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「俺達の」でも「タテに速い」でも無く「結果を求めるサッカー」の真価を問う~豪州×日本~

1015表紙
<「俺達の」でも「タテに速い」でも無く「結果を求めるサッカー」の真価を問う>
~オーストラリア×日本~


アジア最終予選シリーズ第4弾はアウェイの豪州戦です。
この試合の「勝ち点1」という結果をどう見るか?

最終予選を目の前の試合を1つづつ勝っていく「短期的」な戦いの積み重ねと考えている人は
試合前の日本の順位と勝ち点からそれこそマスコミ主導型の「絶対に負けられない戦い」で勝ち点2を落としたとなるでしょう。

一方で10試合トータルで最終的に2位以内(最悪3位)に入る「長期戦」のリーグと見れば
今予選の中でも最も勝ち点を取るのが厳しいこのカードは試合前から勝ち点1で御の字という構えでいたはずです。


しかし視点を更に広げてW杯本戦で結果を残す、というところから逆算した「残り1年半スパン」で捉えるとどうでしょうか。
この最終予選という真剣勝負の場で世界と戦うチーム力のベースを作っておかないと
結局またアジアと世界との差に絶望させられるだけという繰り返しになってしまいます。

故に自分としてはこの試合は最悪「勝ち点0」でもOK(それでも最終的に2位は充分射程圏内)
但し、それは内容を伴った上での勝ち点0である事。

ここまでの3試合、アジア相手に散々腰の引けた戦いを見せられてこのまま行ったら予選が終わる頃には
世界どころかアジアでもどれだけ退行した位置にいるのかとかなり絶望的な思いをさせられているので、
今一度勇気を持って豪州相手に打ち負けての勝ち点0であれば長期的に見れば大きな収穫になると思っていたからです。


ただ、結論から言うとハリルはこれまでと同じように「結果」を取りに行って
「勝ち点1」という結果を持ち帰ったのですからそこはプロとして正当に評価されるべきでしょう。
あのサッカーで挑んで負けていたら何も残らない悲惨な状況でしたが
とにもかくにも一番厳しい試合で得た虎の子の勝ち点1は最後に大きな意味を持ってくる可能性もあります。

マスコミのハリルに対する風当たりもかなり厳しくなってきましたが
好意的に観るのであれば"あのサッカー"こそがハリルが本来得意とするスタイルだったのかもしれません。

これまでは日本相手にどこも引いて来るのでボールを持たされる中、
最大限カウンターのリスクを排除して戦うハリルからすると不得意な土俵を強いられていましたが、
オーストラリアは今予選で初めて日本から「相手にボールを持たせる」という戦い方の選択肢が生まれた相手でした。


では仮にこの試合をハリルの真骨頂が発揮された、と考えた時に果たして世界相手に結果を残しうるサッカーだったのかどうか-
今回はそこら辺にも焦点を当てつつ、豪州戦から見えたハリルの手腕と日本の現在地を探っていきましょう。


<本田1トップに漂う岡田JAPAN臭>

日本豪州スタメン1015

まずはオーストラリアの布陣から。まさかの4-3-1-2です。
この布陣は中盤の4枚で絶対的なポゼッションが確保出来るという自信が無いとなかなか運用が難しいシステム。

両サイドの幅を作るのがSBだけなので押し上げるだけの時間を作ると共にSBが常時上がっていてもボールを失う事は無い、という強気の姿勢が求められるからですね。

世界では過去アンチェロッティのミランなどが代表例ですが、
やはりピルロ、セードルフを中心とした中盤のポゼッション力とカフーの常人離れした攻め上がりが記憶に残るチームでした。


対するハリルはこの大一番に彼の本質的なサッカー観の一面を除かせる決断を下していました。
岡崎が欠場という自体に攻撃陣の配置は事前からかなり注目されていましたが、その回答は「本田の1トップ」
トップ下には香川を復帰させて両ワイドの大久保&松井ならぬ小林と原口が馬車馬のように走り回るという・・・
紛れも無き岡田JAPANのリバイバル!

要は「リスクは冒せない」「ボールは相手に渡して結果を持ち帰る」という意思がこのスタメンに表われています。

前回イラク戦後のレビューでは加茂JAPANを例に日本サッカーの時計は20年巻き戻ったと言いましたが
ハリルは僅か5日でその時計を進め6年前の時点にまで戻してきました。ああ良かった、良かった!

ハリルにとっては未開のアジアサッカーという舞台で
日本がかつて見せてきた負の遺産を次々と引っ張り出してきては四苦八苦している姿に既視感が拭えません。

あれ・・?確かあのサッカーに限界を感じてザックを招聘してきたんじゃなかったっけ・・・?
(いや、あれが並行世界の出来事だった可能性や我々日本サッカーファンが繰り返される8年をエンドレスに彷徨っている可能性も微レ存。これをエンドレスエイトと名付け・・ry)




<ゲームプラン通りの先制点>
sensei10152.jpg


試合は序盤からハリルの狙い通りオーストリアがボールを握って日本がそれを待ち受けるという関係がハッキリとピッチ上で具現化されました。

我々からすると中盤を省略してボンボン蹴られた方が遥かに嫌だったはずですが目下オーストラリアはポゼッションスタイルへ移行中という事で、ある意味お互いが半周してそれぞれのスタイルが噛み合う構図になっていたのです。


