2013年サッカー10大ニュース

今回が2013年最後の更新になります。
今年1年お付き合いいただきありがとうございました。

年末最後の更新は毎年恒例「サッカー10大ニュース」ですね。
今年でもう4回目なので前身のブログから読んでいただいている常連にはお馴染みのやつです。

では今年一年をしみじみと振り返りつつ参りましょう。


<店長が選ぶ2013年 サッカー10大ニュース>


241739_heroa.jpg
【第10位 落日のカシージャス】

昨年のEUROで前人未到の連覇を達成し、優勝CUPを誇らしげに掲げるスペイン代表のキャプテンを見た時、誰が今日の姿を予想出来たでしょうか?

当初は前指揮官モウリーニョとの個人的な確執によってベンチ送りにされたと思われていましたが、
その後同じように確執が報じられたSラモスがスタメンに復帰し、監督が代わった今もマドリーのベンチに座り続けるカシージャスの姿を見る限り
どうやら「私は純粋にGKとしての実力を比較してDロペスをスタメンに起用している」というモウリーニョの言葉は本心だったと見るべきでしょう。

確かに今季も安定感のあるパフォーマンスを維持しているDロペスとカシージャスを比較した場合、
一昔前の 川口能活と楢崎正剛との関係性に似たものがあるのかもしれません。

両者共に実力的には甲乙つけがたくその時の調子の良さや、
あくまで指揮官が求めるGK像の違いによって立場が入れ替わっているに過ぎないのではないでしょうか。

カシージャスとDロペス。

この2人を比較した時、前者はBIGゲームでの強さと当たった時の神がかり的なパフォーマンス、
そして抜群の反射神経によるシュートストップと1対1の強さに長けていて、
後者はシーズンを通した安定感とハイボールの処理、
そして足でのボール扱いを苦にしないキック技術の高さとそれに伴う守備範囲の広さに秀でていると言えるでしょう。

モウリーニョ就任当初のマドリーはロナウド、ディマリアらのスピードを 活かしたカウンター戦術を武器としていたので
DFラインの設定も深く、カシージャスが求められるGK像とピタリ一致していたのかもしれませんが
「引いて守るだけではいつまで経ってもバルサには勝てない」と悟った3年目のシーズンはチームの重心を高い位置に押し上げる方向で進められていたので
DFラインも高い位置取りとなり、その裏の広大なスペースをカバーする為には必然的に守備範囲の広いGKが求められるようになった変化は無視出来ません。

一方、困ったのはスペイン代表を率いるデルボスケです。

デルボスケのチームは攻撃のメカニズム自体「メッシ抜きのバルサ」なのでバルスペイン代表とも言えるんですが、
実は守備に関してはかなり安定志向でバルサやレ アルのように極端にDFラインを高い位置で留まらせる事はしません。

ポゼッション率が高いので自然とチーム全体が押し上げられる傾向はあるものの、
一度相手にボールが渡ってパスを回され始めたら高い位置での無理な奪還はスッパリ諦めて
自陣でのリトリートディフェンスに切り替える割り切りがあります。

このサッカーだと多分デルボスケは今もカシージャスこそが理想のGKだと考えていて
それはチームのキャプテンであるという事以上に毎週試合があるクラブと違
短期決戦のW杯では「大舞台での経験値」こそが重要視されるからでもあるのでしょう。

そういう意味では現マドリー監督のアンチェロッティがCL限定でカシージャスを使う起用法は苦肉の折衷案として実に彼らしいな…と思えなくもないですね(^^;




biezeman.jpg
【第9位 ビエルサ&ゼーマン解任】

このブログでも散々推してきた僕が崇拝する両監督が揃って解任。

その変態的なまでに攻撃サッカーを追求する姿勢は一部マニアを歓喜させたものの
一部の頭の堅いサポーターとフロントは「失点ガー」「成績ガー」とか眠たい事を言い出す始末。
(だったら最初から呼ぶな!www)

まあ、皮肉にも(?)両名を解任した後、今季のビルバオとローマは目下絶好調。

う~む・・・もしかしてこの2人は「世界最高の踏み台監督」なのか?www







KAKITANIvsURUGUAY.jpg
【第8位 ジーニアス柿谷の大ブレイク】

今年の日本サッカー界の「顔」と言えばこの人で間違い無し。
なんせ篠田麻里子から年賀状が来る男ですからね。
(うらやまけしからん)

まあ、単に柿谷が日本マスコミのスターシステムに乗せられただけとも言えますが、意外と重要なのが彼の取り上げられ方です。

これまで日本サッカー界でクローズアップされてきた選手達のセールスポイントと言えば
「抜群の得点力」「スター性」「キラーパス」「華麗なドリブル」はたまた「イケメンのルックス」といったところでしたが、
柿谷は初めて「トラップ」が注目された選手と言ってもいいでしょう。

・・・いえいえ、勿論分かっていますとも。
普段からサッカーに詳しい皆さんなら以前からこの競技における「トラップ」の重要性は百も承知だった事でしょう。

しかし、一般大衆に向けた番組で柿谷が紹介される時、
そのVTRが単なるゴール集でもドリブル集でもなく「トラップ集」なのは非常に意味がある事だと僕は思うのです。

Jリーグ発足から20年かけて注目されるプレーが「ゴール」⇒「ラストパス」⇒「トラップ」まで来たのだと思うと感慨深いものがありませんか?
(この調子だと「インターセプト」や「カバーリング」が注目されるにはあと20年必要かな?(^^;)


又、低迷が叫ばれるJリーグにあって柿谷の集客力はニュースにもなる程で
「セレ女」なる新規ファンを開拓しているんだとか。

聞いたところによるとこの「セレ女」は美女揃いという噂もあり・・・


コールリーダーも女性となっ!?



ce268868.jpg
・・・ちょっくらセレッソのゴール裏行ってくるわ。





【第7位 Jリーガー合コン騒動】
dac841fc-s.jpg



報道当日―


benge0901.jpg
店長『JリーガーとAKBメンバーが深夜の合コン?どうせ研究生とかTVにも出ない下位メンバーに決まってるお。
全く・・・あいつら意識が低いんだよな・・・まあ、一応ネットでチェックしてみるか』





bengaru1.jpg
店長『とは言え・・・ドキドキしてきたお。どうか名前も知らないメンバーであって下さい・・・!!』





bengaru2.jpg






【柏木由紀 Jリーガーと深夜の合コン】
bengaru3.jpg



う・・・ウソダロ・・・。






もし扇原が日本代表に選ばれた際はセル○オ先生もビックリの8割増辛口でマッチレビュー書いてやるからな。







【第6位 ザックJAPAN 守備崩壊】
wor13081509500002-p3.jpg

本ブログ読者の皆さんであれば、これまで繰り返し言ってきたように僕はあくまで
「急にザックJAPANの守備が崩壊したのではなく、単に対戦相手のレベルが上がっただけ」というスタンスですが
世間一般のザックJAPANを取り巻く空気は今年1年ジェットコースターのように上下動していたのでした。

それにしてもW杯予選突破⇒コフェデ惨敗⇒ベルギーに快勝の間に日本国民が見せた見事な手のひら返しは
昨今サッカー界のトレンドにもなっているインテンシティの高さをまざまざと実感させるもので、
出来れば来年はピッチ内の方でもそれを見せてもらいたいですね(笑)

とは言え今年最後のベルギー遠征で「終わりよければ」何とやらでもないですが、
(実は2試合合計で3失点してるんだけどねww)
いい空気でザックも年を越せそうです。








img_1187568_38702203_0.jpg
【第5位 本田△ようやくミラン移籍】

「安心するのはまだ早い」「契約会見を見てからだ」「いや、練習合流を待ってだな・・・」
「なんならミラノダービーで長友と握手するまでは安心出来ない」

狼少年ばりに疑心暗鬼になっているファンの心情はさて置き、今度こそ本当に移籍が決まりそうですね。

既にミランのメガストアではHONDAのユニフォームも発売されているらしいですが、心配なのはミランのチーム状態です。

すっかりプレミア&メッシロナウドが海外サッカー報道の中心となっている我が国では
果たして今季のミランについてどれだけ正確な情報が行き渡っているのか、かなり疑問もあるんですが
恐らく今季ミランの試合を1試合でもフルで見た事のある日本人が果たして何人いるのか・・・(爆)

華の無い中盤、三試合に一回退場するエース、サパタの芸術的なやらかし・・・etc

下手をすると香川以上に厳しい環境が待っているやもしれませんぞwww










BXoLVRECcAE4dLz.jpg
【第4位 サッカーマガジン月刊化】

一つの時代が終わったような気がしますね。

初めてサッカーを見た中学生の頃から少ないお小遣いで今週はダイジェストとマガジンのどっちを買おうか悩んでいた時代が懐かしく思い出されます。

時は流れ、現在の日本サッカー界が置かれた厳しい状況を象徴するような出来事だったのではないでしょうか。

実は今年は縁あって前編集長の北条さんとご飯をご一緒する機会があったのですが、
まーとにかくサッカーに対する熱い思いが尽きない方でサッカー談義が始まったらマシンガントークの半端無い事(笑)
(また何か新しい媒体でのご活躍を期待せずにはいられません)


…で、新しくなった月刊サッカーマガジン「ZONE」でしたっけ?

評判も悪くないし、スタイリッシュな感じもするんだけど、
個人的にはどうしても「コレじゃない感」がまだ拭えないんですよね・・・(^^;









21f14351b2f27e9a8e29588de96f4b1c.jpg
【第3位 ドイツの時代到来】

CL決勝のドイツ対決に始まり、いよいよ時代はドイツに風が吹いています。

もはやクロップとペップのサッカーを見ずに現代サッカーは語れない時代になってきました。

観客動員、最新のスタジアム、放映権料の分配、安定したクラブ経営、ユース育成の強化、
全ての面においてお手本となるべきリーグ運営は経済の流れから考えても
今後ますますイタリアとスペインが苦しくなっていく事が予想されるので
次はいよいよワールドクラスの選手達がドイツに集う日もそう遠くはないのでは。

余談ですけどスカパーは早よ欧州サッカーセットにブンデス組み込んでくれ(涙目)









EFBC92E382B9E38386E383BCE382B8E58F8DE5AFBEE6B5A6E5928C.jpg
【第2位 Jリーグ2ステージ制問題】

この問題についてはこれまで散々言われ尽くしてきたので敢えて今ここで蒸し返すつもりはありませんが、
とにかく今年外せない事件だった事に異論は無いかと。

一言で言えば・・・「Jリーグって思ってた以上にヤバくね?」って感じですね(^^;

個人的には小手先の2ステージ制度が観客動員の起爆剤になるとは到底思えないので
もっと根本的に「どうしたらJリーグを見に来てもらえるのか?」を考える時に来ているのかもしれません。

実はここに魔法の一手なんてなくて、「試合の質」「サッカーの質」を高める以外に方法は無いと思うんですけどねぇ・・・(^^;









saf13051431.jpg
【第1位 ファーガソン引退】

まー今年はやっぱりコレに尽きるでしょう。

その報道が世界中を駆け巡った時の衝撃ときたら―

ファーガソンの偉大さは今季のユナイテッドを見れば一目瞭然で、
いなくなってその存在の大きさを改めて痛感しているファンも多いのではないでしょうか。

…本当、あの戦力でよく優勝まで持っていけたもんだな!(爆)


ファギーの勇退は思わぬ余波を日本のファンにもたらしていて
何と言っても我らが香川真司が完全に今季詰んでしまっているんですよね・・・OTL

(スコールズみたく来年いきなりカムバックしてくれんかなー(^^;)






<ではまた来年!>

今年1年はこのブログも2ちゃんに晒されたり、日本代表関連で炎上したりと色々ありましたが無事年越しを迎えられそうです(爆)

来年は重大ニュース(?)の発表や、何と言ってもW杯がありますからねー。
大会期間中はもう寝ずにマッチレビューをUPしまくるしかないか?www

あとはやる夫@ベンゲルに続く新しいキャラもデビューさせたいな…とか(笑)

とにもかくにも来年も現代サッカーの最先端を変態的に追い続けていくつもりですのでヨロシク。


それでは皆さん・・・・よいお年を!




