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ビエルサレポート ~飽くなき攻撃サッカーへの挑戦~

*2012-03-18更新 (アーカイブ記事)





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<ビエルサレポート ~攻撃サッカーへの飽くなき挑戦~>

『全変態が歓喜した』


フットボールを愛する皆さんと
ビエルサを愛する変態さん こんばんわ。


今日は兼ねてより祭りの予感が漂っていた
【マンチェスターU×我らがA・ビルバオ】のマッチレビューをメインに
店長が贈る「ビエルサレポート」をお届けします。


これまで「ビエルサ同好会」なるものを起ち上げておきながら
さしたる活動レポートも上がってきていないじゃないかという
極一部の同士からのお叱りもごもっともでございましたが、
なにぶんこれには理由がありまして。



まずビエルサのサッカーの全貌を掴むには
その複雑かつ緻密な構成を分析する為に非常に時間がかかったというのが一点。


もう一点がセレクトセンス0の某有料映画チャンネルが
一向にビルバオの試合を放送しなかった事。


そして何より、ビエルササッカーの分析については
いい加減なものは上げられない・・・

いや、もっと言ってしまえば「日本一ビエルサを愛する変態」を自認する店長として
このブログから「世界に向けてビエルサの魅力とそのサッカーの全容を発信していく」
・・・それぐらいの気合が入ったレポートをUPしてやろうと。


そんなこんなで作り込んでいると
気が付けば【使用された画像数】と【ボリューム】において
過去最大の記事になったのではないでしょうか(笑)




さあ、機は熟した―



開幕から7ケ月を経て見えてきたビエルササッカーの全貌を
今日は店長ブログ史上、最も濃い「特濃」でお送りする『ビエルサレポート』!


くれぐれも、ここから先は選ばれし変態だけに読み進めていただきたい。




断言しよう。




このレポートを読んだ後、
貴方は必ずビルバオの試合が見たくて仕方なくなっているはずだ-




<邪道×王道>


まずはいつも通りの流れで両チームのスタメンから。

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ビルバオは3-4-3からスタートしたシーズンを
試行錯誤を繰り返す内にどうやら4-1-4-1が基本形に落ち着いてきたようだ。

さりとてこの布陣が絶対という訳ではなく
対戦相手や試合の状況によってビエルサはいくつもの引き出しを持っている。


そもそも実も蓋も無い言い方をしてしまえば、
ビエルサのサッカーにおいてフォーメーションはあまり意味を持たないと言っていい。

ここら辺は後のレポートで詳しく検証していくが、
とにかく流動的でポジションチェンジの激しい現在のビルバオを
あまり現代サッカーの常識に当てはめた見方で見ていると
いつまでもその全貌は見えてこないだろう。



対するユナイテッドはこの日もオーソドックスな4-4-2クラシカル。
このチームはどこまでも王道だ。

守備の際は4-4の2ラインにルーニーが中盤に降りてきてフォローする
4-4-1-1が基本の形だ。


昨季のCL決勝でも思ったのだが
ユナイテッドというチームはペップのバルサやこのビエルサのビルバオのように
現代サッカーでは捉え切れない異型のチームと試合をすると
その良さと斬新さを浮き彫りにしてくれるので分析するには丁度良いなぁ…と(^^;


というのもユナイテッドは現代サッカーのセオリーを頂点まで追求して出来ているチームなので、
いい意味でも悪い意味でも「現代サッカーの教科書」としてぶつかってくれるからなのだが。


それぞれのポジションにプレミア最高クラスのスペシャリストを揃え、
各々が誰一人さぼらずに【ハードワーク】を90分続けるサッカーは
間違い無く"現代サッカーにおける最高傑作"の一つ。



<傍若無人のビルバオとユナイテッドの貫禄>


試合は驚きと共に幕を開けた。


分かってはいた事だがビエルサにとって
カンプノウだろうと オールドトラフォードだろうと
そんな事は知った事では無い。


試合が始まれば考える事は一つ。



攻めて、攻めて、攻め倒す事。


ただ、それのみである。


この試合でもキックオフ2分の攻勢で右から上がったクロスに
中へ飛び込んだ枚数は何と・・・5枚!


まさに「夢の劇場」で傍若無人の振る舞いでではないか。

(いいぞ、もっとやれ)



<ビエルサレポート 【飽くなき攻撃サッカーへの挑戦】>


ではいよいよ本章からビエルサが今季ビルバオで作り上げてきたサッカーを解体していこう。

彼が理想としている試合は
ただひたすらに「攻めて、攻めて、攻め倒す」超攻撃サッカーです。


まあ、ビエルサでなくとも「攻撃サッカー」を目指しているとか
理想に掲げている監督は世界中に数多いのですが、
ビエルサがそれらと一線を画しているのは
具体的に「攻め倒す」為の「超」がつくほど緻密な理論があり、
そのロジックをチームに植え付けていける実力が伴っているという事です。



間違いなく彼はサッカーにおける「攻撃」を偏愛しています。

故に、通常「守備」からチームを作っていく多くの監督とは違い、
ビエルサはあくまで「攻撃」から出発してチームを構築していきます。


となれば、ビルバオの監督である以上、ビエルサであろうと誰であろうと
チームの至宝にしてエースでもある
「ジョレンテにいかに点を取らせるか?」
に自然とポイントは集約されていきます。



