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バルサ時代の終焉か? ~チェルシー×FCバルセロナ~

*2012-04-29更新 (アーカイブ記事)




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<バルサ時代の終焉か? ~チェルシー×FCバルセロナ~


”盛者必衰”

クラシコ⇒CL準決勝と続いた僅か1週間足らずで全てを失ってしまったFCバルセロナ。

グアルディオラ監督の退任も発表され、
いよいよもって"一つの時代"の終焉なのか。


そこで今日はCL準決勝「FCバルセロナ×チェルシー」の試合から


"今、バルサに何が起きているのか"


”何故、バルサは破れたのか”


今季の総括も含めて検証していきたいと思います。



<CL準決勝1stレグ おさらい>


バルサのCL準決勝の相手はビラスボアスの退任でかつてのファイトボールに舵を切り、
復調の兆しを見せているチェルシー。

今の彼らには開き直った者の強みがある。(笑)


今季のチェルシーの出来から考えるとここまで勝ち上がってきた事自体が僥倖であり、
準決勝の相手があのバルサとなれば、もはや失うものは何もないだろう。

従って、バルサ戦での彼らのプランは至ってシンプル。

「今、自分達にやれる事を徹底してやる」だ。


まずバルサ相手に足元の技術で対抗出来る選手は誰一人としていませんから
(唯一マタぐらいかな?)
「中盤の主導権争い」「ボールポゼッション」 こんなものは端から放棄。いりません。


そしてボアス時代には度々スピード不足を露呈した高く上げたDFライン。

こちらも機動力やスピードではチェルシーのDFラインは対抗出来ないのでドン引きの一択です。

結果、大方の予想通り、この試合では今やリーガの下位チームでもなかなかやらないような
9人で自陣を固め、前線にはドログバ1枚を置いた「4-5-0-1」の布陣が完成。

奪ったボールはとにかくドログバ目掛けてドカンと蹴り出す
カタルーニャのサポーターが見たら失神しそうな身も蓋も無いサッカーでバルサを迎え撃ちます。(笑)


パス回し? ポゼッション?

そんなものはクソ食らえ。

ラストパスは「ツェフのパントキック⇒ドログバ」で充分。
(これでチャンスを作れちゃうからタチが悪いww)


あとは敵陣で得たスローインはもれなくロングスローを放り込んでゴール前での混戦を演出。

ひとたびバルサのパス回しにリズムが出そうになれば、ファウルで試合の流れを断つ事も辞さない構えです。


要は徹底して「サッカーをさせない試合」に持ち込んだ訳ですが、
いくら勝つ為とは言え、もはやここまでくるとスポーツとかゲームというより
ただの「作業」に近い感じですね(爆)


ホームのスタンフォードブリッジでこのサッカーを徹底出来る開き直りこそが
現在のチェルシーが持つ一番の武器かもしれません(笑)


ビラスボアスの元、窮屈なポゼッションと不慣れな高いDFラインにどこか不安げだった彼らの姿はもう過去のもの。


自慢のフィジカルを生かしてファイトボールに徹する彼らは実に活き活きとプレーしています。

(ビラスボアスとは一体何だったのか・・・。 ○| ̄|_)



試合は序盤から圧倒的にバルサがボールを支配して怒涛の攻めを見せますが
チェルシーの身体を張った気迫のディフェンスとチェフの「界王拳3倍」、
そして12人目のディフェンダー「ゴールポスト」の頑張りもあり何とか45分を無失点で凌ぎ
きります。

そうして迎えた前半のロスタイム―

ゴングと同時にクリンチで凌いできた挑戦者の
この試合初めて繰り出したカウンターパンチが王者の顎を捉えます。


チェルシーからすれば【メッシからのボール奪取】と【Dアウベスの裏】というのは明確に狙っていた形でしょうし、
きっと"してやったり"の得点だったのでは。



後半は1トップのドログバまで半分中盤に下げたような「4-6-0」布陣で
守りに守ったチェルシーが逃げ切ってタイムアップ。


メッシを「偽CF」として使う時代の先端「0トップ」と
とにかくガムシャラに守りたいが一心で生まれた泥臭い「0トップ」の対決で
後者に軍配が上がったりするのがフットボールの実に面白いところですよね。



<そして勝負の2ndレグ>


2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600041711941208034.jpg


チェルシーは1stレグと基本的に同じ形。

というか彼らにはもう、これしかありません(笑)



