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コパアメリカ2011総括 【テクニカルレポート】

*2011-07-27更新 (アーカイブ記事)







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<もはやブラジル、アルゼンチンが無条件で勝てる大会ではない>


ウルグアイの優勝で1ケ月間の戦いに幕を閉じた「コパアメリカ 2011」。


今日はこの大会の総括として、躍進した国と期待外れに終わった国のまとめと

「大会から見えてきた南米サッカーの今」をテクニカルレポートとしてお届けしたいと思います。





まず今大会の最大のトピックと言えば、何と言ってもブラジル&アルゼンチンのベスト8敗退だろう。

もはやコパアメリカは彼らが無条件で勝ち上がれる大会ではなくなった。


これは今年のアジアカップ、昨年のEUROを見ても明らかな世界的潮流で

世界のサッカーはますます全体の底上げが進み、レベルが拮抗してきている。


名前の知られていない小国ですら

最先端の戦術、システムを当たり前のように取り込み、

楽に勝たせてくれる国などもはや存在しないかのようだ。


今大会でも長らく「南米最弱」と言われていたベネズエラが着実に力をつけている事を示し、

ボリビア、ペルーといった国々も「組織的なブロック守備の構築」「全員守備、全員攻撃」という

世界の流れを汲んだサッカーを当たり前のように行っていた。



ただ、それらをベースにしながらも、やはり南米大陸の大会という事で

いくつかの"南米らしさ"というポイントも同時に見る事が出来たのではないか。



<1対1を重視した守備>


組織的なディフェンスの方法論というベースの部分では、もはや欧州、南米に大きな差異は見られない。

しかしながら、その中で「何を優先して抑えるか」という優先順位には多少の違いが見られたように思う。


おおまかな傾向として欧州が採用するディフェンスでは

「まず危険なスペースを埋め」⇒「次に人を捕まえ」⇒「最後にボールにアタックする」という順が基本にある。


要するに”最後の危険なスペースさえ使わせなければ失点のリスクは大幅に軽減出来る”という

リスクバランスを重視した合理的な考えだ。



これに対し、今大会でも見られたように南米では

「まずボールにアタックして」⇒「次に人を捕まえ」⇒「ファーストディフェンスが突破されたら危険なスペースに備える」という順で守備を行っていた。


つまり、 ”まず最初の1対1で勝ってしまえばピンチをチャンスに変えられる”という

リスクよりメリットを見る考え方だ。

その根底には自分達の"個の力"に対する絶対の自信が伺える。


今大会では「守備のバランスが取れるまで辛抱する」「数的優位が作られてからボールにアタックする」

そんな甘っちょろい守備はどこの国も行っていなかった。

ピッチ上、全ての選手がまずは目の前の1対1に責任を負って果敢に勝負していった姿がとりわけ印象的だ。


ここらへんは今後、何を置いても「まずは数的優位の形成」を基本とする我々日本サッカーも

大いに見習いたい姿勢である。


サッカーを複雑に考える前に、それぞれが1対1で負けていたら話にならないという至極単純な考え方なのだろう。
予断ではあるが、「ボールへのアタック」が守備の優先順位として高くなっていく傾向は

今後欧州でもどんどん広がっていく可能性が高いのではないか。


それは既に近年のCLにおけるトップレベルの戦いで見られいる潮流でもある。


言うまでもなく、この流れの最先端を走っているのが

あのバルサの「ボール狩り」と呼ばれるディフェンス方法なのだが、

もはや「待ち」の守備を行っているチームは弱小、強豪に関わらず

トップレベルのコンペティションを勝ち抜くのが難しくなっているように思われる。

(イタリアの低迷もこの潮流と無関係ではないだろう)


*Jリーグはこの「ボールへのアタック」の部分が最も世界から取り残されているように感じる。




このように南米と欧州で考え方の違う部分もあれば、共通している部分も、もちろんある。


それは”全ての選手が攻守に渡ってプレーに関与し続ける”という姿勢だ。

これはもはや「現代サッカーにおけるプレイヤーとしての必要条件」と言い換える事も可能だろう。



現在の日本代表で考えても、長友、長谷部、本田、香川らが

何故欧州のトップレベルでプレー出来ているのか推し量れるというものだ。




<躍進した国 没落した国>


続いて今大会で「躍進した国」と「没落した国」を見ていこう。


まずは開催国アルゼンチン。

召集されたメンバーを見るまでもなく、間違いなく本気で優勝を狙いにきていたアルゼンチンは何故ベスト8で破れてしまったのか?


おおまかな敗因は既にレビューでもUPした通りだが、

このチームが始動5ケ月だったというのは微妙に違うのではないか?


