香川&本田と心中か?日本のとるべき道は ~日本×タイ~

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<香川&本田と心中か?日本のとるべき道は ~日本×タイ~

前回の黒星でこの試合に負けて連敗スタートとなれば「指揮官解任」もまことしやかに噂されていたハリルJAPAN。

プレッシャーのかかる第2戦は何とか「勝ち点3」という結果を持ち帰る事に成功しました。
これで一旦解任派も鞘を収める事となりましたが、タイに勝った程度で収めるぐらいの刀ならもう少し慎重に出すタイミングを考えてくれとも思う次第。
(ザック時代ならこの内容でタイに2-0とか逆に解任騒動になってたレベル)

果たして日本代表は前回の試合と比べて成長が見られたでしょうか?

答えはNOです。
それも当然、UAE戦から1週間もない準備期間にチームの根本的な改善はモウリーニョでも不可能でしょう。


では何が違ったのか?

実も蓋も無い言い方をすれば日本が変わったのではなく「相手」が違ったというだけの話。

結論から言うとタイはUAEに比べて1ランク(2~3ランク?)は落ちる相手でした。
日本に対するスカウティングも甘く、カウンターは遅いしフィジカルも日本に圧倒されている始末。
得意のパスのつなぎも日本のプレスをかいくぐる程の技術はなく90分でシュートらしいシュートが1本だけ(西川がセーブ)では実力の差は歴然としていました。


ただ、それだと話があまりに大雑把でレビューも終わってしまいますので、
今回はハリルが行ったマイナーチェンジと依然燻り続ける日本の課題から今後の行く末も占っていきましょう。


<幅と深さを求めて>

両チームのスタメンはこちら

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UAE戦からの変更点は「展開力」の大島に代えて広い守備範囲とボールに強く当たれる守備力が売りの山口をボランチに、
SHは中に入って来る動きからの崩しと足元の技術に定評のある清武に代えてワイドでタテに突破する推進力の原口を。
1トップは背後へ飛び出すスピードで目下売り出し中の若手浅野をスタメンに抜擢してきました。

指揮官からすると1週間に満たない準備期間でチームの何かを動かすとしたら駒を変えるぐらいしか手がありません。
それだけにハリルが求めた「中盤は展開力よりもまずは守備力を」
そして攻撃は「幅(原口)」「深さ(浅野)」を加えてもっとシンプルにピッチを広く使いたいという狙いが明確です。


さて、ハリルが施したこのマイナーチェンジでチームはどう変わったでしょうか?




<ボールの狩人により中盤の奪取力向上>
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まずは守備面から。

ここはもう試合をご覧になった方なら一目瞭然だったように
日本の敵陣で失った瞬間の切り替えと前からの守備においてボランチの位置でボールを刈り取れる力は大島だった時と比べて段違いに上がっていました。

では実際の試合から日本のボール狩りを観てみましょう。


【日本のボール狩り】
守備改善0910-1

局面は右から左へ攻める日本のサイド攻撃。
SBの酒井から裏へ抜ける本田へ



守備改善0910-2

本田はスピードが無いのでアッサリDFに身体入れられて先にボールを奪われてしまいます。
しかし日本にとって(ハリルにって)重要なのはここから。
奪われたボールをなるべく高い位置で奪い返す事で、カウンターリスクを二次攻撃のチャンスへと変えるのがこのチームの狙いです。


守備改善0910-3

すぐにボール周辺の日本の選手が切り換えた事でタイの最初のパスをタテではなく横パスにする事に成功



守備改善0910-4

日本はこの横パスを囲んでファーストディフェンスの網を作っていますが、
重要なのはSBの酒井が上がったまま、高い位置で守備をしている裏のスペースです。

このスペースをカバーするのがボランチの役目で山口は持ち前の機動力を活かしてこのスペースをすでに埋めています。

そして狙い通り広いサイドへのパスコースを切られたタイは同サイドでのタテパスを選択するしかなく・・・



守備改善0910-5
山口「シャー!コラー!!」

ガツンと行ったーーー!!

ここで身体を当ててボールを刈り取れるのが山口の魅力ですね。
この守備力で前回のW杯でも大会直前に遠藤からレギュラーを奪っています。
まさに弱者のサッカー寄りにチームバランスを調整するなら打ってつけの駒と言えるでしょう。



守備改善0910-6

敵陣のこの高い位置で奪えれば即ショートカウンターのチャンスになります。

ボールは再び本田から浅野を経由したワンツーで



守備改善0910-7

本田がボールを奪われてから僅か6秒後にはシュートチャンスになるというのがこの守備の強みですね。


・・・ただ、大島を山口に代えただけで日本の守備の構造的な欠陥が全て解決されるほどサッカーは甘くはありません。
ある意味「特攻」で勢い良く出て前で狩れてる時はいいですが、奪われたボールを一発で裏に蹴られると日本の脆さが一気に顔を出します。



【中盤を飛ばされた場合】

カウンター2CB0910-1

局面は山口からバイタルの本田にボールを入れる瞬間ですが、この時の日本の配置に注目。

両SBを高い位置に上げてボランチが並列。そう、UAE戦と同じ並びですね。
中盤~前線の厚みを攻守に活かしたいというサッカーなのでそれはそれでいいんですが、
常にボールのラインより後ろにはCBの2枚しかいないというリスクも同時に内包しています。


カウンター2CB0910-2

だからここで失って、タイに中盤を越えたタテパスを裏に蹴られると・・・






カウンター2CB0910-3
はい出た!このパターン!

鈍足2バックでこの広大な裏のスペースをカバーしなければいけない恐怖の時間がやってきました。
定番なのはこっからタテに加速されて森重振り切られる⇒カバーに向かう吉田が切り返し一発ですっ転ばされる・・・っていうトラウマ画だな



カウンター2CB0910-4

・・・・が、UAEと違ってタイのカウンターにスピードはなくFWもマブフートのような個の突破力がないので
ここで一旦攻撃方向に背を向けてキープの姿勢を取ってくれました。(正直、助かった)




カウンター2CB0910-5
で、その間に全員帰陣・・・と。

でもこれタイの速攻だからこうなっただけで現象としてはこれまでの失点パターンと何ら変わらない事象が起きている訳ですよ。
まあ、チームの構造に手を付けられてないので当たり前といえば当たり前なんですが、このままだと本大会はおろかアジアでもこの弱点は確実にスカウティングされてるんじゃないかと・・・。





<個人戦術では補いきれない組織的な欠陥>


次に個人ではなく組織的な守備という視点で見た時の欠陥を考えてみましょう。

山口の特攻守備という個人戦術をチームという枠にハメてUAE戦の課題を部分的にごまかしたまでは良かったものの、
周囲の味方と連携する組織守備はまた別物。

それはこの試合、日本が唯一許したタイの決定機の場面で
その原因が物凄くシンプルな守備の連携ミスであったという事が何よりの証左です。


【日本の初歩的な守備連携ミス】
森重ピンチ0910-1

局面はタイのスローインを森重が中盤まで出てインターセプト
このプレー自体は読みからの良い飛び出しで何ら問題なし



森重ピンチ0910-2

・・・が、コントロールが大きくなって失ってしまう、と。
これも技術的なミスなんでまあ仕方ないと。
(少なくとも戦術的なミスではないという意味で)




森重ピンチ0910-3
問題はココですよ。

CBがDFラインから飛び出してチャレンジしてるのに、それに対する周囲のカバーリングが一切なく全員そのままのポジショニングで自分のマークを見てるだけなんです。

いやいや、守備の優先順位考えたらCBがいるべきスペースって最も失点に直結するスペースじゃないですか。
普通、SBが絞るかボランチが1枚降りてきて埋めるでしょう。

イタリアじゃ多分小学生の試合でもこれぐらい自然と出来ますって。

でもさー・・・どう見てもコレ空いてるんだよね(国際Aマッチで)

急いで戻ろうとしてる森重の姿が何とも滑稽で哀愁を誘います・・・OTL


森重ピンチ0910-4
アッーーーー!!!

「西川ナイスセーブ!」とか言ってる場合じゃないですよ本当にww

これが個人戦術ではごまかしきれない「組織戦術」のマズさです。





<輝けない香川と原口の推進力>
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守備面では山口に「出来る事だけやらせる」という起用で狙いがある程度ハマった今回の抜擢。
しかし当然そこにはメリットだけでなくデメリットもあります。

ボランチにタテパスが期待出来る大島がいなくなり山口&長谷部の組み合わせになった事で
ビルドアップで後ろからのタテパスがほとんど中盤に入らない状態となりました。

CB、ボランチからのパスルートは外へ外へ。UAE戦と違いSBが攻撃の起点を担います。
これで一気に存在価値が半減したのがトップ下の香川。

以前から言ってきているように香川を活かすには「タテパスの入れられるボランチ&CB(ようはフンメルスと牛丼)」が必要不可欠だからですね。

この編成だと攻撃時、香川がどうなるかと言うと・・・


【輝けない香川のプレーを検証】
香川降りてくる0910-1

もうボランチに期待出来ないもんだからCBが持ったところでボランチの位置まで降りてきちゃう



香川降りてくる0910-2

・・・で、ここでボール受けても誰か寄って来てくれて新たな展開が生まれるとか特に無いんで
CBから受けたパスをもう片方のCBにバックパスで返すだけのお仕事です・・・で終了(爆)

え・・・?香川のこの仕事、意味ある?


よし、じゃあ今度はサイドに流れて受けてみよう!↓

香川外0910-1

サイドに流れて足元でボール受けて・・・



香川外0910-2

DFから離れるように後ろへ後ろへとカニドリブル・・・



香川外0910-3

そして最後はお決まりのバックパス・・・終了。


じゃあコレ、原口だと何が違うのか?
一連のプレーで比較してみましょう。

【原口のサイド受け】
原口仕掛け0910-1

CBからSBを飛ばして原口がパスを受けるシーン。
もうパスを受ける前の姿勢が香川と違って前に向いているんですよね


原口仕掛け0910-2

で、ファーストタッチでタイのSHを置き去りにしてすぐSBに仕掛けていける、と。
こうなると守る側としてはSBが向かわざるを得なくなって、出て行ったSBの背後にスペースが生まれます。



原口仕掛け0910-3

香川とのワンツー突破で・・・



原口仕掛け0910-4

タイの守備ブロックを完全に突破!これが裏を取れる攻撃です。


そして原口にはこの突破力があるのでディフェンス側の対応も当然変わってきます。
この応用編がコチラ↓

【SB裏にFWが流れるパターン】
浅野SB裏0910-1

局面は左サイドでSBの酒井高徳が持っているところ。
原口がパスを受ける素振りで降りて行くと前を向かれてはタテに突破されてしまうのでSBが背後から食いつき気味の守備



浅野SB裏0910-2

SBが出て行った事で空いた背後のスペースにFWの浅野が流れる。
このようにスペースがある状態でヨーイドン!をさせたら浅野は・・・




浅野SB裏0910-3
テンテンテンテッテテッテッテテッテ~♪(マリオカートでスター取った時のBGM)

浅野無双や・・・こうなってはもう誰も追い付けん・・・。

で、中への折り返しを本田ーーー!!ってお前も外すんかーい!www

△「何で外したのか良く分からん・・・」



要するにこれが幅と深さを活かした「背後の取り方」です。
単純な外⇒外クロスと何が違うかと言うと一度SBの背後を取っているって事ですね。

最近の欧州サッカーのトレンドでも
ワイドにタテの突破力を置いておく事で守備側のSBを引きずり出す

つり出したSB裏をボランチポジションからSBがインナーラップ

CBが釣り出される

中の守備が弱体化した状態で相手CFとクロス対応を迫られる



この流れで得点を量産したのがバルサ時代は「中攻めの鬼」だったペップ・グアルディオラのバイエルンでした。

【ペップバイエルンの外攻め⇒SBインナーラップ】
バイエルンインナーラップ0910

最終ラインのボアテング、アロンソ、キミッヒらから大外のWG(ロッベン、コスタ)に向かって対角のサイドチェンジ、
相手SBとSHが対応したところでボランチポジションからSB(ラーム、アラバ)がインナーラップをかけて中で待つレバンドとミュラーに折り返すだけ

