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モウリーニョ 『打倒バルセロナ』の向こう側 ~Rマドリー×ドルトムント 2nd~

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<『打倒バルセロナ』の向こう側 Rマドリー×ドルトムント 2nd

今日は来季の去就も注目されるモウリーニョの事実上マドリーラストマッチ(?)となったドルトムント戦の2ndから
話題の一手(後半の選手交代)を取り上げつつ彼の3年間の総まとめで締めくくる構成でいきたいと思います。


果たして「優勝請負人」がマドリーにもたらしたものとは―



<宿題は忘れないモウリーニョ>

ではまずドルトムント戦の2ndレグを振り返ってみましょう。

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ドルトムントはクロップ監督の前日記者会見で残した言葉が印象的。

クロップ
明日の試合では極端に引いて守りきる事も、また追加点を狙って攻撃一辺倒になる事もしない。
いつも通りバランスをとって戦う。我々のサッカーではバランスこそが生命線である』


その言葉通り、いつものスタメンが顔を揃えた。

それにしてもあの運動量の多いサッカーでよく1シーズン、最後まで固定メンバーを貫いたものだ。



かたや奇跡の逆転に一縷の望みをかけるモウリーニョ監督は1stレグの課題を的確に修正してきた布陣と言えるだろう。

まずレバンドフスキに完敗のペペに代えてSラモスをCBへ戻し、バランと機動力のあるCBペアを形成。

試合を見ていた我々も含め1stレグではレバンドフスキというプレイヤーをやや過小評価してしまっていた感は否めないマドリー。

SラモスをSBで起用し、試合感も不十分なペペにあの確変中のストライカーを任せたのは今考えれば明らかに荷が重かった。

右SBにエッシェンを起用してまでSラモスをセンターに戻した並びからはそんな後悔が滲み出ている。


加えてビルドアップの貢献が限りなく低かったケディラもベンチスタート。

3点を狙うのだからスタートからアロンソ、モドリッチのペアも当たり前だろう。


そしてサイドに回された事で完全に存在感を消してしまったエジルを本来のトップ下へ戻し、
待望のディマリアが右に復活。


当たり前と言えば当たり前すぎる修正だが、1stレグの宿題を全てクリアにしてくるあたり、さすがのモウリーニョである。


<勝負を分けた15分間>

蓋を開けてみると最初の15分間は完全なるマドリーペースで始まっている。

別にドルトムントが受身に回ってしまった訳でもなく、
マドリーは最初から適材適所で戦えばこれぐらいの力があるという事をまざまざと見せつけた格好だろう。


特に右SBに本来は中盤の底からパスも展開出来るエッシェンを置いた事で
この日のマドリーはアロンソ、モドリッチ、エジルに加えてSBのエッシェンと攻撃の起点が一気に倍増。

右サイドを完全に制圧すると、ここから本来の位置に戻ったエジルへ間受けのタテパスがビシビシと決まる。

【復活したエジルの間受け】
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更に右サイドで溜めを作っている間に、この試合ではめずらしく逆サイドのロナウドが50Mの全力疾走で一気にDFラインの裏をとるなど久々に本気を見せていた。

(ロナウドはボールを持ってからももちろん怖いタレントだが、あのスピードで裏まで走られると実はマークで付き続けるのは不可能に近い)


【右で作って逆サイを抜けるロナウドへ】
ronauranuke.jpg

他にもアロンソのレーザービーム⇒引いたイグアインのポストプレー⇒裏へ抜け出たエジルなど
1stレグとは打って変わって最初からエンジン全開のマドリーは開始15分でノルマの3点を奪うチャンスすらあったのでは?と思うほどの猛攻を見せる。

ロジカルに考えてマドリーのベスト布陣が機能すれば、こういう力関係になっても何ら不思議ではない。


但し、モウリーニョにとって痛恨だったのはこの15分間に1点も挙げられなかった事で
結果的にこれが勝敗の分け目だったと思う。


15分を過ぎると次第に試合を落ち着かせようとするドルトムントと先制点を急ぐマドリーという
ちょっと不思議な構図になっていったのは面白かったのだが(笑)

(いつもなら試合のテンポアップこそが生命線のドルトムントなのだが・・・(^^;)


そしてこの15分~30分の時間帯にドルトムントが見せたサッカーこそが彼らの成長の証だったように思う。

ギュンドアンとフンメルス将軍を中心に後方のポゼッションで試合のリズムを巧みにコントロール。

アップテンポ一本槍だった昨年のチームであれば、マドリーペースの濁流に飲み込まれていたであろう。


クロップも押し込まれた序盤をベタ引きにならないよう懸命にタッチライン際で声を枯らしていたが、
会見の言葉通り『バランスを崩さず』に冷静にマドリーの猛攻に対処していた姿が印象的だった。