バルサはやはりクラシコで温存しておいたセスクをスタメンから起用し、
3-4-3の総攻撃に出る構え。

(多分、3-4-3の成否はセスクが握っている事をペップも自覚してるんでしょう。)


クラシコではロナウド、ベンゼマらの機動力に対抗する為、
ピケをベンチに置いていたペップも
やはりファイトボールが前提の対ドログバ戦ではピケを先発に戻してきました。


Dアウベスのベンチスタートは驚きでしたが、
初期位置が高い3-4-3のウイングで足元でボールを受けてからの独力突破では
Dアウベスより純正ウインガーのクエンカに一日の長があるという起用でしょう。

逆に言うと低い位置から上がっていく上下動に持ち味があるDアウベスには
この3-4-3では適正ポジションが存在しません。


それでもペップは今季1年をかけて試行錯誤を繰り返してきた
"新たなるフットボールへの挑戦"3-4-3と心中する覚悟です。



<セスクのいる3-4-3>


試合は1stレグのリプレーを見るかのようにやはり圧倒的なバルサ支配。

クラシコで不発に終わった3-4-3と違い、
この試合では【最前線で動き回るアレクシス】【中盤に降りてくるメッシ】
そして両者の間を行ったり来たりする【神出鬼没のセスク】の3者が上手く噛み合って
決定機を次々と生み出していきます。


それでも何とか耐えていたチェルシーでしたが前半35分、
遂にブスケスにゴールを許して2試合合計1-1のタイスコアに。

これに苛立ったのか、直後チェルシーはキャプテンのテリーが
何を思ったのかいきなり背後からアレクシスに膝カックン・・・もとい膝蹴りを見舞って一発退場。

チェルシー陣営の動揺は隠せず、直後にメッシ無双⇒イニエスタでバルサが逆転に成功。


バルサ相手にキャプテンを失い、10人になったところで
更にリードを許すという絶望的な状況に追い込まれたチェルシー。


フラストレーションの溜まる1stレグ⇒カンプノウでのクラシコ敗戦と
ここ1週間で色々ウップンが溜まっていたバルセロニスタ達は
待ち望んだ「バルサタイム」に沸きに湧きます。

観衆の興味は早くも「さあこの後、一体何回ゴールショーが見られるのか?」に移り、
当然スタンドの後押しを受けたバルサは一気に「イケイケ」のスイッチがON。


まさにここが試合のターニングポイントでした。


あとから振り返ってみるとバルサは前半終了間際に2-0で勝ち抜けスコアに達したこの時点で
一旦前半を終わらせておく・・・という選択肢もあったように思います。

ただ、やはりリアルタイムで試合を観ていると
あそこで一度冷静になって…というのは難しかったかもしれませんが。


結局バルサは勢いそのままに得点後のチェルシーのキックオフから下げられたボールに
猛然と「前プレ」で襲い掛かったのですがこれが完全に裏目に出ました。


この前プレがロングボールでかわされると中盤で受けたランパードには
最終ラインから飛び出したマスケラーノが持ち前の機動力を活かして潰しにかかります。

と同時に3バックのセンターが飛び出したのを見たチェルシーは
またもや「カウンターのキーマン」ラミレスがこのスペースを狙っていました。

バルサの3-4-3ではCBが飛び出したスペースのカバーはブスケスが下がって埋めるのが約束事ですが、
やはりここでも1stレグのシャビと同じくラミレスとの「ヨーイドン!」では分が悪すぎます。


【直後に生まれたチェルシーのゴール】
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ランパードはマスケラーノを背負いながら裏のスペースへスルーパスを送ると
これを受けたラミレスが鮮やかなループシュートで貴重なアウェイゴールをゲット。

それにしても【ランパード⇒ラミレス】の流れは1stレグのリプレイを見るかのような形でしたね。

(自分達の少ない武器を確実に活かしてきたな~。チェルシーは)


これで2試合合計タイスコアながらも、
アウェイゴールの差でここのまま終了ならチェルシーの勝ち抜けという状況でハーフタイムへ。



<ペップの焦り>


後半チェルシーはテリーが抜けた分、ドログバを中盤に下げて「4-5-0」の布陣で攻撃を完全に放棄。

【チェルシーの4-5-0】
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当然、後半の45分は虎の子のアウェイゴールを守り切る作戦だ。

