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ファーストタッチに意思を込めろ ~プレミアで躍動するリバプールの0トップ~

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<ファーストタッチに意思を込めろ ~プレミアで勝つチームとは~

リーガネタが2週続いたところで次はまあプレミアですよね。

毎年プレミアの優勝予想で「ダークホース」に推し続ける事はや6年。
今季も密かに期待していたのはそう、リバプール()です。

昨季、優勝まであと一歩と迫った事もあり「今季こそは…」との気運もあったのですが
蓋を開けてみれば予想の斜め上をいく逆噴射スタートで第1コーナーを曲がる前に落馬。

よりにもよってロジャースの流動性溢れるパスサッカーに
何故イタリアの地蔵ストライカーを呼び寄せたのか・・・OTL

そこで今回は第1コーナーで落馬したはずが気がつけば第3コーナーに入る頃には中位集団に復帰していた
赤いチームを振り返る前にまずそもそも「プレミアで勝つチーム」とはいかなるものなのかをおさらいしていきたいと思います。

<プレミアで勝つ戦術 ~4-4-2を攻略セヨ~>

プレミアにおける強者と言われてまず真っ先にイメージするのはやっぱりマンチェスターUでしょう。

まあ、最近はちょっと”誰か”のせいでだいぶイメージ変わってきましたが(爆)

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彼らが90年代、プレミアで一時代を築けたのは
完全にプレミアリーグで勝つ為の要素が揃っていたからです。

もちろん「ファーガソン」という稀代の名将やユース育成の成功と海外からの超一流プレイヤーという
オンリーワンの要素も大きいのですが、同時に戦術的なアドバンテージも握っていました。

当時のプレミアといえば全20チームが判で押したように4-4-2を採用するというある種異様なリーグ構成となっておりまして。
戦術的にも「こまけぇー事はいいから男らしく戦え!」みたいな原始時代レベルだったので
ある意味、戦術的にアドバンテージを握ってしまえば、それは全チーム攻略に使えてしまうという。

で、そのアドバンテージというのがフラットな3ラインの4-4-2の弱点であり、
昨今では当たり前になったラインとラインの間に出来るスペースの狙い撃ち=「間受け」ですね。

このブログでも開設当初からずっと「間受け」「間受け」と言ってきましたが
僕がその概念を初めて認識したのが意外にもファーガソンのユナイテッド(97年)だったんですよ。

ユナイテッドと言えばそれこそ「4-4-2の権化」みたいなイメージの方が強いのですが
よくよく見てみると攻撃時にヨークとコールの2トップは横並びではなく縦関係になっている時間の方が長いという事にある時気付いたんです。
以降そこに注視して試合を見ていくようになると明らかにこれは狙いを持ってやっているな・・・という確信に至った訳です。

まあ、もうちょっと厳密に言えば縦というより斜めの位置関係で、
よくやっていた攻撃パターンが低い位置にいる方のFWへサイドから入れた斜めのクサビをスルー。
奥にいる高い位置をとっていたFWがこれをDFライン裏に落として、
先ほどスルーしたFWが走り込んで抜け出すという2人の関係だけで崩すパターンですね。

これと普通に低い位置にいる方のFWがバイタルで間受けするパターンの2パターンが
4-4-2全盛のプレミアでは効きまくってました。

ファーガソンもこれを分かっているので2トップの組み合わせはCF+セカンドトップ的な並びをかなり意識してましたし、
02シーズンなんかはスコールズを1・5列目にもってきた結果がキャリアハイの14得点と荒稼ぎ。これもハマってました。


要するにオーソドックスな4-4-2守備のやり方しか知らなかったプレミアでは
そういう戦術的な駆け引きでマークをズラしたりスペースを突かれたりするやり方は絶大な効果を発揮したという訳です。

その象徴であり頂点ともいえる試合がファーガソンのユナイテッドが今度は逆にフィールドの至るエリアで間受けを使いこなすペップバルサに完膚なきまでにやられたあのCL決勝であったと。


そしてこの試合を境に「間受け」や「0トップ」がもはや一つのオーソドックッスな戦術として世界中に波及。

その流れは長く戦術的原始時代を過ごしていたプレミアにも及び、
今では優勝を狙うトップグループでは当たり前にように採用されているものになりました。
(戦術(ハード)がアップロードされれば、選手(ソフト)のそれも同時に必要になるので、
海を渡ってシルバ、エジル、マタ、カソルラ、香川らが輸入されたのは当然の事象)

ただ、この流れは資源(選手、監督)をグローバルな市場で出し入れしている一部のクラブに限られるので
中位~下位の多くのチーム相手には未だ戦術的アドバンテージの差は大きいと見ます。


ペジェグリーニを招聘したシティはシルバとナスリの自由なポジショニングから
ボール周辺の狭いエリアにMFを一気投入して数的優位を作る戦術で4-4-2を完全攻略していますし、
今季からセスクをボランチに置いたチェルシーは3列目からの+1の出入りで同じような強みを発揮しています。

そして「持たざるクラブ」でありながら中盤の流動性を生かしたパスサッカーでスウォンジー躍進の礎を築いたブレンダン・ロジャース。

この指揮官を招聘したリバプールの狙いは時代の流れに置いていかれる事なく
本気でプレミア制覇を目指す為の一手だった事は間違いないでしょう。


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<ロジャースの回答 ~プレミアの舞台で躍動する0トップ~>

ロジャースに期待されたのはスウォンジーの「持たざる戦力」で旋風を起こしたサッカーを
リバプールの戦力で再現したらどうなるか・・・?です。

就任当初は慣れない戦術に明らかに戸惑っていた選手達も
2年目となる昨季は最終的にスアレス、スターリッジ、スターリングの走れる3トップが流動的な攻撃で躍動。
優勝まであと一歩と迫りました。

