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シュート35本の代償 ~日本×UAE~

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<シュート35本の代償 ~日本×UAE~>

前回の更新で「悪くてもベスト4」と書いた途端にコレですよ。


どうしてこうなった・・・・。OTL


アギーレの采配ミス?


ターンオーバーを採用しなかったが故のコンディション不良?


それともただの決定力不足?


(もしくは誰かの逆フラブ)


という訳で今日は日本中に溜まっているモヤモヤ感を払拭させる為にも
早急にこのUAE戦を検証していきたいと思います!


【日本×UAE スターティングオーダー】
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日本はグループリーグに引き続き4戦連続、不動のスタメン。
一部ではヨルダン戦にターンオーバーを敷かなかったアギーレの采配を非難する声もあるようですが、
果たしてこの試合にサクッと勝っていたらそんな声自体、聞こえてきたかどうかも疑問です。

そもそもアギーレの立場からすればまだ勝ち抜けも確定していないヨルダン戦でそんな冒険は出来ませんし、
なによりこの大会で必要とされていたのはまず「結果」

1位抜けして前評判の高かったイランとの対戦を回避する事も重要なミッションになります。
(回避した結果負けちゃったんだけど、それこそ「結果論」ですね(^^;)

改めてスタメンの顔ぶれを眺めてみると前回大会の優勝を経験したメンバーが実に11人中9人。
若手中心のUAEに対して経験値では圧倒的に日本が優位に立ちます。


一方、UAEのメンバーはロンドン五輪世代を中心とした構成で同国では「黄金世代」とも呼ばれており
日本でいうとトルシエJAPANを思い起こさせる上り調子のチーム。

中でも10番のオマル・アブドゥルラフマンは同国史上「最高のタレント」とも噂される逸材です。


しかしアジアCUPでは過去「パレスチナのクリロナ」「タイのベッカム」など
「勢いでつけてみました」「似てるのは髪形だけ」「そもそもテレ朝の実況しか使っていない」というのが定番パターン。

そんな訳で僕も「またまた・・・大袈裟な」とタカをくくっていたのですが、
ものの5分で「コイツ・・・本物か?」と見識を改めた次第。


その変態的なボールタッチ、プレービジョン、そして意外な守備貢献、

どれも「アフロは出オチ」という僕の既成概念を覆すものでした。

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オマルの他にも7番のマブフートはそのスピードを活かしたドリブル突破と鋭いダイアゴナルランが危険なアタッカーだし、
15番のイスマエールは長友ばりの機動力と圧倒的なフィジカルの強さを兼備した守備の強いSHで、確かに素材は粒揃い。

実際に試合ではどこか「ディフェンディングチャンピオン」として「受けて立つ」構えで入った日本に対し
「失うもののない挑戦者」UAEが序盤から果敢に仕掛ける展開に-


<迂回させられた日本のパスルート>
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序盤、日本が劣勢に回らされたのはUAEの戦い方が勢いだけに頼ったものではなく確かなゲームプランを持ったものだったからです。

グループリーグの3試合で日本が対戦した相手はどこも日本相手に「無策」とも見える戦いぶりでしたがUAEは違いました。非常によく日本を研究してきたと言えるでしょう。


日本の攻撃の特徴はビルドアップでCBからボランチ、もしくはCBから一つ飛ばしてSHに間受けのタテパスを入れるのが攻撃のスイッチとなっています。

これまでの試合ではこのCB⇒SHというタテパスがバシバシ入っていたのですが
UAEは守備ブロックを敷く際、4-4-2の3ラインを全体的に中絞りにして徹底的にタテパスのコースを消してきました。

【UAEの中絞り4-4-2】
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局面は日本がCBで横パスを交換し、間受けを狙う本田、香川、遠藤らにタテパスを入れるタイミングを伺っているところ。
しかしUAEは両サイドのSHが中に絞って日本が使いたいボランチ両脇のスペースを封鎖。

これだとCBからの展開がSHやボランチへのタテパスではなくSBへの横パスに迂回させられてしまいます。

更にUAEはこのタテパスの絶対的な出所となる遠藤に対し、マンマーク気味の対応で簡単には前を向かせない構え。


【UAEの遠藤対策】
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局面はまたも日本のビルドアップでCBからのタテパスを受けるべく遠藤が降りてくる場面


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しかし遠藤へのタテパスに関しては簡単に前を向かせないようマンツーマン気味でのマークを徹底。

↑の場面ではUAEのボランチ(アブドル)が中盤から飛び出して遠藤を捕まえているのが象徴的です。


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結果、日本のビルドアップでは長谷部が長い時間ボールを持たされる展開になり、尚更タテパスではなく横パスの本数が増える事に。

迂回させられた日本の攻撃は結局SBからの単純なクロスに終始するのですがこれは完全にUAEの狙い通り。
前半、モイテッドJAPANはあれだけのクロスを上げながらシュートにつながったのがたったの1本では…。


そうなんです、つまり日本が持つ構造的な弱点として
『遠藤が前を向けないとタテパスが入らない』
というのがザックJAPANからの課題なんですよね。
(最近は長谷部も意欲的に出すようになりましたけど、いかんせん遠藤と比較するとクオリティが…)

中絞りブロックでパスの出先を封鎖し、遠藤に前を向かせない事で「出所」も封じたUAEの守備は日本を苦しめるのに充分なものでした。


<監督代われど課題は継続>
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先程の章ではUAEの日本対策で主に日本の攻撃面(スイッチ)を取り上げましたが続いては守備についても見ていきましょう。

日本の守備における弱点はユニットとしての連動性の低さです。
よく「日本人の武器は組織力」だとか「規律」だとか言われますけど、
それは単に「個」の力がないから相対的に「組織」をクローズアップさせているだけで
実は日本サッカーの忘れ物はまだまだこんなところにもあるのではなかと。

とりわけ「縦の連携」は出来ても「横の連携」が著しく弱いんですよね。

どういう事か実際の試合から検証していきましょう。


【3センターの連携(スライド)】
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局面は右から左へ攻めるUAEの崩しから。
中盤でセカンドボールを競ったこぼれ球がUAEの元へ

ボールにアンカーの長谷部がアプローチ(チャレンジ)をかけるこの場面では
そのカバーリング役は背後の遠藤がスライドする形になります。

この「1人が出たら、1人がカバーする」という3センターの基本的な三角関係、
グループ戦術における最小単位での「チャレンジ&カバー」でさえ実は代表レベルでも怪しいぞ・・・というのがこの後の流れで明らかになってきます。


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UAEはタテパスを入れてから中で待つオマルへ。

この場面における3センターの役割分担はまずボール(オマル)へは香川がプレスバックして向かい、
遠藤はバイタルエリアのスペースを埋めるという関係になります。


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ところが遠藤は何を思ったかオマルからハマディへのバックパスのコースを消しに動いた為、バイタルエリアがガラ空きに。


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遠藤の本来の役割はこの⇒のコースで帰陣して「まずバイタルを埋める」というリスク管理でしょう。

3センターの難しさって中盤に4枚いる4-4-2と違って
3センター同士で「チャレンジ」と「カバー」の役割がぐるぐる入れ替わる事なんですよね。


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結局オマルにドリブルで運ばれると遠藤は置いてけぼり。
その上、日本のDFライン前には一切フィルターがない無防備な状態です。

しかもこの流れ、どっかで見た気がしませんか・・・?




そうです、国内組で挑んだブラジル戦でも同じような場面に出くわしましたよね。

【ブラジル戦 スライド出来ない日本の3センター】
3センター2

柴崎、田口、森岡で組んだブラジル戦の3センターはユニットのていを成していませんでした。
(とりあえずユーベの試合を50試合ほど観てピルロを中心とした3センターの美しい完成度を勉強しよう!)


つまりですね、国内トップクラスのJリーガーで選抜しようが、
海外組を含めたW杯経験組で組もうが「チャレンジ&カバー」すら結構怪しいのが日本サッカーの現状なんじゃないかと。


話が少し横道にそれましたが、この「中盤がフィルターの機能を果たしていない」というのは
主導権を握ろうという前提と選考の場合、より顕著になります。

長谷部と遠藤の後ろに阿部を置いた岡田JAPANはメンバー選考以上に
前提として「主導権」は放棄して完全リアクションサッカーに徹したが故の人海戦術。
戦術的なインテリジェンスで守ったというより「相手の攻撃を跳ね返す為の11人」で
ひらすらスペースを空けないサッカーをしていたに過ぎません。


続いてもう一つ、日本の中盤守備機能を象徴する場面を。

【日本の中盤のフィルター機能を検証】
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局面は日本の攻撃が跳ね返されてUAEのカウンターになるかどうかという瞬間。(攻⇒守の切り替え)
日本のインテンシティが問われる瞬間ですね。

現代サッカーのトレンドに沿ったイメージとしてはこうです↓

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ロジャー・シュミット『今だ・・・!!』



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長谷部・遠藤・本田『どうぞ、どうぞ、どうぞ・・・』

で・・・出ターー!!
日本の十八番『どうぞ・どうぞディフェンス』!!


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結果、UAEにノープレッシャーのままハーフライン越えられちゃいます。
(相手がメッシ、ネイマールクラスだとここでもうジ・エンド)


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あまりに誰も行かないので最後は本田さんが60Mダッシュで戻って奪い返しました。

まあデヨングだったら最悪、進行方向塞いでドリブルスピードを落とさせてたでしょうから
「マジか!」って感じで猛ダッシュしたのかもしれませんが(笑)


このようにただでさえ中盤のフィルターが機能していない中でDFラインにかかる負担は過大になっている訳ですが、
実はDFはDFでユニットとしての大きな問題点を抱えています。

こちらも実際の試合から検証していきましょう。


【DFラインの課題を検証】
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局面は立ち上がりの前半2分のシーンから。
右サイドを駆け上がった酒井がボールを奪われてUAEのカウンターを食う場面。

ボールに対し中のコースを切りながら狭い方へ追い込む長谷部の寄せはOKです。
問題は森重と吉田のCBペアの連携の方。

この場面、最前線を見るとUAEの2トップ対日本のDF3枚という事で3対2の数的優位なんですよね。
UAEの2トップは裏に抜けるマブフート(コイツは速い!)と一旦近くに寄ってきてボールを受けるハリルという按配。

となれば、DFとして一番やらせてはいけないのがマブフートに一発で裏を取られる事でしょう。
裏を取られてしまったら数的優位もクソもありませんからね。

(ちなみにボールに全くプレッシャーがかかっていないこの場面でオフサイドは取りにいけない)


片や、ここでハリルにボールが通ったところでゴールまではまだ50M近くあります。
相手がロベカルでもシュートが届く距離ではないのでいきなり失点に結びつく事はありません。

故にこの場面の3枚の役割分担としては吉田がマブフートに対応して森重がそのカバー、
最悪ハリルに渡っても長谷部のプレスバックと長友で対応出来ます。


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ところが、森重の意識と重心は明らかに前がかりで手前のハリルを抑えに出ています。
この意識では吉田がマブフートに入れ替わられた場合、カバーリングが効きません。

(イタリアサッカーで言うところの「ディアゴナーレ(斜めのポジショニング)」がなってない)


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その結果、一発で吉田と森重の間をスルーパスで通されてしまうのですが、
ここで吉田が背後のマブフートにそのままの身体の向きで付いて行くのではなく
ボールの方に気をとられたターンをしてしまった分、更にヨーイドン!で分の悪い勝負となってしまいました。
(エンマサ「アマチュアターンだ!」)


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いくらSB(酒井)の上がった裏を突かれたカウンターとはいえ
ハーフライン付近で3対2の局面が1本のパスで↑の状態になっていては失点は時間の問題です。

現に失点シーンでもこれと同じ課題が現れていました。

【UAEの先制点のシーンを検証】
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ハイ、ここですね。ここから1本のパスで裏をとられて失点してしまいました。

一体何が原因だったのでしょうか?