唯一の攻撃手札「カウンター」すらも半ば放棄した格好で
かえってピッチ上の10人のやる事がハッキリとし、より守備が堅固になった印象すらある。



一方のペップは試合後の会見で「何故負けたのか見当がつかない…」と語っていたぐらいですから
この時、相当焦っていたと思うんですよね。


後半にペップが打った二つの交代策がそれを物語っています。


まず最初の一手は右のクエンカに代えて左のテージョを投入。

これで前半、ピケの負傷退場に伴い最終ラインに入っていたDアウベスを最前線まで持ってくると
右にDアウベス、左にテージョの両翼で何とかチェルシーのブロックを横に引っ張って
僅かでも中央にスペースを作りたい一心からの一手でした。


しかし「右ウイングのDアウベス」が機能しない事は分かっており、
そもそもペップ自身もそれを認識していたが故のアウベス・ベンチスタートではなかったのか?



続く一手は最後となる3枚目のカードでしたが、
この交代が試合を決定付けたと思います。





セスク OUT ⇒ ケイタ IN



やってもうた・・・。 ○| ̄|_




【2つの交代で3-3-4へ移行したバルサ】
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確かにこの時間帯、Dアウベスとテージョの両翼の誘いにチェルシーが乗ってこなかった為、
中は固くても外にはボールが運べていたバルサ。

結果、外からのクロスボールが増えていたので、
であればCFの頭数にケイタを…という狙いは分からなくもありません。



しかし、この交代は自己矛盾ではないでしょうか。



そもそも適正位置が無いからDアウベスを使わなかったはずで、
セスクにしたって3-4-3における彼の重要性を分かっていたから
わざわざクラシコまで温存させたのではなかったのか…?


当然、これではセスクのいない3-3-4はますます機能不全に陥り、
焦って「死にポジション」に置かれたDアウベスの存在感は消えるばかり。


なによりセスクを下げてパワープレイ要員のケイタを前線に放り込んだという事は
バルサの哲学を捨てる一手だったと取られても仕方が無いと思います。



結局、最後は自滅に近い形でバルサが崩壊し、一つの伝説に終止符が打たれました。



<バルサの黄金時代>


ある意味、この試合はリーガでもアウェイで勝ち点を伸ばせず
優勝を逃した今季のバルサを象徴するかのようなゲームでした。



"何故、バルサは敗れたのか?"



多くの試合後のレポートでは「何とか守りきったチェルシー」となっていますが、


では”何故、チェルシーは守り切れたのか?



続いてはこの核心に迫っていきたいと思います。



ですが、まず"バルサの何がいけなかったのか?"を知るためには
そもそも"バルサの何がよかったのか?"の前提が分かってないと見えてきません。


そこで簡単にこの"異次元のチーム"の何がその強さのベースとなっていたのかをザッとおさらいしておきましょう。


まず彼らの特徴は「徹底したグラウンダーパスのつなぎ」「サイドを使わない中央突破」です。


多くのチームがロングパス1本や浮き球を放り込む局面を
バルサは短いグラウンダーのパスを刻んでボールを運んでいくのは皆さんもご存知の通り。

サッカーにおけるパスの成功率というのは、断然浮き玉よりもゴロのグラウンダーの方が高く
そしてパスの距離が長くなればなるほど低下するものです。

つまり、浮き球や長いレンジのパスを排除した事が
バルサの圧倒的なボールポゼッションとパスの成功率に繋がっていた訳ですね。


そして近年、サッカーにおける「クロスからの得点率」は年々減少してきているというデータがあります。

これは守備戦術の発達がサッカーにおける一つの定型とも言うべき「クロス攻撃」を
無効化するレベルにまで上がってきたという事を意味しています。


時を同じくして、本来ウイングだったメッシをCFにコンバートしたペップバルサは
いわゆる「メッシの0.5トップ」システムを武器に
完全に「中央突破」に特化したチームへと舵を切っていました。


それでも多くのチームがまだサイドも中央も
つまりフィールド全体を効率良く守る為の「ゾーンディフェンス」を採用しているので
実はサイドは囮に過ぎず、半ば”捨てている”バルサは
中央にその人員を投入し、局面での数的優位を作れるという「時代の優位性」を謳歌していました。