今季は大エースのスアレスが引き抜かれてしまいましたが、
現実的な話、代わりのタレントで彼の穴を埋めるのは不可能です。
(悲しいかな、あのクラスの完成された選手はもうリバプールには来ない)

で、あるならば今季のリバプールが取るべき道は一つ。
「流動性溢れるパスサッカー」の流れを更に推し進めて
かつてアンリが抜けた穴をセスクら若いMF達の躍動感で補ったアーセナルの再来です。


と・こ・ろが・・・・


何を間違ったか代わりに補強されたのは「走らない黒豹」のバロテッリと
典型的な電柱プレイヤーであるランバートの2人。

去年せっかく一つの答えに行き着いたかと思われたリバプールでしたが
仮にバロテッリとランバートを2トップで並べてしまえば、それこそプレミアの古典である4-4-2に逆戻り。
他の多くのチームと同じ土壌で戦う事になります。


この補強リストを見た時点でかなり嫌な予感はしてたんですが
蓋を開けてみればこちらの予想を上回る逆噴射ならぬ落馬スタート。

トップが攻撃に蓋をしてしまったら中盤の流動性まで硬直化し、
試合ではいつもバロテッリをベンチに下げた後半から本番スタート!みたいな
変なハンデを背負って戦っている状態でした(笑)

ロジャースもバロテッリを見切るのにだいぶ時間がかかってしまいましたが
ここにきてようやくスターリッジ、ララーナ、コウチーニョの3トップ・・・ならぬ0トップという回答を見出したかのように思われます。

これで前線の重みと蓋が取れてチームが躍動。
CLはグループリーグ敗退、プレミアは優勝戦線脱落とかなり大きな痛手を負ってしまいましたが
ようやくロジャースとリバプールにとってのシーズンが幕を開けた感があります。


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<遠い足で止める ~コウチーニョのファーストタッチ~>

興味深いのがプレミアではこれまで純正の0トップといえる戦術を取ったチームがほとんどいない事。

今季もアーセナルは基本ジルーという生粋のCFが第一選択肢ですし、
モウリーニョのチームにはジエゴコスタ、ドログバみたいなCFが欠かせません。
戦術アグエロのシティにCF過多のユナイテッドは言うに及ばず。

その意味でこのリバプールの3トップ(0トップ)がプレミアの舞台でどこまで躍動するのか楽しみです。

まあ、実際には0トップというよりコウチーニョとララーナがもっと中に絞ってスターリッジと小さなトライアングルを形成する
2シャドーといった方がより近いかもしれませんが。
両翼をワイドに置かないのは2シャドーをバイタルで間受けさせようという狙いの布陣だからです。


・・・さて、長々と前置きをしてまいりました今回、有識者の皆様に訴えたかったのが
この布陣変更に伴いようやくプレミアの舞台で本領を発揮し始めたリバプールの10番、コウチーニョのキレキレっぷりであります。

コウチーニョはU-17のセレソンで10番を付けた逸材であり、
同じチームにはあのネイマールもいたのですが、当時の評価は圧倒的にコウチーニョの方が上でした。

これまでその才能から見ればやや燻ってきた感のある天才が今季は自身も活きる最適な戦術の元でいよいよ本領発揮。

彼のプレーの特徴は何と言っても「超攻撃的なファーストタッチ」
とにかくボールを受けたらゴールへ向かってチームの攻撃を加速させるスイッチとしては今、プレミアでのナンバー1のタレントと言えるかもしれません。

同系統に見られるシルバ、エジル、エリクセンらはよりMF寄りなので間受けからのパスをメインに決定的な仕事をしますが、コウチーニョのは完全に「アタッカーの間受け」なんですよね。

では実際の試合からコウチーニョの間受けを検証してみましょう。


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局面は右から左へ攻めるリバプールの攻撃中。
コウチーニョは既にプレミアの泣き所といえるボランチ脇のスペースで待機しています。


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パスが自分のサイドに展開された瞬間のこの明確なインフォメーション(身体で味方にパスを要求)を見て下さい。

この時のコウチーニョの顔をUPにするとこうです↓

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経験者は感覚で分かるかもしれないんですが、プレーしていて明確に「今、くれ!」って瞬間は
要するに頭の中に次の手、「今もらったら決定的な仕事が出来る」という明確なイメージがある時なんですよね。

逆に次の明確なイメージがない時ってのは人間ですから
DFに隠れるようなポジション取りをしていたり、ここまで明確なインフォメーションは出せないもの。

だからこそ、こういう時はパスの出し手からしても非常に出しやすいですよね。


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ハイ!この瞬間が重要!

「間受け」で重要なのは今、まさにこの瞬間なのです。
このタテパスを受け手の右足、左足、真ん中のどこへ送るのか?

こういう時は出し手から見て「遠い方の足」に出すのが正解。

コウチーニョの体勢を見ると左足が奥、右足を手前にした半身の姿勢なので正解は左足ですね。


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ジェラード正解!注文通りに左足へ出してくれました
遠い足(左)に出されたタテパスを右足を軸にして身体を開きながら受けると・・・・


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ホラ、自然とファーストタッチで身体がゴール方向に向くんですよね。
故に守備側のプレスバックも間に合わない。


この「遠い足で受ける」技術は、ロンド的な練習では常識で
日本の育成現場でも当たり前のように使われています。

ただ一見単純なように見えるこの技術もなかなか奥が深く
世界一のロンド集団ことバルサの試合を見ると1本1本のパスで「どちらの足に出すのか?」がより徹底されているので
まだまだ極める道は果てしなく遠いなぁ・・・と思ったり。


じゃあ、「何故遠い方の足で受けるのに意味があるのか?」っていうのがこの技術の本質ですよね。
比較対象として次は「近い方の足」で受けた場面を検証してみましょう。


【近い方の足で受けた場合】
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続いても先ほどと似たような場面から。
やっぱりコウチーニョはCH脇の泣き所を意図的に受け場として利用していますね