グアルディオラが「メッシにいかに点を取らせるか?」から
【メッシの0.5トップシステム】を生んだように
ビエルサもエースに得点を取らせる為の
『ビエルサ流 トータルフットボール (ビルバオver)』を構築中。



このジョレンテというプレイヤーが持つ最大の武器は
何と言っても長身を活かした空中戦と
体躯の強さを活かした足元のポストプレーの二つです。


これがバルサであれば例えメッシを抑えられたとしても
イニエスタにサンチェスにビジャにアウベスに…と
有り余る人材と武器が揃っていますが、
ビルバオでは限られた素材を最大限に活かすチーム作りが求められますからね。



ペップのバルサはメッシを一応チームの頂点に置いていますが
むしろポジションという制約を外し自由に動かす事で
彼の特徴とチームのポテンシャルを最大限に引き出しているのに対し、

ビエルサはまずジェレンテをチームの頂点に「固定」する事から
全体の基盤作りを始めました。

(言うまでも無くこれはメッシとジョレンテのプレイヤーとしての特性の違いから生まれるもの)



こう書くと「そんなのビエルサが来る前からビルバオはジョレンテへの縦1本!だったじゃないか」と。

そういう反論もあるかと思います。



確かにAビルバオというチームは伝統的に
スペインでは珍しくフィジカルの強さを活かしたロングボールと空中戦に活路を見出してきたチーム。

ここ2~3年のチームもやはりエースのジョレンテに
ロングボールを託す攻撃がメイン戦術となっていましたが、
ビエルサが改革を行ったのはまさにここから。

最後は『ジョレンテに点を取らせる』というゴールは同じでも
そこに辿り着くまでの過程に大きく手を加えてきました。


【奪ったボールはとにかくジョレンテへ縦1本】という
言わば"イチかバチか"の戦略しか持たなかったこのチームに
ビエルサは緻密なロジックを一つずつ注入していきます。


その緻密さは練習場にノートPCを持ち込み
「3分に一度は止まる」と言われる戦術練習と
センチ単位で選手のポジショニングを修正する変態のコダワリが支えています。



<【STEP1】『サイドを制する者は試合を制す』>


では、ビエルサレポート【STEP1】として
まずはビエルササッカーの最も基本的なベースとなるポイント、
「サイドを制する者は試合を制す」を地で行くサイド攻撃を分析していきましょう。


「いかにジョレンテに得点させるか」に対する
まず最初のビエルサの回答がサイドからのクロス機会を安定して作り出す事。

例えば毎試合必ず20本のクロスを上げられるチームが構築出来れば
それだけで「空中戦の鬼」ジョレンテがいるビルバオは
かなり凶悪なチームになると言えるでしょう。


まずここでは「サイドを制する」為の動きのメソッドを図にしてみました。

例えば今、ビルバオの右サイド深くにボールがあると仮定すると
ビルバオの4-1-4-1はこのような動きになります。


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まずボールサイドである右のSBイラオラの攻撃参加は当然ですが、
ポイントは2列目の4枚の動き。

この4枚は基本的にラインで並ぶ事は無く、その動きは超流動的。

ボールがサイドにある時は一斉にボールサイドに集結して
ここで確実に【数的優位】を作るのが狙いです。


反面、基準点となる1トップのジョレンテはセンターに固定。

アンカーのイトゥラスペとCBの2枚も右サイドが行き詰った時に備えて
基本的には初期位置を守るように陣取ります。


つまり黄色で囲ったエリアの選手達が「カオス」を担い、
青で囲ったエリアの選手が「秩序」を守るというのが
ビエルサのチームバランスなのです。

(ボールが左サイドにある時は全く逆の構図)


そしてチームの生命線を握るこの「サイド攻撃」を支える基本ロジックが
【数的優位】【トライアングル】【旋回】【やり直し】の四つ。

これは非常に重要なキーワードなのでよく憶えてから読み進めてくださいね(笑)

(宿題に出ます。)


では実際の試合からビルバオのサイド攻撃を検証していきましょう。


【ビルバオのサイド攻撃】
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局面はビルバオの右サイドの攻撃から。

すでに左SHのムニアインがここまでボールサイドに寄せてきています。

エレーラはムニアインにボールを入れてパス&ゴー。

この【パスを出した選手が足を止めずに必ず次のポジションへ移動する】動きは
全てのフィールドプレイヤーに徹底されているビルバオの大きな特徴です。



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パスを受けたムニアインは右サイドで早速【トライアングル】を形成。

(ジョレンテは中で固定)


ムニアインはイラオラへボールを預ける。



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ムニアイン-イラオラ-デマルコスで作ったトライアングルで
パクチソンに対し、3対1の数的優位を確立。

ここでバルサであればイラオラの位置に入る選手が1対1を仕掛けるのも手だが、
ビルバオには個の力で圧倒出来る選手がいない為、突破できるかどうかは五分五分だ。

そしてビエルサはそういう博打を何より嫌う。

したがってビエルサのビルバオでは
「サイド攻撃」に個のドリブル突破は基本的に組み込まれていない。

あくまでパス回しと複数の選手が絡む動き(フリーランニング)によるロジカルな崩しを目指す。


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やはりイラオラは無謀なドリブル突破は選ばず、
一旦ムニアインにボールを下げてパス&ゴーで裏を狙う。

