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勝利の女神は細部に宿る ~マンチェスターC×チェルシー~

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<勝利の女神は細部に宿る ~マンチェスターC×チェルシー~

どうも、最近ますます更新頻度が某セード○フ氏が監督を務めるチームの切り替えばりに遅くなってきた本ブログですが
前回からの続きもあって今日は再びチェルシーを取り上げていきたいと思います。

実は僕がモタモタしている内にFACUPでシティがリベンジを果たしてしまった訳ですが、
とは言え試合の重要度と難攻不落のエティハドで無敵を誇っていたシティ相手に完封勝利を収めたという意味の大きさを考えても今季スルー出来ない試合だった事は間違いありません。

昨年末~年明けの勢いを考えればこのままプレミアで独走を始めてもおかしくなかった勢いのシティ相手に
知将モウリーニョはいかに戦ったのか?

今日はそこら辺を中心に振り返ってみたいと思います。


<それぞれのボランチ事情>
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シティはアグエロとフェルナンジーニョが使えないところにジェコとデミチェリスを起用。

ジェコはともかく、ヤヤと並べば「プレミア最強の2ボランチ」だったところに代役がデミチェリスというのは
波平さんの声優にスタッフを起用して急場をしのいだ某国民的アニメのごときやっつけ感が否めない。
(案の定、先日のバルサ戦でも絶賛炎上中のデミさんであったww)

一方のチェルシーはボランチに新加入のマティッチとDルイスを並べてきました。
本来レギュラーでなければならないはずのランパード、ミケルを差し置いての起用に
モウリーニョが既存のボランチに満足していなった様子が伺えます。

二列目の配置も「エティハドのシティ」を強く意識した人選で
オスカルがベンチに下がってシルバ&コラロフに対応するサイドにラミレスを起用。

現状考えうる選択肢の中で最も守備力が高い中盤の顔ぶれとなっています。

ゲームプランも両SBとラミレスも含めて全体的に守備に重きを置いて
攻撃はカウンターからエトー、アザール、ウィリアンの3人に「行ってこい」の最大限リスクを抑えたものでした。

モウリーニョからすればそれでも3人で攻撃を成立させる計算が立ったのは
目下、次のバロンドール最有力候補ことアザール王の神がかり的なパフォーマンスにあります。

ちょっと今のアザールを止める術はどの監督だろうと思い付かないぐらいのキレ味で
恐らくマークを4枚つけたとしても突破されてしまうのではないかという圧倒的存在感なんですよね。

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参考画像:「プレミアナンバーワンプレイヤー」=アザール選手


<モウナチオ健在>
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さて試合の方ですが、こちらは約束された展開が待っていました。

即ちどこが相手だろうと圧倒的な戦力充を活かしてボール支配を目論むペジェグリーニ
必ずしも自分達がボールを持つ形を望まず相手にボールを持たせてからカウンターパンチを狙うモウリーニョとの戦略的な合致ですね。

両者が共に「シティが仕掛けてチェルシーが迎え撃つ」という形を望んでいるのですから試合展開がそうなるのは当たり前の話。

本来であればあのアーセナル相手に6点をブチ込むシティに対してボールを預けるというのは自殺行為にも等しいのですが、
そこは自身の守備戦術に絶対の自信を持つモウリーニョらしさでこの試合でも緻密な守備でシティに隙を与えません。


【シティのビルドアップと迎え撃つチェルシー】
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↑の局面はシティのビルドアップを迎え撃つチェルシーという構図なんですが
何かとバイタルでボールを持たせるとうるさいシティの2列目に対して
「絶対に中では持たせない」というバイタル封鎖はこの日も健在でした。

↑の場面でもコンパニからサバレタへのパスコースは完全放置でいいから
アザールがここまで中に絞ってナバスへのコースを消している徹底ぶりです。

となれば当然コンパニは一度SBのサバレタに預ける訳ですが・・・


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「サイドに関してはボールが出てからSBが対応すればいい」という割り切りがシンプルイズベスト。

