ミランの【温故知新】バルサの【因果応報】 [CL第1節 ACミラン×FCバルセロナ]

*2011-09-21更新 (アーカイブ記事)








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<ミランの【温故知新】 バルサの【因果応報】 >

・・・・さて、CLも開幕したという事でお馴染みの日本一遅いマッチレビューに参りましょうか(笑)



対象試合は第一節最大の注目カード「バルサ×ミラン」で決まりですね。コレは。



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まずはミランのスタメンから。


何と言ってもエースのイブラが怪我で使えない。
・・・が、これはミランにとって凶と出るとは限らないのがミソ。


もう1人のエース、パトはイブラと同時起用される試合では
どうも真ん中にデンと構える俺様・・・もとい、王様に遠慮してしまうのか
サイドに張ったただのウイングとして持ち味を出し切れていない。


つまりミランにとってこれが「パトの覚醒」という形で出れば「吉」
エース不在の決定力不足という形で出れば「凶」である。


対するバルサはピケ、プジョルの両CBを欠いている。


但し、こちらもこれが必ずしも「凶」と出るとは限らない。


この試合でCBコンビを組んだのは本職がボランチの
マスケラーノ&ブスケスというコンビだが、
2人ともそれぞれCBでは何試合も経験しているし、
現在のバルサが行き着く最終形態としてはむしろこの並びになるのではないか?


DFラインを「守りの最終防壁」と考えるのではなく、
あくまで「攻撃の起点」と見るバルサのコンセプトならば
ボランチ2枚でのCBコンビは必然とも言える進化だろう。


(もちろんピケのように抜群のフィード力を兼ね備えたCBがいればそれに越した事はないが)


かくしてそれぞれのチームが吉と出るか凶と出るかという「不確定要素」を抱えてキックオフを迎えたのである。




<パトの閃き>


この「不確定要素」は結果として片方のチームには「吉」と
もう片方のチームには「凶」と明暗が分かれる形で出る。


キックオフ早々のミランの先制点を検証していきましょう。



【パトの先制点】
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局面はアビアーティが大きく蹴りだしたパントキックのこぼれ球が中盤でパトにこぼれたところ。


中盤とは言え、バルサの異常に高いDFラインから見れば
もうこれは守備における最終局面と言っていい。


通常、この局面ではほとんどのチームがDFラインをじょじょに後退させる事で
味方の戻りを待つ「ディレイ」を選択するはずだがバルサの戦術に「後退」は無い。


ここでもCB2枚と右SBのアウベスが即座のボール回収を目指し、
前方のカッサーノへのパスコースを潰しながらパトが持つボール奪取を狙う。



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パトが前を向いたのを見るやカッサーノは裏のスペースへ向けて一目散にダッシュを開始。
ここがミランの布陣が「吉」と出た瞬間である。


パトとカッサーノのコンビだった事で、この瞬間縦並びの2トップ形成が可能だったが
もしこれがカッサーノではなくイブラだったらここは足元にボールを欲しがる局面で
瞬時の裏抜けは望めなかった事だろう。


というよりそもそもパトがこの中央のイブラゾーンを遠慮して
この位置にいた事すら怪しい。



この2トップの動きに対し、バルサのCBコンビは
ブスケスがカッサーノへのスルーパスを警戒しつつも
DFラインをこの高さに保つ事で、裏のスペースをデッドエリアとするポジショニングをとる。