*「あ…そういや今年一度も下のボタン押してないや」と思った貴方はクリック!↓

海外サッカー ブログランキングへ



関連記事
スポンサーサイト

『普通のチーム』になってしまったバルセロナ ~バルサの前半戦を総括~

1206barca_.jpg
<『普通のチーム』になってしまったバルセロナ>

13/14シーズンの欧州サッカーも今年の全日程を終了しクリスマス休暇に入りました。
(*プレミア「クリスマス?年末年始?何それ」)

リーガエスパニョーラのシーズン前半戦を首位で折り返したのは何だかんだ言ってもバルサでしたね。

但し、例年に比べるとそのピリッとしない試合内容から一部のバルセロニスタには
「これは我々のバルセロナじゃない」なんていう厳しい声も挙がっているようです。


そこで今日は"今年のバルサの何が例年と変わってしまったのか―"

そして巷で言われているほど本当にバルサは弱くなっているのか?

この点をシーズン初の連敗となったCLアヤックス戦とAビルバオ戦の試合をメインに検証していきたいと思います。



<技術は衰えない、では何が衰えるのか?>
ABilbao_barcelona_131201_003.jpg

シーズン初の黒星となったCLアヤックス戦に関しては【既にグループリーグ突破を決めていた事】
そして【メンバーをいじった結果、中盤にソングという足枷がいた事】などを差し引いて考えた場合、
まだ納得のいく結果でもあります。

問題はその後のリーグ戦で敗れたAビルバオ戦の方で、こちらは当然ガチで臨んだ結果の力負けという内容でした。

それも「引いた守備で粘られた末、カウンター(orセットプレー)からの一発で沈む」といういつもの負けパターンではなく、真っ向勝負で敗れたところに例年との違いがあります。

アヤックス戦、ビルバオ戦に通じているのは相手チームがもはや「バルサのサッカー」に恐れる事なく前から積極的にプレスをかけてくる姿勢です。

アンカーポジションにソングを起用したアヤックス戦ではここで引っ掛けられていた感も強かったのですが、
フルメンバーを揃えたビルバオ戦では前に出てくる相手を逆手に上手くそのプレスを剥がしていたのはさすがでした。

やはりサッカーでは「技術は衰えない」と言われている所以でもあるのでしょう。


だとすると衰えた部分とは一体何か…?

まず最初に言える事は「失ったボールを前で回収出来なくなった」という事です。

ではそのビルバオ戦からバルサの前プレの様子を検証していきましょう。


【前でボールを回収出来ないバルサ】
barumaepure1222-1.jpg

局面は左から右へ攻めるビルバオのビルドアップにバルセロナが前プレをかけて高い位置でのボール奪取を狙う攻防から。

前プレを受けたビルバオのビルドアップは一度GKを経由して右SBのイラオラへ。

ここにネイマールが中を切りながらサイドへ追い込んでいく守備を仕掛ける事になります。


barumaepure1222-2-2.jpg

狙い通りイラオラをネイマールとイニエスタで挟んで前を塞いでから唯一のパスコースにはセスクが詰めてここでボール奪取を決める型にハメています。


barumaepure1222-3-3.jpg

予想通りAエレーラへ下げられたボールにはセスクが寄せるものの・・・


barumaepure1222-4-2.jpg

ここで取りきれずにかわされてしまう場面が昨季から目立ち始めています。

問題はセスクが外された個人的なミスよりも、ボールへの全体の寄せが遅く
外された後の「第二の包囲網」が全く無い事の方にあります。


barumaepure1222-5.jpg

ファーストプレスで外された後にワンテンポ遅れて第二の網を貼ろうにも
ボールホルダーのAエレーラは前を向いて自由に展開出来る状況なのでむしろ手薄になった逆サイドが狙い目に。


barumaepure1222-6.jpg

こうなると前でボールを奪えないバルサは撤退守備を強いられる事となり
結果としてポゼッション率は落ち、しかもファーストプレスに割いた人員は無駄走りとなってしまう三重苦。

今季、バルサの試合で畳み掛けるような波状攻撃とバカみたいなポゼッション率の数字が出ないのはこの為です。


<引いたら「普通以下」のバルセロナ>

結果として今季のバルサは相手の前プレは外せるけど、自分達の前プレも外される試合が増えている訳ですね。

前で取れないという事はある程度引いた状態からのリトリート守備になるんですが、
こうなるとバルサも普通のチーム・・・というより欧州基準で考えれば普通以下のチームに成り下がってしまうんですな。

では今度はCLアヤックス戦からバルサの引いた守備と、そこからの失点パターンを見ていきましょう。


【バルサの引いた守備⇒そして失点】
baruajya1220-1.jpg

局面は左から右へと攻めるアヤックスと自陣に引いてそれを待ち受けるバルサの守備という構図です。

4-3-3布陣のバルサはアンカー(この試合ではソング)の両脇に出来るスペースが狙い目になる訳ですが
ここを使わせない為には守備で両WGの中への絞りがポイントとなります。

ところが守備センスも持ち合わせているアレクシス、ペドロらに比べると
ブラジル上がりのネイマールはまだまだそういう緻密な守備の動きに甘さが拭えません。

ここでもサイドの展開へ意識が寄っていた結果、一番通されたくない中のコースを使われてしまっています。


baruajya1220-2.jpg

アヤックスはバルサの守備網を一度中に絞らせてから空いたサイドへ展開する教科書通りの流れ。

ポイントは中を使われた事でソングがカバーに寄せた為、2列目から走り込むアヤックスの選手(青丸)をシャビが抑えないといけないのですが・・・


baruajya1220-3.jpg
最近のシャビ先生、全然走れまへん・・・!!(涙目)

結果、フリーで上げられたクロスをここにピンポイントで合わせられて敢え無く失点。


やっぱりこのチームは前へ前へ取りに行く守備は強いんですが、引かされた守備はサッパリなんですね。

(アッレグリ「やれやれ・・・私の出番か?」 バルセロニスタ「ないない」)


<メッシの代役とCBの人員不足>
337037_heroa.jpg

更にバルサは守備で前から取りきれない事が後ろの人選にも多大な影響を与えています。
例えばペップによってCBとして見出されたマスケラーノの場合で考えてみましょう。

ペップ時代のバルサは最前線からチーム全体で行う前プレが非常に上手く機能していたチームでした。

その結果、後ろに流れてくるボールは相手がプレスを嫌がって前に大きく蹴り出したボールか
プレスの網にかかった苦し紛れのこぼれ球がほとんどです。

これを前者(ロングボール)はピケが、後者(こぼれ球)はマスケラーノがそれぞれ得意とする分野を活かして処理していたのがバルサにおけるCBの役割分担で、つまりバルサにおいては各員がそれぞれ自分の持ち場から一列上がって前プレをかける為に
CBの位置にこそ通常のチームではボランチとして求められるような能力が必要だったのですね。

そしてこの役割に上手くハマっていたのがCBマスケラーノだったという言い方も出来るでしょう。


しかし、今季はこれまで見てきたように下がって守る局面が増えたお陰で必ずしもCBマスケラーノがベストチョイスとは言えない齟齬が生まれてきてしまいます。


【CBマスケラーノの守備】
birukaunta1222-1.jpg

局面はビルバオ戦で右から左へ攻めるバルサの攻撃中、ブスケスからシャビへのパスがインターセプトされてビルバオのカウンターが発動する場面。


birukaunta1222-2.jpg

高い位置でボールを奪ったビルバオのカウンターに対応するのはCBの2枚、ピケとマスケラーノです。

この場面ではボールホルダーが前を向いてドリブルでボールを運んでいる状況なので
後ろにカバー役がいないCBの守りとしては一定の距離を保ちつつ後退し攻撃をディレイさせながら味方の戻りを待つのがセオリーと言えるでしょう。


birukaunta1222-3.jpg
ズサーーー!! ⊂(゚Д゚⊂⌒マスケ`つ≡≡≡

「節子、それCBやない。ボランチの守備や」


ここでボールに飛び込んでしまうのがマスケラーノの良さでもあり弱点でもあるんですね。

別にボランチならいんですよこれで、
仮にかわされたとしてもドリブルが大きくなったところをCBのカバーで処理したり…と色々後ろで対応が効きますからね。

結果として↑の場面ではスライディングでボールを奪えているんですが、
それはただの結果論でチームとしてこれでいいのか?という問題の方が大きいと思う訳で。

実際に今季の守り方でバルサのCBに必要とされているのは通常のCBのそれと大差ないので
マスケラーノの一発で勝負するディフェンスがかなり大きなリスクになっている場面をしばしば見かけるんですよ。

まあ、従来のCB的な良さを持ちつつ、マスケラーノ的な勝負もかけられるカピタン・プジョルがいれば本当は万事解決なんでしょうが・・・。


それともう一つ、ポジション適性で無理を感じるのが怪我で戦線離脱中のメッシの代役として0トップを任せられているセスクの存在です。

やっぱりセスクの良さっていうのは中盤からの飛び出しとボールの引き出し方にあるのでメッシと縦関係に並べてこそのCFだと思うのですよ。
(セスクの帰還を切望したペップは明らかに3-4-3でメッシとの併用を考えての獲得だった)

セスクはバイタルで受けてもそこからドリブルで無双していける選手じゃないので、
今のようにメッシの代役そのままの使われ方をしていても持ち味の半分も活かせていない試合が目立っています。


そのペップが新天地で思う存分、戦力充の駒をフル活用している様が何とも皮肉に映りますが
今のバルサには「メッシの代役となれるCF」「信頼の置ける本職のCB」が不足しているように感じますね。


<ネイマールは本当にフィットしているのか?>
720p-Neymar v Cartagena

そんな今季のバルサにあって数少ない希望がネイマールの存在です。
最近ではすっかりバルサのサッカーにもフィットしてきて…と報じられていますが、果たして本当でしょうか…?

確かにメッシのいないチームにあってアタッキングサードで最後に違いを作り出しているのはネイマールで間違いありません。

しかし、だからと言ってそれだけで複雑なメカニズムを持つバルサのサッカーにフィットしてきているとは言い切れないのではないでしょうか。


【ネイマールのズレ】
neima1222-1.jpg

局面は右から左へと攻めるバルサで、イニエスタがドリブルによってボールを運びマークを引っ張っている場面。


neima1222-2.jpg

イニエスタは自分にマーク2枚を引きつけてからネイマールに落として中のセスクへ展開させる狙い。

バルサのメカニズムにおける基本の「トライアングル」「食いつかせ」がよく現れています。


neima1222-3.jpg

ところが落としを受けたネイマールがここでドリブルを挟んでしまいます

ハッキリ言ってバルサのサッカーではここ仕掛けるドリブルは不要なんです。無駄でしかありません。


neima1222-4.jpg

結果、自分から局面を難しくしてしまい挟まれてボールロスト。


確かにネイマールのドリブルはアタッキングサードでは貴重なアクセントになっているのも事実なのですが
まだまだブラジルから来て半年、シンプルにやるべき局面と勝負を仕掛けていい場面との判断が未熟な場面も目立ちます。

マンフトなどで抜かれるゴールシーンだけ見ていると完全にフィットしているようにも錯覚してしまいがちですが、
特にバルサのような中盤でシンプルにボールを動かしていくサッカーでは不協和音になっている方が多い印象です。


加えて守備面でもネイマールはまだまだ「穴」になっている場面が気になります。

コンフェデでも見たようにネイマールはメッシやロナウドと比べると守備への意欲は強く
特に自分が奪われたボールをすぐに取り返そうとする姿勢などは素晴らしいものがあります。

