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なでしこが掴んだ世界の頂点 【女子W杯決勝『日本×アメリカ』 レビュー】

*2011-07-19更新 (アーカイブ記事)








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<なでしこJAPAN かく戦えり>


世界一を賭けたキッカーとして熊谷がペナルティスポットに向かうその刹那、
僕の頭の中に過去のW杯の名勝負が走馬灯のようによぎりました。



2006W杯決勝-


「フランス×イタリア」の一戦はお互い一歩も譲らぬ一進一退の攻防で120分を戦っても決着つかず。

そう言えば、この死闘を締めくくった最後のキッカーもDFのグロッソだったっけ・・・。


ふと僕がそんな事を思い出してしまったのも、
この女子W杯決勝『日本×アメリカ』という一戦がそんな伝説の試合と並びうる
本当に素晴らしい試合だったからだと思います。


お恥ずかしい話 僕自身、
これまできちんと「女子サッカー」と向き合ってきたかと言われれば、
必ずしもYESと即答出来ない自分がいます。


過去の五輪でも


『ああ・・・そうか。今日は女子の試合"も"あるのか』


『ベスト4進出ねぇ・・・。 "女子は"頑張ってるんだから、男子ももうちょっとなぁ・・・』


正直、そんな「男子サッカーの延長上」「男子のオマケ」程度の認識しか持っていませんでした。



そんな僕にとってあの決勝戦は一つのエポックメーキングに他なりません。

この試合と出会えた幸運によって
「女子サッカー」という競技が持つ独自の醍醐味とその奥深さに気付かされたものです。


一般的に女性は男性に比べ、感情表現が豊かと言われていますが
アメリカ代表の剥き出しにした「王国のプライド」と「勝利への執念」、
なでしこが見せた「折れない心」と「満員の観客の中でボールが蹴れる幸せ」
そしてどんな判定だろうと、主審に文句を言う前に もう次のプレーへ頭を切り替えている潔さは女性ならでは。



・・・さて、この名勝負を前に果たしてどうレビューしたものだろうか?

本音を言ってしまえば、どう書いたところであのゲームの前には「試合負け」必至だろ・・・という。(^^;




<女子W杯決勝 【日本×アメリカ】 レビュー>



よくサッカーを構成する三大要素として「テクニック・フィジカル・メンタル」というものが挙げられます。


これまで見たところ、このアメリカを始めドイツ、スウェーデンなど

女子サッカーにおける世界のトップレベルとは

男子以上に、より"フィジカル"で優位に立つチームが有利な構造のようです。


このピラミットで上位に立つには

女子なのに"まるで男子ばり"のシュートや脚力を持っているとう

言わば「女子」という規格からいかに外れた選手を持っているかが重要になってくるのでしょう。

今大会もそういった"規格外"の選手を要するチームが上位に進出する傾向があったように思います。


そんな中で、我らが"なでしこ"だけは、そういった選手を持たず、

世界の主流とは間逆の「フィジカルに頼らない」サッカーでここまで勝ち進んできました。



アメリカからすれば、これまでのなでしこの勝ち上がりを見る限り

いかに彼女達の良さを出させずに自分達の良さを出し切るか、

そして終盤に驚異的な粘りを見せる日本には

出来ることならば前半のうちに勝負を決めてしまいたい。


そんなゲームプランでこの一戦に臨んだはずです。



<アメリカのサッカー>


キックオフ早々からアメリカの猛攻が始まります。


アメリカの特徴は「タテに速い直線的なサッカー」


ゲームを速いテンポで進め、

攻撃はタテ1本の長いパスから1対3、2対4という自分達が数的不利な状況でも

早めに日本DFライン裏のスペースでの勝負に持ち込んできました。


アメリカから見ればお互いの攻撃陣と守備陣が揃った中での8対8や9対9という【総力戦】よりも
「1対3」や「2対4」という【局地戦】に持ち込んだ方が個々の能力差で圧倒出来ると考えたのでしょう。


