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『メッシの為のチーム』か『チームの為のメッシ』か? 【アルゼンチン×ボリビア】

*2011-07-04更新  (アーカイブ記事)








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<『メッシの為のチーム』か『チームの為のメッシ』か?>



「果たしてアルゼンチン優勝候補足りうるのか?」



その疑問を探るべく、今日はコパアメリカ2011の開幕戦、

地元アルゼンチンとボリビアの一戦をレビューしていきたいと思います。



まずはアルゼンチンの布陣が注目された両チームのスターティングオーダーから。



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開幕戦で強豪アルゼンチンを迎え撃つボリビア。



今回のボリビアにはメッシのような「個」の力で違いを作り出すタレントこそいませんが、

チームとしてはアルゼンチンより遥かに完成度が高く、

攻守に組織的なサッカーが出来る好チーム。


4-4-2の非常にオーソドックスな布陣で、

アルゼンチン相手だからと言って「メッシ対策」のような特別な事をするでもなし、

いつも通りの自分達のサッカーで立ち向かっていきました。



そんな小細工無しの試合だからこそ、アルゼンチンの力量を測るには格好の相手とも言えます。




さて、注目のアルゼンチン。


バチスタ監督は今大会の大事な緒戦で、

まずは「バルサでのメッシ再現」に全力を傾けてきました。



したがってフォーメーションはバルサと同じ"メッシをCFに置いた"4-3-3です。




中盤はブスケスの位置にマスケラーノを置き、ここを守備の際の防波堤として設置。



・・・やはり代表のマスケラーノは一味違う。


普段、バルサのように圧倒的に相手を押し込む試合では見られない

彼の「個でボールを奪う力」が存分に発揮された。


ボリビアの攻撃時、アルゼンチンのDF陣はブロックを形成して待ち受けているのが基本だったが、

その前で実際に相手からボールを奪う汚れ仕事はほぼ100%マスケラーノが受け持っていた。


鋭いタックルに鬼のようなカバーリング。

この日、アルゼンチンが記録したボール奪取の8割近くはマスケラーノが記録したんじゃなかろうか?



前任の監督が組織的な守備に一切手をつけずに去ったチームにあって、

実質的にこのチームは「メッシのチーム」ではなく、「マスケラーノのチーム」とも言える。




続いて、中盤の「イニエスタ、シャビ」の役割をバネガに託したバチスタ監督。


昨年のW杯では「運ぶ」「崩す」「決める」の全仕事をメッシ1人に背負わせた反省から、

このチームにおける「運ぶ」役割を担うのはゲームメイカーのバネガに分担。

取られそうで取られない、実にアルゼンチン人らしい粘り腰の利いたキープ力と

ボールを運べる推進力、そして広い視野を持つ展開力は、

若い頃から将来を期待されていたその才能がいよいよもって今大会でブレイクか?




マスケラーノとバネガが自分達のポジションをしっかりと受け持つ「静」のプレイヤーなら

カンビアッソは「動」のプレイヤーである。


メッシが中盤に降りてきた際の前線の駒不足を補う為、

何度となく前線のオープンスペースに顔を出していた。


いわばバルサでいう「ケイタ」的なポジションである。



このようにDFと中盤の陣容には、それぞれの駒に明確な役割を与えてきたバチスタ監督。


個々の役割さえカオスな状態だった前任者と比べると、これだけでも改善された方である。


だが、彼の狙いが最も顕著に現れたのは前線の3トップにおける そのメカニズムだろう。




<アルゼンチンで再現された(?) メッシの0・5トップシステム>



アルゼンチンの3トップは両翼にラベッシ、テベスという陣容。


先日の記事にいただいたコメントでは、

アルゼンチンが3トップにする際の用兵としてディマリアの起用が人気を集めていた。



・・・・そう、確かにアルゼンチンが召集した前線の駒を見てみると

唯一このディマリアだけが「生粋のウインガー」としての資質に恵まれている。



では何故、バチスタ監督は3トップを敷いたこの開幕戦でディマリアをベンチに置いてまで

テベスとラベッシの器用にこだわったのか?


