています。

そしてパリが凶悪なのは前の3トップの迫力も去ることながら、最終ラインからビルドアップを担うのが
並のMFより高精度のボールを配球出来る「世界最高のCB」ことチアゴ・神・シウバがここにいる事です。

この場面でも空いた左のスペースを見たTシウバは高精度のロングパスを送り・・・


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見事にフリーでマクスウェルが抜け出しに成功しました。

やはりPSGの3トップ相手に中に絞っていたモナコのDFラインは後手に回らざるを得ません。


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CLベスト8のチーム相手にサイドでここまで時間的猶予を与えてしまっては失点は当然の帰結。

フリーのマクスウェルからイブラに合わされて難なくPSGが先制。


ところがこの後、予想外の楽勝かと思われたPSGにアクシデントが発生。
先制ゴールのすぐ後に神Tシウバが肉離れを起こして急遽前半16分で交代に。

動揺を隠し切れないチームはシウバ交代の僅か3分後にまだ不安定なDFラインを突かれてモナコに同点ゴールを許してしまいます。

こちらも左からのクロスを中で合わせたのは大金をはたいて獲得したエースのファルカオ。

ファルカオ「シウバがいなくなってマークが楽になったゼ…!!」

これで試合は1-1の振り出しに。


<リスクをカバーするPSGの守備組織>

同点に追いついた勢いで逆転を狙いたいモナコでしたが、
以降は時間の経過と共に落ち着きを取り戻していくPSGの組織的な守備を前に沈黙を余儀なくされる事になります。

PSGの守備組織は昨季まで指揮を執ったアンチェロッティによりその基礎が築かれていましたが、
その経緯は最初4-3-1-2システムによる後方の4-3ブロックから始まり、
これでは国内リーグは凌げてもCLだと厳しいという結論からシーズン後半に4-4-2へ布陣を変更して後方のブロックを4-4の8枚に修正していました。

【12/13 PSG基本布陣 (後期)】
psg2.jpg

そして今季、ブランはこの守備を更に強固なものにする為4-3-3布陣ながら
守備時は運動量豊富なカバーニ、ラベッシの両翼を中盤に下げる事で4-5-1の守備ブロックへ進化させています。
(これで後方のブロックは4-5の2ライン、9枚守備へ)


【13/14シーズン PSGの4-5-1守備ブロック】
psg451.jpg

イブラ1人を前線に残した強固な4-5-1ブロックが形成されています。

昨季から続くこの進化の過程は明らかにリーグアンの先に見据えたCLを意識したものに違いありません。
何故なら国内リーグを制するだけなら従来の4-4守備ブロックでも何ら問題が無いからです。

しかもこの4-5-1はPSGの両SBを同時に高い位置へと上げるリスクを
カバーニ、ラベッシの持ち味を活かして上手くカバーする事にも成功しています。

では実際の試合から高く上げたSBの裏を突かれた時のPSGの守りを検証してみましょう。


【SBの裏を突かれたPSGの守備】
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局面は右から左へと攻めるPSGのビルドアップの場面。

今、中盤の低い位置に下りてきたヴェラッティから右の高い位置に上げているSBファンデルビールへ浮き球のミドルパスが展開されるとことです。

(モナコのDFラインはやはりカバーニを気にして中に絞り気味)


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ところがヴェラッティからのミドルパスを読んでいたモナコの左SBクルザワがタイミング良く飛び出してインターセプトに成功します。

こうなるとPSGはファンデルビールの裏の右のスペースが穴となって一転カウンターのピンチへ。

しかしカバーニは既に守備へと意識を切り替えていました。


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そのままカバーニはオープンスペースでボールを運ぶモナコのSBクルザワに付いていき・・・


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見事、SBの裏のスペースをカバーしてボールを奪い返しています。


カバーニのこの守備意識の高さは昨季までナポリを見ていたセリエファンにはお馴染みのものだし、
コンフェデ等でウルグアイ代表の試合を見て知った方も多いかと思います。

左のラベッシも同様に豊富な運動量を持っているので、
PSGはどこぞのザッ○JAPANと違ってSBの同時上げがそれ程リスクにならずに済んでいるんですね。

(仮に2CBでの守備に陥ったとしても、そこにいるのは吉田ではなくゴッドシウバだから1バックでも守れるはず!ww)


