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そこにバルサもマドリーもいなかった ~FCバルセロナ×Rマドリー~

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<そこにバルサもマドリーもいなかった ~FCバルセロナ×Rマドリー~

―クラシコ―

それはサッカーの枠を超えた極上のエンターテイメントであり人間ドラマであり国の歴史であり戦術史の革命である。

とりわけこのブログではその性格上、これまでクラシコという試合を
近代サッカー史における戦術革命という視点で見てきました。

ペップが去りモウリーニョも去った今回のクラシコが純粋にスポーツの一試合へ回帰した事は
少し寂しい気もするのですが、長い目で見れば正しい姿に戻ったというべきなのでしょう。

しかし戦術的に見てこの日のピッチに何も新しい発見を見出す事が出来なかったのは
ベンチに役者が去った以上に寂しい事であります。

ペップの革新的なアイディアとそれを打ち破らんとするモウリーニョのせめぎ合いが
近年の戦術進化に大きな影響を与えてきた事を考えると
残念ながらこの日のピッチには僕が求めていたバルセロナもマドリーもいなかったと言ってもいい試合でした。


<初クラシコ同士の顔合わせ>
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お互い初クラシコとなる新監督を迎え新たな章へ突入したクラシコ。

まずはマドリーの新指揮官アンチェロッティが送り出した驚くべきオーダーから見ていきましょう。

…ハイ、トリボーテ復活です。
まずは前任者の置いていった遺産を無難に引っ張り出してきました。
やっぱりクラシコ童貞としては初夜からマニータとか絶対に勘弁願いたいものですからね(^^;

前任者との違いはペペではくSラモスをアンカーに指名した点でしょう。
元々SラモスはCBで起用されていても中盤に降りるメッシを追って捕まえる役割を担っていたので
アンチェロッティとしてはその機動力を買ったのかもしれません。

そして前線3トップの顔ぶれです。
まさかベイル、ロナウド、ディマリアのスピードスター3枚を並べてくるとは思いませんでした。

SBにアルベロアではなく攻撃重視のコンビを選んだ事と併せて考えると
中はラモス、ケディラ、ペペらで固めて攻撃はサイドと前線のスピード勝負という腹づもりでしょうか。

確かにバルサ相手に中盤勝負を避けるのは一見理にかなった選択のようにも思えますが
今季のマドリーはその中盤でつなぐサッカーを目指してきたのではなかったか・・・?


対するバルセロナのマルティーノ監督は相手のメッシ対策を見越してその狙いを外す布陣を送り出してきました。

偽9番と言われるCFにはセスクを置いてメッシは右へ。
(とは言え両者の関係はあくまでメッシが右を起点に自由に動いて、セスクがその穴を埋めるというもの)

これまでのバルサだと相手のメッシ対策は分かった上で
それを真正面から崩していこう(或いはメッシ無双でバラバラにしてやろう)という傾向が強かったのですが
他所から来たマルティーノは「どうせ相手はメッシ対策してくるのが分かりきってるなら、その狙いを外してやればいーじゃん」という至極シンプルな回答。

当たり前過ぎてバルサでは逆に新鮮です!


<ゾーンでバルサは守れない>

結果的に試合ではメッシ番として置いたつもりのSラモスがセスクを見るような関係となってしまい、
局面によってはマークに付くべき相手を浮かせてしまう場合も多く、アンチェロッティの狙いが上手く外されてしまいました。

その上、それ以上に問題だったのがマドリーの守り方にあります。

例えばバルサの中盤まで降りてくるCFに対し普通にゾーンで守ってしまうと
CBが放置プレーを食らって代わりに中盤が数的不利に陥るというのはこれまで散々言い尽くされてきた常識です。

故にモウリーニョ時代は途中からDFラインとゾーンディフェンスという概念を捨てて
中盤に降りていくメッシに対してはそのままCBがマンツーマン気味に付いていくという守り方で一定の成果を得ています。

ところがアンチェロッティは初のクラシコでバルサに対し普通にゾーンディフェンスで試合に入ってしまうんですね。

【CBがメッシへ付かずに受け渡すマドリー】
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この場面でもペペはメッシへ付かず代わりに誰かが付くようにコーチングしていますね。

これだと一度モウリーニョ時代にとっくに解決させた問題が再び芽を出してきてしまいます。

即ち「CBがマークすべき相手がいない」という事と「中盤の数的不利」ですね。

基本的にこの日のマドリーは「誰がボールに当たって」「誰が誰のマークに付くのか」が不明瞭で
延々とバルサのボール回しを飛び込まずに眺めているようなディフェンスが目立ちました。

つまりチームとしてどこでボールを奪うのかがハッキリしていないんですね。


【常にマークが混乱しているマドリー】
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↑ここでもただ中盤に降りていくだけのイニエスタに誰がマークに付くのかがハッキリしません。

後方で2人のプレイヤーが「誰が付くんだ!?」としきりに声を出している始末。

しかもこの状態でベースがゾーンディフェンスなものだから、いとも簡単にバルサの間受けで突破されてしまうんですよ。

ちょっと実際の試合から一つ見てみましょうか。


【間受けに対して無防備過ぎたマドリー】
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局面は左から右へと攻めるバルサのビルドアップ。

ピケからイニエスタへ入るボールへはSラモスが捕まえに出ます。


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ところがSラモスが飛び出すまではいいのですが、
その際に出来るスペースは後ろのCBが同じように前進守備で埋めなければただのオープンスペースと化してしまいます。


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でもマドリーはゾーンディフェンスでDF「ライン」の意識を優先させるのでここでも容易に間受けが決まってしまいます。


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更にそこからダイレクトで繋がれて最後は裏の危険なスペースへ出されてしまいました。

やはり普通のゾーンディフェンスではバルサは守れない相手なのです。

正直モウリーニョ時代からのクラシコシリーズをずっと見てきたファンからすると
「またそこからやり直しなのかよ!」と言いたくもなる惨状でした(^^;


<ボディが打てるマルティーノ>

ではもう一方のバルサ視点でこのクラシコを見るとどう映るでしょうか。

マルティーノはメッシを右に移す事で既にSラモスのアンカー起用という狙いを外させていますが
今季のバルサは他にも頑固に自分達のスタイルを押し通すのではなく
【相手の薄いところをシンプルに突く】スタイルへと生まれ変わっています。

これがマルティーノ色なのですね。


【中攻めにこだわらない今季のバルサ】
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局面は左から右へ攻めるバルサの攻撃ですが、この場面にマルティーノ色が集約されています。

まず中央で間受けを狙うのは相手から標的にされるメッシではなくシャビやセスクが担い、
代わりに右へ逃がしたメッシがSラモスらのマークから逃れた位置で自由にボールを受けて運び役となっています。

更に旧来のバルサでは相手がどれだけ中を閉めてこようと
それでも躍起になって針の穴を通すようなパスコースを探していましたが
マルティーノは「中が閉められてんなら外を使おうぜ」というここでもシンプルな理論が適用されるのですね。

(アンチェロッティとすれば「バルサの外攻めに驚異無し」と割り切って両SBは攻撃重視のペアを選んだのに
左右のネイマールとメッシをシンプルに使われる外攻めは完全に誤算だったはず)

そしてこの発想の源となっているのがネイマールの存在でしょう。
本来、マドリーとしてはネイマールに対して最低でもマークを2枚当たらせて数的優位を確保したいのが本音のはず。

【ネイマールへの対応は2対1が基本】
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しかし中攻めを常に警戒しなければならないバルサというチーム相手に外のネイマールにも気を配るのは至難の業。

実際にマルティーノはこれを上手く利用した攻めを今季よく見せています。
特にバルサの一点目の場面はそんな狙いがよく表れていたので検証してみましょう。


【バルサの一点目を検証】
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局面は左から右へと攻めるバルサのビルドアップですが
守るマドリーはブロック全体をボールサイドへとスライドさせ、尚且つ中攻めを警戒せざるを得ないので理屈の上でも逆サイドに張るウイングはどうしても浮いてしまいます。

昨年までのようにここがペドロやビジャであれば例えサイドチェンジが決まったところで
そこから縦に突破される怖さはなく、どうせ一度ボールを下げてからの組み立て直し…とバルサの攻めも相場が決まっていたので
ある意味ここは放置していても大丈夫というエリアだったのですが今季はそうもいきません。

↑の場面ではマスケラーノから大外のネイマールへサイドチェンジのパスが出されます。


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ボールはネイマールを経由して一度ブスケスへ下げられますが
昨季との違いはネイマール自身に縦への突破という怖さがあるのでサイドチェンジのボールにマドリーは一度外側の2枚が引っ張られているという事なんです。

それ故、ネイマールに引っ張られた分、中が空いてしまいイニエスタに絶好のスペースを与える結果となってしまいました。


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イニエスタに中でこれだけスペースを与えてしまうと自由にボールを運ばれて・・・


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マドリーが慌てて中を閉めた瞬間を見計らって、今度は外のネイマールへ再びリターンパス。

フリーで受けたネイマールが左45度から得意のシュートを決めてバルサが先制します。

一連の流れを見ていくとマスケラーノのサイドチェンジから始まり外⇒中⇒外
シンプルに「空いたスペースを突く」という攻撃が具現化されています。

これをボクシングに例えると昨年までのバルサは相手がガードを固める顔面に
それでも巧みにグローブを滑らせようと躍起になっていたボクサーで
マルティーノは「だったら空いてるボディを打てばええやないか」というトレーナーと言えるでしょうか。

今季のバルサはサイドが空いていればシンプルにサイドチェンジを出すし
ラージョのように前プレ一点突破で向かってくる相手には自陣におびき寄せておいてから縦1本で裏を取るサッカーもします。

変態度(笑)と娯楽性は幾分落ちましたが、よりノーマルに勝ち点を拾える「勝てるチーム」になってきたと言えるでしょう。

メッシという決まれば一発KOのストレートパンチに加え
じわじわと相手の体力を奪うボディ打ち(ネイマール)もあるのがマルティーノの強みでしょうか。

(ネイマールは外に張っているだけでなく巧みに裏を取る動き出しが相手の集中力と体力を地味に削ってますよね。)


<アンチェロッティの緩手>
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前半19分の先制点に加えてバルサが前半を一方的に支配出来たのはマドリー側の布陣にもその原因があります。

というのもアンチェロッティ名人が並べた先発オーダーがモ○ーズ顔負けの香車コレクターになってしまったからですね。

【後手アンチェロッティ名人の布陣】
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ロナウド、ディマリア、ベイル、マルセロ、カルバハルとフィールドの半分が香車状態では・・・(^^;

バルサ相手に中盤勝負は避けて両サイド+前線のスピード勝負だ!…という狙いは分からなくもないですが
この布陣では攻撃がどうしても外へ外へ集中してしまいます。


【香車置きすぎて凹状態のマドリー】
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なんかもう外への意識が強すぎて凹みたいな並びになっちゃってんですよね(笑)

しかもこの持ち駒では肝心のスピードを活かそうにも展開役が圧倒的に不足して完全なる負け将棋。

例えばアンカーのSラモスが中盤でこぼれ球を拾ったような場面で考えてみましょうか。


【アンカーSラモスの限界】
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想像してみて下さい。

ここで仮にボールを持ったのがアロンソだったとすると大外の味方にビシッ!と音まで聞こえてきそうなパスをグラウンダーで通す画が思い浮かびますよね?

