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ナポリ躍進の秘密を探る 【4バック全盛時代における3バックの考察】

*2011-05-13更新 (アーカイブ記事)








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<今季のセリエAを沸かせたナポリの躍進>



ACミランの優勝で幕を閉じた今季のセリエA。




ミラン優勝の分析についてはまた別の機会に譲るとして、

その前に シーズンを振り返る上でどうしても外せないチームがある。


それが最後まで優勝戦線をかき回してくれたナポリである。


もしかすると今シーズン、

セリエAとELをスルーしてた人の中には「ナポリかよ・・・」と思われる方もいるかもしれないが、

このナポリ・・・・・来季はCLに参戦してきやすぜ。



という事は貴方が応援しているクラブとCLの舞台で対戦する可能性は充分にある!と。


かと言って、今季ナポリについての報道のされ方は

「カバーニ! カバーニ! カバーニ!」で終始されており、


そんな雑な触れ方あるかよ・・・www

という個人的な思いもあって、



今日は今季のセリエAを大いに沸かせてくれたこのナポリについて深く考察していきたい。



<異端の3バック>


それではナポリの基本フォーメーションから見ていきましょう。


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まず目に付くのは何と言っても「4バック」が主流の現代サッカーにあって異端の3バックなのである。



だからと言ってナポリは決して時代遅れのサッカーをしている訳ではないし、

3バックとは名ばかりの両WBベタ引き⇒5バックの引きこもり弱小サッカーをしている訳でもない。


むしろ時代の流行を逆手に取り、3バックを自分達の強みとしているチームである。



各セクションを見ていくと

まず3バックの3人はクラシックな"人に強い"ストッパー3枚を並べてゴール前をしっかり固めている。


イタリアサッカーファンにとってはあのカンナバーロ弟が

地元ナポリでこうして活躍しているのは何とも嬉しい話だろう。




続いてボランチの2枚には昔ながらの「守備的MF」が2人が並び、

彼らがゴール前に上がったりする事は滅多にない。




この布陣のキーとなる両WBは

派手な個人技こそ無いが鬼の運動量を誇る まさにうってつけの人材が2人。



ドッセーナ、マッジョは共に90分、1人でタッチラインを上下動出来るタレントだ。



そしてネームバリュー的にも一番見栄えが良く

ナポリがクローズアップされる時に真っ先に語られる前線の3枚は

ラベッシ、ハムシク、カバーニと個々の能力も高い3人が揃った。



パス、ドリブル、シュートと3拍子を高いレベルで備えたハムシクは

今や総合力で欧州トップクラスのMF。



そのハムシクがパスを主体に崩しを計るMFなら

ラベッシはゴリゴリの典型的アルゼンチン型ドリブラー。



ゴールに背を向けてボールを受ける事が多い最前線のCFから

今季は少し下がったこの1・5列目シャドーストライカーのポジションで

そのドリブルが活きている。



最後にCFのカバーニは言うまでもなく「今季セリエA最大のブレイク」。


得点王争いでも26得点で2位につけている。




以上、パッとこのチーム構成を見ていくと

「前線に能力の高い3枚」はいるものの、


中盤から後ろは違いを作り出すというよりは各々の仕事をこなす職人タイプの選手で固められており、

どうしても「中盤の構成力」という点で一線級のビッグクラブには一歩劣る。




ともすれば、7人で守って攻撃はカウンターから前線3人の個人技頼みという・・・

典型的な「セリエAの中堅~弱小チームのサッカー」になりかねないチーム構成だ。



チームを率いるマッツァーリ監督は

どうすればこの戦力で最大限の成果を出しうるかを考え抜いたはずだ。



そこで導き出されたのが「3バック」という答えだったのである。



<3バックでサイド攻撃を>


今季ナポリが採用している「3-4-2-1」という布陣は非常に特殊だ。


見ようによっては「3-4-3」気味にも見えるが

決して"イケイケ"のサッカーではないし、

かといってDFとMFの7枚で自陣に引きこもるような事もない


非常に攻守のバランスを重視したサッカーを展開する。



その上で自分達が「異端の3バック」であるという事を最大限、

アドバンテージとして利用するのである。


・・・では、そもそも何故3バックが異端なのか?