角度を変えて見てみましょう。


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まず、ここでもボールに全くプレッシャーがかかっていないのでオフサイドは取りにいけません。
(UAEの見事なパス回しに翻弄されて完全に日本のプレスが外されてしまったので致し方なし)

という訳でボールサイドの長友がアプローチに出たこの場面でDFラインに残る3枚の役割分担は
長友の背後を森重がカバーし、その森重の背後を吉田が…というように
文字通りお互いの「背中を預け合う」関係です。


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ボールが出る瞬間、マブフートが森重の背後から鋭いダイアゴナルランで抜け出します。

当然森重からは死角になっていますので、予めマブフートを視野に入れていた吉田がカバーリングに向かう役目ですね。


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と・こ・ろが、ここで吉田はパスが蹴られる直前に山を張ってハリルの方をケアするコースを取ってしまいます。

パスが出てから慌ててマブフートへのカバーに切り替えるのですが大きく迂回した遠回りのコースになってしまいました。
(ちなみにハリルは酒井に任せておけば何ら問題無かったはず)


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おかげでマブフートがシュートを打つ瞬間には2M以上距離が開いてしまっています。

本来の赤いコースで最短距離のカバーリングを行っていれば少なくともあと1M以上、マブフートとの距離を寄せられていたはず。

そうなれば当然、あのシュートが失点になったかどうかも微妙である。


このように前半10分までの2つのシーンを見ただけでも
日本のDFライン、とりわけ横の関係としてCBとCB、CBとSBの間でカバーリングの連携に明らかに問題がある事が分かります。

ちなみにこの失点直後に森重が吉田に話しかけているシーンが確認出来ました。↓

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森重が吉田の方を向きながら右腕を自分の背中の方に水をかくようなしぐさを見せている。

恐らく背後を抜けてくるFWに対するカバーリングの確認をしていたのだろう。
森重からすれば背中に目が付いている訳ではないので当たり前の話なのだが、
そういう君も逆の立場の時は吉田のカバーが充分ではかったぞ・・・と(^^;

要するに日本の場合、4バックと言いながらも選手個々が目の前のマークを捕まえる1対1の局面が4つあるだけでユニットとして機能する事が苦手なんですね。

同じように誰がいくか微妙な時、例えば下手に3対1とかの圧倒的に守備側優位の時は
今度は「誰が行くんだ?」という判断が瞬時に下せず皆して「どうぞ、どうぞ守備」になってしまう…と。

隣の味方とコミュニケーションをとって連携が結べないのにDFラインが一つのユニットとして機能するはずがありません。

(お陰で長友がCBのカバーから逆サイまでフォローに走り回るので、過労がたたって肉離れしとる始末・・・)


じゃあ、UAEの方の守備はどうだったのか?

実際の試合から見てみましょう。


【UAEの守備連携を検証】
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局面は左から右へ攻める日本の攻撃から。
ボールに全くプレッシャーがかかっていないこの場面、UAEのDFラインに注目して下さい。

岡崎の前でCBの1人がインターセプトを狙うような動きを見せていますが
その両隣でSBとCBが裏のスペースを中に絞りながらカバーするダイアゴナルのポジションを取っています。
(ディアゴナーレ)

但し、これだとDFライン全体が後ろに引っ張られるので当然バイタルエリアが空いて、本田の間受けはケア出来なくなり・・・


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ハイ、このようにタテパスを入れられてしまいました。

しかし一発のパスで岡崎に裏を取られる事に比べたらバイタルエリアで間受けされる方が100倍マシですよね。
(先ほど、似たような場面で日本は手前を気にして一発でマブフートに裏を取られていた)

何故ならDFラインの手前で攻撃が展開されている限りはパスが出てから飛び出せば・・・


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対応が可能

しかもUAEはここでまたCBが1枚飛び出して残りの3枚がカバーリングする完璧なディアゴナーレ。
結果的にこの場面では本田が捕まってボールを奪われてしまいました。


まあ、これがメッシとかアザールだと一発で外されて終わるんだけど、
とにもかくにもUAEのDFラインは意外とちゃんと整備されている事がよく分かるシーンでした。

そしてUAEは中盤も含めたチーム全体のスライドもこれまでのチームとは一線を画すレベルだったので一つ印象に残ったシーンを出します。


【UAEのボールサイドへのスライド】
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局面は中絞りのUAEに対し日本が長谷部を降ろした3バックにしてUAEの2トップに対し
ビルドアップで3対2の数的優位を作っているところ。

これに対しUAEがどのように守るのか?

ボールは長谷部から吉田に渡ってスペースをもらった吉田はそのままドリブルでボールを運び・・・


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これにはFWがプレスバックして付いて行くのですが、注目はSHの最後まで我慢して中を切り続けるポジショニング

吉田も本当は間受けを狙う本田とか香川にナナメのパスを出したいところなんですがSHの中切りと後ろのCHのスライドがしっかりしているのでパスコースが空かず、仕方なく大外の酒井へ、


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酒井に対してはSBが出て行って対応。
そしてこの瞬間のボールサイドを軸としたUAEのDFラインとMFラインの2ラインを見て下さい。

ボールサイドがアプローチして背後がカバーする見事なディアゴナーレが描かれています。
(欲を言えば逆サイのSHオマルはもう少し中に絞って欲しかったかな)

これで酒井にパスコースがなくなり、囲まれた末に奪われてしまいました。



<サッカーは90分トータルの勝負>
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試合は前半、先制点を挙げて勢いづくUAEのペースで進んでいきます。

UAEのアリ監督はリードを奪った直後にフォーメーションを4-4-2から4-2-3-1へ変更。
10番のオマルをサイドの守備から開放させてトップ下へ。
スピードのあるマブフートを1トップに置いた明確なカウンター狙いの布陣で主導権を渡しません。

とはいえサッカーは90分トータルの勝負。
挑戦者が立ち上がりから飛ばして王者にパンチを当てる展開なんてのはままある事ですがそのまま勝ち切るのは見た目以に難しい事です。

4年前に優勝を経験している日本の選手達は「ここを耐えれば必ず自分達の時間が来る」という確信があったのでしょう。
落ち着いて試合を進めUAEの攻撃を凌いでいきます。


すると実際、前半も30分を過ぎた頃から少しづつUAEの守備ブロックにスペースが出来てきました。

【攻守が連動した日本のサッカー】
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局面は前半40分、左から右へ攻める日本の攻撃。
守備時4-4-2になるUAEの3ラインに注目して下さい。

試合序盤と比べて明らかに2列目のラインと最前線の距離が開いてスペースが出来てしまっています。
そしてこのスペースこそ遠藤が前を向く為に必要なスペースなのです。

これで序盤から中は使えないわ、遠藤は前を向けないわで窒息気味だった日本の攻撃に息吹が蘇っていきます


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遠藤が前を向けると何が生まれるかと言えば、日本の中で唯一、2手先、3手先までのプレービジョンを共有出来る香川、本田、遠藤の3人称の絡みですね。

↑の場面でもパスの出し手となる遠藤、受け手となる香川、次の落としをバイタルで受ける3人目の本田というように全員が2手先のプレーを見て連動しています。


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・・・で、重要なのがココからで、仮に↑の場面のように繋ぎの途中でミスが起こっても
3人が連動出来る距離を保って攻撃を行っているので守備に切り替わった瞬間に複数でボールへアプローチが可能という事です。

この場面↑でも香川の落としがズレてUAEにインターセプトされるのですが、香川、本田、遠藤のトライアングルが一定の距離を作っていたので、すぐに香川がボールに、遠藤がタテパスの受け手となる選手にアプローチを開始しています。


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これによってタテパスが出せなくなったUAEはカウンターで前に運べず、
横へのドリブルから横パスを強いられています(これ重要)

ボールにプレッシャーがかかっている状態で尚且つ、パスが攻撃方向ではなく横パス、バックパスなら
日本のDFも積極的に前へ飛び出してボールにアプローチがかけられる訳ですね。

↑の場面でも香川のプレスによって強いられたUAEの横パスにSBの長友が飛び出してチャレンジ!


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プレスを受けたUAEは次の展開も横パス


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横パスだと次もプレスをまともに食らうので今度はバックパスで下げるしかコースがありません。

そして最初の攻撃の段階で遠藤と香川が良い距離感だった事、すぐに攻⇒守へ切り替えた事で
この場面での日本の3センターは理想的なポジションバランスに収まっています。

更にバックパスにはマインツの猟犬こと岡崎がGO!


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バックパスを受けたUAEのDFも岡崎のプレスを受けながらコースが切られているので
後ろの長友、遠藤が次のパスを予測してインターセプトを狙える状況が整いました。


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よし!狩った!!速攻!!


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敵陣で失ったボールを敵陣で取り返して速攻へ。
奪ってパス1本でこの5対5の状況が作れれば得点への期待は一気に高まりますよね。

このように日本の攻守は連動しているものなので
そもそも攻撃時のポジションバランスが崩れていたら守備も機能しなくなります。逆もまたしかりですね。

そして、その為に必要なのが遠藤が前を向く事で出されるタテパスと間受けを中心にした崩し、
それを可能にする選手同士の距離感ですね。


代表チのーム構造を少し極端に表せば遠藤×本田×香川の連携を軸として
その周囲に長友、岡崎、酒井(内田)らの機動力と長谷部のバランス感覚を置いたもの、と言えるでしょうか。


実際に試合では遠藤が前を向けるようになった前半の終わりから一方的な日本ペースになっていきます。
UAEは守備ブロックを更に後退させる事になるのですが、これを見たアギーレは中攻めだけでなく外からのクロスにも威力を持たせる為、豊田、武藤を投入。

遠藤に疲れが見え始めたら、すかさず替えのパーツとしてベンチに置いておいた柴崎を投入。
機動力と攻撃のペースを落とさない猛攻でUAEの牙城を崩しにかかります。


【日本の布陣 (前半)】
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前半の布陣だとUAEが中を閉めてきているので攻撃の主役は両幅を使う長友と酒井になります。
・・が、クロスを上げても1トップが岡崎で2列目が皆、間受け職人では怖さがありません。


【日本の布陣 (後半)】
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そこでSBがクロスを上げる際は豊田に加え、SHの武藤をゴール前に配置した2トップの並びに。
ゴール前の圧力は倍増されました。

こうなるとUAEのDFラインが後退し、連動して2列目のラインも下がる事に。
結果、ますます2列目と前線の距離が開いてこのスペースで元気な柴崎が躍動・・・というのがアギーレの狙いと見ます。

実際に試合ではこの狙い通りの形で日本の同点ゴールが生まれました。


【日本の同点ゴールを検証】
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局面は左から右へと攻める日本の攻撃。
森重から長友にパスが振られるとUAEの中盤と前線には狙い通りのスペースが。
既に柴崎はこのスペースを察知。

そして、ここでポイントなのはサイドでボールを受けた長友の次のプレーです


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長友もこのスペースを把握していたので縦に仕掛けるのではなく、中へのカットインを選択
(2手先のプレービジョン)

そこから柴崎へ横パスを展開


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アギーレの狙い通り、このスペースで柴崎が前を向いて受ける事であの素晴らしいゴールが生まれています。

余談にはなりますがこの場面↑で得点への隠し味になっているのがボールを持った柴崎の身体の向きですね。
UAEのDFがつられるのも無理はない角度でボールを持っています。

このように柴崎は日本でも数少ない自分の身体の向きをフェイントに使えるボランチで、
ピルロやデロッシ、シャビらと同じように意図的にタテパスのコースを空けるプレーが光りました。


<日本の敗因は? ~シュート35本の代償~>
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日本は同点にした後も攻め続け、最後は長友の負傷というアクシデントもありながら35本のシュートを浴びせ続けました。しかし残念ながら120分で決着をつける事が出来ずにPK戦で敗れています。


早速、巷ではアギーレの解任問題が再燃していますが、果たしてこの試合の敗因はどこにあったのでしょうか?


世論として一番声が大きいのが『決定力不足』です。


確かにシュート35本で1点(3%以下)ではそうぼやきたくなるのも分かりますが、
では具体的に何%の決定率なら「決定力充分」になるのでしょう?

そもそも日本代表の決定率が何%なのか把握している人はいるのでしょうか?

ザックJAPANの4年間を全試合のシュート総数からこのチームの決定率を割り出す試みは?

そもそもパレスチナ相手の1得点とコロンビア相手の1得点を同じ1点としてカウントする事に意味はあるのでしょうか?