しかしSBがここまで高い位置に出てきてボールにアプローチをかけるという事は当然シティとすればその裏が狙い目となります。


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早速シティはSB(アスピリクエタ)の裏のスペースにCF(ジェコ)を流して使ってきましたが
実はモウリーニョとすればこれは狙い通りの形

何故ならこのエリアで攻撃方向に背を向けたまま流れてボールを受けるFWに対してはCBはかなり強く当たれる状況なんですよね。
しかもここで受けるのがアグエロみたいな小回りも効くスーパーなFWだと確かにリスクもありますが
この日のようにジェコorネグレドならケーヒル&テリーの充分に勝算が立ちます。

その上、CBが釣り出されたゴール前のスペースに関してはしっかりボランチを下げて中の厚みも減らさない磐石ぶり。
しかもボランチにはマティッチに加えてCBが本職のアフロ野郎までいる訳ですから、
テリー&ケーヒルが釣り出されても中でカバーに入るのがDルイスって反則だろって話ですよ(笑)


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結果的にここでもテリーのアプローチが勝ってジェコは簡単にボールを失ってしまいました。

このようにシティの攻撃をビルドアップの段階からサイドに誘導し、
しかもSB裏という誘惑のスペースまで作っておいての計画的なボール奪取にモウリーニョの孔明ぶりが光ってます。


更に言えば仮にサイドを攻略されたとしても「簡単には崩されないよ」という強みが今のチェルシーにはあります。

【モウナチオの真髄】
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今度はナバスを外で受けさせてその内側にSB(サバレタ)をインナーラップさせるという一工夫を加えてきたシティの攻撃。

ここでも外(ナバス)にはSB(アスピリクエタ)が当たって、
中(サバレタ)にアザールが付くという関係は変わりません。


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進行方向を塞がれたナバスは斜めに戻るドリブルでボールキープを図りますが
そうすると今度はすぐさまトップ下(ウィリアン)のプレスバックで挟まれるというチェルシーの厳しい守備が光ります。
(まあウィリアンはこのハードワークが出来るからこのチームでスタメンを張れてるんですよね。そして一方のマタは・・・)

厳しい状況に追い込まれたナバスは一旦ボールをヤヤまで下げます。


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ヤヤはこのボールを広いスペースの逆サイドへ逃がします。

この時、アスピリクエタはナバスをケアしながらバックステップで帰陣していくんですが
その際、自身の背後の状況を確認する事でコラロフサイドからのクロスが上がった場合に
飛び込んでくる逆サイドの敵がいるかどうかをこの段階で既に確認している作業なんですよ多分コレ。


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ボールはコラロフからサイドに開いたネグレドへ。

この時、チェルシーの最終ラインは、まずボールサイドのSB(イバノビッチ)がアプローチに行って
その分削られた枚数のDFはボランチ(マティッチ)が下がる事で補填。

アスピリクエタも逆サイに危険はないと判断して身体の向きを取り直してゴール前へ素早く帰陣しています。


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ハイ、これでゴール前は4対1の磐石体制ですよ・・・と。

「クロス上げてくるならいつでも来~い!」って感じですよ(笑)

これだとさすがのシティでも外攻めからではモウナチオ攻略は難しい展開になってしまいました。


<『ボランチ・Dルイス』という禁断の果実>
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改めて現在のチェルシー好調を考えた時に「ボランチ=Dルイス」に踏み切った決断は切っても切れない関係にあると思います。

シーズン当初「ボランチ起用は考えていない。あくまでCBとして見ている」とDルイスについて明言していたモウリーニョでしたが結局ランパードの衰え、ラミレスのサイド起用、エッシェンの戦力外と未知数のファンヒンケル、
そして3センターならアンカー起用でギリギリセーフだとしても2センターでは穴にしかならないミケル()と
ハッキリ言って計算出来るボランチがいない状況では致し方無かったのではないでしょうか。

まあモウリーニョからすれば発案者があのラファエル・ベニ公のオプション流用なんてそれこそ禁断の果実で
監督としてのプライドが許さなかったのかもしれませんが(笑)、背に腹は代えられません。

