スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『突きつけられた現実』 ~日本×コロンビア~

20140625-00010004-yworldcup-003-1-view.jpg
<突きつけられた現実 ~日本×コロンビア~>

1分2敗-
これが日本に突きつけられた現実だった。

決して小さくない期待を抱かせたザックJAPANの4年に渡る歩みと目の前の現実との乖離に
試合から2日経った今もまだこの国は冷静に受け止められていないようにも見える。

一体どこで何を間違ったのだろうか?それともこれが日本の実力だったのだろうか?
今こそ冷静に検証し、その現実を見据えるべき時だろう。


<『奇跡』に賭ける一戦>

このコロンビア戦を迎えた時点で日本の勝ち抜け条件は『奇跡』、と表現されていました。
他力に頼る部分もありますが、いずれにしてもこの試合の「勝ち」だけは絶対条件。

前の2戦では試合後、結果以上に日本中が抱いた「これじゃない」感を払拭させる為にも
この90分で「日本のサッカーが見たい」、そんな機運が高まっていた中での一戦ともいえます。
果たしてザックが最後に運命を託した11人は以下のような顔ぶれとなりました。

kornbia-suta.jpg

ポイントはまずボランチに青山が初先発として名を連ねた事。
秘密兵器のまま終わるかと勝手に思っていた隠し玉に遂に出番が回ってきました。

もう1つ、3戦に渡り色々といじくり回してきた前線のユニットは大久保を本来のFWへ戻し、
2列目はザックJAPAN最大の強みとなってきた「本田、香川、岡崎」の3人が並んだ、
まさに原点回帰とも言えるメンバー。


一方のコロンビアと言えば既にグループ勝ち抜けを決めており先発を8人入れ替えてきました。
ただでさえエース・ファルカオがいないというのに、第2FWのバッカが負傷で離脱し、
10番Jロドリゲスもベンチスタート。飛車角どころか王もいないようなメンバーだが日本にとっては朗報である。

*尚、一部一般の日本人とセリエクラスタの間ではコロンビアの2軍に対する認識のズレがあった模様)

日本人「グアリンは長友と同僚か」
日本人「という事はインテル所属・・・」
日本人「要注意だな」
日本人「インテルだもんな」
インテリスタ 「よっしゃ!ラッキー!」

日本人「ん?キャプテンのジェペスもいないぞ?」
日本人「去年までミランにいたDFリーダーも下げてきたか・・・」
日本人「これでDFはガタガタだな」
ミラニスタ 「クソッ!穴がなくなった!」


<青山起用からザックのゲームプランを読み解く>
aoyama0627.jpg

この試合、ザックのゲームプランを読み解くにあたってはボランチに山口でも遠藤でもなく青山を使ってきたところにポイントがあるのは間違いありません。

山口は対人でボールを奪い取る能力、遠藤は細かいパスの散らしでチームのポゼッションを確実に上げる力をそれぞれ持っていますが青山のストロングポイントとは一体何なのでしょうか?

(尚、当日は日本中の「サッカーならちょっと詳しい」的な立ち位置の玄人が
隣の一般人から「ねぇ?青山って誰?なんで遠藤(or蛍)じゃないの?ねぇ?なんで?」と聞かれる事案が大量発生との事)

試合を見たら分かる通り、青山の武器は「縦への推進力」ですね。
4人のボランチの中でも最も得点に直結するタテパスが出せるという事です。
サンフレサポ「ここで使うなら何故、寿人も一緒に呼ば・・・ry」


実際に試合では序盤から青山が岡崎、大久保が走ったDFライン裏へのロングパス、
そして間受けに降りてきた本田へは例えマークを背負っていようが、
ちょっとくらいパスコースが狭かろうが積極的にタテパスを入れていく姿勢が見られました。

これまでの2試合で消極的なゲーム運びから窮地に追い込まれていた日本は
マスコミやファンからも「もっと攻撃的なサッカーが見たい」という声が上がっており
ザックとしても今一度積極的な姿勢をチームに取り戻させたいという意図があったのかもしれません。

但しその結果として前半10分までの間に青山のパスミスから食らったカウンターが4本。
データで見ると前半15分までの青山のパス成功率は何と22%で、前半45分トータルにしても58%という数値。
サッカーで最も多くボールに触るボランチの選手が10本のうち半分のパスをミスしていてはゲームは組み立てらません。
(*参考データとしてコート戦の遠藤のパス成功率は84%、これがシャビ・ブスケスクラスになるとアベレージで95%前後を叩き出す)

確かに遠藤を出せばポゼッションは上がる一方、ゲームはより膠着したものになったはずです。
パス成功率の低さはそれだけリスクを冒したパスを選択していた事の証でもあるので一概に比較は出来ませんが
この試合に限ればその収支はマイナスに出ていたような気が…。

ただ、そもそもザックのゲームプランが前2試合の膠着状態を反省して
この試合では攻守の切り替わりが激しい、いわゆる4年間チームが追い求めてきた「インテンシティ」を問われる展開で勝負しようと考えていたのであれば、その狙いはよく出ていたとも言えるでしょう。


【前2試合とコロンビア戦の各選手パス成功率比較 (どれだけリスクを冒していたのか?)】
内田 78%(コート)⇒57%(コロンビア)
長谷部 90%(コート)⇒78%(コロンビア)
今野 89%(ギリシャ)⇒77%(コロンビア)
本田 73%(コート)⇒78%(コロンビア)
香川 76%(コート)⇒95%(コロンビア)

*数値から見ても明らかなのはビルドアップを担う後ろの選手が「リスクを冒してタテパスを入れる」一方、
敵陣で崩しを担う前線の選手は「よりシンプルなパスを心掛けろ」というのがザックのゲームプランだったと読み取れる。


<時代から乖離したコロンビアの守備>

では一方のコロンビアのゲームプランはどうだったのでしょうか?

コロンビアというチームは前節コートジボワールとの試合を見る限りカウンター攻撃の形はかなり完成されている反面、
守備は組織というより個々の能力に任せたかなりアバウトなものでした。

故に試合は”ちゃんとサッカーをする”コートジボワールペースで終始進んでいったのですが
最後はカウンターを決めきる決定力の差でコロンビアが勝利しています。

となれば既に消化試合となっている日本戦ではどんな事になるのか…と若干期待はしていたんですが(笑)、
実際に試合で披露されたのが想像以上にアバウトな守備だったので思わずニンマリ。

【コロンビアの守備陣形】
col4-2-4.jpg

コロンビアは守備時、前線の2トップに加え両SHの戻りがメチャクチャ遅い・・・というより半ば放棄しているので
4枚のDFと2枚のボランチによる「4+2」の6枚ブロックが基本。
なので日本はSBが上がっていけば必然的に両サイドで2対1の数的優位が作れる「両サイド・オーリエ状態」(笑)

ちなみに普段CLなど観ている方ならご存知かと思いますが、
現代サッカーの最先端では「4+4」の8枚ブロックですらもはや戦術的に攻略されつつあるので
今は更に中盤を1枚厚くした「4+5」の9枚ブロックが主流になりつつある時代です。

まあ字で読むより画を見てもらった方が一発なので・・・

【現代サッカーの主流「4+5」=9枚ブロック】
myura4.jpg

↑このように4+4のブロックに1枚前線からプレスバックなどさせて・・・・


myura5.jpg

↑4枚のDFラインと5枚の中盤の合計9枚で隙間なく埋めないと今は間受けでズタズタにされちゃうんすよ。

ところがこの日のコロンビアの守備ブロックは・・・


maenokori.jpg
スッカスカやないかい!wwww
今時、6枚ブロックてwwww


【コロンビア 前半のプレーエリア】
col-1sthf.jpg

↑位置データからも前残りのクアルダード(君…確か守備の国セリエA所属だよね!?www)と
中に入ってきて自由なキンテーロは明らかで実質両サイドの守りはSB1枚が担っている状態。

これは日本にも「奇跡」の目が出てきたか・・・?


<前残りと攻撃参加 その収支>

コロンビアの舐めた守備もあり前半は日本ペースで進んでいきました。
確かにリスクをかけて「前へ 前へ」とボールを進める為、コロンビアのカウンターにも時折ヒヤリとさせられるのですが
少なくともこれまでの3試合の中で最も「日本らしいサッカー」が出来ていた時間だったと言ってもいいんじゃないでしょうか。

そんないい流れで生まれた前半15分のPK事件。
巷ではボールを奪われた岡崎(後に1ゴールで帳消し)とPKを与えた張本人である今野に矛先が集中していましたが果たして失点の原因はどこにあったのでしょうか?

