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新しい風が吹いたハリルJAPAN ~日本×サウジアラビア~

表紙1122
<新しい風が吹いたハリルJAPAN ~日本×サウジアラビア~

どうも皆さん、1ケ月振りです。

その間、海外クラスタからは「完全に日本代表応援ブログやないか」と言われ、
代表ファンからは「ツイッターを炎上させてる暇があったらブログ更新しろ」「原口のインテンシティを見習え」「どうせガッキーのドラマ見てブヒブヒ言ってるだけだろ」などなど、数々のごもっともなお叱りを受けて猛省中のダメ人間です。



・・・さて、アジア最終予選シリーズもようやく折り返し地点まで来ましたね。
(これで次の更新まで3ケ月休め・・・ry)

今回は日本の快勝に終わったサウジアラビア戦からその要因を検証していきたいと思います。
では日本のスタメンから。

日本サウジ1122

前回、この最終予選でも最も厳しい試合となるアウェイのオーストラリア戦では
最悪「勝ち点1でもOK」のプランでボールを相手に譲り「受け」の姿勢で臨んだハリル。

世論は「香川&本田外し」に動いていましたが、老獪なゲーム運びで勝ち点1を確保する試合に指揮官が何よりも重視したのは「経験値」でした。

その結果、清武が外れ本田、香川の2トップ(縦関係)で守備のファーストラインを決めるという人選に到っています。


翻って今回のサウジ戦は残りのスケジュールを考えても絶対に勝ち点3を「取りに」にいかなければならない試合。

当然、守備でも受けに回るのではなく前から積極的に奪いに行くプランになるので
前線は経験値よりもインテンシティを重視した若手中心のメンバーに入れ替えてきました。


<間延びした4-4-2と日本のインテンシティ>

試合前、目下グループ首位、しかも指揮官はあのファンマルワイクという事で不気味さが漂っていたサウジ。
しかし蓋を開けてみれば恐れるに足らず、非常温いチームだったと言えるでしょう。


サウジは守備時4-4-2で2トップが前からプレスをかけにきましたが
組織的な連動性に乏しくDFラインの押し上げは極めて緩慢。

結果、現代サッカーではほとんど見かけなくなった「間延びしきった4-4-2」のラインとラインの間で日本の攻撃陣が躍動。
特にこれだけバイタルが広ければ清武は常にフリーで間受けが出来るカモネギ状態でした。


【間延びしたサウジの4-4-2】
清武間受け1122-1
20年前のプレミアリーグかよwww



清武間受け1122-2
清武(試合後のコメント)『今日は相手があまりついてこなかったので、常にボールを受けられました。』



この間受けを嫌がってサウジのSHが中に絞れば・・・


閉められたら外112-1
シンプルに外を使うまで


このように序盤からサウジの「中途半端な前プレ」と「間延びした4-4-2」という戦術的に最悪の組み合わせにつけ込んで日本は自由にタテパスを出し入れ出来ました。

勿論、サウジのDFラインが押し上げられなかった要因の一つとして、やはりこの男の存在は無視出来ますまい・・・・











7b7bf783.jpg
一体どこのイブラヒモビッチだよwww




この圧倒的な「預けとけばキープしてくれる感」は半端無い!
(むしろ赤いチームで喘ぐ本家より10倍機能してる)