ハッキリ言って近年のアルゼンチン代表はバシーレ解任の2008年以降、

3年間を丸々無駄に費やしてきたと言ってもいい惨状だろう。


この間、世界のサッカーが(もちろん南米諸国も)日進月歩で進化している中、

アルゼンチンだけは停滞・・・・・いや、下降線を描いていたというべきか。


優勝したウルグアイの自慢の2トップ、スアレス&フォルランが全力で守備をこなし

文字通り「攻守に関わり続けていた」のに対し、

アルゼンチン自慢の"フォワ充"達は守備の際、前線で味方選手を眺めているだけだったのは

彼らが世界から取り残されようとしている"今"を象徴している。



何よりまず、アルゼンチンが目指すべきは

「メッシに使われるチーム」を脱却し「メッシを使う事の出来るチーム」になる事だ。

その為に次の新監督にはクラブシーンで充分な実績を持つ実力者を招聘し、

長期政権をもってチームを一から作り上げていく事が期待される。


幸い、この国には次のW杯まで「時間」も「人材」も充分残されているのだから―




同じくベスト8敗退組のブラジルだが、こちらは大分事情が変わってくる。


開催国で超絶ガチ仕様だったアルゼンチンと比べると

ブラジルは今大会を若手に経験を積ませる大会として位置づけていたフシが多少なりともある。
中でも3年後の本大会ではチームの主軸を担う事が期待されているガンソとネイマールだ。


ガンソに関しては一つ一つのプレーに確かな技術とセンスの高さを感じるのは間違いないのだが、

まだまだそのテクニックを「チームの勝利」へと結びつける術を知らないと言うべきか・・・。


試合から消えている時間も多く、

「勝敗を決定づけるプレー」「10番としての存在感」という意味で、

現時点ではカカやロナウジーニョと比較出来うるタレントではない。


ネイマールは本来エースとして「チームが苦しい時」こそ値千金のゴールが求められるはずだが、

(かつてロマーリオやロナウドが決めてきたように)

現状、チームが苦しい時間帯はほとんどネイマールは消えてしまっている。


楽な展開の試合、2-0や3-0からゴールを決める事は誰にでも出来る。

ネイマールの真価は初戦やベスト8敗退となったパラグアイ戦でこそ発揮されるべきだったのだが、

現状ではまだまだこれからのタレントと言うべきか。


スーパーサブとして才能の片鱗を見せた18歳のラミレスも含め、

彼ら若手の今後の課題は「トップレベルでの試合経験」、

すなわち欧州チャンピオンズリーグへの参戦だろう。

適切なタイミングで適切なチームに移籍させる事がカギになる。


幸い、メネーゼスがチームに植えつけようとしている方向性の片鱗は垣間見る事が出来た。


チーム力はこれから3年をかけて徐々に上向いていく事は確実。あとは選手個々のレベルUP次第だ。


幸い、ネイマールもガンソも持っている才能に疑いの余地は無いのだから―




続いては、躍進組のペルー、コロンビア、ベネズエラ。


彼らの躍進は過去の南米中堅、弱小国がもっていた雑さが消え、

しっかりと「近代サッカー」に適応してきた事が要因と見た。


ペルーとコロンビアは欧州CLのチームと比較しても遜色ないレベルの組織的ディフェンスを構築。

そこからエースのゲレーロ、ファルカンを使ったシンプルでスピーディな攻撃にチーム全体で意思統一が出来ていた。


ベネズエラは飛びぬけた選手がいない分、「全員攻撃・全員守備」に手を抜かないサッカーが印象的。




そして昨年のW杯に続き、着実に力をつけてきている成長組がウルグアイ、パラグアイ、チリ。


ウルグアイはW杯4位のベースとなった「堅い守備からのリアクションサッカー」に加え

「2トップの決定力を活かした自分達で仕掛けていくサッカー」という新たな引き出しを増やし、

着実にチーム力をつけてきている事を印象付けた。

対戦相手や試合の状況に応じて、色々な引き出しを出せる懐の深さが最大の優勝要因だろう。



パラグアイも昨年のW杯を戦ったチームをベースに

チーム力を落としていない事が準優勝につながった。


相変わらず「中盤の展開力」と「前線の攻撃力」に課題は残るが、

こちらは新鋭ドリブラーのエスティガリビアなど新たな俊英の登場で今後どう解消していくかが鍵。



チリは個人的に今大会最も魅力を感じたチームだった。

ビエルサが蒔いた種がしっかりと芽を出し、昨年のW杯時より更に完成度は上がっていた。


欧州だけでなく南米諸国の多くまでもが「リスクを管理する」実利路線を歩む中、

このチリだけが「飽くなきアタッキングサッカー」を理想に掲げ、独自の道を進んでいる。


CB,ボランチ、SH,ウイングが次々とポジションを入れ替えていくチリの試合は

検証する楽しみに溢れており、「これぞ近未来のトータルフットボール!」と確信した次第。


反面、どうしてもオールマイティなキャラクターの選手が増え、

「スペシャリストの不在」がチームの課題でもあり、魅力でもあるのか。


例えば、このチリにフォルラン、スアレス、もしくはマイコン、マスケラーノのような選手がいたら

楽にもう一つ上の段階に進めるだろう。




総じて見れば、アルゼンチンが停滞し、ブラジルがチーム一新のタイミングで一時的にチーム力を落とす中、

W杯のチームをベースにチーム力を落とすことなく臨んだチームが

そのアドバンテージを生かして上位に進出した大会だったと言えるのではないだろうか。



上の停滞と下の突き上げで、かつてない程に横一線、混戦模様の南米フットボールシーン。


次は、ここから南米全体のレベルを押し上げる為にも

混戦から頭一つ二つ抜け出すスーパーチームの登場を期待したい。





大会の締めは「店長が選ぶコパアメリカ2011 ベスト11」でお別れです。



ラテンサッカーに酔いしれた日々と少しの寝不足をありがとう!コパ!






<店長が選ぶコパアメリカ2011 ベスト11>

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