なんせこの果実には大きな旨みがありますから。

ハッキリ言ってDルイスというプレイヤーをボランチとして見た場合、
「現在のプレミアでも五本の指に入る選手」だと思います。

CBとしては時に大ポカに繋がっていた積極果敢なボールへのアプローチも
中盤では【個でボールを奪いきれるセンターハーフ】として猛威を振るっているし
奪ったボールを攻撃に繋げるセンスも「そもそもCBとして考えたのが間違いだったのでは…」と疑いたくなるようなハイレベル。


・・・で、この試合でのDルイスの使い道ですが一言でいってしまえば「シルバ潰し」ですかね。

結局シティの攻撃を司り、スイッチを入れるのはこのシルバなので
モウリーニョじゃなくてもここはケアするポイントなんですが
それにしたって中盤でDルイスに睨まれるというのはタチが悪いですよねwww

【常にシルバへの警戒を怠らないチェルシーのボランチ】
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マンマークで「シルバ番」を付けるという極端な事まではしなかったチェルシーですが
2ボランチは常にシルバのポジショニングを視野に入れながら巧みにパスコースを消し続けていました。


シティはシティでこの試合の中盤の構成がアグエロ不在という事もあり
ストライカー色が強いネグレドとサイドアタッカーのナバス、
そしてボール回しにはほとんど絡めない守備専のデミチェリスという顔ぶれで
結果的にシルバとヤヤトーゥレに対する負担が過度に上がっていた事情も苦しさに拍車をかけていたと見ます。

但しペジェグリーニはそれでも中盤をパスで崩しきるメカニズムを持っているし
なんせヤヤとシルバの個々のクオリティが規格外なのでこちらも巧みな駆け引きを仕掛けていました。


【それでも中盤で間受けを狙うシティ】
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局面はシティの中盤でのビルドアップでヤヤとシルバには当然チェルシーも警戒して当たっています。
さすがにこの状態ではヤヤもシルバへは出せません。


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そこでこういう時に3人目が絡んでくるのがペジェグリーニが仕掛ける揺さぶりのメカニズム。

こうなるとマティッチはネグレドへのクサビのコースを切る為に中へ絞らざるを得なくなり外のシルバがケア出来ません。
(これを見越してヤヤの身体の向きは完全に中へ向いている)


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相手のボランチを絞らせておいてからその脇で間受けを成功させるシルバ。

このように中盤ではバイタルエリアを巡る非常に高レベルな駆け引きが両チームで行われていました。

それはもし初めてプレミアを見たのがこの試合だという人がいたならば
まさか同じリーグ内に1試合で80本以上クロスを上げ続けるチームがあるとは夢にも思わない事でしょう。


<勝負を分けたディティール>


・・・であるならばこの試合の勝敗を分けたものとは一体何だったのでしょうか?


建築の世界では「神は細部に宿る」という言葉がありますが、
サッカーにも勝利の女神がいるのならそれはディティールに宿っているように思えてなりません。

ではその観点から決勝点となったチェルシーの得点シーンを検証してみましょう。


【チェルシーの決勝点を検証】
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局面はチェルシーのカウンターの場面から。

チェルシーは1人アザールを前線に残し、シティのSB裏(サバレタの裏)のスペースでボールを受けさせたところからカウンターが始まります。

これに対し、シティはボランチのデミチェリスがこのスペースのカバーに当たっていますが・・・


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残念ながら現在のデミたんではアザール王と勝負にすらなりません。

アザールはデミチェリスを簡単に振り切って中へのカットインを成功させると
このバイタルは残ったCHのヤヤが1人で対応せねばならずラミレスが空いてしまいます。

(アザールに振り切られたデミチェリスは既に歩いている)


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アザールが巧みなのはパスを出した後の動き出しにもあって
ここではまずコンパニの背中を取って視野から完全に消えています。


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ラミレスは大外をSBのイバノビッチが上がってくるまで待ってからボールを展開させると
シティはシルバがいつものようにトップ下のエリアを取っていたので
左サイドでチェルシーのSBの上がりをケアする人員がいません。