しかし一度前プレが剥がされてボールが逆サイドへ展開されたり、
自分の頭上を飛ばされて大きく蹴られた時などは完全に守備のスイッチがOFFになってしまう悪癖も。


【SBの上がりに付いてこないネイマール】
modonei1222.jpg

局面はビルバオ戦で右から左にサイドチェンジをかまされるとネイマールが画面にも映ってこない有様で
バルサの左サイドは完全に数的不利の状況。

これ、今後は結構狙われてくる可能性もあります。


ちなみにペップは今季のバイエルンでこのへんのネックにしっかりとメスを入れていまして・・・


【マンジュキッチの戻りで左サイドの穴を埋めるバイエルン】
manjyu1211.jpg

ロッベンが前残りになっている時は代わりにCFのマンジュキッチを左サイドに下げて穴を埋めている訳ですな。

やはりCLで優勝を狙うチームはこういうディティールを疎かにしない事がポイントなのかな…と思う次第ですね。


<足りないインテンシティ>
bvb_mal_bender_sanchez_920.jpg

最後になりますが、今季のバルサが現代サッカーを勝ち抜く上で最も不足している本質的な課題は別にあります。

それは圧倒的にインテンシティが足りないという事ですね。


話をビルバオ戦に戻しますと前半はそれでもいい感じに相手の前プレを剥がしつつ
互角以上のペースで試合の主導権を握っていたんですが問題は後半でした。


【後半、中盤に有り得ないスペースが現れ始める】
supesu1222.jpg

↑は割と後半始まってすぐの場面なんですが、
ちょっとペップ時代には考えられないようなスペースがDFラインと中盤の間に出来ちゃってますよね。(^^;


そんで、この試合の決勝点となるビルバオの虎の子の1点は
技術ではバルサに数段劣っても現代のトレンドである「インテンシティ」で優位に立ち続けたアドバンテージが活きた結果だと見ます。


【ビルバオのインテンシティが生んだ決勝点】
vilmae1220-1.jpg

局面は後半25分、ビルバオがバルサDFラインの裏に蹴り出したボールをマスケラーノが拾って処理するも
諦めずに追い続けたビルバオのプレスがGKへのバックパスを誘導し、尚も前へ前へとチーム全体が連動している守備が機能している場面。

(後半のこの時間帯になっても全く衰えないインテンシティの高さが素晴らしいですね)



vilmae1220-2.jpg

GKピントからブスケスを経由してマスケラーノに渡るボールにも諦めずに追い続けた事で・・・


vilmae1220-3.jpg

次の展開でボールを奪い・・・


vilmae1220-4.jpg

そのままマスケラーノの裏を突いてサイドをえぐるとピケがカバーに回った事で中央が手薄に。

ビルバオは折り返しをしっかりと逆サイドから中に詰めていたムニアインが押し込んで勝利をものにしました。


話はやや本題とはズレますが、今季のビルバオはビエルサが浸透させたハードワークという置き土産をベースに
大幅に攻撃方向へ偏っていたチームのバランスを守備側へ振り戻す事でしっかり結果がついてくるようになりましたね。

(まあビエルサマニアの僕としては至極普通のサッカーになってしまったので物足りない感じは否めないんですがww)


一方のバルサとしてはCLで優勝を狙うにはドイツの二強と比べると、どうしてもこの部分で劣っているのが気になるのも事実。

ただ、それでも今季まだたった二敗のチームなんですよね。
リーガの成績は15勝1分1敗と文句のつけようがありません。
(シメオネのチームがピッタリついてきてるのが不気味ですが・・・(^^;)


マルティーノの仕事は一つのサイクルが終わって衰退期に入っていくバルサの下降幅を
出来る限り緩やかなグラフにする事…と考えれば満点に近い仕事は出来ているんじゃないでしょうか。

(どこぞの代表の「スーパーサブ遠藤」的な使い方をシャビ先生で試して一定の成果を上げたり涙ぐましい努力を…)


銀河系マドリーがマケレレ1人を放出したらチームがあっという間に崩壊した事や
長きに渡ってプレミアの覇権を握っていた某名門クラブが名物指揮官1人を変えたら今季このザマだったりする事を見ても「ペップバルサの遺産」はなだらかに過渡期を迎えています。


まあ、それでも試合を見ればついつい「バルサも普通のチームになったものだな…」と呟いてしまう事の方が
このチームがいかに"普通のチームじゃなかったか"の何よりの証なのかもしれませんね。




*さては「インテンシティ」言いたいだけだろプギャー!m9(^Д^)と思った貴方はクリック!↓

海外サッカー ブログランキングへ


関連記事

CL決勝トーナメントの雑感

1314clkt.jpg
<CL決勝トーナメントの雑感>

最近、インテンシティ、インテンシティと偉そうに言ってきましたが
このブログの更新こそ一番インテンシティが足りないんじゃないかと思い始めた今日この頃、いかがお過ごしですか?


・・・さて、CLはベスト16が出揃い、先日決勝Tの組み合わせ抽選が行われました。

そこで今日は毎年恒例ではありますが、各カードの簡単な雑感を。





【マンチェスターC×FCバルセロナ】

恐らく全カードの中で最も両者の実力が均衡しており、予想の難しいカードとなりました。

勝敗を分ける最大のポイントは「メッシのコンディション」です。
現在離脱中の大エースが試合が開催されるまでの2ケ月間でどのぐらいキレを取り戻しているのか?

もしメッシが昨季バイエルン戦のように「腐ってやがる・・・早すぎたんだ」という状態であれば
今度はメッシ抜きでの戦いを余儀なくされる可能性もあります。

まあ・・・それでも充分強いんですけどこうなると更に両者の力関係は微妙になって
元々選手層では圧倒的にシティが分があるだけにマルティーノも苦しいか?

シティのポイントは先日グアルディオラのバイエルンに土をつけたように「ティキタカ破り」は経験済み。

試合後、全てのバルセロニスタが「何故ヤヤ・トゥーレを放出したし・・・ビロングでは劣化版にも程がある(涙目)」にならないといいんですが(笑)




【オリンピアコス×マンチェスターU】

一部、モ○ーズの早期撤退を願う日本のファンからは
「チッ・・・悪運の強い奴め」という正直過ぎるヤジも飛んだとか飛ばなかったとか。

なんとなく全カードの中でも一番の塩試合になる香りがプンプンしますね(爆)


え・・・?


むしろ2月の試合までに○イーズが変わってるって?







あると思います。





【ACミラン×Aマドリー】

2位抜けの段階でかなりの死亡フラグが立っていたミランでしたが、この抽選結果は望みをつないだと見ていいのか…?

抽選前から1位抜けポッドの中でやたらとAマドリーが過小評価されているのが気になっていましたが、
このチームの完成度の高さと相手にサッカーをさせないシメオニズム
はっきり言って名前だけのビッグクラブやタレントを集めただけの寄せ集めチームなんかよりよっぽどやりにくい相手だと思いますよー。

まあ、相手にサッカーをさせない老獪さという意味では
こちらもいぶし銀の強みを発揮するのがミランというチームではあります。


ん・・・?


これはもしやキックオフからどちらもサッカーを"プレイ"しようとしない同士の試合になるのか?(笑)


一部のセリエ好きと守備マニアを唸らせるニッチな潰し合いをご期待下さいww




【レバークーゼン×PSG】


やりやがったな・・・プラティニ!



213c331d.jpg
プラティニ『やだなー・・・何の事かね?』


結局、抽選という名の茶番は金と権力に支配されていたのかっ・・!?


フランス支部の地位向上の為、「当たり」を引かされた(?)首都パリの優位は動かず。

レバークーゼンはブンデスでは偉そうな顔して威張りくさってるクセに
ひとたびマンUとかバルサみたいな他所の番長が出てくると無抵抗のままボコられる典型的な内弁慶。

純粋な実力では充分勝負になるはずなので問題はこの内弁慶がPSGを「格上」と見るか「格下」と見るかじゃないでしょうか?(^^;





【ガラタサライ×チェルシー】


「僕はこの大会で最もラッキーな男だ。だって両方の試合をホームで戦うんだよ! 数カ月後に会おう」

by ドログバ


なにこのイケメンコメント(笑)
もはや試合前からドログバの1人勝ちじゃねえかwwww

通称ドログバダービーとも呼ばれたカードはスタンフォードブリッジへのドログバ凱旋試合と化しています。

試合当日はロンドンの観客からスタンディングオベーションで迎えられ
モウリーニョとの包容には割れんばかりの拍手が沸き起こる・・・とここまでは美談で良いのですが、
試合後のロッカールームでドサクサ紛れにFトー○スと入れ替えようという計画が進んでないかと今から不安で仕方ありません。





【シャルケ×Rマドリー】

来月あたり急遽打ち切りとなっていたフジTV系列の「ほこ×たて」が復活。
その第一弾として「ロナウド×ウシダ」勝つのはどっち?とかやってくれないかと密かに期待している僕がいます。

リベリーを抑え、ネイマールを完封した男が次にターゲットに定めたのはあのロナウドでした。

日本代表の試合では3試合中2試合で戦犯扱いになっている感もなくはない内田ですが
シャルケの試合では別人のようなパフォーマンスでDFラインで最も頼りになる男と言っても過言ではありません。

そうですね、カードとしては「ヒクソン×高田」・・・じゃなかった「内藤×亀田弟」・・・でもない
えーっと・・・「曙×ボブサップ」みたいな?


ウシダ「誰がかませ犬やねん・・・!!」






【ゼニト×ドルトムント】

ドル一択、以上。

ハイハイ、解散解散。


え・・・?あんまりだって?(^^;

「戦術フッキ」×「CB0人」がどうしたよ(笑)

グループリーグの戦いぶりを見る限りベスト16で一番弱いのが多分ゼニトだと思うのでまあ、大丈夫でしょう。









【アーセナル×バイエルン】

(グループリーグ終了後)
bengaru1220.jpg
ベンゲル (はー…よかったお。一時はどうなる事かと思ったけど死の組を何とか2位抜けできたお!
これでバランスから言っても次の決勝Tはきっと楽なところと当ててくれるはずだお)


(それにしてもマルセイユとかいう空気は一体なんだったんだお・・・)




【決勝T組み合わせ抽選当日】

bengaru1.jpg
ベンゲル「はー・・・ドキドキし過ぎてもう中継をまともに正視出来ないお」




中継「アーセナル・・・」








bengaru2.jpg











中継「バイエルン・ミュンヘン」
 bengaru3.jpg




・・・・・・









bengaru4.jpg
ガナーズファン「ハッ!夢か・・・(ゼーゼー)」


果たしてグループリーグで準優勝のドルと
決勝T1回戦でディフェンディングチャンピオンのバイエルンと当たる事など現実的にあるのだろうか・・・?



ベンガルと全世界のガナーズファンの運命やいかに・・・?



(2月に続く)



*「下手な予想で逆フラグを立てなかっただけ評価する」と思った貴方はクリック!↓

海外サッカー ブログランキングへ


関連記事

ピッチをチェス盤に変えたペップ ~ドルトムント×バイエルン~

BZuHCkPCcAAiIqx.jpg
<ピッチをチェス盤に変えたペップ ~ドルトムント×バイエルン~

なんだか久しぶりに欧州サッカー関連の話題に帰ってきたような気がします(^^;
(本当はこっちの方が主流のブログだったんですがww)

日本代表が躍進したり、W杯の組み分けが決定している間にも欧州サッカーシーンは動き続けていました。
(本田ミランは今度こそ本当に信じていいんだな!?)