そして、中央を破る為にバルサが用意したメカニズムも
時代にピタリと合わせた最先端のものだったと思います。

それが「食い釣かせ」を目的としたパス回しと連動する動きです。


現代のゾーンディフェンスではそれぞれが担当する受け持ちの「ゾーン」で
入って来た「人」を抑えるのがその基本的なメカニズム。

バルサはこのメカニズムを逆手にとり、敢えて敵のゾーンとゾーンの切れ目や
2人以上のゾーンが被るディフェンスの密集した地域でボールを受ける事で
複数のディフェンスを引き付け(食い釣かせ)てから
空いた(空けた)スペースに別の選手を送り込むという攻撃で
「ゾーンディフェンス」そのものを攻略してしまいました。


「じゃあ、他のチームも真似すればいいんじゃね…?」というと
それがそうもいかない話で、敢えて複数の敵に囲まれる位置でボールを受けるには
絶対的な足元の技術と幼い頃から「ロンド」等の独特なボール回し練習で鍛えた
膨大な時間を要する下地が必要となってきます。

これがバルサの強さを指して「育成の勝利」と言わしめる所以であり、
バルサのサッカーはバルサにしか出来ないという優位性を元に
黄金時代が到来して現在に至る・・・と。


(昨季のCL決勝で「現代サッカーの最高傑作」マンチェスターUが
完膚なきまでにやられていたのは象徴的な試合だったと思います。)




<バルサの敗因を探る>


しかし、サッカーでいつまでも勝ち続ける事は不可能です。

現代サッカーの厳しさと進化のスピードは
バルサから次第に「時代の優位性」を奪っていきます。

そこで続いては前章で再確認した「バルサの優位性」が
どのように崩れていったかという流れを追いながら
チェルシー戦での直接の敗因を3つ挙げていきたいと思います。


まず近年、バルサがサイドを捨てているという事はもはや自明の理となり、
今では多くのチームが対バルサ戦で「サイドを捨てた守り」をするようになってきました。

そして「食い釣かせ」のメカニズムも分析され、
守備でエサに食い釣かない事と次のスペースに狙って入ってくる"本線"の方を抑えるという
高度な対応を見せるチームもCLではチラホラ見かけるようになってきます。


本来、守備で食いつかない=つまり、マークに付かないというのは
それはそれで怖さがあるものですが、
バルサの選手達は中盤でマークを離してもそこからのミドルシュートというのがまず無いので
これがある程度成立してしまいます。


そして、バルサの攻撃というのは
基本的にまず相手のファーストプレッシャー(前線のライン)をかわし、
次に中盤のライン⇒最後にDFラインと順番に相手のラインを剥がしていく律儀なもので
いきなり縦1本のロングボールでラインを素っ飛ばす事が無く、(長い浮き球は使わない)
よくよく考えれば守る側としてはDFラインの裏に気を配る必要がありません。


これを逆手にとったのがまさにチェルシーがこの試合で見せた守備でした。



【両サイドとDFライン裏を放棄したチェルシーのブロック守備】
2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600036211940063618.jpg


チェルシーは両サイドとDFラインの裏は捨てて(もちろんある程度はツェフに任せるが)、
黄色で囲ったバイタルエリアだけを極端に意識したブロックを形成。

手前の中盤のラインは、ブロックの外に引いてボールを受けるエサには一切食いつかず、
後ろのDFラインは裏のスペースを一切気にすること無く前傾姿勢でもって
この2ラインの間を極端にコンパクトに保つ事に成功。


それでもバルサはこの黄色いエリアに何とかしてボールを入れて
意地になって中央突破を狙っていたのが印象的でした。


それでは実際の試合から、
チェルシーが実践した「対バルサ用」の食い釣かない守備を確認してみましょう。


【チェルシーの食い釣かない守備】
2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600035611940063694.jpg


局面は1stレグから、バルサの中盤での崩しです。

迎え撃つチェルシーは4-5の2ライン+ドログバまでが守備に下がって徹底的に守る構え。


まずは敵陣からイニエスタが手前に引いてくる動きで
チェルシーブロックの「食い釣かせ」を狙います。



2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600033311940063785.jpg

ボールは引いてきたイニエスタへ展開されます。

しかし、チェルシーは”ブロックの外へ引く動き”に対しては一切、誰も食い釣かない約束事が徹底されていました。

チェルシーはボールを持ったイニエスタに飛び込まず、完全受身の姿勢。

かといってここからの「サイド攻撃」や「DFライン裏への浮き球」は選択肢に無いので
イニエスタは一旦最終ラインまでボールを下げて作り直しを図ります。



2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600038411940063695.jpg

ボールは最終ラインで受けたプジョルへ。

すると今度はチアゴが降りてきて次の「食い釣かせ」を狙いますが
当然チェルシーは誰もこの誘いに乗りません。

(バルサからすると手前のブロックがチアゴに食いつけばシャビへパスを入れたかった局面)