ロシアまでの4年間でデータを取り、結果として「アギーレJAPANは決定力不足だった」というのならまだ分かりますが、
たった1試合の「シュート35本で1点」で決定力を判断していては不確定要素が大きすぎて何も見えてこないと思います。


極端な話、「決定力」だけ上げたければシュート本数を減らせばいいのです。
確実に入る時だけシュートすれば決定力は上がりますが、それだと今度は「もっと積極的にシュートを打て!」と批判が起きるでしょう。

要するに何が言いたいのかといえば日本代表が決定力不足なのではなく、
サッカーというスポーツの本質が「決定力不足」なんです。


その証拠にある特定のクラブを応援し続けているファン、サポーターは古今東西、
必ず自チームが負けた時の敗因として「今日は決定力不足だった」という言葉を幾度となく使います。

それはバルセロニスタだろうが鹿島アントラーズのファンだろうが同じ事。
逆に言えば「決定力不足」こそがサッカーの常態であり、試合で決定力という幸運に恵まれたチームが勝っている・・・という方が遥かにこの競技の本質に近いのではないでしょうか。

そして、数あるスポーツの中で最も「決定力が不足している」からこそ、これだけ魅力的で世界中で愛されているとも言えます。


故にサッカーで決定率を、そして勝率を上げたいのであれば、まずはシュートの本数を増やす事です。
チーム力を見極めたいのであれば90分の中でどれだけチャンスを作り出せたかを見るべきです。

だから僕もシュート3本しか撃てずにPK戦で負けた…となれば話は別ですが、あの内容で結果は引き分け、
勝ち抜けを決める為のPK戦で敗退という事であれば「それがサッカーでしょう」としか言いようがないと思うのです。


アギーレの解任うんぬんについても本田が1本目をふかして、香川が6本目をポストに当てた事に責任を取れと言われても、そこはもう「神のみぞ知る」領域でしょう。

仮に本田が入れてれば「ヒヤヒヤしたけどこれがアジアCUP。内容じゃ圧勝だったし次はスッキリ勝ちたいね」が世論の大半だったはず。


アギーレのこれまでの仕事ぶりについてもアジア相手に4勝1分、苦手の南米勢(ブラジル、ウルグアイ、ベネズエラ)相手には2敗1分、そして格下(ジャマイカ、ホンジュラス)にはキッチリ2勝と、極めて順当なもの。

予想以上でもなければ予想以下でもないというのがアギーレの半年でした。

そもそもアギーレという選択をした以上、ドラスティックな改革も革新的な挑戦も端から望んでいない訳で
世界における日本の立ち位置にあった現代サッカーのオーソドックスな形を4年かけて作りこんでくださいね…というのが今回の監督オーダーだったはず。

確かにコンフェデに出れないのは痛いですが
ザックJAPANはコンフェデのイタリア戦で全ての勘違いが始まったと監督本人が後に振り返っているようにこれも一概には言えない部分があります。


ちなみにザックJAPANを振り返るとアジアCUP優勝で「ザック神!」、アジア予選では「決定力不足」、
コンフェデから始まる本大会までの対世界シリーズでは「守備弱過ぎ」・・・という流れでした。

代表の決定力を嘆く前に我々の判断力を問い直す4年間にしたいものですね-




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アギーレJAPANはザックJAPANのリバイバル?~日本×イラク~

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<アギーレJAPANとザックJAPANに違いはあるのか?>
~アジア王者仕様で臨むアジアCUP~


皆さん、あけおめです。
新年一発目の更新は欧州サッカーネタを予定していたんですが、先に軽くアジアカップにも触れておこうかと思いまして。

というのも先日開幕したアジアカップですが、日本が強いというか相手が弱いというか微妙なところですが、
とにかく決勝ぐらいまでこないとこの先もほとんど触れるネタが無さそうだな・・・という危機感を覚えたからでもあります(笑)

グループリーグ最大の強敵と目されていたイラクも蓋を開けてみれば危なげない完勝。
スコアこそ1-0ですがあの内容で負けるとしたら10回やって1回あるかどうかってレベルでした。

まあ、それでも「1点じゃ物足りん!」と批判の声もあるようですが
それこそアジアの中における日本の立ち位置の高さなのかな…と。
(欧州予選でさえ格上のチームが押しまくって結局1点どまりなんて試合はいくらでもあるもんなんですけどね…(^^;)


それよりも個人的に気になるのはアギーレが本気でアジアを獲りに来ているな・・・という事の方でして。
いや、獲りにいってもらわなきゃ困るのはそうなんですけど、その結果ガチで選んだメンバーが結局4年前と同じじゃね?ってのが一つのポイントかと。

アギーレは就任当初の試合をブラジル相手でさえ「ザックJAPAN以外」のメンバーでテストを重ね、
結局辿り着いたのがこのメンバーってのが「まあ、そうなりますよね」という納得感と日本の選手層に対する危機感に繋がってしまいます。

思えばこの大会で既に4年後のチームの骨格を作ったザックと
その遺産でアジアを獲りにいくアギーレとでは最初の一歩目にして既に差がついているような・・・?


<イラク戦のアギーレJAPANを検証>

ではまず先日のイラク戦からアギーレJAPANを分析していきましょう。

イラクの守備は4-4-1-1の並びですが、1トップは完全に守備放棄だったのに加え、トップ下の守備もかなり緩いものだったので
実質は4-4の2ライン、8枚守備で日本の攻撃を抑えようという非常に甘い代物でした。

お陰で日本は吉田、森重だけでなく長谷部、遠藤までほとんどノープレッシャーで前を向けるという楽な展開に。
(試合前「ワタシは完璧な日本対策を持っている」とか抜かしてたのどこの誰だよwwww)

そんな訳で日本のマイボール時の並びはこんな感じに↓

【アギーレJAPAN マイボール時】
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最前線で1トップの岡崎が裏抜けでイラクのDFラインを引っ張ったり、CBを背負いながらポストプレーをしたりと
1人黒子の仕事で香川、乾らが主役として輝けるよう奮闘。

本田は完全にワイドに張った前残りでクリスチャーノ・ケイスケ状態。
遠藤は1人、2・5列目みたいな感じで自由に動いてはボール受けまくりのタテパス通しまくり。
記念すべき代表150試合目はさぞかし楽しくサッカーを出来た事でしょう。
(3年前に対戦したイラクはジーコ監督でさえ遠藤と長谷部にマンマーク付けてきたというのに…!!)

【実際の試合から(マイボール時)】
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左SHの乾は間受けの感覚を持つ職人なので自由に中に入ってくるとイラクのSBが食いつかざるを得ない状況を作り、大外をSBが抜けるというザックJAPANでもお馴染みの形。
(現代サッカーの一つのテンプレですよね)

実質トップ下の香川と、中に入って来る乾、そして遠藤のサポートで日本がボールを回しまくったお陰で
イラクの中盤3枚とSBはかなり中に食いつかされたイビツな状態になっていました。
AFCのサイトからこの試合のイラクのポジショニングをデータで拾ってきますとこんな感じ↓

【イラクのポジションMAP(日本戦)】
iraku-fome.jpg
21番と5番がボランチ、17番がトップ下なんですけどほぼ3人とも重なるように中へ絞らされてます。
加えてSBもだいぶ食いつかされて大きく持ち場から動かされているので日本は空けたスペースをこんな担当で使うイメージ。↓

iraku-fome2.jpg
試合ではこれが上手く機能して日本のシュート練習ならぬ「ポスト当て練習」になるんですけど。

やはり日本は遠藤が自由に前向けるとタテパスが入る⇒香川、本田、乾らの2列目タレントが躍動!の好循環に入りますよね。

では実際の試合から典型的な日本の崩しとそこに潜む見えない課題を検証してみたいと思います。


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局面は右から左へと攻める日本の攻撃から。
香川から森重へパスが出された瞬間ですが、この時香川と乾が描いていたイメージがこの展開


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香川&乾(出さんのかい・・・!!)

相変わらずこういう時にタテパスを出せるCBが恋しくなるのが世界基準なんですが、森重は大外の本田へ向けてサイドチェンジ


kagawa0117-3.jpg
このサイドチェンジが跳ね返されたセカンドボールを拾ったのが酒井という場面。

ここで香川の間受け発動ですね。

イラクのボランチが視野を外した瞬間に背中から飛び出してきてるのもミソで
左サイドから一気にダイアゴナルランでイラクのゾーンディフェンスの切れ目を3つ以上横断してます。
これはちょっとマークの受け渡しじゃ付き切れんですな。
(ゾーンディフェンスの破壊者たる面目躍如)


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香川の自由奔放な飛び出しはそのまま一気にイラクのCBとCBの間を抜けてDFライン裏へ

まあ、でもそのスペースは普通1トップが流れて使うんだけどね・・・。


kagawa0117-5.jpg
自重する岡崎が"らしい"よねwww

このへんは身分をわきまえているザキオカらしさ(笑)

2列目を活かす為に1トップが黒子になるのも4年前の前田と全く同じですな。
マインツのサポはこんなザキオカ見たくないだろうけどww


さて・・・一見綺麗に崩しきったこの場面ですが、その実見えないリスクをはらんでいます。

それはこの崩しの途中で、もしボールを失っていたら?と考えた時に顕在化するんですけど。

一応4-3-3のアギーレJAPANでインサイドハーフの香川が実質トップ下をやっていて乾も中に入って来る+長友が大外の幅を使う為に高い位置取りをしていますから、ここで奪われてボールを逆サイドに展開された場合、
2CBの前でスクリーン役になれるのはアンカーの長谷部1枚と遠藤のインテンシティ次第という状況になります。

W杯ではジェルビーニョやクアルダードにこの形のカウンターで何度決定機を作られた事か・・・。

でもアジアでは日本が攻め切れちゃうし、仮に奪われても相手の切り替えが遅過ぎてほとんど問題にすらなりません。


そう考えた時に浮かぶ疑問が一つ。
あれ?これって4年前のリバイバルじゃね・・・?


<アギーレJAPANはザックJAPANのリバイバル上映?>
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では実際にアジアCUPに臨んだ2つの代表を比較、検証してみましょう。
↓が4年前に優勝したザックJAPANのシステムです。

【ザックJAPAN 2011ver】
zaku.jpg
1トップの黒子役が前田に、右SBの無職が内田に代わっただけでほとんど同じじゃねーかYO!www

一つ違うのは4年間は間受け役だった本田が右に開いてVVV時代のカットインシューターに戻っている事ぐらいですね。
左の遠藤、香川(乾)、長友で作って⇒逆サイの右で仕留めるというメカニズムもほぼ同じです。

まあ、間受け役が「ジダンシステム」のザックJAPANだとバイタルで受ける本田が攻撃方向に背中を向けるので
その次の展開が後ろへ落とすパスかサイドへの展開になりがちだったのに比べると
ダイアゴナルランで動きながら受け、更にファーストタッチで加速出来る香川、乾のハイブリット型だとより現代サッカーのトレンドに沿った形にはなってますけどね。


4年前との比較でアジアの他国がそれほど伸びていないので、
恐らくベスト4までは問題なく勝ち進めると思いますし、今アジアカップをやるなら10回やって4~5回ぐらいは優勝出来そうな感じもするんですけどね(^^;

要はそれぐらいアジアは温い!って事です。

コンフェデレベルになったらもう遠藤は前を向けませんよ?
そしたら香川は消えませんか?
対カウンターの防御は本当にこれで大丈夫?

2014W杯で1勝も出来なかったアジア勢、日本も緩やかに強くなってはいますが、
世界の上昇曲線にアジアが置いていかれている感が強く残ったアジアカップのグループリーグとなりました。


次回の更新では”欧州クラブシーンの現在”を取り上げる予定です(^^;


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誰の為のブラジル戦だったのか?アギーレJAPANの未来を探る ~日本×ブラジル~

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<誰の為のブラジル戦だったのか? ~日本×ブラジル~>

ブラジルW杯での惨敗劇から早4ケ月。
前技術委員長のイチオシで招聘されたアギーレJAPANは船出から3戦目でブラジルと戦うチャンスに恵まれました。
そこで今日は先日のブラジル戦を振り返りながらアギーレJAPANの未来像を検証してみたいと思います。

まずこれまでの2試合で召集されたメンバーからアギーレが目指すサッカーの方向性を探っていくと
ザックJAPANではポゼッションの主役を担った中盤から遠藤、長谷部らが外れ
代わりに森重、細貝、田中順也という、彼が言うところの「ボールを持っていない88分」を基準に選ばれたメンバーが名を連ねています。

ザックが【自分達がボールを持つ事】を基準にチーム作りを考え、それに見合った人材に世界基準のインテンシティを上乗せしようとしたのに対し、
アギーレは最初から【ボールを持てない】事を前提にチームを作り始めたと言ってもいいかもしれません。

まあ、リーガで彼が率いたチームを見てきたリーガ厨ならば、
そもそも彼が端からポゼッションになど興味無い事は重々承知だったので「あ、やっぱりね…」という感じなんでしょうが(^^;

あれだけJリーグを視察しておきながら目下絶好調の宇佐美を召集しない徹底振りは
呼んだ選手以上に呼ばない選手を使って自身のサッカー哲学を日本中のサッカーファンに示す一種のパフォーマンスのようにも感じられます。
(次あたりアッサリ召集も有り得るww)


で・・・このブラジル戦である。

ファンは当然、今、日本が持てるベストメンバーを結集しブラジル相手にどこまでやれるか?を楽しみにしていた事だろう。
しかしアギーレはこれまで9つのチームを渡り歩いてきた、ある意味プロフェッショナルな監督。

その彼にすれば2年契約の日本代表においてまずどこで自身の査定が行われ次の契約延長に繋がるかをカレンダーから探り、そこへ向けたチーム作りを進めていくのは当然ではないでしょうか。

となればいくら「特にノルマは設定しない」と言われているといっても、まずは年明けのアジアCUPに照準を絞り、
それまでの強化試合を使ってチームを固めようと考えるのがアギーレにとっては当たり前で、ここにファンとアギーレとの乖離が生まれてしまった訳ですね。

まあ、穿った見方をすれば討ち死に確定のブラジル戦でテスト色を強調し、あらかじめ予防線を張っておいたと見えなくもないですが・・・(^^;

さて、注目のスタメンやいかに?