オーストラリアは攻撃時、自陣から丁寧につなぐビルドアップで特にキーになっていたのが3センターの3枚(ヒゲ、ハゲ、パイナップル頭)。
日本の守備は序盤、本田が相手の2CBの片方を切って方向を限定し、前線に入れてくるクサビと3センターに預けるタテパスから本格的にプレッシャーをかけてインターセプト⇒ショートカウンターというゲームプランでした。

オーストラリアのポゼッションの中心である3センターを逆に日本のカウンターの起点にしてやろうというのがハリルの目論みだったようで、この3枚にはボランチの山口&長谷部だけでなくSHとトップ下の香川もパスコースをケアする姿勢が序盤から徹底されていました。


攻撃面でもこれまでは奪ってマイボールにしたまではいいけど、一体どうやって崩していくんだ問題で結局リスク排除の外⇒外⇒クロス量産に終わっていましたが、この日は奪った瞬間に明らかな目標物が日本の最前線に立っています。

これで余計な迷いが消えたのか長谷部などは奪ったボールをシンプルに本田に通すタテパスを連発、役割が整理された事で心も整えられた模様。

そして一番重要なのはこのタテパスが本田で収まる事!(ここ重要)

ここ3試合は相手にドン引きされる中でポゼッションしながらDFにベッタリ付かれている状態でタテパスを受ける受ける事が多かった本田ですが1トップになり岡田JAPANの頃の感覚が蘇ったのか、攻守のトランジションの瞬間にスッと引いてきてカウンターの1本目を納める動きが非常に利いていました。

では「狙い通り!」と言わんばかりのハリル会心の先制点を検証していきましょう。


【日本の先制点】
日本得点1014-1

局面はオーストラリアのポゼッションに対して日本がプレッシングを行っているところ。
相手の左SBが持ったボールに対して小林がプレスバックして挟みに行き、トップ下の香川もボールサイドにスライドして網を張っています。

これでパスコースのなくなったオーストラリアはCBまでバックパス


日本得点1014-2

CBが持ったところで相手のキーマンの1人であるアンカーのジュディナックを香川がケア
徹底してここにはボールを出させません。



日本得点1014-3

オーストラリアは中盤にタテパスを出せないのでCBからCBへの横パスしかコースが無い

するとこの横パスに合わせて今度はCHのムーイをケアする為に横スライドする香川。
ボールが横に動く度に3センターへのタテパスを横スライドしながら消し続けるトップ下の守備タスクはかなりの負担だったはず



日本得点1014-4

CBからムーイに入れて来たタテパスを狙い通り香川と原口で挟んでボール奪取⇒ショートカウンター発動!



日本得点1014-5

長谷部に預けたボールは迷い無く本田へ。
そして本田のキープ力を信じて原口と小林の両ワイドが馬車馬のように前線へ飛び出していくこの懐かしい感じ(笑)

まあ、1度成功しているモデルだしアジアでは尚更・・・って感じもしますが、とにもかくにもハリルのこの博打は開始早々に結果を出した事だけは間違いありません。



<ゾーンディフェンスの強み>

このように序盤から日本の守備はオーストリア相手に明らかにハマっていました。

4-4-2と4-4-1-1を使い分けながら前線がパスコースを限定して後ろがインターセプトを狙う形で面白いようにボールが奪えたのです。
(だってオージーったら明らかに下手なのに意地になって繋いできてくれるんやもん・・・)

やはり3ラインがコンパクトな状態で組織的なゾーンディフェンスが機能した時の日本は強い。(確信)
行き過ぎず、かといって引き過ぎずという絶妙なエリアで網を張れていたと思います。

では実際の試合から何故日本の守備があれだけ機能し、面白いようにカウンターが取れたのかをロジカルに検証していきましょう。


【3ラインで守備をする(ゾーン)】
右小林守備1014-1

局面はオーストラリアのCBがボールを運んでいるところにまずファーストディフェンスとして本田がパスコースを消しながら寄せる。
本田の寄せ方で逆サイドへの展開は無くなったので日本は全体をボールサイドに寄せながら網を張れます。

ポイントは右SH小林の背後をSBのスミスが追い越して走り出していますが、これを誰が捕まえるのか?という話。
マンマークで守るなら「人ありき」なので小林がそのまま付いて後退するのがセオリー。

しかしゾーンで守るなら小林がSBに付いて行ってしまうとこのエリアに誰も人がいなくなってしまいます。
あくまでゾーンでは「ボールありき」なので小林は自分のゾーンに残ったままポジショニングによってパスコースを消しつつ、背後は後ろの酒井ゴートクに受け渡せばいいのです。




右小林守備1014-2

オーストラリアが入れて来たタテパスに対して背後を狙うSBスミス
しかし日本もゴートクがカバーリングのポジションを取って裏はケア出来ているので・・・




右小林守備1014-3
ハイ、取れた~。

小林は別に必死こいて下がってくる必要ナシ!