でも残念ながらSラモスだと・・・・


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パススピードが遅すぎてインターセプトの餌食や…!!


やはり中盤3枚の内2枚がラモス、ケディラって
これじゃあ仮にボールが奪えてもパスが2本と繋げない訳ですよ。

DFラインからのビルドアップでもケディラはそもそも低い位置で持つ事自体がリスクだから高い位置に上がって行っちゃうし、
本職じゃないSラモスもアンカーとしてマークを外しつつパス回しに関与するスキルが圧倒的に足りてません。

「じゃあ誰がやるの?」って話になると、「俺しかないか」って感じで
もうモドリッチの負担が半端無い事、半端無い事。(笑)


【モドリッチが遭遇した絶望的なビルドアップ】
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局面は左から右へと攻めるマドリーのビルドアップですが、
この場面でも中盤でペペから受け手となる意思を示したのはモドリッチただ一人。


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仕方なくモドリッチは自力でボールを運び出しますが、前線のロナウドとベイルの香車二枚がもろかぶり(笑)

しかも肝心の味方がいて欲しいエリアには誰もいねぇwww


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せっかく中盤で前を向けたモドリッチでしたがここは渋々外へボールを迂回させるはめに。

本当はこういう場面で黄色く囲ったエリアに間受けを狙う選手がいればねー。


真ん中で苦もなくボールを受けられる現代の王様みたいな選手がさー

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ねぇ…?マドリーにはそういう選手いないの?

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・・・本当に?

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<これがバルナチオだ!>

試合は1-0、バルサ1点リードで折り返した後半、
さすがにアンチェロッティもツッコミどころ満載だった前半の布陣に手を加え始めます。

まずは守備でメッシ番をさせてもらえず、攻撃でも当然アロンソの代役など望むべくもなかったSラモスに代えてイジャラメンディを。
そしてCFにはベイルに代えて本職のベンゼマを引っ張り出します。

それにしても、何故スタメンのCFがベイルだったのか…?

恐らく試合後のアンチェロッティ本人のコメントにもあるように
中央でベイルをブスケスやピケと1対1にさせる場面を作り出したかったのがその狙いなんでしょうが
だったら尚の事、後ろと前を繋げるリンク役を中盤に置くべきでした。


とにもかくにもこれでようやく平常営業へと戻ったマドリー。後半の逆襲が始まります。

ポイントになったのは交代出場のベンゼマ。

という事で「やっぱりマドリーの攻めは中のラインがある事で両翼が生きるよね」ってな場面を一つ。


【機能するマドリーの攻め】
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局面は後半、左から右へと攻めるマドリーのビルドアップですが、
中央にベンゼマが戻った事でペペから中央を横切る縦のクサビというラインが復活しました。


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マドリーの攻めはまずここに1本クサビが入ると両翼のスピードがより活きる仕組みになっています。


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ベンゼマのポストプレーからディマリアを経由して裏へ抜けたロナウドへ。
(この後、マスケラーノにPA内で倒されたロナウドを巡って疑惑(?)の判定に(^^;)

後半は布陣をモウリーニョ時代に戻した事で、シンプルで縦に速い攻撃は彼らのDNAに根付いているスタイルです。


一方、マドリーの猛攻にさらされたバルセロナは、ここで驚くべき行動に出ます。

メッシ1人を敵陣に残し9人で自陣に引いたブロックを形成。

そうです・・・まさかのバルナチオ発動です(笑)

昨季のバルサは苦しい時間帯(つまり相手の時間帯)にも無理して前から取りに行った挙句、後ろのスペースを突かれて失点という、
自分達の流れにない時間帯での淡白な失点が目立っていましたがマルティーノは「耐えるべき時間帯は耐える」という方針です。

こういう時は無闇に自分達から動くのではなく、耐えて耐えて相手に隙が出来るのを待つのがサッカーでは常套手段。

とは言え「あのバルサが…」という衝撃は否めませんが(^^;


それにしても改めて引いて守る時のバルサを見ていると
欧州はおろかリーガで見ても並以下のチームだなぁ…というのが正直な感想です。(笑)

マルティーノもいっそ、こういう時の守り方はアッレグリにでも教えてもらった方がいいかもしれませんwww

(アッレグリ「私ならソング、ムンタリ、ケイタの中盤でも守りきれる自信がある(キリッ!)」)


それでもサッカーの理の通り、苦しい時間帯を耐え切ったチームにはご褒美が転がり込んでくるものです。

マドリーは押せ押せの時間帯にベンゼマが相変わらず才能の無駄遣いでポストにボールを当てて遊んでいると後半33分には手痛いしっぺ返しが。

パントキックのこぼれ球からマルセロの裏という泣き所をカウンター気味に突かれて
抜け出したアレクシスのビューティフルループが決まりジ・エンド。

バルナチオからのカウンター1本で追加点…なんていうゲーム運びも出来るようになったんですねバルサは。


しかも2-0となったところでマルティーノはイニエスタに代えてソングまで投入する慎重さでもって
これまた従来のバルサには無かった守備固めという一手を繰り出します。

マドリーも後半ロスタイムに1点を返しますが焼け石に水。

クラシコ第2章の幕開けは2-1で順当なバルサの勝利に終わりました。


<マドリーに残ったもの バルサが失ったもの>

試合後の率直な感想としては「アンチェロッティはバルサ相手に少しビビり過ぎたのでは?」

そもそも今季「美しいマドリーを見せる」とポゼッションサッカーに舵を切っていたのだから
このクラシコこそイスコを使った従来のスタイルで真っ向からぶつかるべきだったと思うのです。

何もこれで結果が変わったとまでは言いませんが
少なくともバルサ相手に何が通用して何が通用しないのかをハッキリさせるだけでも
最初のクラシコとしては大きな価値があったんじゃないかと。

逆にこの日のような出方で負けても「結局そこに何が残ったのか?」と言うと甚だ疑問ですね。

バルサにコテンパンにやられてカウンターサッカーへ舵を戻すならともかく、
この試合内容では今後に向けてどっちへ舵を切っていいものか航路は依然として霧の中でしょう。

そもそもポゼッションスタイルへ転向すると現場は言っておきながら
獲ってきたのがベイルで、イスコがベンチ、エジルが放出とは一体このクラブは何がしたいのでしょうか・・・(^^;


一方のバルサはマルティーノ色がだいぶ馴染んできたようです。

その証拠にこれまで「メッシが輝く」「メッシを抑えるか」がその勝敗の分かれ目だったクラシコで
今回は初めてそのメッシが脇役に回ったクラシコと言えるかもしれません。

試合を決めたのは本来脇役だったはずの両ウイング(ネイマールとアレクシス)でした。

もはやシャビ、イニエスタ、メッシの大御所トリオに関しては
国内リーグでは無意識の内に手を抜いているレベルなのかと思うほど、
クラシコでは別人のような動きを見せていたのはさすがでした(^^;

とは言えこの3人にペップ時代の鬼プレスが期待出来ない今、
時間帯によってはバルナチオも致し方なしの試合が今後増えてくるでしょうが
マルティーノはメッシにさえ特別扱いを許さない徹底したローテーションで各選手の負担を最小限に抑えています。

ただやはり長期的な視点で見ればペップ全盛期からチームは緩やかに下降線を描いているのも事実。

マルティーノが普通のサッカーへ針を戻すのも納得ですが
個人的には「あのバルサも普通のチームになるのかなぁ…」と一抹の寂しさが拭えません。

やはり当面の課題はこの試合でもそれぞれ左右の遠いサイドに配置して妥協策を見出していたメッシとネイマールの連携ですね。

ストレートとボディの単発的な打ち分けはあっても、
ボディからストレートに繋がるワンツーが入らないのが勿体無いんですよね。


相変わらずイニエスタたんの変態トラップさえ見られれば思わず「うめぇ!」とか声は出ちゃうんですが
クラシコってそれだけじゃない驚きがピッチの至るところに敷き詰められた特別な試合だと思っているので
クラシコ童貞を無事卒業した新指揮官の2人が織り成す第2章には大いに期待してます。



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新たなる銀河系は誕生するのか? ~マドリードダービーに見る『守・破・離』~

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<新たなる銀河系は誕生するのか? ~マドリードダービー~

「Rマドリーはスルーですか?」

・・・って、そんなつもりは毛頭無かったんですが、
確かにタイミングが合わず、まだ今季一度も取り上げていませんでしたね(^^;

とは言えちゃんと開幕から試合は追っていましたので今日は今季開幕~これまでのRマドリーを振り返りつつ、
ある意味マドリーの現状が決定的となった試合とも言える先日のマドリードダービーを検証していきたいと思います。

ではまず、モウリーニョと決別した白い巨人が新たなる銀河系チーム再建を託したこの男に登場してもらいましょう。


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<アンチェロッティという男>

今季のマドリーを語る上で、まずはこのアンチェロッティという新指揮官は外せないファクターになってきます。
そこで彼のこれまでの経歴を振り返る事でこの新監督を今一度おさらいしておきましょう。

そもそも彼が現在の地位まで上り詰めるそのキッカケとなったのは96年から2シーズンに渡って指揮をとったパルマでの躍進です。

当時、生粋のサッキニスタだったアンチェロッティは師匠アリーゴサッキの流れを汲むゾーンプレスの申し子で
パルマでも「4-4-2にファンタジスタの居場所は無い」としてチームナンバー1のテクニシャンだったジャンフランコ・ゾラを放出。

後にアンチェロッティ本人も「当時の私はまだ若く、監督として頭も固かった」と認めている通り、
この頃はまだガチガチにシステマチックな戦術で固めるタイプの監督でした。