片やマスケラーノはパトのドリブル突破に備え
「1対1」を挑んでくるようであれば「ここで潰す!」という構え。



この2人がとった選択こそが、まさにバルサのスタイルを象徴している。
仮にこの局面、パトをメッシに、カッサーノをペドロに置き換えて想像していただきたい。


ここで考えられる選択肢はメッシがマスケラーノに「ドリブル」で突破を仕掛けるか
裏へ抜けたペドロへの「スルーパス」という2択以外あり得ない。


あくまでボールを主役に考え、
フットボールを「プレイ」するというバルサスタイルなら
「パス」と「ドリブル」が常にその中心であり基本なのだ。


日ごろ、メッシやペドロといったバルサの攻撃陣と練習を積んでいる
マスケラーノ、ブスケスならこのポジショニングは当たり前だし決して間違いでもない。


しかしパトはここで「バルサのサッカー」という土俵から完全に外れてみせる。

バルサのサッカーからは考えられない「第3の選択肢」に勝負を賭けたのだ。



それは・・・・






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まさかの1人スルーパスwwww



バルサの土俵には乗らず、ここでヨーイドン!の単純なスピード勝負に出たパト。


バルササッカーの複雑なメカニズムに対し
原始的な勝負は完全に意表を突いたと同時にこの土俵はパトの独壇場。


ワンタッチでマスケラーノの背後のスペースの大きくボールを出し、
マスケラーノとブスケスを一気に置き去りに。


その姿はまさしく荒野を駆けるチーターのごとし。
パトはこのまま単騎独走でゴールを決めてみせた。


まさかの「かけっこ勝負」では完全に分が悪かったブスケスとマスケラーノのコンビ。
バルサにとっては開始早々、急造CBコンビが「凶」と出た格好だ。
しかし、このパトのスピードを見ると例えピケが出ていても止められていたかどうかは微妙である。




<ミランの中央閉鎖>


試合前の段階では「攻守分業」の古典的スタイルのミランが
「全員攻撃・全員守備」の近代サッカーの急先鋒と言えるバルサに対し
どこまで耐えられるのかというのを一つのポイントとして見ていました。


開始早々の先制点で迷う事なく守備に重心を置く事が出来るミランは
4バックの前に3センターを並べたブロックが「守備専業」
トップ下のボアテングが唯一攻守に働く「攻守兼用」で
2トップは完全前残りの「攻撃専用」という基本バランス。



通常、対バルサ戦ではフィールドプレイヤー10人の内、
9人~時には10人全員で守備ブロックを形成するチームも多い中、
前線に2枚を残した8枚ブロックは強気のようにも見えるが
そこにはアッレグリのしたたかな計算があった。

その抜群のスピードをもって単騎で決定機を作れるパトを前残りにする事で
バルサはパト1人に対し2枚以上の守備要員を割いてくるだろうという読みである。

望外の先制点もあり、パトを警戒せざるを得ないバルサ守備陣は
結局パトに対しCBの2枚に加えアンカーのケイタを加えた3枚を残して警戒にあたる事に。

つまり前残りのパトがバルサの攻撃力を3枚分削いでいる事になるので
これは下手にパトを守備ブロックに下げるより結果的に自軍の失点リスクを減らす事にもなるのだ。
ちなみにカッサーノに関してはこの日、終始空気であった(笑)

単なる強気から来る8枚ブロックという訳ではなく
その裏付けを紐解く事で実にカルチョらしいリアリズムが隠されているのが分かるだろう。



又、3センターによる中央閉鎖は

昨季モウリーニョのRマドリーが用いたとって置きのバルサ対策を思い起こさせるが、
ミランの場合 昨季からの基本フォーメーションがそもそもこの4-3-1-2なので
これは別にバルサを意識しての布陣では無い。

ミランは自然体のまま、特に前半は3センターとトップ下のボアテングが
常に付かず離れずの絶妙な位置関係を取る事で中央スペースの完全封鎖に成功していた。


【ミランの3センター+ボアテングによる中央閉鎖】
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局面はビジャから「いつもの位置」でボールを受けるメッシ。
一見、明確なマークを背負っておらずパスコースも開いているからこのパス自体は通るのだが・・・?




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ボールを受けた瞬間に前をCBのチアゴシウバが塞ぎ、
後ろからボアテングが挟み込む形に。
両サイドに配置された3センターのファンボメルとセードルフも
メッシの囲い込みに一役買っており、メッシには逃げ場がない。





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さすがのメッシも1対4ではどうする事も出来ずボールを奪われてしまった。