結局前半は0-0で折り返す事に。



<モウリーニョの神の一手を検証>

そして後半12分、モウリーニョが試合後の焦点ともなった一手を放つ。

カカとベンゼマを投入し3-2-3-2という異色の布陣に最後の望みを託したのだ。

【選手交代で3-2-3-2へ】
3232-2.jpg

試合後、一部でこの交代を「神采配」とする向きもあったようだが、
何度試合を検証しても達する結論はこうだ。

この布陣は単なるパワープレイで機能性は著しく低く、得点との因果関係も薄い。


確かに前半はクロスを上げてもフンメルス、スボティッチ相手に分が悪かった空中戦でロナウドを使いたいという狙いは分からなくもない。

エジル、ディマリアをそれぞれ利き足のサイドに置いてクロスの発射台とし、中でロナウド・ベンゼマなら前半より勝負になる。


だが一方で裏を狙うイグアインを下げた事でマドリーの攻撃は明らかに奥行きを無くし、
ロナウド、カカ、ベンゼマはボールをもらいたいエリアが重なっていて中央は明らかに手詰まりになっていた。

そもそもカカもロナウドもスペースがないと120%の活躍は厳しいタレントではないか?


サイド攻撃でもSBがいなくなった事でディマリア、エジルの個人能力に託された感が強く、厚みが出てこない。


【両サイドは単騎突破へ】
deximar.jpg

このようにサイドにボールが展開されてもSラモスはCBとしてマークすべき相手がいるのでディマリアのフォローに向かえない。

しかもドルトムントは布陣を崩していないので2対1で冷静に対処出来ている。

(これなら前半に右サイドで見せていたディマリア、エッシェン、モドリッチ、エジルの流動的なサイド攻撃の方が
遥かに機能性も高く厚みもあった。)



もしかするとモウリーニョの狙いは両サイドでドルトムントのDFラインを左右に引っ張っておき
空けた中をカカ、ロナウドらに使わせる狙いだったのかもしれないが・・・・

【両サイドでドルトムントのDFラインを引っ張って中を開ける】
3232.jpg

だとするならば尚更トップ下には間受けの名手エジルではないのか?

カカをトップ下に置いても真ん中のゴチャゴチャしたところでロナウドらと絡みながら崩してく役割には向いていない。
(スペースのあるロングカウンターの推進力こそカカの真骨頂)


いずれにせドルトムントの4バックに4トップ気味の前線をぶつけて個の力で凌駕しようという乱暴な狙いも
ドルトムントが布陣を崩さず冷静に対処した事でむしろ手薄になった後ろをカウンターで突かれてあわやトドメの失点という場面の方が目立っていた。

結果的にDロペスの神がかり的なセーブで何度か難を逃れたものの、
一歩間違えば「神の一手」どころか「直接の敗因」として集中砲火を浴びていた可能性の方が高い采配に思われる。

故にファーガソンがマドリー相手の2ndレグにルーニーを先発から外し、
ギグスを起用した文字通り「神の一手」と同列に扱うべきではないだろう。


恐らくモウリーニョの算段としては前半の内に2点・・・最低でも1点は返しておき
最後のスクランブルとしてこの布陣を用意していた可能性は高い。

この布陣がロジカルに考えて穴の方が大きい事は百も承知だったろうし
だからこそ0-0にも関わらず後半12分の段階まで我慢していたのだろう。

ロジカルな展開の内に1~2点を返しておき、最後は捨て身のスクランブルから博打を打つはずが、
ドルトムントに横綱相撲でガップリ四つに組まれ、最後はこちらから何か仕掛けて試合を動かさねば…というところまで追い込まれてしまった。


<クロップの焦り>

それでも後半82分、マドリーに待望の先制点が生まれる。

この布陣が唯一機能した先制点は起点がGKのパントキックなのでそれすら微妙なところではあるが、
とにもかくにも前線に頭数を並べておいたメリットが活きて右のエジルから中のベンゼマへ。


だが、冷戦に考えれば遅すぎた先制点である。


ところが意外にもこの1点が試合をロジカルなものからモウリーニョが望んでいたスクランブルなものへと変貌させていく。

奇跡の逆転へ微かな光明を見出したサンチャゴベルナベウはその空気が一変。

腐っても相手は20世紀最高のクラブ、あのRマドリーだ。

ホームの大観衆に背を押された白いユニフォームはクロップ率いる若き挑戦者には文字通り白い巨人に見えたに違い無い。


後半87分―

それまでマドリーのどんな策にもあくまでバランスを崩さず対処してきたクロップが遂に音を上げた。

レバンドフスキ OUT ⇒ ケール IN

マドリーにとって一番怖いエースがいなくなった事で、DFラインも含めて総攻撃に打って出る態勢が整った。

Sラモス 執念の追加点が生まれたのはこの交代の1分後の事である。


だがやはり全てが遅すぎた・・・。

最後は中盤を削ってCBのサンタナを投入し、なりふり構わず6バックで守り切ったドルトムントが辛くも逃げ切りに成功する。


<『打倒バルセロナ』の向こう側>


とは言え・・・だ。

85分間は試合前の会見通り"バランスをとって"いつも通りのサッカーを展開したドルトムントの勝ち抜けは順当な結果だったと見る。

ロジカルな展開でマドリーのベスト布陣と互角に渡り合ったその戦いぶりは
若さとか勢いとか番狂わせといった表現が似つかわしくない程に逞しいものだった。


一方、マドリーの敗因はどこにあっただろうか?