<寄せ集め集団の苦しさを露呈したモナコ>

一方のモナコの攻撃は両サイドに配置した活きのいい若手(右のファビーニョ、オカンポス、左のクルザワ、カラスコ)による個人の突破がほぼその全てを担っていました。

確かに彼らの突破力は目を見張るものがあり、国内リーグでPSG以外の相手ならば彼らの突破から中で待つファルカオへボールを送りさえすれば攻撃は完結するのかもしれません。

しかし、選手の質で対等以上に渡り合えるPSGに組織的にサイドのスペースまで蓋をされてしまうと手も足も出なくなってしまいました。
これが寄せ集め集団であるモナコの現状と言えるでしょう。


恐らくラニエリはPSG相手という事で普段はファルカオの相棒に純粋なCFタイプ(リビエール)を置いていた2トップの組み合わせをこの試合ではMFのモウチーニョを一列上げる事で中盤を厚くした4-4-1-1気味の並びに変えたつもりなのでしょうが、本来中盤の低い位置から前を向いてボールを持つ事で良さが発揮されるモウチーニョの持ち味を殺すだけの結果となっていました。

後半は逆転を狙ってモウチーニョを本来のボランチに下げ、前線にハメスロドリゲスを投入するなどして修正を図っていましたが、
やはり攻撃に組織的なメカニズムがまだ無く、個の力に頼っている限りPSGの守備ブロックを崩すのは難しかったように思います。

対するPSGも後半は戦力充を活かしてルーカス、メネズらの切り札を次々と投入しますが、
途中から完全にカウンター狙いへと意識を切り替えていたモナコの粘り強い守備にあって勝ち切る事が出来ず、
今季最初のフランスダービーは1-1のドローという結果になりました。


<欧州で勝つ為に必要な中攻めと間受け>
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…さて、今回個人的にも普段滅多に観る事のないリーグアンの試合をマッチレビューしてみたのですが、
やはりCLや3大リーグ(ビッグクラブ)の試合と比べると両チーム共に圧倒的に中攻めのルートが無く「間受け」も不足していたというのが率直な感想です。

両サイドで縦に縦にドリブル突破を繰り返すモナコは論外としても
既に昨季欧州も経験しているPSGは中攻めのルート開拓の必要性を感じているフシもあり、
それが攻撃時オプションの一つとなっている【イブラのトップ下】なのでしょう。

【PSGの攻撃オプション (イブラのトップ下)】
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攻撃は「戦術イブラ」と言われたアンチェロッティ時代から彼には守備免除と自由な動きが許されており、
得意としているのが中盤に降りてきて攻撃の起点となる動きです。

この時は両翼のカバーニとラベッシが2トップ気味に前線に残る事で布陣としては4-4-2気味に変化します。
(相変わらずSBは高い位置取りですが)

ibratopshita.jpg

この形のメリットは味方をパスで使うのも上手く、何よりDFを背負ってボールを受けてもまず失う事のないイブラが中盤の起点になる事で攻撃に安定感を生む事です。

(ミラン時代、アッレグリも「戦術イブラ」には随分お世話になりましたww)


しかし言い換えるとサイドの連携に比べて中攻めはまだイブラの個人能力に頼っている段階とも言え、
CLでベスト8以上…つまりビッグイヤーを狙うにはここから更にもう一歩進んでイブラを活かした組織的な中攻めのメカニズム構築が必要になってくると見ます。


既に中攻めが完成の域にあるバルセロナの【メッシ0トップ】を活かす周囲の間受けメカニズムや
そのバルサイズムをチームに加えるべくペップを招聘したCL王者、
新司令塔イスコが早くも躍進するマドリーなどビッグイヤーを狙う精鋭達は早くから「中攻め」の必要性と重要性を認識してそのチーム作りを進めてきました。

ハッキリ言ってしまえば現代サッカーではもう
『攻撃で中攻めのルートを持たないチームはふるい落とされる時代』なのです。


幸い、今季はリーグ戦に集中出来るモナコはもう1年、ラニエリで基礎工事を固めてから満を持して来季のCLに参戦してくる事でしょう。
一歩先を走るPSGも今季はぬるゲーのグループリーグを突破して決勝Tで暴れる気満々です。

いずれにせよ近い未来、この2チームが欧州の勢力図を塗り替える可能性は充分にあると確信した金満ダービーでした。








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『ところで間受けってなんぞ・・・??』






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