3センターとボアテング、更に後ろのDFラインまでもがコンパクトな距離感を保っている為、
お互いがお互いを補完できる理想的なポジショニングが取れている証拠である。




<ファンボメルの威嚇>



そして、この3センターの・・・いや、現在のミランというチームの中心はファンボメルだ。

昨季途中からこのファンボメルの加入によってミランは生まれ変わった。
もはや「ファンボメルのチーム」と言ってもいいだろう。

その長所はポジショニングが良い、読みが効いている、ボールを奪える、奪ったボールを展開出来る
と多岐に渡り、中盤の底で文字通り攻守の要として機能する。

この試合でも要となる「中盤に降りてくるメッシ」に対し、
試合開始早々に強烈なタックルをかまし
「このエリアの主は誰か」をまずはハッキリさせるなど試合巧者ぶりを見せ付ける。

以降、ファンボメルの睨みを前に、いつもの得意なエリアでボールが受けられないメッシは
中央のエリアを避けてややサイドに流れ始めるのである。

まずは出鼻の勝負でファンボメルに軍配が上がった。



<セリエA最強のCBコンビ>



これに触発されたように、この試合出色のパフォーマンスを見せたのが
「セリエA最強のCBコンビ」である。

バルサの急造CBコンビを嘲笑うかのように
「これぞDF!」「これぞカルチョの真髄!」とも言えるべきワールドクラスの守備を見せてくれた。


実際の試合から検証していこう。


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局面は中盤に引いてボールを受けたメッシパスの出し所を伺っている場面。

メッシがここまで引いてくるという事は当然、
ミランのCBは放置プレー状態となっており、マークすべき選手は見たらない。

しかし、これが「バルサメカニズムの罠」という事は
本ブログ読者の方なら既にご存知の通り。
この時、もしCBコンビが「マークする相手もいないし暇だな~」と
ボケーっとしているようでは次の瞬間、地獄を見る事になる。

この局面で注目していただきたいのはチアゴシウバの顔の向きである。

皆がボールを持つメッシに注視しているこの局面で1人

あさっての方向を見ているが一体何を見ているのか・・・??



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実は先ほどチアゴシウバが見ていたのは
メッシが空けたスペースに右WGの位置からダイアゴナルラン(斜めの走り)によって
今まさに抜け出そうとするビジャの動きであった。

そう、「マークすべき相手のいないCB」と「引いてボールを受けたメッシ」はあくまで囮。
バルサの真の狙いは決定的なスペース(裏)へ抜け出るビジャなのである。

メッシが中盤でボールを持った何でもない局面で
自身の背後を狙う敵FWの動きに対し
首を振ってこれを確認(ルックアップ)するというのは並大抵ではない集中力を要する。

しかし、この何気ない首振りこそが「並のCB」と「ワールドクラスのCB」を分かつ境界線であり、
もし1つ前の局面でシウバがビジャを補足していなければ一気に決定機を迎えていたであろう。



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やはりメッシはビジャを狙っていた。
メッシから裏へ抜けるビジャへスルーパスが出されるが
2つ前の画で既にこれを察知していたシウバがパスコースへ先に入り、インターセプト。

右がネスタ、左がシウバというCBの分担エリアを超え、
ネスタの裏のスペースへ急行したシウバの判断の速さも見逃せない。


時と場合により「お互いがお互いをカバーし、補完し合う」理想的なCBコンビがミランにはある。
続いてネスタの好プレーを見ていこう。


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局面はシャビがボールを持ち前方にパスコースを捜している場面。
前線はメッシが右にフラッと流れたのに合わせ、ビジャが入れ替わるように真ん中に入り

クサビを受けようと手前に引いてくる動きを見せている。

これにシウバが付いていくが
もちろんこれもお馴染みの「バルサの食い付かせパス」である。

真の狙いはビジャがチアゴを食い使せる事で空く裏のスペースに
入れ替わるようにしてメッシを抜け出させる事にある。

しかしこの瞬間にも今度はネスタの顔の向きにご注目。

今にもパスを送ろうかというボールホルダーのシャビから目を離し、
ビジャに食い付かせられている相棒のチアゴと
その裏を抜けようとするメッシのポジショニングを瞬時にここで確認。

ビジャは囮と確信したネスタはチアゴの裏のスペースへカバーリングの体勢を取り始める。


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やはりビジャは囮だった。

一瞬、シャビは手前のビジャに出すかのようなキックフェイントを一つ入れてから
裏のメッシへスルーパスを送る。

しかし、一つ前の画の段階でメッシへのスルーパスを確信していたネスタは
シャビのキックフェイントにも引っかかる事なく
思い描いていた通りのスルーパスのコースへ身体を滑らせる!