そんな彼の戦術観を一変させたのが、次に指揮を執ったユベントスでの事。
キッカケは1人の選手、ジダンの存在です。

屈強なフィジカルと繊細なテクニック、「近代サッカー最後のトップ下」と言われたジダンを抜きに
当時のユベントスでチーム作りを進めていくなど到底不可能な話でした。

しかしジダンを使うからにはピッチ上の選手が均等に攻守を受け持つ4-4-2を諦めねばなりません。
そしてアンチェロッティは決断するのです。このチームではジダンを最大限に活かす3-4-1-2を採用すると。
(ジダンには守備を免除する代わりに彼の周囲にその負担を受け持つ労働者を配置してバランスを取る布陣へ)

結果的にこの決断は吉と出てジダンに率いられたチームは躍動。
この時の経験がアンチェロッティの戦術に幅と柔軟性をもたらす事になります。

その後はミランでピルロをアンカーに置いたり、PSGでスター軍団の共存を図る4-4-2を採用したりと
年齢を重ねると共に引き出しを増やしていきました。

よく監督をタイプ別に分ける際「自身の戦術に合わせて駒を選ぶタイプ」「持ち駒に合わせて戦術を選ぶタイプ」の2種類がいると言われますが、
アンチェロッティの強みはこの2つのちょうど中間に位置している事です。

選手やクラブの会長とも温厚な関係を築く事が出来る彼は、全てにおいてバランスを調整する事に長けたオールラウンダーな監督と言えるでしょう。

昨季、ロッカールームでの派閥闘争、クラブ内部での政治的駆け引き、カウンター戦術の限界と不満に揺れたマドリーにとって、まさに今クラブが必要としていた男がアンチェロッティだったのです。


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<「ネクスト・ジダン」 イスコの存在>

運命とは時に不思議な巡り合わせをするものですが、
今季アンチェロッティのチームには「次世代のジダン」とも言うべき天才イスコという持ち駒がいました。

しかもこのイスコをマドリーに引き寄せ、
アンチェロッティと引き合わせたのが誰あろうそのジダン張本人だったというのだから面白い話ですよね。

ではここで、そのジダンをアシスタントコーチに加え、
今季アンチェロッティが最初に送り出した開幕当初のオーダーを見てみましょう。

【13/14 Rマドリー (開幕当初)】
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ポイントは4つ。

まずはSBに新加入のカルバハルを開幕スタメンに大抜擢したものの、
攻撃力では魅せた反面、守備で裏のスペースを空けるクセがあるというまるで「スペイン版マルセロ(笑)」だった事からマルセロとの併用はリスクが大き過ぎると判断。

以降はアルベロアが起用されいますが、左のマルセロが怪我で戦線離脱すると再びカルバハルに出番が回ってきたり…とやり繰りに試行錯誤している現状です。

次に話題のGK問題。
昨季は監督との個人的ないざこざからベンチメンバーになっていたと見られていたカシージャスが
新指揮官の元でもベンチに座り続けた事でちょっとした騒動に発展していました。

しかしアンチェロッティからすると昨季から試合に出続けていてパフォーマンスにも問題が無い正GKを下げる理由が見当たりません。
実際にDロペスは今季も開幕から絶好調で、彼のスーパーセーブが無ければ今頃マドリーはバルサに大きく勝ち点で離されていた可能性もあります。

折衷案として今はCLでカシージャス、リーグ戦でDロペスを使うという苦肉の策を取っていますが、
確かにカシージャスには大一番になればなる程、又チームが苦境に陥れば陥る程その力を発揮する
通称「聖・イケル・カシージャス」なる特殊能力を持っているのでシーズンの佳境では出番が多くなる事も予想されます。


3つ目は骨折でしばらく復帰が見込めない司令塔シャビアロンソ不在のボランチです。
新戦力として同タイプのイジャラメンディを補強してはいましたが、
すでにチームに馴染んでいるモドリッチとケディラのコンビが無難に起用されました。

しかしこの組み合わせは2ボランチとしては最悪です。

ケディラは身体をぶつけた競り合いに強いので、いつもケディラがボールに当たりアロンソがそのカバーをするというのがマドリーの2ボランチにおける基本的な役割分担になっていました。

一方のモドリッチもスパーズ時代から豊富な運動量で攻撃に上がっていく事でその持ち味が発揮されるので
相棒のパーカーがその分バランスを取るという分担です。

つまり、逆の言い方をすればケディラにチーム全体のバランスを見たカバーリング役をこなせるセンスは無いし、
モドリッチもアンカーとして身体をぶつけてでも相手の攻撃を止めるフィジカル的な強さは持ち合わせていません。

結果としてお互いに「アロンソを必要としている」このコンビは全く機能していませんでした。


4つ目はこの中盤のゴタゴタをたった1人で解決していた「新たなるジダン」イスコの存在です。

マラガ時代からその能力の高さは際立っていましたが、
周囲の味方のレベルが上がった事で今季は更に輝きを増しています。

とにかくバイタルエリアで間受けに入るタイミングが絶妙でマドリーは彼にボールを渡しておけば自動的にチャンスが生まれるというボーナスステージ状態。
あのロナウドも含め、マドリーはボールを持ったらまずイスコを探しているフシもあり、瞬く間にチームの王様として君臨しています。

ゴールとアシストという二つの決定的な仕事によって開幕序盤のマドリーを文字通り引っ張っていたのがイスコでした。

一方でそのイスコと役割が完全にかぶっているエジルはサイドに追いやられ、
ピッチ上の持ち場まで奪われてしまい、さすがにこれは移籍も止む無しと見ました。


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<そしてベイルがやってきた…。>

そして移籍市場も終了間際になって遂に「130億円の男」ベイルがチームに加入しました。

勿論、彼の力は大きな武器になり得ますが、既にスター選手と新加入選手で溢れかえっているチームで一歩使い方を間違えれば諸刃の剣にもなりかねません。
アンチェロッティの慎重な手綱さばきが問われるところです。

実際に開幕から1ケ月ほどはチームとしての機能性に問題を抱えながらも個々の能力の高さによって順調に勝ち点を稼いでいたマドリーでしたが、遂に第4節のビジャレアル戦で負の側面が一気に露わになります。

それはモウリーニョとの決別から今季は多くのマドリディスタ達が望むポゼッション型へ舵を切っているマドリー相手に、2部に落ちようとも一貫してポゼッションサッカーを貫いてきたビジャレアルがそのお手本を示したような試合になりました。

ではこのビジャレアル戦で見られたマドリーの課題を検証してみましょう。

【13/14 Rマドリー 対ビジャレアル戦】
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この試合、怪我のマルセロに加えてアルベロアとコエントランも使えない事情からアンチェロッティはナチョ・フェルナンデスをSBに抜擢。

加えて最悪のバランスだったボランチペアはモドリッチとイジャラメンディの組み合わせに変更されています。
そして注目のベイルは右SHとしてデビュー戦を迎えました。


ところが試合は序盤から見事なパス回しを見せるビジャレアルにマドリーが翻弄される事となります。
まずボランチのペアが抱える問題はこの試合でも全く改善の兆しを見せる事が無かったのでバイタルエリアは終始不安定なままでした。

【ビジャレアルのカウンターに無人のバイタルエリアが狙われる】
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マドリーはモドリッチと新加入のイジャラメンディで役割分担がハッキリせず、
攻撃時にどちらも自分のタイミングで持ち場を離れてしまうのでDFラインの前は常に無人のスペースと化し、
カウンターを食らう度にこのバイタルエリアを使われる有り様でした。

そしてそれは遅攻を受けた際にも同じような問題が発生しています。


【遅攻でもバイタルエリアを埋めきれない】
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↑この場面では片やDFラインに吸収され気味の深いポジションを取るイジャラメンディと
片やボールに食らいつくモドリッチで距離が開き過ぎてしまい、結果としてやはりバイタルを空けてしまっています。

出来ればベイルにも中に絞ったケアをしてもらいたい場面でしたが
ここでは相手のサイドチェンジを想定したのか逆サイドのエリアに回るような動きを見せています。

まあ、細かい事を言ってしまえば守備の優先順位として逆サイド<<中のバイタルとなるんですが
そもそもベイルにはそういう気の利いた守備を期待してわざわざ大枚を叩いた訳ではありません。


続いてビジャレアルのパス回しに翻弄されるマドリーをもう一つ↓


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局面は左から右へと攻めるビジャレアルのビルドアップにまずイジャラメンディが食いついた場面です。

実はこの一つ前の段階で既にモドリッチも持ち場を離れているので微妙な判断ではあるんですが、
なにぶん前がロナウド、ベンゼマ、イスコでは積極的な前プレが全く期待出来ないというチーム事情があります。

既にいいようにボールを回されてきたマドリー守備陣の心情としては
ここでも相手のボランチに全くプレッシャーがかかっていないのを見て積極的な動きに出たのも無理はないかな…と(^^;


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ですがイジャラメンディの積極性も所詮周囲が連動していない単発的な動きなので難なくいなされてしまうと
ダブルボランチが空けた中央のパスコースがパックリ空いてしまい、ここでもベイルに対して中へ絞る守備が求められる事となってしまいました。


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しかし、元来が純粋なサイドアタッカーであるベイルに過度な守備センスまでは求められません。

この場面でもやはり中ではなく外をケアするクセが出てしまい、一番危険なコースにパスを通されてしまいます。


…このように前線をベンゼマ、ロナウド、イスコ、ベイルで構成してしまうと絵面こそ豪華絢爛ですが
やはり攻守のバランスがガタガタになってしまうのですね。

その上、攻撃でもベイルが右サイドを突破する度にわざわざ左足に持ち変える姿を見ては
「何という130億の無駄使い」「こんなベイルは見たくなかった」というのが偽らざる感想です。


この中途半端なポゼッションサッカーが本家ビジャレアルに通用しないと見たアンチェロッティは後半、
ベイルに代えて右が本職のディマリアを、ボランチにはモドリッチに変えてケディラを入れる事で昨季までのカウンターサッカーへスタイルを180度変更。

この効果はすぐに現れて右サイドでディマリアの走力が復活⇒攻守のバランスも改善。
試合は伝家の宝刀カウンターからマドリーがなんとか引き分けに持ち込んでいます。


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<4-4-2の【守・破・離】 ~マドリードダービー~

そんな流れで迎えたのがこの大一番マドリードダービーになります。

ではいつものように両チームのスターティングオーダーから見て行きましょう。


【Rマドリー×Aマドリー】

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*アトレチコの布陣はアルダとコケが左右逆でした(^^;)

アンチェロッティはこれまでのイビツなバランスの布陣ではリーガナンバー1のリアクションサッカーで鳴らすシメオネのアトレティコ相手にカウンターで狙い撃ちにされる危険性を懸念していた事でしょう。