<テストに徹したプロ監督アギーレ>
日本ブラジルースタメン

ドゥンガセレソンは安定の4-4-2で地味だけど確実に計算の立つ選手を集めた感じ。
国内から召集したFWのジエゴタルデリはW杯でレギュラーだったフレッジなんかより全然いい選手で
機動力がありながら最前線でボールが収まるのでネイマールもやり易そうでしたね。

まあ、攻撃に関しては結局最後は「戦術ネイマール」になってしまうのは相変わらずでしたが・・・。


一方のアギーレはTBSも真っ青のスタメンを組んできました。
ジャマイカ戦から6人を入れ替えて中盤の3枚を初代表のJリーガーで組ませるという暴挙。

マジでこの人、相手がジャマイカだろうがブラジルだろうがそんな事は知った事じゃなく、
あくまで持ち駒の見極めの一環としてこのブラジル戦を消費してきました。
(ある意味プロフェッショナルに徹してるなぁ…)

結果、日本×ブラジルなのにどっちも知らない選手がたくさんいるっていうめずらしい状況に(笑)


<ブラジルの緩⇒急>
20141015NeymarvsJp.jpg

日本は序盤、若い代表選手達を中心にあからさまに動きの硬さが見えて
タテパスを早く入れようという意識はあるものの、結局孤立したマインツに焦ってロングボールを入れては
ブラジルの強力CB2枚にガッツリ潰されてボールを回収される流れ。

一方のブラジルもこの試合を迎えるにあたって3日前に宿敵アルゼンチンとガチな喧嘩をしてきた後なだけに露骨に動きが鈍い事(笑)

結果、硬い日本と鈍いブラジルとでギクシャクした流れが前半10分あたりまで続きました。

そんな中、それまで右から左、左から右へとのらりくらりボールを回していたブラジルのスイッチが初めて入ったのが前半10分過ぎのこのプレー↓

【ブラジルのスイッチが入ったワンプレー】
ネイマワンツー1
↑局面は日本の3センターの前でボールを持ったネイマール。対面の柴崎をワンフェイントで軽く外してしまいます。


ネイマワンツー22
パス&ゴーでタルデリへ預けてリターンを受けに走るネイマール


ネイマワンツー3
で、ボールを受けたCFタルデリに対する日本のCB塩谷のこの中途半端な寄せ。
寄せというか、全然寄せれてないのでこれだけ距離が開いてしまっている訳なんですけど。
(タルデリが攻撃方向に背を向けているだけに「ここでチャレンジ行かんのかい!」っていうね・・・)

本来、この場面でCBに求めたい寄せはこう↓


ネイマワンツー4
塩谷がDFラインから飛び出してチャレンジし、残ったDFラインの3枚が中に絞ってカバーリング。

クラシコで中盤に降りるメッシを捕まえるSラモスと残ったペペ、アルベロア、コエントランの絞りをイメージしていただくと分かりやすいかも(笑)

いずれにせよ、この中途半端なCB(塩谷)の寄せはいかにもな「Jリーグ・スタンダード」

これだとタルデリは余裕でボールをキープ出来るのでタップリとネイマールが上がってくる時間を稼いでから・・・


ネイマワンツー52
結局リターンを受けたネイマールに塩谷もアンカーの田口も置き去り。

このワンプレーでネイマールを始めとするブラジルの攻撃陣は「あ・・・余裕で崩せるわコレ」ってなスイッチが入った感があり、一連の流れを見ながら本日の大量失点を覚悟した次第でありました(笑)


そして案の定というかこの7分後に生まれたブラジルの先制点ですね。
ちょっと流れを追って検証していきましょう。


【ブラジルの先制点を検証】
1点目1
↑左から右へ攻めるブラジルの攻撃で、アンカー田口の前にタルデリが降りてきた流れから。
当然ここへのタテパスは田口も警戒しているので距離を詰めるべくアプローチの姿勢を見せます。


1点目2
ところがボランチのエリアスが田口の背後をとってバイタルに陣取っていたので
一瞬、田口がタルデリへの寄せとエリアスへのカバーとどっちへ行こうか迷いが生じています


1点目4
この一瞬の迷いを見逃さないのがブラジルのシビアさ。
遅れてタルデリに寄せてきた田口をあざ笑うかのようにワンタッチパスで田口を外してアッサリとバイタル侵入成功。

じゃあ、この時日本の中盤はどう守ればよかったのか?と言うと・・・・↓


1点目3
3センターが一個づつ中にスライドして絞ればマークもハッキリしていたはずなんです。

要するにこれは戦前予想されていた通り柴崎、森岡、田口の3センターじゃ守備をリードする選手が不在で3人が全く連携を取れていない状況ですね。


1点目5
・・・で、実際にはタルデリが田口を外してバイタルでリターンを受けた時、森岡と田口のこの距離間ですよ・・・。

これじゃあただ何となくボランチを3枚中央に並べただけってのと変わりません。個々が単体のパーツとして動いているに過ぎないのです。

頼むからもう少し自陣のバイタルエリアを使われる事に危機感を憶えてもらって、とにかく中は閉めてくれと。

何故なら今更ここでCLなどを持ち出すまでもなく現代サッカーとは「バイタルエリアを巡る攻防」なのだから・・・。

この1点目のシーンで何やら「ネイマールのオフサイドにかからないように動き直したコース取りが凄い」とか言われてますが、ハッキリ言ってブラジルレベルの相手にここまで簡単にバイタルで前を向かせたらその時点で詰んでますって。

何故かと言うと・・・・↓

【ネイマールの視野】1点目ネイマ視野
まずこの時、ネイマールが見ている視野で局面を考えてみましょう。
彼の視野からは当然ボールを持ったタルデリが見えています。その上で日本のDFライン全員をボールと同一視野に納められた訳です。

なのでパサーがボールを出せるタイミングで悠々とDFラインを見ながらオフサイドにかからないよう裏に抜けるなんて朝飯前の事。

じゃあ次はラストパスを出したタルデリの側に立って考えてみましょうか。


【タルデリの視野】
1点目タルデリ視野
タルデリはこの状況だと日本のDFラインと、今まさに裏に抜けようとするネイマールを同一視野に入れられますね。

なのであとはオフサイドにかからないようタイミングを見計らった上でスルーパス出すぐらい、極端な事言ってしまえば
そこら辺のちょっと腕(足?)に覚えのある草サッカープレイヤーでも出来ます。
だってこの状況でボールの出し手が守備者からの邪魔すら無いんですよ?何のシュート練習だよっていう(笑)

一方、これを防ぐ側の日本DFがどれだけ厳しい状況かも考えてみましょう。

まずはネイマールに前へ入られたSBの酒井↓

【酒井の視野】
1点目酒井視野
酒井はネイマールに気を取られたらボールがいつ出てくるかタイミングが分からないし、
ボールを気にしていればネイマールが視野から外れてしまいます。

結局、ボールホルダーがフリーの↑のような状況ではボールの方を見ざるを得ない訳で
あのスピードで背後(視野の外)から前を通られたら酒井に対応しろって言ってもかなりの無理ゲーです。

それは他のDFも同じで・・・・↓

1点目DFライン視野
要するにこの場面では日本のDFラインは一瞬ボールウォッチャーにならざるを得ない状況なんですよ。
まあ、中盤のセンターをあれだけ簡単にバックリ割られたらそりゃーこうなりますって。

故に「いかにバイタルエリアを使わせないか、ここで前を向かせないか」が現代サッカーの守備におけるメインテーマになるのは必然であり、攻撃はその逆って事です。


<機能しなかった日本の3センター>
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ブラジルは試合開始10分弱で日本の弱点を見抜いていました。
つまり急造の3センターがバイタルエリアをケアしきれていない事を。

そもそも4-1-4-1気味の3センターは本来中央を厚くしバイタルエリアを閉める為の布陣なのですが、何故日本はこうも簡単に明け渡してしまったのでしょうか。

【中を閉められない3センター】
3センター1
↑要するにこういう場面ですよね。


3センター2
これ本来は3センター同士が一つの鎖で繋がっているような機能を果たさないといけないんですけどね。
例えばボールサイドの柴崎がアタックしたら田口と森岡がスライドして中を閉めるカバーの役割を果たすという相互関係ですね。


3センター3
ここで全体がボールサイドへ一つずつスライドしてれば↑こういうポジションバランスでバイタルは閉められたはず。

結局この場面では間受けをするネイマールにCBの塩谷が後ろから倒してファウルで事なきを得るんですが
ここへ簡単にCBが釣り出される守備対応はフリックでスカされたり一発で入れ替われたりしたら即失点のピンチと紙一重なんですよね。(これをブラジル相手に90分続けてたらそりゃー大量失点は免れませんて)

CLでバルサと対戦した際のアッレグリミランとかシメオネアトレチコの4-5-1を見ていただくと、こういう中を閉めるスライドの見事さに気付くはずなんですが・・・。

【参考画像:対バルサ戦におけるバイエルンの3センター】
myura5.jpg


途中からは露骨にブラジルもこのスペースを狙い打ちにしてきていたので、その中から一つ、
アンカー田口の両脇に出来るスペースを狙ったブラジルの見事な崩しをご覧いただきましょう。

【バイタルを狙い撃ちしたブラジルの崩し】
田口両脇1
↑は左から右へ攻めるブラジルの攻撃で、狙っているのはアンカー田口の両脇に出来るスペースですね。
(4-1-4-1の泣き所)


田口両脇2
ブラジルはこのスペースに早速FWタルデリが降りてくるのとネイマールが森岡の背後をとって侵入を開始。


田口両脇3
で、ここから次にパスを受けるグスタボがアンカー田口との距離間を予め見ておく事で次に崩しへ入れると確信。


田口両脇4
田口が遅れて食いついた瞬間にワンタッチパスでこのアプローチを外すと・・・・
(事前に田口の位置を確認していたグスタボの狙い通り)


田口両脇5
巧みだったのがこの瞬間のネイマールの駆け引きです。
これまで散々裏への飛び出しで日本のDFラインに恐怖を植えつけたところで、ここでも一瞬フルスピードで裏に抜けるような素振りを入れて・・・・


田口両脇6
森重が反応した瞬間に急停止。進行方向を逆にして今度は引いてボールを受ける体勢へ。
僅か2~3歩の動き出しで森重との距離をこれだけ作り出したネイマールの予備動作が凄すぎる。


田口両脇8
で、バイタルで狙い通りネイマールがボールを受けると、日本の守備陣は一気に中へ絞らざるを得ず、結果としてフリーになった大外へ展開される見事な崩しがハマります。

ただこの崩しを支えているのもボールを受ける前に首を振って「見る」というグスタボの地味な準備やネイマールのほんの2~3歩の動き出しだったりするので、本当にベーシックなところこそブラジルとJリーガーとの差を痛感させられる試合でした。


<日本の拙攻とギアを落としたブラジル>

1点を先制したブラジルは早々にギアを2ndに落とした省エネサッカーに。
前線の4枚は攻め残りのまま守備は4バック+2ボランチの6枚で行う露骨な攻守分断へ。

ブラジルからすれば前から追わずとも自陣で待っていれば日本が入れてきたタテパスをカット⇒前残りの4枚を使ってカウンターでOKというゲームプランか。
そして実際にこんなプランで次々とカウンターからチャンスを作れるのだから楽なものである。

ではブラジルを楽にさせた日本の拙攻の原因を検証してみましょう。

【要因① 入れるべきタイミングでタテパスが入らない】
ブラジルバイタル1
局面は日本のCBから持ち出すビルドアップで、実はブラジルの守備も相当緩かったのでバイタルエリアとかスカッスカだったんですけどねー。

タッチライン沿いに立ってるドゥンガなんかは思い切り指差して「おい、そこちゃんと閉めんかい!」って叫んでる様子ww

ここにCB塩谷からタテパスを打ち込めば日本もブラジル同様、バイタル攻略からの崩しが狙えるという場面だったのですが・・・


ブラジルバイタル2
何故かボランチに預けちゃったー!入れるべきタイミングで入れておかないとさすがのブラジル守備陣も整ってしまう訳で。
目の前の門をグランダーのパスでビシッ!と通す自信が無かったのかも?