同時に注目していただきたいのは
右サイドに関わる全ての選手が常に動き続けてポジションを入れ替えている事。

これは守る側からすると非常に守りづらい。

ここでもエレーラはイラオラが抜ける裏のスペースを作るために
もう引いてくる動きを見せている。
(もしDFが食いつけば裏が空く)


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DFが食いつかなかった事でイラオラの裏抜けは成功しなかったが、ビルバオは焦らない。

引いてきたエレーラに当てるワンツーを使ってボールを動かし続ける。




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最初の右サイドアタックが失敗したので、一度イトゥラスペまでボールを下げて【やり直し】

この「やり直し」の為に1人右サイドの攻撃に加わらず
アンカーの位置で待っていたイトゥラスペのポジショニングがここで効いて来る。

右サイドで目まぐるしく選手が入れ替わる【カオス】と
安定を司る【秩序】(イトゥラスペ)のバランスが絶妙だ。


ボールを出したムニアインはもうパス&ゴーのスタートを切っており、
これに合わせてスサエタが引く動きで再びDFの釣り出しを図る。



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イトゥラスペから右サイド奥のデマルコスへ展開し、再び右サイドからの攻略を図るビルバオ。

緻密に組まれたプログラムを執拗に繰り返していく機能美がこのチームにはある。

注目していただきたいのはボールと選手を目まぐるしく動かし続けた結果、
ユナイテッドの選手達が頭で展開を追い切れなくなってきており
完全に棒立ちの選手が目立ってきている事だ。

これが個の突破に頼る事無く、組織で崩す狙いの一つ。



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デマルコスからエレーラにボールが下げられると
遂に完全にフリーな状態でのクロスチャンスが訪れた。

(エレーラはここからピンポイントクロスを上げてシュートチャンスにつながった)


CBのエバンスが思わず手を上げて
「おい!完全にフリーだぞ!そいつは誰が捕まえるんだ!」
という事を多分叫んでいるのだが、
ビルバオが繰り出した右サイドでの攻防に参加せず
後ろから傍観していたエバンスから見ると当事者達の混乱が分からない。

気がついたら何故かフリーでクロスを上げられているイメージに近いと思うが、
彼らからするとまるでビエルサに魔法をかけられたような感覚だろう。


最後にクロスを上げたエレーラだが、
そこに至るまでの動きの過程は一度裏へ抜けるような動きを見せてから
ボールをもらうのが難しいと判断すると
再度引いてきてボールを受けてクロスにつながるのだが、
その動きをラインで引いてみると大きく弧を描くように【旋回】している。


現代サッカーでも多くのチームで「フリーランニング」とは言いつつ、
一度上がったら上がりっ放し、下がってもらいに行ったら下がりっぱなし。

走った結果、パスが出てこなければしばらくそこで停止状態の選手を数多く見かけるが
ビエルサはフィールド上で1秒でも思考停止状態になる事を許さない。

この局面でも、もし仮にエレーラがまだフリーになれていなければ、
再びイトゥラスペのポジションが利いているのでいつでも【やり直し】が図れる。

もちろんその時はエレーラも再び前線に上がり、
代わりに前線から誰か別の選手が降りてくる。

結果、フィールドの至るところで【旋回】が見られるのも
このサッカーの大きな特徴の一つだ。


ビエルサはこのロジックを使って、
まずはチームに「サイドを制する力」と
安定したクロスの機会を生み出す事に成功した。



<【STEP2】  中央突破>

ユナイテッドが何故ビルバオにサイドを制圧されてしまったかと言えば、
それはユナイテッドが「現代のチーム」だからという点に尽きる。

ユナイテッドが現代サッカーのセオリーでもある
「ゾーンディフェンス」を忠実に守れば守るほど
ポジションバランスを崩してボールサイドに選手を集めるビルバオに数的優位を作られてしまうジレンマ。


だがユナイテッドだって世界最高クラスの選手を集めたチームだ。
試合が進む内に選手達も対応出来る力を持っている。


だが、もちろん「ビエルサのトータルフットボール」は
「サイド攻撃」一辺倒ではない。

いや、むしろサイド攻撃こそが撒き餌と言ってもいいぐらいだ。


続いては試合中にビルバオのサイド攻撃に対応を見せるユナイテッドと
それを見て今度は【中央突破】に切り替えるビルバオの攻防を検証していこう。



【ビルバオの中央突破】
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局面はビルバオの攻撃から。

ジョレンテのポストプレーから落としを受けたイトゥラスペ。

まずジョレンテが引いて食いつかせた事で空いた手前のスペースにデマルコスが
ダイアゴナル(斜め)に入り込み、
更にこの動きで空くスペースを後ろからスサエタが同じように狙っている。

結果としてユナイテッドのDFラインを大きく手前の右サイドに引き付ける事で
一番大外の裏が空くのだが、ここをSBのイラオラが狙っていた。
(画面ではスコア表示に隠れているので緑の○で表示)



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イトゥラスペから大外のイラオラへサイドチェンジ一発!