これだけで守る側はレバンド+ミュラーという得点力の鬼に対応するのが逆サイドから絞ってきたSB(だいたい小さいヤツ)か中盤からプレスバックしてきたボランチ(守備時の視野確保が本職DFじゃないから甘い)になる訳ですから効果は絶大です。


話しが少し横道に反れましたが、日本もアジアだったら外⇒外の単純なクロスでもある程度点は取れると思います。
ですが世界相手にCB2枚が待ってましたの状態で単純に上げても跳ね返されるだけのモイーズサッカーになっちゃいますよ。

やっぱりSBのバージョンアップというか、もう「タッチラインを上下動してクロスを上げるお仕事です」っていう
古臭いSB観を日本も捨てていかないと原口のようなワイドアタッカーも活かしきれないと思うんですよね。

これからの時代はSBにこそボランチ的な感性を持つ選手が必要で「SBがゲームを作れるチーム」なら今のところアジアでは無双出来るはず。


勘違いしてほしくないのですが、別に僕はこの試合から原口の方が香川より優れている、とは思っていないんですよね。

SHにワイドアタッカーを置く場合、現状日本の場合はSBと仕事がかぶるのでこういう事にもなりがちですし↓

【左サイドで渋滞を引き起こす原口&SB】
左サイド渋滞

要は香川も原口も一長一短で、どっちが輝くかはチームの枠組み次第である、と。





<香川&本田と心中か?日本の取るべき道は>
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じゃあ、本田と香川を活かすカタチって一体なんなのよ?という話になりますよね。
ではこの試合で見られた数少ない2人を活かす攻撃というのも検証してみましょう。


【日本の中央突破】
理想の崩し0910-1

局面は左から右へ攻める後半の攻撃。
この試合数少ないグラウンダーで質の高いタテパスがボランチ(山口)から本田へ



理想の崩し0910-2
そう本田が今受けているこのスペース!!

原口は相手守備ブロックの外で輝く駒ですが、本田と香川はブロックの中でこそ。
相手SHとボランチの間、もっと言うならCBとSBを結んだ四角形のちょうど中間・・・いわゆるバイタルでの間受けですね。

本田はこのタテパスをワンタッチフリックで香川へ



理想の崩し0910-4

バイタルで前を向いた状態でパスを受けられた香川。
現代サッカーでは攻撃側がバイタルで前を向けたら「王手飛車取り」の状態です。

香川はダイアゴナルに裏へ抜ける原口へのスルーパスを出すもよし、原口が空けたスペースへドリブルでナナメに持ち出してシュートするも良し、理想を言えばここに大外から入って来るJアルバ・・・ならぬSBがいれば更に香川の選択肢も増えた事でしょう。
(結果は原口へのスルーパスを選択し、原口のシュートはGKがセーブ)


この中攻めを成功させる為には本田と香川が受けるバイタルのスペースを少しでも広げておく必要があるので
ワイドと裏に圧力のある駒をおかないと「どうせ最後はここに入れてくるんでしょ」って感じで相手にも割り切って絞られちゃいます。

この絞られた状態でも意地になって(判断なく)バイタルにタテパスを打ち込んでいたのがUAE戦の日本でした。


勿論、スペースを広げてもそこにタテパスを入れられるボランチがいなければ同じように無意味なので
じゃあ大島を使うか⇒UAE戦に戻るの無限ループ。

ハリルだって本当は山口の守備力と大島の展開力を併せ持つボランチを使いたいはずなんです。
(ザック「それな」 アギーレ「ほんまそれ」 岡田「アンカー置くしかないっしょ」)

でも日本の選手層だと何かを取ったら何かを捨てなきゃいけないんですよね。
確かにこの試合の香川、本田のプレーは完全にチームから乖離してましたが、それはそういう設計にチーム構成がなっていたからという部分も大きいんじゃないでしょうか。


現代サッカーの最先端では守備時と攻撃時の選手配置、距離感を緻密に設計して
局面に応じて可変させつつ、お互いの攻め筋をぶつけ合っている名人将棋の時代。
一方で日本代表のポジショニング一つとっても何とアバウトな事か。

【日本の意図と意味が感じられない攻撃時の配置】
全員足元0910
ちょっと油断してると↑こんな感じですからね(笑)

TV解説がしきりに「今日は良い距離感で戦えてますね!」と言っていましたが、
こんな外⇒外一辺倒のモイーズサッカーの「どこがだよ!」とツッコまずにはいられませんでした(笑)


近年のトレンドを見れば「何か」を捨てて「何か」を取っているチームの脆弱性は明らかです。
ウインガーを切り捨ててポゼ専用の駒を集めたスペインの時代は長くは続きませんでした。


本田と香川に心中覚悟でチームの命運を託すのか?


それとも2人をバッサリ切り捨てるのか?


いずれにせよ、日本は限られた戦力の中で「外攻め」も「中崩し」も「守備のバランス」も両立出来るバランスを見出さなければ勝機はありません。

ハリルには少なくともこの難解なパズルの取っ掛かりぐらいは、最終予選で見つけ出す事が望まれる-








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「脱・自分達のサッカー」ハリルJAPAN前途多難の船出~日本×UAE~

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<「脱・自分達のサッカー」ハリルJAPAN前途多難の船出~日本×UAE~>

ロシアに向けて黒星発進となったW杯アジア最終予選。
1年半振りに対戦するUAE相手にまるでアジアCUPのリプレーを見るような内容で不覚をとったハリルJAPAN。

ちなみにこのブログで日本代表を取り上げるのはそのアジア杯以来なので
就任から1年半で見えてきたハリルのサッカーとその可能性もこの試合から見極めていきたいと思います。

まずそもそもハリル就任までに到った流れをざっと振り返ってみましょう。
日本サッカーの方向性は常に4年スパン、W杯敗退の反省からスタートします。

前回は2010南アW杯でひたすら亀のように守るだけだった戦いぶりから
「自分達で主導権を握るサッカーへの転換」をザックへリクエストしたものの、
肝心の本大会で「自分達のサッカー」が崩れるとプランBを持たないチームはなす術なく敗退。

そこで次に協会が打ち立てたのが今更「相手を見てサッカーをする」だったのは笑うしかないですが、
とにもかくにもアギーレ、ハリルの選出は世界に出た時に「耐久力のある弱者のサッカー」への転換がその大筋となります。

合言葉は「脱・自分達のサッカー」



今回のマッチレビューを読んでいただく前に前回対戦時のレビューをおさらい⇒していただくとより深く理解出来ると思いますのでオススメです!


<スタメンとスタイルのアンマッチ?>
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日本のスタメンです。
ザックリ言うと基本、ザックJAPANと同じです(爆)

ザックJAPANに欠けていたピース、言い換えれば国内組で埋めていたポジションは3つ。

吉田の相棒となるCBは国内に守れるCBはいないとの判断からビルドアップ力を重視して今野、
ボランチの1枚は国内組では飛び抜けた実力を持つ遠藤
(但しアジアでは無双出来ても世界ではインテンシティ不足を曝け出して本大会直前にスーパーサブ降格)、
そして1トップは当初前田でスタートしたものの柿谷、大迫と最後まで適任者を見つけ出す事が出来ず・・・といった按配でした。

ハリルはその1トップに岡崎をスライドさせて清武をスタメンに、
CBはザック同様展開力を買って森重を、遠藤の後継者としては似たタイプの大島を抜擢。

ハリルがこの試合に選んだスタメンを見れば、日本人であればそこで展開されるサッカーはおおよそ見当がつくでしょう。
左SHに宇佐美や武藤ではなく清武を選び、ボランチが大島という事であればここに香川、本田が加わってのポゼッションを軸とした紛れもない「強者のサッカー」です。

中盤の守備はある程度長谷部1人で自陣バイタルエリアをケアしてもらい、
スペースを埋めるのではなくボールを失わない事で守備のリスクを担保する、要するにザックが進めていた路線の踏襲。


あれ・・・?

「脱・自分達のサッカー」はどこいった?(笑)



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<求む世界基準のボランチ>

現状、日本の戦力で最も手薄になっているのがボランチです。
言うまでも無くここ2大会(およそ8年)を長谷部&遠藤で固定してきたツケですが
ハリルが長谷部の相棒に求めているのは展開力と攻撃をタテに加速させる「タテパスの出せるボランチ」なのは間違いありません。

長谷部はその広い守備範囲と攻守において「ここだけは絶対に譲れない」という場所を嗅ぎ分ける経験値で
現在の代表に欠かせない存在ではありますが反面、攻撃をタテに加速させる推進力は持っていません。
ハリルが理想とする「タテに速いサッカー」を実現するにはここのピースにその為の駒が必要なのです。

これまで柏木、柴崎、果ては原口までが試されてきましたがどれも指揮官を納得させる答えにはなっていない様子。
そこで白羽の矢が立ったのが現在Jで好調を維持し、先日のリオ五輪でも活躍した大島でした。


実際に試合では序盤かなり固さも見られましたが、狭いスペースやDFを背負っていても苦も無くボールを要求し
最終ラインと本田、香川らの2列目をつなぐタテパスを供給していました。

但しハリルが要求するレベルから観ると攻守におけるインテンシティ不足は明らか。

ハリル「もう少し期待はしていた。(大島は)けがをした柏木(陽介)と競争していて、若い選手を決断した。
スピードアップのところ、前へのパスでもう少し期待していた。ただ、彼もできる限りのことはやってくれたと思う
彼も日本のフットボールのイメージを体現している。まだまだ、伸ばすべきところもある。」

世界のサッカーは今、ボランチで攻撃を加速させています。
あそこで簡単にボールを下げるボランチは生存競争に生き残っていけない時代になってきました。
つまり攻撃におけるインテンシティの要求がますます高まってきている・・・というトレンドをハリルは日本にも同様に求めているに過ぎません。

しかしJリーグのサッカーは中盤を「ボールの落ち着かせどころ」としている試合がまだまだ多いように見受けられます。
勇気を持ったターンで前を向くべき場面で簡単にボールを下げてしまう。

この試合でもそういう場面はハリルがベンチから出てきて攻撃方向を指し「タテだ!タテ!」という風に怒鳴りつけていた姿が印象的でした。
ただハリル自身が言うようにこれが「日本のフットボールのイメージを体現している」プレーなのです。

確かにPKを与えてしまった大島のプレーは彼の若さが出てしまった一場面ですが、
と同時にあの守備こそが日本サッカーの未熟さを体現しているとも言えます。
(3対1でボールホールダーを囲みながら全員が「どうぞ、どうぞ」状態)

国内で生産されるボランチの最高峰の完成品が遠藤というのが象徴的でしょう。
その遠藤を起用する為に岡田監督は10番の同時起用を諦めて後ろにアンカーを配置し、
ザックは本大会直前にスーパーサブへと降格させています。

これは「Jリーグでは世界が求める攻守のインテンシティを兼ね備えたボランチは作れない」という一つの事実を示しています。

今後、大島の伸びしろに期待するも良し、柏木、柴崎らに戻すも良しですが
2年後の本大会を考えるのではれば海外に移籍し、レギュラーを確保しているボランチの確保は絶対条件ではないでしょうか。


<弱者によるタテに速いサッカー>

ハリルのように攻撃に「タテの速さ」を求めるのは現代サッカーの一つのトレンド(流派)ではありますが、
特に世界に出たら「弱者」である立場の日本の場合「守備から逆算した攻撃」は生命線になってきます。

どういう事が実際の試合から検証してみましょう。

【タテパスで失った場合】
ビルド⇒失って包囲0902-1

局面はボランチの大島から前線にタテパスが打ち込まれる瞬間です。

日本のビルドアップの狙いはCBとボランチの4枚でUAEのファーストラインを剥がし、
ボランチが前を向いた状態を作ってタテパスというのがその第一段階となります。
(受け手がこの距離感で密集しているのも失った後で利いてくる)