それではコロンビアの先制点の場面を検証してみましょう。

【コロンビアにPKを与えるまでの流れを検証】
oka0626-1.jpg

局面は右から左へ攻める日本、相変わらず4+2で守るコロンビアの守備ブロックはボランチの両サイドがスッカスカや。

当然このスペースで間受けを狙う岡崎という図。


oka0626-2.jpg

んで、長谷部から岡崎へタテパスが出ると、ここへはCBが潰しに出て行くのがコロンビアの守備。

要するにCBの個人的な守備範囲の広さに依拠した守備で、上手く潰せればいいけど
ここで岡崎の位置に入る選手に一発で入れ替わられたり、フリックで流されたら結構リスキー。


oka0626-5.jpg
フン!ザキオカで助かったな!(笑)

まあ、本来この仕事は香川が本業だから岡崎だと致し方ない部分はあるんですよ・・・。

でもって、ここで取られた岡崎を非難するのは簡単なんですが・・・


oka0626-4

そもそも岡崎にタテパスが入った瞬間に後ろで棒立ちの香川と青山はどーなんだ?っていう話。

例えばここで岡崎にコロンビアのCBを食いつかせた状態で落としをもらい、裏へ浮き球⇒大久保メシウマァァ!!っていう展開が何故描けなかったのか?と。

これね…、長谷部をブスケス、岡崎をメッシ、内田がDアウベスで前に張ってる大久保がアレクシスだったら
香川(イニエスタ)か青山(シャビ)が前向きでサポートに入って終わる局面なんですよ。

(どう見てもカンプ脳です。ありがとうございました)


oka0626-6.jpg

・・・で、まあ現実はカウンター食らうんですけど(笑)

ここでポイントその②
このドリブルに対し、ボランチの青山がコロンビアのカウンタースピードを遅らせる事は出来なかったのか?という問題です。

↑の場面を見ても青山の寄せのスピード自体は凄くいいと思うんですよ。
あとはここで縦を切って我慢しつつ前線の戻りを待つ・・・と。
それがボランチの仕事ってもんでしょう!


oka0626-7.jpg
青山⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!

いや~思い切り良く行ったね~スライディング(^^;

お陰で見事にサポートに上がってきた選手にボールを拾われた結果

コロンビアのカウンタースピードは加速+青山はピッチに滑り込んだ状態なので立ち上がれず


oka0626-8.jpg

とは言え・・・・実はこの段階においてもまだ4対3の数的優位なんですよ日本は。


oka0626-9.jpg

ラモスにタテパスを出させたところで今野が斜め後方から寄せてサイドに押し出し、
その隙に吉田、長谷部、長友をゴール前まで戻させれば難なく対処出来る局面だ。

それがCBの仕事ってもんだよな!?今野!


oka0626-10.jpg
今野⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!(本日2回目

オイオイ・・・Jリーグの守備って一体どーなってんだよ・・・((( ;゚д゚)))

このように一連のプレーを振り返ってみると
まず日本の攻撃が2手先、3手先を読んだイメージがないのでコロンビアの6枚守備に難なくボール奪われてる

ひとたびカウンターくらったらボランチがフィルターとして機能しない

最後のエリアでCBが1対1で耐えられない(イチかバチかの特攻守備でブチ抜かれるかファウル取られる)

・・・とまあ、日本が持つ弱点がコロンビアクラス相手だ丸裸にされた・・・と見た方が妥当じゃないでしょうか?
原因(岡崎)と結果(今野)だけに矛先を向けても根本の解決にはならないと思うのです。

コロンビアの側から見れば6枚守備にして前線は前残しにしておいても
カウンター時に大きなリターンを得られるので収支はプラスになってるんじゃね?って話。

反対に日本から見ると確かにSBが上がれば両サイドは無条件で数的優位なんだけど
カウンター食らった時に後ろのスペースを使われるリスクの方がリターンを上回ってませんか?って話ね。


<脆弱過ぎたフィルターとしてのボランチ>

コロンビアはPKで1点とった後も守備が相変わらずなんで、サイドではボールを持てる日本。
但し、本来チャンスとなるべきこの状態が図らずとも日本が抱える弱点を露わにしていくんですよね。

例えば象徴的な場面がコチラ↓

kaunta0626-1.jpg

↑は右サイドで岡崎が抜け出している場面なんですけどこれに対応しているのはコロンビアのSBです。
んで後ろからカバーに向かってるのが多分ボランチ。


kaunta0626-2.jpg

コロンビアはSBがつり出された分、ゴール前が3対3になっちゃってるんですけど、
この時、本田、大久保、香川は3人とも同じ方向の矢印でゴール前へ駆け込んでるじゃないですか。
でもこれだと岡崎がクロス上げるには個人でこの1対2を突破しないといけないですよね?

で・・・当然、この後岡崎はあっさりボール奪われてコロンビアのカウンター発動→


kaunta0626-3.jpg

ここで青山と長谷部の2ボランチがどれだけフィルターになれるのか?これも重要です。

パスの出先に長谷部がアプローチをかけます。


kaunta0626-4.jpg

ベーハセの鋭いアプローチによってグアリンが一瞬グラつきます。

「ここがボール奪取のチャンス!」って普通に守備の嗅覚があれば
香川はここで挟みに行ってカウンター返しの発動なんです、本当は。

ここが日本の弱点その③
「守備センスが乏しい香川の左サイド」が再び・・・!!

香川はこういう時、自分の持ち場から離れないのは先日のコートジボワール戦でも明らかでしたね?


kaunta0626-5.jpg

お陰でフィジカルモンスター=グアリンが体勢を立て直して右奥へナナメのパス。

香川は最後まで棒立ち。
(恐らく背後を上がるコロンビアのSBエリアスが自分の担当だと思っている?)


kaunta0626-6.jpg

・・・で、またもやこっから裏に走られてスルーパス→


kaunta0626-7.jpg
ズサーー!って結局コレかよwwww
(今度はボールに行った正等なスライディングなのでノーファウル)

でもね…、敵陣一番奥のクロスを上げるかどうかのエリアまでえぐった攻撃からボール奪われて→パス3本で自陣PA手前のスライディングによってかろうじてボール回収ってリスク高過ぎませんか?(^^;

要するに日本の構造的な欠陥はこれまでも繰り返し述べてきたように「中盤が全くフィルターとして機能しない」って事なんですよね。

だからこのメンバーであのサッカーを貫くならそもそもボールを簡単に失ったら駄目なんです。
ボランチのパス成功率が6割切るとか論外です。
(やはりこのチームの頭脳は遠藤・・・・)


周りを見渡してみれば優勝を狙う強豪達がデヨング、ケディラ、グスタボをボランチで起用しつつ順当にベスト16へ歩みを進めている反面、ブスケス&アロンソピルロ&デロッシでボールを支配しようとしたチームが敗退しているのは興味深い傾向。

奇しくも4年前、岡田監督が「あかん!ベーハセと遠藤の2ボラじゃ本大会はチンチンにされる!」と決断して
阿部をアンカーに置いた事の正当性やいかに・・・?

(尚、「黄金の中盤()」「自由なサッカー」はドイツの地で木っ端微塵にされた模様)


<外国人(ザック)から見た日本の武器>

じゃあいっそ日本はSBを上げずにジッと耐えてれば良かったのか?というとそういう事じゃーないんですよね。

例えば後半にこんなシーンがありました↓

utida0630-1.jpg

局面はコロンビアの4+2ブロックに対して本田がボールをキープして、その大外を内田の構図。

本田はここから外の内田を使うと、内田へはコロンビアのSBが出てきて対応。
ポイントはここで内田に1対1を仕掛けさせたり、そのままシンプルにアーリークロスを上げさせる事ではなく・・・


utida0630-2.jpg

もう1人(岡崎)が寄って来て局面を1対1から2対2、3対3の複数構図に持っていく事。

内田は岡崎を使ったワンツーリターンで更にもう一つ深くエグり・・・


utida0630-3.jpg

クロスというより狙い済ましたピンポイントのラストパスを大久保へ!
(但し、大久保は~QBK2014夏~)

ギリシャ戦のように単純なクロスで終わるのではなく点と線で合わせるようなラストパスが日本には必要で
その為には崩しに労を惜しんではいけないって事ですね。

そしてこの機動力こそ日本人の武器だとして外国人ザック(&オシム)が「日本のサッカー」を作り上げてきたはず。


これに加えて前半終了間際に生まれた日本の同点ゴールは本田が強調する「同時に個も伸ばす」事の重要性がポイントに。

【日本の同点ゴールを検証】
honda1.jpg

局面は日本のカウンターからコロンビアのサイドが崩せると察知した本田が右サイドへ流れた場面。

長谷部からパスを受けると本田は1対1ならある程度個の力でボールを運べるので・・・


honda2.jpg

サイドに1人でもクロスまで持っていけると。
(中は3対3。岡崎が合わせてゴール)