中でも個人的に衝撃的だったのは「ドイツ版クラシコ」における
現代最高峰のビルドアップとGプレスのせめぎ合いです。

その攻守にインテンシティの高い(2013流行語大賞)試合内容は
スペインの本家クラシコが低調な内容に終始した事と併せて考えると
いよいよ現代サッカーの先端を引っ張る役目がリーガの二強からブンデスの二強へと移行しつつあると確信させるに充分なものでした。


更にもう一点、この試合でペップが見せた都合3回に渡るシステム変更とポジションチェンジは
まるでピッチ上をチェス盤に選手をに見立てたような頭脳戦そのもので
これが机上の空論で終わらず実現出来てしまうところにちょっと采配の面でも一つ上のレベルへ突き抜けた感もあります。

そこで今日はこのドイツクラシコを検証していく事で
現代最高峰のサッカーとはどの領域で争われているかを皆さんに知っていただければ幸いです。


<ドルトムントのスカウト力>
1211sutamen.jpg

バイエルンのスタメンはシュバインシュタイガーとバロンドーラー(僕の中では勝手に確定ww)のリベリーが不在でも
「僕達、これだけのスタメンが組めちゃいます!」という嫌味の領域(笑)

これがバルサ時代だとちょっと怪我人が重なるとテージョとかクエンカとか出てきたのでまだ可愛げがあったのですが(爆)、だからペップに戦力充まで与えちゃダ~メだって!(僻み)


一方のドルトムントはDFラインに怪我人続出中。

フンメルスとスボティッチの両CB抜きでバイエルン戦とか不運にも程があるんですが、
正直初めて見た控えCBのフリードリヒ、ソクラテスは大きな穴を感じさせないプレーを披露していたのでビックリしました。

やっぱりこのへんはドルトムントのスカウト力の高さというか
限られた予算を無名だけれどもしっかり計算の立つ駒に投資しているんだなぁ…と改めて感心させられたものです。


<現代最高峰のビルドアップを巡る攻防>
162825259.jpg

このドイツの二強が現在最高峰である所以はお互いがお互い勝つ為に「Gプレス」
(ボールを奪われた瞬間に襲いかかる極めて強度の高いプレッシング戦術)をもはやデフォルトとしながらも
その上で自分達の武器である伝家の宝刀カウンター(ドル)とバルサ直輸入ティキタカ=ポゼッション(バイエルン)にそれぞれ磨きをかけているからなんです。

そこから両チームのゲームプランを考えていくとまずバイエルンとしてはいくらポゼッションを武器としているからとドルトムント相手に不用意なボールロストは即失点に繋がるリスクが高い事は明白です。


【不用意なボールロスト=伝家の宝刀発動】
kaunta1211-1.jpg

局面は右から左へと攻めるバイエルンのビルドアップから。
CBのボアテングがボールを持ったところですね。

ドルトムントは前線のレバンド&ムヒタリアンを縦並びにして
バイエルンのビルドアップで中心的な役割を担う中央のアンカー(ラーム)をしっかりとケアしてきました。


kaunta1211-2.jpg

ボールを持っているボアテングからすると中央のラームへのコースは切られ、
更に外のSB(ラフィーニャ)へのコースもロイスに巧みに切られながらプレッシャーをかけられる苦しい局面となりました。

こうなると残ったコースはタテパス1本になりますが、
ドルトムントとしても、勿論これは誘い込んだ罠であり前線がパスコースの可能性を一つ一つ切っていく事で
後ろのDFが確信を持ってインターセプトを狙えるという見本のような守備が実践出来ています。


kaunta1211-3.jpg

ここで狙い通りインターセプト⇒伝家の宝刀カウンター発動!


kaunta1211-4.jpg

バイエルンは攻撃時、後ろに残している枚数も少ないという事で
あっちゅう間に3対3の局面まで持ち込まれてしまうという訳です。


これこそ誰あろうペップ自身がバルサを発端として世界にポゼッション賛美の流れを生み出したが故に
そのカウンターカルチャーとして誕生したクロップ・ドルトムントのサッカーなんですね。

世界中のチームがポゼッションサッカーに舵を切れば、
一方でそのポゼッション自体をリスクにしてやろうという反動のようなサッカーが台頭してくる訳です。
彼らからするとわざわざポゼッションで黄色い蜜蜂の巣に入ってくる外敵など格好の餌食でしかないのかもしれませんね。

事実、ペップにとって初の対ドルトムントとなったスーパーCUPでは未完成のティキタカがカウンターの餌食となって完敗を喫しています。


・・・さて、前回の完敗を踏まえてペップはどう修正してくるのか?

不用意なポゼッションがリスクになるのは分かっていますが、
かと言ってそのポゼッションを捨ててしまうようではクロップの思う壺。

そこでペップはこの試合のビルドアップ時、面白い動きで布陣に変化を加えていきます。

【ペップの二段階式アンカーシステム】
baybiru1211.jpg

もはやポゼッションサッカーを志向する多くのチームでは
ビルドアップ時両SBを上げて中央のアンカーを最終ラインまで落とし擬似3バックを形成するのは半ば教科書化していますが、この試合のバイエルンはむしろアンカー(ラーム)の前にいるクロースハビマルティネスの動き方にその妙がありました。

まずクロースをそれまでラームがいた位置に下げる事で
中央のラインをラーム⇒クロースとテクニック的にも信頼がおける強固なものへ。

【2段階式ビルドアップ】
baybil1211-1.jpg

バイエルンはビルドアップでCBがボールを持つと・・・


baybil1211-2.jpg

まずラームが落ちて、その後に続いてクロースが落ちる事で


baybil1211-3.jpg

ドルトムントの2トップによる前プレに数的優位を確保しながらも中央にラーム⇒クロースという強固なラインを敷く狙いです。

これでまずは先程のようなCBが焦ってタテパスを蹴らされてのカウンター被弾という
前回の負けパターンを排除していきます。

その上でビルドアップをラームがリードする事で安定感を確保するのですが
この形はクロップとしても織り込み済みです。


【ラーム主導のビルドアップに中絞りで対応するドルトムント】
dorushibori1211-1.jpg

ドルトムントはラームがボールを持ち出す時はしっかりクロースへのコースを切りつつ、
全体も中絞りにしてバイエルンのポゼッションに対抗。

要するにバルサ時代のペップが陥った「バルサ対策」のテンプレートですね。

DFライン裏を目掛けた縦1本のパスやサイド突破からのクロスという攻撃ルートを半ば捨てていたバルサ時代のペップはここで一つの大きな行き詰まりを痛感していたはずですが(そして辞任)、
バルサと違いバイエルンの持ち駒には前線に「高さ」もあれば裏へ抜ける「速さ」もあり、
しかも両サイドにはロッベリーという凶悪な「突破力」まで兼ね備えているとなれば話は別です。

まずペップは前回(スーパーCUP)の反省を活かし、試合序盤は無理に中攻めを繰り出すのではなく
簡単にDFラインの裏を狙ったボールを意図的に増やしていました。

【序盤は無理なく裏へ蹴るバイエルン】
ura1211-1.jpg

ここで役に立つのがロッベンの「スピード」や「岡崎上位互換」ことミュラーの裏抜けセンス、
そしてマンジュキッチとハビマルの「高さ」です。

中盤でラームとクロースを二段階式で下げる一方でハビマルを一列上げていたのは
明らかに前線に「高さ」を増そうという狙いがあったからでしょう。

ドルトムントは中盤をコンパクトに保つ事が生命線なので
常にDFラインの位置取りは高く、上手くすると縦1本で裏を突ける可能性があります。

【高いDFラインの裏を1本のタテパスで裏取り】
uratori1211.jpg

昨季までバイエルンを率いていたハインケスもクロップのチームと対戦数を重ねるにつれ
CL決勝戦のように序盤は敢えて彼らの守備の狙いを外す為にロングボールを多用していたのを思い出しますね。

どうやらペップも同じ結論に辿り着いたのでしょう。


更にペップの狙いは「裏」だけでなくバルサ時代は捨てていた「サイド」のスペースにも着目していました。

では実際の試合から現在、世界最高峰とも言えるドルトムントの前プレと
それをかいくぐるべくこちらも世界最高峰と呼ぶべきバイエルンのビルドアップの攻防を検証していきましょう。


【世界最高峰のビルドアップを巡る攻防】
semegi1211-1.jpg

局面は既にラームを降ろして擬似3バックで数的優位を形成するバイエルンのビルドアップと
4-4-2の布陣でこれを迎え撃つドルトムントという構図。

ドルトムントは前線の2トップがバイエルンの3バックに上手く対応しつつ、
アンカーのクロースへのコースも同時に切り続けなければいけません。

ボールはラームからダンテへ。


semegi1211-2.jpg

ダンテへ展開されたところでまずレバンドがこれに寄せて、同時にムヒタリアンはクロースをケアするべく2トップが縦並びに。

ここでセンスが問われるのがSHブラシチコフスキの寄せ方で、SBアラバへのコースを切りつつ巧みにダンテへ寄せる必要があります。

kuba1211.jpg

現代サッカーにおけるポゼッション型チームのテンプレ「擬似3バック」に4-4-2で前プレをかけていく際のお手本がコレですね。

中と縦のコースを切りつつ巧みに追い込んでいく守備です。

さて、これを受けてペップはどう攻略していくのか?


semegi1211-3.jpg

追い込まれたダンテは無理せずバックパスを使ってGKノイアーを経由しボールは再びラームの元へ。

(ここでGKを11人目のフィールドプレイヤーとして使えるかどうかが今後ますます明暗を分ける時代へ突入していくと見ます。)


noia1211.jpg

ドルはレバンドが一度ダンテに寄せている為、サイドのスライドが間に合わないので
今度はボールにムヒタリアンが当たって(当然クロースへのコースは消しつつ)
ロイスが一列上がってボアテングにプレッシャーをかけに向かいます。


semegi1211-4.jpg

すると当然ロイスがそれまでマークしていたSBラフィーニャが空くので
ラームはボアテングを一つ飛ばして裏のラフィーニャへピンポイントの浮き球を送ります。
これでドルの前プレを取り敢えず剥がす事に成功しました。

これを見ればアンカーから中央に降りてくる選手の展開力が重要な鍵を握るという事は一目瞭然で
もしラームが単純に右のボアテングを使っているとロイスのラフィーニャへのコースを切りながら詰めるプレッシャーがもろに効いてきてしまうのですが、ラームが一つ飛ばして裏を狙える事でドルの前プレを無効化する事が出来るんですね。

ペップは明らかに意図して横パスを多用する事でリスク無くサイドのスペースを突くビルドアップと
それが無理な場合は簡単に裏へ蹴り出すロングパスを使ってドルトムントのカウンターチャンスをかなりの割合で削る事に成功していました。

つまりバルサ時代に一度捨てた「サイド」「裏」のスペースに再び目を向けた訳ですね。


とは言えクロップもそもそも最初から「中」も「外」も「裏」も全てをケアするのが不可能だと分かっているから
敢えて「外」と「裏」はある程度捨てつつも中をしっかり固めてきているという事情があります。

これはつまり中から崩されなければ後はある程度対応出来るという自チームの守備に対する自信の裏返しとも言えるでしょう。


勿論バイエルンもバイエルンで守備で穴になりそうなスペースは未然に塞いできていました。
例えばそれは「ロッベンの裏」とかそういう部分ですね。

【ロッベンの裏のスペースを埋めるマンジュキッチ】
manjyu1211.jpg

確かに守備時はカウンター用に最前線に残すならマンジュキッチよりロッベンの方が理に適っているので
バイエルンは攻撃時はマンジュが1トップ、守備時はロッベンの1トップとポジションを入れ替えていました。

細かい事ですが、こういうディティールで隙を見せず、かつカウンターの威力を少しでも上げておくという詰めが勝敗に影響するレベルの戦いなのです。


バイエルンが攻守に隙を見せない一方、ドルトムントは端からポゼッションとテクニック勝負で勝てるとは考えていませんから攻撃では手数をかけずに1トップのレバンドフスキへまず当てて、そのこぼれを強奪するというのが基本プラン。

【ドルの手数をかけないレバンド狙い】
foruura1211.jpg

中盤に敷かれたバイエルンの守備網の頭を越して裏のスペース、もしくはレバンドへ縦1本。

一見雑な攻撃プランにも思えますが、ドルトムントの運動量と
なによりレバンドフスキのボールの収まりが異常なので
これはこれで一つの攻撃戦術として成り立っちゃってるんですよね・・・。

なるほど、今季クロップがゲッツェは放出してもレバンドは頑なに出さなかった理由がよく分かります。
(来期以降は大丈夫なんだろうか・・・?)