そこで立ち返ったのが自らの原点でもある4-4-2でした。

ここで一度それぞれのポジションを固定化させた4-4-2にする事でまずは攻守のバランス改善に努めたアンチェロッティらしい狙いが透けて見えます。


対するシメオネもこのダービーでは自分達の基本布陣である4-4-2を押し通してきました。

但し、同じ4-4-2でもこちらは意味合いが全く異なります。

何故ならシメオネはバルサと戦ったスーパーCUPでは中盤を厚くした4-5-1で迎撃体制を取っていたからです。

【バルサ相手に4-5-1で迎え撃つアトレティコ】
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↑このようにビジャを1トップに残した4-5-1でバイタル閉鎖を敷いたのがバルサ戦のアトレティコでした。

本来の4-4-2に比べるとビジャの1トップではどうしてもカウンターの切れ味が落ちるんですが、
それ以上にバルサに中盤を明け渡したくないというのがシメオネの偽らざる本音だったのでしょう。

逆に言えば「マドリー相手には4-4-2でいける」という自信があったという事です。


【ダービーのアトレティコは4-4-2】
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実際の試合では予想通りアトレティコがボールをマドリーに譲りながらも試合の主導権は自分達が納めるという狙い通りの展開。

アトレチコはある程度マドリーにボールを回させて自陣におびき寄せたところからボールを奪い、
一気にカウンターで得点を狙うシンプルなリアクションサッカーに徹していました。


一方、ビジャレアル戦と違いボールを渡されたマドリーには難点があります。

ポジション固定型の4-4-2だと2列目の中盤がボールを持った時に前へのパスコースが2トップの二つしか無いという事です。

これがマドリーのボール回しを難しくしていました。


【ディマリアの前に誰もいない問題】
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局面は左か右へと攻めるマドリーのビルドアップの場面。

最終ラインから右へと展開されたボールをディマリアが受け取ります。


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ところが中盤がフラットなラインになっている4-4-2だと
2トップが降りてくるかサイドに流れない限り、中盤から前へのパスコースが生まれません。

ところが足元で受けたがるベンゼマとロナウドの2トップは味方へのフォローに回る意識が緩慢で
この場面ではディマリアの前にパスコースが全くありません。


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仕方なくディマリアはドリブリでマークをズラしながら無理やり逆サイドのイスコ目掛けたサイドチェンジを試みます。

ですが、戦術的に見て自陣深いこのエリアでSHが攻撃方向と逆に向かってドリブルしながら無理やりサイドチェンジを通そうとういう攻撃は明らかに異常だと思うのです。


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結果的にこのサイドチェンジは完全に読まれていてインターセプトからカウンターを受ける事になりました。


戦術的な違和感というのはやはり失点に直結するもので、アトレティコの先制点もこの問題が遠因となっています。

【アトレティコの先制点を検証】
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局面はマドリーの自陣深いエリア、DFライン前でこぼれ球をディマリアが拾った場面。

ここにはFルイスが自信を持って詰めて来ていますが、その自信の裏付けとなっているのがディマリアの前にパスコースが無い事なのは明らかです。


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パスコースの無いディマリアは自分でボールを運ぼうとドリブルを挟みますが、これをFルイスに突っつかれてこぼれ球がコケの前に。


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手前でパスカットを狙ったアルベロアの裏をDコスタに抜けられてGKと1対1を作られてしまいました。

今季開幕から絶好調のDコスタがこの決定機を外す訳も無く、しっかり流し込んでアトレティコが先制します。


これで勝利には2点が必要になったマドリーは俄然攻撃モードに入りますが、ここでもお仕着せの4-4-2が邪魔をするんですね。

まずイスコがサイドに張っているので中央で得意の間受けが激減。
反対にロナウドは得意のサイドから2トップに回された事で前を向いてではなくDFを背負ってボールを受ける場面が増えてこちらも持ち味が半減していました。

【機能しないマドリーの遅攻】
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局面は左から右へと攻めるマドリーの遅攻の場面。

ここではやや中に絞った位置でもらいたいイスコとトップから下がってきたロナウドでエリアがもろ被り。
奥のイスコが早速死んでいます(笑)


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DFを背負ってボールを受けたロナウドは力強いターンで前を向きます。

サイドのエリアと違って守りがぶ厚い中央のエリアではすぐにカバーのDFが入るのですが、
これがイスコなら自分に食いつかせる事を逆手にとってDFの鼻先でボールを逃がす視野とテクニックを持っています。

ところがロナウドはドリブル時の視野がイスコほど広くなく、自分で突破しようとする傾向も強いのでここでも切り返しでカバーのDFを外そうとするんですが・・・


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シメオネ直伝の深いタックルにボールを奪われてしまいます。

(きちんとボールに行っている正等なスライディングなのでノーファウル)


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遅攻で攻めに人数をかけているところで奪われてのカウンターは非常にしんどい守備になります。

マドリーとしては早めに高い位置で潰しておきたいところですが、
アトレチコにドリブルでだいぶ運ばれているこの場面でも尚、ロナウドは倒れたままの姿勢でレフェリーにファウルを求めるいつものダダっ子ポーズww

これでは素早い攻守の切り替えなど望むべくもありません。

ロナウドはサイドから斜めにカットインして入って来た時は前を向いているので中央での間受けも活きるんですが
CFから降りてくる場合だと背後にCBかボランチを背負う事になるので今ひとつだと思うんですよね。

やはりこの仕事をさせるならイスコだろう…と。


一方、懸案だったボランチの守備はだいぶ改善の兆しが見えていました。

攻撃で持ち場を離れる傾向が強いモドリッチをベンチに下げて、
ポジション固定型の4-4-2でケディラとイジャラメンディを並べた事で不用意にバイタルエリアを空けるシーンは半減しています。

しかし、これが逆に攻撃では足枷となってしまうのがサッカーの難しいところ。


【ポジション固定のボランチが生む弊害】
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局面は左から右へと攻めるマドリーの攻撃の場面。

イスコが巧みなポジショニングで間受けを狙っていますが、ケディラには手前の門のコースにパスを通す自信が無いのか逡巡している様子。

(手前でペペが「早く縦に出せ!」って叫んでるのが笑えるwww)

まあ、ここはそもそも中盤にケディラなんかを置いているのが問題なんですが、ここでは一旦それは置いておきましょう(^^;


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仕方ないのでイスコがより広いパスコースを求めて中へ移動。これでケディラからようやくタテパスが入ります。

ですが問題はこの後のイジャラメンディの動きにあります。


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イスコの間受けの狙いは自分にDFを食いつかせてからボールを逃がし展開する事にあります。

ここでもケディラのタテパスをフォローに来るであろうイジャラメンディに落とす画を描いていましたが、
問題はボランチにモドリッチがおらず、ポジション固定型になっているという事です。


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ハイ、やっぱりイジャラメンディが上がってきません。

そうこうしている内にイスコへはDFが迫って来てしまい・・・・


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せっかくの間受けが台無しになってしまいました。

「こっちを立てればあちらが立たず」
マドリーの難解な攻守のバランスを巡るパズルにアンチェロッティも頭が痛いはず。


【アンチェロッティの出した回答 後半】
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0-1アトレティコのリードで折り返した後半、アンチェロッティはメンバーチェンジで4-4-2に見切りをつけます。

イジャラメンディに代えてモドリッチを、ディマリアに代えてベイルを投入。

この交代が生み出した攻守バランスの結果を象徴するシーンを一つ見て行きましょう。


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まずこの交代のメリットはイスコを中央に戻した事で間受けが復活して中盤の預けどころが明確になった事ですよね。

ここでも2テンポから3テンポぐらいケディラのパス出しが遅くてイライラしたんですが、
まあなんとかイスコにパスを入れているのでギリギリ合格としましょう(笑)


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パス出しが遅かったせいでDFに寄せられたイスコでしたが、そこは巧みなターンでかわしつつ前を向いて間受けを成功させます。(流石やね)


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イスコをトップ下に置いたもう一つのメリットはベンゼマとの縦関係で中央にラインが出来る事です。

お陰でこの場面でもベンゼマに預けたワンツーリターンで中央突破の画が描ける訳ですね。


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と・こ・ろが…ベンゼマさんの落としが雑過ぎ~!!

今季も開幕から低調なパフォーマンスに終始しているベンゼマ先生ですが、
「本気のベンゼマを見せる(キリッ!)」と言い出して早3年。

いい加減マドリディスタも愛想を尽かしている感もあります(笑)

試合ではこのパスがインターセプトされた事でアトレティコのカウンターが発動。



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前線のDコスタにタテパスが入ったところで残っていたモドリッチが背後から寄せますが簡単に後ろへ叩かれて・・・


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ここでファウルでもいいから身体で止めきれないのがアンカー・モドリッチの泣きどころ。

マドリーはカウンターを受けた場面でボランチがいなされてしまうと2CBでの守備を強いられてしまいます。


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ここでアトレティコが2トップを残していたメリットが活きるんですね。

マドリーはベンゼマのミスパスから僅かタテパス3本繋がれただけでGKと1対1の決定機を作られてしまいました。

つまりこの交代を総合的に見るとトップ下イスコの復活とモドリッチの攻撃参加で中央に厚みを増した攻撃面では良い効果が得られていましたが、
やはりカウンターを受けた時の守備は脆弱なものになってしまったと言えそうです。

(加えて右のベイルは左足でボールを持つので横か後ろ方向へのドリブルがほとんどという惨状…OTL)


試合では最後、アンチェロッティが3枚目のカードにイスコに代えてモラタを投入。前線の厚みを増やしてきました。
(個人的にはベンゼマの方を下げて欲しかったが・・・)

精彩を欠くベンゼマと違いモラタのハツラツとした動きがようやく前線を活性化させますが時既に遅し。

1点のリードを持ったアトレチコが終盤は自陣深くに4-4-2の強固なブロックを敷いてそのまま試合をクローズさせる事に成功しました。

【アトレティコの4-4-2ブロック】
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日本の伝統芸能ではその道を極める過程を「守・破・離」と表現する事がありますが、
これはまず「型」を"守る"ところから入り、次にその既存の型を"破り"、最後に型から"離れて"自分のモノにするという意味ですね。

アトレチコは半ば遅攻は捨て気味の開き直りがあるので4-4-2の型を守る事で自分達の勝ちパターンを持っていますが、
マドリーは4-4-2の型を守る事がイコール呪縛となってしまい、足枷になっている感が強い訳です。

同じ4-4-2でも完成度に雲泥の差があった2つのマドリーが戦えばこうなるのはある意味必然の結果だったのかもしれません。


<新たなる銀河系は誕生するのか?>

このように選手の組み合わせを変え、布陣を変え、最適バランスを見極めるアンチェロッティの苦悩こそが今のマドリーの全てです。

カウンタースタイルに徹すればすぐにでも欧州最高峰のチームに戻るんでしょうが、
現在のどっちつかずの中途半端なポゼッションスタイルだとパス回しではビジャレアルに翻弄され、
アトレチコにはカウンターの餌食にされるレベルの代物でしかありません。