原口『(大迫の存在は)大きかったですね。収まり方がやっぱりすごいので、僕も前を向いて仕掛けられるシーンがたくさんありました』


結局日本代表の構造として1トップが身体を張って2列目のタレントを活かすという構図はザックがCFに前田を置いていた時の作り方と全く同じです。

日本はいつの時代も2列目にタレントが集中するので、彼らを活かそうと思ったら自然とこういうチーム構成になってしまうんですよね。

そしてこのタテパスが入る状況に今回セレクトした「前線のインテンシティ」が加わるとハリルが狙いとしている「タテに速い攻撃」の全貌が見えてきました。

では実際の試合から日本代表が見せたブンデスレベルのゲーゲンプレッシング⇒連続攻撃のコンボを見ていきましょう。


【ハリルが理想とする攻守一体化】
タテパスGプレ1122-1

局面は中盤で日本がボールを奪い返した瞬間から。すぐに空いている清武にタテパスが入れられる





タテパスGプレ1122-2

このタテパスを清武がコントロールミス。しかしタテパスで失っているのでサポートに上がってきていた山口、原口がそのまま守備に移れる





タテパスGプレ1122-3

ボールを奪い返したサウジのCBに強度の高いプレス





タテパスGプレ1122-4

ファーストプレスでこれだけパスコースが限定されていれば後ろはインターセプトを狙いやすい

長友が狙い澄ましたインターセプトでサウジの1本目のパスを奪う





タテパスGプレ1122-5

サウジは中途半端に攻撃に出ている瞬間なので大きなチャンスに繋がる二次攻撃となった
(ゴール前に走りこんだ久保にタテパスが出て横で大迫がフリーの決定機につながる)



大迫のキープ力とサウジのDFラインを1人で引っ張れる存在感、清武の間受け、原口のインテンシティといったように日本のゲームプランとチョイスした駒がガッチリ噛み合っていました。

そのかいあって前半は日本が圧倒的に主導権を握り、ハーフタイム間際に大迫の超絶キープから2列目が追い越せ、飛び出せの波状攻撃を仕掛けてPKから先制点を奪う事に成功。





<思考停止のデュエルに潜む危険性>
E4B985E4BF9DE8A395E4B99F2016E382B5E382A6E382B8E688A6E7ABB6E3828AE59088E38184.jpg

前回のオーストラリア戦が「受け身」の守備だった事もあって殊更このサウジ戦の躍動感が日本のファンに好意的に受け取られているのは分かりますが、メディアがその一面的な見方に乗っかってしまうのは危険ではないでしょうか?

この2戦の違いは本田、香川が「いる・いない」以上にそもそものゲームプランとそれに伴う駒のチョイスが全く違ったわけで・・・。


確かにサウジ戦の日本の守備はハリルの口グセになっている「デュエル」の一端を日本のサッカーファンに示すに充分だった事でしょう。

しかし、ここでは同時にそこに付随する危険性の方にも目を向けてみたいと思います。



【日本の特攻守備が持つ危険性】
ボラのチャレ&チャレ1

局面は守備時4-4-2で守る日本の守備から
(久保と原口は逆ね)

球際での「デュエル」を強調されている日本はここでもボランチの長谷部が厳しくボールに寄せる





ボラのチャレ&チャレ2

・・・・が、取りきれずにボールを逆サイドへ展開される。

この時の山口の動きに注目
見ての通り、逃がされたボールを追ってアタックをかけています。

しかしボランチの長谷部がアプローチして逃がされたボールに相棒の山口が出て行くという事は
ボランチの守備が「チャレンジ&チャレンジ」になっているという事。

つまりどうなるかと言うと・・・





ボラのチャレ&チャレ3
そりゃあもうバイタルがポッカリ空く!

ついでに言うと原口もボールに寄せているのでこの守備での日本の中盤4枚は「チャレンジ&チャレンジ&チャレンジ&チャレンジ」だ(笑)






ボラのチャレ&チャレ4

そんで、ここにタテパス打ち込まれたらDFラインは後退するしかない!


確かにボールに対して全員「デュエル」している・・・のかもしれない。
が、これでは中盤の連動性というものを全く欠いてボールにただ突っ込むだけの特攻守備になっている。

【日本の中盤4枚の動き】
チャレンジ&チャレンジ

本来中盤の4枚は1本のロープで結ばれているかのように左が出れば右が絞り、真ん中が出れば両脇が閉める・・・といった具合に一つの生命体として動かないとスペースが空いてしまいます。

日本人は言われた事を生真面目に受け取り過ぎるが故の思考停止ってのはカテゴリー問わず「日本サッカーあるある」ですなぁ・・・。



そしてもう一つ、日本の守備の継続課題となっているのが最後尾の押し上げ

間延び1122-1

局面はサウジがGKまで下げたバックパスを日本の2トップが追って前プレをかけているところ

しかし2トップの高さに対して中盤の2列目、そして2列目を押し上げる最終ラインが付いてきていません。
(本来は今2列目がいる高さにDFラインを敷きたいところ)