個でもラストプレーまでやり切る力。これもカウンターを受けない為に大事な要素ですね。

セード○フ「HONDAの右サイドはワシが育てた(キリッ!)」


<明らかに差のあった個のクオリティ>
mmkyodo_wc2014_PK2014062588707002_BI_JPG_00.jpg

結局前半を1-1で折り返すとコロンビアは後半、10番Jロドリゲスらのガチメンを投入。

特にこの10番の存在感たるや、投入されるやいなや明らかにコロンビアのギアが3速は上がり、
たった1人で試合を決めてしまった感もあります。

では後半8分に早速ハメスが仕事をしたコロンビアの逆転ゴールを検証していきましょう。


2ten0627-1.jpg

局面は左から右へ攻める日本の攻撃。本田に間受けのパスが入る場面です。


2ten0627-2.jpg

既に「俺がやったる!」スイッチが全快の△はここでシンプルに内田を使うのではなく
寄せてきたボランチの股を抜いて突破するプレーを選択

(オシム「本田は時にエゴイストになる。それ良い方向に出ればいいが悪い方へ出た時は…。今の内にコレクティブとは何かを学ばせる必要があるだろう」)


2ten0627-3.jpg

ところがファーストタッチが大きくなったところをCBのカバーリングによってかっさらわれるとコロンビアのカウンター発動


2ten0627-4.jpg

右サイドへと運ばれたコロンビアのカウンターを一度はスピードを落として遅攻に切り替えさせる事に成功した日本。

しかしSBエリアスに下げられたボールに対して誰もアプローチに行っていない。
(この隙にJロドリゲスはバイタルエリアを狙っている)

今野がサイドにつり出されているので青山がゴール前のカバーに入ったこの場面。
もう1枚のボランチである長谷部は手前のカルボネロが気になっているのか一向に距離を詰める様子はない
(この世界基準で言うと「遠過ぎるボールへの距離感」は長年日本の課題)


2ten0627-5.jpg

エリアスのドリブルに対し思わずボールではなくパスコースを切ってしまう「ジャパニーズ・ディフェンス」を見せる長谷部


2ten0627-4jpg.jpg

ドリブルで切り込まれてからJロドリゲスへ。

しかしJロドリゲスに許された間受けのスペースは僅か1M四方の極めて狭いエリア。
果たしてここで何が出来るのか・・・?


2ten0627-6.jpg
完璧なファーストタッチで前に運びDF3枚を引きつけてから冷静にラストパス・・・だと!?

ワールドクラスの技術高過ぎワロタwwwww

世界のトップはあれだけのスペースがあればゴールに繋げる仕事をするってか・・・!!

う~む・・・さすが市場価格60億円超えのトップ下と
無料でミランに移籍したトップ下とでは格が違うのか・・・(^^;


さて、試合ではこれで後がなくなった日本が尚も攻撃の色を強めるも
どちらかというと拙攻になってしまう悪癖も再び。

【香川の間受け】
mauke0627-1.jpg

逆転には2点必要になった日本の総攻撃。
日本がどうしても点が必要な状況に置かれると攻撃陣が自然と中へ中へと入ってきてしまう悪い癖があります。

ここも元からその仕事が期待されている香川が中にいるのはいいとして
全員がペナルティ幅で守るコロンビアの守備に対し、日本も中へ寄り過ぎちゃってますね。

だけどここは多少強引でもJロドリゲスよろしく、こちらも名手・香川の間受けに全てを託すしかない・・・!!


mauke0627-2.jpg

・・・あかん、コロンビアの守備陣が全く横に広がってないから
この密度の中を正攻法で崩していくのは今の日本じゃ無理や!!

(香川、アッサリ倒される=勿論ノーファウル)


mauke0627-3.jpg

結局、香川に託してもコロンビアのカウンターにしかならない八方塞り感。

日本はコート戦に続き、この試合でも本田が失ったところからのカウンターで2失点。
香川も終始カウンターの起点となってしまい、本来日本の武器であるはずの二枚看板
本大会では全く通用しなかったのがザックにとっても痛すぎる誤算でした。

攻め手を失った日本はもはやサンドバックでしかなく結局1-4の惨敗でブラジルの地に別れを告げます。


<ザックJAPANの本大会を総括>
nihon0627.jpg

さて、その時他会場ではギリシャがコートジボワールを劇的な勝利で下したというニュースが入ってきました。
つまり日本はこの試合に勝っていれば「奇跡」が起こる条件が整っていた事になります。

そのせいか尚更この試合の惨敗が悲観的に映りますが、そもそも反省すべきはそこでしょうか?

否、この組を勝ち抜けなかった原因はコートジボワール相手に勝ち点1を
ギリシャ相手に勝ち点3を取りきれなかった事の方にあるはずです。
それはそもそもこのC組の組み分けを見た時には誰もが共通認識として持っていたはずですが・・・。


では何故日本は勝ち点4を、グループリーグ突破を決め切れなかったのでしょうか?

それは、残念ながらそれが現在の日本の力だから という他ありません。

ハッキリ言ってしまえばこのC組は戦前の予想通り、
コロンビアだけが10回やって9~10回勝ち抜ける力を持っている他は
残りの3チームに関しては10回やったら10回違う組み合わせになる力関係でした。

そもそも日本がコロンビア、ギリシャ、コートジボワールと3試合して2敗1分は悲劇でもなければ想定外でもなく、
厳しい言い方をすれば「順当」です。

勿論、今すぐC組をやり直したら日本が2位になる可能性も充分ありますが今度は3敗する可能性だってあります。
三つ巴の2位争いがロスタイムまでもつれたように3者の実力はコンディションや運で左右されるレベルの差しかありません。

だから2敗1分は”順当”なのです。

我々から見て韓国、ロシア、ベルギー、アルジェリアのグループHで
ベルギーが3勝、韓国が1分2敗だった事にほとんどのサッカーファンが違和感を抱かないように
この組でコロンビアが3連勝して日本が1分2敗だった事に日本人以外は別段、驚きはしません。

しかし言い方を変えれば、コンディションや試合のちょっとしたディティールが違えば
日本はW杯でもベスト16を”狙える”国になった事も間違いないのです。
(上手くハマればイタリア、オランダ、ベルギーと打ち合いだって出来るチームです)

但し、ベスト16が”当然”と言われるカテゴリーとはまだまだ差があったというだけの事。
これは今後の糧にしましょう。


最後に、感情論と結果論に流されている今は
この結果をもってザックJAPANの4年間をあたかも全て無駄だったように切り捨て
南アの戦い方ならさもベスト16は保障されていたかのような声も聞こえてきますがそれは幻想です。
感情に流されて極論に走っては答えは永遠に見えてこないでしょう。


そう言えばザックが就任会見以来、事あるごとに口にしてきたキーワードがありました。


今、我々に必要とされているもの―


ザック「勇気とバランスこそが重要だ」





*「クソ長いけど最後まで読んでしまったじゃないか…!」という暇な貴方はクリック(爆)↓

海外サッカー ブログランキングへ

関連記事
スポンサーサイト

『自滅』~遠かったゴールと勝ち点3~【日本×ギリシャ】

rhzreejnrxykmuugzregre_convert_20140620100619.jpg
<『自滅』 ~遠かったゴールと勝ち点3~>

シュラスコ食ってる場合ちゃうど!
って事で今日は「やる」と言ってしまった手前、先日のギリシャ戦のマッチレビューをUPしたいと思います。


japngre-sutamen.jpg

日本は初戦のコートジボワール戦からスタメンをいじってきました。
まずCBに今野を戻し、「戦犯のエース」香川はまさかのベンチスタート。
代わりに岡崎を左に持っていき、大久保がスタートから右で起用される布陣となりました。

スタメンの変更点にこそ指揮官の狙いというものがよく現れるのが常なので、このザックの意図については後述。

ギリシャは表記こそ4-3-3ですが実際は4-1-4-1・・・いや4-5-1に近い専守防衛の布陣ですね。
本来、こちらも初戦を落として日本戦での勝ち点3は絶対条件のはずなんですが自分達のやる事にブレがないのはある意味凄いと思います(^^;

崖っぷちの2チームが臨む後のない一戦となりました。


<スタメンから読み解くザックの意図>
mmkyodo_wc2014_PK2014062095861002_BI_JPG_00.jpg

ではスタメンの変更点からザックの意図を探っていきましょう。
まずは森重⇒今野に変更された左のCBですね。

【今野の起用を読み解く】
これはもう日本がボールを持った時は自陣に引いて待ち構えるギリシャの守備戦術を考慮したものとみて間違いないでしょう。
森重も最終ラインから入れるタテパスには定評がありますが、この試合のビルドアップでは待ち構えているところに打ち込むクサビではなく
CB自身がドリブルでボールを運び、ギリシャ守備陣をおびき出して敵陣にスペースを作る事が重要です。