さて、それでは最後にアンチェロッティが見い出すべきベストバランスとはどこにあるのか?を少し考えてみましょう。

まずGKは世界一レベルの高いレギュラー争いを今後も続けていく事になるのでしょうか。
正GKを固定しないリスクも高いのですが、クラシコ等の大一番ではやはりカシージャスの神通力が必要な気もします。

DFラインは経験重視のCBはラモスとペペで固定(ヴァランはカップ戦要員からスタート)、
SBはマルセロが復帰すればだいぶ磐石なものになるはずです。

懸案のボランチはアロンソ1人が欠けただけでここまでガタガタになる事がそもそも驚きでした(^^;
(まあ、その昔同じような事がプレミアの赤いチームでも起こったそうですが…(爆))

彼の復帰次第で万事解決する気もしますが、とするとベストな相棒は果たして誰なのか?
順当にモドリッチでもいいですが、個人的にはMシウバ、Gシルバの系統を受け継ぐブラジル人ボランチ=カゼミーロを置いてみるのも面白いんじゃないかと思います。
(この選手は個の力でボールを奪える若いボランチで将来が楽しみですよね)


前線ではやはりロナウドをサイドに、イスコは中央に戻すのが無難かと。

イスコを銀河系時代のジダンに見立ててロベカル役をマルセロに…という見方もあるかもしれませんが、
それをやるには前線で気の利いた献身が出来るラウールとボランチにもマケレレ役がいません。

ベイルは右に置くぐらいだったらプレミアに返却して下さい(爆)これは僕からの切なるお願いですww

(やっぱり中盤にはこのチームで唯一、攻守で汚れ役になれるディマリアが必要だと思いますよ。ええ)


それとあれだけ補強資金を使っておきながらイグアインを放出したCFにベンゼマとモラタしかいないのは一体全体どういうチームバランスなのでしょうか?(^^;

まあ、最近のパフォーマンスを見ればCFにどちらを使うべきなのかは明らかだとは思いますが、それにしても層が薄過ぎる…。

結局、本気を出さず終いのベンゼマにしても、そもそも1トップは彼のベストポジションでは無いのです。

リヨン時代のベンゼマ無双が見たいならチーム全体の戦術をベンゼマに寄せる必要がありますが、
それをやるにはこのチームは他に主役級の駒が多過ぎるのですね…。


一見豪華なように見えて激しくバランスの偏ったこの持ち駒をアンチェロッティがいかに使いこなすのか。

新たなる銀河系が誕生するか否かは、案外彼が「第二のデルボスケ」になれるかどうかと同義だったりするのだろうか・・・?





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メッシとネイマールの共存が難しい理由

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<メッシとネイマールの共存が難しい理由>

まだ欧州リーグが開幕して1ケ月ちょっとという段階ではありますが、
今日は今季最も注目されていたトピックの一つ「メッシとネイマールの共存」の現状について考察してみたいと思います。

まず当初のスーパーサブ的な扱いから次第に出場時間を伸ばしてきているネイマールですが、
ここにきてようやくスタメン候補として定着してきた感があります。

しかし現地スペインのマスコミもこのトピックは注目を集めているらしく、
当初は試合後の会見の度に「メッシとネイマールで交わされたパスが僅か○本だったが?」といったような質問が飛び出ていましたが最近になってネイマールのアシストからメッシのゴールが2本生まれた事で一旦収束している様子。


ただ試合を見ていて「実際のところどうか?」と問われればハッキリ言ってコンビネーションの欠片も見えてこないのがその実情です。

これは2人の相性と言うよりもネイマールがまだバルサというチームに完全に溶け込めていないのが主要因ではありますが、
じゃあ「時間が解決してくれるのか?」と言われればこれもまた怪しい部分があると思います。

というのもネイマールをどうやってバルサに取り込むべきかという問題において
ネイマールのスタイル(持ち味)とバルサのスタイルが磁石のS極とN極のように反発し合ってしまうからです。

それではまずバルサの基本スタイルをちょっと今季の試合からおさらいしてみましょう。


【バルサの攻撃スタイル】
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局面は右から左へと攻めるバルサで左ウイングを基本ポジションとしているネイマールにパスが渡る場面です。

ブラジル時代のネイマールであればディフェンスの寄せがこれだけ甘い状況なら縦に突破してクロスを入れる事は容易い事です。

しかしバルサの攻撃スタイルで「単騎突破」が許されているのは唯一メッシだけで
基本的には味方選手とグループを組んでブロック(塊)で攻めていくという鉄の掟があります。

仮にネイマールがここで単独突破を試みたところで
折り返しのボールに【ゴール前に誰もいない現象】が起こるだけです。
(実際バルサの試合ではこういう場面をよく目にします。0トップ乙…)

よって0トップのバルサでは黄色い丸で囲ったエリアに味方選手がいないこのような孤立した状況でボールを受けた選手の役割は攻撃スイッチを入れる事ではなく、あくまで様子を窺いながら組み立て直しを図るものです。


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実際、ネイマールも素直にアドリアーノへボールを下げていますね。


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じゃあ組み立て直したところでどっから攻めていくの?という事ですが、
その指標となるのが選手同士が近い距離感にいる塊(グループ)で、
その目的はバルサにおける基本事項「トライアングル」を形成する事です。

つまり多くのチームで攻撃のスイッチが入る瞬間というのが広いスペースで1対1になった場面なのに対し、
バルサはその反対で狭いスペースで3対3や4対4になった瞬間なのですね。
(かの有名な練習メニューの一つロンド(鳥かご)はこの状況における判断力を養う為)

サッカーでは局面を単純化させた1対1では文字通り個対個の勝負となる訳ですが
バルサではより局面を複雑化させたグループ対グループで相手チームを圧倒する事が出来ます。

これには育成が生命線となっているクラブのコンセプトと密接に関係していて
1対1の場面を攻撃スイッチにしてしまうとそれこそCロナウドやロナウジーニョのような突出した才能の出現を偶発的に待つか、
そうでなければ多額の移籍金を払って他所から買ってくるしかありません。

しかし個の力でなくグループによる動きの連動と複雑化によって攻撃のスイッチを入れる方式であれば
育成でそのメソッドを安定的に叩き込む事が出来ます。

言うまでもなくこれが「バルサスタイル」の独自性と強みに繋がっている訳ですね。

ですので↑のような場面ではバルサの選手達は瞬時にシャビ-メッシ-ブスケスの大御所トライアングルから攻撃のスイッチを入れるという共通意識を持てる訳です。

(このトライアングルを使う為に直接ボールは入れられないからブスケスが「一度下げろ」と腕を使って指示)


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アドリアーノから最終ラインのマスケラーノまでボールが下げられると
同時にシャビが動き出して攻撃のスイッチを入れる下準備を始めました。

この動きが何を意味するかと言うとトライアングルの一点が動く事で・・・


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今度はシャビが別の頂点になって新たなトライアングルを形成します。

そして相手の選手がこのシャビの動きをケアしようと釣られた事でマスケラーノにタテパスのコースが生まれました。


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トライアングルの強みが生かされるのはここからです。

マスケラーノからクサビを受けるメッシにはここでシャビ、ブスケスという2つの選択肢があり、
どちらか状況の良い方へ落とせる距離感がこのグループとトライアングルの強みです。

ここでは当然シャビへ落とす事になります。


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メッシ→シャビ→Dアウベスへと繋がる淀みの無い流れ。

トライアングルで相手の守備ブロックを引きつけておいたお陰でDアウベスは先程のネイマールと違い
ここではフリーで(つまりノーリスクで)ボールを前に運べる状況になっているのがミソです。



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Dアウベスがフリーでボールを運んでから再びここで新しいトライアングルを形成。

Dアウベス、ペドロ、いずれの選手がボールを持っても後ろにシャビという安全なパスコースを確保しているのが分かります。

この場面ではボールを受けたシャビに今度はディフェンスが食いつくので、次はフリーでメッシがボールを受けて
満を持してバイタルエリアでの無双発動…という流れまで見えてくるかと思います。


いやまあ…ここまでの流れはいつもバルサの試合を見ている方ならば「何を今さら…そのぐらい知ってるよ」という基本事項なんですがこれを実も蓋も無い言い方で表せば
『グループによってノーリスクでボールを運んで最後はメッシ様 お願いします』という事です(爆)

ここで重要なのは最後に攻撃の仕上げを行うのは唯一メッシであるという事なんですね。

だからたまにサイドで1対1になったテージョあたりが空気読まずに単騎突破を図ると中に誰もいなかったり、
逆に中にメッシがいる場面でシュートでも打とうもんならメッシが激おこで怒鳴りつけているシーンは誰もが一度は目にした事があるかと思います。

ですが、これが近年バルサの攻撃パターンの硬直化と相手に研究し尽くされるという現状を生んでおり、
本来これを打破する為の切り札としてネイマールが加わったはずなんですが、
この数シーズンでバルサというチームに根付いたメンタリティとメッシのエゴイズムはそう簡単に変える事は出来ません。

それが顕著に現れているのが次のシーンです。↓


【バルサイズム=メッシのエゴイズム?】
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局面は今度左から右へと攻めるバルサの攻撃場面。先程と同じような場面を抽出しました。

ボールはアドリアーノからネイマールへ出ますがやはりネイマールは孤立していて後ろからディフェンスも迫っています。

そして後ろではトライアングルが出来ているのでイニエスタも指を差して「後ろへシンプルに下げろ」と指示を飛ばしていますね。
ブスケスは既に右でフリーになりかけているシャビを首を振って捉えているので下げられたボールをこちらへ展開しようと決めているはずです。


ですがネイマールという選手はそんじょそこらのプレイヤーとは訳が違うんですよ。

ここでボールを受けるのがペドロとかアレクシスとかテージョなら下げるが唯一の正解でもいいと思いますが、
ネイマールは世界一のトリックスターで特にDFが寄せて来た時に咄嗟に逆を取る引き出しの多さとその変幻自在のテクニックは目を見張るものがあります。

なので、↑の場面でも背後から迫るDFの気配をネイマールは背中で感じているんですね。


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反転しながらヒールでボールを流し、完全に逆をとったー!