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ネスタ『10年早いわ!!』

 ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡ズサァァァーーー!!




間一髪のスライディングでこのパスをカット!



う~ん・・・エクセレント!!

これぞ守備の真髄。


近年、「ルックアップ」と言うとどうしてもシャビに代表されるような
攻撃の首振りばかりが注目されていますが、
実は守備こそ「首振り一つ」が明暗を分ける大事な技術なのです。


本ブログでは何度か嘆いておりますが
この試合を振り返る時、メッシとパトのドリブル突破をVTRで繰り返し流しているような
フットボール文化では僕は悲しいのですよ!



子供達に本当に見せるべきプレーとは何か?

サッカーにおける真の”好プレー”とは・・・?


・・・おっと、ついつい話がまた横道に逸れてしまいそうになりましたが、(^^;
この日のネスタはバルサという最強の強敵を前に素晴らしいプレーを見せていました。

まるで「バレージ、マルディーニの正当後継者」として騒がれていたあの頃のように。

こやつ・・・もしかして相手が強いと燃える性質か?ww



特にメッシとの壮絶な1対1は
まるで94年W杯決勝における「ロマーリオ対バレージ」を思い起こさせるような別次元の戦い。



チームとして見てもバルサの相手の目をくらませる複雑な攻撃と
見事な読みでそれを打ち消していくミランの守備との攻防は非常に見応えがあり、
一概にミランを「時代遅れのカルチョ」とバッサリ切り捨てられない新たな発見がありました。



「温故知新」


一見、バルサが新時代の先頭を走っているように見えても
必ずそれを打ち消す全く新しい方向性があり、
お互い切磋琢磨してフットボールは洗練されていく。



前半は「カルチョ復権」の45分と言うべき内容でした。

しかし電光掲示板が示すスコアは1-1。

・・・何故か?


それは先ほどネスタとチアゴシウバの「首振り」をご紹介しましたが
これを怠った事による地獄をザンブロッタが反面教師として見せてくれたからです。


【ザンブロッタの失態】


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局面は既にトップスピードに乗って突破を図るメッシ無双に対し、
チアゴ、ネスタが懸命に中央の壁となってドリブルコースをサイドへ少しづつずらしていき、
最後はアバーテも加わって何とかシュートコースのない角度までメッシを迂回させる事に成功。


と・こ・ろ・が・・・・


3人が必死にDFしている横で左SBのザンブロッタが完全にボールウォッチャーになってしまっています。

ここで1回でも首を振って裏へ抜け出すペドロを確認出来ていたら・・・
結果は違ったものになったでしょう。

メッシはこの角度ではシュートは無理と判断し、折り返しを図るとそこにはどフリーのペドロが。





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ネスタ、シウバ、アバーテ「・・・・エ?」


ザンブロッタ「・・・え?」




たかが首振り1回、されど首振り1回。
これが世界最高レベルの試合で勝敗を分けるディティールと言えるでしょう。



<ガス欠のセードルフ>


試合は後半、突如としてミランを異変が襲う。

後半も10分を過ぎた頃、セードルフ先生の足が完全に止まり出したのである。
「いや・・・いくら歳だって言っても早過ぎでは?ww」

伏線は既に前半にあった。


ミランの4DF+3センターによる基本守備隊形は

まず真ん中のメッシをCB2枚とファンボメルで抑え、左WGのペドロを右SBのアバーテが
右WGビジャを左SBのザンブロッタがそれぞれ見る。

そして中盤のノチェリーノがイニエスタを セードルフがシャビを捕まえ、
ボアテングがそれぞれのフォローに入るという具合だ。

とりあえずこれで中央閉鎖は完了する訳だが
ではバルサのSB上がって来た場合、誰が抑えるのか?