ビルド⇒失って包囲0902-2

このようにボランチからのタテパスで攻撃が始まる場合、仮にこのタテパスを失っても・・・






ビルド⇒失って包囲0902-3

迅速な切り替えが出来れば受け手になるはずだった前線の選手の厚みでまずファーストプレスをかけられるので・・・




ビルド⇒失って包囲0902-4

苦し紛れに出された相手のパスを出し手だったボランチ(大島)が前向きにインターセプトを狙えるという訳ですね。

これで二次攻撃、三次攻撃に繋げていくというのが所謂「弱者による攻撃的サッカー」
トランジション派(ラングニック、クロップ、ロジャーシュミット他)の流れです。

ボールを失わない事を前提とするポゼッション派(ペップ、バルサ)では無理なタテパスは禁物ですが、
失う事を前提としているこちらの流派は「どうせ失うなら前向きに」という割り切りが重要。

どういう事か実際の試合で確認してみましょう。



【横パスで失った場合】
リスク管理0902-1

局面は左から右へ攻める日本の攻撃から。

日本はマイボール時、本田と清武の両SHが中に絞ってくるので両ワイドのスペースはSBが上がって使います。
したがってパスの出所であるボランチの前に1トップ+2列目の3枚+両SBを配置した2-4-4の状態ですね。
(ボランチの背後は2バック状態)




リスク管理0902-2

この状態でもしタテパスではなくボランチからの横パスでボールを失った場合・・・




リスク管理0902-3

2-4-4の「4-4」が一発で置去りにされて後ろから追いかける守備になる為、
もうこれを止めるのは2バックしかいない状態になります。

しかも日本の場合、吉田と森重の両CBにスピードがない為、一発で裏を取られないよう深いポジションをとりがち。
となると自然とボランチとの間にスペースが出来るので必ずこのスペースで相手のカウンターに加速されて
吉田と森重がズルズルと下がるだけの守備になる・・・というのは日本代表の試合ではよく見かける場面かと思います。

ちなみに↑の場面からの流れで取られたファウルから日本は失点。(UAEの1点目)
これが横パスで失った場合のリスクであり、だからこそハリルはあれだけ「タテパス」を強調しているのですね。

今や「タテに速いサッカー」というのは別にハリルの専売特許でも何でもなく
多くの持たざるチームにとって当たり前になりつつある一つのトレンドと言えるでしょう。


日本の問題はアジアだとなまじボールを持ててしまう事+そもそもタテパスを出せるボランチが少ない事で
中途半端なポゼッションサッカーに陥りがちな点。

勿論、中盤から前に人数を投下してポゼッションサッカーをするならするでそれも一つの方法なのですが
それを実現するには背後の広大なスペースをケア出来るCB+GKも深刻な人材難です。
マイボール時2-4-4でリスク管理をするにはマスケラーノ、プジョル級の「個に絶対的な強さ」を持つCBが必要不可欠。
(アンカーが本職のマスケラーノをバルサがCBで起用するのは「アンカーの潰す守備」が最終ラインに必要だから)

↑の場面でも2CBはハーフラインギリギリまでラインを上げてないといけないし(ペップバイエルンは時に2CBも敵陣に入れていた)
森重は手前のトップをマイボール時から捕まえておかないといけないはず。

もしそれが難しいのであれば逆サイドのSBは上げずに3バックを残しておくか、
長谷部をアンカーの役割に固定して2CB+1アンカーのトライアングルを形成するといった具体的なリスクヘッジが必要ではないでしょうか。
(実際の試合ではむしろ大島が残って長谷部が上がっていく場面が多いのは攻守において効果的ではないと思うのだが・・・)






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<ハリルが用意した3つの攻撃カード>

では続いて日本がこの試合、具体的にどういう方法でUAEを崩していくつもりだったのか、手持ちの攻撃カードを検証していきましょう。

まずは基本となる「中央突破」のルートから。

この日のSHは清武と本田ですから受けたいエリアはバイタルでの間受けがメインになります。
つまりトップ下の香川と合わせてかなり狭いエリアに3人が入ってきてその近い距離間のままワンツー、ドリブル、スルーパスで中央を突破したい訳ですね。


【中央突破ルート】
ビルド(CB⇒SH間受け)

場面は日本のビルドアップでCBのタテパスを清武が降りてきて間受けするところ



ビルド2(CB⇒SH間受け)
このタテパスをワンタッチで香川にフリック、と同時に大外を長友・・・ならぬ高徳がオーバラップ。
あ、これ知ってる!ザックJAPANでよく観た形だ!

・・・ハイ、その通り。基本構成のメンバーが変わらないので、こちらの攻め筋は既に持っている日本の武器。


ただ相手もバカじゃないんで、日本の間受けと中央突破ルートは当然真っ先に警戒されます。
そこで第2ルートの「中⇒外SBルート」がその応手。



【中⇒外SBルート】
UAE中絞り

↑の場面ではUAEの守備が香川、清武への前受けを警戒してかなり「中絞り」の守備になっています。
となると今度は大外のSB(酒井)が空くので・・・・



UAE中絞り2

ボランチからシンプルに外のSBを使ってクロス


UAE中絞り3

本田がドンピシャで合わせてこぼれ球を香川ー!って押し込めんのかーい!(笑)

更にこの第2ルートからの派生が第3ルート「対角サイドチェンジ」


【対角サイドチェンジルート】
対角0902-1

日本の細かいパス回しを警戒して相手守備陣がボールサイドに寄せていたら一旦CBまで下げて・・・




対角0902-2

あ、これ知ってる!ボアテング⇒ドウグラスコスタのやつ!



対角0902-3

逆サイドの広いスペースに展開してこの後本田のミドルシュートでフィニッシュ。

ペップバイエルン流ではないですが本当だったらもう一つ深くえぐりたかったものの
逆サイドで受けるSBにしてもSHの本田、清武にしてもタテへの突破力が無いので難しいところ。


まあ、要するに日本が持っている(ハリルが持たせている)攻撃カードとして
「中央」「サイド」「逆サイド」と3つのルートを相手の出方を見て柔軟に
そして素早く決断し、守備に息つく暇も与えないぐらい叩き続けて崩す・・・というのが指揮官の本来の狙いだったのでしょう。



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<ハリルの誤算 相手無きサッカー>

しかしハリルからすると大きな誤算がいくつかありました。

確かに日本の間受け職人を2列目に並べて相手が中を警戒するからこそ外が空き、
外を使うからこそ今度は守備が広がって中が使える・・・という相手を見たサッカーは強者が格下を叩く際の基本です。

しかしパスの出し手からすると香川、本田、清武らのメインキャストの存在感(権力)が大き過ぎて
どうしてもパスの行く先が中央の彼らに集中してしまい「相手を見る」より「上司(リーダー)を見る」サッカーになってしまった事。


そして中央を細かいワンツーで崩すにしても日本の場合、その技量が充分では無かったという事。
この中央突破で一番難しいのはワンツーのリターンをトップスピードで動きながらファーストコントロールでシュートに以降出来る位置にボールを止める受け手の技術です。

メッシのゴールパターンの一つで簡単に中央を割っているように見えますが、
あれはリターンを受けるメッシのファーストコントロールが完璧だからこそ成せる業。

日本の場合はリターンのコントロールでボールを流してしまい、シュートを打つ角度を失ったり、DFにボールを引っ掛けられたりという場面がほとんどで一度もビタッ!と止めてシュートまでいけた場面はありませんでした。


又、この中央突破の形のもう一つの狙いとして実は「DFの目と足を止める」というのがあるんですが、
要は狭い距離感でボールがワンタッチで動く事で相手の守備の意識と視線を釘付けにしておけるという事です。

この隙に大外のSBやFWが背後に抜けると守備側は視野の外なので全くケア出来ない、
いわゆるメッシからDアウベスへのループパスでよく見かけるアレです。

実はコレ、今季のドルトムントがシーズン前半でよく香川⇒SB(ギュンター)で見せてた形なんですが
日本代表だとSBにこの動きが実装されておらずサイドに張ったままなので最後まで中央の3枚に絡む「大外(視野外)の4枚目・5枚目」がいないって事ですね。

【中央崩しからの大外SBパターン(理想)】
アウベスロール0902


ザックはこれが分かっていたので岡崎を2列目(SH)に置いて左の香川、本田、遠藤で細かいパスを回しーの⇒大外からザキオカー!っていう必殺パターンを構築してたんですが。

【ザックJAPANの「左で崩して右から岡崎」】
ザックロール0903


一方、ハリルみたく岡崎を1トップに置いちゃうと一度間受け職人達の戯れが始まっちゃったら岡崎は絡めないから傍観するしかないし
下手に裏に抜けようとしても助走距離がないからオフサイドになっちゃうわで手持ち無沙汰なんですよね。


ハリルも実は清武らのSHには別の動きを期待していたみたいで試合後に
「彼(清武)にはFWとしてのプレーを望んだ。プレースピード、背後(をとる)ランニングを要求したが、少し背中を向けてしまった状態でプレーしてしまっていた。」
と語っていましたがこれは選んだ駒と望むプレーとのミスマッチではないでしょうか。

清武をあそこ(左SH)に置いたらああなるでしょう、というのは多くの日本人ならイメージ出来た事だと思います。


後半の選手交代を見ればハリルの不満がどこにあるかも明確で要は攻撃に「幅」(宇佐美)と「深さ」(浅野)が足りないって事です。

しかし懸案の清武に変えて宇佐美を投入しても尚、日本の攻撃に大きな変化は見られませんでした。




宇佐美0902-1
局面は後半の日本の攻撃から。

左SHに宇佐美を投入した狙いは明らかで
「ワイドに張って幅を作り、尚且つそこから個でタテに突破する力」が欲しかったから。

しかし、宇佐美は不穏な動きを見せてスルスル中へ入って行くと・・・





宇佐美0902-2
宇佐美、お前もか・・・・ _| ̄|○

結局バイタルでクレクレ「間受け職人」かーい!




宇佐美0902-3
ワンツーで中央に当ててミドルシュート・・・ってそうじゃないから!www
(結局、UAEの守備ブロックに当たってカウンター食らう)



要は日本の場合、攻撃の手札を用意しただけでは「いつ、どのカードを出すか」という判断、駆け引きを
相手を見ながら出来ないという事です。


その点、UAEの方がよっぽど相手を見てサッカーをする姿勢に徹していました。

日本にボールは持たせても構わない、ミドルはどうせ飛んでこない、SBからのクロスを跳ね返してカウンター、
吉田と森重の背後に向かってヨーイドンなら3回に2回はチャンスになる。
非情にシンプルですが合理的なサッカーだったと思います。

実際、前回の対戦で吉田と森重の横の連携(特にカバーリング)が怪しいと分かっているUAEはトップの内1枚は必ず2人の間に置いてそこからの裏抜けで簡単にチャンスを作っていました。

【UAEの日本の弱点を突いた裏抜け】
DFライン0902




<必要以上の悲観論は不要>

内容的にはアジアCUPのリプレーを見るような形での敗戦。

両方のゴール前で「点を取る」「点を取らせない」最後の部分が弱いチームなので
負けるとしたら「自分達が外しまくってる内にカウンターで自滅」のこのパターンしかないのは予め分かっていた事。


アジアでも最終予選までくる相手となると10回やったら3回は引き分け、ないしは負けかねないというのが今の日本の実力なので
スタートの1戦で躓いたからと言って必要以上に悲観的になる必要もありません。
(終わってみたら9勝1敗でたまたま1敗が最初に来ただけという可能性すらある)

マスコミはしきりに「出場率0%」などというミニマムなデータを持ち出して不安を煽ってますが
そもそも最終予選とは当たり率6~7割のガチャを10回引くようなもの。何回かはハズレも出ます。

ただ、この当たり率を8~9割にするぐらいの実力がないとW杯本大会で結果を残すのはなかなか難しいでしょう。


現在の日本の戦力を見た時にザック⇒アギーレ⇒ハリルと3人の外国人指揮官がフラットな目で選んで
ほとんどメンバーが変わっていないという事実が層の薄さを物語っています。

「大島の抜擢」を批判されているハリルにしたって「他にチョイス出来る駒がいなかった」というのが本音ではないでしょうか。


日本のガチャの確率を上げたいのであれば本田が言うように
「例えば、毎年100人くらい日本から(海外に)行き、レギュラーも50人いて、そこから誰を選ぶのか」という
選手層にならないと難しいでしょう。

自陣と敵陣のゴール前に弱いのはそのポジションの選手層とイコールだからです。


その国のサッカー国力を上げたければ、その唯一の方法は「育成」であると歴史が教えてくれています。

「デュエル」も「インテンシティ」も「相手を見てサッカーをするインテリジェンス」も
A代表の監督が声を上げるのではなく育成の現場から動かねばならない課題ではないでしょうか。


最終予選の10試合など、育成を土台とするピラミッドのほんの先端での出来事に過ぎないのですから-








*次のタイ戦終了までに「いいね!」が一定数集まったら次回も更新する・・・かも!?(笑)

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シュート35本の代償 ~日本×UAE~

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<シュート35本の代償 ~日本×UAE~>

前回の更新で「悪くてもベスト4」と書いた途端にコレですよ。


どうしてこうなった・・・・。OTL


アギーレの采配ミス?


