スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アッレグリの決断 【2010/11のACミランを検証する!】

*2011-01-06更新 (アーカイブ記事)



今季の「チーム検証シリーズ」でミランだけ先延ばしにしていたのは実は理由があります。



それは今季開幕時のミランと現在のミランとでは、

とあるチーム事情から”まったく別のチーム”になってしまった為、

それぞれのサンプル試合数がある程度溜まるまで様子を見ていたんですね。



そこで今日は満を持して

ミラニスタお待ちかねの「今季のACミランを検証」してみたいと思います。




<古き良き浪漫主義フットボール>



今季、レオナルド監督の後を継いでACミランの指揮官に就任したのは、

昨季まで万年セリエAのエレベーターチームだったカリアリを見事な手腕で中位争いまで引き上げた

新進気鋭の若手監督アッレグリ。



この 昨日までスーパーファミコンで遊んでいた子供にいきなりプレステ3を渡すかのような大抜擢は

イタリアでも注目されていたはず。



そして、そのアッレグリが今季のミランを率いるにあたって

まずは「レオナルドのチーム」の戦い方を引き継ぐ事にしたのも ごく自然な成り行きだろう。



「レオナルドのチーム」とはイタリア国内で”4-2-ファンタジーア”と評された

4枚のDFライン,2枚のボランチの前に"セードルフ+ロナウジーニョ、ボリエッロ、パト"の3トップが並ぶという布陣。


つまり戦術、決まり事と言える部分は4-2までの部分だけで

あとは前線4枚のファンタジーアに賭けるという

選手の能力を全面的に信頼している実にレオナルドらしい古き良きブラジルスタイルだ。




<4-2-ファンタジーア>

2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0580030210966113975.jpg



アッレグリが送り出した今季開幕からのミラン「初期バージョン」はこの並びそのままに

CFをボリエッロから新加入のイブラヒモビッチに置き換えたもの。



ぱっと顔ぶれを見ても分かる通り・・・・非常に濃い(笑)


そしてバランスが悪いww


ロナウジーニョ、イブラ、セードルフ、ピルロは皆、「人を使う」選手であり、

パトにしても一度足元でボールを受けたがる選手なので基本的には"待ち"の姿勢。




要するに誰がボールを持っても



「おい、誰か走ってくれよ」



「じゃあ、お前が走れよ」



「いや、お前が走れって」



「いやいや、俺はここで待ってるからお前こそ・・・」



のエンドレスで

いつまで経っても「・・・どうぞ どうぞ」とはならないのだ。(笑)




じゃあ、結局誰が走るのよ というと

大御所芸人にアゴで走らされるのは売り出し中の若手芸人の役目っつう事で

両SBの若手2人になる。



アントニーニやアバーテからすれば

あのロナウジーニョ先輩やイブラ番長にアゴで「来い!」と合図されれば

上がっていかない訳にはいくまい。ww



しかも必死にパシらされている最中に

先輩がアッサリとボールを取られたりした日にゃあ、

今度は急いで守備に戻らねばならない。



要するにこのチームは個々の質は高いが、動きの量が絶対的に足らないのだ。




その結果、前線、中盤の運動量不足のしわ寄せがSBに回る通称「SB涙目システム」

というイビツな布陣が出来上がってしまった。



こう見ると何故、突然SBに若手2人が抜擢されたのか非常に分かりやすい。ww





<ミランの守備を検証する>



そして何より、このフォーメーションの一番の特徴であり泣き所でもあるのが守備。



何故ならこの顔ぶれでは前線の3トップが全く守備に参加しない為、

相手ボールの際は4バック+中盤3枚(2ボランチ+セードルフ)だけで守りきらねばならないのだ。



もっと分かりやすいように実際の試合の映像を使って

このミランの守備隊形【4-3】の2ラインを見てみよう。



2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0432025410966125704.jpg


この画はCLにおける対Rマドリー戦から。



ここで「クラシコ レビュー」で紹介したRマドリーの守備陣形が

基本的には4枚のDFライン+5枚の中盤(Cロナウドを除けば4枚)だった事を憶えているだろうか?



これは別にRマドリーに限った話ではなく、

現代サッカーにおける基本的な並びである。


4枚のDFに5枚 or 4枚の中盤を合わせた合計8~9枚で守備ブロックを築かなければ

現代サッカーの洗練された攻撃を防ぎ切るのは不可能。


これが現代サッカーが辿り着いた一つの回答なのだ。




翻って、この↑の図はミランが相手に中央から攻められた時の基本的な守備陣形が描かれているが

中盤の3枚が中に絞っている為、

どうしたって両サイドのスペースが空いてしまっているのが分かるだろう。




更に特筆すべきは画面の中に3トップの誰1人映っていない事。ww


要するに全く守備に参加せず前線で待っている訳だが、

これではミランは守備時、常に退場者が出た状態で戦っているようなもの。



この画でボールを持っているエジルにしても

後ろから挟みにくるプレッシャーが皆無の為、楽にプレー出来ているのが分かる。



補足として今度は相手にサイドから攻められた時の守備陣形を見てみよう。



2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0431025310966157708.jpg



ミランのボランチ2枚がサイドに寄せている為、

今度は黄色い円で囲った真ん中のバイタルエリアがぽっかりと空いてしまっている。


更にゴール前で待つレアルの2枚に対し、

ミランのDFが数的同数になってしまい数的優位を作れていない。



そして相変わらず3トップの方達の影も形も見えない(笑)



