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超攻撃的サッカーのススメ ~ロジャーシュミットとは何者か?~

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<超攻撃的サッカーのススメ ~ロジャー・シュミットとは何者か?~

どうも、ご無沙汰しております(^^;

前回はアギーレJAPANを取り上げましたが、元々このブログの本職は欧州サッカーなのに今季全く取り上げておりませんでした!

・・・で、久々の更新だってのに今が旬のマドリーだのペップだのモウリーニョチェルシーでもなく
かと言ってファンハールのチームをdisるでもなく、敢えてのレバークーゼンネタ!

これでこそ変態ブログって感じでしょう?www


というのも今季、僕が個人的に1番注目しているのがレバークーゼンだからなんですけど。

何故か?と言えば今季からこのチームの指揮をとる事になった1人の男が、僕の変態レーダーにビビビッ!と反応したからですね。
「遂に変態サッカーの頂を目指す道のりに新鋭が現れたか・・」と、そんな感じです。

このブログのヘビー読者の方ならご存知の通り、僕がリスペクトする監督ってのは勝敗を超えたところで「一つの美学」を追求しているタイプの男達。

例を挙げると殿堂入りのビエルサ師匠に始まり、カルチョの世界で異端の攻撃サッカーを貫くゼーマンやドリームチームを築き上げたクライフ、そしてここ最近だとペップあたりがこの道の求道者です。

面子を見ても分かる通り、かなり厳しいハードルを超さないと僕は尊敬を込めて「変態」の称号はあげられないんですが
ここに1人、新たに名前を加えるべきなのが前述のロジャー・シュミットという男です。

184059813_m.jpg

では彼が一体何者なのか?について話を進めていきましょう。

そもそも彼が世界にその名を轟かせたのがちょうど1年前-
当時オーストリアの強豪ザルツブルクを率いていた彼がペップのバイエルンを相手に3-0の快勝を収めた試合です。

この試合、ザルツブルクはバイエルンに全くサッカーをさせないまま、文字通りサンドバックにしたのでした。
僕が今年観た試合の中でも一番の衝撃を憶えた試合でもあります。

試合後、敵将に脱帽のペップがこんなコメントを残しています。

グアルディオラ『この試合が我々の目を覚まし、進むべき正しい道を教えてくれた。
シュミットは常に攻撃的な姿勢を持つ優秀な監督で、ファンにとってもサッカー界にとっても待ち望んでいた人材と言える』


その手腕が認められシュミットを巡っては今季のシーズンオフ、欧州のクラブ同士で獲得合戦が繰り広げられた結果、
ドイツのレバークーゼンの指揮をとる事になりました。
(そう、これでペップ×シュミットがブンデスリーガで観られる事になったのです。)

では果たしてペップをしてここまで言わしめる彼のサッカーとは一体どんなものなのでしょうか?


2158014_w2.jpg
<攻撃、守備という概念を超えたボールとの一体化>

シュミットの手腕は今季、早くもブンデスリーガの開幕戦から遺憾なく発揮されてます。
ドルトムントを相手に持ち前の超攻撃的ハイプレスでキックオフから僅か9秒で決勝点を奪うというブンデスリーガ記録を塗り替えての快勝。
(思えば今季のドルはこれがケチのつき始め(^^;)

そんなシュミットのサッカーを一言で表すなら「ゴールから逆算したボールとの一体化」です。

当たり前ですがサッカーという競技はゴールの数を競い合うものであり、そのゴールはボールを相手ゴールに入れる事でカウントされます。
故にシュミットが目的とするのは「攻撃」とか「守備」ではなく、とにかくボールをゴールに入れる事です。

どういう事か順を追って説明しましょう。

昨今、いわゆる「攻撃」という概念の一つでポゼッションの事を「ボールを握る」なんて表現されますが
その実、手を使えないサッカーでは文字通りボールは握れないのです。

つまり片方のチームがボールを持って「攻撃」しているように見えてもその所有権は安定したものではなく
常にインターセプトとボール所有権の入れ替わりの可能性に晒されているのです。

故にシュミットはその瞬間のボール所有権、つまりどちらが「攻撃」していてどちらが「守備」をしているかという概念に興味はなく、刹那的に今どちらかの足元にある(もしくはイーブンの状況にある)ボールへチーム全員でアタックを仕掛け、それをゴールへ運ぶというサッカーになります。