ターンオーバーを採用しなかったが故のコンディション不良?


それともただの決定力不足?


(もしくは誰かの逆フラブ)


という訳で今日は日本中に溜まっているモヤモヤ感を払拭させる為にも
早急にこのUAE戦を検証していきたいと思います!


【日本×UAE スターティングオーダー】
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日本はグループリーグに引き続き4戦連続、不動のスタメン。
一部ではヨルダン戦にターンオーバーを敷かなかったアギーレの采配を非難する声もあるようですが、
果たしてこの試合にサクッと勝っていたらそんな声自体、聞こえてきたかどうかも疑問です。

そもそもアギーレの立場からすればまだ勝ち抜けも確定していないヨルダン戦でそんな冒険は出来ませんし、
なによりこの大会で必要とされていたのはまず「結果」

1位抜けして前評判の高かったイランとの対戦を回避する事も重要なミッションになります。
(回避した結果負けちゃったんだけど、それこそ「結果論」ですね(^^;)

改めてスタメンの顔ぶれを眺めてみると前回大会の優勝を経験したメンバーが実に11人中9人。
若手中心のUAEに対して経験値では圧倒的に日本が優位に立ちます。


一方、UAEのメンバーはロンドン五輪世代を中心とした構成で同国では「黄金世代」とも呼ばれており
日本でいうとトルシエJAPANを思い起こさせる上り調子のチーム。

中でも10番のオマル・アブドゥルラフマンは同国史上「最高のタレント」とも噂される逸材です。


しかしアジアCUPでは過去「パレスチナのクリロナ」「タイのベッカム」など
「勢いでつけてみました」「似てるのは髪形だけ」「そもそもテレ朝の実況しか使っていない」というのが定番パターン。

そんな訳で僕も「またまた・・・大袈裟な」とタカをくくっていたのですが、
ものの5分で「コイツ・・・本物か?」と見識を改めた次第。


その変態的なボールタッチ、プレービジョン、そして意外な守備貢献、

どれも「アフロは出オチ」という僕の既成概念を覆すものでした。

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オマルの他にも7番のマブフートはそのスピードを活かしたドリブル突破と鋭いダイアゴナルランが危険なアタッカーだし、
15番のイスマエールは長友ばりの機動力と圧倒的なフィジカルの強さを兼備した守備の強いSHで、確かに素材は粒揃い。

実際に試合ではどこか「ディフェンディングチャンピオン」として「受けて立つ」構えで入った日本に対し
「失うもののない挑戦者」UAEが序盤から果敢に仕掛ける展開に-


<迂回させられた日本のパスルート>
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序盤、日本が劣勢に回らされたのはUAEの戦い方が勢いだけに頼ったものではなく確かなゲームプランを持ったものだったからです。

グループリーグの3試合で日本が対戦した相手はどこも日本相手に「無策」とも見える戦いぶりでしたがUAEは違いました。非常によく日本を研究してきたと言えるでしょう。


日本の攻撃の特徴はビルドアップでCBからボランチ、もしくはCBから一つ飛ばしてSHに間受けのタテパスを入れるのが攻撃のスイッチとなっています。

これまでの試合ではこのCB⇒SHというタテパスがバシバシ入っていたのですが
UAEは守備ブロックを敷く際、4-4-2の3ラインを全体的に中絞りにして徹底的にタテパスのコースを消してきました。

【UAEの中絞り4-4-2】
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局面は日本がCBで横パスを交換し、間受けを狙う本田、香川、遠藤らにタテパスを入れるタイミングを伺っているところ。
しかしUAEは両サイドのSHが中に絞って日本が使いたいボランチ両脇のスペースを封鎖。

これだとCBからの展開がSHやボランチへのタテパスではなくSBへの横パスに迂回させられてしまいます。

更にUAEはこのタテパスの絶対的な出所となる遠藤に対し、マンマーク気味の対応で簡単には前を向かせない構え。


【UAEの遠藤対策】
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局面はまたも日本のビルドアップでCBからのタテパスを受けるべく遠藤が降りてくる場面


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しかし遠藤へのタテパスに関しては簡単に前を向かせないようマンツーマン気味でのマークを徹底。

↑の場面ではUAEのボランチ(アブドル)が中盤から飛び出して遠藤を捕まえているのが象徴的です。


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結果、日本のビルドアップでは長谷部が長い時間ボールを持たされる展開になり、尚更タテパスではなく横パスの本数が増える事に。

迂回させられた日本の攻撃は結局SBからの単純なクロスに終始するのですがこれは完全にUAEの狙い通り。
前半、モイテッドJAPANはあれだけのクロスを上げながらシュートにつながったのがたったの1本では…。


そうなんです、つまり日本が持つ構造的な弱点として
『遠藤が前を向けないとタテパスが入らない』
というのがザックJAPANからの課題なんですよね。
(最近は長谷部も意欲的に出すようになりましたけど、いかんせん遠藤と比較するとクオリティが…)

中絞りブロックでパスの出先を封鎖し、遠藤に前を向かせない事で「出所」も封じたUAEの守備は日本を苦しめるのに充分なものでした。


<監督代われど課題は継続>
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先程の章ではUAEの日本対策で主に日本の攻撃面(スイッチ)を取り上げましたが続いては守備についても見ていきましょう。

日本の守備における弱点はユニットとしての連動性の低さです。
よく「日本人の武器は組織力」だとか「規律」だとか言われますけど、
それは単に「個」の力がないから相対的に「組織」をクローズアップさせているだけで
実は日本サッカーの忘れ物はまだまだこんなところにもあるのではなかと。

とりわけ「縦の連携」は出来ても「横の連携」が著しく弱いんですよね。

どういう事か実際の試合から検証していきましょう。


【3センターの連携(スライド)】
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局面は右から左へ攻めるUAEの崩しから。
中盤でセカンドボールを競ったこぼれ球がUAEの元へ

ボールにアンカーの長谷部がアプローチ(チャレンジ)をかけるこの場面では
そのカバーリング役は背後の遠藤がスライドする形になります。

この「1人が出たら、1人がカバーする」という3センターの基本的な三角関係、
グループ戦術における最小単位での「チャレンジ&カバー」でさえ実は代表レベルでも怪しいぞ・・・というのがこの後の流れで明らかになってきます。


endo0125-2.jpg

UAEはタテパスを入れてから中で待つオマルへ。

この場面における3センターの役割分担はまずボール(オマル)へは香川がプレスバックして向かい、
遠藤はバイタルエリアのスペースを埋めるという関係になります。


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ところが遠藤は何を思ったかオマルからハマディへのバックパスのコースを消しに動いた為、バイタルエリアがガラ空きに。


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遠藤の本来の役割はこの⇒のコースで帰陣して「まずバイタルを埋める」というリスク管理でしょう。

3センターの難しさって中盤に4枚いる4-4-2と違って
3センター同士で「チャレンジ」と「カバー」の役割がぐるぐる入れ替わる事なんですよね。


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結局オマルにドリブルで運ばれると遠藤は置いてけぼり。
その上、日本のDFライン前には一切フィルターがない無防備な状態です。

しかもこの流れ、どっかで見た気がしませんか・・・?




そうです、国内組で挑んだブラジル戦でも同じような場面に出くわしましたよね。

【ブラジル戦 スライド出来ない日本の3センター】
3センター2

柴崎、田口、森岡で組んだブラジル戦の3センターはユニットのていを成していませんでした。
(とりあえずユーベの試合を50試合ほど観てピルロを中心とした3センターの美しい完成度を勉強しよう!)


つまりですね、国内トップクラスのJリーガーで選抜しようが、
海外組を含めたW杯経験組で組もうが「チャレンジ&カバー」すら結構怪しいのが日本サッカーの現状なんじゃないかと。


話が少し横道にそれましたが、この「中盤がフィルターの機能を果たしていない」というのは
主導権を握ろうという前提と選考の場合、より顕著になります。

長谷部と遠藤の後ろに阿部を置いた岡田JAPANはメンバー選考以上に
前提として「主導権」は放棄して完全リアクションサッカーに徹したが故の人海戦術。
戦術的なインテリジェンスで守ったというより「相手の攻撃を跳ね返す為の11人」で
ひらすらスペースを空けないサッカーをしていたに過ぎません。


続いてもう一つ、日本の中盤守備機能を象徴する場面を。

【日本の中盤のフィルター機能を検証】
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局面は日本の攻撃が跳ね返されてUAEのカウンターになるかどうかという瞬間。(攻⇒守の切り替え)
日本のインテンシティが問われる瞬間ですね。

現代サッカーのトレンドに沿ったイメージとしてはこうです↓

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ロジャー・シュミット『今だ・・・!!』



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長谷部・遠藤・本田『どうぞ、どうぞ、どうぞ・・・』

で・・・出ターー!!
日本の十八番『どうぞ・どうぞディフェンス』!!


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結果、UAEにノープレッシャーのままハーフライン越えられちゃいます。
(相手がメッシ、ネイマールクラスだとここでもうジ・エンド)


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あまりに誰も行かないので最後は本田さんが60Mダッシュで戻って奪い返しました。

まあデヨングだったら最悪、進行方向塞いでドリブルスピードを落とさせてたでしょうから
「マジか!」って感じで猛ダッシュしたのかもしれませんが(笑)


このようにただでさえ中盤のフィルターが機能していない中でDFラインにかかる負担は過大になっている訳ですが、
実はDFはDFでユニットとしての大きな問題点を抱えています。

こちらも実際の試合から検証していきましょう。


【DFラインの課題を検証】
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局面は立ち上がりの前半2分のシーンから。
右サイドを駆け上がった酒井がボールを奪われてUAEのカウンターを食う場面。

ボールに対し中のコースを切りながら狭い方へ追い込む長谷部の寄せはOKです。
問題は森重と吉田のCBペアの連携の方。

この場面、最前線を見るとUAEの2トップ対日本のDF3枚という事で3対2の数的優位なんですよね。
UAEの2トップは裏に抜けるマブフート(コイツは速い!)と一旦近くに寄ってきてボールを受けるハリルという按配。

となれば、DFとして一番やらせてはいけないのがマブフートに一発で裏を取られる事でしょう。
裏を取られてしまったら数的優位もクソもありませんからね。

(ちなみにボールに全くプレッシャーがかかっていないこの場面でオフサイドは取りにいけない)


片や、ここでハリルにボールが通ったところでゴールまではまだ50M近くあります。
相手がロベカルでもシュートが届く距離ではないのでいきなり失点に結びつく事はありません。

故にこの場面の3枚の役割分担としては吉田がマブフートに対応して森重がそのカバー、
最悪ハリルに渡っても長谷部のプレスバックと長友で対応出来ます。


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ところが、森重の意識と重心は明らかに前がかりで手前のハリルを抑えに出ています。
この意識では吉田がマブフートに入れ替わられた場合、カバーリングが効きません。

(イタリアサッカーで言うところの「ディアゴナーレ(斜めのポジショニング)」がなってない)


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その結果、一発で吉田と森重の間をスルーパスで通されてしまうのですが、
ここで吉田が背後のマブフートにそのままの身体の向きで付いて行くのではなく
ボールの方に気をとられたターンをしてしまった分、更にヨーイドン!で分の悪い勝負となってしまいました。
(エンマサ「アマチュアターンだ!」)


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いくらSB(酒井)の上がった裏を突かれたカウンターとはいえ
ハーフライン付近で3対2の局面が1本のパスで↑の状態になっていては失点は時間の問題です。

現に失点シーンでもこれと同じ課題が現れていました。

【UAEの先制点のシーンを検証】
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ハイ、ここですね。ここから1本のパスで裏をとられて失点してしまいました。

一体何が原因だったのでしょうか?