それは、とどのつまり現代サッカーが

「サイドを制すものが試合を制す」と言われるように

「サイドの攻防」に主眼が置かれた結果と言えよう。



故に、今ではどのチームでも両サイドにSBとSH(又はウイング)の2枚を置いて

攻守に最大限サイドを活用していく。



すると両サイドのエリアに1枚しかプレイヤーを置かない3バックは

どうしてもサイドの攻防で後手に回ってしまい

サイドを上手く活用したサッカーが展開できない



・・・・というのが一般論として定説になっている。



面白いのはナポリのマッツァーリ監督がこの定説を逆手にとり

「3バックによるサイド攻撃」を展開している事。



この独自の戦術メソッドこそが

「カバーニ!ラベッシ!ハムシク!」では語りきれない

ナポリ躍進の要因と見た。



<3バックによる両翼上げ>


繰り返しになるが、「3バックが異端」という事は

裏を返せばナポリの対戦相手のほとんどが4バックを基調としているという事。


それもほぼ4-4-2か4-2-3-1(4-3-3)に収束される。



ナポリの特徴は、この布陣の相手と戦う時、

両翼のWBを思い切って同時に上げる点にある。




ここで実際に3-4-2-1のナポリと

フラットな4-4-2の3列布陣のチームとが対戦した時、

ピッチ上に現れる両布陣の噛み合わせを見ていこう。




【3-4-2-1と4-4-2の噛み合わせ (ナポリの両WBが上がる)】
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水色の丸で示したのがナポリで左から右に攻める側。(3-4-2-1)

黄色い丸が仮想の対戦相手で右から左に攻める側。(4-4-2)


通常、3-4-2-1の両WBは

相手側4-4-2の両SHの手前にいて、そのマーク役も兼ねるのが普通なのだが、

ナポリは敢えてそれを無視するように両翼を上げてくる。



すると どうなるか・・・・?



2011-05-13_16-53-27_entry-10890442956_o0600035011225513031.jpg


やはり黄色チームの両SHはこの動きについていかざるを得ず、

結果としてボールを奪った際、攻撃の基点を担うべき黄色のSHが

DFライン手前の低い位置まで引っ張られてしまう。


この動きによって、まずナポリは相手の攻撃力を割く事に成功し、



中盤の攻防を「4対4」から「2対2」にする事で

(中盤のセンターには両軍のボランチ2枚同士しかいなくなってしまう)



自軍のボランチ2枚(決して展開力があるとは言えない2人)の

プレッシャーを軽減させる一挙両得作戦。




では、この動きを実際の試合の映像から確認してみましょう。



取り上げるのはELの「ナポリ×ビジャレアル」の一戦から。



この試合、ビジャレアルはまさにこの図の通りのフラットな4-4-2を採用。



右のSHには攻撃の基点として司令塔のVバレーロを起用してきました。




【ナポリ×ビジャレアルの検証】
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右から左に攻めるのがナポリ。


局面はラベッシが得意のドリブルでボールを運んでいる最中。



中央にはカバーニを頂点に、その下にハムシク、ラベッシが並ぶ

綺麗なトライアングルを形成。



注目の両WB ドッセーナとマッジョが

同時に最前線まで上がっているのが確認出来るだろう。



ボールが左サイドにある為、

ボールサイドのSHに位置するVバレーロがドッセーナの上がりを無視する訳にもいかず、

完全に引っ張られて DFラインまで引いてきてしまっている。



この「両翼の同時上げ」自体は

バルサやアーセナルも採用している攻撃戦術の一つとして珍しくはないのだが、


基本的には相手を圧倒的に押し込める攻撃力を持った

ごく限られたチームが採用する戦術と考えるのが普通だ。




何故なら、この状態でボールを奪われれば

DFラインにはCBの2枚しかおらず、

加えてアンカーの位置にMFを1枚しか残していないバルサのような布陣であれば

カウンターの際、致命的なピンチに陥る可能性が極めて高い。



(まあ、現実にはバルサの場合、そもそもボールを奪われる事が稀だし、

奪われても即奪い返す守備戦術がセットになっているだが・・・・。)