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受けたイラオラはやはりここでもドリブル突破を図るのではなく、
後ろへフォローに回っていたスサエタへボールを下げてパス&ゴー。

スサエタが抜けたスペースにはエレーラが
エレーラが空けたスペースにはデマルコスが連動して入り込んでいる。

素晴らしい機能美だ。


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ボールはスサエタからフォローに降りてきたエレーラへ。

ただし、ユナイテッドも度重なるサイド攻撃を受けて
ここで数的優位は作らせないと対応。
赤で囲った右サイドは2対2の数的同数。

数的優位を作れていないのでここでも【やり直し】を図るビルバオ。

ところがボールを下げたいイトゥラスペの動きはルーニーがケア。
(このへんの学習能力の高さはさすが)


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そこでイトゥラスペがルーニーを食いつかせて
更にその後ろからCBのハビマルティネスを上げる事で【やり直し】を図るビルバオ。


ビエルサ
「ポジションなど関係ない。
フィールドに10人いるなら、10人で攻撃しろ」



必要とあればSBだろうがCBだろうが攻撃に打って出る。

これがビエルサ流トータルフットボールの本領発揮だ。


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ハビマルティネスがボールを持ち出すビルバオと完全に自陣に押し込まれるユナイテッド。

(ルーニーがこの位置じゃ厳しいなぁ・・・)

中が完全に固められているのでハビマルはここから右サイドに展開。

得意のサイド攻撃に持ち込む。



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はい、定番のトライアングル形成。

ボールをイラオラに預けるとエレーラとスサエタは裏抜けを開始する。


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この裏抜けでユナイテッドの選手を引っ張り、
イラオラをフリーにする狙いだったがパクチソンがこれに反応。



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イラオラのフォローに再び最後尾からハビマルが上がって来るとここにボールが渡される。

この動きに合わせてエレーラが反応。



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今度はハビマル-エレーラ-ムニアインでトライアングルを形成。

ボールはハビマル⇒エレーラ⇒ムニアインとダイレクトで回る。

このパス回しにPジョーンズが食い付いた。

ここが合図!


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Pジョーンズがエレーラに食い付いた事で
中央で受けたムニアインの目の前にジョレンテへのパスコースが開く。




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ジョレンテにクサビが入るとこれが「攻撃のスイッチ」となり、
ムニアインとスサエタが裏のスペースへ落としをもらいに抜ける。




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ボールをキープするジョレンテと裏に抜けるムニアイン+スサエタに対応する為
ユナイテッドは全ての選手が集結するが、ジョレンテは冷静にこの瞬間を待っていた。

1人残っていたエレーラへ落とすと、シュートを打つエレーラは完全にフリー。
(シュートはデヘアがセーブ)


相手がサイド攻撃に対応してきて人員を回せば
必然的に今度は中央が空くという理屈を使った
ビルバオの【サイドでの食い付かせ】⇒【中央突破】の見事な流れ。

サイド攻撃からの安定したクロス供給ではジョレンテの空中戦の強さを活かしていたが、
中央突破では足元のポストプレーを最大限に活かしている。


選手の特徴とビエルサのロジックの融合が素晴らしい。



<STEP3 ピッチを広く使った攻撃>

さて、これまで「サイド攻撃」と「中央突破」を見てきたわけだが、
ともするとフィールドの右半分しか使っていないじゃないかという印象を受けたかもしれない。

確かにこの日のユナイテッドは明らかに左サイドに問題を抱えており
ビルバオに狙い撃ちにされた感は否めないが
このチームは決してフィールドを広く使った攻撃が出来ない訳ではない。

ではビエルササッカーの応用編、
「サイド攻撃」と「中央突破」を組み合わせた見事な攻撃を検証していこう。



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局面はここでも右サイドの攻撃から。

ここは3対3の数的同数なので無理はしない。


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エレーラに横パスを展開して「中央突破」を狙うが、
ここはユナイテッドの2ボランチが中を閉めているのでジェレンテには通せない。





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「右」⇒「中」とダメだったので「左」へボールを展開。

ムニアインの大外にはもうデマルコスが追い越しをかけている。





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デマルコスにボールが渡ると更にその大外を
今度はムニアインが追い越しをかける。

このデマルコスとムニアイン2人のサイド攻撃に
エレーラも寄ってきて左サイドからの攻略を狙うビルバオ。


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はい、左サイドでも、もちろん【トライアングル】を作るのが基本です。

ボールはムニアインへ渡る。



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しかしユナイテッドもこれに素早く対応して
やはりここでも3対3の数的同数に持ち込んだ。

同数の時は無理をせず、次の作り直しを図るのがビエルサ流。

ムニアインは再び中へボールを下げる。



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ボールは中で「やり直し」に備えていたアンカーのイトゥラスペを経由して右のスサエタへ。


ここでも引い受けるスサエタとその大外を追い越すイラオラの関係が完璧だ。



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イラオラの裏抜けにエブラが気を取られた為
重心が外に流れてジョレンテへのパスコースが開いた!




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スサエタはジョレンテに当てて落としをシュート!




右⇒左⇒右⇒中(落としからシュート)






・・・・・美しすぎるだろ。




今、これだけ緻密な攻撃をしているチームが世界中にいくつあるだろうか?


メッシもロナウドもルーニーもいないチームが繰り出すこの痛快なサッカーはどうだ?