するとバルサはボールを一旦サイドのクエンカに迂回させ、更なるエサを撒きます。




2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600036811940063620.jpg


ボールはサイドで受けたクエンカへ。

と同時に今度はシャビが手前に引いて、
空けたこのスペースをチアゴに使わせる「食い釣かせ」を発動。

これにメイレレスが食い付けば一気にチェルシーのブロック内にクサビを打てるのだが・・・



2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600037211940063696.jpg

瞬間、ドログバが引いて受けるシャビではなく、
中に侵入してくるチアゴへの警戒を腕を伸ばしてコーチング。

結果、メイレレスはボールを受けるシャビ(エサ)ではなく
次のスペースを狙っていたチアゴ(本線)に付いてブロックを堅守。



2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600037211940063697.jpg

結果、崩れないチェルシーのブロックと入り込めないバルサという図式が出来上がります。


つまり、「時代の優位性」であったはずの
「サイドを捨てた中央突破」と「浮き球を使わないグラウンダーの繋ぎ」が
今度は一転、相手に読み切られる事で「バルサを縛る弱み」になっている事が分かります。


やはりサッカーの本質は騙し合いです。

サイドからのクロスに競り合いの怖さが無く、
縦1本のロングボールもミドルシュートも無いとなれば
バルサはジャンケンで予め何を出すのか予告しているようなもの。

まあ、それでもこれまでは「分かっていても止められない」で
その意地を通してきたバルサでしたが、
やはり相手チームが高いレベルだったり、対抗策も進化が進むと
段々と勝ち切れない試合が増えてくるのは時代の必然だったかと…。



そう言えば、3年前のCLでも同じようにチェルシーの徹底した守備戦術に手を焼いていたバルサを救ったのは
後半ロスタイム、Dアウベスのサイド突破からのクロスと
追い込まれたイニエスタが思い切りよく放ったミドルシュートでしたっけね。





<敗因はメッシ?>


敗因その2はこの際思い切って提唱しますが、
それは・・・・・



【メッシの劣化】だったと思います。


「ちょ・・・www」 「世界1億人のサッカーファンに喧嘩売ったったww」
「さてはコイツ、今季のバルサの試合見てないぞ」 


何か今、各方面からの一斉の非難を受けたような気がしますが、敢えて言おう。




むしろ心地よい と。 (キリッ!)

「ドM 乙」



いえいえ、何も今季もリーガとCLで合わせて50点超え・・・でしたっけ?(^^;

もはや何点取ったのかも分からなくなるほど
毎週当たり前のようにゴールを重ねるメッシのゴールパフォーマンスにはケチのつけようもございません。

むしろ、「まだ進化するのか この男は…」と半ば呆れる境地であります(笑)


しかしですね、今季はその反面、守備での貢献がますます下がり
もはやその貢献度は限りなく0に近くなってきたかな…というのが店長の見立てであります。


ではこのチェルシー戦からメッシの守備を見ていきましょう。


【メッシの守備】
2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0552033511940063924.jpg


局面は2ndレグから。
(アウェイユニのチェルシーが白ですね)


今、イニエスタからメッシへパスが入ります。



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しかし、これを読んでいたチェルシーはメッシを囲ってランパードがボールを奪取。


ですがバルサの強みは、このボールを奪われた瞬間の迅速な攻守の切り替えと前プレです。





2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0600033711940063925.jpg


ボールを奪ってドリブルで進むランパードには
まずプジョルが最終ラインから寄せて進行方向を塞ぎ、
セスク、イニエスタもプレスバックして囲い込みを図ります。

ところがボールを奪われた張本人のメッシが棒立ち。

奪われた瞬間には前にいたはずのイニエスタに既に追い越されている始末です。





2012-04-29_17-37-18_entry-11234638221_o0555033711940064045.jpg


囲まれたランパードはたまらず一旦後ろのミケルへボールを下げますが
ここにメッシが寄せていなかった為、ミケルにフリーでボールを展開されてしまいました。


確かにこれまでもバルサの中で最も守備の負担が軽いメッシではありましたが
自分が奪われたボールには猛然と追って奪い返す負けん気の強さがにこの選手にはあったはず。


この局面でもランパードを囲んで⇒下げたボールをメッシが奪い返していれば
一転して大きなチャンスに繋がっていた可能性は高く、
こういった細かいディティールが結果としてバルサの得点機減少を生んでいると見ます。