このそれぞれが自分のゾーンを守ったまま、即ちチーム全体で3ラインを保ったまま守備をするゾーンディフェンスの利点は
何と言っても奪った後のショートカウンターまでが理論的に逆算出来るところにあります。

どういう事かと言うと口で説明するより見てもらった方が早いので↓

【ゾーンで奪えれば理論的にカウンターが成立する件】
奪ってSB裏1014-1

こちらも局面はさっきと同じように小林の背後をSBのスミスが狙っているという図式ですね。

小林はこれに付いて行って下がるのではなく、むしろ自分の持ち場を守る事でグラウンダーのパスコースを消しています。

じゃあ小林の頭上を越す浮き球で裏を取ればいいじゃないかというと・・・



奪ってSB裏1014-2

当然、この浮き球は後ろの担当になるゴートクが狙っています。

で、ここがミソで小林を下げる事なくボールを回収出来たら、オーストラリアはリスクを負ってSBを上げてきている訳ですから
今度は持ち場を守っていた小林のゾーンが自然とオープンスペースになっているのが↑の画像でも分かるかと



奪ってSB裏1014-3

奪った瞬間に自然とSB裏でカウンターの起点が出来るので慌ててオーストラリアのCBが寄せると
今度は大外でトップ下の香川が空いちゃうよ~という極めてロジカルなショートカウンター

これがゾーンディフェンスの強みです。


酒井高徳『前半は上手く守れていたと思う。悠くん(小林)とも話したんですけど下がってくるのではなくて敵のボランチやCBの方をケアしてもらっていたんです。それが上手くハマって前半は非常に良い手応えでした』



<左右非対称のイビツな守備>

ところがこのゾーンディフェンス、右サイドで小林と酒井高徳の連携が良好だったのに対し左サイドは少し様子が違った模様。

【左サイドの守備】
香川低い1014-5

局面は先ほどと同じようにオーストラリアのビルドアップですが、明らかに右SBマクゴーワンの上がりに対して
日本の左サイドの守備はSHの原口がマンマークで付いて下がって5バック化してるんですよね。

で、原口がいて欲しいエリアが無人になってしまうので香川がそこに降りてきて守備をしている・・・と。

この守備だと何が苦しいかって仮にボールを奪ったとしても・・・



香川低い1014-2

ボール回収地点は低くなるし、いて欲しいSB裏のスペースには当然原口はいません。(SB化してるので)




香川低い1014-4
さすがの香川もこれはキツイでしょ

ハッキリ言ってカウンターどころではない⇒苦し紛れにロングボールを蹴って⇒ソッコー回収されてオージーの二次攻撃⇒守りっぱなし

先ほどの右サイドの守備と比べて明らかに左サイドの守備は異質。
日本は右と左で守備の方法が違うという極めてアンバランスな状態になっていました。

もちろんチームとして何か狙いがあってそうしているならまだ議論の余地もありますが
試合後の選手コメントを見てもどうやらかなりそれも怪しい様子。

槙野『僕に求められたのは、原口の守備のオーガナイズをすること。サイドバックというより真ん中への意識が高かった』

槙野『本当なら原口をもう少し高い位置でプレーさせたかったんですけど、「ヘルタでもこういう仕事をしている」と言っていたので、普段のプレーを存分に出させるためにワイドの選手を彼に見させて、中を僕が潰そうと』


え・・・?


お前の判断なの?www



とにかく前半からこの左右非対称のアンバランスな守備が気になって仕方なかったのでしばらくベンチワークに注目して見ていたんですが、オージーの右SBが高い位置を取ってくるとハリルはしきりにそれを気にして「誰か付け!」みたいなジェスチャーを繰り返していたんですね。

右SB気になる

で、仕方なく原口が付いていく形になって、それを指揮官が目の前で見ていたのだからこれで良し、としていたのかもしれませんが・・・。


とにかく、この左サイド限定マンツーマンのせいで日本は5バックになり、香川がそこに降りて5-4-1へ。
日本が3ラインで理想的な守備をしていたのは実質立ち上がりの15分ぐらいなもので以降は自陣ベタ引きのひたすら耐えるだけの展開となっていきます。

試合を観ながらさすがにハリルもハーフタイムを挟んでこの左サイドの守備を修正してくるだろう・・・と思ってたら驚愕の後半が待っていました。

ハーフタイムの指示の一部を試合後、右サイドの酒井ゴートクがインタビューで語ってくれています。

酒井『後半は悠くんを少し後ろに下げすぎちゃった部分はあった。後半に監督から、向こうのSBに悠くんが付くようにという指示が出てより外に意識をと切り替えたところで失点してしまいました。そこは指示どおりにやらなきゃいけないのか、あるいは自分たちで考えて行動するのかしっかり判断したいです』



え・・・・?