ここで思い出されるのがザックJAPANで、守備には多少目を瞑っても「日本で一番タテパスが出せるCB」を基準にチーム作りを進めていたなー…と。


次にタテパスの受け手の方にも問題はあります。

【要因②受け手がターンで前を向けない】
TJ1
局面はアンカーの田口が前を向いてボールを運んでいるタイミングでSHの田中順也が中に降りてきての間受け。

ここにタテパスが入れば・・・・


TJ2
うしっ!入った!これでターンしながら受ければKAGAWA無双ならぬTJ無双やー!


TJ3
って足元に止めちゃったーーーー!!

これがドルトムントのあの人やったら・・・OTL

やっぱりパスは出し手と受け手で成り立つものなので、そこらへんザックは香川とか本田とか遠藤を中盤で起用していた意味は大きかったんだなぁと改めて思っちゃいますよね。

それは日本がボールを持った時のポジションバランスを見れば一目瞭然で、分かりやすいシーンを出しますけど・・・↓


【アギーレJAPAN マイボール時のポジションバランス】
選手距離間1
う~ん・・・これじゃボールは繋がらんのだよねー(^^;

だってパス回しで言ったら中で受けようっていうフリーマンが柴崎1人しかいない訳でしょ?(汗)


もうね・・・






cc124cab.jpg
どこのモイテッドだとwwww


これ例えば、ザックJAPANだったら多分こういうポジションバランスになってます↓


【ザックJAPAN マイボール時のポジションバランス】
選手距離間2
遠藤×香川×本田に大外から長友が絡む左の黄金カルテットが懐かしいわい・・・(しみじみ)

まあ、総じて言えるのは森岡、柴崎、田口っていうJリーグ屈指のボールプレイヤーが
ブラジル相手だと全然ボール受けれないし回せないって事で。
(結果、守備面での荒しか見えてこない中盤トリオになってもうたな・・・(^^;)

ブラジルの2点目に繋がった柴崎のミスも、あの位置でのミスがタテパス2本でいきなり失点に直結ですからね。
あのミスも少し遡ってみれば、ブラジルの2ボランチと比べると柴崎のボールを受ける前の首振り確認、要は事前準備が不十分でしたよね。

まあJリーグだとあそこで失ったボールもバックパス挟んでキープしてくれたり、カウンターにしてもサイド迂回して最後はクロスならぬワロスで事なきを得る・・・って「あるある」でしょうから。
それでボールを受ける前の事前準備がいつまで経っても習慣化されない…と。

でも世界のトップはあのレベルのミスを許してはくれないのだよ柴崎君。
まあ、これで一刻も早くJを出ようという決心を固めてくれたのなら、いい経験になったと言えるんじゃないでしょうか。


<ブラジルのしたたかさ>

結局ブラジルは90分間、ギアをローに入れた省エネ運転だったのに日本がわざわざカウンターのチャンスを与えてくれるもんだから気付いたら4-0になってました・・・みたいなこの試合(笑)

でもそうは言っても省エネのブラジルもしたたかに守ってくるんですよねー。そこら辺はさすがの一言。

例えばこんなシーン↓

【ブラジルのしたたかな守備】
6対61
日本がSB太田の攻め上がりでブラジル陣内に入ると、ブラジルの前線は全く戻ってくる気配も見せないので
4バック+2ボランチによる完全6枚守備状態。

これに対し、日本は6対6の数的同数でチャンスなんですけど。


6対6-2
ここで数的同数でもしたたかに守れるのがブラジル。
ボールを持った太田に対し敢えて目の前のスペースを空けてやる事で大外を行く滑走路をブラジルが作ってくれました。

勿論、これはブラジルが仕掛けた誘いなんですけどね


6対6-3
で、気が付いたら太田はダニーロとサイドで1対1にさせられていると。
6対6の複雑な状況から1対1の局地戦に持ち込んだブラジル。

日本がラジルと戦った場合、なるべく局面に関わる人数の単位を多くして状況を複雑化させたい訳ですが
このように最小単位の1対1という局面になってしまった場合・・・・


6対6-4
アッサリと奪われちゃいます。

で、ブラジルからするとここでボール奪えば前線には4枚残してますから。
対する日本はSB太田が上がった状態でボールを取られてるので必然的にカウンターのスペースを与えてしまうんですよね。
しかもブラジルは日本と違って数的同数の攻撃をキッチリシュートまで持っていくんだから、この状況でカウンターを打ち合えば最終スコアは自明の理です。

これがブラジルの攻守分断省エネサッカーがハマってしまった理由ではないでしょうか。


<チャレンジを忘れた90分 失うものがないのはどちらだったのか?>
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結局0-4というスコアはザックJAPANの時と同じですし順当なものなので別段驚いちゃいないんですけど。

ただ、この試合を楽しみにしていた日本のファンは全力でぶつかれなかった消化不良は否めないだろうし
アギーレからしても新チーム立ち上げで戦力を見極めたい時期としては明らかにミスマッチでした。

となると結局、誰の為のブラジル戦だったのか・・・?という思いだけが残ってしまうんですけども。


ただ、メンバーがどうだろうとチームの完成度がどうだろうと外野が何を言ってようと
ピッチに立った選手達は全力でブラジルにぶつかるだけじゃないですか。

にも関わらず、サムライブルーの11人がカナリア色のユニフォームを前に終始怯えたようにプレーしていたので
この貴重な90分を無駄にした感が強いのが個人的には何より残念です。

そもそも誰もブラジルに勝つとは思ってないし、それどころかお茶の間の一般人からしたら「あんた誰?」って選手もたくさんいた訳だからむしろ自分をアピールする絶好のチャンスでしょうよ。


何故、誰もがボールを持ったら安全第一とばかりに逃げのパスしか考えていないのか…?


Jでは致命傷にならない小さなミスで失点の責任を負うのがそんなに怖いのか…?


僕の尊敬する先輩がかつてこんな事を言っていましたよ。
「ボールを持ったら行けるとこまで行け!観客全てが自分を見てると思え!1歩でもゴールに近付けろ!」

これって実は草の根レベルからブラジル代表にまで通じるサッカーの本質で
ネイマールは少なくともボールを持った時、毎回この気概でプレーしてましたし。

多分、データを出したらブラジルの中で一番ボールロスト数が多いのってネイマールだと思うんですけど(少なくとも上位3人には入ってるはず)、でもあの試合で誰が一番輝いたかってところにフットボールの答えがあるんじゃないかと。

要はボールをもらう事、ミスを冒す事、仕掛ける事を怖がり始めたら、それはもうフットボールじゃないだろう…と。

そんなモヤモヤを抱えながら試合を見ていた僕の目に突如衝撃的なシーンが目に飛び込んできました↓

【お・・・お前は一体!?】
武藤1
試合はもう後半、日本の負けは決定的になる中、何気なく出されたロングボールに身体を入れてフェルナンデスと競り合う男が1人。
決して質の高いボールじゃなかったけれど、力でマイボールにしようという意欲がみなぎっています。


武藤2
フェルナンデスに身体を入れられてボールを処理されそうになっても最後まで諦めずに競り合うサムライ


武藤3
結局粘り勝ちで強引にマイボールにすると最後のフェルナンデスのファウルすら振り払って1歩でもゴールに近付けようというこの推進力!!


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あ・・・貴方は一体・・・!?



武藤4
カバーに来たブラジルのCB相手にお構いなしで仕掛けていくこの勇気!!


kubo.jpg
マジでコイツはプレゼンス(存在感)がケタ違いだわ・・・。

*注 ところどころ個人の主観(妄想)を織り交ぜてお送りしています)


むしろブラジル相手に失うものが無い我々にとって、求められていたのってこういうプレーじゃないんですか?

そんな事を考えながら、まだJリーグに染まりきっていない若者にJの光を見た夜だったのでしたー


<アギーレJAPANの行く先は->
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最後にアギーレJAPANの今後の展望にも触れておきましょう。

協会がアギーレという人選に際し、どれだけ意図的だったのかどうかは定かではないですが、、
奇しくもザックJAPANのW杯惨敗に対する反動が見事なまでに反映された方向へ舵を切っているように思われます。

かつて「10番大国」「FW不足と中盤の人員過多」と言われてきたこの国のA代表で
中盤が森重、細貝、田中順也というサッカーが見られようとは夢にも思わなんだ(笑)

サッカーは個々で見れば確かに「ボールを持っている2分間と持っていない88分間」かもしれないが
試合総体で見れば「相手がボールを持っている時間と自分達がボールを持っている時間の総和」である。

ザックは決してボールを持っていない88分を疎かにしていた訳ではなく
あくまで自分達がボールを持っている時間を限りなく長くする方向でメンバーを選び
その上で繰り返し強調していたように「インテンシティ」をチームに課した4年間でした。

ザックJAPANと比べると縦への推進力が増したアギーレJAPANですが
このサッカーでは結局ボールが両チームを目まぐるしく移動するカウンターの打ち合いにならないだろうか?
(日本のカウンター耐性の低さは監督を代えたぐらいじゃーどうにもならんぞ?ww)

無論、現代のトレンドで言えば失ったボールを「88分間の強度(つまりインテンシティ)」でもって奪い返すのがアギーレの狙いなのだろうが、こと近年の日本サッカーの大きな忘れ物が「ボールを奪う」という能力である事を考えると4年間でどこまで世界と戦えるチームになるかは未知数である―



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『突きつけられた現実』 ~日本×コロンビア~

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<突きつけられた現実 ~日本×コロンビア~>

1分2敗-
これが日本に突きつけられた現実だった。

決して小さくない期待を抱かせたザックJAPANの4年に渡る歩みと目の前の現実との乖離に
試合から2日経った今もまだこの国は冷静に受け止められていないようにも見える。

一体どこで何を間違ったのだろうか?それともこれが日本の実力だったのだろうか?
今こそ冷静に検証し、その現実を見据えるべき時だろう。


<『奇跡』に賭ける一戦>

このコロンビア戦を迎えた時点で日本の勝ち抜け条件は『奇跡』、と表現されていました。
他力に頼る部分もありますが、いずれにしてもこの試合の「勝ち」だけは絶対条件。

前の2戦では試合後、結果以上に日本中が抱いた「これじゃない」感を払拭させる為にも
この90分で「日本のサッカーが見たい」、そんな機運が高まっていた中での一戦ともいえます。
果たしてザックが最後に運命を託した11人は以下のような顔ぶれとなりました。

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ポイントはまずボランチに青山が初先発として名を連ねた事。
秘密兵器のまま終わるかと勝手に思っていた隠し玉に遂に出番が回ってきました。

もう1つ、3戦に渡り色々といじくり回してきた前線のユニットは大久保を本来のFWへ戻し、
2列目はザックJAPAN最大の強みとなってきた「本田、香川、岡崎」の3人が並んだ、
まさに原点回帰とも言えるメンバー。


一方のコロンビアと言えば既にグループ勝ち抜けを決めており先発を8人入れ替えてきました。
ただでさえエース・ファルカオがいないというのに、第2FWのバッカが負傷で離脱し、
10番Jロドリゲスもベンチスタート。飛車角どころか王もいないようなメンバーだが日本にとっては朗報である。

*尚、一部一般の日本人とセリエクラスタの間ではコロンビアの2軍に対する認識のズレがあった模様)

日本人「グアリンは長友と同僚か」
日本人「という事はインテル所属・・・」
日本人「要注意だな」
日本人「インテルだもんな」
インテリスタ 「よっしゃ!ラッキー!」

日本人「ん?キャプテンのジェペスもいないぞ?」
日本人「去年までミランにいたDFリーダーも下げてきたか・・・」
日本人「これでDFはガタガタだな」
ミラニスタ 「クソッ!穴がなくなった!」


<青山起用からザックのゲームプランを読み解く>
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この試合、ザックのゲームプランを読み解くにあたってはボランチに山口でも遠藤でもなく青山を使ってきたところにポイントがあるのは間違いありません。

山口は対人でボールを奪い取る能力、遠藤は細かいパスの散らしでチームのポゼッションを確実に上げる力をそれぞれ持っていますが青山のストロングポイントとは一体何なのでしょうか?