<ビエルサレポート ~システムを超えて~>

これまでの流れで「サイド攻撃」、そこから派生する「中央突破」、
そしてこれらを応用した「ピッチを広く使った攻撃」と三段階に分けて
ビルバオのサッカーを検証してきました。

その緻密に組み上げられたサッカーの一片を垣間見る事が出来たのではないでしょうか。


しかし一方で、ビエルサが作るサッカーは決して「システムに縛られた」ものではありません。


むしろシステムは土台に過ぎず、
ビエルサが本当に望んでいるのは「規律を超えた自由」にこそあると見ます。


では実際の試合からビルバオの選手達が見せた「システムを超えたプレー」を検証していきましょう。




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局面はビルバオの左サイドの攻撃から。

例のごとくムニアインが中央に戻して【やり直し】を試みますが
この局面ではアンカーのイトゥラスペにマークがしっかりと張り付いています。


しかしビエルサはビルバオのサッカーが研究されていけば
いずれ【組み立て直し】のキーマンであるイトゥラスペがマークされてくるだろう事を
既に予測しつつチーム作りを進めています。


そこでイトゥラスペをオトリに使って流す事で
後方からCBハビマルティネスの上がるスペースを作る方向へシフトチェンジ。


実はビエルサになってCBで使われる事が多いハビマルティネスは
本来はこの世代でブスケス、ロメウらと双璧を成す司令塔の選手なのです。

展開力では現在のチームでも他に追随を許さないナンバー1プレイヤーで間違いありません。

その選手をCBに置いたところにビエルサの狙いが見えてくるとは思いませんか?


そう、このサッカーを作り上げる当初から
アンカーへの徹底マークは織り込み済み。

ビエルサの真の狙いはアンカーすらオトリに使った
最後尾(CB)からの攻撃構築です。


その意味でやはりビエルサが目指すサッカーは
「トータルフットボール」の一つの進化系、方向性なのです。



この局面では、ムニアインはフリーで上がってきたCBハビマルティネスへボールを預ける。



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前線の流動的で「カオス」な攻撃陣で相手を押し込んでいたところに
アンカーまでオトリに使われた最後尾(CB)の攻撃参加は
もはや現代サッカーではマークするのは不可能です。

結果的に、ここでもビルバオで最も展開力のあるプレイヤーに
前を向いてフリーでボールを運ばれる事になります。


今、これを見たスサエタが手前に降りてきてエヴラの誘い出しを図る。

もしエブラが食いつけば裏に空いたスペースへイラオラが走りこむお馴染みの形だ。


つまり、ここまでの流れは完全にビエルサが用意した「ロジック」そのもの。

ただし、注目はここからの展開。

ここでは、これまで散々いいようにやられていたエヴラが"食い釣かなかった"のです。



2012-03-20_19-00-00_entry-11197766144_o0575040911862048844.jpg

ここで単純にイラオラを使わないのがミソ!!!


結果的にこれまで散々裏のスペースを使われていたエヴラは今度は食い釣かなかった。

それでもハビマルのパス能力があれば、イラオラの鼻先へパスを出してやる事は可能だ。

だが、これだと食いついていないエヴラの対応が間に合ってしまう。


そこで、このエヴラの守備を見たハビマルティネスが
サイド攻撃のロジックから攻撃を切り替える。

エヴラが食いつかなければ当然中のスサエタが空く。

チーム一の視野を持つ司令塔がこの状況を見逃すはずがなかった。

ハビマルはとっさの判断でサイドのイラオラに出すような体勢から
中のスサエタにビシッ!と音の出るようなクサビを入れる。

(この人、”サッカーが分かってるね~!”)


これがチームの「隠れ司令塔」ハビマルティネスをわざわざ最後尾に置いているビエルサの狙いである。


2012-03-20_19-00-00_entry-11197766144_o0600040411862130622.jpg


ユナイテッドからするとDFラインと中盤の間でスサエタにターンして前を向かれては危険。

エヴラは半分分かっていながらもスサエタに詰め寄らざるを得ません。
(詰めなければ当然前を向かれていた)


狙い通りエヴラが食い付いたのを見たスサエタはこのボールをダイレクトで再びハビマルに落とす。

瞬間、イラオラが全速力でスタートを切る!




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グッドリドゥム!!!


落とされたハビマルはこのボールをダイレクトで裏のスペースへ。

食いついているイブラ、
ボールの出所であるハビマルに視野を向けての背走を迫れるパクチソンでは
既に前を向いてトップスピードのイライラには追いつけない。


【イトゥラスペをオトリに使い】



【ハビマルを攻撃に上げ】



【スサエタで食い付かせたサイド攻撃発動】



【食いついてこないと見るや一転、中のスサエタを使う判断の切り替え】



【エヴラを食いつかせてから裏のスペースへ】




完璧過ぎる流れだろ・・・・。


サッカーではよく「3人目の動きが重要」と言われますが
ビルバオに至っては当たり前のように「4人目、5人目までが連動して」崩しを図る。


ボールと人が常に動き、パスもワンタッチで「パン、パン、パ~ン!」と気持ちよく繋がる展開は爽快だ。

(こんな攻撃が見られたら、今年1年は生きていけるわ俺・・・。)


注目すべきはハビマルの判断力だけでなく、
この瞬間にスサエタ、イラオラの3人で同じ絵を描けた事。

「サイド攻撃」に決められたロジックがあるからこそ
1人が違うプレーをした時に、残りの全ての選手が「これはアドリブだ」と反応出来る。

守る側から見ても相手に「緻密なロジック」があるからこそ
ふとした瞬間の応用とアドリブが倍の効果を生む。


ひと頃、我が国のサッカー界では
「規律か自由か?」とまるでこの2つを対立軸のように二元論化してしまった事があったが
ビエルサのサッカーは「規律」こそが「自由」を輝かせているのである。