むしろ右サイドをマンツーに修正するんだwww



これによって何が起きたのかはご存知の後半開始早々の失点場面が明らかにしてくれます。

【日本の失点シーン検証】
日本失点1015-1

局面は後半の立ち上がり、オーストラリアのビルドアップです。

前半の小林であればここは中盤の高さのまま守備をするのでCHのムーイをケアしつつ、背中で外を切るようなゾーンのポジションを取るはずですが後半は・・・



日本失点1015-2

左SBのスミスが上がって来るとハーフタイムの指示もあり外をケアする小林

結果、ムーイはフリーでボールを受けられる

失点要因①右サイドの守備を前半と変えてしまう



日本失点1015-3

フリーのムーイから再びジュディナックにボールが渡ると長谷部がこれにアプローチ

しかしSHの小林は外をケアしているのでバイタルへのパスコースは空いており、
ボランチ山口のスライドもまだ間に合っていないので実質バイタルエリアをケア出来る選手が不在。

失点要因②長谷部の不用意なアプローチ


日本失点1014-4

ジュディナックに狙いすまされたクサビをバイタルに入れるとここにSBのゴートクが無理目のアプローチ
基本それまでゾーンで守備をしてきた(川崎でも?)小林は背後を取るスミスには付ききれておらず、実質バイタルに入れられた瞬間にゴートクは1対2の数的不利であった

失点要因③高徳ステイ出来ず


日本失点1014-5

ワンタッチでスミスにはたかれてアーリークロスを上げられる場面。

これを観るとついつい「うわー!やべー!」って思ってしまう人は多いかと思いますがこの段階に到ってもまだまだ失点率はかなり低い場面というのがアジアサッカーの実情。

ここから上がるクロスの精度、中で合わせる人間の決定力を考えると失点率は10%以下、
要はアジアではこの程度のチャンスシーンでは10回に1回得点できるかどうかってとこが関の山なのでまだいくらでも失点を防ぐ手立てはあります。



日本失点1014-6

で、実際にクロスが出されて中のユリッチにピタリと合ってしまった段階。

それでもまだまだ大丈夫。
このシーン、受けるユリッチの⇒とファーストタッチで置きたい位置との矢印が90度違う方向なので
身体の流れはタテに行きつつボールは正面に押し出す感じで止めないとゴールに対して理想的なシュート角度を確保出来ません。

まあ、メッシとかだと難なくビタ止めから1、2でドン!と打ってきますけど簡単にやってるようで求められる技術水準は高いのです。



日本失点1014-7

・・・で、原口が後ろから倒した瞬間がコチラ。

ほら、やっぱりファーストタッチを外に流して膨らんでしまっているでしょ?

これだと仮に原口が戻ってきてなかったとしても腰が回りきらずにサイドネットか、
枠内に打ち込めたとして角度的に西川の正面で事なきを得ていた場面だと思うんですけどね。


理想的なのは原口が内側から外に追い込むようなコースで戻って飛び込まずに我慢してくれればベストでしたが、
あの「俺が奪う!」という勝ち気な守備が彼の良さでもあるので難しいところではあります。

ただこれまでの4失点がPK2、FK2なのでもう少し我慢強く守れば意外とサッカーは失点しないものだぞ・・・という老獪さは欲しいですよね。




<「タテに速いサッカー」はどこに行った?>
20160929-00000077-dal-000-view.jpg


1-0でリードしている段階であれば5-4-1のドン引き岡田JAPANだろうと耐え切れば勝ち点3という状況でしたが、
1-1になった事でその後のハリルの動きがこの試合の意図を明確にしてくれました。

指揮官がとった選択は・・・「現状維持」
当然です、この試合で欲しいのは勝ち点1という結果なのですから。

ハリル「オーストラリアはコーナーキックかFKからしか点が取れないので、そこの管理をする選手が必要だった。本田(圭佑)と小林(悠)には、FKでの正確な(対応の)役割を与えていた。齋藤や浅野だと経験がない分、プレッシャーに負ける不安があった。オーストラリアはアジアチャピオンなので、それほど多くのリスクは取れない。


セットプレーでの不安があるので本田と小林は変えられない。では香川はどうか?

ハッキリ言って岡田JAPANでその岡田監督自身が最後にメンバーから香川を外したように
このサッカーで香川に輝けというのはかなりの無茶振りだったように思います。

しかしハリルは香川を残した。
イラク戦であれだけのパフォーマンスを見せた清武を切ってでも香川を起用したのは指揮官からの信頼の厚さと2列目の序列がハッキリした事を表しています。


徹頭徹尾、リスクを排除しつつ「結果」のみを追い求めたサッカーで得た虎の子の勝ち点1。
これをどう評価すべきでしょうか?

まず、このサッカーこそハリルの真骨頂であり、弱者のサッカーはW杯本大会でこそ真価を発揮するであろうという見方について。

個人的には甚だ疑問です。
一つハッキリさせておきたいのはオーストラリア戦で日本が見せたサッカーは決して「タテに速いサッカー」でも何でもないという事。

前半15分までのサッカーであればボールは相手に渡してもその実、主導権を握っていたのは日本という意味で弱者が強者を負かしうるサッカーをしていたと言えるでしょう。
奪った瞬間は構造的にタテに速いカウンターが出せるようになっていますから。

しかし残りの75分見せていたサッカーはただの「引き篭もり」であって、後ろにかけている枚数の多さとボール回収地点から逆算すればどう考えても「タテに速い攻撃」は望むべくもありません。


日頃、ハリルがJリーグへの物足りなさを吐露する時に基準として持ち出す「世界基準のオーソドックス」に照らすのであれば、
本気でラングニックを発生とする「タテに速いサッカーの最先端」を目指すというのであれば、
相手の動きに引っ張られて5バック化するようでは話にならないし、右サイドにボールがある時の左SBのポジショニングはセンターサークルまで絞ってこなければいけないはず。


本当にフィールドの半分に10人全員が密集するインテンシティを日本代表に求める気概はあるのか?