間延び1122-2

だから蹴られたボールに対してCBがアプローチ出来ない変な空間が生まれています。





間延び1122-3

結局、こぼれ球をこのスペースで拾われて、1人早めに深さをとる吉田とのギャップからDFラインはバラバラ。
前プレがサウジのロングボール1本で失点のピンチに。


このように圧倒していたに見える前半の戦い振りにも日本の守備が抱える危うさというものは確かにそこにあったという事を見逃すべきではないでしょう。






<プランBは「経験値」の投入>
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スターティングメンバーを「自分達から仕掛けて取る」メンバーで組んで狙い通り1-0リードで折り返した日本。
ハリルとすれば後半は当然リスクを抑えてサウジが出てきたところをカウンターで叩くオーストラリア戦に近いプランBへ変更となります。

となれば「経験値」の本田投入はこれ以上無い明確な戦術的交代だったのではないでしょうか。

実際、後半の日本は本田が入った事でタテへの推進力こそやや失ったものの、
バタバタした展開が消えて明確なハーフリトリートからのショートカウンター狙いに切り替わっています。

ちなみに本田はファーストプレーから続けて3本、受けたボールを「タテ」ではなくキープからのバックパスを選択。
指揮官の意図を汲み取って、まずチーム全体に後半は何をすべきかを示す極めて戦術的なプレーだったと思います。


ここからハリルは更に60分過ぎに「当初の予定通り」清武を下げて香川を投入。
よりオーストラリア戦に近いメンバー編成へ移行しています。

ではその本田&香川投入で日本の攻撃がどう変わり、追加点を生んだのか検証してみましょう。


本田2点目

局面は後半、西川のロングボールのセカンドを本田が拾い、それを見た原口が裏へ飛び出す瞬間

前半はここで裏に出してヨーイドン!が多かったですが・・・




本田2点2

本田はキープを選択してSBの長友が上がって来る時間を稼ぐと満を持して2人のコンビネーションでサイドを突破





本田2点3

時間を使った事で全体の距離感が近くなり、クロスに対する中の厚みも生まれています。
(香川のスルー?から原口が押し込んでダメ押し)


これが本田、香川、長友らザックJAPAN組が得意とする遅攻で同じクロスからの得点でも1点目と2点目の違いにハリルJAPANの幅が現れています。


但し、勿論メリットあればその裏にデメリットあり・・・なので、後半のザックプランだと当時と同じ課題が顔を覗かせてきます




【後半のザックプランが抱えるリスク】
本田守備問題1122-1

局面は日本が中盤でボールを回している場面。
注目は右SH本田のポジショニングでやはり「定位置」に入ってしまっている・・・




本田守備問題1122-2

で、この状態でボールを失うと日本は右SHがいない状態で守備をスタートせざるを得ない

長谷部がこれに気付いて山口に空いてる右サイドを埋めるよう指示




本田守備問題1122-3

急場しのぎの陣形で守る日本となるが、ここからサウジにボールを回されると・・・




本田守備問題1122-4
中盤の守備がカオス過ぎwwww

ブラジルW杯のコートジボワール戦の悪夢再び

これが本田を使う時のメリットとデメリットですね。




<ハリルJAPANに警鐘を鳴らす失点>

とはいえ、試合終盤までサウジのシュートを2本に抑えてホームで2-0。
あとはこのまま試合を閉じて文句無しの勝ち点3かと思われた後半90分、ケチのつく1失点でした。

この失点はサッカーの厳しさというか、やはり前半から確認されていた日本の守備の問題点が凝縮されたハリルへの警笛のようなものだったように思われます。


【日本の課題が凝縮された失点シーン】
失点1122-1

局面は終盤、パワープレー気味の攻撃に切り替えたサウジのロングボールから



失点1122-2

これをこの日、空中戦で無双していた吉田が跳ね返す。

と、同時に日本はDFラインを押し上げてセカンドを高い位置で回収しいきたいところ。

ところが・・・・



失点1122-3
ピクリとも押し上げないDFライン!