角度を変えて見てみましょう。


0124uae-shiten3.jpg

まず、ここでもボールに全くプレッシャーがかかっていないのでオフサイドは取りにいけません。
(UAEの見事なパス回しに翻弄されて完全に日本のプレスが外されてしまったので致し方なし)

という訳でボールサイドの長友がアプローチに出たこの場面でDFラインに残る3枚の役割分担は
長友の背後を森重がカバーし、その森重の背後を吉田が…というように
文字通りお互いの「背中を預け合う」関係です。


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ボールが出る瞬間、マブフートが森重の背後から鋭いダイアゴナルランで抜け出します。

当然森重からは死角になっていますので、予めマブフートを視野に入れていた吉田がカバーリングに向かう役目ですね。


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と・こ・ろが、ここで吉田はパスが蹴られる直前に山を張ってハリルの方をケアするコースを取ってしまいます。

パスが出てから慌ててマブフートへのカバーに切り替えるのですが大きく迂回した遠回りのコースになってしまいました。
(ちなみにハリルは酒井に任せておけば何ら問題無かったはず)


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おかげでマブフートがシュートを打つ瞬間には2M以上距離が開いてしまっています。

本来の赤いコースで最短距離のカバーリングを行っていれば少なくともあと1M以上、マブフートとの距離を寄せられていたはず。

そうなれば当然、あのシュートが失点になったかどうかも微妙である。


このように前半10分までの2つのシーンを見ただけでも
日本のDFライン、とりわけ横の関係としてCBとCB、CBとSBの間でカバーリングの連携に明らかに問題がある事が分かります。

ちなみにこの失点直後に森重が吉田に話しかけているシーンが確認出来ました。↓

0124uae-shiten2.jpg

森重が吉田の方を向きながら右腕を自分の背中の方に水をかくようなしぐさを見せている。

恐らく背後を抜けてくるFWに対するカバーリングの確認をしていたのだろう。
森重からすれば背中に目が付いている訳ではないので当たり前の話なのだが、
そういう君も逆の立場の時は吉田のカバーが充分ではかったぞ・・・と(^^;

要するに日本の場合、4バックと言いながらも選手個々が目の前のマークを捕まえる1対1の局面が4つあるだけでユニットとして機能する事が苦手なんですね。

同じように誰がいくか微妙な時、例えば下手に3対1とかの圧倒的に守備側優位の時は
今度は「誰が行くんだ?」という判断が瞬時に下せず皆して「どうぞ、どうぞ守備」になってしまう…と。

隣の味方とコミュニケーションをとって連携が結べないのにDFラインが一つのユニットとして機能するはずがありません。

(お陰で長友がCBのカバーから逆サイまでフォローに走り回るので、過労がたたって肉離れしとる始末・・・)


じゃあ、UAEの方の守備はどうだったのか?

実際の試合から見てみましょう。


【UAEの守備連携を検証】
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局面は左から右へ攻める日本の攻撃から。
ボールに全くプレッシャーがかかっていないこの場面、UAEのDFラインに注目して下さい。

岡崎の前でCBの1人がインターセプトを狙うような動きを見せていますが
その両隣でSBとCBが裏のスペースを中に絞りながらカバーするダイアゴナルのポジションを取っています。
(ディアゴナーレ)

但し、これだとDFライン全体が後ろに引っ張られるので当然バイタルエリアが空いて、本田の間受けはケア出来なくなり・・・


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ハイ、このようにタテパスを入れられてしまいました。

しかし一発のパスで岡崎に裏を取られる事に比べたらバイタルエリアで間受けされる方が100倍マシですよね。
(先ほど、似たような場面で日本は手前を気にして一発でマブフートに裏を取られていた)

何故ならDFラインの手前で攻撃が展開されている限りはパスが出てから飛び出せば・・・


uae-nakashime3.jpg
対応が可能

しかもUAEはここでまたCBが1枚飛び出して残りの3枚がカバーリングする完璧なディアゴナーレ。
結果的にこの場面では本田が捕まってボールを奪われてしまいました。


まあ、これがメッシとかアザールだと一発で外されて終わるんだけど、
とにもかくにもUAEのDFラインは意外とちゃんと整備されている事がよく分かるシーンでした。

そしてUAEは中盤も含めたチーム全体のスライドもこれまでのチームとは一線を画すレベルだったので一つ印象に残ったシーンを出します。


【UAEのボールサイドへのスライド】
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局面は中絞りのUAEに対し日本が長谷部を降ろした3バックにしてUAEの2トップに対し
ビルドアップで3対2の数的優位を作っているところ。

これに対しUAEがどのように守るのか?

ボールは長谷部から吉田に渡ってスペースをもらった吉田はそのままドリブルでボールを運び・・・


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これにはFWがプレスバックして付いて行くのですが、注目はSHの最後まで我慢して中を切り続けるポジショニング

吉田も本当は間受けを狙う本田とか香川にナナメのパスを出したいところなんですがSHの中切りと後ろのCHのスライドがしっかりしているのでパスコースが空かず、仕方なく大外の酒井へ、


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酒井に対してはSBが出て行って対応。
そしてこの瞬間のボールサイドを軸としたUAEのDFラインとMFラインの2ラインを見て下さい。

ボールサイドがアプローチして背後がカバーする見事なディアゴナーレが描かれています。
(欲を言えば逆サイのSHオマルはもう少し中に絞って欲しかったかな)

これで酒井にパスコースがなくなり、囲まれた末に奪われてしまいました。



<サッカーは90分トータルの勝負>
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試合は前半、先制点を挙げて勢いづくUAEのペースで進んでいきます。

UAEのアリ監督はリードを奪った直後にフォーメーションを4-4-2から4-2-3-1へ変更。
10番のオマルをサイドの守備から開放させてトップ下へ。
スピードのあるマブフートを1トップに置いた明確なカウンター狙いの布陣で主導権を渡しません。

とはいえサッカーは90分トータルの勝負。
挑戦者が立ち上がりから飛ばして王者にパンチを当てる展開なんてのはままある事ですがそのまま勝ち切るのは見た目以に難しい事です。

4年前に優勝を経験している日本の選手達は「ここを耐えれば必ず自分達の時間が来る」という確信があったのでしょう。
落ち着いて試合を進めUAEの攻撃を凌いでいきます。


すると実際、前半も30分を過ぎた頃から少しづつUAEの守備ブロックにスペースが出来てきました。

【攻守が連動した日本のサッカー】
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局面は前半40分、左から右へ攻める日本の攻撃。
守備時4-4-2になるUAEの3ラインに注目して下さい。

試合序盤と比べて明らかに2列目のラインと最前線の距離が開いてスペースが出来てしまっています。
そしてこのスペースこそ遠藤が前を向く為に必要なスペースなのです。

これで序盤から中は使えないわ、遠藤は前を向けないわで窒息気味だった日本の攻撃に息吹が蘇っていきます


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遠藤が前を向けると何が生まれるかと言えば、日本の中で唯一、2手先、3手先までのプレービジョンを共有出来る香川、本田、遠藤の3人称の絡みですね。

↑の場面でもパスの出し手となる遠藤、受け手となる香川、次の落としをバイタルで受ける3人目の本田というように全員が2手先のプレーを見て連動しています。


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・・・で、重要なのがココからで、仮に↑の場面のように繋ぎの途中でミスが起こっても
3人が連動出来る距離を保って攻撃を行っているので守備に切り替わった瞬間に複数でボールへアプローチが可能という事です。

この場面↑でも香川の落としがズレてUAEにインターセプトされるのですが、香川、本田、遠藤のトライアングルが一定の距離を作っていたので、すぐに香川がボールに、遠藤がタテパスの受け手となる選手にアプローチを開始しています。


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これによってタテパスが出せなくなったUAEはカウンターで前に運べず、
横へのドリブルから横パスを強いられています(これ重要)

ボールにプレッシャーがかかっている状態で尚且つ、パスが攻撃方向ではなく横パス、バックパスなら
日本のDFも積極的に前へ飛び出してボールにアプローチがかけられる訳ですね。

↑の場面でも香川のプレスによって強いられたUAEの横パスにSBの長友が飛び出してチャレンジ!


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プレスを受けたUAEは次の展開も横パス


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横パスだと次もプレスをまともに食らうので今度はバックパスで下げるしかコースがありません。

そして最初の攻撃の段階で遠藤と香川が良い距離感だった事、すぐに攻⇒守へ切り替えた事で
この場面での日本の3センターは理想的なポジションバランスに収まっています。

更にバックパスにはマインツの猟犬こと岡崎がGO!


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バックパスを受けたUAEのDFも岡崎のプレスを受けながらコースが切られているので
後ろの長友、遠藤が次のパスを予測してインターセプトを狙える状況が整いました。


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よし!狩った!!速攻!!


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敵陣で失ったボールを敵陣で取り返して速攻へ。
奪ってパス1本でこの5対5の状況が作れれば得点への期待は一気に高まりますよね。

このように日本の攻守は連動しているものなので
そもそも攻撃時のポジションバランスが崩れていたら守備も機能しなくなります。逆もまたしかりですね。

そして、その為に必要なのが遠藤が前を向く事で出されるタテパスと間受けを中心にした崩し、
それを可能にする選手同士の距離感ですね。


代表チのーム構造を少し極端に表せば遠藤×本田×香川の連携を軸として
その周囲に長友、岡崎、酒井(内田)らの機動力と長谷部のバランス感覚を置いたもの、と言えるでしょうか。


実際に試合では遠藤が前を向けるようになった前半の終わりから一方的な日本ペースになっていきます。
UAEは守備ブロックを更に後退させる事になるのですが、これを見たアギーレは中攻めだけでなく外からのクロスにも威力を持たせる為、豊田、武藤を投入。

遠藤に疲れが見え始めたら、すかさず替えのパーツとしてベンチに置いておいた柴崎を投入。
機動力と攻撃のペースを落とさない猛攻でUAEの牙城を崩しにかかります。


【日本の布陣 (前半)】
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前半の布陣だとUAEが中を閉めてきているので攻撃の主役は両幅を使う長友と酒井になります。
・・が、クロスを上げても1トップが岡崎で2列目が皆、間受け職人では怖さがありません。


【日本の布陣 (後半)】
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そこでSBがクロスを上げる際は豊田に加え、SHの武藤をゴール前に配置した2トップの並びに。
ゴール前の圧力は倍増されました。

こうなるとUAEのDFラインが後退し、連動して2列目のラインも下がる事に。
結果、ますます2列目と前線の距離が開いてこのスペースで元気な柴崎が躍動・・・というのがアギーレの狙いと見ます。

実際に試合ではこの狙い通りの形で日本の同点ゴールが生まれました。


【日本の同点ゴールを検証】
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局面は左から右へと攻める日本の攻撃。
森重から長友にパスが振られるとUAEの中盤と前線には狙い通りのスペースが。
既に柴崎はこのスペースを察知。

そして、ここでポイントなのはサイドでボールを受けた長友の次のプレーです


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長友もこのスペースを把握していたので縦に仕掛けるのではなく、中へのカットインを選択
(2手先のプレービジョン)

そこから柴崎へ横パスを展開


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アギーレの狙い通り、このスペースで柴崎が前を向いて受ける事であの素晴らしいゴールが生まれています。

余談にはなりますがこの場面↑で得点への隠し味になっているのがボールを持った柴崎の身体の向きですね。
UAEのDFがつられるのも無理はない角度でボールを持っています。

このように柴崎は日本でも数少ない自分の身体の向きをフェイントに使えるボランチで、
ピルロやデロッシ、シャビらと同じように意図的にタテパスのコースを空けるプレーが光りました。


<日本の敗因は? ~シュート35本の代償~>
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日本は同点にした後も攻め続け、最後は長友の負傷というアクシデントもありながら35本のシュートを浴びせ続けました。しかし残念ながら120分で決着をつける事が出来ずにPK戦で敗れています。


早速、巷ではアギーレの解任問題が再燃していますが、果たしてこの試合の敗因はどこにあったのでしょうか?