え・・・?逆サイドにサイドチェンジ出されてしまったらどうするのかって?


だから絶対に出させない為の圧倒的密度とインテンシティがマストで求められる訳です。


普段、Jリーグの守備を「ズルズル下がるだけ」とハリルは言います。「もっと勇気を持て」と。
そこは完全に同意なのですが、しかしハリルが代表で見せているサッカーは勇気の欠落したサッカーそのものではないでしょうか。


奇しくも現在代表を苦しめている海外組のレギュラー落ち問題。
これはチャンピオンズリーグ等の世界最高峰の戦いに必要とされるインテンシティが日本人には足りない、と暗に世界からNOを突きつけられていると捉える事も出来ます。


確かに日本が世界で戦っていく方法論として、それが必ずしもポゼッションである必要はないでしょう。
近年は所謂「タテに速いサッカー」をしているチームが結果を残しているトレンドもあります。

しかしAマドリーやレスターには低い位置で回収したボールを個で運べるタレントがいる事、
今年のCLとEUROの優勝チームには奇しくもCロナウドというカウンターマスターがいた事、
これらを鑑みても尚、日本代表が取るべき方法論としてそれを選ぶというのならそのロジックも問いたいところ。


フットボールに正解はありません。

日本が取るべき理想的なサッカーの方法論もきっとそうでしょう。


しかし、少なくとも勇気の無い者にそれを探し当てる資格が無い事もまた確かなのではないだろうか-











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ハリルは日本サッカーの時計を20年巻き戻すつもりなのか~日本×イラク~

表紙1003
<ハリルは日本サッカーの時計を20年巻き戻すつもりなのか
~日本×イラク~


「ホタルゥゥゥ~!!」

ドーハの悲劇から23年-
イラク相手に劇的な逆転勝利を収めた日本代表

色々と示唆に富む試合だったので今回はこのイラク戦を検証していきたいと思います。


まずはスタメン




・・・はい、ご存知の通りです(手抜きかよ!)


ポイントは遂に10番香川が外れて代わりに清武がトップ下に入った事でしょうね。

世間ではこれをもって「世代交代」やら「香川限界論」が賑やかですがハリル自身も言っているように
単なるコンディションの比較で起用を決めたに過ぎないのでこれをもって序列が変わったとは言い難いと思います。

ハリル『清武は(所属クラブで)プレー時間が短い現状にあったが、(香川)真司より1日半早く帰国したので、そこのアドバンテージがあった。この時間が、私にとって重要だった』


要は選んだ選手の中で現状のベストを選択した、という事なのでしょう。


<驚きのゲームプランと間延びJAPAN>

さて、まず取り上げたいのがこの試合で日本が選択したゲームプランです。

序盤こそイラクの出だしの勢いをいなす為にシンプルにロングボールを蹴っていたのかと思っていましたが
そのまま前半の45分間を蹴り続けていたのには驚きを通り越して呆れてしまいました。


日本がロングボールを蹴って喜ぶのはむしろイラクの方でしょう。
相手が恐れているのは日本の組織力と技術の高さですが自分達からその武器が最も活きない戦い方を選択し
フィジカル勝負に持ち込みたいイラクの土俵にわざわざ上がっていってしまったのですから。


柏木「(縦に速い攻撃をするのは)チームとして決めていました。ただ、後方からのパスが多くなってしまった」


イラクの監督が序盤から「もっと前から行け!」としきりに叫んでいたのはこの日の日本が前プレをかければ簡単にロングボールを蹴ってくれるからです。



では何故ハリルはこの戦い方を選択したのでしょうか?

これは恐らく初戦の黒星が思った以上に利いている、という事でしょう。
この試合前も負けたら解任という噂がマスコミからしきりに持ち出されていましたが
現在のチームと監督のメンタル状況が「自分達の良さを出して勝ち切る」よりも「負けたくない」「つなぎをロストした時に変なカウンターを受けたくない」という方に流れていったのだと思います。

確かにロングボールを蹴っている以上、自陣で奪われるリスクはなくなります。
その代わり前半の日本はほとんどチャンスらしいチャンスを作れていません。

得点機と言えるのはロングボールのセカンドをたまたま高い位置で拾えた清武のシュートとショートカウンターからの得点シーンの2つぐらい。


原口の得点シーンは彼のプレスバックでボールを奪った瞬間の原口、本田、岡崎、清武の海外組が見せたトランジションの質の高さが光りました。

誰1人足を止めずに4枚がゴールに向かい、その過程で技術的なミスが一つも無かったのがゴールに結び付いておりアジアのレベルを超えた欧州クラスのカウンターだったと思います。
(唯一本田のパスを出すタイミングがやや遅れてオフサイ気味だったけど)


ただ2回の決定機で1点取れたのは結果論(行幸)に過ぎず、マイボールを自ら放棄するような遅攻ならぬ稚攻ばかりが目立っていました。

更にこのタテポンJAPANのデメリットは攻撃だけでなく守備にも及びます。
攻撃がロングボールで終わるという事は失った後の守備陣形が充分でなく全体的に縦に間延びしている状態になるからです。