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今度は相手チームのプレスバックがあるのとジェラードのパスがやや外側に出た事で
今度は遠い足の左を軸として右(近い足)で受ける形に


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そうすると今度はゴールに背を向けて受ける事になり・・・


tikaiashi6.jpg

その隙にプレスバックが間に合って前を向けなくなると。
先ほどの遠い足で受けた場合との比較でファースタッチで敵を剥がせるか否かは
「どちらの足に出すか?」が非常に重要なファクターになってきます。


【どちらの足で受けるのか?】
遠い足
ボールホルダーから見て遠い方の足に出すのか近い方の足に出すのかを図にしてみました。

赤の遠い方の足に出す場合、受けた選手が前を向くのに必要な身体の開きは赤の⇒で示した長さですが
近い方の足に出した場合はほぼ180度ボールを動かす必要があります。(青⇒)

これを1タッチで持っていくのは難しいので通常は2タッチ必要でしょう。
(1タッチ目で縦に2タッチ目で攻撃方向に持ち出す)

「間受け」は僅かなスペースで受けるプレーですし、その危機感から相手のプレスバックも速いので
バイタルで前を向く為の時間はコンマ数秒という世界。

故に「どちらの足に出すのか?」というのは「間受け」にとって生命線の技術なんですね。


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<間受けの申し子 ~前を向く技術~>

よくサッカー界では「前を向ける選手は0が一つ多い値が付く」なんて言われますが、
よりタイムレス、スペースレスに進化している現代サッカーではますますその価値は高まるばかり。

実際の試合ではそうそう遠い方の足で簡単にターン出来る場面ばかりではないので
そこはバックパスを戻すだけの選手なのかDFとの駆け引きで前を向ける選手なのかという真価が問われるところ。

その点、コウチーニョに関しては「最低でも必ず前は向く」という強い意志を感じるプレイヤーです。
では実際の試合から近い方の足で受ける場合の前を向く駆け引きを見ていきましょう。


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局面はリバプールがこぼれ球を拾ってカウンターが発動するところ。
周囲の選手がまだ守備への戻る方向に重心と視野が向いている中、いち早く攻撃に必要なスペースを確認しているコウチーニョの頭の切り替えが際立ちます。


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↑のようにDFを背負って受ける場面では遠い方の足で⇒のターンをしてしまうと
DFに対して無防備にボールを晒してしまうので×


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なのでまずファーストタッチではDFからボールを隠すところに置く事。
で、この次がポイントなんですが並の選手だと簡単にバックパスを下げるか横パスで一旦ボールを逃がすところを・・・


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コウチーニョはあくまでここから攻撃を縦方向に加速させようと試みます。
ここで活きてくるのが先ほどボールを受ける前に確認しておいた背後のスペースで
一度こちら側にボールを運ぶような動作でボールをまたぐ


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これで背後のDFの重心を完全に外へ持って行ってから悠々と180度ターン
これでチームの攻撃スイッチをONにします。
(攻撃のキーマンが前を向いた時ほど、周囲の選手が明確にGO!をかけられる場面はない)


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ドリブルでボールを運んだコウチーニョは相手の鼻先でボールをサイドにはたいてパス&ゴー!


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相手のアンカーを自分に食いつかせる事で攻略したいバイタルのスペースを空ける事に成功。
ボールを受けたマルコビッチの目の前には「モーゼの十戒」のごときドリブル進路が・・・!!

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ハッキリ言って、こういう選手がいるとプレミアでは効きます。
2シャドーの位置でコウチーニョに自由を与えたのはヒットでしたねー。


最後は間受けからの仕上げを見ていきましょう。

コウチーニョの0スペースでの間受けに注目です。


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局面は右から左へ攻めるリバプールの崩しから
コウチーニョはバイタルエリアでタイミングを伺っています。


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コウチーニョにクサビのパスが入ります


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出た!足裏ビタ止め!

南米の選手がスペースの無い時に使う足裏トラップを咄嗟にファーストタッチで選べるのが萌える


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角度を変えて見ると前後1Mの極小スペースで一切ボールを晒せないこの場面。
確実に足元へボールを置く為に足裏を選択した判断は正解でした。

ですがこの次に重要なのがこの半身の体勢からいかに前を向くか?


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コウチーニョはここでボールの上に置いた足裏を地面につけると同時に重心を移動し、
その場で半身の体勢から身体を少し開いて仕掛けの体勢へ自然に以降してみせました。

これぞ0スペースでの前を向く技術!!
(一つ前の画像と比較してもコウチーニョ自身の位置は一歩も動いていない事が分かる)

このあと2タッチ目でDFを外して右足一閃⇒ゴールを決めました。


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コウチーニョが前を向いた場面、守るDF側からすると半身なら抑えに出ていけたのですが、
この仕掛けの姿勢で左右どちらにも出られる状態だと迂闊には飛び込めません。
でもボールだけは足元に吸い付いている・・・


まさに・・・・



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手塚ゾーン!!(笑)


近年、守備側も間受け対策として中絞りのスペース圧縮で対抗してきていますが、
本当に上手いチームは僅かなスペースでも崩していけるもの。

スペースがないから崩せないのか、1本のパス、1つのファーストタッチに
「どちらの足に出すのか?」までのこだわりを持っていないから崩せないのかは小さいようで大きな違いです。

是非、試合を観ながら次の展開を読む時にはパスの出し手と受け手の状況から
「右足と左足、どちらに出すとその後どうなるのか?」の違いまでイメージしながら見ていくとより深く楽しめる事請け合いです。



*次回はCLのマッチレビューにしようかなぁ・・・?