彼の狙いを、3トップのメカニズムから探っていこう。




【アルゼンチン 3トップのメカニズム】

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そのメカニズムの基本はこうだ。


まずはメッシがCFの位置からお馴染みの「下がる」動きを見せる事で

「メッシの0・5トップ」が発動。


この時、両翼のテベス、ラベッシが前線に留まる事で、

相手のDFラインはこの位置に設定せざるを得ない。

(メッシには付いていけない)


ここまでの流れはバルサと全く同じである。



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低い位置で一旦ボールを受けたメッシが

得意のドリブル「メッシ無双」で中央突破を開始。


すると相手の4バックは誰か1人がメッシに当たりに行き、

残りの3人が中央に絞ってカバーするというのが

ゾーンディフェンスにおける鉄則である。




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メッシに1枚当たりに行った事で、ただでさえ3枚になった最終ラインが

更に中央に絞った事で両翼のテベス、ラベッシにはスペースが与えられる。


この瞬間を狙ってメッシが両翼にパスを出し、

受けたウイングがゴールを狙う。



これがバチスタ監督が描いたプランだった。


つまり、両翼はウイングでありながら、その仕事は「ゴールを決める事」にあり、

したがってディマリアではなくテベスとラベッシが起用されていたと見るべきであろう。



実際の試合で見られたこの「アルゼンチン式3トップ」のメカニズムを検証していこう。




【アルゼンチンの3トップが見せた崩し (前半)】
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ラベッシとテベスが両翼一杯に張って相手DFラインを引っ張り、

見事に中央のスペースが空いているのがお分かりいただけるだろうか。


ここに「メッシ無双」が突進。



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たまらずボリビアのDFラインはCBが1枚飛び出してメッシに当たり、

残りの3枚が中に絞ってカバーリング。


この瞬間を見逃さず、すかさずメッシが右のラベッシへラストパス。


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狙い通り抜け出したラベッシがそのままシュートを打つも枠を外れる。




もう1つ、今度は左のテベスがシュート役になった崩しの形を前半から見てみよう。





【アルゼンチンの3トップが見せた崩し2 (前半)】

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このシーンでもテベス、ラベッシが前線に残って

空けた中央のスペースに今まさにメッシが入っていかんとする瞬間。


バネガがスピードに乗ったメッシへ向けてパス。



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このシーンでもボリビアはすかさずCBの1枚がメッシに寄せて、

残りの3枚が中に絞っている。


繰り返すが、この動きは4バックにおけるゾーンディフェンスの鉄則なのだ。



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このシーンでは既にスピードに乗っていたメッシが、

その勢いを利用して前に出て来たボリビアのCBをかわし、なおも中央を突進中。


更にボリビアDF陣を真ん中に釘付けにする。




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ボリビアDF陣を充分に引き付けておいてメッシから左のテベスへラストパス。


テベスのニアサイドを狙ったシュートはGKの攻守に阻まれる。





このように前半からバチスタ監督の狙いとする形はピッチに描かれていた。

メッシも昨年のW杯と比べれば、格段にやり易そうに「メッシ無双」を見せていた。


にも関わらず、このチーム全体を覆う、どこかスッキリしない停滞感は一体何だろうか・・・?


事実、前半のアルゼンチンは1点も取れていない。




それは、このゲームプランが全て「メッシ1人がプレーしやすいように」組まれたものだからだ。



「メッシの為にスペースを作っている」と言えば聞こえはいいが、

両翼のテベス、ラベッシは試合中、メッシ無双が発動するまで

ひたすらハリボテ=カカシのように両サイドに突っ立っているだけだ。
このシステムの中では、そこに「いる」事こそが彼らの仕事なのだから。
彼らまで中盤に降りてしまえば、敵のDFラインを引っ張っておけないし、

中央に入り込めば今度はメッシの為に空けておいたスペースが台無しになってしまう。



・・・・それはそうなのだが、

果たしてこの試合を見ているテベスやラベッシのファンはどう思っただろう?


毎週、マンチェスターCやナポリの試合で見せている

テベスのゴリブルもラベッシのグイグイ中に切れ込んでか~ら~の弾丸シュートは

全てメッシの犠牲になっている。


それどころか、ラベッシは縦に長い距離をえぐってからの折り返しという

普段やり慣れない仕事のせいで、クロスはほとんど失敗に終わっていた。



仮に店長がテベスやラベッシの個人的なファンだったとしたら・・・・きっとこう言うね。



「本当はこんなもんじゃないんだからね・・・!」




この両翼に限らず、その他全てのポジションにおいても

「いかにメッシを活かすか」だけを逆算して作られたようなこの布陣では

各選手がそれぞれのパフォーマンスから3割減の出来を強いられていたのが

前半のアルゼンチンにおける裏の顔である。



そもそも崩しに成功していた形にしても

↑の試合画をもう一度よく見ていただければ分かるのだが、

フィニッシュのシュート角度がどうしても狭くなってしまっている。


(良くて45度あるかないか?)



しかも、この形では本来、その決定力をフィニッシュに使いたい「メッシ無双」が

崩しの段階で終わっており、肝心のメッシにシュートチャンスが巡って来ない。



何故、バルサでは上手くいっているはずの【メッシ 0・5トップシステム】が

アルゼンチン代表では不発だったのか・・・?