実際の試合から日本の守備を検証してみましょう。


【間延びした日本の陣形】
間延び1008-3

局面は日本がイラク陣内で失ったボールにすかさずプレスをかけていくところ。

ファーストディフェンスの原口がイラクの攻撃方向を限定し、左サイドに追い込んでいます。
日本はボールを失った左サイドで数的優位を作ってこのサイドから出さずに奪いきりたいところ。

何故なら・・・


間延び1008-2

このプレス網を抜けられるとボランチ脇の空いているバイタルエリアを使われてしまうから

つまりボールサイドに人数を割いてこの弱点となるエリアを「使わせなければ」日本の勝ち。
プレス網を抜けられてしまうと日本の負けという守備ですね。

ただお互いがロングボール中心の蹴り合いの展開になっている関係で日本の陣形がやや間延びしているのが気になります。
イラクにここからロングボールを蹴らせると・・・



間延び1008-4

吉田が背後を気にして更に深さを取るのでイラクのFWをボランチの長谷部が下がって受け取る形に。

結果的に柏木の矢印がボールサイドに向かって前向きに、長谷部が後ろ向きになっているのでボランチ同士の距離も離れて
このロングボールを跳ね返したセカンドを拾うエリアに赤丸で囲ったイラクの2ボランチしか人がいない状態になっています。



間延び1008-5

本来であれば吉田がボールサイドのCB(森重)の高さに合わせてイラクの2トップをCBが見て長谷部にセカンドを拾わせる並びにしたかったところ。




間延び1008-7

ほらね、この間延びした陣形だとイラクのボランチにセカンド拾われちゃうでしょ?



間延び1008-6

で、空いたバイタルを使われてミドルシュート・・・と。


更にこの試合でも特にハリルが「デュエル!デュエル!」を強調していただけあって、
チャレンジ&カバーが怪しい戦術レベルの選手達が間延びした陣形の中で中途半端にボールにだけは強く行く意識を持っているもんだから性質の悪い話に。


【日本の特攻デュエル】
ディアゴナ1008-1

局面は日本陣内での守備の切り替え。失ったボールに対してすぐに柏木と原口が寄せてイラクにバックパスをさせると・・・



ディアゴナ1008-2
問題点①ディアゴナーレが無い

日本の特攻デュエル守備はこの下げられたボールにネコまっしぐらで向かってしまうので簡単に間を通されてしまうんですよね



ディアゴナ1008-3
問題点②バックパスに対する後ろの押し上げが甘い

せっかく相手にバックパスをさせたのだから吉田らの最終ラインを機敏に押し上げれば
ボランチの長谷部はもう一つ前で守備が出来て全体がコンパクトになったはず



ディアゴナ1008-4

さりとて特攻デュエルの結果は間を通され・・・・




ディアゴナ1008-5

逆サイドに展開されてスライドを強いられるしんどい展開。


結局マイボールは蹴り合ってしまうわ、守備は特攻だわで試合運びに全く安定感がありません。




<稚拙だったゲーム運びと選手起用>
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日本は僥倖の先制点を取った事であとはホームチームが試合を落ち着かせて焦って出てきたイラクの隙を付けばいいだけという理想的な状況が出来上がっていました。

にも関わらず「縦に早く(失う)」サッカーでみすみすイラクにチャンスを与え続けるのです。


【日本の稚拙なゲーム運び】
リスク1008-1

局面は酒井ゴートクが中盤でインターセプトを成功させたところですが試合のスコアと時間帯に注目。

1-0リードで前半ロスタイム。
やる事はこのスコアのままハーフタイムを迎えるだけです。

しかしゴートクはこのボールを中盤にパスで預けると・・・



リスク1008-2

いやーこの状況でSBがリスクを負って出て行って攻撃をタテに加速させる必要あるか?

しかも清武へのパスもズレていてボール状況も微妙⇒と思ったらやっぱり失ってイラクにタテポンされる




リスク1008-3

SBが上がっているので当然最終ラインは3枚+1ボラの不安定な状態

でも原口が機転を利かせてゴートクが上がったスペースをカバーしていた。ナイス判断。




リスク1008-4

でもやっぱり原口は守備が専門の選手じゃないからここでもボールに食いついちゃうんだよねー

(頼む、ここではもう相手の攻撃を遅らせるだけでいんだ。それで前半終わるから・・・)



リスク1008-5

あわや前半ロスタイムに追いつかれてハーフタイムでしたよ。


↑の場面はイラクの(アジアの)決定力に助けられて事なきを得ましたが
こういう稚拙なゲーム運びのA級ミスは世界相手だと確実に手痛いしっぺ返しを食らう事はザックJAPAN時代にも散々証明されています。


まあ、こんな感じなんで当然後半もバタバタとした展開を繰り返し、
ロングボールが増える⇒セカンドボールを巡る身体のぶつけ合いが増える⇒フィジカルで不利な日本のファウルが増える
の三段論法でいらないファウルからFKで同点弾。当然の帰結ですね。


そもそもこれだけ間延びした中盤でボールを狩ろうと思ったら断然柏木より山口蛍なんですが
投入が「少し遅れた」(ハリル)せいで日本の中盤が持ち堪えられずに失点してしまいました。