となると「ボール運び」ではやはり森重よりもボランチが本職の今野の方に一日の長があるのではないでしょうか。
そもそも日本人で「最もボールが運べてパスが出せる事」を条件に選んできたのがザックJAPANのCB人選で、そこで不動のCBを務めていたのが彼でしたからね。

実際、試合の序盤から日本は左サイドを中心に今野の安定したドリブルを起点としたビルドアップを見せます。
それはデータからも明らかで前半は「司令塔・今野」と言ってもいいぐらい、彼がパスの出所となっていました。

【前半 日本のプレイヤーポジションとパスルート】
nihon-pasuru-to.jpg
*今野を起点としたパスルートと彼がドリブルで高い位置まで持ち上がるので左肩上がりの陣形となっている。


【香川ベンチの意図を読み解く】
Bqhqc1cCMAEKgCi.jpg

これに関しては試合後の記者会見でも質問が出ていたのでザック本人の回答を抜粋します。

ザック
『香川を入れなかったのは、戦術的な理由。サイドに力を入れようと思い、よりスペースを広げることができる選手を選んだ。
香川も相手のスペースを使うプレーが多いが、彼はより中央への動きが多いので、意向が合わず、戦術的にこのような決定をした』

まわりくどい言い方をしていますが、要するにザックが何を言いたかったのかといえば
「カガーワ、お前 自由過ぎ」って事です、以上(爆)


まー、それが本来彼の持ち味なんですけど、コートジボワール戦で香川を自由に遊ばせた結果のチーム収支があまりにも大きなマイナスだったんで、この手の選手は攻撃で「違い」が見せられなかった以上、ベンチ行きが宿命みたいなもんです。

ザックが恐れたのはただでさえギリシャの右SBトロシディスは攻撃力が売りの選手である上に
コートジボワール×日本の試合をスカウティングすればモイーズだって日本の左サイドを突いてくるだろうって事です。

ザックの言う「彼はより中央への動きが多いので、意向が合わず」というのは
こうなった時に相手SBに蓋を出来ず自由に攻め上がりを許すだろうという・・・これがいわゆるオーリエシンドロームですね(笑)

そういう訳で左SHにはワイドのポジションからしっかりギリシャのSBに蓋を出来る岡崎と
右には岡田JAPANで馬車馬のように走りまくってた実績のある大久保を持ってきたと。

ちなみに大久保は発売されたばかりの雑誌Numberでザックから受けたおおまかな指示を語っていますが
その中に「ギリシャのカウンターは左にいるサマラスのキープ力がポイントになっていて、ここにボールが入った時に後ろから上がってくるSBをケアしてくれ」というような事を言われていたんだそうなので、やっぱりそういう事なんでしょう。

以上が「香川ベンチスタート」のおおまかな理由ですが、
実はそれ以上に「岡崎と大久保のスタート起用」には他にザックの狙いがあったように思われます。


<初戦の課題を修正したザックJAPAN>

それはコートジボワール戦で明らかになった課題の修正です。

この試合の直接の敗因はドログバ投入以降の確変タイムにあるわけですが
試合がそうなる前の前半に見えていた課題こそが日本の構造的な問題点となります。

つまり「ボランチの位置が低い」という事と「攻撃に奥行きがない」という課題ですね。

ではこれを受けたギリシャ戦の序盤20分の日本のポジションバランスを確認してみましょう。

【ギリシャ戦 前半20分のポジションバランス】
gree-nihon.jpg

まずボランチの位置については2トップの大迫、本田との距離感を見てもらえれば
しっかりと前からプレスをかけた時に連動して高い位置をとれていた事が分かります。

そして攻撃の奥行きに関しては「そもそもポストプレイヤーの大迫に求めたのが間違いだったんや!」
(それ、みんな知ってた感)
って事で大迫と本田が降りてくる代わりに岡崎と大久保の両ワイドで深さを確保しているんですねー。

実際の試合からこのザックの意図がよく現れたシーンを確認してみましょう。

zaki1.jpg

局面は長谷部がボールを持った時にバイタルエリアに顔を出す本田&大迫と
深さを確保している岡崎&大久保の図です。

で、岡崎はここからのダイアゴナルランで裏に抜けるのが定番パターンですから・・・


zaki2.jpg

降りてくる本田、大迫に気を取られていると一発で裏を取っちゃうからね!っていうオドシが
この前半6分のプレーで出てるのがいいですね。

これでギリシャは迂闊にDFラインを上げられなくなりました。


<空いたバイタル>

では次にギリシャの布陣から狙うべきポイントを探ってみましょう。
基本は4-3-3(4-1-4-1)布陣攻略のテンプレとも言える「アンカーの両脇に出来るスペース」ですよね。

試合後のベーハセのコメントから引用。

長谷部
『前半は相手も多少、前に来ている部分もありましたし、相手の中盤の2番(マニアティス)と8番(コネ)が僕らボランチのところまで来ていたので、相手が1ボランチになって、中盤のスペースが非常に空いていた。』

これを図で説明するとこうなります↓

【アンカーの両脇に出来るスペース】
gree-baitaru.jpg

長谷部の言う通り、コネとマニアティスは日本の2ボランチをケアしに前へ出てくるので
アンカーのカツラニスには「本田のマーク」「バイタルのケア」という、すき家の深夜バイトみたいな過重労働がのしかかる訳です。

したがって、実は日本の狙いどころは序盤からハッキリしていたという事を実際の試合から確認していきましょう。

katura1.jpg

局面は前半、攻撃の起点となった今野の持ち上がりから岡崎へタテパスが入る場面。
この時、カツラニスはまだバイタルエリアをケアしつつ本田への警戒も怠らない状態。


katura2.jpg

しかしこの日の日本で厄介だったのが左で作る今野、長友、岡崎、山口のカルテット。
通常のトライアングルであれば枚数が足りるのだが、CBの今野にまで加勢されるとマークが足りなくなるので度々カツラニスが引っ張られる事に。


katura3.jpg

これでバイタルが空いて本田がフリーになるという流れ。

更に途中からこれを見た大久保が加わってくる。

これもNumberで語っていましたが
大久保「途中からギリシャの中(バイタル)が空くのが分かったんで、ここを圭佑と狙っていこうと。積極的にミドルシュートも意識しました」っていうプレーがコレ↓

【本田&大久保のバイタル狙い】
katura4.jpg

この試合、ギリシャの本田へのケアは相当なものだったので(コート戦を見てれば当然か…)
本田がボールを持つと常時2~3枚は囲みにきます。

本田もこれを分かっていたので意図的にサイドに流れたり、ボランチまで落ちたりしてマークを引っ張る動きというのをやっていました。
↑の場面でも本田が左で引き付けている隙に大久保が中へ入ってきて・・・


katura5.jpg

カツラニス1枚で本田をケアするだけでも大変なのに、ここに大久保が加わってくると物理的にも不可能になってくる訳で。

続いてもう1個、綺麗な崩しから今度は本田がフリーになるケースを。

katu2-1.jpg

ここも本田がこの位置でボールを持つとギリシャのカツラニスを中心とする中盤の逆三角形はこの位置取り。
これを見て大久保が中に入ってくる。

ボールは左奥を縦に抜けた長友へ


katu2-2.jpg

長友がサイドでボールを持つとカツラニスはバイタルからゴール前へ侵入してくる大久保を視野に捉えた。

コイツは危険とばかりに大久保をケアする為にゴール前へ戻るが・・・・


katu2-3.jpg

そしたら今度はカツラニスが大久保に引っ張られた事で本田がフリーや!

アンカーのカツラニスからするとただでさえ激務な上に
こう本田と大久保に入れ替わり立ち代りやられたら商売上がったり状態。
彼がイエロー2枚で退場したのも戦術的に必然だったという見方も出来るかもしれませんね。

問題は大久保が中に入った時の右大外のスペースはどうすんの?って事ですが、これは「SBが使えばいい」で解決する話。
そうです、これが欧州のトレンドともなっている「バイタルの密度確保」と「SBのWG化」でザックが本来進めてきたサッカーだったはず。

実際に試合でも右へサイドチェンジが出た時は内田が上手く出て行って大外のスペースを活用してました。
(しかしW杯本番に入ってのこの内田株高騰はどうした事か?これまで代表戦の度に内田を叩いてた輩は一体どこいった!?www世間が掌返すなら、あくまでも叩き続けるぞ!主にイケメン爆破しろ方面で…!)