となればSBのコラロフが一つ上がってボールへアプローチに行かざるを得ないんですが
そうする今度はDFラインにギャップが生まれてアザールがこれを狙っています。


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コラロフが遅れて出て行ったのでイバノビッチも余裕を持って裏のスペースへスルーパス。

ここに危険なアザールが抜け出すと・・・


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結局シティの守備はサバレタの裏を突かれたところから始まって全部「引き算の守り方」になってしまい
最後の最後でゴール前が2対3の数的不利だったりするんですよね。

実際の試合では↑ここからのクロスのこぼれ球を再びマーク人員がいないイバノビッチに押し込まれて失点してしまいました。


ちなみに建築業界で言うところの「神は細部に宿る」という言葉の意味ですが
『素晴らしい芸術作品や良い構造物は細かいところをきちんと仕上げており、
こだわったディテールこそが作品の本質を決定する』
という事だそうです。

そう考えるとモウリーニョのチーム作りって、建築の考え方にも通じる部分があるような気もしてきますよね。


確かにどちらもチームもレベルが高く、実力に甲乙つけがたい試合ではありましたが
だからこそ勝利の女神はディティールに宿ったのではないでしょうか―


(次回はシティ繋がりで「バルサ×シティ」でしょうな!)





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ジョゼ・モウリーニョのチェルシー ~優勝請負人と言われた男の超現実主義~

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ジョゼ・モウリーニョのチェルシー ~優勝請負人と言われた男の超現実主義~

年明けからのプレミアリーグでは遂にあの男が本領を発揮してきた。

優勝請負人―

人は彼をそう呼ぶ。

アーセナル、リバプール、ユナイテッド、そしてシティの四強を相手に3勝1分。
チェルシーを率いるモウリーニョがいよいよプレミアリーグのタイトルをその視野に捉えたのか。

そこで今日はチェルシーの強さが際立った四強相手の試合から
モウリーニョという男のフットボール観に迫ってみたいと思います。


<現代サッカーを勝ち抜く為の教科書>


モウリーニョが率いるチームの強さは何と言っても”無駄がない事”です。
彼のサッカーは一言でいえば勝つ為に必要な要素を優先順位の高いものから抑えていくという至ってシンプルなものなのですが、その徹底ぶりは他の追随を許しません。

恐らく彼にとってサッカーとは「勝負」であり、試合とは「勝つ為のもの」であり、
良い選手とは「効率の良い駒」であり良いサッカーとは「最も勝率の高い方法論」と答えるのではないでしょうか。

ファーガソンが勇退した今、彼は間違い無く世界で一番の負けず嫌いなサッカー人でしょう。(笑)

ペップやクロップなど現代サッカーの進化を先端で担う革命者はリスクを負ったチャレンジと
その代償として多くの失敗も半ば義務付けられた存在ですが、モウリーニョの立ち位置はその対角にあります。

モウリーニョが見ているのは「まだ見ぬ新しい何か」ではなく
「今見えている範囲で最も勝敗と因果関係の高いもの」なのです。

今後もモウリーニョが現代サッカーを進化させる新しい何かを生み出す事は無いでしょうが、
それは彼が「勝利に最も近い存在」であるが故と言えるかもしれません。

それでは「現代サッカーを勝ち抜く為の教科書」とも言えるモウリーニョのサッカーからその強さの秘密を検証していきましょう。


【勝つ為の極意①:バイタルエリアを使わせない】

このブログでは何度も言ってきましたが現代サッカーとはとどのつまり「バイタルエリアを巡る攻防」です。
何故ならこのバイタルエリアこそが最も得点に直結するエリアだからですね。

近年プレミアリーグでも優勝を狙うビッグクラブが海の向こうから
シルバ、マタ、香川、カソルラ、エジル、コウチーニョと「バイタル攻略の名手」を続々輸入してきたのもその為です。

しかし相手のバイタルエリアをいかに攻略するか?に躍起になっている者が
案外「自分達のバイタルエリアをどう守るか」がおざなりになっていたりするのもサッカーの面白いところ。