要するに「高さと速さ」に勝る自分達の良さを考えて

「よーいドン!」のかけっことクロスボールの「競り合い」なら必勝という読みですね。


そして、実際にその狙いは的中していました。



サイドを「速さ」でぶっち切って、折り返しを「高さ」で決める。

アメリカの「シンプル・イズ・ベスト」な戦術に為す術なく押し込まれる日本。


だが、彼女達はこれまでこのトーナメントを勝ち上がってきた経験と

自分達のサッカーに絶対の自信を持っていた。


「ここを耐えれば必ず流れは自分達に来る」


ピッチのイレブンが一つの確信を元に必死のディフェンスでピンチを凌いでいく。


次第にコンパクトな陣形を敷いてチーム全員で守る日本に対し、

アメリカの勢いが時間と共に失われていく・・・。


「パスの距離が長い」という事は「走る距離も長い」という事だ。


やりたい放題に見えた前半のアメリカだって実は苦しいのである。




<試合はメンタルの領域へ>




試合は後半、日本がペースを掴み始めるとだいぶ敵陣でボールを回せるように。

・・・しかし、これが失点への布石になるのだからサッカーは怖い。


手数をかけた攻撃からシュートのタイミングを逸した丸山が

一気にアメリカDFの包囲網に遭いボールロスト。

そこからタテ1本の「よーいドン!」で抜け出した快速モーガンに先制点を決められてしまう。



これで「フィジカル」対「テクニック」で均衡していた試合からアメリカが一歩リード。

ここから日本が追いつくには「テクニック」に加え「メンタル」が必要になってくる試合終盤。


なでしこ達の「あきらめない気持ち」が同点弾を生みます。



高い位置でボールを奪った途中出場の永里から中への折り返し。





これに身体を張って飛び込んだ丸山




DFともつれあうように倒れる丸山


逆サイドから詰めた宮間は諦める事なく全力疾走でボールへ急行!





日本列島『まだまだまだまだ・・・・!!!!!』



日本中の気持ちに背中を押されたように、

すぐさま立ち上がった丸山と詰める宮間でボールに迫る。


これを見たアメリカのCBは倒れこんだ体勢のまま、必死のクリア!



こんな時、丸いサッカーボールがどこに転がるか-


それは偶然であり、必然だ。


・・・そう、古今東西、こんな時あのイタズラなボールは必ず「気持ちが強い方へ」転がるのである。



このクリアボールがもう1人のアメリカDFの膝に当たり奇跡的に宮間の前にこぼれる…!!


しかしアメリカのGKソロがこの宮間に対しても驚異的な反応を見せ、

シュートコースを防ぎにかかった…!



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しかし、宮間はこのGKソロのポジショニングを見て、

この体勢からとっさに左足アウトでソロの逆を突くスーパーテクニック!!


「諦めない気持ち」と宮間の「スーパーテクニック」が生んだ執念の同点ゴール!


試合は延長戦へ。



<影のMVP>


しかし、「気持ち」の戦いでは一歩も引けを取らないのはアメリカとて同じ事。


延長前半、これまで沈黙していたエース、ワンバックが再び勝ち越しゴール!