もし規律という前提が無く、個々が自由に振る舞うだけだったらそれはただの「球蹴り」に過ぎないし、
ビルエルの敷いた「規律」に縛られるだけならチームの限界も自ずと決まってこよう。


当然、ビエルサが望んでいるのはそのどちらもない。


「規律」という前提を超えたところにこそ、
本当の「自由」が光るのである。




<"人"を育てるマンマーキング主体の守備>


以上がビエルサのサッカーにおける攻撃の基本概念だ。

それでは続いて「守備」を検証していこう。


まずビエルサの守備を見ていく前に
ここで「現代サッカーの基本的な守備」を一度おさらいしておく事で
よりビエルサの特異性が浮き彫りになるはずだ。

そこで今季、守備に置いて特筆すべきクオリティを見せているチーム、
ウディネーゼの守備を今一度確認してみたい。


【ウディネーゼの見事なゾーンディフェンス】
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局面は「ウディネーゼ×インテル」の試合から。

中盤でボールを持ったインテルのアルバレスから
中に絞ってボールを受けに来た右SHのファラオーニにパスが送られようという場面です。

ポイントはファラオーニの後方から
大外をオーバーラップで狙うサネッティの動き出し。


この時、もしアルメロがそのままファラオーニに付いて行ってしまうと
ウディネーゼから見て自陣左サイドにオープンスペースが出来てしまい、
ここをサネッティに突かれる危険性があります。

そこでウディネーゼの守備の鍵を握るのが手前のアサモアの動きになってきます。



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パスがファラオーニに送られると
アサモアがアルメロに対し左手で奥のスペースを指しながら
「ボール(ファラオーニ)には自分が当たるから、スペース(サネッティ)を埋めてくれ」と指示。



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結果的にファラオーニにはアサモアが当たり、
アルメロがサイドのスペースをケアする形でサネッティのサイド攻撃を阻止しました。

つまりお互いのマークを受け渡す事で
ポジションバランスが崩れるのを防いだのです。


これが現代サッカーにおける「ゾーンディフェンス」の基本的な考え方。



ところが、ビエルサのサッカーでは
この「ゾーンディフェンス」の基本は適用されていません。

よりマンツーマンに近い守備をするのがその特徴です。


【ビエルサの作る守備】
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局面はマッチレビューに戻って「マンU×ビルバオ」の試合から
先程のウディネーゼと非常に良く似た・・というかほぼ同じ局面を抽出しました。
(ヤングがファラオーニ、ラファエルがサネッティと同じ動きです)

この試合、再三中盤の低い位置に下がってきては攻守に中盤を助けていたルーニーから
得意のサイドチェンジでラファエルを使ったサイド突破を図るユナイテッド。

これにムニアインとアウルテネチェが対応しますが、
先程のウディネーゼのように「ゾーンディフェンス」をするのであれば、
ここはお互いのマークを受け渡して
ムニアインが手前のヤングを アウルテネチェが奥のスペースをケアする事でラファエルを抑える局面です。



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ですが、ビエルサのサッカーでは基本的に「マークは受け渡しません」。

この局面でもそれぞれが最初に付いたマークを最後まで追っています。



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なので当然展開によってはSHのムニアインが後方で
SBのアウルテネチェが前方にと位置が逆転したりする事もしばしば。

これはフィールド上の至るところで起こっており、
故にビルバオのプレイヤーは「守備を免除」された選手もいなければ
後ろで来たボールを「跳ね返していればいい」選手もいません。

嫌が応でも全ての選手が攻撃、守備の機会を迫られるので
攻守共に鍛えられたユーティリティープレイヤーへと育てられていくのです。


しかし、このやり方は当然大きなリスクも伴います。

何故なら局面によっては守備の苦手な選手にゴール前での決定機を守らせたり、
攻撃が苦手なDFにシュートチャンスを委ねる場面が頻出するからです。


そもそも現代サッカーで多くのチームが「ゾーン」を基本にした考え方をするのは
こういうリスクを避けたいからこそ。

目先の1勝、そのシーズンでの勝ち点1を考えるのであれば
従来の「ゾーンのバランスを崩さない」サッカーの方が絶対に安全で確実です。


であれば、何故ビエルサはこの常識を捨て去ったのか?



それは彼が
”全てのプレイヤーの可能性を信じている”
からです。



これまで散々ビエルサの「戦術家」としての一面にスポットを当ててきましたが、
ビエルサには優れた育成家としての一面もあるのです。


確かにゾーンディフェンスは合理的な考え方であり
「ゾーンのバランスを崩さない」「組織で守る」と言えば聞こえはいいのですが、
反面、攻守において「責任の所在がハッキリしない」一面もあります。

すなわちゴールも失点も「チームの責任」となってしまうからです。

これが悪い方向に出てしまうと特に若い世代の選手には
守備で最後まで終えない王様プレイヤーや
好機なのに攻撃に飛び出していく勇気を持たない守備専のDFを育ててしまう一面がある。


その点、マンツーマンは攻守の責任がハッキリしています。

ビルバオでは最前線にいた選手であろうと
マークする相手が攻撃に駆け上がって行く時には
原則として最後まで追い切る事になっています。

よってその選手からチャンスが生まれて失点すれば、その責任は明確だ。


ビエルサは責任の所在をハッキリさせた上で
そういうミスをした選手を激しく叱責する。

そうする事で「自分1人がサボる」事が
結果として「チームの勝敗」に直結している事を身をもって覚えさせているのだ。


こうしたビエルサの師事の元、その才能を常識外なプレーで開花させた選手がいる。

ここではその代表例とも言える2人の選手を紹介しよう。


まず1人目は現バルサのマスケラーノ。

このマスケラーノこそ「ビエルサによって世に出された才能」と言ってもいい選手はいない。

彼とビエルサの間にはこんな逸話が残っている。


マスケラーノがまだ17歳だった頃、
当時リーベルの下部組織でプレーしていたプロ契約前の彼を
当時アルゼンチン代表監督だったビエルサが何とA代表に召集したのだ!