今更考えるまでもなくこの二つは本来等価値で、
やはり現代サッカーで勝っているチームとはこの両方がしっかりと抑えられているものです。

ではプレミアでも屈指のバイタル攻略力を持つアーセナルを相手にした試合から
チェルシーの「バイタルエリアを使わせない守備」を検証してみましょう。


【アーセナル対策=3センターによるバイタル封鎖】
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普段4-2-3-1の2ボランチを基本とするチェルシーですが、アーセナル戦では4-3-3の3センターを敷いていました。勿論モウリーニョのアーセナル対策と見るのが妥当でしょう。

中央突破にかけては名手を揃えたベンゲルのアーセナルも
さすがにミケル、ラミレス、ランパードの3センターにここまで中を閉められてしまうと一旦中攻めは諦めざるを得ません。

(↑ラムジーは勿論、間受けを狙うジルーにもこれではパスが通せない)


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中が無理となれば外を使うのがフットボールの理、とばかりにロシツキーはサイドのスペースを狙うも・・・


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「はい、待ってました~♪」とばかりにアザールのプレスバック⇒インターセプト

この中を閉めて相手の攻撃をサイドに迂回⇒次のパスでインターセプトの罠は明らかにモウリーニョが意図して作り上げた展開です。
この試合、とにかくチェルシーの3センターが効きに効きまくってアーセナルにほとんどバイタルを使わせていなかったのが印象的でした。

それは通常の2ボランチで臨んだリバプール戦でも変わらず・・・


【対リバプール戦での中を突かせない守備】
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↑はリバプール戦からの1コマで、今チェルシーがカウンターを受けるという瞬間なのですが
この場面でもリバプールの速攻に対しDルイスとミケルの2ボランチが真っ先に中を閉じて中央を突くタテパスのコースを消しています。

ここでは2人共、中に絞れば当然サイドがオープンスペースとなり外を駆け上がる選手がフリーになる事は重々承知した上での判断というのがポイント。

と言うのもここでカウンターの1本目のパスが中央を通されるか一度サイドを迂回するかはこの後の失点率に直結してくる要素になります。

そしてこういう細かいディティールを徹底出来ているかどうかが結局は「勝ち切れるチーム」と「取りこぼすチーム」との差になってくる事は間違いありません。

ちなみに今季もセリエAで圧倒的な独走を見せるユベントスもこの「バイタルエリアを相手に使わせない意識」がイタリアでは図抜けて高いチームだったりしますね。

【ユベントスの3センターによるバイタル封鎖】
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要するに勝っているチームにはそこに必ずロジックが存在しているって事なんでしょう。
いずれにせよ、現代サッカーでは「いかにバイタルを使わせないか」が勝敗に直結してくる要素と見て間違い無いと思います。


【勝つ為の極意②:マタだって放出しちゃう件】
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「またマタご冗談を…」と思ったら本当に1月のマーケットで放出しちゃったマタも
そもそも何で今季はベンチで干されていたのかを考えなくてはなりません。

そこで浮上してくるのがモウリーニョのサッカーでは欠かせない「前線の守備力」ですね。

恐らくモウリーニョはある一定の守備力、走力、フィジカルを持っていない選手は
いかに素晴らしい技術や閃きを持っていようともそもそも持ち駒に計算していないフシがあります。

加入当初から守備にも意欲的だったアザールやシュールレ、
早速エジル化、エトー化(インテル時代)を見せるオスカル、ウィリアンらと比べると
確かにテクニックではチームの中でトップ3に入るマタも
守備力と走力で見ると2列目の駒の中でも見劣りしてしまうんですね。

故に傍から見たら「??」なマタ放出も
モウリーニョからすれば「5番手のMF売却で60億の収入が見込める」という当然の判断だったのかもしれません。


【勝つ為の極意③:引き算にしない守備】

じゃあ何でそんなに「2列目の駒に守備まで要求するのか?」と言うと
これが彼のサッカーを支える生命線に深く影響を及ぼすファクターだからなんです。

まあ、実際は2列目に限らず中盤全体(もっと言えば前線も)なんですけど。

では百聞は一見にしかずという事で実際の試合からモウナチオの真髄を検証してみましょう。


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試合はまたもやアーセナル戦から。
今、中盤でアーセナルのサイドチェンジが決まる展開です。