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『走る銀河系』~ハードワークするRマドリーが補えないもの~

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<『走る銀河系』 ~ハードワークするRマドリーが補えないもの~

欧州フットボールシーンのいまを検証してくシリーズ。
第2弾はバルサに続くスペイン編という事で勿論Rマドリーになります。

昨季、就任一年目にして悲願のCL優勝を果たしたアンチェロッティのマドリー。
「新・銀河系」とも呼ばれたスター揃いのチームをアンチェロッティがルービックキューブを解くように選手を入れ替えてはバランスを調整。

最終的に行き着いたのがディマリアが攻撃時は3トップとして、守備時はSHとして振る舞い、
中盤の守備バランスはシャビアロンソの超絶的なバランス感覚で舵を取るという「可変式4-3-3」でした。

ところが誰もがチームの戦術的キーマンだと思っていたこの2人を放出し、
新たにW杯得点王のハメスロドリゲスと優勝国ドイツの司令塔クロースを獲得。

一つのパズルが解けたら、また新たな難題を課すというペレス会長のドS補強は今季も健在で
アンチェロッテイとしてはまた一からチームのベストバランスを見出すシーズンとなりました。


<ハードワークでは補えないもの>
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選手配置を考えていくにあたり、今季も前線のBBC(ベンゼマ・ベイル・ロナウド)は固定だとすると
残る中盤の3枚をクロース、モドリッチ、イスコ、ハメスの4枚から当てはめていくのがアンチェロッティの本線だと言えるでしょう。
(ケディラとイジャラメンディは基本、怪我人が出た時の控えかローテーション組)

確かにこの顔ぶれ、名前だけ見ていくと一段と豪華さは増しているんですが
守備を本職とする人間がおらず、一体誰が昨年までの「ディマリアの運動量」「アロンソの守備バランス」を担保出来るのか。

ここが今季の焦点になると思っていましたが、蓋を開けて見れば年明けの第17節でバレンシアに負けるまで年内22連勝の開幕ダッシュに成功したマドリー。

アンチェロッテイが出した回答は「ハードワークする銀河系」でした。


モウリーニョだったら恐らくケディラやイジャラメンディを使って守備のバランスをとるところを
あくまで顔ぶれは変えずにプレーを変えていく道を選択。

なるほど「いばらの道」を行ったなーと思ったものですが、個人的には限界があるのではという疑念を拭いきれませんでした。

僕が限界を感じた理由は主に2つ。


一つはいくら「ハードワークを課す」といってもハメスやクロースにディマリア級のそれは求められないだろうという事。
ましてや前線はBBCですから、要するにロナウドの「今日は本気でハードワークしてます!」ってレベルは
ディマリアだと片足骨折してますっていうぐらいのレベルな訳で、個人差は否めないだろうっていう・・・(笑)


そしてもう一点は「ハードワーク」だけなら選手達のモチベーションを喚起して向上させる事は出来ても
選手個々の根本的な「戦術レベル」については早期の向上は難しいという事です。


分かりやすい例で言えば日本代表の香川。
香川自身はクロップ戦術の申し子であった事からも分かる通り「切り替えの意識」や「ハードワーク」は非常に高いレベルにあります。
但し、それは「奪われたらすぐに奪い返す」といった戦術的判断を伴わないよう、役割を限定された設定での話。

コートジボワール戦のように戦術的駆け引きをしかけられて香川自身にポジショニングや受け渡しの判断を求められるような状況になってしまうと
「ハードワークする意識」はあっても「どこに向かえばいいのか」がぼやけてチームの穴になってしまいかねません。

恐らくクロップは香川のそういった特性を見抜いた上で当時のドルトムントを設計していたので香川もあれだけ輝けたのだと思います。


翻ってマドリーは中盤より前はほぼ「プチ香川」で占められています。
要するに昨年までアロンソの超絶バランス力で補っていた「組織的守備」を統率出来る人間がいないのです。

クロースはまだ若すぎるし、イスコやモドリッチは走る事は出来ても周りのバランスまで気を配れません。
ハメスに至っては走らせる事ですらかなりの負担という現状。


故に一見、何となく形になっているように見える「ハードワークする銀河系」では
ある一定のレベル相手まではごまかしながら勝つ事は出来ても
そういう戦術的な粗を突かれる相手には紙一重の勝負になるだろう・・・というのが個人的な見立てでした。

より具体的に言えば国内ではバルサとアトレチコ、欧州ではベスト8以降の魔境レベルですね。
(そういう意味では当時死にかけていたリバプールぐらいしかそういう相手のいなかったCLのグループリーグは楽勝過ぎましたね(笑))


では実際に今季、初めてその試金石となったクラシコから2つほど気になったシーンを検証していきたいと思います。
3-1で快勝を飾ったこの試合でも、やはりバルサクラスが相手だと色々な粗が見えてくるものですね。


【クラシコの失点シーン検証】
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局面は中盤のこぼれ球がメッシに渡ってバルサのカウンターが発動するところ。

この試合におけるマドリーのボランチはクロースとモドリッチのコンビでした。
ファーストディフェンスは一番ボールに近いクロースが向かいます


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クロースが必死にメッシへ寄せますが、メッシは意に介さずドリブルを加速。

この場面、メッシとクロースの競り合いをアップにして見てみますと・・・・


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メッシは背後から迫るクロースを左手1本のハンドオフでいなしています。

これがもしアロンソだとプレミア仕込みの激しいタックルで最悪ファウルでもいいからここでメッシを止める、という選択をしたはず。

というのもここでメッシに前を向いた加速させたら最後、ほぼ詰みまで持っていかれるからですね。


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左手1本で青天井にさせられているクロース

フィジカルのレベルが違いすぎました。

クロース(な・・・なんやコイツ!?)

これでマドリーはメッシ無双に対し、DFライン前のフィルターがモドリッチ1枚で守る状況に


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メッシから右へ展開されたところにCBのSラモスがカバーに入ります(左SBマルセロの裏)
3枚残りのDFラインでCBが1枚釣り出されているのでモドリッチは当然カバーに入らないとけないのですが、
そうなると今度はバイタルエリアががら空きや・・・


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逆サイドに展開されてネイマールにカットインされると、このガラ空きのスペースを使われてシュート⇒失点

まあ、メッシ無双に対してボランチがあそこまで簡単に剥がされているようでは厳しいですよね。

続いてもう一つ↓


【クラシコでの守備を検証】
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局面はマドリーのビルドアップの場面から。

最終ラインに落ちてボールをもらったクロースからタテパスが出るところですが、これを背後から狙っていたマスケラーノがインターセプト!