そして大外のスペースをSBが使った時に活きてくるのがこの日の前線のメンバー構成でもあります。
ザックが試合後こんな事を言っていました。

ザック『これは勝つべき試合だったからより攻撃を強めるためFWを残した。
大久保、岡崎、大迫はセンターFWをそれぞれのクラブで務めているし、本田は前回のW杯でFWだった。』

【右サイドへ展開されたパターン】
kaga0630-1.jpg

↑の場面のように右外から内田がカットインしてゴール前を窺うと前線は3トップ状態で厚みがある布陣になっていると。
(試合ではここから大迫にクサビを入れた落としを大久保がシュート)

これ、多分前線の1枚が香川だとゴール前じゃなくてボールに寄って来てパスを要求してたと思うんですよ。
別にそれが悪い訳じゃないんですが、この試合でザックが求めていたのが「ゴールを取る為のFWの枚数」だった事からも理に適った前線の構成と言えるのではないでしょうか。


<本田は「日本のジダン」になりえたか>
426280_heroa.jpg

このように前半30分過ぎまでは日本のペースで試合が進み、狙いとした形から何度も決定機を作っていた日本。
それでもゴールが生まれなかったのは”ゴール前での精度を欠いた”からです。

これまでは香川と本田のコンビが崩しで決定的な仕事を任されてきましたが、
このメンバーだと本田1人にかかる負担と責任は自然と増してきます。

そして本田がアシストもゴールもラストパスも記録しなかった事が日本の無得点に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

W杯での本田のプレーを見て「遅い」と外国人が言うのは分かりますが、
我々日本のサッカーファンがそのフレーズを持ち出すには今更感が強過ぎます。

本田のプレーが遅いのは単にアジリティや足の速さではなく、
ボールを受けて⇒コントロールして⇒身体の向きを変え⇒パスorシュートと
パスを受けてから次のプレーの間に3クッションぐらい挟まっているからです。

これが香川だと2クッションから1・5クッションぐらいで常時プレーが出来るしメッシになると0・5になります。

じゃあ、本田じゃなくて香川でいいじゃないかと言う話かというとそうでもなくて
本田はある意味この「遅さ」を武器にしてきた選手なんですね。

簡単に言えば、ジダンに対して誰も「遅い」とは言わないという話で。
本田もジダンもプレーは決して速くないから敵に囲まれる⇒でも奪われない⇒結果的に周囲にスペースとフリーな味方が出来る というロジックです。

要するに本田は「日本のジダン」だったんですよ、チーム発足からずっと。
だからブンデスで優勝したトップ下がいようがマンUはサイドでCSKAモスクワがトップ下だったんです。
チームにジダンがいたらもう1人の才能はジョルカエフだろうとベンチ行きかサイドへ追いやられるのが運命。
ジダンが輝けば優勝するし(98W杯)、駄目ならグループリーグ敗退(2002W杯)は歴史が証明しています。

問題は「絶対にボールを奪われない」はずの本田が(アジア予選では実際そうだった)、
W杯では度々相手のカウンターの起点になってしまっているという事実でしょう。

ある程度のレベルの試合までは武器になっていたはずの本田の「遅さ」が
本大会ではただのリスクになってしまっているので見ている人もイラついてしまうのですね。
(ロシアではチームの中心だったのがミランでは「遅い!」と批判されているのも同じ現象)

コートジボワール戦の本田のゴールを思い出してください。
ボールを受けてからシュートまで僅か1秒ちょっとのプレースピードでゴールが決まっています。

本田がこの大会、あのエリアで決定的な仕事をしようと思ったら世界基準のプレースピードが求められるという証ですね。


<ギリシャの退場劇で苦しくなった日本>
wm_jpn_gri_rot_920.jpg

いい形で日本が進めていた試合に決定的な変化が訪れたのが前半37分-
加重労働のカツラニスが前半だけで2枚のイエローをもらって退場。

試合を見ていて正直「これでもらった!」と思ったんですがそうはなりませんでした。

ギリシャは4-3-3から4-4-1に布陣を変え、引き分け狙いにシフトチェンジ。
全体の人数は減っているのですがむしろ後ろにかける厚みは増しており、
特に中盤センターはアンカー1枚だった布陣から明確な2ボランチになった事で
それまで空いていたバイタルエリアのスペースが消失。

【バイタルエリアの消失】
baitaru0630.jpg

長谷部(試合後の談話)
『11対11でやっていた時の方がウチとしてはやりやすかったというか…。
相手が10人になって、完全に守る形になってからの方が難しくなってしまったのは事実です。』

う~ん・・・これは後半どげんかせんとあかん。


<切り札投入も拙攻を続けたザックJAPAN>

後半、相手が10人になってほとんど守備の心配をする必要がなくなったザックは頭から遠藤を投入。

遠藤はすぐに今野から司令塔をバトンタッチしてボールをさばき始めますが、
これで前半はCBの今野がボールを持ち出す事で生まれていた攻撃の厚みは若干薄くなった面も。

【後半(遠藤投入後の20分) 今野のプレーエリア】
endo0630.jpg
*左肩上がりだった前半と比べると今野がバランスを見て普通のCBのポジショニングに戻っている
(まあ、長谷部と違って守備時の遠藤はカカシだからその気持ちは分かるww)

ギリシャは4-4の2ラインに時には1トップも戻らせて中を閉めているのでその分、外は空いている。
これを「空いている」と見るか「空けている」と見るかはプレイヤーのインテリジェンス次第だろう。

残念ながら後半の日本には前者と捉えた選手が多かったらしく、
攻撃の方向が外⇒外⇒中の真正直なクロス攻撃が多用されてしまった。
これならむしろ前半の方が多様性に飛んだ攻撃パターンでゴールの匂いもしていたのだが…。

ザックも「こりゃあかん」って事で再びゴール前での崩しの精度とバイタルエリアへの意識を戻させる為に香川を投入。
「これ以上FWは増やせなかった」(試合後談)という事で大迫との交代となった。

しかし香川投入後も日本の攻撃がSB(長友&内田)の香車攻撃⇒クロスというモイーズだけが喜ぶサッカーは変わらず。
香川(この感じ・・・どこかで見た!)

本来、香川投入でやりたかった「サイド攻撃」ってのはこういう形なんですよ。↓

【香川と本田を活かす「サイド攻撃」】
kagaw0630-1.jpg

局面は後半、右から左へ攻める日本の攻撃。
本田がこの位置でボールを持つ事でギリシャのボランチ2枚も含めた計4枚を引き付けている。

代わりに大久保が中を狙って香川はまだ左サイドのこの位置


kagaw0630-2.jpg

遠藤に下げられたボールが中で待っていた大久保へ。
この瞬間に本田と香川がバイタルエリアを狙って中へ!


kagaw0630-3.jpg

大久保から香川へボールがスイッチされるとギリシャの守備陣はこれだけ団子状態にさせられている。
注目すべきはギリシャDF陣の顔の向きで遠藤⇒大久保⇒香川(+中へ侵入してきた本田)という一連の流れに釣られて全員がボールウォッチャーになっている。
(誰も大外裏のスペースを見れない状況)


kagaw0630-4.jpg

香川から大外裏の内田へ!
この瞬間に中では大久保がゴール前へ動き出しているがギリシャ守備陣の見事なボールウォッチャーぶり。
守る方は外⇒中⇒外で視界を振られているから次の展開に備えたルックアップが出来ない。

これを見て普段欧州サッカーを観ている人なら既視感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
何故ならこの形って・・・

【ペップバルサのメッシロールや!!】
peproru.jpg

メッシが右から得意のカットインで中に入っていくと前線が連動して斜めに抜けて
最後大外のSBが空くっていうパターンのやつで、バルサの試合見続けてる人なら御馴染みの攻撃パターンっすね。
(これとは逆サイドへの展開バージョンでイニ&シャビで左から中へ持ち出して大外のDアウベスへっていうのもあります)

要するに一回中を使って敵の守備陣を団子状態にしつつ視線もクギ付けにしておくと大外走られたらマーク出来ませんっていう理論です。

本田がジダンなら香川はメッシだったんや!!
本来、ザックJAPANが世界を驚かすならやはりこの2人を中心にしたこういうモダンな崩しだったと思うんですが・・・。


<試合総括>

結局、こんな崩しの形もこれ1回きりの単発で終わり、あとは香車サッカーから時間を浪費していくと
最後はまたもや吉田マヤを前線に上げてのパワープレイ発動で事実上の白旗宣言。

スタッツを振り返ってみると攻めているように見えて日本がPA内からシュートを打ったのは↑の大久保のを除くとごく僅か。

残り20分となってからは12本のクロスを上げるも(1分30秒毎に1回上げてる割合?)
味方の頭に届いたのはその内1本のみでクロス成功率は8%の拙攻で時間を費やしていた事になる。


さて、数字上はまだ突破の可能性が残されている明日朝のコロンビア戦であるが
結果以上に「内容」にこだわったサッカーで世界に「本来、日本のサッカーとはこういうものだったんだ!」というものを見せて欲しい。