ここではまずアンカーのミケルに注目してこの後の動きを追っていきましょう。


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このパスを受けたウォルコットから裏のカソルラへ。

アザールはこの位置。


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チェルシーは左サイドの裏を突かれた事でSBのアスピリクエタが引っ張り出されますがここが肝。

普通のチームだとSBやCBがサイドに釣り出された後に残ったDFでペナルティエリアを固める場面をよく見かけますが
ここではアンカーのミケルが代わりにPA内に入って中で4枚を確保しています。

要するにモウリーニョのチームでは釣り出されたDF分の枚数を引き算にせず必ず一定の枚数を担保する事で
いかなる局面でも守備力を落とさないんですよね。

その上でサニャをアザールがウォルコットをランパードがケア。


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最終的にはこれがモウナチオの芸術。

両サイドのアザール、ウィリアンもここまでしっかりと帰陣して
アーセナルは一見チャンスのようで実はほとんど次の攻め手が見当たりません。

現代サッカーの攻撃が1枚1枚DFを剥がしていく作業だとすると
モウリーニョは剥がされた分を中盤と前線からのプレスバックで補填して
チームとして引き算にさせない守備を実践する事で常に一定の強度を保つ事に成功しているのでしょう。


【勝つ為の極意④超シビアな交代策】

モウリーニョの強みと聞いて多くの人が真っ先に挙げるのがピタリと的中する交代策かもしれません。
チェルシーを毎試合追って見ているファンであれば、彼の交代策で勝ち点0が1や3に化けた試合を幾つも思い出せる事でしょう。

そんな彼の交代策はこの四強との試合でも遺憾なく発揮されていました。

例えばアーセナル戦での交代策。
0-0の膠着状態で迎えた後半32分、勝負の1点を睨んでこの日ベンチに温存してきたオスカルを投入するモウリーニョ。(右WGのウィリアンに代わってそのままのポジションへ)

しかしこの交代策の後、すぐに以下のような場面が訪れました。↓


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局面はアーセナルの攻撃で中央から左サイドにボールが振られた場面。

対応するのは右WGに入ったばかりのオスカルです。


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オスカルのアプローチを察知したギブスはこのボールをダイレクトで左のロシツキーへ流してパス&ゴー。


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オスカルは最初のアプローチまでは良かったのですがギブスにパス&ゴーで背後を取られるとそこでプレーを止めてしまいました。

従って、ギブスにはCBのケーヒルがカバーへ向かう事となります。


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はいココ!

CBのケーヒルがギブスに引っ張り出された事により中の枚数が薄くなって折り返されたボールがニアのオープンスペースで非常に危険な場面を招いてしまいました。

これがモウリーニョが最も嫌う「引き算になる守備」で仮にオスカルがそのままギブスへ付いていれば
ケーヒルがこのスペースで余裕を持って対応出来ていたはずなんです。

・・・で、このシーンを見たモウリーニョの対応は迅速かつ厳しいものでした。


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Fトーレス OUT⇒Dルイス IN

オスカルを右のWGに置いておく事は勝負の1点を取る確率よりも逆にアーセナルに虎の子の1点を許すリスクの方が高いと判断したモウリーニョはすぐさま1トップのトーレスを下げてCBが本職のDルイスを投入。

【勝ち点3狙い⇒勝ち点1狙いへ】
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オスカルを最も守備の負担が少ない1トップに据えて完全な勝ち点1狙いへ切り替えるシビアな判断が光ります。
(トーレスは完全に巻き添え食っただけやんけwww)

この面子の4ー3ー3(4-5-1)だと得点は望み薄でも無失点は充分に計算出来る布陣になりました。
(結果、試合は望み通りのスコアレスドローで終了)

この様にモウリーニョはとにかくピッチ上で今起きている問題点に対する認識とその対応が迅速かつ的確なんですよね。
続くリバプール戦でも前半を2-1の1点リードで折り返したハーフタイムにこんな交代策を打っています↓