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奪われたクロースが瞬時にボールへアプローチに向かいますが・・・


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軽っ!!!

一発でかわされてもうた・・・。
(アロンソなら焦って飛び込まずにコースを切る守備だったな)


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急いでモドリッチがカバーに入りますがまたもやバイタルエリアと逆サイドのスペースをカバーし切れません。

実はこれってさっきとまるっきり同じ流れで
SBが1枚上がった状態で奪われて⇒クロースがアッサリかわされて⇒3DF+ボランチ1枚での守備っていう状況なんですよね。


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そしてこの空いたバイタルエリアで待っていたのがメッシの間受け

このエリアでここまで簡単にメッシに前を向かれてしまう守備はちょっと問題アリなんじゃないかい…?


<バイタルエリアの緩さ>

クラシコで明らかになった事の一つはバルサクラスの攻撃力が相手だと
いくらハードワークを課したところでクロースの個人守備能力ではアロンソの代わりは難しいという事です。
これはクロース以外の中盤にも同じ事が言えます。
(ケディラ、イジャラメンディは使わない前提)

つまり今季のマドリーが抱えている戦術的ウィークポイントは
明らかに「バイタルエリアが緩い」という点。

格下にはその後ろに控えるペペ、Sラモスという最凶コンビの超人能力で何とでもなるんでしょうが
同格相手には確実にここが泣き所になってくるのではないか・・・と。

それは単に個々の守備能力だけにとどまらず、
中盤を一つのユニットとして見た時の戦術ディティールの甘さという観点からも同じ事が言えます。

では次に連勝がストップした年明けのバレンシア戦から
4-3-3に変更されたマドリーの3センターの守備連携を検証していきましょう。


【マドリー3センターの守備】
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局面は左から右へと攻めるバレンシアのビルドアップに対するマドリーの守備です。

この試合では前線がBBCの3トップで中盤が右からイスコ、クロース、ハメスという並び。


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ボランチにタテパスが入ったところでまずイスコが寄せます


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そこからパスが展開されると今度はクロースが出て行ってイスコがカバーに入る関係
(このへん、アンチェロッティのカルチョ仕込み風味が感じられる)

チャレンジに対しカバーの動きがあるだけア○ーレJAPANよりはマシだな(笑)


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・・・が、この時実は一番重要なのがボールと逆サイドにいるハメスの絞りだったりする

イスコとハメスが1ラインになってしまうとこのように1本のパスで間を通されてしまうので×


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なので本来、ハメスはもっと絞ってイスコとクロースに対しディアゴナーレ(斜め)のポジションを取る事で
間にパスを通させないカバーリングが行えるという訳ですね。


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マドリーは3センターがユニットでの連動した守備ポジションが取れていなかったので
ここでもやはりバイタルエリアへアッサリと侵入されてしまいました。

続いて同じ試合からもう一つ


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局面は左から右へ攻めるマドリーのベイルがボールを奪われた瞬間

↑を見るとマドリーは攻撃時、3センターの3枚ともほぼ攻め倒す事しか考えてないようなポジショニングなので
中盤が3枚いるようでいて失ったボールに対してイスコ1人がかわされると守備の深みが全く効いていません。


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バレンシアは奪ったところからタテパス1本でもうこの状況。

っていうかイスコとクロースの距離遠すぎねえか?www

またもバイタルエリアが無人君だが、これはもはや通常営業。


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ボール失うと常にDFラインが丸裸で守備をしている新手のドS戦術。
(よくよく考えると、たいして攻め切る力もないのにこんなサッカーをしていたJAPANはある意味変態(笑))

ボールにプレッシャーが全くかかっていないので、裏への抜け出しにDFラインが引っ張られると右の大外はどフリーですな


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こっからドーン!と打たれて、ハイ失点。

個々の守備力が遠藤、長谷部とあんま変わらんレベルで3センターの連携もこのお粗末さでは
「新銀河系はハードワークで解決しました」ではごまかしきれないのではないか。
(割と日本のメディアではこの論調多くないですか…?(^^;))

それとも「新・銀河系」と言うだけあって、確かに自陣のバイタルエリアがブラックホールのように広大・・・って、そうじゃないだろ(笑)


<これぞカルチョの真骨頂!ユベントスのバイタル閉め>
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ここのところ日本代表を始めユニットとしての守備の甘さ、チャレンジ&カバーなどを取り上げてきた本ブログではありますが、ではユニットとして機能している守備とは何なのか?

たまには良い手本も見て学びましょうという事で、戦術的なディテールならやはりここはカルチョの出番です。
(セリエヲタの皆さん!今季も見捨てたわけじゃないんですよ!ww)

中でも3センターの完成度なら欧州でも屈指といえるユベントスの中盤ユニットを検証してみましょう。


【ユベントスの守備検証】
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フォーメーションは4-3-1-2の試合なんで布陣は違うんですけど、サッカーにおける守備の原則は同じって事で
ユーベの中盤で見せるピルロ、ビダル、ポグバの連携を見てみたいと思います。


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ボールに対してポグバがチャレンジ、その背後をビダルが斜めにスライドしてカバー⇒更にそのビダルの背後をピルロがカバーという美しき3枚の連携。

(まあ、カルチョなら中学生レベルでこれくらい身体が自動的に動かないと・・・ですよね?)


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ポグバが剥がされかけてもビダルのカバーが効いてるし、バイタルはしっかりピルロが埋めてる磐石守備!