このように前半はお互いが高度なビルドアップと前プレ、そして一旦攻守が切り替われば当たり前のようにGプレスをかけ合いつつも無駄なリスクは侵さない非常に密度の濃い攻防が展開され、
その結果としてある意味レベルの高い膠着を招いた45分は当然の帰結として0-0で折り返す事に。


<勝負を分けたペップの三手>
059d9424-2.jpg

お互いが納得済みの前半0-0。

しかしドルトムントが持てる戦力をフル稼働させ、後半も自分達のサッカーを貫き通すしか選択肢が無いのに対し
(このチームの勝ちパターンは前半に先制して、相手が前がかりになってきたところを伝家の宝刀でトドメを刺す!が理想形)、
バイエルンのペップはまだ持ち駒に金、銀、飛車、角を残している状態。

後半はいかようにもゲームプランを変更出来る余力が残っています。


後半11分―

ドルトムントの運動量とプレスがひと段落したのを見たペップが動きます。
最初の一手はマンジュキッチ⇒ゲッツェへのパーツ交換。

しかしこの一手は単なるCFのパーツ交換以上の意味がありました。

そうです・・・・ここである意味ペップにおける伝家の宝刀とも言うべき【0トップの解禁】です。

マンジュキッチはゴール前に居座る事で空中戦に強さを発揮するクラシカルなタイプのCFですがゲッツェの本職はMF。
バイエルンはこのゲッツェがバルサにおけるメッシのように度々前線から降りてくる事で中盤で数優位を形成するという
1枚カード切っただけで戦術プランそのものを変更出来る強みがあります。

加えてペップは前半はある意味捨てていた「中盤勝負」をより強く押し出す為、
ゲッツェ投入と同時に中盤の並びにも手を加えてきました。

アンカーをハビマルに代えてラームを一列前へ。

【後半の中盤逆三角形の並び】
kouhan1211.jpg

ここに前線からゲッツェを降ろす事で・・・


【ペップの初手⇒ゲッツェを投入し0トップへ】
442getu1211.jpg

これで中盤にハビマル-ラーム-クロース-ゲッツェというダイヤモンド型の並びが現れました。

結局ペップはどこまで行っても中盤勝負が本線だったのですね!
(前半はその為の布石に過ぎません)


さて、実際に試合ではこの一手によって何が起きたかを検証していきましょう。

【0トップ解禁で中盤の主導権を握るバイエルン】
getuxe1211-1.jpg

局面は後半、左から右へ攻めるバイエルンの攻撃。

早速ゲッツェが前線から降りてきます。


daiya1211.jpg

こうなるとドルトムントの2ボランチにはそれぞれマークする相手がいて
ムヒタリアンが中盤を助けに来てもバイエルンのダイヤモンドに対し3対4の数的不利になってしまうんですね。


getuxe1211-2.jpg

↑実際の試合でもこのように中盤で1枚空いてしまう・・・と。


ドルトムントは前半から散々裏と横狙いの散らしに走らされていたので
試合の3分の2を過ぎてからいきなり相手が中盤でポゼッション勝負とか180度攻め筋を変えてこられると結構対応がキツくなってくる訳ですよ。

(と言うか普通のチームであれば90分の間にここまでゲームプランを変えられる事はまず無い(^^;)


試合ではこの一手が効いて完全にバイエルンが中盤を支配し始めるんですが
これに感触を得たペップが後半19分、続けざまに打った第二手がボアテング⇒チアゴの交代。

これでまた配置がガラッと変わるんですね。

【ペップの二手目⇒チアゴ投入とCBハビマルでティキタカ無双】
habima1211.jpg

バルサ直輸入ティキタカの申し子チアゴを中盤に入れて、ハビマルをCBへ。
(これで最終ラインからかなり繋げる布陣に)

ポゼッション主義全開の面子でヘトヘトのドルトムント相手にここでティキタカ無双解禁とか・・・
エグイ、エグ過ぎるぞペップ!(笑)

ちなみに前回対戦時にはスタートからチアゴを4番のアンカーポジションで使った事で
守備時のリスクヘッジが効かず、元気一杯のドルトムントから前プレの餌食にされるという痛い目を見ていたペップ。

まあ、ある意味前回は自身がバルサで培ってきたティキタカという文化と心中した訳ですが、
それを教訓にしてチアゴとティキタカの使い時を見極めてきたところにペップの成長を感じる訳ですね。

この交代から2分後、右サイドでボールを持ったミュラーから
それまで散々マンジュキッチへ浮き球のクロスが入っていた事でここでもクロスを想定したドルトムントDF陣の裏をかくようにグラウンダーの横パスがバイタルで待つゲッツェに渡って勝負アリ。

ゲッツェが古巣から先制点を奪います。


<ティキタカの使い方>
DSC_6978.jpg

最近では本家バルサもあまり試合で使わなくなってきたティキタカ
(*スペイン特有のボール回し。選手間をボールがリズミカルに行き来する様をチックタック⇒スペイン語でティキタカの擬音で表現)

スペイン代表もコンフェデでブラジル相手に痛い目を見ており、来年のW杯本大会でどこまで使うかは微妙なところです。

何故一時は無敵を誇ったティキタカが衰退の方向に向かっているのかと言えば
相手に網を張られて待ち構えられているところにパスを入れた瞬間、
これを剥がすより速いスピードで囲まれた上に屈強なフィジカルで当たられるとボールロストのリスクが非常に高くなってきたからですね。

(バルサ×バイエルン、スペイン×ブラジルのデジャヴ感と言ったらない。)

そう考えると実はティキタカを行う上では相手に取りどころを定められて待ち構えられるより
全力でボールを取りに来てもらった方が遥かにボールは回しやすくなるんです。

この試合でもバイエルンが後半の半ば過ぎに先制点を奪った事で
もはや行くしかないドルトムントがボールを奪いに来るとバイエルンのティキタカが回る事、回る事。

何故ならもうバイエルンは別に攻め切る必要も無いので
なんなら「ボール回しの為のボール回し」を延々と続ける事が出来るからです。


【先制した事で冴え渡るバイエルンのティキタカ】
tikitaka1211-1.jpg

局面はバイエルンのビルドアップからここまで深い位置に降りてきたゲッツェへ。


tikitaka1211-2.jpg

CBが付いていく訳にもいかず、かと言ってドルトムントの中盤はそれぞれマークすべき相手がいるので深い位置のゲッツェを捕まえる術がありません。


tikitaka1211-3.jpg

かと言って攻め急ぐ訳でもないバイエルンは慌てず騒がず。

ラームへのバックパスを経由してボールはクロースへ。
(本来ここに当たりたいロイスは大外のSBラフィーニャをケアしなければならない)


tikitaka1211-4.jpg
あかん・・・!これ全然捕まえられへん!(涙目)

チアゴを筆頭に「回すだけ回せ」と言われたら三日ぐらい回しかねないのがペップのチーム。

それもそのはず、普段遥かに狭いスモールコートで鳥かごの練習を延々とやっている訳ですから
ゴールという目的から開放されて68×105Mの広々としたピッチで「鳥カゴ」をやれと言われたら
このティキタカ集団からボールを奪うのは至難の業です。


ペップは1点のリードを最大限に活用し、それでいて単に下がって守備を固めるのではなく、
(意外とサッカーではドン引きの守備固めは追いつかれるリスクも高い)
相手からボールを取り上げる事でノーリスクのまま試合を終わらせにかかるのでした。

(う~む・・・この人、鬼でっせ(^^;)


<ペップの三手目>

ただ、試合ではそれでもドルトムントが最後の力を振り絞って猛攻を見せます。

これを受けたペップは三枚目のカードをラフィーニャ⇒Vブイテンに使ってきました。

bayrasu1211.jpg

VブイテンをCBに入れ、ハビマルティネスを再びアンカーに戻し、右SBには本職のラームが収まる形に。

これだけ動かしてもそれぞれのポジションに全く無理が出ないあたり「う~む…」と唸るしかありません(^^;

これで中央はダンテ、ブテイン、ハビマルの3枚でドルトムントのパワープレイも想定しつつ、
右サイドはSBをやらせても「世界最高のSB」がキッチリ蓋をする構えです。


すると試合では85分、ドルの総攻撃を受けきったバイエルンがカウンターから前残しにしていたロッベンにボールが渡り、ここからロッベン無双発動。

左サイドを独走して決定打となる2点目を決めると気落ちしたドルを尻目に2分後にはトドメの3点目も決めてしまいます。


【バイエルンの3点目】3tenme1211-1.jpg

局面は中盤で相変わらず数的優位を確保するバイエルンの攻撃から。


3tenme1211-2.jpg

やっぱりこのエリアで3対2の数的優位にしたペップの采配が試合の流れを左右した決定打だったように思います。

↑この場面でもドルトムントの2ボランチは的を絞れません。


3tenme1211-3.jpg

慌てず騒がずのバイエルンはアラバを経由してチアゴへ


3tenme1211-4.jpg

このチアゴにシャヒンが当たりに行くと今度はアンカーポジションから顔を出すハビマルに当たりに行ける人員がもうドルには残っていません。


3tenme1211-5.jpg

フリーのハビマルがボールを運んでからサイドに流れたロッベンへ。


3tenme1211-6.jpg

再びロッベン無双が発動すると対面するDFは飛び込めず、
その脇を世界最高のSBが駆け上がっていくハインケス時代の黄金パターン発動!


3tenme1211-7.jpg

ロッベンが得意のカットインからDF2枚を引き付けると(ベーハセと長友がコレでやられたんだよな…)フリーのラームへパス。

深くえぐったラームから中で待つミュラーにラストパスが渡ってバイエルン完勝劇の幕が降りました。


<ドイツの二強が引っ張る現代サッカーの進化>
goetze800-1385242898.jpg

とは言え、3-0というスコアは両者の実力を正当に表した数字とは言えません。
スコア以上に内容は均衡していました。

但し、これまではある意味王者バイエルンが持っていた「傲慢さ」をクロップが突いて一泡吹かせてきましたが
そのバイエルンが謙虚にドルトムントに習って「Gプレス」と「高いインテンシティ」を得てしまった今、
なかなか隙の無い絶対王者が誕生してしまったような気もします。

(これでドルとバイエルンの勝ち点差は7。今季のブンデスもほぼ決まっちゃったかな…(^^;)


しかもこのタレント軍団を率いる頭脳があのペップとあればその壁はますます高くなるばかり。

このチームを倒せるとしたらそれこそ戦力と資金力で対抗出来るシティ
ペジェグリーニのパスサッカーを極めてもらうとか、再びモウリーニョにペップ封じを考案してもらうとか…?


本来、戦力とチーム力的に対抗馬の一番手にならなければいけないスペインの二強に関しては今季はちょっとキツイような気もします。

例えばペップ時代のバルサに当時バイエルンから加入してスタメンを取れる選手が何人いたでしょうか…?
(恐らくラーム以外はキツかったはず。まだリベリーも守備をサボっていた時代)

それが僅か2年後、バルサがビラノバで足踏みをしてマルティーノでようやく別の方向を模索している間に
今ではバルサからバイエルンに加入してスタメンが約束されている選手が何人いるのか?という時代に。

ドイツ版クラシコを見ても分かる通り、この極限まで高められたインテンシティが求められる試合で
果たして現在のメッシ、シャビ、イニエスタの使いどころはあるでしょうか?

それはマドリーも同じ話で気が付けばアンチェロッティの「ポゼッションフットボールを目指す」というお題目は
いつの間にか「攻守分断サッカー」のロナウド+ロナウド弟(ベイル)の個人技ゴリ押しサッカーにすり変わっており、
同じように彼ら(ロナウド+ベイル)も、もしバイエルンだったとすると使いどころが見当たりません。


残酷なようですが、これこそがフットボールが日々進化し続けるスピードの速さであり、
バイエルンのフィジカルと豊富な持ち駒、そしてペップの頭脳に高いインテンシティ、
これを打ち破るチームが現れるのも時間の問題なのでしょう―




*「最後、イタリアのクラブはスルーですか?」と思わず涙目になったセリエAファンはクリック!↓

海外サッカー ブログランキングへ


関連記事

2014W杯の組み分けを検証してみよう [グループC編]

2240550_FULL-LND.jpg<2014W杯の組み分けを検証してみよう [グループC編]>

「日本ベスト16入りキターーー!!」

ポッド4でギリシャを引いた瞬間の日本中のガッツポーズな(笑)


ハイ・・・という訳でご存知の通り2014W杯の組み分け抽選が終わり各グループが発表されました。


日本が入ったグループCは以下の顔ぶれ。

コロンビア
コートジボワール
日本
ギリシャ


果たしてこの結果を幸運と見るか否、厳しい組み分けと見るか?