2枚上の画像、最初のロングボールを跳ね返した位置と比べても1センチも押し上げられていません。

これだとただのベタ引き守備でセカンド拾われてのロングボール地獄になるぞ~





失点1122-4

ほらねー、SHの本田がここまで落ちてきたらセカンド拾えませんって



失点1122-5

その必然として波状攻撃を受ける日本。
そして↑ここでも中盤4枚の連動性が皆無なので、山口と長谷部のボランチ2枚がディアゴナーレを作れず並列に並んでる状態。




失点1122-6

やっぱり中盤4枚が1本のロープで繋がってたらボールと逆サイドのボランチ&SHはここまで絞ってきて欲しいですよね




失点1122-7
ほーら、真ん中を真っ二つに割られたー!

ドリブルでボランチの間割られてバイタル侵入されたら守りきるのは厳しいですよ
(スルーパスを裏に通されて失点)


失点を振り返ってみると「押し上げてコンパクトに出来ない最終ライン」「連動性が皆無な中盤」という日本の課題がモロに露呈した形になっています。



<今だからこそ敢えて"ハリルのサッカーは世界で勝てるのか?"を問うべきだ>
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最終予選も半分を消化し日本は3勝1分1敗の勝ち点10で2位。

結局初戦のUAEで躓いたと言っても首位のサウジがこのレベルだったり、オーストラリアがタイに勝ち点を落としたりで終わってみれば順当な順位に落ち着くのがこの総当り戦というフォーマットなんですよね。

この5試合を振り返るとハリルのサッカー哲学というものも少しづつ分かってきたのではないでしょうか。

その日の相手、自分達が置かれた状況からゲームプランを導き出し、そこに最適なメンバーをチョイスする。
誰がエースで誰と誰だとベストメンバーという概念は多分この監督にはないはずなので日本のマスコミやファンが好むその手の話題は本質的には無意味だと内心鼻で笑っている事でしょう。


ハリル「私は毎回このチームの強みは組織だと言っている。もちろん、何人かの選手はトップパフォーマンスではない。ただ、私は躊躇なくより良い選手を選んでプレーさせた。全員をリスペクトしていて、私は「スター選手はチームだ」と言っている。」

「私はずっとこのやり方でやっている。今日はグループを見せてくれた。ひとつのチームは11人でできているわけではない。
16〜18人、それ以上の人数で決まるものだ。各自が先発を目指した競争がある。私はこういうやり方でやっていく。」



UAE戦後にはかなり騒がしかった周囲もだいぶ沈静化されてきました。
しかし、だからこそ今、敢えて問いたい。

「ハリルのサッカーは世界で勝てるのか?」


確かに日本の戦い方の幅はプランBを持たずに惨敗したザックJAPANより確実に広がっています。
その意味では前回のアンチテーゼに充分応えていると言えるでしょう。

しかし、あらゆる事態を想定して「事故」を起こさない準備の仕方は、どちらかと言うと強者が躓かない為のものではないでしょうか。


過去のサッカーの歴史を振り返ってみてもW杯で日本がアップセットを起こすとしたら一局集中型のスタイルによる一点突破しかないと思います。

そのスタイルがハマれば突き抜けるし、ハマらなければ何も出来ずに敗退・・・・これが弱者のあるべき姿だと思うのです。


ザックの4年間はハマった時の躍動感と打つ手が無い時の絶望感の落差が大きく、
肝心の本番の結果がトラウマになっているのは分かりますが、その経過と選択までが全て誤りだったのかどうかを誰も検証していません。


ハリルJAPANがこのままいくと恐らく本大会では悪いなりにもザックJAPANよりはしぶとく勝ち点を稼ぐ一方、
ハマったとしてもザックJAPANほどの確変は望めないだろうな・・・というのが今から透けて見えるのです。


忘れてはならないのは、我々はアジアを戦いながら同時に「世界も見据えなければならない」という視点だと思う次第。













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