もう「上手ぇ!」としか言いようが無いプレーがネイマールからはポンポン飛び出してくると。

・・・で、ここで問題になってくるのがネイマール以外の選手が従来のグループ攻めとパスを下げる攻め直ししか頭に無かったんで、全く後ろが反応していないという事態が起こるんですよ。


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ネイマールは無人の荒野を独走するようにドリブルのスピードを上げて、ディフェンスもそれを追いながら必死で戻っているんですが、肝心のメッシとイニエスタは明らかにジョギング走りなんですね。

もう「オイオイ・・・あいつ空気読まずに1人で何やらかす気だ?」なんて心の声まで聞こえてくるようなやる気の無いジョグですハイ。

静止画だと必死に戻るディフェンスとメッシのジョギングの差が分かりにくいかと思うので
赤丸で囲った2枚のボランチとメッシの次の位置関係でそれを推し量ってください。↓


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あー、これはやる気の無い中学生のマラソン大会そのものですね(爆)

結果的にネイマールは1対2の数的不利になっとります。

で、ネイマールも味方の走りの様子と何かおかしい空気感をここで感じ取って・・・


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「ハイハイ、メッシ常務お願いしますよ…」と新入社員ばりの接待パス。

本来、メッシが全力で走っていたら黄色い丸の位置までは余裕で到達していたし、
そこからワンツーなりの絡みで確実にもっと決定的な場面が生まれていたはずなんですよ。


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しかも最悪な事にここでボールを受けた常務は1人でボールをこね出した挙句、囲まれて奪われるという大惨事ですよww

ネイマールはDFに肘打ち食らって倒れてるし踏んだり蹴ったりです(笑)


要するにこれがここ数年で固まってしまったメッシの
「攻撃のスイッチを入れるのはお前じゃねえだろ」というエゴイズムの正体です。

現在のメッシが味方にパスを出す時は主に3パターンしかありません。

一つはDFを背負いながら受けた時に「はい、やり直し」と簡単に下げるバックパスか
前を向いて無双が発動した後に「よし、決めろ」とばかりに出すラストパスか
もしくはドリブル中にリターンをもらって突破する壁パスのどれかです。

結果、現在のバルサで一度メッシのスイッチが入った場面では
周囲の選手はオトリか壁役に徹するしかその役割はありません。

(イブラはこの役割に収まり切らず放出)


昔はね…、それこそネイマールと似たような突破をロナウジーニョが左で見せていた頃は
メッシがロナウジーニョの壁役になったりその逆もあったりでユニットとしての完成度はあの頃の3トップの方が遥かに高かったと思うんですよ。

故にバルサがもう一歩次の階段を上るには実はこのメッシが壁役もこなすようになれば
最強の壁とオトリ役になると個人的には確信しています。

それこそネイマールのカットインにメッシの壁パスが絡んで2人だけのワンツーで中央を突破。
最後はどちらかが華麗にGKまでかわしてドリブルでネットの中に突進していくようなゴールが見られるようになればバルサはまた強くなりますよ~!(妄想)


しかし現状ではプロサッカチームとは言え、これも一つの人間組織ですから「同調圧力」は馬鹿に出来ません。
お蔭で最近のネイマールからはすっかりブラジル時代の凄みが消え、まるで牙を失ったライオンです。

(総じて草食系が多い純正培養のカンテラ上がりにネイマールの野生が加わるのが面白いのに…!)

最後にちょっとブラジルのファンが見たら卒倒しそうなシーンをオマケで見ていきたいと思います。↓


【牙を失ったネイマール】
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局面は無双で完全にバイタルエリアを独走したメッシからネイマールへ「決めてこい」とばかりのラストパス。


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・・・が、ここでもメッシ常務への接待しか頭に無いネイマールはそもそもボールを受ける段階の身体の向きからしてメッシの方しか向いてないんですよwww

これだと守るディフェンス側としても丸分かりで・・・


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あー最悪のやつだ コレwwww

どこぞの島国代表のFWじゃないんだから「打てよ!」www

てか、お前本当にネイマール?www

「いやー折り返して確実に・・・」とは言わせないよ。だって君・・・・↓




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ここからカシージャス相手にニアの天井ぶち抜いた人だよね?

忘れたとは言わせませんよコンフェデ決勝。
プジョルを縦に振り切って、カシージャスが守るゴールニアの天井を打ち抜いたあの衝撃を…!

あのカナリア色のユニフォームを着たトサカ頭に世界中がひれ伏し、
「来季のバルサやべぇかも…」ってガクブルになったのは何もマドリディスタだけじゃなかったはず!


よって今季マルティーノがネイマールをチームに組み込もうと思ったら
実はバルサの結構根深いところまで一度手を突っ込まないといけないと思うんですよ。


それを余所者が出来るのか・・・?


否、余所者だからこそ出来るのか?



いずれにせよただの接待パスで「2ゴールをアシストした」なんて今は上辺だけ取り繕えても
この2人の真の融合なくしてはバルサの次の時代はやって来ないだろう-



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脱「戦術メッシ」宣言 ~スーペルコパ1stレグ~

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<脱「戦術メッシ」宣言 ~スーペルコパ1stレグ~

奇しくも前回に引き続きバルサネタになってしまいました。(^^;

まあ、開幕戦の相手レバンテがあまりにふがいなかったので改めてこのスーペルコパでバルサの真価を測ろうじゃないかと。
今回はそういった趣旨のマッチレビューとなっておりますので、前回の記事と併せて読んでいただければ幸いです。

では早速、両チームのスターティングオーダーからいってみましょうか。


【Aマドリー×FCバルセロナ (スーペルコパ1st)】
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Aマドリーはリーガから「スペイン人は無制限、EU圏外選手は3人まで。但し野人・巨人の類は出場禁止」と言われたかどうかは定かではありませんが、遂にあのファルカオがフランスへ移籍。


【参考画像 (ファルカオ選手) Aマドリー在籍時】
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『駆逐してやる…白い巨人も…カタルーニャの雄も…一匹残らず!』


但しアトレティコはファルカオを移籍金約80億で売り払った代わりに今度はバルセロナからビジャを僅か6億円というバーゲン価格で取ってきました。

*【参考記録】
Fトーレス⇒65億
ベンゼマ⇒45億

どうしてこうなった・・・。○| ̄|_


これで戦力ダウンを最小限に止め、何なら「もう2~3人補強しちゃいなよYOU」ってぐらいのキャッシュに余裕も生まれています。

間違いなく今季のリーガにおける移籍市場で最も上手な売り買いをしたのはこのチームでしょうね。

そしてバルサ時代はある意味メッシの為に犠牲になるプレーも厭わなかったビジャがこのチームでは思う存分点取り屋としての本能を爆発させる事が出来ます。

正直、バルサでは持ち味の3割ぐらいしか発揮出来ていないんじゃないか?と思っていたので今季は得点王争いに絡んでくる活躍も期待していいんじゃないでしょうか。


対するバルサは開幕戦では代表遠征の影響で温存されていたイニエスタとJアルバがスタメンに復帰。
これでメンバー的には完全に昨季バルサの通常営業モードに戻った感じですかね。


<メッシを狩れ!>
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試合はまずキックオフからアトレティコが「レバンテとは違うのだよ!」というところを見せてくれました。

開幕戦でバルサと対戦したレバンテは中盤を4枚にした4-4-2で真正面からぶつかったはいいですが、
結果的に中盤に空いたスペースへズコズコとパスを通されまくっていたので試合にならず。

一方のアトレティコは昨季CLでミランも採用していた中盤のラインを5枚にする事で
中を締めつつ両サイドを突かれてもスライドが容易な4-5-1で迎撃体勢を取ります。

【アトレティコの4-5-1】
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【昨季ミランの4-5-1】
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まあ、これまで散々試行錯誤されてきた対バルサシフトにおける一つの完成形ですね。

特に3センターに配置された中央の3枚はバイタルエリアで間受けを狙うメッシへのパスコースを徹底的に遮断。

このへんがバルサと何度も対戦経験を積めるリーガ勢の腕の見せ所でシメオネも「いつまでもやられっ放しと思うなよ?」という意地を見せてくれます。

お陰でバルサはアトレティコが敷くブロックの外ではいくらでもパスを回せますが
中に入れるコースにまったく隙が無く開始から10分間は間受けはおろかメッシのボールタッチすら0に近い状態でした。
(シメオネ親分が相当鍛えてますwwこのチーム)

こうなるとボールに触りたい性分のメッシは段々とボールをもらいに低い位置まで降りてくる傾向が出てきてしまうんですねー。

勿論それがシメオネとアトレティコの狙いだったんですけども。


そもそもメッシの間受けが何故怖いかと言えば、
自分達の懐の中でメッシにボールを受けられてしまうと守る側としてはもう手も足も出なくなってしまうからなんですよ。

【メッシの間受け (成功パターン)】
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こうなるとメッシの背後から後追いになる中盤のラインは後ろからタックルに行かざるを得なくなるので必然的にゴール前の決定起阻止でファウル+カードをもらう確率が非常に高いし、
反対にDFラインはこの状態でメッシへ迂闊に飛び込めば一発でかわされてジ・エンドとなってしまうので無抵抗のままズルズル後退するしか無い…と。

だけどメッシが「バイタルでいつまで待っててもボールが来ねぇ!」としびれを切らして低い位置まで降りてからボールを貰う場合はこの限りではありません。

【メッシがブロックの外でボールをもらう場合】
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これはもうむしろメッシ無双が発動する前に中盤の高い位置で潰しておけ!とばかりに中盤のラインはきつく当たれますし、これに合わせてDFラインも前進守備が効く訳ですね。
(バルサは裏を目掛けた縦1本のパスも極端に少ないし)

しかも今のアトレティコは「11人のシメオネ」(怖過ぎだろww)とも言われている通り、この手の中盤での潰しはリーガ1エグいです(笑)

では実際の試合から焦れるメッシとアトレティコの「メッシ狩り」を検証してみましょう。


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局面は右から左へと攻めるバルサ(黄色)のメッシがアトレティコの守備ブロックの外まで降りてきてボールをもらい、ここから突破を仕掛けようという場面。

アトレティコはここでメッシにもたせる分には中盤のラインが前を向いて守備を出来ますから迷い無く取り囲んで強く当たる守備が出来ます。

・・・で、実はバルサと対戦するチームにとってはもう一つ、このメッシからボールを奪うという事の意味はことのほか大きいものがありまして。

↑の場面だとDアウベスの動きに注目してもらいたいんですが、
通常バルサではここでボールを持ったのがメッシ以外の選手だった場合、Dアウベスはこのようにボールを持った選手を追い越すのではなく後方待機で「*スペアポジション」と呼ばれる位置取りを維持するんですね。