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ビダル兄貴がスライディングで外にボールをかき出しました。

これが最も基本的なチャレンジ&カバーの連携ですね。

では続いてもう一つ


【ユーベのバイタル完全封鎖】
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続いてもこの3人のユニットによる守備の連携から。

サイドにあるボールに対してポグバが出て行き、空いたバイタルをピルロが埋める関係。


juve-3cente-2.jpg

そこからボールが戻されて中へ入れられると今度はピルロが出て行って、ポグバが絞るカバーリング


juve-3cente-3.jpg

このポグバの絞る動きの何が重要かって、この絞りによって中に通されるパスコースを潰してるんですね。


juve-3cente-4.jpg

仮にポグバがこの絞る動きをサボったとするとホラ、フリックパス1本で中のバイタルに通されちゃうでしょ?


juve-3cente-5.jpg

中に通せないので再び外に展開されると今度はポグバとピルロがチャレンジして、ビダルがそのカバーに当たり前のように入ってます。


juve-3cente-6.jpg

ブラックホールバイタルみたいなチームがある一方でバイタルにはネズミ一匹入れさせない…!というチームもあるのがサッカー(笑)

さっきから攻めるチームがユーベの守備ブロックの外でしかボールを回せていないのがミソ。

で、この下げられたボールには・・・・


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今度はポグバとビダルが前に出てピルロが所定の位置に戻ってカバー。

う~む・・・これがカルチョだよな(笑)

理論的にはDFライン、中盤、FWの全てのラインでユニットがしっかりチャレンジとカバーを行えていれば攻める側にはタテパスを通すコースが出来ないってのがそもそもの前提で、いかにそこへ近づけるかという究極のチャレンジをしているのがカルチョというマニアックな舞台なんですな。

まあ、実際にはメッシとかロナウドとかっていう人間を超越したのがいると個の力で突破されちゃうんですがww

悲しいかな、そういうのがほぼ絶滅してる今のセリエAって、よりマニアックなそういう戦いが見られるという
完全「一見さんお断り」みたいなリーグになっているという・・・(笑)


<バルサ化するマドリー レアル化するバルサ?>
madro.jpg

話がだいぶ横道に反れてしまったのでマドリーに戻しましょう。

そもそもアンチェロッティが何を目指しているかと言えば現代サッカーのトレンドで先頭を走り、勝てるチームになる事です。
昨季は世界一の高速カウンターを武器にペップのバイエルンを仕留め、欧州を獲りました。

しかしカウンター頼みではいずれゴール前にバスを止められて手詰まりになるモウリーニョ時代の二の舞である事は本人も分かっている事。

故に敢えて大雑把に言えば、カウンターもポゼッションも出来る万能型への頂を巡る競争で
ペップのバイエルンはポゼッションの登山道から入り、今はカウンターの道を通って次の次元に足をかけていると、
片やアンチェロッテイとモウリーニョはカウンターの登山道から入って今ポゼッションの道を通っている・・・という状況なので、入り口と経路は違っても山の頂に辿り着けばゴールは同じと仮定出来る訳です。


だからアンチェロッテイも怪我人さえ出なければ本当は中盤にケディラとか使いたくない、
とにかく足元上手いヤツを並べてコイツらにハードワークさせるのが現代流!とかって躍起になってるんじゃないかと。

いわばイニエスタとかブスケスみたいなのが高い位置で鬼プレスしてたペップバルサのアレですね。

面白いのがその本家バルサが今季は中盤を脇役にしてとにかく前線のネームバリューで勝負!みたいなレアル路線になっているっていう(笑)


個人的には変態サッカーに関しては育成から一貫して追求してるバルサに任せて
マドリーはその時々の超一流スペシャリストをパッチワークみたいにつなぎ合わせて
結果的に攻守のバランスを力技で持って行く!みたいなチーム構成でもいいんじゃないかと・・・(^^;

要はトップ下でジダンが王様やって中盤の守備ならその部門の世界一(マケレレ)を置いて足し引きで銀河系!みたいなどんぶり勘定万歳ww
:褒めてます)


まあ、何が言いたいかって、僕のイスコたんがチームの歯車として「イスコが走った!」とか
マスコミにハードワークで褒められてても、「それ何か違う」感が半端ねえと。

マドリーの10番つけるにはハメスとかいうW杯の一発屋は毎試合80分は消えてるじゃねえかと。

クロースとアロンソをトレードしたペップは短期的に見たら完全に勝ち組じゃねえかと。


だったらいっそイスコには守備とかハードワークとか細かい仕事から開放した王様システムを発動してですね、
「銀河系の栄光再び」路線ですよ、ええ・・・






まあ、確実にビッグイヤーは取れませんけど(笑)



【予告】次回はプレミアの赤いチームについて取り上げようかと


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攻守分業制のバルサに未来無し ~現代サッカーの最先端を追い求めて~

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<クラシコはオワコン? ~現代サッカーの最先端を追い求めて~

さて、ここのところ代表ネタやレバークーゼンなんかの更新が続いておりましたが、
あくまでこのブログの本線は海外サッカーをメインとした現代サッカーの最先端観測。

そろそろ今季の欧州サッカー、トップトレンドの観測に戻りましょう。

ここ数年、その観測の最先端にいたのはスペインの地で行われる「クラシコ」でした。
最高の監督が最高のプレイヤーを率い、知恵比べとサッカー哲学がぶつかり合う最高峰の戦い-
ある意味、この試合さえ抑えておけばある程度の潮流は読む事が出来ると言えるほどに。

しかし今季3-1でマドリーが勝利したそれは、近年最低のクラシコと言っていいものでした。

別に僕はバルセロナの熱狂的なファンだから1-3で負けた結果が最悪だったと言っているのではなく、
どちらが勝とうが最高の試合は約束されていて、更に新たな戦術トレンドの発見まであるのが
”フットボールを超えた戦い”であるこの試合の役目だと思っていたが故の失望なんですね。