世論として一番声が大きいのが『決定力不足』です。


確かにシュート35本で1点(3%以下)ではそうぼやきたくなるのも分かりますが、
では具体的に何%の決定率なら「決定力充分」になるのでしょう?

そもそも日本代表の決定率が何%なのか把握している人はいるのでしょうか?

ザックJAPANの4年間を全試合のシュート総数からこのチームの決定率を割り出す試みは?

そもそもパレスチナ相手の1得点とコロンビア相手の1得点を同じ1点としてカウントする事に意味はあるのでしょうか?

ロシアまでの4年間でデータを取り、結果として「アギーレJAPANは決定力不足だった」というのならまだ分かりますが、
たった1試合の「シュート35本で1点」で決定力を判断していては不確定要素が大きすぎて何も見えてこないと思います。


極端な話、「決定力」だけ上げたければシュート本数を減らせばいいのです。
確実に入る時だけシュートすれば決定力は上がりますが、それだと今度は「もっと積極的にシュートを打て!」と批判が起きるでしょう。

要するに何が言いたいのかといえば日本代表が決定力不足なのではなく、
サッカーというスポーツの本質が「決定力不足」なんです。


その証拠にある特定のクラブを応援し続けているファン、サポーターは古今東西、
必ず自チームが負けた時の敗因として「今日は決定力不足だった」という言葉を幾度となく使います。

それはバルセロニスタだろうが鹿島アントラーズのファンだろうが同じ事。
逆に言えば「決定力不足」こそがサッカーの常態であり、試合で決定力という幸運に恵まれたチームが勝っている・・・という方が遥かにこの競技の本質に近いのではないでしょうか。

そして、数あるスポーツの中で最も「決定力が不足している」からこそ、これだけ魅力的で世界中で愛されているとも言えます。


故にサッカーで決定率を、そして勝率を上げたいのであれば、まずはシュートの本数を増やす事です。
チーム力を見極めたいのであれば90分の中でどれだけチャンスを作り出せたかを見るべきです。

だから僕もシュート3本しか撃てずにPK戦で負けた…となれば話は別ですが、あの内容で結果は引き分け、
勝ち抜けを決める為のPK戦で敗退という事であれば「それがサッカーでしょう」としか言いようがないと思うのです。


アギーレの解任うんぬんについても本田が1本目をふかして、香川が6本目をポストに当てた事に責任を取れと言われても、そこはもう「神のみぞ知る」領域でしょう。

仮に本田が入れてれば「ヒヤヒヤしたけどこれがアジアCUP。内容じゃ圧勝だったし次はスッキリ勝ちたいね」が世論の大半だったはず。


アギーレのこれまでの仕事ぶりについてもアジア相手に4勝1分、苦手の南米勢(ブラジル、ウルグアイ、ベネズエラ)相手には2敗1分、そして格下(ジャマイカ、ホンジュラス)にはキッチリ2勝と、極めて順当なもの。

予想以上でもなければ予想以下でもないというのがアギーレの半年でした。

そもそもアギーレという選択をした以上、ドラスティックな改革も革新的な挑戦も端から望んでいない訳で
世界における日本の立ち位置にあった現代サッカーのオーソドックスな形を4年かけて作りこんでくださいね…というのが今回の監督オーダーだったはず。

確かにコンフェデに出れないのは痛いですが
ザックJAPANはコンフェデのイタリア戦で全ての勘違いが始まったと監督本人が後に振り返っているようにこれも一概には言えない部分があります。


ちなみにザックJAPANを振り返るとアジアCUP優勝で「ザック神!」、アジア予選では「決定力不足」、
コンフェデから始まる本大会までの対世界シリーズでは「守備弱過ぎ」・・・という流れでした。

代表の決定力を嘆く前に我々の判断力を問い直す4年間にしたいものですね-




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アギーレJAPANはザックJAPANのリバイバル?~日本×イラク~

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<アギーレJAPANとザックJAPANに違いはあるのか?>
~アジア王者仕様で臨むアジアCUP~


皆さん、あけおめです。
新年一発目の更新は欧州サッカーネタを予定していたんですが、先に軽くアジアカップにも触れておこうかと思いまして。

というのも先日開幕したアジアカップですが、日本が強いというか相手が弱いというか微妙なところですが、
とにかく決勝ぐらいまでこないとこの先もほとんど触れるネタが無さそうだな・・・という危機感を覚えたからでもあります(笑)

グループリーグ最大の強敵と目されていたイラクも蓋を開けてみれば危なげない完勝。
スコアこそ1-0ですがあの内容で負けるとしたら10回やって1回あるかどうかってレベルでした。

まあ、それでも「1点じゃ物足りん!」と批判の声もあるようですが
それこそアジアの中における日本の立ち位置の高さなのかな…と。
(欧州予選でさえ格上のチームが押しまくって結局1点どまりなんて試合はいくらでもあるもんなんですけどね…(^^;)


それよりも個人的に気になるのはアギーレが本気でアジアを獲りに来ているな・・・という事の方でして。
いや、獲りにいってもらわなきゃ困るのはそうなんですけど、その結果ガチで選んだメンバーが結局4年前と同じじゃね?ってのが一つのポイントかと。

アギーレは就任当初の試合をブラジル相手でさえ「ザックJAPAN以外」のメンバーでテストを重ね、
結局辿り着いたのがこのメンバーってのが「まあ、そうなりますよね」という納得感と日本の選手層に対する危機感に繋がってしまいます。

思えばこの大会で既に4年後のチームの骨格を作ったザックと
その遺産でアジアを獲りにいくアギーレとでは最初の一歩目にして既に差がついているような・・・?


<イラク戦のアギーレJAPANを検証>

ではまず先日のイラク戦からアギーレJAPANを分析していきましょう。

イラクの守備は4-4-1-1の並びですが、1トップは完全に守備放棄だったのに加え、トップ下の守備もかなり緩いものだったので
実質は4-4の2ライン、8枚守備で日本の攻撃を抑えようという非常に甘い代物でした。

お陰で日本は吉田、森重だけでなく長谷部、遠藤までほとんどノープレッシャーで前を向けるという楽な展開に。
(試合前「ワタシは完璧な日本対策を持っている」とか抜かしてたのどこの誰だよwwww)

そんな訳で日本のマイボール時の並びはこんな感じに↓

【アギーレJAPAN マイボール時】
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最前線で1トップの岡崎が裏抜けでイラクのDFラインを引っ張ったり、CBを背負いながらポストプレーをしたりと
1人黒子の仕事で香川、乾らが主役として輝けるよう奮闘。

本田は完全にワイドに張った前残りでクリスチャーノ・ケイスケ状態。
遠藤は1人、2・5列目みたいな感じで自由に動いてはボール受けまくりのタテパス通しまくり。
記念すべき代表150試合目はさぞかし楽しくサッカーを出来た事でしょう。
(3年前に対戦したイラクはジーコ監督でさえ遠藤と長谷部にマンマーク付けてきたというのに…!!)

【実際の試合から(マイボール時)】
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左SHの乾は間受けの感覚を持つ職人なので自由に中に入ってくるとイラクのSBが食いつかざるを得ない状況を作り、大外をSBが抜けるというザックJAPANでもお馴染みの形。
(現代サッカーの一つのテンプレですよね)

実質トップ下の香川と、中に入って来る乾、そして遠藤のサポートで日本がボールを回しまくったお陰で
イラクの中盤3枚とSBはかなり中に食いつかされたイビツな状態になっていました。
AFCのサイトからこの試合のイラクのポジショニングをデータで拾ってきますとこんな感じ↓

【イラクのポジションMAP(日本戦)】
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21番と5番がボランチ、17番がトップ下なんですけどほぼ3人とも重なるように中へ絞らされてます。
加えてSBもだいぶ食いつかされて大きく持ち場から動かされているので日本は空けたスペースをこんな担当で使うイメージ。↓

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試合ではこれが上手く機能して日本のシュート練習ならぬ「ポスト当て練習」になるんですけど。

やはり日本は遠藤が自由に前向けるとタテパスが入る⇒香川、本田、乾らの2列目タレントが躍動!の好循環に入りますよね。

では実際の試合から典型的な日本の崩しとそこに潜む見えない課題を検証してみたいと思います。


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局面は右から左へと攻める日本の攻撃から。
香川から森重へパスが出された瞬間ですが、この時香川と乾が描いていたイメージがこの展開


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香川&乾(出さんのかい・・・!!)

相変わらずこういう時にタテパスを出せるCBが恋しくなるのが世界基準なんですが、森重は大外の本田へ向けてサイドチェンジ


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このサイドチェンジが跳ね返されたセカンドボールを拾ったのが酒井という場面。

ここで香川の間受け発動ですね。

イラクのボランチが視野を外した瞬間に背中から飛び出してきてるのもミソで
左サイドから一気にダイアゴナルランでイラクのゾーンディフェンスの切れ目を3つ以上横断してます。
これはちょっとマークの受け渡しじゃ付き切れんですな。
(ゾーンディフェンスの破壊者たる面目躍如)


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香川の自由奔放な飛び出しはそのまま一気にイラクのCBとCBの間を抜けてDFライン裏へ

まあ、でもそのスペースは普通1トップが流れて使うんだけどね・・・。


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自重する岡崎が"らしい"よねwww

このへんは身分をわきまえているザキオカらしさ(笑)

2列目を活かす為に1トップが黒子になるのも4年前の前田と全く同じですな。
マインツのサポはこんなザキオカ見たくないだろうけどww


さて・・・一見綺麗に崩しきったこの場面ですが、その実見えないリスクをはらんでいます。

それはこの崩しの途中で、もしボールを失っていたら?と考えた時に顕在化するんですけど。

一応4-3-3のアギーレJAPANでインサイドハーフの香川が実質トップ下をやっていて乾も中に入って来る+長友が大外の幅を使う為に高い位置取りをしていますから、ここで奪われてボールを逆サイドに展開された場合、
2CBの前でスクリーン役になれるのはアンカーの長谷部1枚と遠藤のインテンシティ次第という状況になります。

W杯ではジェルビーニョやクアルダードにこの形のカウンターで何度決定機を作られた事か・・・。

でもアジアでは日本が攻め切れちゃうし、仮に奪われても相手の切り替えが遅過ぎてほとんど問題にすらなりません。


そう考えた時に浮かぶ疑問が一つ。
あれ?これって4年前のリバイバルじゃね・・・?


<アギーレJAPANはザックJAPANのリバイバル上映?>
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では実際にアジアCUPに臨んだ2つの代表を比較、検証してみましょう。
↓が4年前に優勝したザックJAPANのシステムです。

【ザックJAPAN 2011ver】
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1トップの黒子役が前田に、右SBの無職が内田に代わっただけでほとんど同じじゃねーかYO!www

一つ違うのは4年間は間受け役だった本田が右に開いてVVV時代のカットインシューターに戻っている事ぐらいですね。
左の遠藤、香川(乾)、長友で作って⇒逆サイの右で仕留めるというメカニズムもほぼ同じです。

まあ、間受け役が「ジダンシステム」のザックJAPANだとバイタルで受ける本田が攻撃方向に背中を向けるので
その次の展開が後ろへ落とすパスかサイドへの展開になりがちだったのに比べると
ダイアゴナルランで動きながら受け、更にファーストタッチで加速出来る香川、乾のハイブリット型だとより現代サッカーのトレンドに沿った形にはなってますけどね。


4年前との比較でアジアの他国がそれほど伸びていないので、
恐らくベスト4までは問題なく勝ち進めると思いますし、今アジアカップをやるなら10回やって4~5回ぐらいは優勝出来そうな感じもするんですけどね(^^;

要はそれぐらいアジアは温い!って事です。

コンフェデレベルになったらもう遠藤は前を向けませんよ?
そしたら香川は消えませんか?
対カウンターの防御は本当にこれで大丈夫?