そのせいで1-1に追いつかれてから攻撃の舵取り役を下げて守備の選手を入れるというチグハグな交代に。


では今予選、初登場となった柏木には何が期待されての起用だったのでしょうか?
勿論ビルドアップの際の配球ですよね。

【日本のビルドアップ時の配置】
日本ビルド布陣1008

日本はイラクが自陣でブロックを作った時の遅攻の場合、両SBを上げて柏木がCB近くに落ち、配球役を担います。

序盤からこの形で両サイド目がけた対角パスをしきりに狙っていましたが
柏木のふんわりサイドチェンジは精度が悪く、しかも両サイドで受けるのがSBのW酒井では縦への突破はあまり望めません。

そもそも柏木が浦和で担っている攻撃の役割は外⇒外のサイドチェンジというよりは
バイタルへのタテパスやグラウンダーのパス回しが出来る距離感でのワンタッチフリックなど短いレンジのパスと崩しの連続性ではないでしょうか?

タテポンメインの間延びしたサッカーで長いボールでサイドを変えさせる役目として柏木という抜擢は選手起用のチグハグさを感じずにはいられません。



<"本田の時代は終わった"のか?>
honda10032.jpg

巷ではこのイラク戦を受けて清武、原口の躍動と本田、香川の限界説⇒『世代交代待望論』が根強いですが果たして本当にそうでしょうか?


その要因について考える上で続いて日本の攻撃を検証していきたいと思います。


この試合での日本の攻め筋はとにかく徹底して外⇒外で中への打ち込みは皆無といってよい状態でした。
何故なら中に打ち込んでロストした場合のカウンターが怖いから。



【ハリルJAPANの外⇒外】
間受け出さない1008-1

局面は左から右へ攻める日本のビルドアップ。本田が上手く相手ボランチの脇に入り込んで間受けを狙う得意の形。

SBの酒井が高い位置を取っているのと背後のDFの関係を首を振って確認しているので、間違いなく本田のビジョンには今⇒で書かれている中⇒外ルートとDFの寄せが甘ければ前を向いて裏へのスルーパスor清武とのワンツー等が頭に描かれているはず



間受け出さない1008-2

クルッと身体の向きを変えて逆サイドを見るベーハセ

え・・・?出さないの??

清武も出せって手を使って指示してるし本田も「マジかよ!?」みたいなリアクション




間受け出さない1008-3

あーCBに下げて逆サイへの対角にしちゃったよ・・・⇒吉田の40Mサイドチェンジは精度が低くて直接タッチラインを割る

これでマイボールがみすみすイラクのスローインから再開ですか。
まあ、確かにカウンターは受けずに済んだけどね!


続いてもう一つ


間受け1008-1

こちらもCB森重がフリーで運んでいるタイミングで本田が中、酒井が外の連動
イラクの左SBに対して2対1を作っているので今タテパスを打ち込まれるとイラクはアプローチ出来ない

よし!グランダーのタテパスだ!フンメルス!



間受け1008-2

え?ここでも外⇒外なの!?ビビってるの?



間受け出さない1008-4
何すか?この腰の引けたチキンサッカーは?

あの状況からGKへのバックパスって嘘でしょ?

これで「機能しない本田」とか本気ですか?


いや、確かに左サイドはこの外⇒外でもいいと思いますよ。左SHが原口だから。


【左サイドの外⇒外】
左原口1008-1

CB⇒CB⇒SB⇒SHというお手本のような外⇒外ルート




左原口1008-2

原口得意のファーストタッチでタテに外して・・・




左原口1008-3

そのままスピードに乗って仕掛けて大外の逆サイでは本田がゴール前へ
この形なら本田もセカンドトップとして機能するし左サイドの攻め筋は配置した駒と合致していたと思います。


実際、後半1-1に追いつかれて逃げ切りを図るイラクが5-4-1の守備に移行してからは
日本の攻め筋はこの左サイドの外⇒外しかなく実質「戦術原口」のような状態になっていました。


でもこの原口の単騎突破はアジアでは通用しても世界では確実に潰される事は分かっているはずなんですよ。
外を有効に使いたいなら一度中に打ち込んで相手の守備ブロックを絞らせる必要があるし、
中を使う為に外、外を使うための中を上手く使い分けていかないと戦術的に整備された守備ブロックなんて絶対崩しきれませんから。


だから本田を置いている右サイドはこういう崩しが必要だったんです↓


【本田を活かす右サイドの攻め筋】
右本田崩し1008-1

局面は右から左へ攻める日本のビルドアップから
SBの酒井が幅を取ってイラクのSHを外に引きつけた事で出来た中央のパスコースに本田が顔を出す

これが「外」をオトリに使った「中」の崩し


右本田崩し1008-2

この日の両チームの布陣を噛み合わせれば相手2ボランチの背後でトップ下の清武はフリーになれる配置になっていたんですが
外⇒外一辺倒の攻めだとその利点が活きていませんでした。

清武(香川)を活かすならやっぱりこの攻め筋、中⇒中でバイタルに落とし・・・



右本田崩し1008-3

相手の守備がギュッと中に絞ったところでワンツーからサイド突破!
中⇒中⇒外のこのルートこそ最後の「外」のスペースを広くしてあるので決定機につながるし、パスで先手を取っているので本田のスピードの無さは問題になりません。