「スペアポジション」ってのは要するにバルサがボール支配率を高めるにあたっての約束事の一つみたいなもんで
ボールホルダーに対して前に2つのコースを作る事(トライアングル)と併せて
必ず一つ、後ろに下げるパスコースを作りながら同時にボールが奪われた際のファーストプレスとして敵のタテパスを防ぐ役割を担う位置取りの事。
(ブスケスがこれの名手なんで注意して試合を見ているとよく分かるかと)

バルサはこのスペアポジションに常に人を置いているので最悪の場合いつでも攻撃に「やり直し」が効いて自然とボール保持率も高くなる…というカラクリです。

但し、これには例外があって、それが「メッシがボールを持った時」

この瞬間だけはバルサの攻撃が一気にトップギアに入るので、メッシの周りの選手がそれぞれメッシを追い越したり両サイドに開く動きを見せる事でオトリになりつつも、いざとなればメッシからのパスが受けられるポジションへ移動する事になります。

もちろんこれは大前提としてメッシはボールを奪われないという信頼から成り立っているんですけど。

だからこそ、Dアウベスは↑の場面で迷い無く追い越しをかけているし
故にアトレティコの方はメッシからボールが奪えたら最大のチャンスなんです。


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結局この場面ではアトレティコが中盤で2枚ガッツリとメッシに寄せてボールを奪取。


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一気にカウンターを発動させるとバルサは両SBが上がっているのでいきなりCB2枚での守りを強いられています。

アトレティコはコレ、完全に狙ってましたね。
事実、前半12分に訪れた最初のメッシ狩りからのカウンターで見事先制点を奪っています。

この時も↑と同じような形で奪って、Dアウベスの裏のスペースを突いてから最後はビジャのビーティフルボレーで締めました。

しかし、ビジャの力の抜けたあのボレー!美しかったですね~。
まったく…古巣相手にやってくれましたよ(^^;

やっぱりスペイン最強の9番はこの男だな!

Fトー○ス「エ・・・」


得点シーン以外にもアトレティコは低い位置まで降りたメッシを的にするかのように
メッシ狩りから幾度となくカウンターで決定機を作り出していました。


<旧式バルサの限界か?>

開幕戦では上手くいっていたバルサが一体どうしてこんな事態に陥ってしまったのか?

一つの要因として開幕戦ではスタメンだったセスクの不在は大きかったように思われます。

この日はセスクの代わりにイニエスタが使えるという事で中盤はブスケス、シャビ、イニエスタの大御所トリオが顔を揃える事になりました。
しかしこのトリオだとボールポゼッションの安定感は最強になるものの、それぞれが足元でボールを受けたがるので中盤から裏に飛び出す選手がいなくなってしまいます。

これにメッシの職場放棄が加わると・・・・

【旧式バルサの負けパターン】
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そう、攻めるべきゴール前に駒が不在で全員がアトレティコの守備ブロックの外側で戦ってる状態になっちゃうんですよ。

これが昨季、バルサが辿り着いた一つの限界点でいわゆる負けパターンってやつです。

(ちなみにセスクがいた開幕戦はこうです↓)

【開幕戦のバルサ (セスクの中盤からの飛び出し)】bar2-0820-1.jpg


結局バルサは打開策を見つけられないまま前半を過ごし、メッシはボールが欲しいばかりにどんどんポジションを下げていく悪循環。

終いにはこんな感じになってました。↓

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局面は前半終了間際で、最終ラインまで降りたブスケス(両脇はCBのピケとマスケ)からイキナリもうメッシがくれくれの場面。

(当然、背後からアトレティコの選手がもう狙ってる)


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援護も無いメッシに対してアトレティコは遠慮は無用とばかりのメッシ狩り。


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狙い通りボールを奪って、バルサの最終ラインと3対3へ持ち込んでいます。

せめてメッシがいつもの深い位置(バイタル近辺)でボールを奪われる分には両SBの戻りも間に合うんですが、
そもそもSBより低い位置でメッシが取られていたら話になりません。

結局、前半の45分間はアトレティコが狙い通りに試合をクローズさせて1-0のリードで折り返します。


マルティーノ監督(試合後の談話)
『前半はレオだけじゃなく、みんなスペースを見つけるのに苦労していた。
彼らのラインは非常に良く連動していて、間にボールを送るのが難しかっ。』



<脱「戦術メッシ」宣言>
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ハーフタイムを僕はバルサの側に立ったつもりで「どう動いてくるか?」を考えながら過ごしていました。

で、恐らくセスクは入れてくるだろう…と。じゃあ後半はこの布陣だな↓という読みです。

【バルサの後半予想布陣】
kouhan0823.jpg

ペドロOUTでセスクをINして、イニエスタが左に張り出し代わりに中盤にセスク。
間違いない。十中八九これで来る…!と勝手に確信していたんですがマルティーノは驚くべき采配を見せます。


メッシOUT⇒セスクIN


いやー、これ世が世なら即打ち首もんですよ?(爆)

でもねー当たり前すぎて頭の中からその打ち筋は完全に外れてました。
恐らくビラノバだったら僕の予想通りの布陣か、それでも交代無しのどちらかで後半を迎えていたはずで
少なくともメッシを下げるという選択肢は無かったはずなんです。

(実際にはメッシは前半に腿の裏側に違和感を感じたという事で大事をとって交代させたらしいのですが
これまでならば無理をすれば後半も出場出来るという状態で迷わず出していたはず)

ちなみに試合後の現地マルカ紙の採点ではこの試合に出場した全選手の中でメッシに最低点がつけられています。

だったら一番出来の悪い選手を下げて、必要な駒を投入する…というのが采配における常識ではありますが、
ことバルサというチームでメッシを下げるという選択肢をすっかり忘れていました。

これはバルサのDNAを受け継いでいる人間(ロウラ、ビラノバ)だとなかなか出来ない一手ではありますが、
こういうところで他所から来たマルティーノというのは実にフラットな視点でバルサの指揮を執っているなぁ…と。

(そういう意味では僕も含めて毎週バルサの試合を見ている我々も半ばビラノバ視点になっていましたね…。(^^;)

開幕戦でも勝負がついた段階で当たり前のようにメッシを途中で引っ込めていたマルティーノですが
これはもう戦術的な采配という枠を超えてチームと世界に向けたメッセージの発信ですよね。

要するに今季のバルサにおいては「メッシも一つの駒に過ぎない」と。
当たり前のラインを改めてスタートの段階でハッキリさせてきたと見るべきでしょう。


いや、もちろんメッシという類稀な武器があるのだからそれを活かす方向性は前提としてあるでしょう。

しかしここ1~2シーズンのバルサにおいてはチームとしての前提がゴールではなく明らかにメッシへ向かっていましたよね?
選手個々がボールを持ったら「いかにメッシへ渡すか」しか考えていないので、メッシに渡した時点で半ば仕事が終了していた感が強かったのも事実。

でも当たり前ですがサッカーはゴールの数を競うスポーツですから、
攻撃のベクトルがゴールへと向かっていないバルサのポゼッションは明らかに限界を迎えていたと思います。

つまりゴールという「目的」へ向かう「手段」の一つとしてメッシがいたはずが
いつの間にか目的と手段が逆転していた…と。

ここをマルティーノはもう一度、原点に立ち返らせようとしているのではないだろうか-


実際に後半、「メッシ」という呪縛から解き放たれたバルサの選手達は見違えるような流動性を見せ始めます。

セスクは裏を狙ったり中盤に引いたりとバイタルに滞留しないので、
空いたバイタルエリアに入れ替わり立ち代りバルサの選手が出入りしてアトレティコのマークが次第に追いつかなくなってきたんですね。

結果としてバルサのポゼッション率こそやや落ちたと思うんですが攻守の入れ替わりが激しい動きのある好ゲームが後半は繰り広げられていました。

そしてマルティーノはこの機を逃しません。


後半14分-

ペドロ OUT⇒ネイマール IN

マルティーノは出来る子!
それやっちゃいますかー、完全に神采配じゃないですかww

メッシという呪縛から解き放たれてピッチ上にフットボールが戻ってきたこのタイミングでのネイマール投入!

もう試合を見ている誰もがこの先に起こるであろう事態を予感しながら、"その瞬間"はネイマール投入の5分後に訪れます。

実際の試合から検証してみましょう。


【バルセロナの同点ゴール】
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局面は後半、左から右へと攻めるバルセロナの攻撃。

ゴール前でボールを持ったシャビが前を向くとセスクは迷い無く裏のスペースへ飛び出します。

アトレティコはシャビへCBのゴディンが詰めたので裏を狙うセスクをケアすべくSBのFルイスが向かう。


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この動きを見透かしたシャビはFルイスの裏をついてアレクシスへパス。

(前半には無かったセスクの裏抜けがバルサの攻撃に化学反応を生んでいますね)


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アレクシスがフリーでクロスの体勢に入ったところでアトレティコのDFは全員視野がアレクシスに向いたままゴール前へ戻るディフェンスを強いられています。

これで大外のネイマールが完全に視野の外でフリーとなりました。

アレクシスからのドンピシャのクロスをネイマールが頭で押し込んでバルサが1-1の同点に。


ネイマールはゴールシーン以外ではそれほど崩しに上手く絡めていた訳では無かったですが
それでも大事な場面でキッチリと結果を出すあたり持ってるな~と(笑)

最後は敵地でこの展開なら1-1の折り返しで御の字と判断したマルティーノがシャビを下げてソングを投入。
ボランチを2枚にして試合を殺す、これまた常套句でありながらこれまであまりバルサでは見かけなかった采配でキッチリとアウェイゴールをカンプノウに持ち帰りました。


マルティーノ(試合後の談話)
『もっと動き、より正確にプレーし、もっと縦にマークを外していかなければならない。
それは簡単なことではないし、バルセロナは特に苦労するだろう。
バルサのプレースタイルはいつも同じで、対戦相手を見る必要があるからね。
私たちは同じスタイルにこだわりつつも、よりダイナミズムのあるプレーをし、バリエーションも増やせるように努めていくよ』


マルティーノの決意とバルサの新たな可能性、そしてもちろんシメオネのアトレティコが見せた対バルサへの反発力。

この試合は「どうせリーガはもうオワコンでしょ?」と言っている人達全てに観てもらいたい好ゲームでした。

2ndレグにも期待しましょう!

(とは言えさすがにカンプノウだと後半フルボッコの展開もあるんだけどね・・・(^^:)


バルセロナの原点回帰 ~開幕戦から見えてきた今季のバルサとは?~

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<バルセロナの原点回帰 ~開幕戦から見えてきた今季のバルサとは?~

『いかなる視点からしても、私は目新しい事など何もしていない。保存されていた物を再び使ったに過ぎない。
私の使命は、選手達が行うのを止めてしまったいくつかの事を取り戻すことだ。』

開幕戦を終えたバルサの新監督マルティーノのコメントだ。

バルセロナはその言葉通りの戦いでレバンテを7-0と圧倒。
国際的な知名度で言えば正直「あんた・・・誰?」のマルティーノ監督はひとまず説得力のある内容と結果を周囲に示してみせた。

バルセロニスタはもちろん、そうでないサッカーファンも今のバルサについての興味は一つ。
果たしてバルセロナは復活するのか?