昨年のCL準決勝バイエルン×Rマドリーを見返してから、再度今年のバイエルン×バルセロナとこの試合を見てみると
バイエルンはマドリーとPK戦を戦ったあのチームから今期は明らかに一回りもふた回りもその凄みを増している。

片やRマドリーは昨年からの上積みがあまり感じられないのだ。


思い返せばクラシコでのマニータから始まったモウリーニョ政権は
クラブとしてリソースの全てを『打倒バルセロナ』に捧げてきた月日だった。

バイタル封鎖にメッシ封じ、サイド放棄にラインディフェンスの解体と彼らは常にその筆頭であり続けた。


そう、確かにあの頃、バルサを倒す事と世界一のクラブになる事はイコールで繋がっていたのだ。

故にマドリーは「対バルサのスペシャリスト」として先頭を走ってきたのだが、
一方でマドリーに対して対策を施してくるチームへのリソースは明らかに足りていなかった。


そして今期、コパデルレイも含めバルサに完勝するなどバルサコンプレックスを完全に払拭した彼らは
国内リーグで「その他大勢」と見なしていたチーム相手に勝ち点を落とし続け
ドルトムントのように真正面から力でぶつかってくる挑戦者には力負けを喫してしまう。

(バルサのような一種アブノーマルなサッカーに慣れ過ぎてしまったのか?(^^;)


確かにバルセロナを倒す為にはロナウドは絶対に必要な武器だろう。

例え守備を疎かにしてもロナウドを前残りにしておく事でカウンターから得られるメリットは大きい。

もはやロナウドの方もバルサの守り方は熟知しており、ピケなんかは手玉に取っている感すらある。


だが、ドルトムントと戦った180分でロナウドが絶対的な武器として機能していたかというと話は別だ。

ドルトムントにロナウドクラスのタレントは不在だが、一方でロナウドを必要としないチームが完成している。



果たしてモウリーニョは打倒バルセロナのその向こう側に何を見ていたのか、
それとも見えていなかったのか―



気が付けば・・・


クラブの哲学に基づき己のサッカーと心中したバルセロナ、

そのバルセロナを倒す事にこだわり過ぎたマドリー、

ピルロという特定のタレントに頼りすぎたユベントスらが姿を消し、


最も攻守の"バランスに優れた"二つのクラブが決勝に残った。



それを「ドイツ対決」という安易な表現で括るのもいいだろうが、
もっとフラットな目で欧州サッカーを見渡してみた時、そこに一つの必然性が見えてはこないだろうか。


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3枚目の交代でアロンソ→ケディラをしたのは分離した前線とディフェンスを運動量でカバーするためなんですか?僕はアロンソを残すべきだと思ったんですけど…
店長はどう思いますか?

バランスですか・・・
でも、強烈なタレントを持った選手(V.ペルシ、C.ロナウド、メッシ、イブラetc...)がいれば、それなりに勝てるのも事実ですよね。
個の力で勝った試合もそれなりにありますし。

あと、自分はこれからのバランスの時代にネイマールやベイルという個の力を求めているバルサ、レアルがどうなるかと思いました。

Re: ブスケツさん

> 3枚目の交代でアロンソ→ケディラをしたのは分離した前線とディフェンスを運動量でカバーするためなんですか?僕はアロンソを残すべきだと思ったんですけど…
> 店長はどう思いますか?


ケディラ投入に関しては中盤が両ワイドに張っていてカカも前がかりなので2ボランチがカバーするエリアが広大になってきた時間帯でもあります。

こぼれ球を拾う=攻撃回数を増やす、ドルトムントのカウンター機会を奪うになるので、ケディラが投入されたのだと考えます。

アロンソの方を下げたのはイエローカードをもらっていた(?)かモドリッチのボールをドリブルで前に運べる推進力を取ったかのどちらかではないでしょうか?

パワープレイとは言え、マドリーは放り込みはしないので相対的に発射台より戦車の方が重視されたのかもしれません。

Re: 住所不定無職さん

> バランスですか・・・
> でも、強烈なタレントを持った選手(V.ペルシ、C.ロナウド、メッシ、イブラetc...)がいれば、それなりに勝てるのも事実ですよね。
> 個の力で勝った試合もそれなりにありますし。
>
> あと、自分はこれからのバランスの時代にネイマールやベイルという個の力を求めているバルサ、レアルがどうなるかと思いました。




そうですね。もちろん個の力は絶対に必要ですが、CLもベスト8以上になるとお互い個のレベルが高いのは当たり前になってくるので、そういう時にどこで差をつけるか・・・なのかなという気がします。

それに攻守のバランスは個の力と相反する要素ではありません。
個の力がある選手達がハードワークをこなし、なおかつ攻守のバランスが絶妙にとれたチームが「勝てる」時代になってきていると個人的には感じています。



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