ペップが去り、モウリーニョが去ったクラシコは秩序もカオスもインテンシティもなく、
最高のプレイヤー達をただ、ただ、ピッチに並べただけの見本市と化していました。


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<飽くなきインテンシティの追求>

クラシコが劣化しようとも、世界のどこかで現代サッカーの最先端は進化を続けています。
それは飽くなきインテンシティの追求、そして攻守の一体化。

今、90年代のサッカーを見返すと、それはまるでダイヤルアップ接続でネットをしていた頃のような牛歩の感覚を覚えますが、
2000年代にADSL、2010年代に光回線と進化したようにサッカーの高速化はとどまるところを知りません。

これまでのサッカーにおける「攻撃」と「守備」の概念をむりやり図で表すとこんな感じになります↓

【サッカーにおける攻撃と守備の可視化図】
kirikae.jpg
攻撃というボールと守備というボールをつなぐ線が切り替えですね。
この線が短くなればなるほど攻守の切れ目が短いチームという事になります。

近年のサッカー界はこの線をいかに短くして2つのボールをつなぐかという競争だったと言えるでしょう。

では果たしてこの進化の先には一体何が待っているのか・・・?


それは最終的には線がなくなって2つボールがくっついた状態になり、
そこから更に2つのボールが融合して1つのボールとなった結果、
その中に攻撃と守備がまだら状にあるのが最終形態と予想されます。

【現代サッカーの未来像イメージ】
kirikae2.jpg
一時ペップのバルサはこれに近い状態になりましたが
今では完全に2つのボールは元の分離した状態に戻ってしまいましたね。
(クロップのドルトムントもパーツの磨耗によってボール自体が磨り減っているような状況)


そもそも何故、皆が一様にインテンシティの追求から攻守の一体化を進めているのでしょうか?

それは益々サッカーがカオス化してきている事の証左なのです。

ポジションのボーダーレス化が進み、攻撃の流動性が高まってくると
ボールを失った瞬間のカオス状態も、もはや必然となってきました。

この時のリスクを担保する為には切り替えの早さでカオス状態のままボールを取り返してしまう
一刻も早く秩序だった守備に戻す為の時間削減が求められます。

つまり、カオス化のリスクを担保する為にはイコールでインテンシティの追求がセットになってくる訳ですね。

90年代ぐらいまでのサッカー界では「カオス」は必ずしもプラスの意味で使われてはいなかったのですが、
それはサッキの理路整然としたゾーン全盛の時代、攻撃も守備もいかに秩序立ったものにするかという競争をしていたからです。

しかし組織化された守備はそれを崩すための方法論が確立されてくると
例えばゾーンディフェンスは間受けによって無効化される時代になってきました。

すると守備もそれに合わせた進化が必要になり
今ではブロックを敷いて相手の攻撃を待つだけのディレイ守備は完全に時代遅れの産物に。

ゾーンディフェンスと言えどもボールに一番近いプレイヤーは積極的にプレッシャーをかけ、
間受けを狙うアタッカーにはCBがラインを飛び出してマンマークに付くような光景はもはや見慣れたものとなり、
ゾーンの中でも部分的にマンマークがまだら状に混在した守備はまさしくカオス化の一端です。

それは例えばペップのバイエルンは勿論、
今季はあのモウリーニョでさえも守備こそ秩序立っていますが攻撃はセスク、アザール、オスカルらの流動性を取り入れてきたりと確実に変化の波が感じ取れますよね。
(このへんのチームについては別途次回以降の機会でまた掘り下げ予定)

話がだいぶ横道にそれましたがそんなご時勢、スペインの二強の現在(いま)を追うというのが今回の本題となります。


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<時代と逆行 ~攻守分離のバルサ~>

まずはバルセロナです。

バルサの終焉に関しては今に始まった事ではなくここ数年ずっと警笛が鳴らされていたものですが、
今季はなだらかな停滞期を経ていよいよ下降線から底が見えてきそうな現状です。
(まあ、長い目で振り返った時、それは「過渡期」と呼ばれたりもするんですが)

メッシを抱えている以上インテンシティの追求とは別の道を行くのは宿命とも言えますが
今季は前線がメッシ、ネイマール、スアレスと南米3トップになり、何て言ったらいいんでしょう?

強いて言えば・・・・


90年代のバルサに戻ってきているな、と(笑)

感覚的にはフィーゴ、リバウド、クライファートとかエトー、ロナウジーニョ、ジュリの3トップに近いイメージで
外国人の当たりハズレがそのままチームの得点力と直結していたあの懐かしい感じとでも言いましょうか(笑)


まあ、別にそれはそれでいんですよ。
SBとかFWを外注するのはこのクラブの歴史上、むしろ普通。
(ペップ時代のカンテラ選抜が異常だっただけ!!)

でもねー・・・


中盤の外注はあかん!!

バルサがティキタカの心臓部まで外注するようになったら終わりでしょうに。

確かにラキティッチ自体はいい選手ですよ?
リーガでも屈指のMFという事実に疑いの余地はありませんし、
今季も新加入なのにすぐにチームに溶け込んで上手くやってくれてはいます。

でもねー・・・ラキテッチはいい選手ではあるんですが、やっぱり変態の領域ではないんですよ。

もうバルサの中盤って言ったら「終わりなきロンド」で
ポゼッションだけさせたら丸3日間ぐらい回し続けられる・・・ぐらいでないと(笑)

その為に小学生の頃から1日中ロンドをしているような日々を10数年続けてきた変態集団の中から
ベスト・オブ・変態の1人が毎年トップチームに上がってくるのがバルサというクラブの中盤でしょうに。
:褒めてます)

そうでないならリバウド、フィーゴですら脇役にするペップ並の4番が中盤に君臨するようでないと。
ブスケスとイニエスタが脇役化しててラキティッチが奮闘しているような中盤じゃクライフ御大も激おこでしょうに。

「シャビの後継者問題」なんてそれこそ代表の遠藤以上にここ数年ずっと言われ続けていたのに
その筆頭だったチアゴ・アルカンタラを放出して1年後に他所からラキティッチを獲ってくるって・・・・投資効率悪すぎぃー!!