(尚、当日は日本中の「サッカーならちょっと詳しい」的な立ち位置の玄人が
隣の一般人から「ねぇ?青山って誰?なんで遠藤(or蛍)じゃないの?ねぇ?なんで?」と聞かれる事案が大量発生との事)

試合を見たら分かる通り、青山の武器は「縦への推進力」ですね。
4人のボランチの中でも最も得点に直結するタテパスが出せるという事です。
サンフレサポ「ここで使うなら何故、寿人も一緒に呼ば・・・ry」


実際に試合では序盤から青山が岡崎、大久保が走ったDFライン裏へのロングパス、
そして間受けに降りてきた本田へは例えマークを背負っていようが、
ちょっとくらいパスコースが狭かろうが積極的にタテパスを入れていく姿勢が見られました。

これまでの2試合で消極的なゲーム運びから窮地に追い込まれていた日本は
マスコミやファンからも「もっと攻撃的なサッカーが見たい」という声が上がっており
ザックとしても今一度積極的な姿勢をチームに取り戻させたいという意図があったのかもしれません。

但しその結果として前半10分までの間に青山のパスミスから食らったカウンターが4本。
データで見ると前半15分までの青山のパス成功率は何と22%で、前半45分トータルにしても58%という数値。
サッカーで最も多くボールに触るボランチの選手が10本のうち半分のパスをミスしていてはゲームは組み立てらません。
(*参考データとしてコート戦の遠藤のパス成功率は84%、これがシャビ・ブスケスクラスになるとアベレージで95%前後を叩き出す)

確かに遠藤を出せばポゼッションは上がる一方、ゲームはより膠着したものになったはずです。
パス成功率の低さはそれだけリスクを冒したパスを選択していた事の証でもあるので一概に比較は出来ませんが
この試合に限ればその収支はマイナスに出ていたような気が…。

ただ、そもそもザックのゲームプランが前2試合の膠着状態を反省して
この試合では攻守の切り替わりが激しい、いわゆる4年間チームが追い求めてきた「インテンシティ」を問われる展開で勝負しようと考えていたのであれば、その狙いはよく出ていたとも言えるでしょう。


【前2試合とコロンビア戦の各選手パス成功率比較 (どれだけリスクを冒していたのか?)】
内田 78%(コート)⇒57%(コロンビア)
長谷部 90%(コート)⇒78%(コロンビア)
今野 89%(ギリシャ)⇒77%(コロンビア)
本田 73%(コート)⇒78%(コロンビア)
香川 76%(コート)⇒95%(コロンビア)

*数値から見ても明らかなのはビルドアップを担う後ろの選手が「リスクを冒してタテパスを入れる」一方、
敵陣で崩しを担う前線の選手は「よりシンプルなパスを心掛けろ」というのがザックのゲームプランだったと読み取れる。


<時代から乖離したコロンビアの守備>

では一方のコロンビアのゲームプランはどうだったのでしょうか?

コロンビアというチームは前節コートジボワールとの試合を見る限りカウンター攻撃の形はかなり完成されている反面、
守備は組織というより個々の能力に任せたかなりアバウトなものでした。

故に試合は”ちゃんとサッカーをする”コートジボワールペースで終始進んでいったのですが
最後はカウンターを決めきる決定力の差でコロンビアが勝利しています。

となれば既に消化試合となっている日本戦ではどんな事になるのか…と若干期待はしていたんですが(笑)、
実際に試合で披露されたのが想像以上にアバウトな守備だったので思わずニンマリ。

【コロンビアの守備陣形】
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コロンビアは守備時、前線の2トップに加え両SHの戻りがメチャクチャ遅い・・・というより半ば放棄しているので
4枚のDFと2枚のボランチによる「4+2」の6枚ブロックが基本。
なので日本はSBが上がっていけば必然的に両サイドで2対1の数的優位が作れる「両サイド・オーリエ状態」(笑)

ちなみに普段CLなど観ている方ならご存知かと思いますが、
現代サッカーの最先端では「4+4」の8枚ブロックですらもはや戦術的に攻略されつつあるので
今は更に中盤を1枚厚くした「4+5」の9枚ブロックが主流になりつつある時代です。

まあ字で読むより画を見てもらった方が一発なので・・・

【現代サッカーの主流「4+5」=9枚ブロック】
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↑このように4+4のブロックに1枚前線からプレスバックなどさせて・・・・


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↑4枚のDFラインと5枚の中盤の合計9枚で隙間なく埋めないと今は間受けでズタズタにされちゃうんすよ。

ところがこの日のコロンビアの守備ブロックは・・・


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スッカスカやないかい!wwww
今時、6枚ブロックてwwww


【コロンビア 前半のプレーエリア】
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↑位置データからも前残りのクアルダード(君…確か守備の国セリエA所属だよね!?www)と
中に入ってきて自由なキンテーロは明らかで実質両サイドの守りはSB1枚が担っている状態。

これは日本にも「奇跡」の目が出てきたか・・・?


<前残りと攻撃参加 その収支>

コロンビアの舐めた守備もあり前半は日本ペースで進んでいきました。
確かにリスクをかけて「前へ 前へ」とボールを進める為、コロンビアのカウンターにも時折ヒヤリとさせられるのですが
少なくともこれまでの3試合の中で最も「日本らしいサッカー」が出来ていた時間だったと言ってもいいんじゃないでしょうか。

そんないい流れで生まれた前半15分のPK事件。
巷ではボールを奪われた岡崎(後に1ゴールで帳消し)とPKを与えた張本人である今野に矛先が集中していましたが果たして失点の原因はどこにあったのでしょうか?

それではコロンビアの先制点の場面を検証してみましょう。

【コロンビアにPKを与えるまでの流れを検証】
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局面は右から左へ攻める日本、相変わらず4+2で守るコロンビアの守備ブロックはボランチの両サイドがスッカスカや。

当然このスペースで間受けを狙う岡崎という図。


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んで、長谷部から岡崎へタテパスが出ると、ここへはCBが潰しに出て行くのがコロンビアの守備。

要するにCBの個人的な守備範囲の広さに依拠した守備で、上手く潰せればいいけど
ここで岡崎の位置に入る選手に一発で入れ替わられたり、フリックで流されたら結構リスキー。


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フン!ザキオカで助かったな!(笑)

まあ、本来この仕事は香川が本業だから岡崎だと致し方ない部分はあるんですよ・・・。

でもって、ここで取られた岡崎を非難するのは簡単なんですが・・・


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そもそも岡崎にタテパスが入った瞬間に後ろで棒立ちの香川と青山はどーなんだ?っていう話。

例えばここで岡崎にコロンビアのCBを食いつかせた状態で落としをもらい、裏へ浮き球⇒大久保メシウマァァ!!っていう展開が何故描けなかったのか?と。

これね…、長谷部をブスケス、岡崎をメッシ、内田がDアウベスで前に張ってる大久保がアレクシスだったら
香川(イニエスタ)か青山(シャビ)が前向きでサポートに入って終わる局面なんですよ。

(どう見てもカンプ脳です。ありがとうございました)


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・・・で、まあ現実はカウンター食らうんですけど(笑)

ここでポイントその②
このドリブルに対し、ボランチの青山がコロンビアのカウンタースピードを遅らせる事は出来なかったのか?という問題です。

↑の場面を見ても青山の寄せのスピード自体は凄くいいと思うんですよ。
あとはここで縦を切って我慢しつつ前線の戻りを待つ・・・と。
それがボランチの仕事ってもんでしょう!


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青山⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!

いや~思い切り良く行ったね~スライディング(^^;

お陰で見事にサポートに上がってきた選手にボールを拾われた結果

コロンビアのカウンタースピードは加速+青山はピッチに滑り込んだ状態なので立ち上がれず


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とは言え・・・・実はこの段階においてもまだ4対3の数的優位なんですよ日本は。


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ラモスにタテパスを出させたところで今野が斜め後方から寄せてサイドに押し出し、
その隙に吉田、長谷部、長友をゴール前まで戻させれば難なく対処出来る局面だ。

それがCBの仕事ってもんだよな!?今野!


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今野⊂(゚ー゚*⊂⌒`つ≡≡≡≡≡≡≡≡≡ズサー!!(本日2回目

オイオイ・・・Jリーグの守備って一体どーなってんだよ・・・((( ;゚д゚)))

このように一連のプレーを振り返ってみると
まず日本の攻撃が2手先、3手先を読んだイメージがないのでコロンビアの6枚守備に難なくボール奪われてる

ひとたびカウンターくらったらボランチがフィルターとして機能しない

最後のエリアでCBが1対1で耐えられない(イチかバチかの特攻守備でブチ抜かれるかファウル取られる)

・・・とまあ、日本が持つ弱点がコロンビアクラス相手だ丸裸にされた・・・と見た方が妥当じゃないでしょうか?
原因(岡崎)と結果(今野)だけに矛先を向けても根本の解決にはならないと思うのです。

コロンビアの側から見れば6枚守備にして前線は前残しにしておいても
カウンター時に大きなリターンを得られるので収支はプラスになってるんじゃね?って話。

反対に日本から見ると確かにSBが上がれば両サイドは無条件で数的優位なんだけど
カウンター食らった時に後ろのスペースを使われるリスクの方がリターンを上回ってませんか?って話ね。


<脆弱過ぎたフィルターとしてのボランチ>

コロンビアはPKで1点とった後も守備が相変わらずなんで、サイドではボールを持てる日本。
但し、本来チャンスとなるべきこの状態が図らずとも日本が抱える弱点を露わにしていくんですよね。

例えば象徴的な場面がコチラ↓

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↑は右サイドで岡崎が抜け出している場面なんですけどこれに対応しているのはコロンビアのSBです。
んで後ろからカバーに向かってるのが多分ボランチ。


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コロンビアはSBがつり出された分、ゴール前が3対3になっちゃってるんですけど、
この時、本田、大久保、香川は3人とも同じ方向の矢印でゴール前へ駆け込んでるじゃないですか。
でもこれだと岡崎がクロス上げるには個人でこの1対2を突破しないといけないですよね?

で・・・当然、この後岡崎はあっさりボール奪われてコロンビアのカウンター発動→


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ここで青山と長谷部の2ボランチがどれだけフィルターになれるのか?これも重要です。

パスの出先に長谷部がアプローチをかけます。


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ベーハセの鋭いアプローチによってグアリンが一瞬グラつきます。

「ここがボール奪取のチャンス!」って普通に守備の嗅覚があれば
香川はここで挟みに行ってカウンター返しの発動なんです、本当は。

ここが日本の弱点その③
「守備センスが乏しい香川の左サイド」が再び・・・!!

香川はこういう時、自分の持ち場から離れないのは先日のコートジボワール戦でも明らかでしたね?


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お陰でフィジカルモンスター=グアリンが体勢を立て直して右奥へナナメのパス。

香川は最後まで棒立ち。
(恐らく背後を上がるコロンビアのSBエリアスが自分の担当だと思っている?)


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・・・で、またもやこっから裏に走られてスルーパス→


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ズサーー!って結局コレかよwwww
(今度はボールに行った正等なスライディングなのでノーファウル)

でもね…、敵陣一番奥のクロスを上げるかどうかのエリアまでえぐった攻撃からボール奪われて→パス3本で自陣PA手前のスライディングによってかろうじてボール回収ってリスク高過ぎませんか?(^^;

要するに日本の構造的な欠陥はこれまでも繰り返し述べてきたように「中盤が全くフィルターとして機能しない」って事なんですよね。

だからこのメンバーであのサッカーを貫くならそもそもボールを簡単に失ったら駄目なんです。
ボランチのパス成功率が6割切るとか論外です。
(やはりこのチームの頭脳は遠藤・・・・)


周りを見渡してみれば優勝を狙う強豪達がデヨング、ケディラ、グスタボをボランチで起用しつつ順当にベスト16へ歩みを進めている反面、ブスケス&アロンソピルロ&デロッシでボールを支配しようとしたチームが敗退しているのは興味深い傾向。

奇しくも4年前、岡田監督が「あかん!ベーハセと遠藤の2ボラじゃ本大会はチンチンにされる!」と決断して
阿部をアンカーに置いた事の正当性やいかに・・・?