これが左の原口とは違う右の本田を活かす攻め筋ではないでしょうか。


本田「ここに入れば簡単に崩せるのになという場面の意思統一。そこに関しては本当に改善が必要かなと思います。もっと簡単に崩れると思うんですよね。」




vahid-halilhodzicjapan-national-teamjpok_z3vegsuatimb1nybdcd2jlxzs.jpg
<ハリルは日本サッカーの時計を20年巻き戻すつもりなのか>


ハリル『今までやってきた美しいつなぎは確かに出せなかったが、今回は強い気持ちと勇気でもぎとった勝利だった。』


試合後のコメントを読む限りハリルもこの試合の日本の戦い方が本来の戦い方とは思っていないフシは伺えます。
徹底したリスクの排除、相手の前プレはタテポンで回避し、ブロックを敷かれればカウンターを恐れて中にタテパスを打ち込む事なく外⇒外からの個人突破一辺倒。

この日の日本代表で最も”勇気”に欠けていたのは指揮官のハリルだったのではないでしょうか。


僕はこのイラク戦を見ながらその昔、といってもたかだが20年前の話ですが日本サッカーにとって「W杯出場」が悲願だった頃のアジア予選を思い出していました。

当時、日本サッカーと世界との距離など誰も正しく認識していなかったので宿敵韓国はドイツ、イランイラクなどはアルゼンチンばりの強敵に見えていた時代が確かにそこにあったのです。
(韓国相手にたかだか1点先制したら慌てて5バックでベタ引きを始めるような時代でした)

とりわけ中東勢のカウンターには繰り返し痛い目を見せられていたので日本の中東コンプレックスは根深く
当時の加茂監督は「中央でパスミスすると中東のカウンターが危険だから中央へのタテパスは禁止。サイドならリスクも低くて済む」と公言し、「中央突破禁止令」を敷いていたほど。

しかし世界のサッカーではまさにその時、バイタルエリアを巡る攻防が本格化し、その為の戦術多様化が始まっていた頃だったので衛星放送で食い入るように最先端のサッカーを見ていた中学生の自分は本気で発狂したくなるようなもどかしさをこの国の代表に感じていたものです。


あれから20年-
ハリルがイラク戦で見せたサッカーはまさにあの頃の日本代表そのものです。

何故今更、中東のカウンターにビビって腰の引けた日本代表など見せられなければならないのでしょうか?

イラクに逆転勝ちしたぐらいで精根尽き果てたようなフラフラの指揮官の姿を見ると不安になります。
モウリーニョだったら「君たちは今予選のレギュレーションを今一度よく確認した方が良いのではないか?10試合のリーグ戦で1勝1敗1分のスタートだったとしても突破には何ら問題は無い。だが今日は途中出場の選手が期待に応えてくれたお陰で更に良い状況になったね。それについては非常に満足しているよ(ウインク)」ぐらいケロっと言ってくれたはず。


采配面でもかなりグラついてきた感は否めません。

最後たまたま山口が逆転ゴールを決めた事で帳消しのようになっていますが同点の状況から勝ち点3を目指すカードとして
山口投入はロスタイムまで攻撃面での貢献度は低く、むしろチームの攻撃力を下げる交代になっていた点は見逃すべきではないでしょう。

そのロスタイム弾にしても結局外⇒外の戦術原口をイラクに見透かされて膠着していた状況に業を煮やした選手達が自発的に吉田のパワープレーを決断した副産物。

最後、打つ手が無くなったら結局「吉田のパワープレー頼みかよ」という状況は2014W杯時から何ら手持ちのカードが増えていない事も意味しています。


ゲームプランと選手起用のミスマッチも気になるところ。

外⇒外の攻め筋でいくなら右SHはそれこそ斎藤学で良かったのではないでしょうか。
逆にこの配置で行くなら当然右と左の攻め筋はそれぞれ異なるものにカスタマイズする必要があったのにも関わらずそこが徹底出来ていないせいで右(本田)が機能しない状況を自分達で作り出してしまいました。


最後に。

サポーターが目の前の勝敗に一喜一憂するのはいいですが指揮官がアジア予選ごときの勝敗でチームのスタイルをブラしているようでは世界では絶対に勝てないと断言出来ます。

サッカーでは37本シュートを打ったのに勝てない時もあれば、こんな内容の試合でもロスタイムにシュートが入って勝ててしまう時もあるのです。

「中東の笛」でゴールが取り消されれば「極東の笛」でオフサイドが見逃されもする。


だからこそ最終予選は10試合総当りで戦う事でそういった不確定要素が是正され、最終的にはチームの総合力が順位に反映されるフォーマットになっているのです。

一番危険なのはそういった内容の分析もなく目先の結果に引きずられて自らのスタイルをコロコロ変えてしまう事。


勝ち点3を取れたのだからこのスタイルで今後も行きますか?


今一度冷静になりましょう。


本日の閉めはそんな今の日本サッカー界にピッタリな明言を










『サッカーではリスクを冒さない選択こそが最もリスクの大きい選択となる-』










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