まあ、まず一見して言えるのは、とりあえずこの組からは優勝国は出まい…という事ですね。

過去、日本が所属してきた組み分けではアルゼンチン(98)ブラジル(2006)オランダ(2010)という紛れもない優勝候補がいたので、その意味では開催国特権を発動した2002年大会の組に近いと言えるかもしれません。

(*2002年大会=ロシア、ベルギー、チュニジア)


もう一つ、今回の日本の組み分けが恵まれたものかどうかを客観的に判断するにあたって
決定後の各組ポッド3の位置に日本を入れて可視化してみると分りやすいのでご覧下さい。↓

【2014大会 ポッド3の可能性】

◆A ブラジル クロアチア 日本 カメルーン
◆B スペイン オランダ チリ 日本
◆C コロンビア ギリシャ コートジボワール 日本
◆D ウルグアイ 日本 イングランド イタリア
◆E スイス エクアドル フランス 日本
◆F アルゼンチン ボスニア 日本 ナイジェリア
◆G ドイツ ポルトガル ガーナ 日本
◆H ベルギー アルジェリア ロシア 日本



D組だったら年明ける前にW杯終わってたじゃねえか!wwww


こうしてみるとなかなかの結果、少なくとも「中の上」以上だった事が分かりますね。


とは言え、もちろん簡単な組み分けではないですし、
そもそも日本の立場からすると簡単な組み分けというのは理論上ありえない訳です。


そこで続いては日本が対戦する順にもう少し詳しく見ていきましょう。


【コートジボワール】 [3大会連続3回目、FIFAランク17位]

世間ではこの緒戦で勝ち点3を取る事が絶対条件のように言われていますが
恐らく前回大会のカメルーン戦のイメージがそのベースとなっているのでしょうね。

まあ、個人的には仮にここで負けたとしても
ギリシャとコロンビア相手に連勝狙えばいいんじゃね?と思うんですが(笑)

それはさて置き、コートジボワールというチームは前回大会で崩壊寸前だったカメルーンと違い
アフリカの中ではかなり組織的なモダンフットボールを志向する事でも有名です。

イメージとしてはコートジボワール、エジプト、ガーナが昔から組織的な欧州サッカー寄りで
ナイジェリア、カメルーンなどがアフリカ本来の個人技ベースという感じでしょうか。

その上でこの国を見ていくとチームとしてのピークは明らかに前回大会の方で
今回のチームはエース・ドログバが4年歳を食った分、緩やかな下降期に入っていると見ます。

とは言え現在のドログバはチェルシー時代のように守備でも走って仕事をこなす体力は失っていますが、
その分ゴール前での勝負に特化した油断ならないストライカーです。
今野とのゴール前での競り合いは大人と子供といった感じですかね(笑)注目です。

ドログバが最盛期を過ぎた一方でヤヤトゥーレはまさに今が旬。
毎週プレミアを見ているファンならその無双ぶりは周知の事実ですが
はっきり言って中盤に1枚いるだけで反則級の存在です。

(分かりやすく言うと遠藤、長谷部、山口蛍の3人分の仕事は1人でこなしますかねww)


いずれにせよザックも語っている通り「コートジボワールがアフリカ最強」に異論はなく
簡単な相手ではないのですがドログバがいる分、前から組織的にプレスをかけてくるサッカーは無理なので
日本がしっかりとこの4年で積み上げてきたCBから繋ぐサッカーを粘り強く実践出来れば勝機もアリ…と見ます。



【ギリシャ】 [2大会連続3回目、12位]

もはや国内では「勝ち点3確定」の楽勝ムードすら漂ってますが(笑)、
多分今頃ギリシャ人も同じ勝ち点計算をしていると思います。ww

この国の強みは常にブレない「自分達のサッカー」を持っているという事でしょうか。

現代サッカーのトレンドなんぞ知った事じゃねえ、前プレ何それ?おいしいの?と
いい意味で開き直った後退守備にセットプレーと相手のミスにつけ込んだカウンター狙いで
非常に辛いゲームプランを90分徹底出来る強さがあります。

カウンターに対する脆さとDFラインの淡白なミスが目立つザックJAPANからすると
非常にやりづらい相手である事に間違いはなく、「我慢比べ」の試合に焦れない事が大切です。

攻略のポイントは彼らのゲームプランを崩してしまうのが一番てっとり早く、
先に点を取られて追いかける展開になるとギリシャは遅攻で崩す形を持っていないので打つ手無し…に陥る脆さも。

現実的な話をすると試合では両国共に決め手なくスコアレスドロー…なんて画も浮かぶ訳ですが(^^;
ここから勝ち点3をとれないと恐らく突破は難しいでしょうね。

とは言え腐っても元EURO王者ですから「勝ち点3確定」の扱いは
2006W杯時のオーストラリアの二の舞にならぬよう過小評価だけは気をつけたいところ。



【コロンビア】 [4大会ぶり5回目、4位]


こちらはもしかすると「ファルカオ恐怖症」と「南米開催」が過大評価につながりかねない国ですね。

個人的にはこの「南米開催=南米最強説」には胡散臭さを感じていて
W杯はどこで開催されようと結局優勝争いは南米(もっと言えばブラジル)+欧州なんじゃね?っていう(^^;

初のアフリカ大陸開催となった前回大会は南米5ケ国が全てベスト16に進出する一方、
アフリカはベスト8に残ったのが1チームだけでベスト4は結局南米1+欧州3でしたからね。

(ちなみに2006のベスト4は欧州4、2002はブラジル+欧州2+八百長1、
98はブラジル+欧州3、94もブラジル+欧州3)


チーム構成を見てもJマルティネス、ハメスロドリゲスら攻撃陣に怖さはあっても
CBにサパタを使っているチームの脆さはまさに今ミラニスタの皆様が毎週身をもって味わっているところでもあり・・・(爆)


ただ厄介なのはこのタレント軍団を率いているのがあの名将ペケルマンって事でしょうね。

メンバーリストにはチラホラ無名の選手も名を連ねているんですが
そういう若手を伸ばす力にかけてこの名将の手腕は世界随一。

(リケルメとアイマールを開花させたアルゼンチンこそ至高)


個人的にはブラジル、アルゼンチンの大国がますます近代サッカー化していく中、
コロンビアにはドリブルと細かいワンツーを駆使した古く懐かしいラテンアメリカのサッカーを期待しているんですけどねー。



<総評>

あのセル○オ大先生すら「突破の可能性は50%」とか言っちゃう楽観ムードが漂っていますが
率直に言って全勝はないけど全敗は充分有り得るグループだと思います。

(冷静に考えて50%って4チームが横並び一線の実力設定で初めて成り立つ数字ですよね・・・(^^;)

一方で緒戦に負けたら即オワタ!だった2006、2010のグループと違い、
(2戦目以降にブラジル、オランダが控えてたからね…)
仮に緒戦を落としても第3戦まで希望を捨てずに楽しめる意味ではいい組なんじゃないかと。


え・・・?


グループ突破したら隣が死の組だから相手が厳しい?







突破してから考えろ!wwww



(珍グランドだったら案外勝ち目あるんじゃね…?)



*W杯で逆フラグだけは勘弁!と思った貴方はクリック!↓

海外サッカー ブログランキングへ

関連記事

『日本代表サッカーの日本化』~日本×ベルギー~

G20131120TTT0700005G3000000.jpg
W杯16強は見えたか?『日本代表サッカーの日本化』 ~日本×ベルギー~


『欧州最強国』とは一体何だったのか・・・・。

「プレミア選抜」「2014W杯のダークホース」「オランダより数段格上」などの触れ込みもあったベルギー代表を相手にザックJAPANは2013年最後を締めくくる公式戦を見事勝利で飾りました。

試合前、とある事情通達からはこんな声も聞かれていたものです。


某ロンドンクラブのサポーター
『ウチの天才アザールのドリブルはシャルケのSBじゃ荷が重いでしょ。CL同様チンチンだよ(笑)』

某プレミア厨
『今年のルカクは本物だね。JリーグのCB相手ならハットは堅いんじゃない?(キリッ!)』

某ビッグクラブのファン
『試合はどうでもいいけどKAGAWAもアフロもまずはウチで仕事してくれ(切実)』


試合はやってみなければ分からないというのに、やる前から何という及び腰でしょうか。

全くもって同じ日本人として恥ずかしい!







・・・・サーセン、僕もそう思ってました。 _| ̄|○

(今年も焼き土下座で締めくくりか…)


という訳で今日はW杯組み分け抽選も迫る中、今年最後となったザックJAPANの勇姿を振り返りつつ
このチームの3年半を総括していきたいと思います。


<プレミア選抜があらわれた!>
belguim-sutamen.jpg

ルカク、アザール、デンベレ、ヴェルトンゲン…etc

毎週プレミアリーグを見ている我々からすると、名前を聞いただけで逃げ出したくなる豪華チームがあらわれました。

ベルギー国民もこの「史上最強チーム」に対する期待はかなり高まっているらしく
満員のスタジアムは極東の小国相手にゴールショーを見に来た人々で溢れかえっていました。

対する日本代表はDFラインを大幅に入れ替えて引き続きテスト色の濃いメンバーをスタメンに送り出します。
ザックはこの欧州遠征2戦を通じ、これまでにないターンオーバー制を強く意識したメンバー編成が印象的ですね。


<ぬるかったベルギー>

さて、この試合におけるザックJAPANのゲームプランですが、基本的にはオランダ戦同様、
前からパスコースを限定する守備で中盤以降のパスコースを遮断。

ベルギーのCBに長くボールを持たせるかロングボールを蹴らせてビルドアップの質を落とす狙いです。

【日本の守備】
maepure1201-1.jpg

局面は左から右へと攻めるベルギーのビルドアップから。

ザックはベルギーの中でも展開力の高いベルメーレン、ヴェルトンゲンが配置されている左からの展開を嫌がったのか
1トップ柿谷からのプレスをわざとVブイテンの方を空けるようにしているフシが見られました。
(こういうところがイタリア人監督らしい緻密さ)

↑の場面でもまず柿谷がCB同士の横パスを消してVブイテンに持たせて
ボランチのヴィツェルはオランダ戦同様、本田がケア。

まずは攻撃方向へのパスコースを一つに限定してしまいます。


maepure1201-2.jpg

前がパスコースを限定させているので、後ろの長谷部は確信を持って受け手のアザールに詰める事ができ・・・


maepure1201-3.jpg

中盤でボールをインターセプトする理想の守備がこの日も出来ていました。

ここでポイントとなったのが柿谷の前プレでオランダ戦の大迫に刺激された訳でもないでしょうが、
3ケ月前のウルグアイ戦と比べると格段と守備の意識が高くなりザックの注文通りに身体の向きにも気を使って上手くコースを消していたと思います。

逆説的に言うならば、もしザックJAPANに招集されなかったとしたら柿谷はあの守備意識のままで良しとされていたのか…?という疑問もありますが。

確かにJリーグの試合ならばフォルランもスアレスもネイマールもいないでしょうからFWの身体の向き一つで痛い目に遭う事はないのかもしれません。

しかし、だとするならばJリーグではワールドスタンダードの前プレを学べないという危機感を持たなければならないようにも感じた柿谷の成長でした。


一方、意外だったのはベルギーの淡白なビルドアップです。

ザックの狙いによってVブイテンとアルデルワイレルトの2人に絞られたビルドアップはオランダ同様技術的にも拙く、かと言って試合中に日本の前プレを回避するような工夫も見られませんでした。

ボランチのヴィツェル、デンベレも日本のマークを剥がせずに顔を出せない事もあって
ベルギーの攻撃は中盤を省略したロングボールからミララス、アザール、ルカクらの個人技による突貫がほとんど。

日本は序盤こそベルギーの強引な突破にやや慌てる場面も目立ちましたが
それにしたってロッベンの切れ味やファンデルファールトの怖さに比べれば数段落ちるので次第に落ち着きを取り戻していきます。


加えてベルギーは守備でも緩さが目立っていました。

守備時、ルカクとアザールを2トップにした4-4-2気味の布陣で守るベルギーでしたが
「CBからボランチへのタテパスを抑える」という現代のトレンドに対する認識はかなり甘い代物だったと言わざるを得ません。

【ベルギーの緩い前プレと常にフリーな日本のボランチ】
borante1201-1.jpg

↑前半9分の場面、ルカクとアザールの2トップが横並びで日本のCBへ簡単に食いつくので
日本はSBを経由してやるとフリーのボランチにボール入れ放題。


borante1201-2.jpg

↑前半10分過ぎの場面、ハッキリ言ってきょうびアジアの国でも日本のボランチをここまで自由にさせてくれる相手は少ないでしょう。

日本は楽に前プレを外せるのが分かってすぐに試合の主導権を握るものの
いかんせん山口&長谷部のボランチは守備の可動範囲は広くてもボールを持たせるとそこまで気の利いたパスが出せません。
(これだけボランチがフリーなら遠藤をスタートから…という一手もあったような?)