そこで今日はこのマルティーノ新監督が指揮を執る今季のバルサについて
開幕戦から見えてきた展望をいくつか検証してみよう。


<前プレの復権>

そう、改めて今季のバルサに託された使命は「復活」である。

本来、昨季のリーガをぶっち切りで優勝したチームに対して「復活」もクソも無いのだが、
CLにおけるバイエルンへの敗れ方となんならコンフェデのバルスペイン代表の決勝惨敗まで背負い込んで
今やすっかり「負」のイメージで語られてしまっているのがバルサの現状だ。

それだけ周囲の期待値も高いこのチームの命運を託されたのがマルティーノ新監督で
正直、僕も彼に対する事前の情報は0と言っていい人物なんですけどね。(^^;

勿論、2010W杯であの岡田JAPANと激闘を繰り広げたパラグアイ代表の監督だったとか
ビエルサと師弟関係にあるだとかそういう諸々の情報は伝え聞いてはいるが重要なのはピッチ上で実際にどんな仕事が出来るか-である。

では注目の開幕戦からマルティーノが送り出した今季最初のオーダーを見てみよう。

【FCバルセロナ ~レバンテ戦のスタメン~】
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イニエスタ、Jアルバは代表の遠征に帯同していたとかでメンバーから外れている。

布陣は従来通りの4-3-3で注目のネイマールはベンチスタート。
なるほどまずはバルサイズムが浸透している従来のメンバーで固めてきたという事か。

それだけバルサというチームのサッカーは特殊だし、このチームではいかにネイマールと言えどもポジションは競争を勝ち抜いて掴むものという新監督の意思表示にもなっている。

マルティーノ『ネイマールはチームに合流した翌日に遠征に発つなど慌しく過ごしてきた。
観客を喜ばすためにメッシと一緒に並べるのは、彼に肉体的な負担を与えることになりかねない。
彼が新しい環境にいち早く適合するのが狙いだが、もう少し時間が必要だ』


さて、今季のバルサ新監督にとっては、まず取り掛からなくてはならない重要かつ急務な命題がある。

それが「前プレの復権」だ-

何と言っても昨季、バルセロナの失点が倍増しCLでも苦戦を強いられた一番の原因は
敵陣で失ったボールを前プレで回収出来なくなった事による。

あのペップがライカールトから指揮を引き継いだ当時もロナウジーニョデコがあまりにチーム内でアンタッチャブルな存在となっており、練習態度も散漫で課せられた守備も放棄。
結果、チームとしてのモラルが著しく低下していた現状を見たペップは最初の仕事としてこの2人をチームから追放した件は記憶に新しい。

実は昨季のバルサにもこれに似た兆候が現れていてチーム内でメッシという存在があまりに肥大化していた結果、
ペップ時代にはチームに前プレのスイッチを入れる役割を担っていたはずのメッシが全く守備をしないという状況に陥っていた。

故に今季バルサのイスに座る指揮官が成功するか否かは何を置いてもまずは低下したチーム内のモラル向上、
つまりは「前プレの復権」こそがその鍵を握ると見ていたのだが・・・。

では早速開幕戦からバルサの前プレを検証してみよう。


【バルサの前プレ ~13/14ver~】
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局面は左から右へと攻めるバルサがレバンテ陣内奥深くまで攻め込んでからボールを失った場面。

まずはボールを失った張本人であるアレクシスがボールホルダーへファーストプレスを仕掛ける。

ここで重要なのがセカンドプレスを担うメッシの役割で
次のパスの出所をメッシが抑えられるかどうかでこの前プレの成否は決まると言っても良い。

ちなみに昨季はこういったシーンでことごとくメッシが傍観を決め込んでいた為に
せっかくのプレスの網に綻びが見られたり、メッシがサボっている分わざわざ逆サイドからペドロが走って急行したりとチグハグな場面が目立っていた。

さあ、果たして今季はどうなる・・・・?


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クララが立った!・・・じゃなくてメッシが動いた!


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アレクシス(左)『私・・・信じてた』 メッシ(右)『今までゴメンね…』


いやー、バルサの歴史に刻まれるべき感動のシーンである(笑)

これならイケる!前プレの復権だ!


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メッシのセカンドプレスを受けてボールを前に持ち出すのは不可能と判断したボールホルダーは攻撃方向に背を向けてGKへバックパスを下げるしかなくなっている。

注目して欲しいのは相手のボールホルダーが背を向けた事でアレクシスも加勢出来る事と
次の受け手にはもうブスケスとペドロが動き始めてパスコースを殺している点である。


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・・・で、ここからGKにやけっぱちのロングボールを蹴らせている分にはバルサの守備は安泰という訳である。

マルティーノ『我々は当初から特にプレッシングに重点を置いてきた。
目新しさと言えば、より長い時間に渡りそれが実践できたことだ。チームが披露した前半のプレッシングには満足している。』


マルティーノ!出来る子だったのね…!

どうやらバルサの新監督としてやるべき事は分かっているようであり、これにはバルセロニスタも一安心。
もしこれが1シーズン通して続くようであれば、バルサは再び隙の無いチームとして帰ってくる事だろう。


<セスクの復活>

続いて攻撃面も見ていこうと思うのだが、ここで残念だったのが相手のレバンテのグダグダっぷり。
何とバルサ相手に4-4-2のゾーン守備で真っ向勝負を挑む自殺行為で華々しく散ってくれた。

今更ゾーン守備を破壊するスペシャリストのバルサ相手に中盤を4枚にした正攻法の4-4-2はプレミア勢でも侵さない愚行である。

ちょっとレバンテがあまりに無策だったので、そこは割り引いて攻撃面は見ていく必要があるのだが
それでもおおまかな傾向とやりたいサッカーの輪郭らしきものは見えてきた。

まずはセスクの組み込みである。

昨季、チームへの組み込みに苦戦した挙句、終盤は完全にベンチメンバーへと落とされた感もあるセスクという資源をいかに再活用するかは補強策よりも重要な問題だった。

そこでマルティーノは一度セスクの役割を整理し、昨季はメッシの代役として使われたりしていたセスクを
もう一度メッシとの縦関係から裏へ抜ける受け手として活用し始めた。

【メッシとセスクの縦関係】
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局面はバルサのビルドアップからタテパスが入る場面。

メッシとセスクの基本的な位置関係はトップのメッシが前で中盤のセスクがそのすぐ後ろという
「つかず離れず」の立ち位置を常にお互いが意識しているフシが強かった。(恐らく監督の指示)


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…で、ボールが別のところでプレーされている間にセスクがメッシを追い越して裏へ抜けるという関係である。

これで相手のDFラインは裏へ抜けるセスクに対応してラインを下げればバイタルでメッシがフリーになり
メッシを捕まえようとすればセスクに裏を取られるという按配である。


では更にこの動きをチーム全体のメカニズムにまで視点を広げて、バルサの攻撃の全容を探ってみよう。


【バルサの攻撃メカニズムの全容】
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局面は先程と同じようにバルサのビルドアップから。

やはりここでもボールと関係のないところで既にセスクが裏へスタートを切っており、
この動きで相手のDFと中盤のラインを引っ張ってメッシとシャビをフリーにする狙いである。

(それにしてもレバンテはシャビに対してスペース空け過ぎだろwww)

加えて両ウイングのペドロとアレクシスは両翼に張り出した位置取りをキープ。


bar2-0820-2.jpg

シャビがボールを受けて前を向く頃にはセスクがDFラインを引っ張っているので結果的にメッシがバイタルでフリーになれそう。

守る側としてはこの2人の縦関係を強く意識せざるを得ないので中を絞れば、今度は両翼が空く…というメカニズムである。


そう、これは何と言う事は無い。
バルサの試合を見てきた方ならご存知の通り、これはペップ時代に築かれたメカニズムそのものである。

ここからペップは「外は捨てて中を絞る」というバルサ対策に苦しんだ訳だが、今のバルサはそれで抑えられる程甘くはない。

それは恐らくシーズン中にこの場面で左に張るのがあのネイマールになるからだ。

そもそもネイマールというタレント自体、「バルサシフト」を崩壊させる為にやって来たと言っても過言ではないだろう。
コンフェデではクラシコでも対戦するであろうSラモス、カシージャス相手に左45度のエリアから切れ込んでゴールニアの天井をぶち抜いた破壊力は記憶に新しい。

バルサシフトの時代に終止符を打つ存在として他チームは今から眠れない夜を過ごすがいい(笑)


裏に抜けるセスクとバイタルに降りてくるメッシ、そして中を絞れば外からネイマールと
まさに今季の青写真を描いてみると空恐ろしい決戦兵器が出来上がりかねないのだが・・・。(^^;


最後に意外と事件だと思ったのがマルティーノが71分にメッシをベンチに下げた事

まあ既に試合の結果は決まっており、普通のチームであれば当たり前の話なのだが
フル出場にこだわるメッシの性格が考慮されてこれまで何点差がつこうとフル出場は半ば当たり前になっていたからだ。
勿論、昨季はそれが完全に裏目に出てフル出場を続けたメッシはシーズン終盤の大事な時期にコンディションがボロボロ。バイエルン戦での惨敗に繋がった。

いわゆる監督と選手の力関係が逆転しかけていた象徴的な事例だが、こういうチームは例外なく一つの時代を終えていく。

その意味でマルティーノ新監督がチームにノーマルな一線を引き直した事は特筆していいと思う。

マルティーノ『拮抗した展開でメッシを交代させる監督などどこにもいない。
しかし、早い段階で勝負を付けることができた試合では、彼がシーズンを通じて良い調子を維持できるよう体力を温存できるというものだ』



まあ、それでも開幕戦はレバンテがちょっとアレ過ぎたので、(^^;
次のスーパーCUPでアトレティコ相手にどこまでやれるかを今季の一つの指標として見てみようと思います。



P・S 最後に言い忘れましたがブログのデザインを一新してみました(笑)
従来のは「ダサい」「読みづらい」という意見があったもので(^^;・・・いかがでしょう?
他にも何か要望などありましたら遠慮なくコメント欄等に書いて下さいネ!


プロフィール

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Author:soccertentyou
年間300試合観戦のサッカー馬鹿によるサッカー馬鹿の為の戦術分析ブログ

【メールアドレス】
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