2014W杯で1勝も出来なかったアジア勢、日本も緩やかに強くなってはいますが、
世界の上昇曲線にアジアが置いていかれている感が強く残ったアジアカップのグループリーグとなりました。


次回の更新では”欧州クラブシーンの現在”を取り上げる予定です(^^;


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誰の為のブラジル戦だったのか?アギーレJAPANの未来を探る ~日本×ブラジル~

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<誰の為のブラジル戦だったのか? ~日本×ブラジル~>

ブラジルW杯での惨敗劇から早4ケ月。
前技術委員長のイチオシで招聘されたアギーレJAPANは船出から3戦目でブラジルと戦うチャンスに恵まれました。
そこで今日は先日のブラジル戦を振り返りながらアギーレJAPANの未来像を検証してみたいと思います。

まずこれまでの2試合で召集されたメンバーからアギーレが目指すサッカーの方向性を探っていくと
ザックJAPANではポゼッションの主役を担った中盤から遠藤、長谷部らが外れ
代わりに森重、細貝、田中順也という、彼が言うところの「ボールを持っていない88分」を基準に選ばれたメンバーが名を連ねています。

ザックが【自分達がボールを持つ事】を基準にチーム作りを考え、それに見合った人材に世界基準のインテンシティを上乗せしようとしたのに対し、
アギーレは最初から【ボールを持てない】事を前提にチームを作り始めたと言ってもいいかもしれません。

まあ、リーガで彼が率いたチームを見てきたリーガ厨ならば、
そもそも彼が端からポゼッションになど興味無い事は重々承知だったので「あ、やっぱりね…」という感じなんでしょうが(^^;

あれだけJリーグを視察しておきながら目下絶好調の宇佐美を召集しない徹底振りは
呼んだ選手以上に呼ばない選手を使って自身のサッカー哲学を日本中のサッカーファンに示す一種のパフォーマンスのようにも感じられます。
(次あたりアッサリ召集も有り得るww)


で・・・このブラジル戦である。

ファンは当然、今、日本が持てるベストメンバーを結集しブラジル相手にどこまでやれるか?を楽しみにしていた事だろう。
しかしアギーレはこれまで9つのチームを渡り歩いてきた、ある意味プロフェッショナルな監督。

その彼にすれば2年契約の日本代表においてまずどこで自身の査定が行われ次の契約延長に繋がるかをカレンダーから探り、そこへ向けたチーム作りを進めていくのは当然ではないでしょうか。

となればいくら「特にノルマは設定しない」と言われているといっても、まずは年明けのアジアCUPに照準を絞り、
それまでの強化試合を使ってチームを固めようと考えるのがアギーレにとっては当たり前で、ここにファンとアギーレとの乖離が生まれてしまった訳ですね。

まあ、穿った見方をすれば討ち死に確定のブラジル戦でテスト色を強調し、あらかじめ予防線を張っておいたと見えなくもないですが・・・(^^;

さて、注目のスタメンやいかに?


<テストに徹したプロ監督アギーレ>
日本ブラジルースタメン

ドゥンガセレソンは安定の4-4-2で地味だけど確実に計算の立つ選手を集めた感じ。
国内から召集したFWのジエゴタルデリはW杯でレギュラーだったフレッジなんかより全然いい選手で
機動力がありながら最前線でボールが収まるのでネイマールもやり易そうでしたね。

まあ、攻撃に関しては結局最後は「戦術ネイマール」になってしまうのは相変わらずでしたが・・・。


一方のアギーレはTBSも真っ青のスタメンを組んできました。
ジャマイカ戦から6人を入れ替えて中盤の3枚を初代表のJリーガーで組ませるという暴挙。

マジでこの人、相手がジャマイカだろうがブラジルだろうがそんな事は知った事じゃなく、
あくまで持ち駒の見極めの一環としてこのブラジル戦を消費してきました。
(ある意味プロフェッショナルに徹してるなぁ…)

結果、日本×ブラジルなのにどっちも知らない選手がたくさんいるっていうめずらしい状況に(笑)


<ブラジルの緩⇒急>
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日本は序盤、若い代表選手達を中心にあからさまに動きの硬さが見えて
タテパスを早く入れようという意識はあるものの、結局孤立したマインツに焦ってロングボールを入れては
ブラジルの強力CB2枚にガッツリ潰されてボールを回収される流れ。

一方のブラジルもこの試合を迎えるにあたって3日前に宿敵アルゼンチンとガチな喧嘩をしてきた後なだけに露骨に動きが鈍い事(笑)

結果、硬い日本と鈍いブラジルとでギクシャクした流れが前半10分あたりまで続きました。

そんな中、それまで右から左、左から右へとのらりくらりボールを回していたブラジルのスイッチが初めて入ったのが前半10分過ぎのこのプレー↓

【ブラジルのスイッチが入ったワンプレー】
ネイマワンツー1
↑局面は日本の3センターの前でボールを持ったネイマール。対面の柴崎をワンフェイントで軽く外してしまいます。


ネイマワンツー22
パス&ゴーでタルデリへ預けてリターンを受けに走るネイマール


ネイマワンツー3
で、ボールを受けたCFタルデリに対する日本のCB塩谷のこの中途半端な寄せ。
寄せというか、全然寄せれてないのでこれだけ距離が開いてしまっている訳なんですけど。
(タルデリが攻撃方向に背を向けているだけに「ここでチャレンジ行かんのかい!」っていうね・・・)

本来、この場面でCBに求めたい寄せはこう↓


ネイマワンツー4
塩谷がDFラインから飛び出してチャレンジし、残ったDFラインの3枚が中に絞ってカバーリング。

クラシコで中盤に降りるメッシを捕まえるSラモスと残ったペペ、アルベロア、コエントランの絞りをイメージしていただくと分かりやすいかも(笑)

いずれにせよ、この中途半端なCB(塩谷)の寄せはいかにもな「Jリーグ・スタンダード」

これだとタルデリは余裕でボールをキープ出来るのでタップリとネイマールが上がってくる時間を稼いでから・・・


ネイマワンツー52
結局リターンを受けたネイマールに塩谷もアンカーの田口も置き去り。

このワンプレーでネイマールを始めとするブラジルの攻撃陣は「あ・・・余裕で崩せるわコレ」ってなスイッチが入った感があり、一連の流れを見ながら本日の大量失点を覚悟した次第でありました(笑)


そして案の定というかこの7分後に生まれたブラジルの先制点ですね。
ちょっと流れを追って検証していきましょう。


【ブラジルの先制点を検証】
1点目1
↑左から右へ攻めるブラジルの攻撃で、アンカー田口の前にタルデリが降りてきた流れから。
当然ここへのタテパスは田口も警戒しているので距離を詰めるべくアプローチの姿勢を見せます。


1点目2
ところがボランチのエリアスが田口の背後をとってバイタルに陣取っていたので
一瞬、田口がタルデリへの寄せとエリアスへのカバーとどっちへ行こうか迷いが生じています


1点目4
この一瞬の迷いを見逃さないのがブラジルのシビアさ。
遅れてタルデリに寄せてきた田口をあざ笑うかのようにワンタッチパスで田口を外してアッサリとバイタル侵入成功。

じゃあ、この時日本の中盤はどう守ればよかったのか?と言うと・・・・↓


1点目3
3センターが一個づつ中にスライドして絞ればマークもハッキリしていたはずなんです。

要するにこれは戦前予想されていた通り柴崎、森岡、田口の3センターじゃ守備をリードする選手が不在で3人が全く連携を取れていない状況ですね。


1点目5
・・・で、実際にはタルデリが田口を外してバイタルでリターンを受けた時、森岡と田口のこの距離間ですよ・・・。

これじゃあただ何となくボランチを3枚中央に並べただけってのと変わりません。個々が単体のパーツとして動いているに過ぎないのです。

頼むからもう少し自陣のバイタルエリアを使われる事に危機感を憶えてもらって、とにかく中は閉めてくれと。

何故なら今更ここでCLなどを持ち出すまでもなく現代サッカーとは「バイタルエリアを巡る攻防」なのだから・・・。

この1点目のシーンで何やら「ネイマールのオフサイドにかからないように動き直したコース取りが凄い」とか言われてますが、ハッキリ言ってブラジルレベルの相手にここまで簡単にバイタルで前を向かせたらその時点で詰んでますって。

何故かと言うと・・・・↓

【ネイマールの視野】1点目ネイマ視野
まずこの時、ネイマールが見ている視野で局面を考えてみましょう。
彼の視野からは当然ボールを持ったタルデリが見えています。その上で日本のDFライン全員をボールと同一視野に納められた訳です。

なのでパサーがボールを出せるタイミングで悠々とDFラインを見ながらオフサイドにかからないよう裏に抜けるなんて朝飯前の事。

じゃあ次はラストパスを出したタルデリの側に立って考えてみましょうか。


【タルデリの視野】
1点目タルデリ視野
タルデリはこの状況だと日本のDFラインと、今まさに裏に抜けようとするネイマールを同一視野に入れられますね。

なのであとはオフサイドにかからないようタイミングを見計らった上でスルーパス出すぐらい、極端な事言ってしまえば
そこら辺のちょっと腕(足?)に覚えのある草サッカープレイヤーでも出来ます。
だってこの状況でボールの出し手が守備者からの邪魔すら無いんですよ?何のシュート練習だよっていう(笑)

一方、これを防ぐ側の日本DFがどれだけ厳しい状況かも考えてみましょう。

まずはネイマールに前へ入られたSBの酒井↓

【酒井の視野】
1点目酒井視野
酒井はネイマールに気を取られたらボールがいつ出てくるかタイミングが分からないし、
ボールを気にしていればネイマールが視野から外れてしまいます。

結局、ボールホルダーがフリーの↑のような状況ではボールの方を見ざるを得ない訳で
あのスピードで背後(視野の外)から前を通られたら酒井に対応しろって言ってもかなりの無理ゲーです。

それは他のDFも同じで・・・・↓

1点目DFライン視野
要するにこの場面では日本のDFラインは一瞬ボールウォッチャーにならざるを得ない状況なんですよ。
まあ、中盤のセンターをあれだけ簡単にバックリ割られたらそりゃーこうなりますって。

故に「いかにバイタルエリアを使わせないか、ここで前を向かせないか」が現代サッカーの守備におけるメインテーマになるのは必然であり、攻撃はその逆って事です。


<機能しなかった日本の3センター>
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ブラジルは試合開始10分弱で日本の弱点を見抜いていました。
つまり急造の3センターがバイタルエリアをケアしきれていない事を。

そもそも4-1-4-1気味の3センターは本来中央を厚くしバイタルエリアを閉める為の布陣なのですが、何故日本はこうも簡単に明け渡してしまったのでしょうか。

【中を閉められない3センター】
3センター1
↑要するにこういう場面ですよね。


3センター2
これ本来は3センター同士が一つの鎖で繋がっているような機能を果たさないといけないんですけどね。
例えばボールサイドの柴崎がアタックしたら田口と森岡がスライドして中を閉めるカバーの役割を果たすという相互関係ですね。


3センター3
ここで全体がボールサイドへ一つずつスライドしてれば↑こういうポジションバランスでバイタルは閉められたはず。

結局この場面では間受けをするネイマールにCBの塩谷が後ろから倒してファウルで事なきを得るんですが
ここへ簡単にCBが釣り出される守備対応はフリックでスカされたり一発で入れ替われたりしたら即失点のピンチと紙一重なんですよね。(これをブラジル相手に90分続けてたらそりゃー大量失点は免れませんて)

CLでバルサと対戦した際のアッレグリミランとかシメオネアトレチコの4-5-1を見ていただくと、こういう中を閉めるスライドの見事さに気付くはずなんですが・・・。

【参考画像:対バルサ戦におけるバイエルンの3センター】
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途中からは露骨にブラジルもこのスペースを狙い打ちにしてきていたので、その中から一つ、
アンカー田口の両脇に出来るスペースを狙ったブラジルの見事な崩しをご覧いただきましょう。

【バイタルを狙い撃ちしたブラジルの崩し】
田口両脇1
↑は左から右へ攻めるブラジルの攻撃で、狙っているのはアンカー田口の両脇に出来るスペースですね。
(4-1-4-1の泣き所)