原則、この布陣の噛み合わせではバルサのSBをマークする選手がミランにはいない。

2トップを前残しにしている弊害でもあるが、
ミランは最後は中央で跳ね返せばいいという開き直りもあり、
SBに関しては上がって来てから抑えればいいという体であった。

それでも左のアビダルに関してはほとんど上がってこない為これでも問題はないのだが
厄介なのが右のDアウベスである。

しかも早々に自分へのマークがいない事に気づいたDアウベスは
早速ウイングと見紛うばかりの高い位置を取り続けるのであった。

ボールを持ったアウベスを完全無視する訳にもいかないので
アウベスにボールが渡る度、ミランは誰かが付きに行かねばならない。

となれば左のCHを担当しているセードルフがスライドする事になるのだが、

セードルフは基本シャビをマークしており、
これに加えて得意なエリアでもある"やや右に流れた位置"に入ってくるメッシも
度々セードルフの担当エリアに入り込んでくる。



【中盤で1対2に陥るセードルフ】
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結果、セードルフはバルサのパスが回る度に目まぐるしくマークを入れ替え
ポジションの修正に追われる事になった。


実際の試合から見ていただこう。



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局面はバルサが最終ラインでボールを回しているところ。

セードルフは流れてきたメッシを見ている。
ここからボールは一気に右の高い位置にフリーで張るDアウベスへサイドチェンジ。




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サイドチェンジのボールが流れている途中だが、
ミランのDFラインが中央に固まり徹底的に封鎖をかけているのが確認出来るだろう。
(バルサの選手は中に入り込んだビジャである)

セードルフはサイドチェンジのボールが出た瞬間、
メッシのマークを受け渡し、自身はパスの先である右サイド奥のエリアへ
急いでポジションを取り直さねばならない。



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余裕を持ってボールを受けたDアウベスが1対1を仕掛けてくるので、
セードルフは休む間もなく応対に追われる。


バルサは前半途中からこのDアウベスが常にフリーな事に気づき
Dアウベスへのサイドチェンジを連発していた事が
後半、セードルフのガス欠を招いたのだ。

ただ、前半だけで見れば、直接右サイドをDアウベスに破られての決定機と失点は無く、
ミランから見ても充分なメリットを見込んだ「SB放置作戦」と見る事も出来る。

バルサ相手に「中央」も「サイド」も完璧に押さえ込む事は端から無理なのだ。
であれば、中央を閉鎖しサイドを明け渡すのが定石であり、ミランが狙っているのは
「肉を切らせて(サイドは明け渡すが)骨を断つ(カウンターからパトで仕留める)」一撃である。

しかし、不運な事に前半にトップ下のボアテングが負傷交代。
これでセードルフの位置にアンブロジーニが入り、変わってトップ下にセードルフが収まったのだが、
冒頭に説明した通りミランのこの布陣に置いて唯一「トップ下」だけは「攻守両面」での働きが求められる。
元々運動量の多さで勝負する選手ではないセードルフに
前半オーバーワークを強いた後のトップ下はやはり無理があった。


しかし、守備時にトップ下のフォローが無ければ完全に前が3枚残りになってしまい
ミランの守備は崩壊する。



案の定、後半は開いた中盤のスペースを使ってバルサの「パス練習」が始まった。

こうなるとミランはボールを「狙って」奪えなくなり、
苦し紛れに奪ったボールは苦し紛れのクリアを呼び
ボールはすぐにバルサに回収される悪循環。

結局、ゴール前での不要なファウルから与えた直接FKを決められて逆転。



やや遅きに失した感は否めないが、アッレグリは堪らず選手交代のカードを切る。

前半から空気だったカッサーノに代えて、MFのエマヌエルソンを投入。
前線をパトとセードルフの縦並びにして中盤を4枚にした4-4-1-1へ布陣変更。


現状打てる中でも定石とも言える一手だが、
この采配にミランの苦しさが現れているとは言えないだろうか?

何故下げるのはとっくに限界がきているセードルフでは無かったのか・・・?