(尚、「黄金の中盤()」「自由なサッカー」はドイツの地で木っ端微塵にされた模様)


<外国人(ザック)から見た日本の武器>

じゃあいっそ日本はSBを上げずにジッと耐えてれば良かったのか?というとそういう事じゃーないんですよね。

例えば後半にこんなシーンがありました↓

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局面はコロンビアの4+2ブロックに対して本田がボールをキープして、その大外を内田の構図。

本田はここから外の内田を使うと、内田へはコロンビアのSBが出てきて対応。
ポイントはここで内田に1対1を仕掛けさせたり、そのままシンプルにアーリークロスを上げさせる事ではなく・・・


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もう1人(岡崎)が寄って来て局面を1対1から2対2、3対3の複数構図に持っていく事。

内田は岡崎を使ったワンツーリターンで更にもう一つ深くエグり・・・


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クロスというより狙い済ましたピンポイントのラストパスを大久保へ!
(但し、大久保は~QBK2014夏~)

ギリシャ戦のように単純なクロスで終わるのではなく点と線で合わせるようなラストパスが日本には必要で
その為には崩しに労を惜しんではいけないって事ですね。

そしてこの機動力こそ日本人の武器だとして外国人ザック(&オシム)が「日本のサッカー」を作り上げてきたはず。


これに加えて前半終了間際に生まれた日本の同点ゴールは本田が強調する「同時に個も伸ばす」事の重要性がポイントに。

【日本の同点ゴールを検証】
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局面は日本のカウンターからコロンビアのサイドが崩せると察知した本田が右サイドへ流れた場面。

長谷部からパスを受けると本田は1対1ならある程度個の力でボールを運べるので・・・


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サイドに1人でもクロスまで持っていけると。
(中は3対3。岡崎が合わせてゴール)

個でもラストプレーまでやり切る力。これもカウンターを受けない為に大事な要素ですね。

セード○フ「HONDAの右サイドはワシが育てた(キリッ!)」


<明らかに差のあった個のクオリティ>
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結局前半を1-1で折り返すとコロンビアは後半、10番Jロドリゲスらのガチメンを投入。

特にこの10番の存在感たるや、投入されるやいなや明らかにコロンビアのギアが3速は上がり、
たった1人で試合を決めてしまった感もあります。

では後半8分に早速ハメスが仕事をしたコロンビアの逆転ゴールを検証していきましょう。


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局面は左から右へ攻める日本の攻撃。本田に間受けのパスが入る場面です。


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既に「俺がやったる!」スイッチが全快の△はここでシンプルに内田を使うのではなく
寄せてきたボランチの股を抜いて突破するプレーを選択

(オシム「本田は時にエゴイストになる。それ良い方向に出ればいいが悪い方へ出た時は…。今の内にコレクティブとは何かを学ばせる必要があるだろう」)


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ところがファーストタッチが大きくなったところをCBのカバーリングによってかっさらわれるとコロンビアのカウンター発動


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右サイドへと運ばれたコロンビアのカウンターを一度はスピードを落として遅攻に切り替えさせる事に成功した日本。

しかしSBエリアスに下げられたボールに対して誰もアプローチに行っていない。
(この隙にJロドリゲスはバイタルエリアを狙っている)

今野がサイドにつり出されているので青山がゴール前のカバーに入ったこの場面。
もう1枚のボランチである長谷部は手前のカルボネロが気になっているのか一向に距離を詰める様子はない
(この世界基準で言うと「遠過ぎるボールへの距離感」は長年日本の課題)


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エリアスのドリブルに対し思わずボールではなくパスコースを切ってしまう「ジャパニーズ・ディフェンス」を見せる長谷部


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ドリブルで切り込まれてからJロドリゲスへ。

しかしJロドリゲスに許された間受けのスペースは僅か1M四方の極めて狭いエリア。
果たしてここで何が出来るのか・・・?


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完璧なファーストタッチで前に運びDF3枚を引きつけてから冷静にラストパス・・・だと!?

ワールドクラスの技術高過ぎワロタwwwww

世界のトップはあれだけのスペースがあればゴールに繋げる仕事をするってか・・・!!

う~む・・・さすが市場価格60億円超えのトップ下と
無料でミランに移籍したトップ下とでは格が違うのか・・・(^^;


さて、試合ではこれで後がなくなった日本が尚も攻撃の色を強めるも
どちらかというと拙攻になってしまう悪癖も再び。

【香川の間受け】
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逆転には2点必要になった日本の総攻撃。
日本がどうしても点が必要な状況に置かれると攻撃陣が自然と中へ中へと入ってきてしまう悪い癖があります。

ここも元からその仕事が期待されている香川が中にいるのはいいとして
全員がペナルティ幅で守るコロンビアの守備に対し、日本も中へ寄り過ぎちゃってますね。

だけどここは多少強引でもJロドリゲスよろしく、こちらも名手・香川の間受けに全てを託すしかない・・・!!


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・・・あかん、コロンビアの守備陣が全く横に広がってないから
この密度の中を正攻法で崩していくのは今の日本じゃ無理や!!

(香川、アッサリ倒される=勿論ノーファウル)


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結局、香川に託してもコロンビアのカウンターにしかならない八方塞り感。

日本はコート戦に続き、この試合でも本田が失ったところからのカウンターで2失点。
香川も終始カウンターの起点となってしまい、本来日本の武器であるはずの二枚看板
本大会では全く通用しなかったのがザックにとっても痛すぎる誤算でした。

攻め手を失った日本はもはやサンドバックでしかなく結局1-4の惨敗でブラジルの地に別れを告げます。


<ザックJAPANの本大会を総括>
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さて、その時他会場ではギリシャがコートジボワールを劇的な勝利で下したというニュースが入ってきました。
つまり日本はこの試合に勝っていれば「奇跡」が起こる条件が整っていた事になります。

そのせいか尚更この試合の惨敗が悲観的に映りますが、そもそも反省すべきはそこでしょうか?

否、この組を勝ち抜けなかった原因はコートジボワール相手に勝ち点1を
ギリシャ相手に勝ち点3を取りきれなかった事の方にあるはずです。
それはそもそもこのC組の組み分けを見た時には誰もが共通認識として持っていたはずですが・・・。


では何故日本は勝ち点4を、グループリーグ突破を決め切れなかったのでしょうか?

それは、残念ながらそれが現在の日本の力だから という他ありません。

ハッキリ言ってしまえばこのC組は戦前の予想通り、
コロンビアだけが10回やって9~10回勝ち抜ける力を持っている他は
残りの3チームに関しては10回やったら10回違う組み合わせになる力関係でした。

そもそも日本がコロンビア、ギリシャ、コートジボワールと3試合して2敗1分は悲劇でもなければ想定外でもなく、
厳しい言い方をすれば「順当」です。

勿論、今すぐC組をやり直したら日本が2位になる可能性も充分ありますが今度は3敗する可能性だってあります。
三つ巴の2位争いがロスタイムまでもつれたように3者の実力はコンディションや運で左右されるレベルの差しかありません。

だから2敗1分は”順当”なのです。

我々から見て韓国、ロシア、ベルギー、アルジェリアのグループHで
ベルギーが3勝、韓国が1分2敗だった事にほとんどのサッカーファンが違和感を抱かないように
この組でコロンビアが3連勝して日本が1分2敗だった事に日本人以外は別段、驚きはしません。

しかし言い方を変えれば、コンディションや試合のちょっとしたディティールが違えば
日本はW杯でもベスト16を”狙える”国になった事も間違いないのです。
(上手くハマればイタリア、オランダ、ベルギーと打ち合いだって出来るチームです)

但し、ベスト16が”当然”と言われるカテゴリーとはまだまだ差があったというだけの事。
これは今後の糧にしましょう。


最後に、感情論と結果論に流されている今は
この結果をもってザックJAPANの4年間をあたかも全て無駄だったように切り捨て
南アの戦い方ならさもベスト16は保障されていたかのような声も聞こえてきますがそれは幻想です。
感情に流されて極論に走っては答えは永遠に見えてこないでしょう。


そう言えばザックが就任会見以来、事あるごとに口にしてきたキーワードがありました。


今、我々に必要とされているもの―


ザック「勇気とバランスこそが重要だ」





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『自滅』~遠かったゴールと勝ち点3~【日本×ギリシャ】

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<『自滅』 ~遠かったゴールと勝ち点3~>

シュラスコ食ってる場合ちゃうど!
って事で今日は「やる」と言ってしまった手前、先日のギリシャ戦のマッチレビューをUPしたいと思います。


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日本は初戦のコートジボワール戦からスタメンをいじってきました。
まずCBに今野を戻し、「戦犯のエース」香川はまさかのベンチスタート。
代わりに岡崎を左に持っていき、大久保がスタートから右で起用される布陣となりました。

スタメンの変更点にこそ指揮官の狙いというものがよく現れるのが常なので、このザックの意図については後述。

ギリシャは表記こそ4-3-3ですが実際は4-1-4-1・・・いや4-5-1に近い専守防衛の布陣ですね。
本来、こちらも初戦を落として日本戦での勝ち点3は絶対条件のはずなんですが自分達のやる事にブレがないのはある意味凄いと思います(^^;

崖っぷちの2チームが臨む後のない一戦となりました。


<スタメンから読み解くザックの意図>
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ではスタメンの変更点からザックの意図を探っていきましょう。
まずは森重⇒今野に変更された左のCBですね。

【今野の起用を読み解く】
これはもう日本がボールを持った時は自陣に引いて待ち構えるギリシャの守備戦術を考慮したものとみて間違いないでしょう。
森重も最終ラインから入れるタテパスには定評がありますが、この試合のビルドアップでは待ち構えているところに打ち込むクサビではなく
CB自身がドリブルでボールを運び、ギリシャ守備陣をおびき出して敵陣にスペースを作る事が重要です。

となると「ボール運び」ではやはり森重よりもボランチが本職の今野の方に一日の長があるのではないでしょうか。
そもそも日本人で「最もボールが運べてパスが出せる事」を条件に選んできたのがザックJAPANのCB人選で、そこで不動のCBを務めていたのが彼でしたからね。

実際、試合の序盤から日本は左サイドを中心に今野の安定したドリブルを起点としたビルドアップを見せます。
それはデータからも明らかで前半は「司令塔・今野」と言ってもいいぐらい、彼がパスの出所となっていました。

【前半 日本のプレイヤーポジションとパスルート】
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*今野を起点としたパスルートと彼がドリブルで高い位置まで持ち上がるので左肩上がりの陣形となっている。


【香川ベンチの意図を読み解く】
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これに関しては試合後の記者会見でも質問が出ていたのでザック本人の回答を抜粋します。

ザック
『香川を入れなかったのは、戦術的な理由。サイドに力を入れようと思い、よりスペースを広げることができる選手を選んだ。
香川も相手のスペースを使うプレーが多いが、彼はより中央への動きが多いので、意向が合わず、戦術的にこのような決定をした』

まわりくどい言い方をしていますが、要するにザックが何を言いたかったのかといえば
「カガーワ、お前 自由過ぎ」って事です、以上(爆)


まー、それが本来彼の持ち味なんですけど、コートジボワール戦で香川を自由に遊ばせた結果のチーム収支があまりにも大きなマイナスだったんで、この手の選手は攻撃で「違い」が見せられなかった以上、ベンチ行きが宿命みたいなもんです。

ザックが恐れたのはただでさえギリシャの右SBトロシディスは攻撃力が売りの選手である上に
コートジボワール×日本の試合をスカウティングすればモイーズだって日本の左サイドを突いてくるだろうって事です。

ザックの言う「彼はより中央への動きが多いので、意向が合わず」というのは
こうなった時に相手SBに蓋を出来ず自由に攻め上がりを許すだろうという・・・これがいわゆるオーリエシンドロームですね(笑)

そういう訳で左SHにはワイドのポジションからしっかりギリシャのSBに蓋を出来る岡崎と
右には岡田JAPANで馬車馬のように走りまくってた実績のある大久保を持ってきたと。

ちなみに大久保は発売されたばかりの雑誌Numberでザックから受けたおおまかな指示を語っていますが
その中に「ギリシャのカウンターは左にいるサマラスのキープ力がポイントになっていて、ここにボールが入った時に後ろから上がってくるSBをケアしてくれ」というような事を言われていたんだそうなので、やっぱりそういう事なんでしょう。

以上が「香川ベンチスタート」のおおまかな理由ですが、
実はそれ以上に「岡崎と大久保のスタート起用」には他にザックの狙いがあったように思われます。


<初戦の課題を修正したザックJAPAN>

それはコートジボワール戦で明らかになった課題の修正です。

この試合の直接の敗因はドログバ投入以降の確変タイムにあるわけですが
試合がそうなる前の前半に見えていた課題こそが日本の構造的な問題点となります。

つまり「ボランチの位置が低い」という事と「攻撃に奥行きがない」という課題ですね。

ではこれを受けたギリシャ戦の序盤20分の日本のポジションバランスを確認してみましょう。

【ギリシャ戦 前半20分のポジションバランス】
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まずボランチの位置については2トップの大迫、本田との距離感を見てもらえれば
しっかりと前からプレスをかけた時に連動して高い位置をとれていた事が分かります。

そして攻撃の奥行きに関しては「そもそもポストプレイヤーの大迫に求めたのが間違いだったんや!」
(それ、みんな知ってた感)
って事で大迫と本田が降りてくる代わりに岡崎と大久保の両ワイドで深さを確保しているんですねー。

実際の試合からこのザックの意図がよく現れたシーンを確認してみましょう。

zaki1.jpg

局面は長谷部がボールを持った時にバイタルエリアに顔を出す本田&大迫と
深さを確保している岡崎&大久保の図です。

で、岡崎はここからのダイアゴナルランで裏に抜けるのが定番パターンですから・・・


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降りてくる本田、大迫に気を取られていると一発で裏を取っちゃうからね!っていうオドシが
この前半6分のプレーで出てるのがいいですね。