ジダンとメッシの共演によるイマジネーションの融合、指揮者遠藤のタクトに注目したい。



*「もちろんコロンビアに勝ったら更新しますよね!?」とプレッシャーをかけたい貴方はクリック↓

海外サッカー ブログランキングへ

関連記事

『完敗』 攻略されたザックJAPAN ~日本×コートジボワール~

kanpai.jpg
<『完敗』 攻略されたザックJAPAN ~日本×コートジボワール~

どうも、みなさんお久しぶりです(笑)

多忙につきしばらく更新出来ない間にすっかりシーズンも終わってしまいましたが、やはり4年に一度の集大成となるW杯で
日本代表があのような試合をしたとなればこれは放っておく訳にもいきますまい。
(欧州シーズンのまとめもW杯終わった頃に気が向いたらやりたいですが…(^^;)

という事で本日の更新はもちろん日本×コートジボワールのマッチレビューでございます。


【日本×コートジボワール スタメン】
nihokoto.jpg

まずはザックJAPANから。
アジア杯優勝、W杯予選、コンフェデ惨敗、欧州遠征での手応えと数々の修羅場をくぐりW杯初戦のピッチに立った栄えある11人がこちら。

CBにはやはりドログバ、ヤヤトゥーレという人外のモンスター相手という事で今野ではなく森重を抜擢。
ボランチは「スーパーサブ遠藤」という切り札をベンチに残し、すっかり軸として定着した山口蛍。
そして最後まで核を決め切れなかった1トップは最近の強化マッチでのパフォーマンスからヨザク・・・ならぬ大迫が滑り込んだ。

こうやって改めて見てみるとチームの骨格は既に3年前のアジア杯優勝で固まっていた事が分かる。


対するはコートジボワール
ヤヤトゥーレは確かに怖いが、この名前を聞いて僕らはついつい水色のユニフォームを着てプレミアで無双している姿を連想してはいないだろか? 実際は入れ物が変われば素材の味も変わるのがサッカー。
少なくともオレンジ色のユニフォームを着ている時の彼は「あのヤヤ」では無い。

そしてスタメンで何より意外だったのはドログバのベンチスタートか。
恐らく運動量とスピードが武器の日本相手にドログバをスタートから使ってしまうと守備でのリスクが大きいと考えたのと試合展開に応じてベンチに切り札を残しておきたかったというラムーシ監督の思惑だろう。

その他はほぼ予想通りのメンバー構成。

奇しくも両チーム共に遠藤、ドログバという切り札を隠し持ってのスタートとなった。


<空洞化させられた日本の中盤>

さて、結論から言ってしまうとコートジボワールは非常によく日本を研究してきたと言えるだろう。
それは試合を見ていた人なら誰もが感じたはずだ。

まずオランダ、ベルギーとの欧州遠征で手応えを掴んだ大迫、本田の2トップだったが
このユニットが機能したのは攻撃面は勿論、守備でもファーストプレスが上手くハマったからだ。

オランダ戦の前半30分間こそ2人の連携が上手く機能せずに相手のデヨングを自由にさせてしまったが縦関係になる事で問題を解決。
大迫はオランダ、ベルギーの2CBを1人で上手く追い込めるので本田がボランチをケアしながら機を見て横関係になるという機動力が欧州の大男達相手に上手くハマった。

当然この2試合をスカウティングしたであろうコートジボワールのラムーシ監督は
日本のファーストプレスに対し2CBでビルドアップを行ってしまうと危険と判断。
ボランチを1枚(ディエ)落として両SBを上げ最終ラインを3枚にして日本の2トップを外す狙いに出た。

・・・とまあ大袈裟に書くとこんな感じですが、そもそもこのビルドアップの形って普段欧州サッカーを観てたらもはやテンプレとも言える当たり前の話ですよね?(笑)

ところがザックJAPANはこれに対応する明確な術を持っていませんでした。

それがよく分かるのが日本の各選手のプレーエリアです。
これでザックJAPANに何が起きていたかの一辺が見えくるはず。


【前半 日本のプレーエリア】

borante.jpg

●は各選手が前半45分の間、どこにいたかの平均位置を位置データから割り出したものです。
(●と●と繋ぐ線はパスのラインで太くなればなるほどパスが交わされた本数が多い事を表しています)

注目すべきは日本の2ボランチ、山口蛍と長谷部のポジショニングです。
思わず「あれ・・・?ボランチいなくね?」って思っちゃいそうですが、よく見ると長谷部はほとんど吉田に隠れる形でチラッと見えてます(笑)
そんで山口蛍に至っては完全に森重と被っているので●が一つですが名前が2つあるんですね(^^;

そうです、前半の日本の問題点はボランチの位置がCBとかぶるぐらい「異常に低かった」という事です。

何故こんな事になったのかと言うと先程述べたコートジボワールのビルドアップ対策との兼ね合いですね。
ちょっと図でコートジボワールのビルドアップ時の噛み合わせを確認してみましょう。


【コートジボワール ビルドアップ時の布陣】
3-2-5zukai.jpg

コートジボワールはボランチを1枚落として両SBを上げるのでこんな形。

日本はコートの両SBに香川と岡崎が引っ張られちゃうので、長谷部と山口のボランチもそれに付き合う形で後退。
結果、日本の中盤ラインが低いので2トップとの距離が開き、中盤に空洞が出来るという現象ですね。

では実際の試合からこの中盤の空洞化を検証していきましょう。


maep1.jpg

ハイ、これ前半2分の場面です。

2トップと中盤のラインの距離がこんな事になっているので見事に空洞が出来ている訳ですね。
その上、相手の3枚に対して本田と大迫が2枚でプレスをかけているので、当然3枚目が空いちゃうと。

これに関してはチームとして2トップに前から行かせるなら後ろも連動して押し上げないとダメだし、
逆にこの中盤とDFラインの高さで守りたいなら2トップは行かせちゃダメです。

つまり欧州サッカーシーンでは当たり前になっている現代サッカーのビルドアップテンプレ版に
日本は明確な対応が出来ていないって事が2分でバレてしまったと。

これは試合後の選手達の談話でも明らかなんでちょっとかいつまんでみます。

長友
相手のSBがウイングみたいな形で、(香川)真司も引っ張り出されることが多かった。相手のサッカーにハマったのかなと」
「前からハメようとしたけどハマらなかった。ボランチが(最終ラインまで)下りて、ボール回しに積極的に参加していたこともあってなかなかハマらなかった」

大迫
「(監督からは)いつもどおりやることと、あとはボランチのケアをすることを言われたけど、守備で走らされた感がすごくある。
立ち上がりは前からいこうと話をしていたけど、いったときに(後ろが)ついてきていなかったから、そこは改善しないといけない」


ちなみに前半45分におけるコートのボランチ、ディエのパス成功率は何と100%です。
いかに日本のファーストプレスが空転させられていたかが分かる数値ですね。


…んで、これに付随する形で狙われたのが「日本の左サイド」であると。

さっきの場面、もう1回出しますけど・・・
maep1.jpg

この時、香川のとこにいる選手がもうちょっと守備の戦術インテリジェンスが高い選手だったら
2トップが高い位置から追い込み始めたのを見て香川も次のパスを狙える高い位置に上がってもいいと思うんですよ。

とは言え、香川はそういう選手じゃないですし、ザックからも4-4の2ラインによるゾーンを崩すなって言われてるでしょうから、ここで自分の持ち場を守るという判断も一定の理解は示せるかなと。

問題はこの後ですね。


mare2.jpg

ハイ、コートジボワールにまんまと空洞化した中盤を使われてボールを運ばれてしまいました。

こうなると「オイ、誰がボールに行くんだ!?」って事になるので、一歩遅れて長谷部が向かう事に。


mare3.jpg

やっぱりね…という流れで長谷部が遅れて出たところをヤヤにバイタルで間受けされてしまいます。

ここで香川の守備センスが求められる場面パート2です。
ここはもう守備の優先順位から言っても外より中のバイタルを守らなければなりません。
なのでここで求められるのは大外のオーリエへのコースを切りながらヤヤへ激しく寄せるアプローチです。

・・・が、結果的に香川は矢印の方向へは動かず、自分の持ち場を必死で守っていました。


mae4.jpg

結果、ヤヤから右へ展開されて長友が1対2の数的不利という窮地へ。

一連の流れを香川の守備貢献という観点で振り返ってみますと
まず2トップに連動して高い位置を取らなかった(理解)⇒バイタル通されたのにまだ持ち場を離れず(疑問)⇒結果、サイドに展開されて後ろの長友が1対2(怒り)

結局、最後までお前は一体何を守っていたのか?と(爆)