となれば困った時の本田さん…という事で日本は本田にボールを集めますが、さすがにここはベルギーも最重要警戒地区という事で厳しくケアしていました。
従って日本はボランチまでは比較的楽にボールを運べるものの、そこから先で詰まるジリジリとした展開が続いていきます。

しかも序盤はこれもザックの指示であろう、香川と清武の両サイドが守備時のリスクを考えてそれぞれ持ち場を守って両ワイドに張っていた為、明確なトップ下に固定された本田に対する潰しがより一層厳しくなっていたという背景もありました。

余談にはなりますが、やはりFIFAランクでは上位にいるもののベルギーとオランダを比較した場合、
どちらが格上かは明らかでW杯の組み分けでどっちがポッド1に入るかは非常に気になりますね。


<Jリーグスタンダードからワールドスタンダードへ>

このオランダとベルギーの2戦を通じて、両国共にCBからのビルドアップの質で非常に苦労していた様子を見るにつけ、
就任当初から今野+吉田のCBを一貫して使い続けてきたザックのワールドスタンダードに対する見識に間違いは無かったと確信する次第。

(スペインやドイツはもちろん、あのイタリアでさえデロッシをCBに回したりする時代です)

となると気になるのはこの試合で今野に代わってCBに入った森重のプレーぶりです。

かねてより今野の身長と吉田のフィードに不満を持っていた層からは「森重の抜擢」が根強い声として上がっていましたが果たしてどうだったのでしょうか…?


【森重のビルドアップ】
morishige1201-1.jpg

局面は右から左へと攻める日本のビルドアップから。

森重はJリーグでもロングボールに逃げる事なくしっかりと繋ぐ意識の高いCBとして知られているだけあって
この試合でもタテパスに対する強い意識が感じられました。

その上で↑の局面を見てください。

確かにパスの出し手である森重から受け手である清武の間に障害となるDFおらず、まずタテパスは入る局面と思って間違いは無いでしょう。

しかし問題なのは受け手(清武)の状態です。

清武はルックアップで背後のDFを察知していませんし、
何より後ろから迫っているのはプレミアでも3本の指に入るDFのヴェルトンゲンです。

仮にボールを受けるのがイニエスタで森重もフンメルスやアロンソばりの鋭いタテパスが出せるなら話は別ですが、ハッキリ言ってこのタテパスが成功する確率はよく見積もっても五分五分といったところ。

本来、成功率が50%のプレーであるならばCBが選択するべきではないのです。


morishige1201-2.jpg

そもそものパスの距離が長く、森重のタテパス自体も悪く言えば「Jリーグ・スタンダード」な球速だった為やはりインターセプトされてしまいました。

ここからベルギーのカウンターが発動します。


morishige1201-3.jpg

そのままベルトンゲンにボールを運ばれると自陣では2枚残しの2CBがカウンターを受けて2対2になる日本の典型的な失点パターンへ。

やはり攻撃で最初の1本目となるCBからのタテパスは出し手に質の高い状況判断と
自分のミスパスは失点に直結するというワールドスタンダードの認識が不可欠なのです。


補足として森重を精一杯フォローする訳ではないですが、山口もパスが通る確率に対する計算の甘さと
自身のミスパスがカウンターに直結する危機意識が乏しいのか同様の傾向が目立ちました。

とするとやはりこれが「Jリーグスタンダード」なのでしょうか?


加えてもう1点、序盤の日本で気になったのが「サイド固定の香川」です。

オランダ戦ではロッベンに対する警戒からザックは香川をベンチに温存させて清武にサイドを守らせていましたが
このベルギー戦で香川をスタメン起用するからには守備で清武と同様の働きを課していたはずです。

実際に試合では香川が左サイドの持ち場を守るポジショニングで守備に気を使っている様子が伺えましたが、
反面これは攻撃時サイドでの行き詰まりを生んでいました。

というのも本来、香川はサイドアタッカーではないのでタッチライン際でボールを受けても
静止した状態から1対1でタテに仕掛けていける選手では無いんですね。
(毎週モ○ーズのクソサッカーで喘ぐKAGAWAを見ている人ならご存知の通り)


そこで「森重のタテパス」「香川のサイド固定」
この2点に注意を払いながらベルギーの先制点を振り返ってみましょう。


【ベルギーの先制点を検証】

1shiten1201-1.jpg

局面は日本の左サイドで香川がボールを持った場面。

このようにサイドで正対した状態での1対1は香川の得意とするところではありません。


1shiten1201-2.jpg

よって縦に突破出来ない香川はカニドリブルで横へ持ち出し、追い詰められたところでCBへバックパス。


1shiten1201-3.jpg

このボールを受けた森重ですが、右の酒井宏へのパスはメルテンスに巧みにコースを切られています。

かと言って前の山口にはデンベレがピッタリ張り付いているので、正直この場面ではCBから有効な展開を見出すのは難しいと言えるでしょう。

常識的に考えれば一旦GKへバックパスを下げてもよかったように思えますが、
この場面で森重はあまりに不用意なタテパスを山口へ送ってしまいます。


1shiten1201-4.jpg

受ける山口の方が苦しいようなタテパスは案の定インターセプトされるものの・・・・


1shiten1201-5.jpg

幸運にもこのこぼれ球が再び森重の前へこぼれたので、これを拾って右の酒井宏へ。


1shiten1201-6.jpg

酒井宏はそのままドリブルで縦にボールを運んでから前が詰まったところで安易に本田へとボールを預けていますが
サイドからの運びにトップ下から顔を出す本田はベルギーも徹底マークをしていたところ。

やはりと言うべきか、この横パスはベルメーレンが体を寄せてインターセプト⇒ベルギーのカウンター発動


1shiten1201-7.jpg

すぐさまタテにボールを繋がれて・・・


1shiten1201-8.jpg
まーたこの形かよ(笑)

この後、何故か果敢(無謀)に飛び出してきた川島がペナルティエリアの外で華麗な舞いを披露するとルカクから空のゴール前へ向けて折り返し。

このボールを酒井高が空っぽのゴール前1Mの距離にも関わらず
スタバでコーヒーブレイクを嗜む紳士のような落ち着きで待っていたところに背後からミララスに横入りされて敢え無く失点してしまいました。

この失点シーンを見た時、ふと私の脳裏にはQBKを始めこれまで日本代表がゴール前の決定機をことごとく外してきた場面がよぎり、思わず「日本がゴール前で欲しかったのはこの落ち着きだ!」と確信したのであります。

但し、出来ればその落ち着きは反対側のゴールで見せて欲しかった。


自虐ネタはさて置き、この失点シーンを論理的に遡って考えてみると
まず日本の構造上の問題で清武と香川の両サイドにボールを渡してもそこから縦への展開は望めず
どうしても横か後ろへの展開となってしまう点がまず一点。

そして序盤から度々危うさを見せていた森重の不用意なタテパスと
更にここで一度助かったにも関わらず今度は酒井宏が警戒されていた本田への不用意な横パス。

最後にカウンターから2対2の失点パターンを作られて
川島の無謀な飛び出し+酒井高のコーヒーブレイクとこれだけS級のミスが重なれば失点は必然だったと言えるでしょう。


<香川の正しい使い方 【#freeshinji】>
hyoushi-kagawa1201.jpg

またもやコントみたいな失点でビハインドを強いられたザックJAPAN。

そこでザックは守備バランス重視の序盤戦から一転、香川と清武の両サイドに流動的な動きを解禁。
これで香川が蘇り、早速中に入り込む得意の動きから日本の攻撃に活気が取り戻されていきます。


【香川の間受け解禁!】
kagamauke1201-1.jpg

局面は右から左へ攻める日本の攻撃から。

香川は既に得意のエリアへと入り込んでいます。

kagamauke1201-2.jpg

ボールが山口へ渡ると左SBのヴェルトンゲンが本来のマークである清武とフラ~っと流れてきた香川とで
どちらをマークしていいのか迷いが生まれる局面になりました。


kagamauke1201-3.jpg

結局ヴェルトンゲンがどっちつかずのポジションを取らざるを得なかった事で香川の間受けが生まれています。


続いて香川の自由なポジショニングが活きた場面をもう一つ。↓

kagamauke1201-2-1.jpg

↑この場面でも同じように香川がトップ下のようなポジショニング。

お陰でそれまでトップ下に固定気味だった本田をマンマークで潰していたヴィツェルが香川に付く形となり逆に本田がフリーに。


kagamauke1201-2-2.jpg

その本田にボールが渡ると慌ててヴィツェルが向かいますが・・・


kagamauke1201-2-3.jpg

今度はフリーになった香川にタテパスが入って間受け炸裂⇒香川無双発動と日本が得意とする攻撃の形が生まれていきます。


以上、某モ○ーズ氏にも送りつけてあげたい「香川の正しい使い方・説明書」でしたが、
香川解禁によってベルギーの守備が後手後手に回り始めたところで日本に待望の同点ゴールも生まれています。

前半37分―

それまで清武を抑えきっていたヴェルトンゲンの前にちょくちょく香川が顔を出す事で明らかに迷いの生じてきてベルギーの左サイドを酒井宏が裏を取って抜け出すと折り返しから柿谷がヘッドで合わせる珍しい形。

それにしてもコンパニ兵長がいないだけで中に2枚残っていたのにアッサリと柿谷にマークを外されるあたり、一体どこのマンCだと(爆)


<スーパーサブ遠藤の是非>
endo zac2013-11

前半を1-1で折り返したところでハーフタイム、
ザックはオランダ戦に続き遠藤(+岡崎)をピッチへ送り込みます。

結果的に2試合連続で的中したこの交代策を指して巷では「スーパーサブ遠藤」なる采配に注目が集まっていますが果たして本大会でも有効な一手となるのでしょうか…?

ここではその采配を検証していきたいと思います。


まず日本の逆転へ向けた布石となってしまったベルギーの選手交代について。
ビルモッツ監督は後半、トップ下のアザールに代えてアフロの大男を投入し、布陣も4-2-3-1から4-3-3へ。

【ベルギー代表 後半の布陣】
belugimu-kouhan.jpg

この変更で重要なのは中盤の底に入るアンカーがヴィツェルの1枚になったという事。

前半のトップ下=本田固定の日本相手ならば有効かもしれませんが、
香川に加えて遠藤まで投入された後半のザックJAPAN相手には致命的な一手だったと言えるでしょう。


【中盤で自由を謳歌する遠藤】
endo1201-1.jpg

局面は後半、左から右へと攻める日本ですが
中盤を逆三角系で守るベルギーの陣形を見越して遠藤が3列目からするすると上がってくる場面が目立ち始めます。


endo1201-2.jpg

戦況を見極めるインテリジェンスに長けた遠藤は、今自分がどこに入って行ったらベルギーが困難に陥るかを良く分かっていました。

遠藤は非常にいやらしい位置で酒井高からパスを受け取ると・・・


endo1201-3.jpg

簡単にフリーで前を向けちゃうんですね。

このシーンを見て日本の逆転は時間の問題だな…と確信したのですが、思っていた以上にそれは早く訪れます。

では後半53分に生まれた日本の逆転弾を振り返っていきましょう。


【日本の逆転ゴールを検証】
goal1201-1.jpg

局面は本田が中盤でボールをキープしたところにここでも後ろからスルスルと上がって顔を出す遠藤のフォローから。


goal1201-2.jpg

遠藤はこのボールをすぐに左の酒井高に預けてパス&ゴー。

…とこの瞬間、本田が首を振ってゴール前の様子を確認。
香川がベルギーの選手を引っ張るのを見て3秒後に生まれるであろうスペースの存在を瞬時に理解した事でしょう。


goal1201-3.jpg

左サイドでリターンを受けた遠藤からのパスは本田の意図を100%理解したイメージのシンクロによるもの。

やはりザックJAPANは遠藤+本田+自由な香川の3枚が並び立つと中盤のインテリジェンスが一気に上昇しますね。
(柿谷は相変わらず絡めず)