ちなみにこの画からの流れで、結局Cロナウドにサイドをえぐられると

最後はこのぽっかり空いたバイタルエリアをエジルに使われ、ゴールを許している。



このRマドリー戦は結果こそ2連敗を免れたものの(1敗1分)、

試合内容では完全に圧倒されていた。


さしずめ、現代サッカーの最先端を走るモウリーニョのRマドリーが

古き良き時代のサッカーを叩きのめした試合といったところか。




<アッレグリの決断>



このレアル戦を経て、アッレグリもさすがにこのシステムの限界を感じ取ったのだろう。


この試合を境にメンバーとフォーメーションを一新。


ロナウジーニョをバッサリ切って、ベンチに下げる決断を下すと

時を同じくしてパトが怪我で離脱した事もあり、3トップを諦めて2トップに変更。


更に中盤の人数不足と運動量不足を解消する為にガットゥーゾとフラミニを起用し、

中盤は3センター+トップ下にセードルフを並べた4-4-2へ。


前線は基準点のイブラの周りをロビーニョが衛生的に動くという

それぞれの役割がハッキリした関係に。



<ミラン 10/11 NEWバージョン>
2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0580030110966252218.jpg


これがピタリとハマった。


布陣を変更したレアル戦後のセリエA7試合は6勝1分の絶好調。


では、この大ヒットの要因を探っていこうと思う。




【甦ったフラミニ】




まずはベンチで燻ぶっていたフラミニの蘇生に成功。



最近のフラミニといえば、


「ああ・・・そういえばミランにいたんだっけね」


なんて言われかねない地位に甘んじていた男。



”4-2-ファンタジーア”というカオスの中で全く持ち味を活かせずにいたが、

元はといえば、あのアーセナルが躍動したフラミニ、セスク、フレブ、ロシツキーによる

"黄金の中盤四銃士"の1人。



渋滞気味だった前線がスッキリとした事で走りこむスペースが生まれ、

ガットゥーゾ、アンブロジーニというパートナーを得た事で

ピッチ上を縦横無尽に駆け回る"アーセナルのフラミニ"が甦った。



今では、イブラのポストプレー⇒走りこんできたフラミニ の形がミランの重要な攻撃形の一つになっている。




【天上天下唯我独尊】



そしてもう1人、復活の狼煙を上げた男がイブラヒモビッチである。


思えば昨季、バルセロナの高度な攻撃戦術の中でどこか窮屈そうにプレーしていたイブラ。




しかし、中盤に人数を割いたこのシステムで最前線のイブラに託された役割とは


「とにかく奪ったボールは全部お前に集めるから、あとは独りで何とかしてくれ」


というもの。



しかしこれがイブラを甦らせる最善の方法なのだから皮肉なものである。



浮き球のロングボールを胸トラしての余裕しゃくしゃくボールキープ、

完全に相手を見下したドリブルの仕掛け、

そして反則級のシュートセンス。



今のイブラはユニフォームの色こそ青×黒の縦縞から赤×黒に変わったものの、

天上天下唯我独尊のプレーぶりは完全にインテル時代のそれ。



システムが整備された事で甦ったのがフラミニなら、

自由を与えられた事で復活したのがイブラというところだろうか。





<改善されたミランの守備>



もちろん一番肝心な守備も大きく改善された。


再び実際の試合映像を使って、どう改善されたのか見ていこう。



2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0563031410966248887.jpg


見てお分かりの通り、中盤に人数を増やした事で

4-4のモダンな2ラインに前線のロビーニョも下りてきて9枚で守備ブロックを構築している。



レアル戦の画と見比べるとまるで別チームのようだが、

この2つの画の間には僅か1~2週間の時系列の違いしかない。



もう1つ、サイドから攻められた時の守備はどうなっただろうか。


2011-01-06_13-27-37_entry-10759876574_o0607030310966248888.jpg


この画ではサイドから攻め込もうとする敵ボールホルダーに

3ボランチの内の2枚と下りてきたセードルフでトライアングルを形成して囲みにかかっている。


3ボランチの内の余った1枚がしっかりとバイタルエリアを埋め、

ゴール前の最終ラインでは3対2の数的優位が築けている。


つまりレアル戦で確認出来た守備の課題を全て解決している事が

この画からも確認出来るだろう。




<セリエA 勝者の方程式>



このシステム変更には、実に気鋭のイタリア人監督らしいロジカルがつまっている。



中盤の3センターによる守備の安定は

あのマンチーニが率いてセリエAの覇権を独り占めしていたインテルの

ヴィエラ、カンビアッソ、サネッティによる3センターと全く同じ発想だ。



そしてイブラを前線の基準点として、後ろから選手が飛び出していく攻撃の形。


これもイブラをトッティに置き換えれば、ローマの"0トップシステム”の亜流である事は

セリエA通の方ならピンとくるはず。



つまり近年のセリエAにおける【勝者の方程式 いいとこ取り】というロジックが

このシステム変更の根底にあると見る。






このシステム変更でミランがこのままスクデットまで突っ走るかどうかは

蓋を開けてみないと分かりません。




ただ、非常に個人的な意見で言えば、

ロナウジーニョがいる浪漫フットボールの方で優勝して欲しかったなぁ・・・

というのは僕の贅沢な要求でしょうか?(^^;




関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

soccertentyou

Author:soccertentyou
年間300試合観戦のサッカー馬鹿によるサッカー馬鹿の為の戦術分析ブログ

【メールアドレス】
wowow_2000(あっとまーく)yahoo.co.jp

サッカー店長のつぶやき
最新記事
最新コメント
カテゴリ
読んだ記事が面白かったら1クリックをお願いします↓
サッカーブログランキング
更新カレンダー
07 | 2017/03 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
マイベストサッカー本10選
広告リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。