持ち場を守っただけで何一つ守備としてはチームに貢献出来ていないのと、
そもそもゾーンディフェンスって自分の持ち場にいる相手をマンマークする守備ではなかったのかと。
最悪、最後まで外のSBオーリエをケアしてた(つもり)なら最後長友が1対2になっているのはおかしいだろうという話。

つまり日本の「左サイドの戦術的インテリジェンスの低さ=脆さ」は完全に狙われていたという事ですね。


<序盤の切り合いから見る優劣>

とは言え、ザックが香川を左SHとして起用しているのはそもそも守備には目をつぶって打ち合い上等!の観点ってのも分かっております。

(そうさ、今季プレミア優勝チームのシルバだってあんなに自由だぞ!ww)

やられたらやり返す・・・倍返しのザックJAPANの真骨頂という事で次は日本の左サイドからの攻撃を検証してみましょう。

【日本の左サイドからの攻撃 (香川の間受け)】
kagawa1.jpg

↑は前半5分の場面。日本のビルドアップ時はコートの前線はほとんど守備をしません。

故にCBの吉田がここまでどフリーでスルスルと持ち上がれてしまう訳ですね。

ここから香川が中に入り込むのと同時に大外は長友を上げて吉田(&今野)のビルドアップ力を最大限活かす!ってのがザックJPANAの生命線であり最大の武器でした。

ここでも吉田が香川へタテパスを入れて・・・


kagawa2.jpg
香川無双発動!!!

見てろモイーズ!これが日本のシルバ・・・もといKAGAWAじゃ!

(ってあれ?香川にボールが渡った時点でジェルビーニョは必死に追うどころかもはや棒立ちで諦めとるやんww)

ところがこの日の香川は絶不調。
バイタルの間受けから前を向いても全く決定的な仕事が出来ません。
(マンUですっかり香川⇒香車に改悪されてしまったのか?www)

それどころか何故か↑この場面でも一番消極的かつ難易度の高そうな本田への横パスを選択して・・・


kagawa3.jpg
かっさらわれた!

ヤバイ!こうなると日本の左サイドは香川と長友を同時に上げているから、
さっき守備を放棄して前残りになっているジェルビーニョが野に放たれるぞ・・・!?


kagawa4.jpg
まやや対ジェルビーニョとかいう絶叫マシーンに全日本人が悲鳴した!!

うーん、どうやらラムーシ監督の狙いは、日本の左サイドで切り合い上等!の覚悟でジェルビーニョには守備免除の前残りって事ですな。


【前半 コートジボワールのプレーエリアとパス経路図】
kotozenhan.jpg

コートジボワールは後方の2CBとボランチのトライアングルでパスルートが太くなっている事と
最前線にジェルビーニョが「前残り」になっている事がデータからも明らか。

こうなると攻撃時の香川とジェルビーニョのクオリティ勝負になる訳で
この試合に限ると左サイドの切り合いで優劣がある程度見えたかな・・・と。


<「持ってる」日本の先制点>
b57eabc7.jpg

全体的にはコートジボワール優位で進んでいたかに見えた序盤でしたが、ここで日本に先制点が生まれます。
決めたのは本田△の個人技。

さすが!NHK「プロフェッショナル」で言っていた「次(W杯)で入れる為に今(ミラン)は外しに行ってるんです!」が実証されたぞ!
(ミラニスタ「それが決められて何故アレとアレとアレと…(その他多数)」)

前半15分―
スローインの流れからファーストタッチでゾコラを外し⇒2歩目の右足がもう踏み込みになっており⇒3歩目となるはずの左足でシュートが放たれていた。
ファーストタッチからシュートまで実に1秒弱の早業である。

この得点に乗せられてここからの10分は日本の流れになりかけるのだが、
リードされたコートジボーワルはムキになって同点ゴールを狙わずに、
むしろ試合の流れを落ち着けるようGKと3バックでゆったりとボールを回し、テンポを落とす冷静さ。

構造的には日本のプレスがハマらない課題はそのままなので次第に試合はコートジボワールのペースへ戻っていきます。


<半端なく存在感がなかった大迫>

前半、日本が苦戦した要因の一つにこの日は半端なく存在感がなかった大迫が挙げられます。
攻守両面で全く機能していませんでしたが、まずは守備面から検証していきましょう。

ozako1.jpg

局面はコートのビルドアップに対する守備の場面。

ここでは大迫が上手くボールホルダーを追い込んで・・・


ozako2.jpg
ボール奪取!

よし速攻だ・・・!!


ozako3.jpg
・・・が、しかし本田へのパスは読まれていてインターセプト

カウンター返しがくるぞー!


ozako4.jpg
日本の中盤が必死に戻っているのにミスした張本人が棒立ち!!!
(クロップ「はい、獲得リストから消し」)

やっぱり本田、岡崎といった欧州経験の長い選手達は攻撃のポジションながら
この場面で瞬間的に守備へ切り換えられるインテンシティを持っていますよね。


oosako.jpg
大迫、半端ないって!
だって、本田さんとか長谷部さんがめっちゃ守備しよるのに棒立ちやもん!
そんなん出来ひんやん!普通!



大迫にはルーニーやリベリーのビデオを見てもらって、精進してもらいましょう(笑)
じゃないと一生ケルンが関の山です。


では続いて攻撃面。
先程見たように前半の半ばまではそれでもコートのバイタルエリアがスカスカだったので打ち合いにもっていけそうな雰囲気はありました。

しかし次第にコートのライン取りが高くなって中盤との間隔がコンパクトになり、このスペースが消失されていくんですがそこには大迫の動き出しが一因になっていたと見ます。


【深さが消失した日本の攻撃】
oriru1.jpg

局面は日本のビルドアップの場面。
吉田からかなりボランチの位置まで降りてきてボールを欲しがる香川へ。

(元々、香川は攻撃時の自由な立ち回りが武器ですが、前半半ば過ぎから低い位置取りを取る傾向が顕著になっていきます。理由は後述)


oriru2.jpg

香川から山口へボールが渡る頃には本田も降りてきて顔を出す素振り。

そしてコートのラインはかなり高い位置に取っている。


oriru3.jpg
ここがポイント

この中盤からのタテパスに大迫は下がってきてのポストプレーを狙っているのだが、
ゾコラとバンバの2CBもこれまでのプレーから大迫のもらい方は読みきっており・・・


oriru4.jpg

やはりアフリカの2CBを背負いながら正攻法のポストプレーでは無理があります。

ここからコートのカウンターが発動。


orirru6.jpg

当然ここでも長友が上がっているのでその裏をジェルビーニョに走られる形。


そもそも前半、コートのライン裏に大迫が抜け出してロングパスを受ける場面は皆無に近く
これがコートのDFラインが自信を持って高い位置まで押し上げられる一因になったと見ます。

本来、この試合で大迫に求められていたのは・・・


oriru5.jpg

こういう裏への抜け出しで相手のDFラインを引っ張り、広げたバイタルエリアで本田、香川の間受け発動!じゃなかったのか。
本田と香川はバイタルエリアが狭すぎるので低い位置まで降りてきてボールをもらおうとする悪循環に陥っていました。

ここで日本のプレーエリアとパスの経路図をもう一度見直してみましょう。


borante.jpg
注目すべきは攻撃の深さ(奥行き)がほとんど無く、前線でのパスが横パスばかりになってしまっているという点ですね。

以上の事から大迫が深さを作れなかった結果、日本の間受けが激減し攻撃が停滞⇒コートのカウンターが発動しやすい状況が整っていたという訳です。


<プラン通りの遠藤投入は是か非か?>
endo3.jpg

結局前半は1-0、日本のリードで折り返す事に。
そして後半、試合の勝敗を決定付ける両監督の采配合戦が始まります。
なんせお互い切り札を懐に持っていますから「いつ切るか?」、そこが問題です―

まずザックですが、これまでなら後半頭から遠藤を投入するのが規定路線だったはず。
それを投入まで5分待ちました。これは何を意味しているのでしょうか?