そして何より、メッシ1人がサボった事で
プジョル、イニエスタ、セスクの献身的な守備が全て無駄になってしまい、
しかも最後尾から寄せに出ているプジョルの裏が危険なスペースとして使われる可能性も。


攻守が密接に連動しているバルサというチームでは
一つのプレーが守備と攻撃で同時にデメリットを生むリスクを抱えていると見る事も出来るでしょう。


一連の見事なバルサのプレッシング守備の中で
メッシだけがポツンとチームのメカニズムから浮いているのが僕は非常に気になるんですよね。


確かに「完全守備免除」となったメッシの破壊力は今季も凄まじいものがありましたが、
次第にそれは”守備を免除されている分、攻撃はメッシ頼り”という
攻守分業化と攻撃でのメッシ依存が進み、
あくまでメッシもチームの一員として攻守をこなしていた頃と比べると
むしろサッカーの質という意味では退化していく方向に見えました。


無論ペップもその事は分かっていた上で
今季も何とか軌道修正を図ろうと色々試行錯誤を繰り返していたフシは見てとれましたが
(3-4-3への挑戦もその一環なんでしょうね)
いかんせんチームが向かう大きな流れには逆らえず・・・。


<それでもこれがフットボール>


まあ、ちょっとメッシには厳しい見方をしましたが、
それでもこのプレイヤーが3年連続バロンドールに値するプレーを見せていた事に疑いの余地はありません。

その彼がこのチェルシー戦で決めていれば勝ち抜けていたであろうPKを失敗するのがサッカーです。


つまり第3の敗因は「ボールは丸い」という事ですね。


「何だそれは・・・ww」と思われるかもしれませんが、
突き詰めればフットボールとはそういうものです。

どれだけチャンスを作ろうとも丸いボールが1センチずれて転がれば
そこに天国と地獄が生まれるのです。


そしてサッカーの女神はいつの時代も常に”継続”よりも”変化”を好んできました。

かつて、サッカー史にその名を刻んだ数多説のチームもその大きな流れには逆らえず
必ず次の新しいフットボールが生まれてきたのです。


それにこれでもって必ずしも「バルサ時代の終わり」とは限りませんよ?


「バルサを超えるのはやはりバルサだった」
なんていうオチだって充分ありえる・・・



それがフットボールだと思います。


(つまり、王子が決勝でハットをかます可能性だってある・・・とww)



<バルセロナという幸福>


しかし、バルサの敗戦も去ることながら
僕がそれ以上に衝撃的だったのは試合が終わった後のカンプノウの雰囲気でした。


観客はスタンディングオベーションで今、敗れたばかりのチームを迎えたのです。


それはペップが作り上げた一つの芸術作品に対する惜しみない賛辞でした。



試合翌日のスペイン・ムンド・デポルティーボ紙の一面がコレ↓です。

2012-04-29_16-43-10_entry-11236656271_o0300037011941208033.jpg

「Ser del Barca es millor que hi ha

(バルサのファンであることはこの上の無い幸せである)」





今季の全てを失った試合後の一面が
敢えてメッシのガッツポーズとチームを労う紙面とか・・・・ちょっと考えられないですよね。


(クライフ『負ける時こそ美しく』)



しかし、この賛辞こそがクレ達(バルセロナのファン)の偽らざる心境だったんでしょう。


そしてもちろん店長も彼らと同じ気持ちです。



当然、このブログの読者にはバルセロナとは違うチームを応援している人だってたくさんいるでしょうし、
中にはアンチバルサ派の人もいるかもしれません。


しかし、その全ての人達にしても、これだけは言えるのではないでしょうか。



敵であれ、味方であれ、第三者であれ・・・・







『この時代に生まれ、バルセロナと出会えた事はこの上の無い幸福である』と。


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