(当たり前だがプロ契約前の選手のA代表デビューは世界でも他に例が無い)


というのも当時からアルゼンチン中の試合のビデオを取り寄せては熱心に研究するなど
代表監督でも相変わらずの"変態ぶり"を見せていたビエルサは
マスケラーノがU-15の年代でプレーしていた14歳の頃から
既に「将来、アルゼンチン代表の5番
を担う逸材」として目を付けていたのだ。
(ボランチの事をアルゼンチンでは背番号から「5番」と呼ぶ)

ビエルサたんの安定した変態ぶり ワロタwwww


以降、マスケラーノの出世っぷりは皆さんもご存知の通りだが、
あの1対1に「異常に強い」守備は
まさにビエルサによるマンツーマン主体の責任感を受け付ける指導の賜物とは思えないだろうか?


そして、ビエルサによって見出されたもう1人の才能が現ユベントスのビダル

チリ代表時代にビエルサの師事を受けた彼が
今ユベントスで見せている”フィールドのどこにでも現れる”神出鬼没な動き。

明らかにゾーンという概念を超えた「守備⇒攻撃⇒守備」と
ピッチの端から端までを軽く2往復するあのプレーエリア。

これも確実にビエルサの影響を受けているであろう事は想像に容易い。


実はこのように目先の「結果」でなく、「選手の可能性」に賭ける育成型の監督には
マンツーマンを採用するパターンも多い。

言うまでもなく日本ではあのオシム監督がそうだった。

サッカーは突き詰めれば「1対1」で負けない事が全ての基本なのだ。

そこから局面が複雑化していき「2対2」「3対4」「5対6」となっていっても
個々が1対1で完敗していたら「ゾーン」もクソも無い。

若いうちからゾーンで楽を覚えさせるのではなく
「まずは目の前の1対1に勝て!」という育成が
ビダル、マスケラーノのような企画外のプレイヤーを生んでいる。


他にもビエルサの手によってその才能を開花させた選手には枚挙に暇が無い。

チリ代表では現バルサのAサンチェスをただのドリブラーから
攻守の切り替えが早い「走れるウイング」として開花させ、
イスラ(現ウディネ)をどこのポジションでもこなせるオールラウンダーに仕立て上げた。


現在指揮するビルバオでも実質的な補強は0で
イラオラ、デマルコス、エレーラ、スサエタ、サンホセ、イトゥラスペと言った
無名の選手達が日増しに上手くなっているのが試合毎に確認出来る。


ビルバオの試合を観れば
そこにはきっと「明日のマスケラーノ、Aサンチェス」を発見出来るはずだ。



それにしてもビルバオを見ているとロクに自前のカンテラも見ず、
すぐに「補強、補強」と泣き言を言い出す監督には
「ただの実力不足なんじゃ・・・」と思わずにはいられない(笑)

(いや・・・別に誰とは言いませんがね。
○○○○とか○○○○○○とかさwww  ○にはお好きな文字をお入れ下さい。)



ビエルサにはロナウドもメッシもいらない。

既に「完成されたプレイヤー」は必要ないのだ。


無名で白紙であるからこそ、それをただの「実力不足」と見るか
それともそこに「無限の可能性」を見るのか-


ビエルサは今、まだ何も勝ち得ていないからこそ
ハングリーで無限の可能性を秘めた若者達とサッカーの新たな次元に挑戦している。


(ビエルサレポートはここまで。試合のマッチレビューに戻りますww)




<ファーガソンの白旗宣言>


試合は前半終了間際、圧倒的に試合を支配していたビルバオが
「中央に入れるクサビ」の形から最後はジョレンテが実にCFらしいゴールを決めて同点に追いついた。

(デヘアのファインセーブがなければ前半で3-1、4-1でもおかしくなかったのだが・・・(^^;)


後半、見かねたファーガソンがカードを切る。

まずは前半狙い撃ちにされた感のある左サイドを補強する為に
ルーニーをFWから左SHに回して
その運動量と1対1の強さをもって壊滅状態だったこのサイドを修正。

布陣もビルバオと噛み合わせる為に4-1-4-1へ。

エルナンデスの1トップに
左からルーニー、ギグス、アンデルソン、ヤングと並べ
アンカーにキャリックを投入した。


【マンU 4-1-4-1へ】
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確かにこのテコ入れで守備はだいぶマシになったのだが、
店長にはこの交代がファギーからの事実上の白旗宣言にしか見えなかった。