ランパード OUT⇒ミケル IN

この試合では通常の4-2-3-1で臨んでいたチェルシーでしたが
この交代により後半の2ボランチはDルイス&ミケルという思わずゲップが出そうな夢も希望も無い組み合わせに(爆)

これで後半はリバプールにほとんどチャンスらしいチャンスを作らせず見事な逃げ切りで勝ち点3をゲットしていました。

その後ユナイテッドは勝手に自爆してくれたようなものなので(笑)楽々と勝利が転がり込んできて
いよいよ問題の対エティハド無双に臨む運びとなったのですが・・・おっと、文字数も結構な量になってきたので続きは次回以降に(^^;

ホームのエティハドでは3点4点は当たり前の虐殺ショーを繰り広げてきたこの最大の難敵相手に果たしてモウリーニョはいかにして戦ったのでしょうか―(続く)


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ロナウドにバロンドールは相応しいのか?

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<ロナウドにバロンドールは相応しいのか?>

ハイ、年に3回までと決めている「釣りタイトル」での更新です(爆)
(久々の更新でアクセス稼ごうと必死なんですね。分かります)

今更感はありますが、今年のバロンドールはロナウドが受賞しましたね。

・・・で、このブログを読んでくれている人はご存知の通り、
僕はずっとリベリーの事を(バロンドール確定)と言ってきた訳ですよ、ええ。

まあ、「むしろお前が余計なフラグ立てたせいじゃね?」って話なんですが、
今日はその言い訳をするかのごとく、このタイトルで更新してしまったという。

まあ、ロナウドがバロンドールに相応しいかどうかなんて
今更僕が何を言おうと既に多くのサッカー人に認められて受賞してる訳ですし、
何より去年1年間で60点以上取ってるとか・・・化け物だろオイ。

だからそれは充分分かった上で敢えて言おう。



「だったらもう、欧州得点王賞とかに改名してはどうか?」

以上が今回のバロンドールに関しての率直な感想です。


確かにロナウドはスーパーな選手ですよ、それは間違いありません。

でも現代サッカーの流れとこれからのトレンドを加味して
「今、ベスト・オブ・ベストなフットボーラーは誰か?」と考えた時に
彼はどうしてもそこから漏れてしまうんですよ。

とか言うと「そもそもバロンドールの選考基準って何よ?」って話が出てくる訳ですが、
実はこれに関しての明確な記述って無いに等しいんですよね。

だから僕はその年のベストフットボーラーが受賞するべきだと思っていて
故に1年で63得点しても現代サッカーではそれで充分とは限らないという話をこれからつらつら書いていこうと思います。


<現代サッカーで求められているプレイヤーとは?>

イケメン選手に関しては4割増しで厳しいと定評のあるこのブログですが
ここではロナウドの気になる点が集約されている一連のプレーを検証してみましょう。

【ロナウドのプレーを検証】
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これは今季の試合から、青がマドリーで白がバレンシアですね。

今、Sラモスからイスコたんがボールを受ける場面ですが
もらう前に首を振ってバロンドーラー様の位置を確認しているのが分かります。

余談ですがこの選手はあと2~3年もすれば必ずバロンドール候補に上がってくると確信している次第。
(だから余計なフラグやめろってwww)


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ボールを受けたイスコから予定通りバイタルエリアで待つロナウドへ
(いわゆる間受け)


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イスコはパスしたその足が次のプレーへの一歩になっている理想的なパス&ゴー

・・・で、気になるのがロナウドはボールをもらう前の首振りを結構おざなりにする点なんですよね。


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ボールを受けたロナウドは攻撃方向にターンするんですが、
わざわざ敵がいる方向にボールを晒してしまっています。

どう見てもターンするなら方向が逆なんですが、
じゃあ何でこんな事になっているのかと言えばパスを受ける前に【見ていなかった】からでしょう。


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ターンの方向が逆だったせいで挟まれるロナウド


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でもここで倒れず無理が効いちゃうのがこの選手の凄いところ。