尚、この失点の原因を熊谷のクロス対応に求めるのはフェアではないと思う。



「オイ、男子が1人混じってないか・・・?」「女子か男子かを問う以前に哺乳類かどうかを確認すべき」


そんな"規格外"のワンバックをこれまで100分に渡って抑えてきた熊谷は

間違い無く、この試合の"影のMVP”だと思います。


タテパスにしてもクロスボールにしても"フィフティー”の状況で競り合えば厳しい戦いになるワンバックに対し、

熊谷は徹底して前に出るディフェンスで、ワンバックより先にいいポジションを取ってボールに触る事で

このインチキ・・・・もとい、大エースを完封していました。


あのクロスも前に出てのクリアを試みましたが、

それまで熊谷にいいようにやられていたワンバックが初めて熊谷から離れる動きを見せ

そこにクロスがライナー性の速いボールで送られる二重苦ではどうにもなりません。


しかし、熊谷がいなければこの試合、

延長戦までこぎつける事自体、不可能だったのは間違いないでしょう。



<澤 穂希というプレイヤー>


「さすがにこれまでか・・・・」


日本列島に一瞬、諦めのムードが流れ始めたにようにも思えた時、彼女は何を考えていたのだろう-



代表Aマッチ169試合出場:通産78得点


15歳で日本リーグにデビューし、

その後 大学を中退し、単身 世界トップリーグのアメリカへ。


3度のオリンピックと5度のW杯を経験、


これまでアメリカとは幾度となく対戦し、未だに一度も超えられていない大きな壁を前に

舞台は自身最後のW杯、その決勝、延長後半という状況である。




アメリカの逆転ゴールが入った瞬間、彼女は思わず顔を覆っていた。



その彼女の横で、


かつて「苦しい時は私の背中を見な…」と言われた宮間が、


澤穂希に憧れてサッカーを続けてきた多くの若き選手達が、


「まだいける・・・!!」とばかりにボールを抱えてペナルティスポットへ駆け出していた。




試合後の澤のコメント-


『今大会で優勝できたのは、中堅世代の選手たちのおかげだと思います。

北京五輪の時もいいチームでしたが、あの頃に若手と呼ばれていた選手たちが成長して、すごく頼もしくなりました。

宮間や大野、近賀、矢野などの中堅世代が、さらに若い世代を引っ張ってくれて、
私達ベテランの背中を押してくれました。』




あの日、澤の背中を見て走っていた宮間達が今、澤の背中を押している。




延長後半12分-


千載一遇のCKのチャンス。

それでも普通に蹴っていてはアメリカに高さで勝つのは無理だろう。


CKの前、キッカーの宮間と澤、そして数人の選手達が輪になって何かを話し込んでいた。



高さ勝負では無理、ならばニアへの低いボールに賭けるしかない。


周りがブロック役に回って、誰かをニアへ送り込もう。


問題は誰が・・・?であるが、そんな事は今更みんな分かっていた事だろう。



CKの瞬間、宮間が蹴る前に澤はニアサイドへ向けて一直線に走り出していた。


まるでチームメイト達が作った花道を駆けるように。


宮間の送ったボールはパーフェクト。


しかし澤はゴールに背を向けた非常に難しい体制だ。


澤にゴールは見えていない。



(これまで何万本と打ってきたシュートだ!身体がおぼえてらぁ・・!!)



完璧な角度でボールを反らした右足アウトの超絶感覚・・・!!



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そりゃサッカーの神も惚れるわ・・・!!!///



ここで本当に決めるとか、

もはや・・・「持ってる」「持ってない」ってレベルの話じゃねーぞ!!www




チームで誰よりも走り、パスをつなぎ、ゴールを守り、ボールを運んで、ゴールも決め、チームメイトを鼓舞する。


かつて、こんな完成度の高いプレイヤーがいただろうか・・・?


澤は日本のドゥンガであり、ジダンであり、マラドーナなのだ。






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(思わずこの背中に「ついていきます…!!」と思ってしまった男子、女子は何人いた事だろう?ww)




<日本人がそれを掲げる時>


PK戦は時の運-


そこに技術的なレビューは必要ないので、詳しくは省きます。


ただ、PK戦突入の時、何故か勝利を確信していたのは店長だけでは無かったはず。



それにしてもこれまで何度となく"あのトロフィー"を掲げるフィナーレを見てきましたが、

(マラドーナ、ドゥンガ、ジダン、カンナバーロ、カシージャス…etc)


いやはや・・・これを日本人が掲げたあの瞬間の感覚をどう形容していいものか・・・。



しばらく考えましたが・・・・止めました。



それは貴方の胸に今は確かにある”それ”で充分ですよね?



よぉ~し・・・・最後はサッカーを見始めて18年、ずっと言いたくて言いたくて堪らなかったセリフで締めるぞ~・・・





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『世界一 獲ったど~~!!!!』




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