それは相手もドログバという切り札を持っている事は明確であり、
後半頭からあちらが切り札を入れてきた場合ピッチ上での主導権バランスはどうなっているかを見極めた上で投入したいという意図があったからだと思われます。

ところがラムーシ監督はここでも我慢の一手。ドログバはベンチのまま。
(負けているのに冷静な監督です)

日本は前半の終盤に下がって押し込まれていた事もあり、ハーフタイムで束の間の燃料補給の後、
後半スタートから再び前から取りに行く姿勢を打ち出してきました。

【日本 後半0分~15分までのプレーエリア】
kouhan.jpg
*前半、後退していた日本の中盤ラインが前線と連動してかなり高い位置まで押し上げられているのが分かります。


一方、後半のラムーシ監督で注目すべき采配はジェルビーニョとカルーのサイドを左右入れ替えてきたという事です。
試合を見ていた時の率直な感想としては「あれ・・・?左サイドでの切り合いやめちゃうの?」という具合。

この慎重策から窺えるラムーシ監督の思惑はハーフタイムで燃料補強を済ませた日本が後半の頭から「守備で前から来る」事、
そしてテンプレの「遠藤投入」で攻撃のギアを上げてくる日本に対し押し込まれる事態を想定していたという事です。

言い換えれば押し込まれている状態でのドログバ投入は守備面でのリスクにしかならないので、
切り札投入のタイミングを窺うために「待った」のです。


「前から行く」日本と「我慢」のコート、当然後半は日本が押し込む形でスタートします。
そしてこれを見て大丈夫だと判断したザックがすかさず遠藤を投入。

ここで気になるのが長谷部⇒遠藤の投入で日本の中盤のバランスはどうなるのか?という点です。
前半、香川&長友の裏を散々突かれていた日本がそれでもかろうじて失点しなかった要因に長谷部の献身的なカバーリングがありました。

【前半25~45分 日本のプレーエリア】
behase06192.jpg
↑前半の押し込まれている時間帯に長友の裏を長谷部がカバーしていた事が分かります。

これが遠藤になると一抹の不安は残りますが、それでも後半は頭から日本のペースでしたし
何より長谷部は元から90分出せるコンディションにも無かったのでしょう。

結果論でこの遠藤投入を批判するのは簡単ですが、少なくともこの時点では緩手とまでは言えないのではないでしょうか。


実際に試合では遠藤が入った事で香川、本田、長友と組む左サイドの黄金トライアングルが復活し、
前半には見られなかった近い距離感でのパス回しと崩しが見られます。

【日本の左サイド 黄金のトライアングル (後半10分の場面)】
toraianguru.jpg

但し、ここでまたもや冷静だったのがコートジボワール。

まずは遠藤投入を見るやジェルビーニョを元の右サイドへ戻し、遠藤が投入された左サイドでカウンターへの布石を打っておきます。

更にリードされているというのに日本の勢いを感じた彼らは再び3バックでボールをチンタラ回して、
燃料が補給された大迫と本田に追い込まれるとGKに下げる⇒日本の2トップが追う⇒GK蹴り出す を繰り返し行っていました。

結果的には日本ボールになるのですが、彼らの狙いはハーフタイムに束の間補給された2トップの燃料を後半の早い段階でエンプティにする事。

すると後半15分もすると日本の2トップが追えなくなる場面が目立ち始めます。

【燃料切れの2トップ】
3-2-5.jpg

↑は後半15分過ぎの場面。

コートジボワールは徹底した3-2-5の布陣。


sukasuka.jpg

この時間帯になると日本の2トップはヘロヘロで、コートの3バックに横パスで振られてから⇒タテパス入れられると全く付いていけない。


5baku.jpg
結果、押し込まれての悲しきかな5バック状態(泣)

こっからノープレッシャーでクサビ入れ放題じゃキツイっす・・・。

これを見たラムーシ監督は「今だ!」とばかりに満を持してのドログバ投入。
これだけ自由に前線へ配球出来る状態になるまで待ったラムーシの忍耐が光る。

そしてベンチから出てくるのは人外のモンスター。

日本の死亡フラグが立ちました―


<狙われた日本の失点パターン 切り札の格が違いすぎた>
94e60f6c-s.jpg

この鬼畜采配の効果は覿面。
日本はドログバ投入から5分と持たずに2失点を喫して逆転を許す事になる。

では失点の場面を検証していきましょう。

【日本の失点シーン (後半64分)】
shiten1.jpg

局面はコートの攻撃を凌いで日本のカウンター発動のシーン。

ドリブルでボールを運んだ香川から本田へ


shiten2.jpg

だが既に本田は守備に奔走してヘロヘロの状態。
そして日本はカウンターの場面でとりあえず本田に預けて走り出すという傾向も完全に読まれている。

アッサリとボールを奪い返されてカウンター返しの発動


shiten3.jpg

ボールを奪い返したのを見るやコートはジェルビーニョが裏抜けで長友を引っ張る。

日本は香川がトップ下の位置にいるのでSBオーリエに上がってこられるとマーカーが不在。


shiten4.jpg

前半はそれでも何とか長谷部がこのゾーンを埋めていたが遠藤さんの機動力ではこの距離間がヤット・・・ならぬやっと。

クロスの名手オーリエにこれだけ余裕を持って上げさせたらそりゃ失点は時間の問題です。
(中で待つのも獣だらけ!)

ちなみに2分後の2点目もこれと全く同じ形。

更に言うなら先日のザンビア戦もコレ↓

【ザンビア戦 失点場面】
zanbia.jpg

ザンビアのユニフォームがオレンジ色なんで、一瞬コートジボワール戦かと見間違うぐらいのレベルwwww

これはもう完全に日本の失点パターンを研究されたと見るべきでしょう。


<打つ手が無かったザック 最後は自滅のパワープレイ>
zaku.jpg

ザックとしては遠藤投入後の大久保というカードの切り時を窺っていたのだろう。
しかし相手がドログバを投入してから同点ゴールが生まれるまで僅か2分、そこから逆転されるまでが更に2分では動こうにも動けなかった。

しかも本来であれば燃料切れになっていた2トップに大久保で再びエネルギーを注入したかったはずが
香川&遠藤の左サイドが狙い打ちにされていたので守備面での修正に大久保を左サイドへ持っていかざるを得なくなってしまった。

結果生まれたのが、本番までほぼテスト経験のない本田1トップ&香川トップ下。

ザック(試合後の談話)
「選手を交代してパフォーマンスを良くしようと試みた。それにもかかわらず、同じようなプレーが続いた。
私の試みは失敗に終わったということだ。」

3枚目の柿谷を投入するもチグハグな日本の攻撃に光は見えてこない。

象徴的だったのが後半84分に、右サイドから内田が抜け出したシーンだ。

【得点へのヴィジョンが沸いてこない布陣】
usahida.jpg

せっかく抜け出した内田だが、前線が柿谷、大久保、岡崎の横並びでは、
ここから得点へと繋がるヴィジョンも沸いてこなかっただろう。
(結果、迷ったように岡崎へパスを預けてボールロスト)

締めはザックがこれまで「禁じ手」としてきたパワープレイで吉田マヤを前線に上げるものの
ほとんどチャンスらしいチャンスすら作れずにタイムアップの笛を聴く事となった―

(アジアCUPでは安易な守備固めとパワープレイを1回も使わずに長友を一列上げた3-4-3からのサイド攻撃を貫いて見事な優勝を勝ち取ったチームだったのだが・・・)


<貫けなかった「日本のサッカー」 原点回帰を望む>

90分のスタッツはシュート数で21対7、ボール支配率で61対39、クロスも23本上げられた日本の完敗と見る。
(むしろこの内容で1-2はラッキーな部類だろう)

試合を振り返ってみると先にリードしたはずの日本が終始慌てて先に動いたのに対し、
我慢を貫いたコートジボワールは訪れた勝機を逃さなかった。

但し、仮に遠藤投入のタイミングをズラしていたとしても結局ドログバという反則兵器が手札にあったコートの猛烈なギアチェンジには耐えられなかったと見る。

将棋で言えばこちらの持ち駒はせいぜい銀、桂馬といったところだが相手は1枚で飛車角並の機能を備えた駒。
そもそも両チームが抱えていた切り札の格が違い過ぎたのだ。


元々日本は試合の流れに応じて臨機応変に対応出来るチームではなく、先に動いて試合を決めるしかなかったとも言えるが、コートジボワールは90分の中でも「我慢」するところと「勝負を決める」ところのメリハリがハッキリしていて経験の差を感じずにはいられなかった。

ラムーシ監督の日本の生命線である左サイドを突く作戦は、
ザックからすると「日本のサッカーが出来なかった」というよりさせてもらえなかったという感じだろう。

スコア以上に尾を引きそうな敗戦だが、このチームのリバウンドメンタリティを期待したい。

我々に残されたW杯は現状あと180分。
もう一度この4年間やってきたサッカーを思い出し、原点回帰のギリシャ戦を望む。




*「次のギリシャ戦も更新希望!!」と思った貴方はクリック↓

海外サッカー ブログランキングへ

関連記事
プロフィール

soccertentyou

Author:soccertentyou
年間300試合観戦のサッカー馬鹿によるサッカー馬鹿の為の戦術分析ブログ

【メールアドレス】
wowow_2000(あっとまーく)yahoo.co.jp

サッカー店長のつぶやき
最新記事
最新コメント
カテゴリ
読んだ記事が面白かったら1クリックをお願いします↓
サッカーブログランキング
更新カレンダー
05 | 2014/06 | 07
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
マイベストサッカー本10選
広告リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。