そこでナポリの場合、3バックが活きてくる。



両翼を上げようとも、そもそも3バックのナポリは最終ラインに3枚CBが待機しており、

更にボランチの2枚も攻撃に上がらない為、

常に5人は相手のカウンターに備えている万全体制。




この絶妙な「攻守のバランス感覚」こそがマッツァーリ監督の真骨頂と言えるだろう。



では続いて、この「両翼上げ」が最も活かされる

攻撃での崩しを見ていこう。




【"両翼上げ"からの崩し】
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局面はハムシクがボールを持って攻めの機会を伺っている場面。



ここでもハムシク-カバーニ-ラベッシの綺麗なV字が描かれていますね。



両WBのマッジョとドッセーナは既に両サイド目一杯に張ってスタンバイ。



右SHのVバレーロはここでもドッセーナに引っ張られて

ビジャレアルは5バック状態。




ナポリはハムシク、マッジョで一度右サイドにビジャレアルを引っ張っておいてから、

今度は逆サイドのラベッシに展開。



【右で引っ張って⇒左へ展開】

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ラベッシに展開したハムシクはその足でゴール前へパス&ゴー!


この右で引っ張ってからの左への展開で

どうしてもナポリのラベッシ&ドッセーナに対し、

ビジャレアルは数的不利に陥ってしまい

ボールを受けたラベッシにきつく当たりに行けない。


(Vバレーロがラベッシに当たりに行くと今度はドッセーナがフリーになってサイドをえぐられる危険性大。)


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余裕をもってゴール前をルックアップ出来たラベッシからクロスが送られる。



ナポリの攻撃の形はこのサイド攻撃から

必ずCFのカバーニはもちろん、

加えて2シャドーの内の残り1枚(右からハムシクが上げる場合はラベッシが飛び込む)、

更に大外で張っていたSHも飛び込むパターンが確率されている。




分かりやすく別角度からもう一枚。


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まずは「両翼上げ」で相手のSHを引っ張ってカウンターの威力を下げ





サイドからサイドへの展開で数的優位を確立





余裕を持ってのクロスに3枚がゴール前に飛び込む





それでも守備体勢は万全






・・・どうでしょう?



なかなかによく練られたシステムですよね(笑)





<カバーニ!カバーニ!カバーニ!>
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それでも最後に、このカバーニについて触れない訳にはいかないだろう。


ミランでもインテルでもユーベの所属でもない

このストライカーが突如シーズン26得点というのは

間違いなく今季最大のサプライズだった。



果たして2010年W杯、

ウルグアイ代表としてフォルランとコンビを組んでいたこのFWの事を

一体何人の人が覚えていただろうか・・・?



かく言う店長も


「何かフォルランの横にいたような・・・いなかったような・・・・」


ぐらいが正直なところ(爆)




カバーニの特徴は常にシュートシーンに備えて

90分、準備をし続ける生真面目な性格。



そして「ここぞ!」というタイミングで

一番相手のプレッシャーがきつい・・・でも裏返せば一番相手にとって危険なエリアに

身体ごと飛び込んでいける勇気。



最大の武器でもあるファーサイドからニアサイドへ斜めに走りこんでくる動きは

"全盛期のラウール"を彷彿とさせる。



そしてカバーニを語る時についつい忘れられがちだが、

何と言ってもその「いち速く守備に切り替える」献身な姿勢は外せない。


チームのトップスコアラーが

最前線から全力で守備をしているのだ。



他のチームメイトがこれでサボれる訳があるまい。





やはり近代サッカーにおける「FWの理想像」として

これからますますこの「いち速い守備への切り替え」は外せないものとなってきそうだ。





その点で、同リーグで

ゴール前でふんぞり返っているイブラの行く末が少し不安だったりする・・・。(^^;

(でもそんなオレ様なイブラが好きなんだけどねwww (どっちだよ!!))




他チームからの引き抜きに耐え、「この陣容のまま」という条件付きではあるが、
来季のCLでは充分にベスト16を狙えるチームに仕上がっていると見る。



もし、陣容を維持したまま、更に2~3人中盤に戦力を加える事が出来れば・・・・。




なかなかに楽しみなチームが来季、CLの舞台で見られそうだ。



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