それはバルサに見られる 「崩し」の段階で一度使った「メッシ無双」を

フィニッシュの際にもう一度使う 複雑なコンビネーションが

時間の無い代表では再現出来なかった事が大きいのではないだろうか。



バルサでは両翼を張らした状態から、

空けた中央のスペースにビジャなり、ペドロなり、シャビなりが入り込んできて

メッシから受けたパスをワンツーのリターンで返し、

そのまま真ん中をメッシが突き抜けていくという お馴染みの形がある。



ただ、この複雑なコンビネーション形成には長い時間を要し、

(加入間もないビジャは、まさにこの日のテベス、ラベッシのごとき「カカシ」状態で機能していなかった。)


何より、中途半端な連携でこの動きを取り入れてしまうと

"メッシが使いたいスペースにフタをしてしまうだけ"という

マイナスの結果を生む事にもなりかねない。




よってこの日、バチスタ監督が実現しえた「バルサでのメッシ再現」というプランは

このレベルが限界と見るべきかもしれない。





< 『せめて・・・・アルゼンチンらしく』 >


チームに漂う停滞感を感じたバチスタ監督は後半、

「バルサ再現」のプランを放棄。


カンビアッソに代え、生粋のウイングであるディマリアを投入し、

テベスを1トップに据えて、メッシをトップ下に配した4-2-3-1に布陣を変更してきた。



「事前に用意していたプランB投入」・・・・と言えば聞こえはいいが、

実際のところアルゼンチンは大会中に試行錯誤していくしかなかったのだ。



【アルゼンチンの布陣変更 (後半)】
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これでアルゼンチンは各自が自分の得意なポジションと役割に収まり、

ディマリアを使ったクロスなど攻撃に横幅が出来始める。



後半開始早々にバネガによる

「お前・・・・実はボリビアのスパイだろ!www」レベルの珍オウンゴールで失点をくらうも内容では徐々に盛り返していった。



そして、待望の同点弾は、前半にはなかったそのディマリアのクロスから

これまた途中交代のアグエロが決めている。


(布陣変更が功を奏した)



それにしても、このキレキレのアグエロがベンチで、

Dミリート、イグアインに至っては出番すらないとは・・・・(^^;


ボリビアの監督でなくても「だったら1人ぐらいウチに貸してくれ…!」と言いたい。(笑)




・・・だが、チームが機能し始めていく中にあって1人、

前半の輝きが消えてしまっている選手がいた。







メッシである。




前半、自分の為に空いていたスペースに後半は1トップのテベスがいる。
それならそれで、ポジションチェンジを交えたり、

タテ並びのコンビネーションを使えばいいはずなのだが、


(マンUにおけるエルナンデスとルーニーの関係みたく)



メッシというのはこれでいてなかなか「戦術的に融通が利かない」タイプの選手であり、

どうしても自分の型にこだわってしまうんですね。



・・・するとどうなるか?



前がテベスで詰まってるなら、もっと下に降りて自分の前に空いたスペースを確保したい。


後半のメッシは頭の中がそれで一杯だったんでしょう。



実際の試合映像から「そこまで降りるかwww」という

メッシの彷徨えるポジショニングを検証していきます。




【 「さまようメッシ」があらわれた! (後半)】
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この局面ではボランチのマスケラーノ、バネガのすぐ横まで降りてきてボールをもらっています。


メッシの前に見えている緑で結んだラインが、ボリビアの中盤のラインですので、

本来メッシがいるべき「中盤とDFラインの間」というポジショニングからは

だいぶ下がってきてしまっている事になりますね。


確かにここまで降りてくれば、前には誰もいませんが

ここから「メッシ無双」を発動させてもゴールまでは遠く、

これでは昨年のW杯と何ら変わりありません。





ここでは1トップに途中投入のアグエロが入って、テベスが右のウイングに回っていますが、

それにしてもトップ下のメッシと1トップのアグエロのこの距離感といったら・・・・!


これでは1トップとトップ下のラインはボリビアの中盤のラインで完全に遮断されてしまっています。



事実、後半のメッシはドリブル開始地点が低くなり、

ほとんどボリビアの中盤に潰されていました。




・・・しかし、ここで注目すべきは

メッシが輝かなかった後半の方が「チームとしては輝いていた」というポイントです。



ここにメッシという希代のタレントを抱えた監督のジレンマがあります。




理想を言えば、「メッシ」も「チーム」も輝くシステムの構築なのは間違いありません。


・・・と言うより、そのシステムを構築出来ない限り、

この先に待つ強豪国との対戦、南米王者への道は厳しいと言わざるをえません。



試合終盤、メッシが中盤で「運び」に徹し、ドリブルからシンプルに両翼に展開⇒サイドのクロスから中にアグエロ、テベスが飛び込む! という形が良く機能していました。



どうやらここら辺を起点に、メッシとチームが最も輝けるポイントを探っていく大会になりそうです。





負けるにしてもせめて・・・・・アルゼンチンらしく!







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