これでギリシャは迂闊にDFラインを上げられなくなりました。


<空いたバイタル>

では次にギリシャの布陣から狙うべきポイントを探ってみましょう。
基本は4-3-3(4-1-4-1)布陣攻略のテンプレとも言える「アンカーの両脇に出来るスペース」ですよね。

試合後のベーハセのコメントから引用。

長谷部
『前半は相手も多少、前に来ている部分もありましたし、相手の中盤の2番(マニアティス)と8番(コネ)が僕らボランチのところまで来ていたので、相手が1ボランチになって、中盤のスペースが非常に空いていた。』

これを図で説明するとこうなります↓

【アンカーの両脇に出来るスペース】
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長谷部の言う通り、コネとマニアティスは日本の2ボランチをケアしに前へ出てくるので
アンカーのカツラニスには「本田のマーク」「バイタルのケア」という、すき家の深夜バイトみたいな過重労働がのしかかる訳です。

したがって、実は日本の狙いどころは序盤からハッキリしていたという事を実際の試合から確認していきましょう。

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局面は前半、攻撃の起点となった今野の持ち上がりから岡崎へタテパスが入る場面。
この時、カツラニスはまだバイタルエリアをケアしつつ本田への警戒も怠らない状態。


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しかしこの日の日本で厄介だったのが左で作る今野、長友、岡崎、山口のカルテット。
通常のトライアングルであれば枚数が足りるのだが、CBの今野にまで加勢されるとマークが足りなくなるので度々カツラニスが引っ張られる事に。


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これでバイタルが空いて本田がフリーになるという流れ。

更に途中からこれを見た大久保が加わってくる。

これもNumberで語っていましたが
大久保「途中からギリシャの中(バイタル)が空くのが分かったんで、ここを圭佑と狙っていこうと。積極的にミドルシュートも意識しました」っていうプレーがコレ↓

【本田&大久保のバイタル狙い】
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この試合、ギリシャの本田へのケアは相当なものだったので(コート戦を見てれば当然か…)
本田がボールを持つと常時2~3枚は囲みにきます。

本田もこれを分かっていたので意図的にサイドに流れたり、ボランチまで落ちたりしてマークを引っ張る動きというのをやっていました。
↑の場面でも本田が左で引き付けている隙に大久保が中へ入ってきて・・・


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カツラニス1枚で本田をケアするだけでも大変なのに、ここに大久保が加わってくると物理的にも不可能になってくる訳で。

続いてもう1個、綺麗な崩しから今度は本田がフリーになるケースを。

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ここも本田がこの位置でボールを持つとギリシャのカツラニスを中心とする中盤の逆三角形はこの位置取り。
これを見て大久保が中に入ってくる。

ボールは左奥を縦に抜けた長友へ


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長友がサイドでボールを持つとカツラニスはバイタルからゴール前へ侵入してくる大久保を視野に捉えた。

コイツは危険とばかりに大久保をケアする為にゴール前へ戻るが・・・・


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そしたら今度はカツラニスが大久保に引っ張られた事で本田がフリーや!

アンカーのカツラニスからするとただでさえ激務な上に
こう本田と大久保に入れ替わり立ち代りやられたら商売上がったり状態。
彼がイエロー2枚で退場したのも戦術的に必然だったという見方も出来るかもしれませんね。

問題は大久保が中に入った時の右大外のスペースはどうすんの?って事ですが、これは「SBが使えばいい」で解決する話。
そうです、これが欧州のトレンドともなっている「バイタルの密度確保」と「SBのWG化」でザックが本来進めてきたサッカーだったはず。

実際に試合でも右へサイドチェンジが出た時は内田が上手く出て行って大外のスペースを活用してました。
(しかしW杯本番に入ってのこの内田株高騰はどうした事か?これまで代表戦の度に内田を叩いてた輩は一体どこいった!?www世間が掌返すなら、あくまでも叩き続けるぞ!主にイケメン爆破しろ方面で…!)

そして大外のスペースをSBが使った時に活きてくるのがこの日の前線のメンバー構成でもあります。
ザックが試合後こんな事を言っていました。

ザック『これは勝つべき試合だったからより攻撃を強めるためFWを残した。
大久保、岡崎、大迫はセンターFWをそれぞれのクラブで務めているし、本田は前回のW杯でFWだった。』

【右サイドへ展開されたパターン】
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↑の場面のように右外から内田がカットインしてゴール前を窺うと前線は3トップ状態で厚みがある布陣になっていると。
(試合ではここから大迫にクサビを入れた落としを大久保がシュート)

これ、多分前線の1枚が香川だとゴール前じゃなくてボールに寄って来てパスを要求してたと思うんですよ。
別にそれが悪い訳じゃないんですが、この試合でザックが求めていたのが「ゴールを取る為のFWの枚数」だった事からも理に適った前線の構成と言えるのではないでしょうか。


<本田は「日本のジダン」になりえたか>
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このように前半30分過ぎまでは日本のペースで試合が進み、狙いとした形から何度も決定機を作っていた日本。
それでもゴールが生まれなかったのは”ゴール前での精度を欠いた”からです。

これまでは香川と本田のコンビが崩しで決定的な仕事を任されてきましたが、
このメンバーだと本田1人にかかる負担と責任は自然と増してきます。

そして本田がアシストもゴールもラストパスも記録しなかった事が日本の無得点に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

W杯での本田のプレーを見て「遅い」と外国人が言うのは分かりますが、
我々日本のサッカーファンがそのフレーズを持ち出すには今更感が強過ぎます。

本田のプレーが遅いのは単にアジリティや足の速さではなく、
ボールを受けて⇒コントロールして⇒身体の向きを変え⇒パスorシュートと
パスを受けてから次のプレーの間に3クッションぐらい挟まっているからです。

これが香川だと2クッションから1・5クッションぐらいで常時プレーが出来るしメッシになると0・5になります。

じゃあ、本田じゃなくて香川でいいじゃないかと言う話かというとそうでもなくて
本田はある意味この「遅さ」を武器にしてきた選手なんですね。

簡単に言えば、ジダンに対して誰も「遅い」とは言わないという話で。
本田もジダンもプレーは決して速くないから敵に囲まれる⇒でも奪われない⇒結果的に周囲にスペースとフリーな味方が出来る というロジックです。

要するに本田は「日本のジダン」だったんですよ、チーム発足からずっと。
だからブンデスで優勝したトップ下がいようがマンUはサイドでCSKAモスクワがトップ下だったんです。
チームにジダンがいたらもう1人の才能はジョルカエフだろうとベンチ行きかサイドへ追いやられるのが運命。
ジダンが輝けば優勝するし(98W杯)、駄目ならグループリーグ敗退(2002W杯)は歴史が証明しています。

問題は「絶対にボールを奪われない」はずの本田が(アジア予選では実際そうだった)、
W杯では度々相手のカウンターの起点になってしまっているという事実でしょう。

ある程度のレベルの試合までは武器になっていたはずの本田の「遅さ」が
本大会ではただのリスクになってしまっているので見ている人もイラついてしまうのですね。
(ロシアではチームの中心だったのがミランでは「遅い!」と批判されているのも同じ現象)

コートジボワール戦の本田のゴールを思い出してください。
ボールを受けてからシュートまで僅か1秒ちょっとのプレースピードでゴールが決まっています。

本田がこの大会、あのエリアで決定的な仕事をしようと思ったら世界基準のプレースピードが求められるという証ですね。


<ギリシャの退場劇で苦しくなった日本>
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いい形で日本が進めていた試合に決定的な変化が訪れたのが前半37分-
加重労働のカツラニスが前半だけで2枚のイエローをもらって退場。

試合を見ていて正直「これでもらった!」と思ったんですがそうはなりませんでした。

ギリシャは4-3-3から4-4-1に布陣を変え、引き分け狙いにシフトチェンジ。
全体の人数は減っているのですがむしろ後ろにかける厚みは増しており、
特に中盤センターはアンカー1枚だった布陣から明確な2ボランチになった事で
それまで空いていたバイタルエリアのスペースが消失。

【バイタルエリアの消失】
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長谷部(試合後の談話)
『11対11でやっていた時の方がウチとしてはやりやすかったというか…。
相手が10人になって、完全に守る形になってからの方が難しくなってしまったのは事実です。』

う~ん・・・これは後半どげんかせんとあかん。


<切り札投入も拙攻を続けたザックJAPAN>

後半、相手が10人になってほとんど守備の心配をする必要がなくなったザックは頭から遠藤を投入。

遠藤はすぐに今野から司令塔をバトンタッチしてボールをさばき始めますが、
これで前半はCBの今野がボールを持ち出す事で生まれていた攻撃の厚みは若干薄くなった面も。

【後半(遠藤投入後の20分) 今野のプレーエリア】
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*左肩上がりだった前半と比べると今野がバランスを見て普通のCBのポジショニングに戻っている
(まあ、長谷部と違って守備時の遠藤はカカシだからその気持ちは分かるww)

ギリシャは4-4の2ラインに時には1トップも戻らせて中を閉めているのでその分、外は空いている。
これを「空いている」と見るか「空けている」と見るかはプレイヤーのインテリジェンス次第だろう。

残念ながら後半の日本には前者と捉えた選手が多かったらしく、
攻撃の方向が外⇒外⇒中の真正直なクロス攻撃が多用されてしまった。
これならむしろ前半の方が多様性に飛んだ攻撃パターンでゴールの匂いもしていたのだが…。

ザックも「こりゃあかん」って事で再びゴール前での崩しの精度とバイタルエリアへの意識を戻させる為に香川を投入。
「これ以上FWは増やせなかった」(試合後談)という事で大迫との交代となった。

しかし香川投入後も日本の攻撃がSB(長友&内田)の香車攻撃⇒クロスというモイーズだけが喜ぶサッカーは変わらず。
香川(この感じ・・・どこかで見た!)

本来、香川投入でやりたかった「サイド攻撃」ってのはこういう形なんですよ。↓

【香川と本田を活かす「サイド攻撃」】
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局面は後半、右から左へ攻める日本の攻撃。
本田がこの位置でボールを持つ事でギリシャのボランチ2枚も含めた計4枚を引き付けている。

代わりに大久保が中を狙って香川はまだ左サイドのこの位置


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遠藤に下げられたボールが中で待っていた大久保へ。
この瞬間に本田と香川がバイタルエリアを狙って中へ!


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大久保から香川へボールがスイッチされるとギリシャの守備陣はこれだけ団子状態にさせられている。
注目すべきはギリシャDF陣の顔の向きで遠藤⇒大久保⇒香川(+中へ侵入してきた本田)という一連の流れに釣られて全員がボールウォッチャーになっている。
(誰も大外裏のスペースを見れない状況)


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香川から大外裏の内田へ!
この瞬間に中では大久保がゴール前へ動き出しているがギリシャ守備陣の見事なボールウォッチャーぶり。
守る方は外⇒中⇒外で視界を振られているから次の展開に備えたルックアップが出来ない。

これを見て普段欧州サッカーを観ている人なら既視感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
何故ならこの形って・・・

【ペップバルサのメッシロールや!!】
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メッシが右から得意のカットインで中に入っていくと前線が連動して斜めに抜けて
最後大外のSBが空くっていうパターンのやつで、バルサの試合見続けてる人なら御馴染みの攻撃パターンっすね。
(これとは逆サイドへの展開バージョンでイニ&シャビで左から中へ持ち出して大外のDアウベスへっていうのもあります)

要するに一回中を使って敵の守備陣を団子状態にしつつ視線もクギ付けにしておくと大外走られたらマーク出来ませんっていう理論です。

本田がジダンなら香川はメッシだったんや!!
本来、ザックJAPANが世界を驚かすならやはりこの2人を中心にしたこういうモダンな崩しだったと思うんですが・・・。


<試合総括>

結局、こんな崩しの形もこれ1回きりの単発で終わり、あとは香車サッカーから時間を浪費していくと
最後はまたもや吉田マヤを前線に上げてのパワープレイ発動で事実上の白旗宣言。

スタッツを振り返ってみると攻めているように見えて日本がPA内からシュートを打ったのは↑の大久保のを除くとごく僅か。

残り20分となってからは12本のクロスを上げるも(1分30秒毎に1回上げてる割合?)
味方の頭に届いたのはその内1本のみでクロス成功率は8%の拙攻で時間を費やしていた事になる。


さて、数字上はまだ突破の可能性が残されている明日朝のコロンビア戦であるが
結果以上に「内容」にこだわったサッカーで世界に「本来、日本のサッカーとはこういうものだったんだ!」というものを見せて欲しい。

ジダンとメッシの共演によるイマジネーションの融合、指揮者遠藤のタクトに注目したい。



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