仮にボールが自分達のチームの誰かの足元にあるのなら、ゴールへ向かう全員の推進力は追い越しやサポートという効果をもたらし、もし相手チームの誰かがボールを持っていたのなら、それはボールを狩る狩猟へと姿を変えます。

つまり、ゾーンを守るとかブロックを作るとかって概念は二の次、三の次で、あくまで標的は「ボール」、そして目的は「ゴール」なんです。

では実際の試合からシュミットのサッカーの一端を検証してみましょう。

【シュミットのボールを標的にゴールを目指すサッカー】
開始1

↑これは今季のレバークーゼンの試合からキックオフの場面を抜き取りました。

2-1-7の並びが意思を感じるキックオフです。(変態乙)


開始2

キックオフされたボールをドリブルして(ファッ!?)サイドへ展開。

ここを発射台にしてゴールへ向かって一直線に走る4トップに向けてパス。

ここでポイントなのは、このパス(ボール)を結果として味方が拾おうが、相手が拾おうがあまり大した問題ではないという事です。

どちらにしろボールに向かって既にスタートを切っていますし、目的は最初からゴールと決まっていますから。

結果としてこのボールは相手チームのCBが拾うのですが・・・


開始3
そんな事、シュミットのチームにとってはどっちでも構いません。

すぐさま全員が標的のボールに向かって狩りを始めます。
(ゴールへの推進力をそのままボールへ向ける)

注目すべきなのはこの画面に7人もの赤いユニフォームが収まっている事であり、
キックオフ3秒後にして初期設定のポジションという概念など、とうの昔に捨て去られているという事です。

それはそうです。あくまで標的は「ボール」なのでお仕着せのポジションとかゾーンとかは邪魔でしかないし、
チーム全体が目指すのは相手ゴールなので常に全体の矢印も前向きです。


開始4
そしてここから一つ展開された相手のパスに対してこのボール狩りです。

よく見ると敵陣のアタッキングサードに赤いユニフォームが8枚ですww
(SBの潔い職場放棄っぷりwww)

つまり自陣には既に2バックしか残ってません(笑)

でも標的はボールなので、これでいいんです。
プレッシングをかけ続けている限り、ボールが勝手に自分達のゴールへ飛ぶ事はありませんから。


開始5

結局パスミスから2秒後にボールを狩り取ってしまいました。
(別に彼らにとっては「パスミス」という概念ですらもはやないのだろうけど)

そしてこの人数と推進力をそのまま相手ゴールへ向けるのです。

一連の流れを従来の概念で考えるとレバークゼンボールで始まったキックオフからパスミスで相手にボールが渡り、そこから再びレバークーゼンがボールを奪い返した・・・となりますが、
彼らのキックオフからの動きを見ればそこに一貫してあるのは「ゴールという目的を目指したボールへのアプローチ」であり、ボールの所有権は一旦行き来しているように見えますがレバークーゼンが終始「アタック」し続けていたというのが現実に近い見方ではないでしょうか?


近年の現代サッカーのトレンドでクロップのGプレスを筆頭としたインテンシティ強化の流れがありますが
シュミットのサッカーの凄いところはこれを「切り替え後の5秒」に限らず、試合を通して終始行うところにあります。

「アグレッシブにボールへ向かうハイプレス」なんて今ではよく聞くワードですが
その実、現代サッカーの遅攻及びビルドアップに対するハイプレスも
自分達の最終ラインで「+1」の数的優位を担保しているので相手のボールの出所に割く人員は常に「-1」の数的不利が基本なんですよ。

一番よくあるのが相手の2CBを1トップで見る形ですね。
2トップのチームでも守備時のオーガナイズでは縦並びにして片方のFWは相手のボランチをケアするのが基本なんで原理的には同じです。

例えばザックJAPANで言えば昨年のオランダ戦でやったのが2トップを縦関係にするこの形↓
【ザックJAPANの対ビルドアップ】
4231-433-2.jpg
オランダの3トップに対し、4バックで「+1」の数的優位(Sデヨング×吉田・今野)を作っているので
逆にオランダの2CBは大迫1人で見る「-1」の数的不利という関係性です。