まあ、とにかく僕が言いたいのは中盤はカンテラ上がりの変態が仕切ってくれ!!という事。
そしたらあとはクライファートがゴール前で何本決定機を外そうがワシは構わん!www

「ティキタカ」も「トライアングル」も「間受け」もない試合で
超重量級3トップが即興のゴリ押し個人技で点を取っても何の感動もないし、そんなのバルサじゃなくても見られるでしょと。
(既にVペルシー、ルーニー、ディマリア、ファルカオのゴリ押しサッカーでお腹一杯や)


<バルサのインテンシティ>

ここまで主にポゼッション面でのバルサを論じてきましたが
攻撃面での劣化は守備に直結してくるのが現代サッカーというものの宿命。

続いてはそんな彼らの現在(いま)を象徴する攻守の切り替えの場面を検証してみたいと思います。

【バルサの切り替え (攻⇒守)】
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↑こちらは今季の試合から(対PSG戦)
局面は左から右へ攻めるバルサでイニエスタのドリブルが大きくなったところをカットされて攻守が切り替わる瞬間


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まずこの瞬間に守備へと切り替えているのがペドロただ1人という惨状www
特にメッシ、ネイマールの大御所2人は微動だにしない風格が漂っています。


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ワンテンポ遅れてようやく攻守の切り替わりが始まると得意の狭いエリアに追い込むボール狩り発動


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ヴェラッティに下げられたボールにはネイマールが逆サイドから寄せている。
(にしてもメッシは最初の位置からほぼ1歩も動いてなくないか?www)


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寄せられたPSGは一旦ボールを最終ラインまで下げます。
このバックパスにGO!をかけたのは中盤から飛び出したラキティッチ
(彼はこういう献身的なプレーが光りますね)


baru6.jpg

これに連動して押し上げるバルサ
「プレスじゃ!プレスじゃ~!!」


baru7

・・・が、そこは並のCBじゃないTシウバ。
全く慌てる様子なくパンパンパーン!と冷静なパス回しでバルサの網をかいくぐり第1防波堤を突破

しかしバルサの守備の強みは仮に第1防波堤が突破されても第2、第3の網を高い位置に張っているので
このいずれかでボールを絡め取り、波状攻撃につなげるインテンシティの高さ!
(ですよね?ペップさん!)

と・こ・ろ・が・・・・


baru8.jpg
後ろが全く付いてきてねーー!!wwww

見事な攻守の分断っぷりで前線とDFラインの間に広大なスペースがポッカリと・・・。
DFライン(スペース)前線(スペース)メッシみたいな布陣になっとるwww

だから今のバルサは前線の網を突破された場合・・・


baru9.jpg
ハーフコートのシュート練習やwwww

しかもこの試合ではまだ3トップの一角がペドロだったからいいものの、今や南米トリオ結成中ですからね。
ネイマールはブラジル代表で最も守備を免除されているタレントだしスアレスもウルグアイではその位置づけです。
この2人に+メッシの3トップですから構造的に前線の網もかなり目が粗い粗悪品だと言わざるを得ません。

バルサのインテンシティ低下の要因①はそもそも抱えているタレントの構造的問題と
これを改善する為のチーム内モラルの欠如ですね。

Lエンリケは就任以来、チームのどこに手を加えたのか全く不明とも思える空気状態で今後も改善の兆し無し。

もう一つの大きな要因は攻撃とも連動したチームの根本的問題で
そもそもポゼッションが満足に出来ていない⇒パスが回っていない⇒全体のポジションバランスが悪い⇒失った瞬間に取り返せる配置になっていないという四段論法です。

今季バルサがボールを保持している時の全体のバランス、
とりわけこのチームのバロメーターとされるトライアングルの数とその距離間に注視してみて下さい。
ペップ全盛期の頃と比較して明らかに悪くなっています。

トライアングルの配置はパスコースを増やす為のものでもありますが、
ボールを失った時に囲い込みを容易にするという効用もあるんですよ。

だからバルサに限らず現代サッカーを突き詰めていくと
攻撃が機能する=守備が機能する⇒攻守が連動して融合体になっている↓の状態が理想なんですよね。
kirikae2.jpg
でも今のバルサは完全に攻守が切り離されていて、このままだと現代サッカーの競争から取り残される恐れもあるぞ…と。


勿論、それでも国内では勝てますし、優勝の可能性すらあります。

何故ならいくら劣化したと言っても前線に「あとは頼んだパス」を配球するぐらいのタスクならば
バルサの中盤は確実にボールを前線まで運べますし、
あとはそれこそ超絶個の集合体である南米3トップが誰かの個人技か即興のコンビネーションで「得点」という結果を生み出す機械になっているからですね。

バルサの荒やインテンシティの粗末さが表立つ相手は国内ではマドリーの2クラブしかいないので
このじゃんけんマッチを運よく制する事が出来ればリーガ優勝の目はある・・・というロジック。

ただし、現代サッカーのトップを争うCL・・・とりわけベスト8以降はかなり厳しい戦いになってくると見ます。


DFは守る人、MFはボールを前線まで送り届ける人、FWはとにかく点を生み出す装置

極端な事を言えば、現在のバルサはそういうチームです。
攻守一体化の流れを作り出した張本人が今やトレンドの間逆をいく見事な攻守分業制というのは何とも皮肉な話。

個人的には中盤が主役じゃないバルサなんて見たくない!というのが本音でもありますが・・・・。(^^;


ほんの数年前まで「バルサのサッカーはつまらん」とか「カンプノウでサッカーをしているのはバルサだけ」とかやっかみ9割で言われていたのに、今や本当の意味でバルサのサッカーがつまらんので、そこは本当に何とかして下さい(切実)


【次回マドリー編につづく⇒】


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