更に日本はこのゴールが布石となって3点目の追加点も。


【日本の3点目を検証】
3ten1201-1.jpg

長谷部がアンカーのヴィツェルの脇、バイタルエリアでボールを持っていますが
そのヴィツェルは先程本田のマークを外した事で生まれた日本の2点目が気になってカバーへ向かえない心理状態。


3ten1201-2.jpg

お陰で結構な時間、中をジックリ見る事が出来た長谷部からゴール前へボールが入る事になります。

この折り返しを柿谷が落として岡崎が豪快なボレーを突き刺しました。


確かにオランダ戦同様、後半から遠藤を投入した事で日本の攻撃スイッチが入った事は間違い無いでしょう。
この2連戦で日本が挙げた5ゴールの内、実に4得点が遠藤投入後の後半に生まれている訳ですから。

但し、だからと言ってこの「スーパーサブ遠藤」をW杯本大会でも使えと言うのは短絡的過ぎやしないでしょうか。
しかもこの采配の利点として多くの人が「スタミナ不足の遠藤を45分限定にするメリット」を挙げていますがこれは根本的な勘違いです。

何故なら過去の日本代表のスタッツを振り返ってみれば遠藤は常に走行距離でトップ3に入る数値をたたき出してきた選手なんですね。
つまり遠藤は実はスタミナ不足などではなく、むしろ運動量を武器としてきたプレイヤーなのです。

その遠藤が何故そういった誤解を持たれやすいかと言えば、恐らく彼のプレースタイルの方に原因があると思うのですが逆に言うならばこれは45分限定にしたところで何も変わらない部分ですよ…と。

では百聞は一見にしかずという事で実際の試合から遠藤を起用した祭のデメリット、
つまり守備面でのリスクの方も同時に検証していきましょう。


【遠藤起用のデメリット】
endousyubi1201-1.jpg

局面は右から左へと攻めるベルギーの攻撃ですが、ボールホルダーと遠藤との距離感に注目。

ハイ・・・結局45分間の出場に限定したところで遠藤の守備における距離感というのは何も変わりません。

何故ならこれは彼の10数年間に渡るプロ生活の中で身に付いたプレースタイルであり、決して体力不足が原因などではないからです。

又、逆説的に言えばこれが許されてきたのがJリーグという環境なのでしょう。(遠藤は年間ベストイレブンの常連)

だからこそ山口蛍のような距離感で詰められるボランチは貴重なのですが、
その山口と長谷部を並べてしまうと今度は遠藤不在のゲームメイク力不足を痛感させられるジレンマがあります。

話を↑の局面に戻すとボールに対してほとんどプレッシャーがかかっていないのと同じこの状況では後ろのDFラインも打つ手がありません。

と言うより裏を取られるリスクを考えたらそもそもラインを形成している事自体がリスクと言ってもいいかもしれませんが・・・(^^;


endousyubi1201-2.jpg

やはり…という感じで簡単にスルーパス1本で裏を取られてしまいました。

試合ではこの後、GKと1対1を作られるも川島が鋭い飛び出しでシュートストップ。
しかしその後のCKから敢え無く失点という流れでした。

要するに遠藤をボランチで使うからには後半まで温存させようとスタートから使おうと
常に守備面でのリスクは同じと言える訳です。

ザックとしてもこの2連戦で別に遠藤をスーパーサブにしようという意図は全く無く、
単に長谷部、山口を合わせたボランチ3枚でターンオーバーを敷いただけだと思います。

【オランダ戦+ベルギー戦 合計出場時間】

山口蛍=135分
長谷部=135分
遠藤=90分


テスト兼、出場時間に対する配慮というのは欧州や南米の列強国でよく見られる采配ですね。


<カテナチオで勝ち点3を>
zac1-500x333.jpg

試合は再び1点差に詰められて残り10分弱。
W杯本大会でも充分有り得る貴重なシチュエーショントレーニングの場となりました。

こういう試合で勝ち点3をしっかり取り切れるかどうかが本番では重要です。
そこでザックは残りの10分をしっかりクローズさせて終わらせる為に守備固めのカードを切ってきました。

【日本代表 守備固めの布陣】
nihon-kouhan.jpg

まずボランチ遠藤はリスクが高いという事で香川に代えて細貝を入れて遠藤を一列前へ。
(同時に本田を右、岡崎を左へ配置転換)

DFラインもSBを攻撃力が売りの酒井高から今野に代えてサイドにも蓋をしてきました。

ここでザックの成長というか柔軟性が伺えたのが、これまでのように3バックへ変更しなかった事ですね。

カルチョの国イタリアであるならば「守備固めの3-4-3」という戦術意図を選手が汲み取って問題なく実行に移せるのかもしれませんが、日本の選手達が相手だと理論としての守備固めより布陣(型)を変える事に対する戸惑いのリスクが大きくこれまで失敗に終わる事が多かった3-4-3。

そこでこの試合では布陣(型)はそのままに駒を入れ替える事で守備力を上げる方法を選択したのは賢かったと思います。


ただ、ザックがいくらロジカルな手を打っていようとピッチ上の選手達がそれをプレーで台無しにするようでは全く意味がありません。

ここでも気になったのがワールドスタンダードではなく、Jリーグスタンダードによる危機感の欠如したプレーです。

ちょっと実際の試合から検証してみましょう。


【1点リードの試合終盤にすべきプレーとは?】
hosogai1201-1.jpg

局面は1点リードの試合終盤、左から右へ攻める日本のビルドアップの場面でCB森重から本田にタテパスが送られるところ。

まず、そもそもこの場面で森重はリスクを冒してまでマークを背負っている本田にタテパスを通す必要はあったのか…?という疑問があります。


hosogai1201-2.jpg

でもってその結果がこの豪快なパスミスです。

本田「ファッ・・・!?」


hosogai1201-3.jpg

そのままカウンターを受けてしまいますが、ある意味森重には名誉挽回のチャンス。

本田(奪い返せないまでもディレイで遅らせてくれれば俺も加わって2対1を・・・)


hosogai1201-4.jpg
裏街道一発で抜かれおったーー!!!www

本田(マジかwwwコイツwwww)


hosogai1201-5.jpg

最後は本田がカバーに向かいますが一歩及ばず折り返しから超決定機を作られてしまいました。
(シュートが僅かに枠を外れて一命を取りとめたザックJAPAN)


森重の一連のプレーですが、最初のプレー選択から始まって一発で抜かれた後に結局本田のワールドスタンダードな切り替えでカバーしてもらっている点も含めて試合終盤にCBがやっていいプレーじゃないんですよね。

…で、それ以上に問題なのが多分この決定機によるシュートがボール2個分ズレていて同点に追いつかれていたとしたら世論としては「ザック またもや守備固め失敗!」「消極的な采配で勝ち点3を逃す」みたいな一面になっていたに決まってるんですよ!

このブログではこれまで何度も言ってきていますが、やっぱりW杯で世界と戦うには
まずピッチ上から「S級ミスの撤廃」=Jリーグスタンダードの排除
ピッチの外からは「短絡的な結果論に流されるフットボールリテラシーの改善」を強く求める次第です。


<日本代表サッカーの日本化 ザックJAPANの3年半を総括>

最後にザックJAPANの3年半を総括して締めに入りたいと思います。

恐らく組み分け抽選後の残り半年は微調整の段階で、大枠としてはこのチームでブラジルに乗り込む事になるでしょう。
(前回大会のように【試験本番2週間前に方針変更⇒一夜漬け】は絶対に繰り返してはならない(笑))


まず先月のベラルーシ+セルビア戦での停滞を含め、
最近の日本代表が非常に欧州や南米の列強国に近いバイオリズムを持つチームになってきたな…という感覚があります。

と言うのもこれまでザックJAPANは言い方は悪いですが「負けても問題無い試合」では低調なパフォーマンスに終始し、
「絶対に勝たなければならない試合」又は世界トップクラスとの力試しでは自分達のサッカーを貫く試合が出来ていたと思えるからです。

サッカーチームというのは人間の集団である限り、一つの生き物のようなもので常に最高の状態を保つ事は不可能です。
したがって1年の流れを見ても山があれば谷もあるバイオリズムを描くのが普通でなんですね。

その中で例えばザックの母国イタリア代表もそうですが、最近だとスペインが格下フィンランドに引き分けたりと
主に格下相手の試合やシーズン佳境の時期に開催されるテストマッチで低調なパフォーマンスに終始する…というのは世界ではよくある話。

これは何故かと言えば欧州クラブのトップシーンで普段凌ぎを削っている選手達からすると
「明らかな格下」や「勝利を義務付けられていない」ような"ぬるい試合"では
本人も気付いてないレベルで、或いは中にはあからさまにモチベーションを下げるプレイヤーが出てくるからですね。

故にそういうトップクラスの選手達を数多く抱える国ほどより顕著に見られる現象とも言えるでしょう。


翻って数年前まで国内組が主軸だった日本代表はそれこそフィリピンやネパールのような格下相手にも7-0、8-0と全力を尽くした結果のスコアというものを残してきましたが
今はそういう明らかな格下とやる機会自体も減ってきているとは言え、マンUやインテル、シャルケ等のクラブで欧州トップシーンを戦っている「海外組」が主力となってからは試合の重要性に応じたバイオリズムの濃淡というようなものを段々感じるようになってきました。

(内田なんかはあからさまにインタビューで「CLはマジでやるから」というような発言もしている)

これはある意味、日本のチーム編成が世界トップのそれに近づいてきている一つの証拠であり、喜んでいい事だと思います。

ただ、選手達がJリーグの上に日本代表がそびえ立っていたようなある種のピラミッド構造から抜け出し、
クラブシーンと代表とを等価に並べて試合ごとにプライオリティーを付けだしたのに対し
それを見守る我々観客の目は依然として「日本代表至上主義」のままな現状をどう考えるべきでしょうか。

常に新戦力、スターの誕生が叫ばれ「決定力不足」と「守備崩壊」を呪文のように繰り返し、
戦犯探しに明け暮れる割にはクラブシーンには一切目が向けられていない…この現状をです。


片や、そんな周囲の喧騒をよそにこの3年半、代表の舵をブレずに守り続けてきた男がザックではないでしょうか。

ザックは分かっていました。
日本が目の前のリスクを嫌ってCBに蹴らせているようでは結果的に日本の良さが出ない事を。
故に周囲から何を言われようとCBに吉田と今野を一貫して使い続けてきたのでしょう。

そろそろ我々も気付くべきです。
「繋ぐサッカー」でなければ日本は世界と戦えないし、「繋ぐ」からにはそこにリスクが常に内包されている事を。

失点場面を取り上げて「だから蹴っておけ」と脊髄反射するのは簡単ですが、
それでも尚チームの信念を曲げない事はその数倍勇気がいる事です。

我々には「攻撃も守備も出来る選手」などいません。
ボランチ一つとってみても「守れるけど繋げない選手」か「繋げるけど守れない選手」しかいないのです。

そんな不十分な個々のパーツをパッチワークのように組み合わせて最適なバランスを見出してきたのがこの3年半の月日でした。


思えば数年前、「日本サッカーを日本化する」と宣言した偉大な指揮官も外国人でしたっけ。

諸外国と比べてついつい「劣っている部分」にばかり目を向けがちな我々日本人と違い、
愚直なまでに日本の「優れた部分」に目を向けて世界のどこが相手だろうと「日本のサッカー」を貫いたイタリア人。

「日本代表サッカーを日本化する」作業が外国人の手によってしか成し得ないというパラドックスも含めて何とも日本らしいではないか―



*「前回の記事とはえらい落差の大作ですねwww」と思った貴方はクリック!↓

海外サッカー ブログランキングへ

関連記事
プロフィール

soccertentyou

Author:soccertentyou
年間300試合観戦のサッカー馬鹿によるサッカー馬鹿の為の戦術分析ブログ

【メールアドレス】
wowow_2000(あっとまーく)yahoo.co.jp

サッカー店長のつぶやき
最新記事
最新コメント
カテゴリ
読んだ記事が面白かったら1クリックをお願いします↓
サッカーブログランキング
更新カレンダー
11 | 2013/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
マイベストサッカー本10選
広告リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
リンク