4231-433.jpg

そしてこれは何もザックJAPANに限った話ではなく現代サッカーではどこのチームも取り入れているやり方ですね。


でもこれは最終ライン(自分達のゴールの一番近いエリア)で保険を担保する考え方で
優先順位が「ボール」と「相手ゴール」にはなっていません。

故にシュミットが相手のビルドアップに対峙する時の並びはこうです↓

【レバークーゼンの対ビルドアップ】
4-2-4-2
4バック相手なら4トップでしょうが!www

この並びでこうやってプレスをかけます↓

424-1.jpg

う~む、潔い変態っぷりだが、あくまでボールを基準(標的)にしてアプローチをかけるならこれが正しい姿勢ですな。

その昔ビエルサのビルバオが伝説のバルサ戦で行ったオールコートマンツーマンに通じるやり方です。
(変態は皆、一つの道へと集約される)

きっとシュミットから言わせれば
「ゾーンディフェンスはゆとり」「数的優位は温さ」「リトリートは負け犬」なんでしょう、きっと(笑)

彼のサッカーの凄さはこの「潔さ」なんですよねー。


では最後にそれが最も端的に現れたザルツブルク時代の対バイエルン戦を検証して締めにしましょう。

「ボールを握る」ポゼッションで現在世界一のチームと言えるペップのバイエルン相手にも果たしてこのやり方を貫けるのでしょうか?

【バイエルンのビルドアップに対するザルツブルクのアプローチ】
zaru1.jpg
局面はGKノイアーから出されたボール(標的)に早速GO!をかけるザルツブルクという構図


zaru2.jpg
1本パスをサイドに展開されたところでもうこの密集っぷり。
逆サイドのSHがここまで絞ってスモールコート形成とボール狩りに参加しているのがミソです。
(ボール!ボール!ボール!)

よく見るとこれ、バイエルンはサイドのエリアで6対4をやらされてるんですね。

通常、敵陣の深いこのエリアで攻めてる側が数的優位を作るって現代サッカーではほとんど見かけないシーンなんですけどもwww


ざる3
たまらずボールをCBのダンテに下げたバックパスに全員でGO!をかけるザルツブルク

これを見ても、もはやボールの所有権から「攻撃」と「守備」を定義するのはナンセンスだ!

(というかおまいら、バイエルン相手にもう少し敬意を払わんかい!(笑) 地元の大学生と試合してるんちゃうぞwwww)

但し、こういった密集でのロンドはペップのチームからすれば「俺達の庭」。
彼らもこのハイプレスを真っ向から受けて立ちます。


ざる4
ダンテがこのプレスを外してボランチへパス。
(っていうか、CBのダンテ相手に3枚行ってますがwwww)

ザルツブルクの方も外されようが標的はボールで続行。
すかさず第二の矢がボールへ急行。


ざる5
で、バイエルンはこの二の矢も外して大外でフリーになっていたSBのラフィーニャへつなげます。

この瞬間がポイント!

普通のチームであれば前プレが外されたこの場面では思考を「ボールを奪う」から「ゴールを守る」に切り替えて
バイエルンの攻撃をディレイさせながら全体を帰陣⇒ブロック形成に至るのがセオリー。

ましてやパスを受けたラフィーニャとザルツブルクのSBとの距離を見てください。
ここに出て行くのはいくらなんでも無謀・・・・


ざる6
ズサーー!!!⊂(゚Д゚⊂⌒`つ

行ったよ・・・オイ。


そう、コレなんです。シュミットサッカーの凄さ。

普通、「あくまで標的はボール」「前が外されたら後ろから出て行け!」って言われても
DFの本能からしたら前プレが外されているこの場面で自分の背後を空けて出て行くってのは恐怖以外のなにものでもないですよ。
(実際この場面でSBの背後でフリーになっているのはミュラーさんです)

チーム戦術だから・・・と言ったって、どこか後ろ髪を引かれながらの中途半端な寄せになってしまい、逆にかわされるという悪循環が普通。

でもシュミットのチームはそこのリミッターというかブレーキが外れちゃってるとしか思えないんですよねwww
(*注:褒めてます)

結果的にこの場面では、躊躇なく飛び込んだ第3の矢で潰して標的のボールを狩るんですけど
もし外されてたら2CBでバイエルンのアタッカー4枚と対峙する場面になってました(笑)

シュミット「ディレイは甘え」

【シュミット流プレス⇒前が外されたら後ろが出て行き、その間に前のプレスバックを同時に行う】


どこぞの代表チームの、ディレイ⇒ディレイで「結局ボール誰がいくの?」のままミドルどぅーん!を見慣れている我々からすると目まいを起こしそうなスリリングなサッカーがそこにはあります。

どこが相手だろうと「引かぬ!媚びぬ!省みぬ!」を貫くシュミットのレバークーゼンから今季は目が離せません!




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