それはガス欠とは言え、ここでセードルフを下げてしまうと
全くボールの預けどころと出所が無くなってしまい、
それはつまりミラン唯一の希望とも言うべき前残りのパトの存在をも打ち消す事に繋がってしまうからだ。

確かに結果から見ればここでアクイラーニを入れるという手もあったのだが、
この大一番で新加入のアクイラーニに対し
まだそこまでの信頼を寄せられないというのがアッレグリの本音だろう。


さりとてガス欠のトップ下を残した4-4-1-1は
今度こそ本当に時代遅れの過去の遺産「攻守分業サッカー」そのものとも言うべき代物で
バルサに対抗出来るものでは到底無かった。



この青色吐息のミランを苦も無く攻略していくバルサを実際の試合から見てみよう。


【間延びしたミランの中盤(後半)】 
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局面はシャビからパスが送られる瞬間。
ミランの4-4の2ラインと完全に守備に遅れているセードルフが確認出来る。

何よりDFラインの4枚と中盤の4枚とが離れすぎており、
バイタルエリアにペドロの侵入を簡単に許してしまっている。


前半の機能していた中盤の守備と比べればその差は明らかだ。

【コンパクトに保たれたミランの中盤(前半)】
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だが、ミランがこのように完全に「死に体」になった事で
逆にバルサの悪いクセが出てきてしまう。



「これなら3点目は時間の問題」「入れようと思えばいつでもゴールは入る」「この試合はもらった」

後半、バルサの選手にこのような考えが1%でも無かったと言ったらそれは嘘だろう。
むしろ、フィールドの至るところにバルサの慢心と悪い意味での「遊び」が散らばっていた。


結局後半は45分間、延々とバルサが「パス回しの為」のパスを回し続け、試合はロスタイムを迎える―



しかしこの時、バルサは侮っていた。

ミランには守備であれだけ集中力を保っていられるCBがいる事を。

これはつまり、試合中は常に集中力を切らさない選手がいるという事だ。

きっとシウバは懸命の守備を見せながらも
冷静にバルサの選手達の様子を伺っていたはずだ。

そして一向にトドメを刺しにこない相手に隙を感じてもいただろう。



「この試合、まだチャンスはある」と。

そして生まれた後半ロスタイム、CKから一発同点弾。
 


これをシウバが決めたのは偶然だろうか・・・?
いや、店長はこれこそ「サッカーが持つ必然」だと確信しています。


「因果応報」


成すべき事をしなかった者は必ずその報いを受け、
成すべき事を行う者にはその見返りが与えられる。



<この試合で見えた両チームの今後>


まずミランだが、選手構成の苦しさを
よくぞアッレグリの手腕によってここまでごまかしているな…と感心させられる。

あの持ち駒と戦力でバルサ相手に勝ち点1は望外とも言える結果だ。

中盤のおける「質」をセードルフが、「量」をボアテングとノチェリーノがそれぞれ補完し合っているが
「量」と「質」を兼ね備えたMFがファンボメル1人ではつらいところだ。

そのボメルにしたってあと何年稼動出来るか?という年齢である。

DFラインはネスタの頑張りもありCBは磐石として

SBアバーテのがむしゃらな頑張りは買うとしてもザンブロッタはもはや限界だろう。

前線もパトを活かせばイブラがベンチ、
イブラのチームにすればパトが空気という問題を抱えている。


個人的には・・・・この日超絶な空気っぷりを見せたカッサーノの爆発にまだ期待している俺がいるのだが?www



一方、バルサは5-0だ8-0だと騒がれている今話題の3-4-3は

やはりまだ格下相手と緊急時のオプションに過ぎない事が分かった。

今後もクラシコやCLでは4-3-3がメインに変わりないはずだ。
その場合、例えイニエスタやシャビが怪我してもセスク、チアゴアルカンタラが控える選手層は心強い。

又、相変わらず守備はともかく攻撃時の貢献度が0に等しいケイタを
生命線の4番に置く布陣は結果を残せなかった。

MFに比べた時のDFの層の薄さが要因ではあるが。

ただ、ペップの事だ。

クラシコを除くリーグ戦をほぼ実験の場として使える利点を活かし
3-4-3に目処が立てば、こちらを基本布陣に切り替える腹積もりもあるのかもしれないが果たして・・・??


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