攻撃の切り札であるルーニーが
エヴラの後ろのスペースまでカバーに走らされているようでは
もはやゴールはおろか、中盤すらまともに作れない。

エルナンデスを1トップで孤立させたら消える事はファギーもわかっていただろうが、
それでもルーニーのフォロー無しには後半の守備崩壊は目に見えていた。

中央のギグスも90分走り切るのは到底無理なので、
このエリアをカバーする意味でもアンカーのキャリックは外せない。


結果的にこの采配はホームのオールドトラフォードで
ユナイテッドがビルバオ相手に「1-1のドローで良し」とした瞬間を意味する。



<点差以上の差を・・・>


試合は結局後半もビルバオのシュート練習状態で
2点を追加したビルバオが3-2で完勝。

ユナイテッドのファンですら点差以上の差を感じた事だろう。


だが、今更確認するまでもなく
個々の選手で比べればユナイテッドの方が圧倒的に力は上なのだ。

これまで散々ビルバオのメカニズムを見てきた訳だが
最後にユナイテッドに代表される現代サッカーのサイド攻撃を見ていく事で
ビルバオとの違いと「差」を明確にしていこう。



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局面はユナイテッドの右サイドからの攻撃。

ここでのビルバオとの違いはせっかくラファエル、ナニ、ルーニーと枚数は揃っていながら
トライアングルではなく横一線のラインで並んでしまっている事で
パスコースが限定されて守りやすくなっている。

ボールはラファエルからナニへ渡る。



2012-03-20_19-00-00_entry-11197766144_o0568041311862419507.jpg

もしここでルーニーが黄色の○で示した深いエリアまで抜けていれば
右サイドでトライアングルが出来て
パスコースが増えるだけでなくビルバオのDFも引っ張れるので
パスを受けたナニも楽になっていたはずなのだが、
この状況では守るビルバオも安心してナニを囲い込める。

ルーニーが動かないのはプレイヤーの特性から考えても決してサボっている訳ではなく、
攻守にチームの尻拭いをさせられてきたこの試合で、
もはや味方に対する信頼を失っている事の現れではないか?

もしここで裏まで抜けて、仮にラファエル、ナニがボールを奪われれば
そのカウンターに戻って守備をするのはルーニー自身である。


となるとますますここではナニがボールを奪われる事も半分考えてしまうのだろうが、
結果的にこれは攻撃面で見ても守備面で見ても実に中途半端なポジショニングになっている。



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3人に囲まれたナニにパスコースは無いのだが、
それでも個の力でキープ出来てしまうのがナニの凄さ。

こういう選手はビルバオにはいないので、
始めから個の力での突破は想定されていない。



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だが、ナニが1人で頑張れば頑張るほど結果的に孤立を深める。

最後は前後から挟まれてボールを奪われてしまった。



このように恐らく個の力を前提としたゾーンバランスを優先する
攻撃と守備は間もなく淘汰されていく事だろう。

全てのチームが基本的に同じゾーンで攻守をしていれば
選手個々の差で押し切れる試合もある。

実際に近年のサッカー界は一部のビッグクラブが
資金力と選手層にものを言わせて牛耳ってきた。


だが、ビエルサのビルバオはそこに全く別のアプローチを持ち込む事で
まだまだサッカーは「個の差で勝敗は決まらない」という領域に引き戻され始めている。


これから先フットボールが進化するのであれば、
バルサが一方向から引っ張るよりも色々な方向から引っ張り合った方が
その力は倍増されていくはず。


ここにもまた、確実にフットボールの未来を引っ張るチームがある。



<夢見る変態>


さて、以上がとりあえず現時点で店長が検証出来た「ビエルサレポート」の全てですが、
いかがだったでしょうか?

もちろん今後も進化していくビルバオの検証は引き続き行っていくので
新しい発見や潮流がある時は逐一レポートにして上げていこうと思っています。


こんな試合を見せられた店長の素直な感想は
今すぐにでもスペインに半年ぐらい渡って
毎日ビルバオの練習場に通ってはビエルサの練習を間近で検証し、
そのメソッドをいち早く日本に持ち帰りたいなぁ・・・なんて。

ついついそんな事を考えてしまいましたね。(笑)

それぐらい刺激を受けます。今のビルバオというチームには。


現在、「バルサ」を一つの理想として掲げている日本のサッカー界ですが、
残念ながら日本でメッシの登場を待つにはあと20年単位の時間が必要ですし、
今からシャビを作ろうにも膨大な時間がかかる事でしょう。

であれば、メッシもシャビも必要としない
「ビエルサのメソッド」は必ず日本サッカー界にも影響を与えうるものではないでしょうか。



思えば10年ちょっと昔-
初めてビエルサのサッカーを目の当たりにした10代の僕が感じたあの衝撃。



そしてこの男のサッカーこそが「未来のフットボール」になる時代が必ず来るという確信。




ようやく「時代がビエルサに追いついたか」。





そうそう、当時 若気の至りというか1人のサッカーバカが抱いた夢がありましてね。



それはビエルサJAPANが日本開催のW杯で世界を席巻する未来-




だが、そうする為にはビエルサは身近に置くチームスタッフにも非常にこだわる難しい人物だ。



となればビエルサJAPANで彼の隣に座るコーチには
彼に負けないぐらいの「サッカー馬鹿」「変人」


いや・・・もっと言ってしまえば「変態」が我が国のサッカー界にも必要だろう。








そう、あの日の僕はビエルサの隣に座る自分を夢見ていたのだったなぁ・・・。




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非公開コメント

No title

面白いレポートですねえ。
これは見るしか無い。

我スカ!

はじめまして!
とても変態ですね!

No title

ビエルサの試合をまともに見たことがありませんでしたが。このレポートを見て非常に興味が湧きました。

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