ロナウドの突進は尚も止まらず・・・


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ロナウド『オラオラ!どけどけ~!』

ベンゼマ「ファッ!?」


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ベンゼマ「ちょ・・・www おま・・・wwwww」


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極めツケはこいつ、両腕広げて審判にアピールですよ。
まさかとは思うけどベンゼマのオブストラクションをアピールしてる訳じゃないよね?コレ(^^;

主審(常識的に考えて無理だろ・・・)

っていうか、そもそもロナウドのミスでボール奪われてもう局面は守備に切り替わってるのにコレかよって言うね。

個人的にロナウドで気になるのがこの見ていないが故の状況判断の悪さと
攻守が切り替わった瞬間の切り替えの遅さなんですよね。

DFに倒されてファウルがもらえず、ピッチに座り込むロナウドって図は
マドリーの試合を見ていると1試合に1度は見かける画じゃないかと。

【Aマドリーのカウンターに座ったままのロナウド】
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↑この瞬間、1人試合から置いていかれてる訳ですよ。


要するに意識というか頭の部分なんでしょうね。

技術とか身体能力的な部分に関しては完全にチートなんですが、
それ故にそこに頼り切っている傾向がちょいちょい見てとれるんじゃないかと。

(「心・技・体」とはよく言ったもの)


そこいくとリベリーはかなり対照的です。


【リベリーが体現する現代サッカーに求められる資質】
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局面はCLの対マンC戦からリベリーのドリブルで始まります。


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ボールは中を経由して逆サイのロッベンへ


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リベリーは裏へのスルーパスとシュートへのこぼれ球に備えた位置取り


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で、これもよく見る画ですがロッベンが強引にシュートを打って水色の壁に跳ね返されるの図


riberi0201-5.jpg

リベリーが凄いのがまさにこの瞬間で、もう攻撃から守備に切り替えてるんですよね。


riberi0201-6.jpg

尚且つ、そこからパスが出されても2つ3つと追い続けられる精神力。

(自分のミスではなく味方のミスで、しかもパスが2つ3つと展開されるとなかなか追い切れない選手は多い)


riberi0201-7.jpg

で、ここまで追い切った事でシティのカウンターを未然に防ぐ事に成功したという一連のプレーです。


まさにこれこそが現代サッカーに求められているプレイヤーとしての資質と言えるでしょう。

つい1~2年前まで戦術ロッベリーとまで揶揄されたぐらい
チームで特別な地位にいたスペシャルなプレイヤーがここまでハードワークもこなさないとチャンピオンになれない時代なんですよ…と。


言ってしまえばロナウドは単なる得点量産機であって、
確かに「点を取る」というポイントにフォーカスすれば世界で1番かもしれませんが、
今後ますますサッカーという競技で求められるのは専門職や一つの機能に特化したパーツではなく
総合職でありながら専門の資格も持っているようなプレイヤーなんですよ。

恐らくあと10年もするとロナウドのようなプレイヤーは絶滅しているでしょう。
90年代~2000年代前半にはまだ生存出来ていたリケルメ、バルデラマのような選手が消えたように
サッカーは10年ぐらいのスパンで見ていくとそこに確かな進化と厳しい生存競争の歴史が見えてきます。

故に仮に今グアルディオラがロナウドとリベリーの交換トレードを持ちかけられたとしても
絶対に「NO」と答えるだろうと確信出来る訳です。

ペップ「ハゲの方でいいなら考える」


…以上、ロナウドのバロンドール受賞をキッカケに現代サッカーに求められるプレイヤー像を考えてみるの巻でした。

一応補足しておきますと個人的にはロナウドは別に嫌いな選手ではないですし、
リベリーも別段好きな選手という訳ではありませんのであしからず。

「評価」でなく単なる個人的な「好み」であれば
リケルメやベンアルファのような変態系が断然好きなのでwww

意外とサッカーを語る時にこの主観的な「好き嫌い」と客観的な「評価」をついつい混同してしまいがちなので
自戒を込めて気をつけたいところですね。




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