田口両脇2
ブラジルはこのスペースに早速FWタルデリが降りてくるのとネイマールが森岡の背後をとって侵入を開始。


田口両脇3
で、ここから次にパスを受けるグスタボがアンカー田口との距離間を予め見ておく事で次に崩しへ入れると確信。


田口両脇4
田口が遅れて食いついた瞬間にワンタッチパスでこのアプローチを外すと・・・・
(事前に田口の位置を確認していたグスタボの狙い通り)


田口両脇5
巧みだったのがこの瞬間のネイマールの駆け引きです。
これまで散々裏への飛び出しで日本のDFラインに恐怖を植えつけたところで、ここでも一瞬フルスピードで裏に抜けるような素振りを入れて・・・・


田口両脇6
森重が反応した瞬間に急停止。進行方向を逆にして今度は引いてボールを受ける体勢へ。
僅か2~3歩の動き出しで森重との距離をこれだけ作り出したネイマールの予備動作が凄すぎる。


田口両脇8
で、バイタルで狙い通りネイマールがボールを受けると、日本の守備陣は一気に中へ絞らざるを得ず、結果としてフリーになった大外へ展開される見事な崩しがハマります。

ただこの崩しを支えているのもボールを受ける前に首を振って「見る」というグスタボの地味な準備やネイマールのほんの2~3歩の動き出しだったりするので、本当にベーシックなところこそブラジルとJリーガーとの差を痛感させられる試合でした。


<日本の拙攻とギアを落としたブラジル>

1点を先制したブラジルは早々にギアを2ndに落とした省エネサッカーに。
前線の4枚は攻め残りのまま守備は4バック+2ボランチの6枚で行う露骨な攻守分断へ。

ブラジルからすれば前から追わずとも自陣で待っていれば日本が入れてきたタテパスをカット⇒前残りの4枚を使ってカウンターでOKというゲームプランか。
そして実際にこんなプランで次々とカウンターからチャンスを作れるのだから楽なものである。

ではブラジルを楽にさせた日本の拙攻の原因を検証してみましょう。

【要因① 入れるべきタイミングでタテパスが入らない】
ブラジルバイタル1
局面は日本のCBから持ち出すビルドアップで、実はブラジルの守備も相当緩かったのでバイタルエリアとかスカッスカだったんですけどねー。

タッチライン沿いに立ってるドゥンガなんかは思い切り指差して「おい、そこちゃんと閉めんかい!」って叫んでる様子ww

ここにCB塩谷からタテパスを打ち込めば日本もブラジル同様、バイタル攻略からの崩しが狙えるという場面だったのですが・・・


ブラジルバイタル2
何故かボランチに預けちゃったー!入れるべきタイミングで入れておかないとさすがのブラジル守備陣も整ってしまう訳で。
目の前の門をグランダーのパスでビシッ!と通す自信が無かったのかも?

ここで思い出されるのがザックJAPANで、守備には多少目を瞑っても「日本で一番タテパスが出せるCB」を基準にチーム作りを進めていたなー…と。


次にタテパスの受け手の方にも問題はあります。

【要因②受け手がターンで前を向けない】
TJ1
局面はアンカーの田口が前を向いてボールを運んでいるタイミングでSHの田中順也が中に降りてきての間受け。

ここにタテパスが入れば・・・・


TJ2
うしっ!入った!これでターンしながら受ければKAGAWA無双ならぬTJ無双やー!


TJ3
って足元に止めちゃったーーーー!!

これがドルトムントのあの人やったら・・・OTL

やっぱりパスは出し手と受け手で成り立つものなので、そこらへんザックは香川とか本田とか遠藤を中盤で起用していた意味は大きかったんだなぁと改めて思っちゃいますよね。

それは日本がボールを持った時のポジションバランスを見れば一目瞭然で、分かりやすいシーンを出しますけど・・・↓


【アギーレJAPAN マイボール時のポジションバランス】
選手距離間1
う~ん・・・これじゃボールは繋がらんのだよねー(^^;

だってパス回しで言ったら中で受けようっていうフリーマンが柴崎1人しかいない訳でしょ?(汗)


もうね・・・






cc124cab.jpg
どこのモイテッドだとwwww


これ例えば、ザックJAPANだったら多分こういうポジションバランスになってます↓


【ザックJAPAN マイボール時のポジションバランス】
選手距離間2
遠藤×香川×本田に大外から長友が絡む左の黄金カルテットが懐かしいわい・・・(しみじみ)

まあ、総じて言えるのは森岡、柴崎、田口っていうJリーグ屈指のボールプレイヤーが
ブラジル相手だと全然ボール受けれないし回せないって事で。
(結果、守備面での荒しか見えてこない中盤トリオになってもうたな・・・(^^;)

ブラジルの2点目に繋がった柴崎のミスも、あの位置でのミスがタテパス2本でいきなり失点に直結ですからね。
あのミスも少し遡ってみれば、ブラジルの2ボランチと比べると柴崎のボールを受ける前の首振り確認、要は事前準備が不十分でしたよね。

まあJリーグだとあそこで失ったボールもバックパス挟んでキープしてくれたり、カウンターにしてもサイド迂回して最後はクロスならぬワロスで事なきを得る・・・って「あるある」でしょうから。
それでボールを受ける前の事前準備がいつまで経っても習慣化されない…と。

でも世界のトップはあのレベルのミスを許してはくれないのだよ柴崎君。
まあ、これで一刻も早くJを出ようという決心を固めてくれたのなら、いい経験になったと言えるんじゃないでしょうか。


<ブラジルのしたたかさ>

結局ブラジルは90分間、ギアをローに入れた省エネ運転だったのに日本がわざわざカウンターのチャンスを与えてくれるもんだから気付いたら4-0になってました・・・みたいなこの試合(笑)

でもそうは言っても省エネのブラジルもしたたかに守ってくるんですよねー。そこら辺はさすがの一言。

例えばこんなシーン↓

【ブラジルのしたたかな守備】
6対61
日本がSB太田の攻め上がりでブラジル陣内に入ると、ブラジルの前線は全く戻ってくる気配も見せないので
4バック+2ボランチによる完全6枚守備状態。

これに対し、日本は6対6の数的同数でチャンスなんですけど。


6対6-2
ここで数的同数でもしたたかに守れるのがブラジル。
ボールを持った太田に対し敢えて目の前のスペースを空けてやる事で大外を行く滑走路をブラジルが作ってくれました。

勿論、これはブラジルが仕掛けた誘いなんですけどね


6対6-3
で、気が付いたら太田はダニーロとサイドで1対1にさせられていると。
6対6の複雑な状況から1対1の局地戦に持ち込んだブラジル。

日本がラジルと戦った場合、なるべく局面に関わる人数の単位を多くして状況を複雑化させたい訳ですが
このように最小単位の1対1という局面になってしまった場合・・・・


6対6-4
アッサリと奪われちゃいます。

で、ブラジルからするとここでボール奪えば前線には4枚残してますから。
対する日本はSB太田が上がった状態でボールを取られてるので必然的にカウンターのスペースを与えてしまうんですよね。
しかもブラジルは日本と違って数的同数の攻撃をキッチリシュートまで持っていくんだから、この状況でカウンターを打ち合えば最終スコアは自明の理です。

これがブラジルの攻守分断省エネサッカーがハマってしまった理由ではないでしょうか。


<チャレンジを忘れた90分 失うものがないのはどちらだったのか?>
muto4-500x333.jpg

結局0-4というスコアはザックJAPANの時と同じですし順当なものなので別段驚いちゃいないんですけど。

ただ、この試合を楽しみにしていた日本のファンは全力でぶつかれなかった消化不良は否めないだろうし
アギーレからしても新チーム立ち上げで戦力を見極めたい時期としては明らかにミスマッチでした。

となると結局、誰の為のブラジル戦だったのか・・・?という思いだけが残ってしまうんですけども。


ただ、メンバーがどうだろうとチームの完成度がどうだろうと外野が何を言ってようと
ピッチに立った選手達は全力でブラジルにぶつかるだけじゃないですか。

にも関わらず、サムライブルーの11人がカナリア色のユニフォームを前に終始怯えたようにプレーしていたので
この貴重な90分を無駄にした感が強いのが個人的には何より残念です。

そもそも誰もブラジルに勝つとは思ってないし、それどころかお茶の間の一般人からしたら「あんた誰?」って選手もたくさんいた訳だからむしろ自分をアピールする絶好のチャンスでしょうよ。


何故、誰もがボールを持ったら安全第一とばかりに逃げのパスしか考えていないのか…?


Jでは致命傷にならない小さなミスで失点の責任を負うのがそんなに怖いのか…?


僕の尊敬する先輩がかつてこんな事を言っていましたよ。
「ボールを持ったら行けるとこまで行け!観客全てが自分を見てると思え!1歩でもゴールに近付けろ!」

これって実は草の根レベルからブラジル代表にまで通じるサッカーの本質で
ネイマールは少なくともボールを持った時、毎回この気概でプレーしてましたし。

多分、データを出したらブラジルの中で一番ボールロスト数が多いのってネイマールだと思うんですけど(少なくとも上位3人には入ってるはず)、でもあの試合で誰が一番輝いたかってところにフットボールの答えがあるんじゃないかと。

要はボールをもらう事、ミスを冒す事、仕掛ける事を怖がり始めたら、それはもうフットボールじゃないだろう…と。

そんなモヤモヤを抱えながら試合を見ていた僕の目に突如衝撃的なシーンが目に飛び込んできました↓

【お・・・お前は一体!?】
武藤1
試合はもう後半、日本の負けは決定的になる中、何気なく出されたロングボールに身体を入れてフェルナンデスと競り合う男が1人。
決して質の高いボールじゃなかったけれど、力でマイボールにしようという意欲がみなぎっています。


武藤2
フェルナンデスに身体を入れられてボールを処理されそうになっても最後まで諦めずに競り合うサムライ


武藤3
結局粘り勝ちで強引にマイボールにすると最後のフェルナンデスのファウルすら振り払って1歩でもゴールに近付けようというこの推進力!!


kubo2.jpg
あ・・・貴方は一体・・・!?



武藤4
カバーに来たブラジルのCB相手にお構いなしで仕掛けていくこの勇気!!


kubo.jpg
マジでコイツはプレゼンス(存在感)がケタ違いだわ・・・。

*注 ところどころ個人の主観(妄想)を織り交ぜてお送りしています)


むしろブラジル相手に失うものが無い我々にとって、求められていたのってこういうプレーじゃないんですか?

そんな事を考えながら、まだJリーグに染まりきっていない若者にJの光を見た夜だったのでしたー


<アギーレJAPANの行く先は->
E382A2E382AEE383BCE383ACE5B0B1E4BBBBE8A898E88085E4BC9AE8A68BE38387E38395E382A9E383ABE38388.jpg

最後にアギーレJAPANの今後の展望にも触れておきましょう。

協会がアギーレという人選に際し、どれだけ意図的だったのかどうかは定かではないですが、、
奇しくもザックJAPANのW杯惨敗に対する反動が見事なまでに反映された方向へ舵を切っているように思われます。

かつて「10番大国」「FW不足と中盤の人員過多」と言われてきたこの国のA代表で
中盤が森重、細貝、田中順也というサッカーが見られようとは夢にも思わなんだ(笑)

サッカーは個々で見れば確かに「ボールを持っている2分間と持っていない88分間」かもしれないが
試合総体で見れば「相手がボールを持っている時間と自分達がボールを持っている時間の総和」である。

ザックは決してボールを持っていない88分を疎かにしていた訳ではなく
あくまで自分達がボールを持っている時間を限りなく長くする方向でメンバーを選び
その上で繰り返し強調していたように「インテンシティ」をチームに課した4年間でした。

ザックJAPANと比べると縦への推進力が増したアギーレJAPANですが
このサッカーでは結局ボールが両チームを目まぐるしく移動するカウンターの打ち合いにならないだろうか?
(日本のカウンター耐性の低さは監督を代えたぐらいじゃーどうにもならんぞ?ww)

無論、現代のトレンドで言えば失ったボールを「88分間の強度(つまりインテンシティ)」でもって奪い返すのがアギーレの狙いなのだろうが、こと近年の日本サッカーの大きな忘れ物が「ボールを奪う」という能力である事を考えると4年間でどこまで世界と戦えるチームになるかは未知数である―



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